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マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

埼玉県民の期待を背負って.... 浦和学院 10-11 仙台育英 10.Aug. 2013

2013-08-18 | Weblog
6回に入り初回に50球以上も投げた小島君の投球数早くも100球を越えた。打席にはこの試合これまでストレートを打ち返して2安打している1番の熊谷君に回ってきた。 3塁上にはこ高めを空振りし 2-2 とされるも136㎞の外角低めをレフトに打ち返したこの回の先頭打者7番馬場君が、2塁には 2-1 からスライダーをセンターに打ち返した加藤君がいる。 この時センター山根君からの返球がピッチャーズマウンドの横でイレギュラーバウンドしてそれたので1塁走者の馬場君が3塁まで進み、打者走者の加藤君まで2塁に進んだのだった。 2年生エースの小島君は続くこの日先発投手で途中から右翼手に回った鈴木君に替わり代打に送られた小野寺君をセカンドゴロに打ち取っていた。
打順は1番に還って熊谷君は1-2 から 136km のストレートをセンターに打ち上げる。 犠牲フライとなるだろう、1点は仕方ないとしてもこれで2アウトと誰もが思った瞬間、信じられないことに飛球は山根君のグローブに当たらずグラウンドにポトリと漏れ落ちてしまい、2走者が生還し4点あったリードが2点になってしまった。 更に打った熊谷君は2塁まで進んだ。 薄暮の一番フライが捕り辛い時間帯だった。 それとも山根君は2塁走者を3塁に進めたくないと焦ったのかな?
これで一気に元気づいた仙台育英打線は続く菊名君が独特の構えで 1-1 から 135km のインコースのストレートを上手く肘を畳んで振りぬき1塁後方に落ちる2塁打を放ち熊谷君を迎え入れ1点差とし、3番長谷川君は10球目のストレートをセンターに打ち返すタイムリー安打を放った。  長谷川君は前の2打席は凡退したがこの打席では 0-2 と追い込まれながら小島君自慢のクロスファイヤーそしてカーブ、スライダーを見極め、ストレートは反対方向に打ち返してファールにするなど粘りの打席で同点タイムリーに結びつけた。 
4点あったリードが一気に無くなってしまった浦和学院ベンチはまだ投球練習をしている3年生投手山口君をマウンドに送らない。
埼玉県大会5回戦から4試合連続完投している小島君が降りればそれで勝ち運が一気に遠のいてしまうという事か? 浦和学院応援団の祈るような表情が映し出される。
そして打席には4番上林君を迎える。今大会屈指の注目の対決だ。 だがここで小島君は踏ん張る、これまで無安打2三振に抑えていた大林君を初球139km のインコースストレートでファーストフライに打ち取り、5番水田君を1-2 から137km のストレートで空振り三振に切って取り逆転は許さなかった。 しかし私は小島君が4失点を喫したことよりもこの暑さの中またこの回だけで30球以上投げたことが心配だった。 それにしても仙台育英打線は半端じゃないなぁ~と感じた。
だけど上林君は埼玉県出身なんだなぁ~。浦学のスカウトはどうして彼に気付かなかったのだろう。

浦和学院が川越東を 16-1 で降し、今年の選手権出場を決めた時、マスコミは一斉に史上8校目の春夏連覇の可能性を報じだした。 そして地元埼玉県では悲願の埼玉県勢初の選手権優勝を大いに期待した。だけど“確率”の問題から言うと春夏連覇は難しいのでどうかな?と思った。
それよりも私が子供の時から埼玉県は高校野球界では東京、神奈川、千葉に並んで列強の部類に入ると思っていたのでまだ選手権で優勝校を出していないこと自身が驚きだった。
1993年第75回大会で春日部共栄が決勝戦に進出し兵庫県の育英高校に 3-2 で敗れ準優勝を収めた時と(この時の埼玉県大会の決勝戦の相手が浦和学院だった。) 1951年第33回大会で熊谷高校が平安高校との決勝戦で4-7で敗れたのが最高成績で、準決勝に進出したのが上尾高校 ( 1975年第57回大会 ) 浦和学院 ( 1986年第68回大会 ) 市立浦和 ( 1988年第70回大会 ) の3回。春夏連覇というよりも選手権優勝が埼玉県高校野球界の悲願であった。



昭和50年から選手権では埼玉県に1校出場枠が与えられるようになった。それまでは戦後、埼玉県は南関東代表に与えられた1校の出場枠を昭和33年の第40回記念大会まで千葉県代表校と争っており千葉県の壁を破ったのは3回だけだった。
第41回大会から千葉県に出場枠が1校与えられたことにより山梨県の代表校と西関東代表を競うようになった。 そして昭和36年、37年41年に甲府工業が甲子園に進出した以外は全て埼玉県勢が全国大会に進出していた。(昭和38年、43年、48年は記念大会で1県1校の出場枠が与えられた。)

8月10日。 この日の埼玉県は前日に続いてものすごく暑かった。午前7時前、愛犬の散歩から帰った時でも既に30度を越していた。湿度もかなり高くこの日はどんな1日になるかと思った。最も暑いと言われる熊谷市でさえ最高気温40度には届かなかったけど埼玉県各地で38度を越える事がニューステロップにも流れていた。 地元越谷市も38.8度にまでなっていた。
第4試合に地元浦和学院が登場する頃はもう少し気温が下がるかなと思った。この日は第1試合から結構打撃戦が続き、試合時間は予定より長くかかっていた。だから第4試合のプレーボールは午後4時半を回っていた。 それだけ気温も下がり、ナイターに入ると投手有利になる。 浦和学院の小島君には有利に働くと予想したけど…..
春夏連覇というよりも埼玉県民の願い、選手権制覇を担う浦和学院の初戦の相手は仙台育英高校だった。 今大会屈指の1回戦好カードとなったけど、仙台育英と聞いて強豪とすぐに連想出来る様になった事に隔世の思いがする。仙台育英は野球だけでなく駅伝では男女ともに全国制覇を収める強豪校。サッカーも強い。 こうなれば野球でも全国制覇を狙う戦力だ。



しかし宮城県大会決勝戦は先発投手馬場君が撃ち込まれて柴田高校に5点を先制される苦しい試合。それをひっくり返すのだから恐れ入るのだけど、やはり打線のチームかな?と思った。 先発投手は鈴木君と馬場君が3度ずつ先発し鈴木君が 23回 1/3 馬場君が 25 2/3 投げていた。 そしてどちらかと言えば鈴木君の方が投球内容は良かった。その鈴木君が先発だった。ただ二人とも右投手だったので浦和学院ベンチからすればどちらが先発でも同じ印象ではなかったか? 驚きは県大会決勝戦で2安打1打点を放った小野寺君がスタメンを外れて県大会では4回戦石巻西校戦から出場のない川島君がスタメンでライトに入っていた事だった。

仙台育英注目の先発投手は背番号1番の鈴木君だった。宮城県大会決勝戦の先発が馬場君だったからローテーション通りか、それともこの試合では2番手鈴木君の方が投球内容が良かったからか。 
浦和学院先頭打者の竹村君は初球135㎞のストレートにバットを出してショートフライに倒れた。試合開始のサイレンがなり止まないうちのワンアウトだった。 先頭打者が初球から手を出して凡退するシーンを野村克也氏が見たらなんて言うだろう、と思った。
続く服部君は2-2から 129km のスライダーを引っ張りサードゴロと思ったけどサード加藤君が弾いてさらに悪送球で服部君にワンベースが与えられ2塁に出してしまう。3番山根君は埼玉県大会 ,292 だったけど準決勝、決勝では連続してヒットを放っており選抜では5割以上を打っている。 2-2 からインコース136km のストレートを強振すると打球は左中間を真っ二つに割る2塁打となり服部君が先制のホームを踏んだ。埼玉県大会準決勝戦では好投手聖望学園の長谷川君から2安打を放ったすが主将と思わせられる打球だった。
県大会ではその熱戦となった準決勝の聖望学園戦以外は2回までに先制をして試合の主導権を握ってきた浦和学院、相手の失策からとはいえ見事な先制点だった。 マウンド上の鈴木君、打たれる前のアウトコースに投げた外角へカーブを見送られたのが痛かったか。
仙台育英はさっそく背番号18番檜森君を伝令送る。  それが効いたかマウンド上の鈴木君は選抜では3試合連続本塁打の4番高田君をライトファールライ。 5番木暮君をショートゴロに打ち取り失点を1に抑えた。 この強打打者二人に対してはカーブ、スライダーの変化球が効果的に見えた。

先制を許した仙台育英は先頭の熊谷君が2-2 から外角ストレートをライトに鋭く打ち返し出塁する。 県大会では2割に満たなかった熊谷君だったけど、さすが仙台育英、さすが全国大会と思った。 さぁ小島君ここはどういうピッチングをと思うがストライクが入らなくなってしまった。2番菊名君には 2-1 から外角変化球が暴投となり熊谷君が難なく2塁に進まれ後はストライクが入らず歩かせてしまい、3番長谷川君にも 0-2 から投じた外角変化球がまたもワンバウンドの暴投となりストレートの四球となり無死満塁としてしまった。 左投手の小島君であるが持ち味のやや横手から投げるストレートが左打者にはうまくコントロールできない上に変化球がさっぱりストライクゾーンを通らない。 県大会準決勝、決勝でも立ち上がり安定しなかった。
そして強打者4番長谷川君が無死満塁で打席に入った。 注目の対戦だ。初球は140㎞のストレートで空振り以降3球は全てストレートで1-2と追い込むと4球目は内角引く目に落ちるボールで見事に空振り三振に討ち取った。 前の2打者とは見違える投球内容。 5番の水間君にも初球をストレートで空振りさせたが2球目を水間君にぶつけてしまい同点にされてしまった。
更に6番小林君には1-2 と追い込みながら粘られて最後は135km のきわどい外角ストレートを見極められてまたも押し出しで得点を許し逆転されてしまった。 小島君のスライダーがすべてボールとなりきわどいストレートをファールにした小林君の粘り勝ちだった。
仙台育英ベンチは7番川島君に早くも代打を送る。打席に送られたのは阿部君。 宮城県大会では5試合に出場したがヒットは無かった。選抜でも打席に立った2年生。ここはスライダーが決まり最後は高めの138km のストレートを振らせて三振に討ち取り2アウトにこぎつけた。 ここで小島君は落ち着きを取り戻すかと思われたけど8番の加藤君にも追い込みながら最後はストレートが2球続けて高く外れてこの試合4つ目の四球を与えて3つ目の押し出しとなった。 
小島君は気落ちしたかここから連打を許す。 9番鈴木君には初球カーブでストライクをとるが2球目の同じ様なカーブをレフト前に落とされ更に2点を追加される。ストライクが入らない小島君がカーブでストライクを取ろうと同じカーブを続けたのが痛かった。1番に還って熊谷君は厳しいコースをファールで粘られ10球目をセンターに打ち返されこのイニング6点目を許した。
ベンチ横では早くも背番号11涌本君がピッチング練習を始めた。 だけどこんなに早く小島君は下せないだろうなぁと思った。
この回11人目の菊名君にもストレートが外れ 2-0 となったが3球目を打ってくれてセカンドゴロに倒れて長い長い初回の仙台育英の攻撃がやっと終わった。浦和学院ベンチ、応援団にとっては悪夢のような小島君の立ち上がりだった。



甲子園には浦和学院の校歌が流れる。アルプス席の応援団はどういう心境で校歌を歌ったのだろうと思った。
そして仙台育英右翼の守備には川島君の代打阿部君でなくて2年生の首藤君が入った。 

2回裏の仙台育英。小島君の立ち直りを期待した。先頭打者の長谷川君をベースカバーに入った時に落球し出塁を許したが、続く4番大林君を今度は変化球主体で最後はインハイのストレートで2打席三振に切って取った。これで調子を取り戻したか後続も打ち取った。 5点リードを許しているが何とか浦学打線爆発をと願った。

3回表の先頭打者は1年生の津田君。 選抜ではセカンドは3年生の贄君だったが埼玉県大会4回戦春日部高校戦で負傷を負い以降1年生の津田君が抜擢されている。約半年前まで中学生だった1年生が選抜優勝校のレギュラーになるのだから恐れ入る。 その津田君、県大会は .214 だったが0-1 から132㎞のストレートを叩くと打球は左翼頭上を越える。津田君は余裕のスタンディングダブルだ。打順がトップに戻り竹村君が初球内閣ストレートがユニフォームを掠る“幸運”な死球で出塁し無死1,2塁と反撃の狼煙を上げることとなった。 
続く服部君は県大会序盤は下位打線だったけど贄君の怪我の後は2番に上がり決勝戦の川越東戦は3安打。 この打席では3-2 から粘って136㎞のストレートを詰まりながらもライト前に運ぶ。 これで満塁と思うとこの回から川島君に替わって右翼の守備に就いた阿部君が後逸してしまい津田君が生還し打った服部君は2塁に進んだ。( 記録は2塁打 ) 
そして仙台育英の佐々木監督は右翼手の阿部君をベンチに下げて同じ2年生の首藤君をライトに入れた。 厳しいなぁ~と思った。

マウンド上の鈴木君は3番山根君を歩かせて満塁としてしまう。 4点リードしているからまだ動揺する場面でもないんだけどなぁと思っているとバッターボックスに4番高田君が入った。初球ストレートでストライクを見逃した後の2球目外角低めの変化球が捕手の小林君が捕れないほどのワンバウンドになり3塁走者竹村君がホームを踏み2点を返して 3-6 とした。尚も2,3塁に走者が残るもここは鈴木君が踏ん張り4番の高田君を変化球で三振に討ち取る。 この試合は両チームとも4番打者は無安打だった。
1死を取られたが5番木暮君が 3-2 から136km の低めのストレートを左翼フェンス直撃の2塁打を放ち2者を迎え入れ1点差に詰め寄る。外角カーブで 1-2 と追い込んで4球目137㎞の外角ストレートがきわどく外れたのが痛かった。 
1点差に迫られた鈴木君は続く7番西川君に 0-1 から126㎞の落ちる球を叩かれると打球は左中間を真っ二つに割る。木暮君が同点のホームを踏む。こうなると鈴木君の替え時がと思う間もなく続く小島君が初球をライトに打ち返し西川君が逆転のホームを踏み、ホームへの返球の間に小島君は2塁に進む好走塁を見せる。アルプス席の浦学応援団は狂喜乱舞していた。

仙台育英ベンチは鈴木君に替えて馬場君をマウンドに送った。打順は一巡して津田君に回って来た。 津田君に対して馬場君はストライクが入らずストレートで歩かせ、続く竹村君の2球目、カーブがワンバウンドの暴投となり小島君が3塁に進む。そして2-2 から落ちるボールが高く入り1,2塁間を破られ小島君が還り 8-6 とリードを広げた。 1-2 から自信を持って投げた139㎞のストレートが僅かに外に外れボールとなったのが痛かった。 更に服部君には詰まりながらも0-1 からセンター前に運ばれ追加点を許し3点リードとされた。服部君はこのイニング2本目のヒットだった。仙台育英バッテリーは次の山根君の打席で 1-1 から盗塁を許すが鈴木君は山根君を139km のストレートで三振に討ち取りこの回9失点目は何とか防いだ。 
馬場君の派手なガッツポーズが目立ったけど、主審が注意しなければいいなぁと思った。 埼玉県大会ではあまり見られなかった1イニング7安打の集中打だった。
浦和学院打線は4回にも西川君の適時打で追加点を挙げればリードを貰った小島君は3回から3イニング連続で三者凡退に仙台育英打線を打ち取った。 これで浦和学院ペースで試合が進むと思ったんだけど。

同点に追い付いてからは仙台育英のペースだった。7回裏には四球と野戦で無死1,2塁のピンチを招くが8番加藤君の初球。バントの構えから捕手西川君が2塁走者の小林君が飛び出したのを見逃さず2塁に送るとランダウンプレーで刺し、更に2塁に走った1塁走者の馬場君も刺して一気にアウトを二つ取った。 このプレーを見ているとサードの高田君の走者の追い込みのうまさが目立った。 
だが小島君は1番の好打順から始まる8回裏には更に大ピンチを招く。 先頭打者の熊谷君に1-2 と追い込みながら135㎞のストレートをセンター前にライナーで弾き返されるこの日3本目のヒットを許し、菊池君にはストレートが高く浮き歩かせてしまい長谷川君にぶつけて無死満塁としてしまう。 変化球がまたコントロールできなくなっていた。ここで打席にはこれまで4打席無安打2三振の4番上林君を迎えるもう投球数は160球を越えている。
だけどここから小島君の圧巻のピッチングが披露される。上林君にはすべてストレートで攻めて 1-2 から138㎞のインローのストレートでこの試合上林君から三つ目の三振を奪うと宮城県大会では.524 だった5番水間君を得意のクロスファイヤーで追い込んで最後はアウトコースのストレートで空振り三振。 そして小林君も1-2から138km のストレートで空振り三振に討ち取った。 ナイター照明に灯が入り投手には有利な状況となっていたけど無死満塁から後続の3人の打者を12球すべてストレートで三者連続三振に切って取る素晴らしい、全盛期の江夏を髣髴する様なピッチング内容だった。 
さぁ2年生が力投いているんだ、決勝点を挙げてやれ!とテレビに向かって呟いた。 しかし仙台育英2番手の馬場君も140㎞のストレート、ワンバウンドをしても空振りさせる120km 代のフォークで5回以降1安打しか許さない。 
9回表、先頭の木暮君が空振りの三振に倒れた後、斉藤君がしぶとくセンター前に落として出塁する。 埼玉県大会の聖望学園戦では最終回決勝の3塁打を放った斉藤君のこの試合初ヒットだった。 しかこし続くこの日2安打の西川君は2-2 からアウトローに138㎞のストレートを投げ込み見逃し三振に切って取られる。 馬場君この日8つ目の奪三振だった。
そして打席には小島君が入る。 ここはくさい所を突いてわざと歩かせるか?と思ったけど 1-2 からストレートを強振し強烈な打球が飛ぶが遊撃手の熊谷君が左に倒れ込んで打球を抑えた。
173球を既に投げている小島君は9回のマウンドに上がる。 先頭の馬場君を三塁ゴロに打ち取り次の出さ刃加藤君に初球を投げた後に右脚を痛めたらしく何度も屈伸を繰り返す。 それでもよくならない。ベンチからは水分が渡される。 そして拍手に送りだされるようにマウンドに再び戻った。 何とかこの回だけでも…と願うけど、1-2 から外角のストレートを加藤君に逆方向になるライトに打ち返される。打球はぐんぐん伸び何とか斉藤君が追いついたけど球に力が乗っていない様に思えた。 
続く小野寺君には 明らかに軸足に力が掛からない投球が続きレフト前に弾き返された。 だけど宮城県大会決勝戦2安打ながらこの試合スタメンを外された小野寺君も意地があったと思う。
ここで浦和学院、森監督は小島君に替わって山口君をマウンドに送った。 小島君182球の熱投だった。拍手に送られてベンチに戻った小島君だったけどベンチに戻った瞬間にこらえきれなかった思いが爆発したようだった…..だけど彼の将来を考えればこれ以上は投げさせられないだろう。 それに彼をここまで引っ張らざるを得なかった事がこの試合の結果につながったと思う。
マウンドの上の山口君は埼玉県大会では3試合に登板し先発したのは3回戦の川越初雁戦のみ。 今年の選抜では2試合に登板し3イニング投げた。 春季関東大会では決勝( 4-1 前橋育英 ) 準々決勝 ( 6-3 山梨学院 ) と完投勝利を収めている。 既に2死なので打席の熊谷君さえ抑えられれば…と思った。 
しかし悪い予感も。昨年の選手権3回戦、先発したのは1,2回戦で完投した3年生の佐藤君では無く何故かこの時2年生だった山口君が先発。2回3失点でマウンドを降りて、2番手に起用されたのがこの時1年生だった小島君だった。 小島君も3回投げたが3点を失い3番手佐藤君が3イニングを1安打に抑えたので何故佐藤君を先発させなかったのかな、とこの時思ったものだ。

この試合これまで3安打の熊谷君に対し、山口君は140㎞代のストレートを投げ込む。 2-2 からの6球目の変化球が低く外れる。その前に144㎞のストレートをファールされたので変化球を投じたのか。 7球目外角高めに投げた144㎞のストレートが真ん中に入って来た。熊谷君がバットを一振りするとライナーの打球がレフトフェンスに飛ぶ。







左翼手の服部君が打球を拾って、中継の竹村君に。竹村君は試合後新聞紙上で語った“間に合ってくれ”と捕手の西川君に返球したが長躯1塁から走り込んだ小野寺君の脚が早くホームを駆け抜け、試合終盤でも気温が34度あった文字通り熱戦、激戦、そして激闘に終止符が打たれた。





両軍合わせて21得点入ったけどスクイズによる得点は無かった。 スクイズの機会は少なくは無かったけど。

史上8校目の春夏連覇そして埼玉県勢初の選手権制覇はこの瞬間に消えた。 
これで仙台育英は結構上まで行くだろうなぁと思ったけど次の対戦がこれまた強豪の常総学院だった。浦和学院が仙台育英に例え勝てても次は常総学園かぁと思った。そして仙台育英は常総学院に 1-4 で敗れた。

翌朝早朝、駅前のスーパーマーケットに買い物に行った帰り、浦和学院の応援バスが前を通った。 生徒達は遠路を終えて地元に到着した為か安堵した表情だった。 野球部の3年生達はこれからどこかに遊ぶに出かけるんだろうなぁ~。
まだ甲子園は熱戦が続いている。 埼玉県ではもうすぐ秋季大会が始まるんだろうなぁ~。 

またどんなドラマが待っているんだろう。そしてこの暑さはいつまで続くのだろうか……




夏の甲子園もうすぐ開幕。だけど県大会も面白かった。

2013-08-04 | Weblog

最終回。スコアは 1-16 。どう考えても、奇跡が起こっても逆転は考えられない。 それでもスタンドからは熱心な声援が送られる。前の打席でヒットを放っている中村航太君が先頭打者のボックスに入る。たちまち 0-2 と追い込まれるが3球目を打ち返した打球はショート竹村君の頭上を越えて左翼手服部君の前に落ちた。マウンド上の小島君が先頭打者を出すのはこの試合4回目だ。川越東ベンチはここで途中からセンターに入っていた2年生の堀川君に替わって背番号17番、3年生の関口君を代打に送る。 今大会3度目の打席だ。 初球のインコースのやや低めをうまく上から叩いて続く。 打った瞬間に手応えを感じたのだろう、関口君は走り出した途端に右手を高く上げた。代打で出た高校生活最後の打席で小島君からヒットを放ち、良い思い出になっただろう。そして人生の支えになるに違い無い…こう思った。 



川越東ベンチは更に2塁走者中村に3塁ベースコーチをしていた3年生の兵頭君を代走に送り、打席には8回からマウンドに上がったエースナンバーを付けた3年生の渡邉大樹君に3年生の染野君を代打に送る。 4番手として登板した背番号1番の渡邉大樹君は2イニングを無失点に抑えた。 
染野君は初球を引っ張るもサード高田君の正面。ベースを踏んでセカンド津田君に送球しファーストの木暮君に送られる。トリプルプレー、というよりもゲームセットと思ったけど間一髪染野君の脚が早かく2死にはなったけどランナーが一人残った。
大量リードされ、先頭打者が出塁したのでじっくりと投球を見るという手もあったのだけど、代打で出た3年生の関口、染野の両選手の初球打ちはここでは攻められないなぁ~と思った。 
そこが高校野球なのかもしれない。

打順が1番に戻り前の打席でライト前ヒットを打っている2年生の渡部君が打席に入り、ここも1,2塁間を抜き小島君からこの試合2本目のヒットを奪った。 浦和学院の小島君との対戦は来年も続く。より強くリベンジを誓うのは2安打を喫した小島君か、決勝戦で勝てなかった渡部君だろうか….
2死ながらランナーを二人塁上に置きこの試合最初のヒットを初回に放った3年生の高梨君が打席に入る。最後の打者になりたくないだろう、次の3年生の小寺君に回したいだろう、それともまだ出番がないベンチにいる3年生に act bat のチャンスを創りたいか…. しかし0-1 から打った打球はセカンド津田君の前に転がり万事休す。 浦和学院が春夏連覇に向けて1歩前進した。

決勝戦がこんなに大差がつくとは想像できなかったなぁ~。
やはり準決勝戦が一番の山場だったんだろうなあ~…….

7月下旬、取引先の方から携帯に連絡が入った。“土曜日、大宮に行かれますか?” その方は聖望学園野球部OB。現役時代は残念ながら甲子園の土を踏む事は出来なかったけど御嬢さんがマネージャーとして甲子園にチームと帯同し、ベンチ入りをされたらしい。 事実上の決勝戦になるかもしれないですね、ご一緒させてくださいと答えた。 でも選抜優勝を果たした浦和学院相手に自信は無かったらしい……

7月26日、この日も埼玉県は暑かった。 運動公園内に入り県営大宮球技場に近づくにつれて人通りが多くなる。そして球場の切符売り場の前は長蛇の列。 さすが準決勝戦ともなると違うなぁ、と思う。さらに真夏の球宴という大会プログラムも販売されていた。 




球場内に入ると観客席はほぼ満席。 ここでも準決勝戦と2回戦の違いを感じさせられる。 取引先のKさんに電話を入れると放送席の横の日陰のところで立ってみているとのことでそこに向かう。 球場全体が見渡せ、直射日光も避けられるのでなかなかいい場所だった。 
“スポーツ御宅”の私はさっそく両チームのこれまでの戦績をまとめたものを見せる。まぁ仕事だとここまで下調べなんかしないけど、好きなことは…

“やっぱり、寺田、田畑はよく打っていますね~。“前の市立川越戦で本塁打を放った二人を指して言った。 
そしてこの日の先発は準々決勝で完投した川畑君でなくて長谷川君だった。それをKさんに尋ねてみると
”小島は対浦学戦連敗中なんでよ。“と教えて貰った。 昨年の選手権埼玉県大会決勝戦、そして昨年埼玉県秋季大会準決勝でも両校は対決しいずれも浦和学院が勝利を収めている。 その時の聖望学園の先発投手は小島君。いつも全国大会一歩手前でたちはだかった浦和学院相手に今年こそとの思いは小島君をはじめ聖望の選手達は強かっただろう。
ベンチ入りメンバーの中でもサードの中村郁人君以外はみな3年生との事だった。
対する浦和学院はベンチ入りメンバー20人のうち1,2年生が3人ずつ入っている。
投手の小島君もその一人だ。

4回戦の途中まで出場していた1塁手の案随君に就いてKさんに尋ねた。草加西戦で怪我をしたらしい。以降は背番号17番の高橋君が1塁を守っている。 今のメンバーの特徴は地元“飯能市”の中学から4選手が入っている事らしい。他にも埼玉県下から9人。東京都から練馬、東村山の沿線組2人を含めて4人と強豪私学ながら“地元色”が強いメンバー構成だった。ただ投手の川畑君は滋賀県出身だけど。 
浦和学院は12人が県外選手。まぁ8人の埼玉県下選手の中でも朝霞、上尾、富士宮、東浦和といった通学県内の選手もいるけど…..

ここまでの5試合、聖望学園はのべ15選手を起用しているけど浦和学院は12人。
“けっこう浦学はがちがちで来ていますね。”とはKさんの印象。 聖望学園は3年生ばかりだからかなぁ…..
浦和学院の中心選手達は当然の様に選抜優勝メンバー。 贄君が怪我でスタメンから外れているけど、彼の穴埋めを担うのは何と1年生の津田君だ。 半年前まで中学生だった選手が….と感心してしまった。

今年の選抜では浦和学院が優勝を果たしたけど、平成20年は聖望学園が準優勝を果たしている。その年の選手権は第90回記念大会だったので埼玉県からは2校出場枠が与えられたけど、出場を果たしたのは浦和学院と本庄第一。

平成11年聖望学園が選手権に初出場を果たした時の埼玉県大会の決勝戦の相手が既に4回選手権に出場経験があった浦和学院だった。 そしてこの時の聖望学園に現在阪神タイガースの中心選手鳥谷がいた。両校は本当に良いライバルなんだなぁと改めて感じた。

先攻は浦和学院。準決勝の埼玉平成戦では2安打を放った先頭打者の竹村君がアンダースローの長谷川君から 3-2 までボールをよく見て右翼前にヒットを放ち出塁する。続く服部君は蕨戦から2番に入っている。
早くもバントの構えを見せるが1-2からバントを失敗し 2-2 後の5球目、エンドランがかかっていたのが外角低めを空振りし、スタートを切っていた竹村君が2塁で刺され、無死1塁から2死走者なしとなってしまった。 
背番号12番の捕手の岩本君が取ってから良い送球をセカンドに送った。 元々1塁手だったらしい。聖母学園としてはここは3人で終わらせたかっただろうけど平成埼玉戦では4打席無安打だった主将の3番山根君が 0-2 からライト前に打ち返してまたもランナーを出した。しかし4番高田君が3-2 から高めのストレートで空振り三振に討ち取られ初回先制は成らなかった。4番の高田君、蕨戦、埼玉平成戦とヒットが無いのが気になった。だけどさすが浦和学院打線は長谷川君に初回から20球投げさせた。

後攻めの聖望学園、マウンド上には浦和学院エースの小島君が。これまで連敗中の小島君相手に先制が奪えるか?準々決勝までのチーム打率は 0.348 これは浦和学院の 0.301 を上回ってはいるが。 

先頭の清水君が初球を打ってセカンドゴロに打ち取られ、2番笠原君が1-2 からレフト前に打ち返し出塁する。 これで笠原君は今大会6試合連続ヒットだ。 
“彼の構えを見ていると本当にぶっ飛ばしそうですね。”とKさんに話す。空振りが2回あったけど当たれば飛んでいきそうな空振りだった。 Kさんは“笠原はものすごいパワーヒッターで体格はすごくて筋肉隆々”と教えて貰った。
元々投手として入学したらしいけどバッティングを買われて野手に転向したとのこと。やはり、良い選手はみなエースで4番かぁ、と思った。そして笠原君も地元飯能出身の選手との事であった。

初回の小島君は笠原君にヒットを許したことに動揺したのか前日本塁打を打っている続く寺田君にはストライクが入らず 3-1からの4球目が高く外れ歩かせてしまう。 捕手の西川君がマウンドにより内野陣が集まる。そして浦和学院ベンチは早くも背番号9番、3年生の久保君を伝令に走らせる。

打席には4番中村君が入る。ここまで19打数7安打 .368 であるが前の市立川越戦はノーヒットだ。“送りますか?撃たせますかねぁ” Kさんは少し首をひねった。 初球、2球目とバントの構えから 1-1 となり3球目はバットを思い切り振り、打球は緩い投手ゴロになり結果的にランナーを送ったことになった。
2死ながら2,3塁となり打席には、 5番高橋君が入る。栄北戦、市立川越戦とまだヒットが無い。結局ショートゴロ守備妨害に倒れ絶好機を逸した。 2塁走者の寺田君とショート竹村君が交錯したけど、聖望学園にとってはちょっと不運な打球に見えた。

2回表、浦和学院は先頭の木暮君が 1-1 からライトにライナーのヒットを放つ。 6番斉藤君がボックスに入り、一旦長谷川君がセットポジションにはいろうとするとベンチからタイムが掛かった。 “替えるのかな? 替えますね。” K さんが呟く。エースの川畑君が早くも登板となった。“長谷川君はベンチに下がりましたね。” “川畑で大丈夫かな?浦学に勝っていないから。” K さんが少し不安顔になる。 しかし川畑君は後続を3人で打ち取る。圧巻は斉藤君のバントを投手フライに打ち取ったストレートだった。

浦和学院が2回まで得点を上げられなかったのは今大会初めてだった。

2回裏、マウンド上の小島君はまだ調子が上がらないのか先頭打者の田畑君に 1-2 からの外角高目をライトに運ばれる。 
田畑君は市立川越戦では本塁打を放っている。“彼は色々な大学が狙っているんですよ。” Kさんがそういう逸材だと教えてくれた。 7番の吉田君は初球をきちんとバントを決めて田畑君を2塁に送る。だけどこのバント処理、ちょっと小島君とサードの高田君がお見合いをしそうで危なかった。小島君は後続の岩本君と川畑君を打ち取り得点を許さなかった。 しかしけっこうきつい打球を飛ばされていた。 

両校序盤は無得点ながらもランナーをスコアリングポジションに進めていたけど、打者が2巡目になると途端にヒットが出なくなった。
長谷川君が3,4回と死球でランナーを出すも内野陣が共に併殺打で後続を断てば、小島君はストレートが冴えて来て3回から6途中まで打者12人に対し無安打5三振の快投。 サウスポーが右打者に有効な“クロスファイヤー”が効果的に決まっていた。

そして外野席が解放された。



“これは次の1点が試合を左右しますかね。“ ”その1点が試合を動かすでしょうね。“と言う会話をKさんと交わすほどだった。 
6回裏聖望学園の攻撃は2死から4番中村君、5番高橋君が連打を放つ。そして中村君が3塁に進む。 高橋君は落ちる球を見逃してカーブをうまくレフト前に運んだ。その前にベンチから何やら指示が出たけどそのことだったのかなぁ?3塁にランナーを進めるのは3度目。 そして田畑君がバッターボックスに入った。
“ここは見どころですね。”   だけど軍配は小島君に。初球、2球目とストレートでストライクを取り、3球目外角の変化球に田畑君はバットが付いて行けず空振り三振に切って取った。

7回表、今度は浦和学院が好機を掴む。川畑君が先頭の高田君を歩かせると続く木暮君が初球送りバントを決め高田君が2塁に進む。 2回以来の2塁走者となったが川畑君が踏ん張る。 後続の斉藤君はストレートで、西川君は変化球でそれぞれ三振を奪い得点を許さなかった。 川畑君は斉藤君を迎える前にスパイクの紐を結びなおすなどして“主導権”を握り続けたのは見事だった。 

8回表、またも聖望学園がチャンスを掴む。 先頭の左打者吉田君が初球、内角高めのストレートを叩くと打球はぐんぐん伸びでライト斉藤君の頭を越えてワンバウンドでフェンスに。 吉田君の見事なスタンディングダブルであった。 そして8番岩本君が初球、送りバントを決めて1死3塁とチャンスを広げ打席に投手川畑君を迎えた。 最初の打席では打ち取られたがセカンドライナーの打球は鋭かった。 
“スクイズありますかねぇ?” K さんは“小島君から点を取るのは難しいから….”と言われた。

小島君はサウスポー。3塁走者の動きは見えない。 浦学バッテリーはバントの構えから入る川畑君に初球は内角にボール球。2球目はアウトローにストレートでストライク。 よくこの場面、アウトローでストライクを取れたなと思った。3球目は釣り玉の様な高いストレートだけど川畑君は振らない。4球目のストレートを川畑君は強振して1塁後方にファール。これで2ストライクになりスクイズはやりにくくなった。そして5球目、バントの構えから強振すると鋭い打球が快音を残して飛ぶが前進守備のセカンド津田君の正面に。 観客席から溜息が漏れた。 



2死となったがまだランナーは3塁にいる。そして打順が1番の清水君に戻る。 清水君はこの日そして市立川越戦でもヒットが出ていない。
小島君の初球、ストレートはファール、2球目もストレートで空振り、たちまち追い込まれる。サードランナーの吉田君がスパイクの紐を結びなおして間を開ける。 3球目アウトコースのスライダーは見送り、4球目インコースの変化球も見送った。 浦学バッテリーとしては振って欲しかっただろう。 そして5球目。インコースのストレートを強振すると打球は詰まってセカンドの前に落ちる。 津田君がうまくさばいて何とかピンチを凌いだ。 清水君必死のヘッドスライディングだったんだけど…..

8回表、今度は打者小島君がレフト前に弾き返し2回以来のヒットで出塁し、続く津田君の送りバントで2塁に進むが後続を川畑君に討ち取られれば、8回裏は小島君が2番から始まる聖望打線を三者凡退に打ち取り9回表を迎えた。

3番の山根君から始まる好打順。広島出身の山根君の母親がスタンドで応援している事を後で知った。その山根君は 0-1 から川畑君の 101球目をレフト前に打ち返し出塁をすると4番高田君をバッターボックスに迎える。 しかしここは手堅く送りバント。高田君は1度は失敗するも 1-1 から送りバントを決め山根君を2塁に送る。続く木暮君は最初はライト前ヒットを放っているが投手が川畑君に替わってからは、死球、送りバントだ。 2-1 から引っ張った打球は3塁線沿いに飛ぶがサード中村君の正面に。ランナーは進めずアウトカウントが1つ増えた。 2死2塁になり聖望ベンチは背番号2番、中島君を伝令に走らせる。 マウンド上に輪が出来る。 この回を凌げば9回裏サヨナラがあるかもしれない、後攻めが有利になってくる。

次打者の斉藤君はこの試合まだヒットが無い。初球は外に逃げる変化球をバットに当ててファールにした。そして2球目の構えに入るが2塁に疑投をして間を取る。浦和学院の応援団のボルテージが上がる。そして小島君が投げ込んだインコースの低めを斉藤君がしばき上げる様にバットを振ると打球は右中間に深々と飛ぶ。 
山根君が生還し待望の“先制点”が最終回に入った。

私が好きだった往年のジャイアンツとロッテで活躍した山本功司のバッティングを見ているみたいだった。

殊勲の斉藤君が3塁塁上でガッツポーズを取る。 浦和学院応援席は狂喜乱舞している。 隣のKさんが天を仰いだ。






“まだわかりませんよ。3塁ランナーをホームインさせないようにしないと。1点ではわかりませんよ。”と声を掛けた。
川畑君は次の西川君をショートゴロに打ち取り追加点を許さなかったけど、本当の痛恨の1球と感じただろうなぁ。

走って右翼の守備に就いた殊勲の斉藤君に浦和学院応援団から“リョースケ~!リョースケ~!”と歓声が飛ぶ。“プロ野球みたいですねと”Kさんに言うと苦笑いを。 “小島はまた浦学に負けるんですか…” いやいや、まだわかりませんよ….といったけど。

9回裏の聖望学園は前の打席でヒットを打った先頭の高橋君がセカンドフライに打ち取られ、続く田畑君が死球で出塁する。 そして前の打席で2塁打を放った吉田君がボックスに入る。吉田君はバントの構えからヒッティングに切り替えるが小島君はストレートで 1-2 と追い込む。それでも吉田君はバントの構えを崩さない。 
しかし 2-2 から小島君の投球を外野に飛ばすが服部君が左に走って打球を掴む。
2死となるがまだランナーは2塁に残っている。この日ノーヒットの岩本君に巡るがそのままボックスに。代打はいないのかなぁ…そしてマウンド上には内野陣が集まった。伝令も走ったのかな....

初球、2球目とアウトコースにストレートでストライクを取る。3球目の変化球はバットに当てる。そして最後は高めのストレートで空振りを誘い激闘に終止符が打たれた。 

“残念でしたね。” “いえいえ。お付き合いいただいてありがとうございました。” こう言い残してKさんは立ち去った。おそらくOB会の人達とこれから….. “月曜日に注文書を入れますから。” こういったときは仕事の顔に少し戻ったみたいだった。

グラウンドでは森監督のインタビューが始まっていた。 川畑君の投球内容をしっかりと称えていた。あぁ紳士なんだなぁと感じた。



暑さで第二試合を観戦する元気は無く、すぐに帰途に就いた。家に帰り、決勝戦の相手は川越東になったことを知った。

川越東かぁ…よく打つから今度は打線が奮起しないとなぁ, と思った。 そして試合内容はその通りになった。

決勝戦はテレビで見た。 表彰式を見ながら、甲子園だったら準優勝おめでとうだけど、県大会だったら優勝と準優勝は天と地ほどの差があるんだなぁ…..と思った。

だけどこれだけは言える。 これからの人生がもっと大事だ。 まだまだいろいろな事がある。 あの年の夏が良かったなぁ~と永遠に振り返るような人生にするなよ… と。