Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

ノルディック勢 メダルに届かず… 健闘なのか、苦戦なのか…

2010-02-28 | 冬季五輪
現地時間の2月23日、日本時間の24日早朝。ジャンプ競技と云うよりもノルディック種目で最もメダルに近いと思っていた Team Large Hill ( HS140 ) で日本チームは5位に終わりこれで3大会連続メダル無しの結果に終わろうとしていた。
でも入賞は何度も、90年代に入り欧州の列強とはアジアからただ1カ国肩を並べるまでになった日本であるが、その後欧州勢に勝たせる為のルール改正にもひるまず世界選手権では上位に入る事も少なくない。それでも世界に存在意義を示すのにはやはり五輪でのメダルを見せつけたかったなぁ…でもそうなるとまたルールを変えられるかもしれないなぁ……

LH では葛西が1人気を吐き8位に入賞した。しかし私を含め多くのノルディックファンはこの Team Large Hill にメダルの期待をかなり掛けていた事だろう。世界選手権では 2007年札幌、2009年 Liberec 共に3位。Vancouver ではオーストラリアが断然抜けていたが鳥人 Simon Ammann のスイスは 2009年世界選手権 Large Hill 金メダルのKüttel こそいるが4人まではメンバーが揃わない。 Adam Malysz のPoland も Stefan Hulla 以降の選手は力がおちる。そしてドイツ勢、フィンランド勢はかつての勢いはない。特にフィンランドは復帰して Normal Hill で4位に入った Ahonnen が怪我で Team LH には出場出来ない。 Large Hill に強いはずの Norway は Tom Hillde の11位が最高。上手くすれば銀メダルの可能性もあると期待は高まるばかりだった。しかし試合後よく考えればそれは勝手な私の胸算用に過ぎなかった。 
今回の L.H. の結果を見ても葛西こそ8位に入ったが伊東大貴は 20位。栃本、竹内は2回目に進めなかった。一方ライバル国を見るとノルウェーは最も成績の良かった Hillde は11位で葛西の後塵を拝したが、Jacobsen が12位、さらに Top 30には Evensen ( 15位 ) Bardel ( 22位) と4人が入り、ドイツは6位に Neumayer , LH 4位のUhrman が25位、そしてかつての英雄 Martin Schmitt が30位に入った。 Uhrman, Schmitt がもし本来の力を出してしまえば日本は太刀打ち出来ない。 

列強ばかりではない、チェコ、スロベニアはTop 30 にそれぞれ3人ずつ入っている。ポーランドも LH で30以内に入った選手は銀メダルの Malysz と19位の Hulla の二人だけだが、この二人の合計点が 486.6 ( Malysz 269.4, Hulla 217.2 ) は日本の 466.1 ( 葛西 239.2, 伊東 216.9 ) を上回る。 メダルどころか1回目が終わって上位8位内に入る事も何も保証されている訳では無かった。 メダル獲得条件は葛西にスーパージャンプを2本揃えて貰う事と他の3選手に自己ベストに近いジャンプをしてもらう事だった。 

前半終わって5位。しかしメダルは射程距離内。

日本のトップバッターは伊東大貴。 K点を越える 129.5m ( 122.1pt ) のジャンプはここにきて最高のジャンプだった。Austria のLoizel の138m ( 140.4pt ) は別格としてメダル争いをするドイツの Neumayer が 138m ( 135.6pt ) を飛んで 2位に入り、日本、フィンランド、ノルウェーとの差をつけるスタート。Norway は Bardel が 128m(118.4pt ) で 伊東を下回ったが フィンランドの Hautamaki が実力を見せ133.5m( 129.8pt )Poland の Hulla が129mながら飛型点が良く 122.2pt で4位に入り、日本は5位スタートだった。
日本の2人目は竹内。 NH, LH 共に2回目に進めなかった。竹内は 125.5m ( 113.4pt ) 飛んだが Hillde (118.5pt ) が飛んだ Norway とKoudelka ( 124.3pt ) が飛んだチェコに逆転された。ただ Poland の Rutkowski が 108.4pt で落ちて来て日本は順位を一つ落として6位に。3位 Finland とは 14.6pt 差となった。
3人目の栃本は 128m ( 118.4pt ) を飛んだが順位を上げる事は出来なかった。しかし Finland の Keituri が 123m ( 108.4pt ) に留まり4位に後退。J.R. Evensen が131.5m ( 127pt ) を飛んで3位に浮上。そして日本と3位 Norwayの差は9.7pt となった。何とかメダル圏内に近づいてきたが Slovenia の Peter Prevc が3人目の中では Morgenstern の 135.5m ( 135.9pt ) に次ぐ2番目の132m ( 127.1pt ) の大ジャンプで得点を稼ぎ Poland を抜いて7位に上がり6位の日本とは 2.9pt 差に迫って来た。さすがは N.H. 7位 の選手。
そして4人目、葛西が 133.5m ( 130.8pt ) を飛んで、チェコのJacob Janda ( 128m, 119.4pt ) を大きく上回り5位に浮上。そしてSlovenia のRobert Kranjec ( 129m 121.2pt ) も上回り後続を引き離す。ただ Poland のMalysz が 136.5m ( 137.2pt ) を飛んで Slovakia に替って日本と 0.7pt 差の7位に上がって来た。さすが Malysz と云うジャンプだった。 
そして上位陣は Finland Harri Olli が 134m ( 131.7pt ) , Norway のAnders Jacobsen 138m ( 140.4pt ) ドイツのUhrmann 135m ( 133.5pt ) そして Austraia の Schlirenzauer が 140.5m ( 144.9pt ) 。次々と葛西の記録を上回り徐々に引き離されてくる。 Schlirenzauer のジャンプはこの日初の Hill Size 越え。そして N.H. でスーツ違反で2回目に進めなかった Olli が意地を見せた。葛西としては Malysz と同じくらい飛びたかったかもしれない。そうすればこの時点で4位には上がれたかも……

1人目を全て終えての結果は下記の通りだった。

1. Austria      547.3pt
2. Germany    509.3pt
3. Norway      504.3pt
4. Finland       490.2pt
5. Japan        484.7pt
6. Poland       484.0pt
7. Czech        477.4pt
8. Slovenia     472.2pt

3位の Norway とは 20pt 開いた。2人目でどれだけ挽回できるか…しかし飛べば飛ぶほど差が開く様にも感じた。

差は縮まらず…メダルは遠かったのか…

2回目伊東は 133.5m ( 130.8pt ) を飛んだ。NH の2回目で失敗して以降少し生彩を欠いていたが Team L.Hでは力を発揮してくれた。彼の個人の記録 252.9pt ( 129.5m 133.5m ) は32人中16番目の成績だった。 Finland の Hautamaeki が 130m ( 123.5pt ) で日本が Finland を抜いて4位に。そして Norway の Bardel が127m ( 117.1pt ) に留まり総合で3位ながら 621.1pt で4位の日本は 5.6pt 差でメダル圏内に再び大きく近づいてきた。 

こうなると葛西の前の竹内、栃本のジャンプが非常に大切になって来た。 
竹内は1回目の 125.5m を上回る 129.5m ( 122.1 pt ) を飛ぶ。だが前を飛んだチェコの Kodelka が 135.5m ( 134.4pt ) の記録を出し、日本はチェコに抜かれた。そして更に Finland Happonen ( 139m 142.2pt ) Norway Hillde ( 139m 141.7 pt ) Germany Anders Wank ( 139m 141.7pt ) そして Austria Anders Kofler ( 142m 138.6pt ) とHill Size 付近、そして Hill Size 越えのジャンプが続く。Happonen の時から非常に良い向かい風が吹き出したと言う幸運に恵まれた。出来れば竹内の時からこういう風になって欲しかったが… 竹内の2回目の記録は2回目2人目8人の選手の中では最下位だった。 結果的のここでの結果が試合を大きく左右した。 日本は6位に後退した。そして3位 Norway とは25.2pt 離された。

3人目栃本。葛西に繋げる為に 1m でも遠くに飛んでくれ…と願う。栃本は 132m ( 126.6 pt ) 飛んでまず チェコを抜いた。続く実力者 Slovenia の Prevc は 127.5m ( 118pt ) に留まり日本を抜けない。Poland の Stoch は 2回目3人目の選手の中では Morgenstern に続く134.5m ( 132.6pt ) を出し日本と10.6 pt 差の7位に。最後の Malysz が大ジャンプをすれば5位の日本、6位チェコは抜かれてしまう。 Finland の Keituri は栃本と同じ 132m ( 126.6pt ) 飛んで日本を近づけさせない。 Norway の Evensen は 129.5m ( 122.1pt ) の記録を出しここでも差は少ししか詰められない。
2位のドイツは Schmitt がK点にも届かない 122m ( 106.6pt ) に沈んだ。1999,2001年世界選手権 L.H. 2連覇を達成したベテラン Schmitt はショックで中々立ち上がれない。そして次に飛ぶ Uhrmann の表情がアップになる。Schmitt は2009年の世界選手権の Team L.H.でも失敗していてそれが原因でドイツは10位に沈んだ。 
こんなことを言うのは不謹慎だが、Norway のEvensen がこういうジャンプだったら…日本のメダルの可能性も出て来たのだけど…..
次に飛んだ Morgenstern が 135m ( 135pt ) を飛び Austria は2位ドイツと 70.4 pt 差の 962.7pt となりこの種目ほぼ金メダルを決めた。

  

最後の選手の飛行を前に上位の得点は下記の通りだった。

1.Austria      962.7pt
2.Germany   892.3pt
3.Norway      884.9pt
4.Finland      882.5pt
5.Japan       864.2pt
6.Czech       860.1pt
7.Poland      853.6pt
8.Slovenia    816.6pt

日本は既にメダル争いから脱落していたかもしれない。
葛西が大飛行を見せて、Uhrmann( ドイツ ) Jacobsen ( ノルウェー ) のどちらかの選手に失敗が無い限りメダルの可能性は無いという状況になっていた。順番が変わる最後の4人目。まず Slovenia の Kranjec が 139m ( 142.2pt ) を飛べば続く Malysz も 139.5m ( 143.1pt ) を飛ぶ。チェコの Janda は 129m ( 121.7pt ) に留まり Poland がチェコを抜いた。

そして葛西がスタートを迎える。 これまで五輪では悔しい思い出しかないと語っていた。6回目の五輪の最後となるアプローチに入ると素晴らしい大飛行を見せ Hill Size Jumpの 140m ( 145.4 pt ) を飛んでガッツポーズを見せる。ここでも Kamikaze Kasai の存在を見せつけてくれた。さすがベテランと云うパフォーマンスだった…..

これで日本の総合得点は 1007.7 pt となった。続く Olli が125.2pt 約 132m 程度飛んでしまえば Finland に抜かれてしまう。そして Olli は134.5m ( 132.1pt ) 出し、6.9pt 日本を上回ってしまった。続く Jacobsen には何とか 130m 前で落ちてくれ… と願うも140.5m ( 145.4pt ) のHill Size Jump でこの時点でトップに立つ。そしてメダルを決めた。 日本は3位に後退するが、最後に飛ぶ Austria が控えているのでこの時点でメダルの可能性は潰えていた。 
ドイツの Uhrman は122.3pt , 約 130m 飛んで Finland を上回ればメダルが決まる。そして Uhrmann も Hill Size Jump の 140m ( 143.5pt ) でトップに立つ。 Uhrmann を囲んで勝ったかの様に喜ぶドイツ選手団。 特に Schmitt は本当に安心しただろう。 
そして最後の Schlirenzauer は Hill Size を大きく超える 146.5m ( 145.2pt ) 貫録のジャンプで締めくくった。

    

1.Austria     1107.9pt
2.Germany  1035.8pt
3.Norway    1030.3pt
4.Finland     1014.6pt
5.Japan      1007.7pt ( 伊東 252.9, 竹内 235.5, 栃本 245.0 葛西 274.3 )
6.Poland       996.7pt
7.Czech        981.8pt
8.Slovenia     958.8pt

World Cup Ranking の2位から5位を占める Austria の圧勝だった。2位ドイツとは 72.1pt も差がついた。 
 
  


2位のドイツは Schmitt が失敗をしたが Uhrmann, Neumayer が実力を発揮した。 そして個人種目では良いところが無かった Norway が3位に。同国ではWorld Cup Ranking トップである 9位の Jacobsen , そして LH 11位の Hilde がよくチームを引っ張った。 
Finland は 15.7 pt 差でメダルを逃した。Ahonenn が Team LH に出ていればメダルに届いたかもしれない。

そして日本はかえすがえす、竹内の2回目の風向きが悔まれる。 ここで上位4カ国と20点差がついてしまった。葛西、伊東に続く選手が上位国と比較すると少し層が薄かったか…しかしその思いを4年後に。長野五輪では葛西が補欠に回されるほど選手層が厚かったのだ…結果論だけど昨年世界選手権 Team L.H. 金メダルの Austria そして銀メダルのノルウェーはこの五輪も同じメンバーでそれぞれメダルを勝ち取った。 日本は岡部が外れた。今シーズンは大不調だったらしいが、昨年の世界選手権の2回目はLoitzl に次ぐ2番目の 135m を飛んで日本にメダルをもたらした。一発を持った選手に掛けても良くはなかったか…
4年後に向けてと云うよりの明日からに向けてまずコーチから替えないとなぁ…. フィンランド人のユリアンティラコーチは問題だらけだったらしい。詳しくは知らないけど、今年に入り来日したのは札幌でのWorld Cup の頃だけだったらしい。 先週の近くにいないコーチなんて意味あんのか?かつては英雄マッティ=ニッカネンを育て上げたと言う肩書があるらしいが、日本人はどうも名前と肩書に弱い。本当にニッカネンを育てたのかも怪しい。ただニッカネンがずば抜けた才能があって、代表クラスになった時にたまたまコーチだったのではないか? もし“ニッカネンの肩書”に頼るのなら、ニッカネンを無名から有名にしたコーチを連れてこないとなぁ…
無差別に大会社や大商社から役員、部長クラスとして人を迎える企業みたいだ。 大概はそういうのは役に立たない。 

  

だが最後の葛西は圧巻だった。彼の記録、274.3pt は全体の6位に相当する記録だった。
  1. Schlirenzauer : AUT   290.1pt 140.5m / 146.5m
  2. Jacobsen       : NOR  285.8pt 138.0m / 140.5m
  3. Loizel            : AUT   282.2pt 138.0m / 138.5m
  4. Malysz           : POL  280.3pt 136.5m / 139.5m
  5. Uhrmann        : FRG  277.0pt 140.0m / 135.0m
  6  葛西             : JPN  274.3pt 133.5m / 140.0m
  7  Morgenstern   : AUT  270.9pt 135.5m / 135.0m
  8. Neumayer       : FRG  270.3pt 137.0m / 136.5m
  9. Kofler            : AUT   264.7pt 138.0m / 142.0m
10.  Olli                : FIN     263.8pt 134m  / 134.5m

この後行われた Nordic 複合の団体戦も日本は6位に終わった。
この種目も昨年の世界選手権では金メダルだったんだけどなぁ.... だけどこの世界選手権の成績も素晴らしい成績。もっとマスコミは報道しろよ。
Team L.H. が終わった翌日偶然 Finland のお客と話す機会があった。そして話題は五輪の事にも及んだ。そして私は訊ねられた。 

         Kasai, how old ?

一般のフィンランド国民の間でもKamikaze Kasai は知られている事が解った。その事実が何だか一矢報いてくれた様でものすごく嬉しかった…… 

 

大飛行及ばず。残すは団体戦。

2010-02-21 | 冬季五輪

1回目飛距離 121.5m 得点105.7 で21位に沈んだエース葛西紀明は2回目11番目に登場した。はっきり言ってこの時点でメダルはほぼ不可能。しかし世界に“カミカゼカサイ”健在の大飛行を見せて欲しかった。 そして高い飛び出しから距離をぐんぐん伸ばす。“落ちるな!落ちるな!来い!来い!よし来たぁぁぁぁぁぁぁ!!”と叫んでしまったその大飛行は 135m 。この時点で Slovenia の Robert Kranijec の 233.7 点を上回る 239.2 点でトップに立った。1回目135m 以上飛んだのは首位の Simon Ammann と2位のPoland の Adam Malysz の二人だけだった。1回目3位の Finland の Matti Hautakaeki が 131.5 点。2回目102.2点を出せば葛西の記録に追いついてしまう。 117 ~ 118m も飛べば抜かれてしまうと言う事だ。ゲートが下がって距離が出にくいとは言え容易に出せなくない飛距離。あぁ葛西のメダルはやっぱり無いんだなぁ、1回目が勿体なかったなぁ… 前日の予選のジャンプを取っておいてほしかったなぁ…. と思ってしまった。

 

札幌五輪で表彰台独占の快挙を子供の時テレビで見て以来、私は Ski Jumping が大好きだ。勿論飛んだことも無ければスキーをしたことも無い。でも38年間、ほぼ毎冬日本人選手を始め世界トップクラスがどんな戦績を残すかを楽しみにしていた。
ワールドカップ等の世界大会は出来る限りテレビ観戦をしている。ただ最近はテレビ中継が激減したけど….. Olympic Year の今シーズン、 五輪直前時点のWorld Cup Ranking を見ると Top 10 と日本人選手は下記の通り。

 1. Amman Simon              SUI   1249
 2. Gregor Schlierenzauer   AUT  1192
 3. Thomas Morgenstern     AUT   749
 4. Andreas Kofler             AUT   721
 5. Wolfgang Loizel             AUT   641
 6. Adam Malysz                POL   542
 7. Janne Ahonen              FIN    490
 8. Martin Koch                 AUT   477
 9. Anders Jacobsen          NOR   470
10. Bjoern Einar Romoeren NOR   449

14. 伊東大貴                            324
18. 葛西紀明                            264
29. 栃本翔平                            124
36. 湯本文久                              77

ワールドカップポイントは文字通りワールドカップでの順位の総合ポイントであるが、主に開催されるのが欧州以外の選手はその遠征費用に金がかかる。
最近の不景気の煽りを受け、企業のスポーツ部閉鎖の波を受けて日本人選手の欧州遠征は長野五輪を境に厳しくなっており、出場できる大会も限られそれも日本勢が欧州の列強に水を開けられている原因の一つだ。
今シーズンの世界情勢を見てみると Austria 勢が上位に並ぶがやはり断トツはスイスの英雄 Amman Simon 。 五輪直前の Klingenthal 大会でも Adam Malysz に9点差をつけて優勝するなど今シーズンもこれまで World Cup 5勝を挙げている。それに対抗するのが World Cup Ranking 2位の Austria の Schlierenzauer 。今シーズンはランキングでは Amman の後塵を拝しているが Zakopane 大会で2連勝。 Innsbruck, Garmish-Partenkirchen , Engelberg 大会で Amman を抑えて優勝している。優勝回数は今シーズンは Amman を上回る8回( Oberstdorf 大会では Team HS123 で優勝 )。従ってこの五輪では Simon Amman vs Gregor Schlierenzauer それに前回トリノ五輪 Large Hill 銀メダルで今年のジャンプ週間 ( Viershanzen tournee, Four Hills Tournament ) で総合優勝した Andreas Kofler を初めとしたのオーストリア勢と Poland の英雄 Adam Malysz がどう絡むか、そこに復帰した Jaane Ahonenn らフィンランド勢そして Large Hill に強い Norway 勢がどこまで上位争いに入ってこられるか?そして最近低迷しているドイツ、日本勢は1発が出るか? が私見だった。
願わくば日本勢に一発が出て、上位の候補勢がこけてくれる事を願った。ただドイツ勢はここ数大会の五輪で金メダルを勝ち取ったのは 1994年 Lillehammel 大会の Weissflog が LH で勝った以来なく、個人種目でのメダルも 2002年 Salt Lake City 大会の NH で Hannawald が銅メダルを勝ち取っただけだ。まぁ日本も長野五輪以来メダルはないんだけれど。

貫録の Amman 金 Malysz 銀 オーストリア勢に一角 Schlierenzauer 銅 Normal Hill

2月14日に行われた Ski Jumping の Normal Hill HS105 では日本勢は伊東大貴が14位、葛西紀明が15位に終わった。 1回目を終えて Amman が 105m を飛んで1位。2位にはドイツの Michael Uhrmann 今シーズンはWorld Cup で3位が3回ある。 前回の Torino 五輪では NH で4位だった選手だ。3位には Adam Malysz 。札幌五輪の 90m 級で世界が驚いた Wojciech Fortuna 以来の金メダルが期待される Poland の英雄だが、Salt Lake から3度目の挑戦でその悲願達成はなるか?  Austria 勢はどうしたのだろう? Morgenstern が4位、Schlizerenzauer が7位、Loitzl が12位、Kofler が17位だった。 そして Finland の英雄 Ahonenn が5位に付けた。Norway 勢は Tom Hilde が13位、Anders Jacobsen が15位。 
北欧勢はどちらかと言えば LH や200m クラスの Flying を得意としている。だから日本勢は Normal Hill にチャンスありと見ていたんだけど、1回目を終わって3位の Malysz との差が伊東で 7.5 点、葛西が 12.5点空けられた。これでメダルの夢はちょっと...... Hill Size の 106m を飛んでも....
2回目は Amman がそのまま逃げ切るのか、 Uhrmann が 16年ぶりにドイツに金メダルをもたらすのか? 今度こそ Malysz が Amman に勝つのか?そして Austria 勢が巻き返すのか?はたまた Ahonen が個人種目で初めての五輪メダルを勝ち取るのか.... が楽しみだった。
1回目19位の葛西の2回目, 意地のジャンプを見せて欲しかったが 100.5m 1回目よりかは飛距離も飛型も決め、この時点ではトップの 244.5 点。ただこれではメダルどころか入賞も厳しい数字。Large Hill に期待するか....と気を取り直す。 1回目13位の Slovenia のPeter Prevc が2回目 104.5 mを飛ぶ。これは2回目だけで結局4位のポイントとなり合計 259.0 でトップに。そして最終順序は7位だった。1回目10位の伊東は2回目距離 100m 1回目の飛距離に及ばずこの時点で6位。葛西、伊東ともに Prevec くらい飛んでくれたらなぁ.... と思った。 
そして1回目7位の Schlierenzauer が2回目 106.5m の大ジャンプ。この時点で Prevec の得点を大きく上回る 268.0 でトップに。さすが Austria と思わせるジャンプだった。こうなると残りの選手にプレッシャーがかかる。 だけど1回目のジャンプは勿体なかったなぁ.. Slovenia の Kranjec , そして Ahonen らは Schlirenzauer を追い抜けない。そして1回目4位、前回 Torino 五輪 LH で金メダルの Morgenstern は 101.5m と失速しこの時点で258.5点で5位、最終順位は8位におわった。 
1回目3位の Malysz が105mを飛び Schlirenzauer を抑えて首位に。ただ続く Uhrmann そして最後の Ammann の事を考えるともう数メートル欲しくは無かったか? それでも Malysz はガッツポーズを。この時点で通算4つ目の五輪メダルが決まったからかもしれない。今シーズンはまだ World Cup で勝っていなかったからなぁ....。



そして1回目2位の Uhrmann は力が入りすぎたか 102.0 m と伸び悩みこの時点で4位。ドイツ勢8年振りの個人メダルの可能性が無くなった。あと5.5ポイント足りなかった。こうなるとこの時点で3位の Ahonen の心境はどうだったのだろう。だが最後に残るのが Ammann だったのでもう諦めていただろう。 Simon Ammann は2回目も 108m の最長不倒を飛び2位 Malysz に7点差をつけて貫録の金メダルを勝ち取った。 これで五輪3つ目の金メダル。前回 Torino 大会では不調だったが、見事な圧勝だった。 
Schlierenzauer は1回目、Morgenstern は2回目の失敗が響いた。 大喜びをするスイス人の観客達を見ていると、Large Hill では何とか日本勢に。そして葛西に。 Team Jump につなげるパファーマンスをと祈った。

  


意地を見せてくれた葛西。 世界は遠い。でも次の団体戦こそ.......

現地時間の2月20日。Large Hill HS140 の予選で日本の葛西、伊東が上位2位を独占し決勝進出を決めた事を伝えるニュースを聞いた。 特に葛西はNornal Hill の2回目にタイミングを掴みつつあるとのコメントを聞いていたので翌日の決勝は大いに期待できると思った。しかし予選免除の World Cup ランキング上位10人も飛んでいたらしい。特に Ammann はゲートを下げても 140m は飛んだとの事。しかし葛西、伊東も、予選のジャンプを2本そろえればチャンスがあると思った。
しかし、伊東は 117m で30位、2回目に進むのがやっと。期待の葛西はK点を越えたが 121.5m で 21位。 3位の Finland の Matti Hautamaeki とは26点も空き、この時点でメダルの可能性は非常に薄いものと考えざるを得なかった。 あぁあの大飛行は......


トップはまたも Simon Ammann 144m, 144.7 点の大ジャンプで 2位の 138.1 点のMalysz に6.6点の差をつけた。そして3位の Hauttamaeki は134m で131.7 点。以降 Austria 勢が4人続いた。 Hautamaki は Torino 五輪 Normal Hill の銀メダリスト。 しかし今シーズンの World Cup では Zakopane 大会の11位が最高で Ranking も32位。 久々のビッグジャンプだた。それにしても Ammann と Malysz は別格だ。そのなかでも Ammann は全く世界が違うパフォーマンス。どうやったらあんなに飛べるのだろう......


2回目、まず伊東が登場する。今度はK 点を大きく超える 128.5m 。2回目に限っては11番目の記録。もし同じジャンプを1回目に出来ていたら入賞出来ただろう。だがそれは胸算用だろう。
そして葛西を迎える。 昨日の再現を,,,と願うと 135m の大ジャンプ。総合得点は239.2 点、この時点トップのSlovenia の Kranjec を上回りトップに。だが残りはあと20人もいるんだなぁ...... Poland の Stefan Hula, ドイツの Martin Schmitt ( おいおいこんな順位なのか?? ) は葛西を上回れない。1回目 18位のドイツの Uhrmann も上回れない。そしてトップ10に入って来た。
1回目9位タイのチェコのAntonin Hajek が129m を飛んで総合 240.6 点でついに葛西を上回ってしまった。 続く Noraway のJacobsen は 122.5m で葛西を下回ったが次のWorld Cup Ranking 20位のドイツの Neumayer が130m を飛んで総合 245.5 点でトップに立つ。そして Austria の Morgenstern が129.5mを飛んで 246.7点。Neumayer を抜いて、葛西はメダル圏外に落ちてしまった。 
1回目5位の Schlierenzauer が 136m を飛んで262.2で首位に立つ。 ただAmmann が2回目に 117.5 点以上を出せば Schlierenzauer の記録を上回ってしまう。続くKofler は135mを飛んだが Schlierenzauer を上回れない。オーストリア勢の金メダルはこれで難しくなった。
そして 1回目3位の Hautamaeki が何と104m の大失敗ジャンプ。この時点で葛西の入賞が決まった。 
続いて1回目2位の Adam Malysz . Hill Size 近くは飛んで Ammann にプレッシャーを掛けたいところだけど 133.5m 。Schlierenzauer を上回り首位に立ったが総合得点 269.4 。Ammann が 130m を飛べばほぼ金メダル。そして Ammann は2回目もトップの 138.0 m を飛び 、総合得点 283.6 点は2位 Malysz に 14.2 点も差をつけての貫録の2種目制覇。 彼だけは全く別のパフォーマンスだった。3位には Austria の Schlierenzauer 、そして4位 Kofler, 5位 Morgenstern とオーストリア勢が続いた。 

     

上位3人は Normal Hill と同じメンバーが並んだ。 
葛西は8位。2回目と同じジャンプが1回目にも出来ておればメダルも可能だった。それは胸算用だけど、世界のトップクラスはそれが出来る。Neumayer 20位, Hajek 24位と云った World Cup Ranking で劣る選手に先を越されたのは悔しかったかもしれない。

   

葛西自身は次の団体戦に向けて勢いがつくかもしれないがこの種目も伊東と葛西以外の選手は2回目に進出出来なかった。 団体戦でメダルをとなるといよいよ岡部の登場か? と思いきや、メンバーから外れるとの事。ちょっと団体戦大丈夫かなぁ.....

団体戦は23日だ。  日本チームの奮起を祈る。

 

  


東アジア選手権 日本対中国 中国での報道は....

2010-02-20 | Football Asia
黄健翔 :日本のワールドカップ Semi Finalist は厳しい

著名な中国のサッカー解説者、黄健翔氏は日本戦のあとにまず岡田監督の目指す“ワールドカップベスト4”につていて上記の通りに言及するとこの 0-0 で終わったこの試合、楊昊のPK失敗を何度も悔んだそうだ。
“岡田監督は一般的な日本食の様な煮魚状態だろう。” 
中国チームに就いては試合前大地震(ビッグサプライズ)を演じる事が出来る、今はまだ試験期間だ“ファンもメディアもこの試合にはあまり期待していない。”と語った。 日本代表のスタイルの変化に就いて、黄健翔はそれが Barcelona に代表される、 modern football への移行であると評価している。 パスに就いては大きく分けて3種類に分けられる。 一つは安全の為(対峙する相手にボールを取られない為)、二つ目は繋ぐ為のもの、そして3つ目は決定的なスルーパス。 Barcelona やスペインで用いられるパスはフィジカルやパワーを用いる相手に対抗する為のパスは相手に取られない為や繋ぐ為ものが多い。戦術的規律を持っても個人の能力で対抗できない時は三つ目の決定的なスルーパスを用いる。卓翔、郜林に就いて言えば、“この二人は戦術を理解しておらずたびたびボールを失った。また他の選手達はスルーパスを狙いすぎていた。”と不満を露わにした。黄健翔はまた杜威の進化も評価、高洪波新監督によって自身新たな発見をしたと思うと高評価をした。曲波がトラップをしそこねて長友の腕に当たりPKが宣告された時に誰が蹴るのだろう?曲波?姜寧?杜威?それとも楊昊?まさか楊昊とは思わなかった。 

この日の中国のフォーメーションに就いては “孫祥を左サイドの2列目に置く 4-2-3-1 であったがこれは技術の比較的高くない彼にと手は少し難しい役目だった。孫祥はオーストリアの Austria Wien でプレーしたがここでは体格、フィジカルが重視され技術的が重視されるわけでなく中国代表では技術の要求されるこのポジションは難しいだろう。もし栄昊の様なテクニックのある選手の後ろに配置されたのなら孫祥の能力は発揮されただろう。そして卓翔とコンビを組めるだろう。

  
 
そして日本代表に就いては“トルシエ時代ほど中盤でボールがスムースに回っていなかった。”と論じた。 日本代表に就いては前半の45分は完璧であったと評価。そして後半はハイボールが殆ど中国DF陣にヘッドでクリアーされたと。 ”トルシエ時代の日本は簡単にボールを蹴らずにパスを繋いでビルドアップしいていた。だがこの試合はロングキックを多用しボールを失う事になっていた。それでもオールコートで当たってこられると個々の技術が高い日本が有利だった。“ そして試合前にはベネズエラ戦で引き分けた日本代表にファンもマスコミも不満をあらわにし、黄健翔は“今や日本チームはブラジル、アルゼンチン以外の南米代表国にも完勝する必要がある。”とコメントを残した。そしてこの日の日本の “新しい”右サイドのコンビネーションの出来は今一で中盤では何度か体格差のある中国MFに抑えられるシーンが目に着いた。そしてそのフィジカルコンタクトを嫌いボールを後ろに戻すシーンも目に付いた。 体格差も試合結果を左右したと示唆。
“ゴール前で173cmの玉田と189cm 杜威が並ぶとシーンは中学生と高校生の様。”と表現した。
この日の日本は安全の為のパスと繋ぎのパスが良くなかった。中国代表は日本に対して恐れることなく立ち向かう事が出来た。

    
 

そしてワールドカップベスト4を目指す岡田監督に “ならば范志毅と赫海東のを貸し出そう。彼らならまだプレーできるしフィジカルの強さ、スピード、それら日本選手に持っていないものを備えている。今、日本がワールドカップに向けて必要なものは今持っていない何かを見に着ける事だ。” と述べた。 
趙旭日がイエローカードを受けた事に就いては“今や日本選手のファールの受け方はブラジル人なみ。”と批評。
後半投入された平山に就いては“平山相太は190cm、郜林も190cmで体重は平山よりも10kg思いが動きは速い。”そして大久保のシュートは威力が無かったが栄昊にはシュート力を感じた。 と述べていた。

    
 
黄健翔氏は中国で著名なサッカー解説者らしいがサッカー経験は無い様だ。 彼の今回の日中戦の試合後の解説は平山と郜林の体格の比較以外は的を得ている気がする。 ( 公式発表では平山は 190cm 85kg 郜林は 186cm 80kg ) そして足元にボールが来た時は平山の方がはるかにテクニックが優れている事が証明されるだろう。 ただ日本FWはスピード系ばかり召集し、もうそれが限界にきている。ただ欧州選手に対抗できる高さの持つ選手はなかなかいないので上背のないFWばかりになるのか….しかしそれが限界だと言う事はワールドカップ予選のオーストラリア戦で証明されたのではないか? アジアでも中国の高さの前に得点が奪えない事実から、これから3ヶ月間でどんな方策を練るのろう?ただ今年に入ってベネズエラ戦しかこなしていない今の日本代表を額面通りには中国も受け止めていないだろう。

対日本戦12年間勝星なし。 楊昊のPK失敗と云うよりも楢崎のPKストップにより中国は勝星を逃しこの結果1998年3月8日のダイナスティカップで日本を 2-0で破って以来12年間で7戦3分4敗となった。

 8.Mar.  1998  Dynasty Cup  東京  日本 0-2 中国 黎兵2
16.Mar. 1998  親善試合    神戸   日本 0-0 中国
27.Mar.  2000 Asian Cup      レバノン 日本 3-2 中国 范志毅 : 自殺点 祁宏 楊晨 西澤、明神
 4.Dec.  2003  東アジア選手権  東京  日本 2-0 中国 久保 2
 7.AUG. 2004  Asian Cup      北京  中国 1-3 日本 李明、福西、中田浩、玉田
 3.AUG. 2005  東アジア選手権 大田  日本 2-2 中国 李金羽、張永海、茂庭、田中達也 20.FEB .2008  東アジア選手権 重慶  中国 0-1 日本

中国選手にのしかかるPKのプレッシャー 中国代表のPK失敗は今回に始まった事ではない。1998年ダイナスティカップで日本は中国に 0-2 で敗れたが韓国、香港を破り大会3連覇を飾った。しかしこの中国戦 0-2 とリードされ尚もPKを献上してしまったがこのPKを范志毅が失敗したがこのPKを決められていたら得失点差で中国が優勝するところであった。 
かつては Premiershipでもプレーした范志毅は上記の通りに2000年の Asian Cup では自殺点を献上する等日本戦の相性は悪い。他にも中国代表や五輪代表はPKのプレッシャーを打ち破れていない。
その他に近いところでは昨年11月24日 Asian Cup 予選のレバノン戦で 2-0 のリード後に得たPKを鄭智がミスしている。
1997年ワールドカップフランス大会予選のアウェーのサウジアラビア戦で范志毅はPKを失敗し勝ち試合を引分け、予選突破を逃す原因に。 
1992年に行われたバルセロナ五輪予選では赫海東がカタール戦で失敗しこれが遠因で五輪出場権を逃した。 
2004年11月17日、ワールドカップドイツ大会アジア地区3次予選でクウェートと激しく最終予選出場を争っていた中国は最終戦の香港戦で8点差の勝利が必要だった。そして 7-0 までこぎつけ、最後にPKを得たが鄭智 がこれを失敗し最終予選進出はならなかった。
2006年カタールでのアジア大会準々決勝イラン戦はPK戦にまでもつれ込んだが鄭智が失敗し準決勝進出はならなかった。 
2008年3月26日昆明で行われたワールドカップ南アフリカ大会予選、0-0 で試合は進み終了間際に PKを得た。しかし邵佳一 が蹴った弾道は GK Schwarzer がストップ。 これが原因でまたもワールドカップアジア地区最終予選にさえ進出出来なかった。 
2004年6月9日、天津で行われたアテネ五輪予選のマレーシア戦では 4-0 で勝利を収めたが鄭智がPKを失敗。そして同年地元開催の Asian Cup 準決勝ではイランに勝利を収め決勝に進出したが またも鄭智がPKをミス。 
2006年2月22日広州で行われた Asian Cup 予選のパレスチナ戦で 肇俊哲がPKを失敗。(試合は中国が 2-0 で勝利 )
2008年3月15日昆明でタイとの親善試合では李瑋峰 がミスをして 3-3 の引分け。  2008年6月22日アウェーでのワールドカップ予選オーストラリア戦では 1-0 で勝利するもまたも鄭智が失敗。

鄭智 だけで6回もPKを決められていない。 何故彼ばかりに蹴らせるのだろう???? たら、ればは禁物だけど、これらのPKが決まっていれば中国サッカー史は大きく変わっていただろう。 しかし、この東アジア選手権をきっかけに彼らの歴史が変わるかもしれない。 

 
   

東アジア選手権 台風の目中国隊 初戦日本とドロー

2010-02-20 | Football Asia
ようやく掴んだこの機会。日本代表がアジアの列強と真剣勝負を繰り広げる公式大会を観戦出来る機会にようやくありつけた。 
1980年代前半までアジアサッカー界の勢力図は中東、西アジア勢が優勢であった。東アジア勢は韓国でさえアジアの壁を破りワールドカップに出場したのが1986年のメキシコ大会。(その前に1954年のスイス大会に出場した実績があるが。) しかしその時はアジア地区のワールドカップ予選が東西地区に分けられそれぞれの地区から1カ国ずつ出場枠をあてがわれた。 五輪予選ではアジアを地域別に分けずにオープンにしたロス五輪予選では最終予選が東南アジアのシンガポールで開催されたにも関わらずサウジアラビア、イラク、クウェートの中東諸国に独占されてしまった。 サウジアラビア( 1994, 1998, 2002, 2006 ) イラク ( 1986 ) クウェート ( 1982 ) UAE ( 1990 ) そしてイラン ( 1978, 1998, 2006 ) がワールドカップ出場実績があると言う事はこのペルシャ湾、中東地域にはそれだけアジアの強豪がひしめいているという事。 そこにバーレーン、カタール、オマーンが加わり、更には北アフリカのエジプト、アルジェリア、チュニジア、モロッコと云ったワールドカップ出場経験国も含めたアラブ諸国の大会が代表レベルそしてクラブレベルでも存在している。
1990年に東アジア地区の強化を目的として始まったダイナスティカップがその後東アジア連盟の設立と共に現在の東アジア選手権の前身であった事を知る人も多いだろう。 だからこの大会は非常に重要だと思うのだけど…..
近年は東アジア地域の2大勢力である日本と韓国が欧州でプレーする選手が増えて来た事から東アジア選手権にベストメンバーを派遣出来なくなって来た。 こうして考えると今年のワールドカップは東アジア勢とオーストラリアが出場権を勝ち取ったが今に立場が再逆転してしまうかもしれない。 その上オーストラリアが入って来ているのに…

今年最初の公式戦となる東アジア選手権大会。心配なのはJリーグ開幕前の選手達のコンディション。しかしFIFA ランク40位の日本は87位の中国にはメンバーがどうであれホームゲームであるから勝利を収めて当たり前の相手であるはずだった。開幕戦の中国は今大会登録メンバー23人全員が30歳未満。 
北京五輪メンバーは2人だけ。ワールドカップ予選経験者がわずかに5人。 ワールドカップ予選以降に刷新されたメンバーが中心となっている。
注目は2002年ワールドカップメンバーの曲波の復帰。2001年FIFA U-20 メンバーだった曲波は中国サッカー界を背負い選手だと思われていたが何故か外国人監督達とそりがあわず招集されない期間が長かった。
それでなくても中国サッカー界はここ数年八百長問題でゆれており、代表候補選手そして協会幹部達が多く係わっていたらしい。そしてその大元締となっていたのが中国蹴球協会の前の会長だったらしい。
八百長に関わった選手達は金を受け取るだけれなく自分のチームの試合にも賭けていた。
中国の友人に “代表クラスだったら結構給料いいんとちゃうの?それに幹部達も。” と尋ねたら “中国人は金を貰えばもらうほどもっと欲しくなるんです。” との答え。
でもそれは日本人でもおなじだけどなぁ…となんだか納得してしまった。

しかしセルビア人のペトロヴィッチ氏監督解任を受けて43歳の高洪波氏が代表監督に就任し久々の“中国人監督”に選手達のモチベーションは上がり雰囲気は好転しているらしい。高洪波氏は2004年の Asian Cup 前にオランダ人アリー・ハーン(当時)代表監督と意見対立し代表コーチ職を辞任した。現役時代はFW選手として活躍1992年のダイナスティカップ、 Asian Cup の日本戦でもプレーした。 
その中国代表のスタメンは GK は北京国安の楊智。DF は右サイドが FW登録の張琳芃 左サイドに永栄昊、CBはかつて Celtic で中村とプレーをした(1試合のみ)杜威と趙鵬。 ボランチには大連実徳の趙旭日と北京国安の楊昊MFは右から北京五輪メンバーの姜寧、真ん中が卓翔そして左にワールドカップメンバーの孫祥。オーストラリア戦ではゴールを決めた。 ワントップは北京五輪メンバーでワールドカップ予選にも出場した郜林 2005年FIFA U-20 にも出場した。 やはり今年1月に行われた Asian Cup 予選メンバーが中心。

迎え撃つホームの日本代表だが国内組ベストメンバー。
怪我と体調不良が心配された玉田、内田はスタメンに。 復帰した小笠原はベンチ
スタート。もう少し“新しい戦力”を起用するかと思ったけど。少なくともGKは川島だと思った。だがそれが結果的に良かった事は後で解る事に。
 


 FC東京のホームなので長友が紹介された時は大歓声があがった。そして更なる歓声が上がったのは控え選手の平山相太がスクリーンに映し出された時だった。
この試合いつ投入されるのかも試合の見所だった。 


 
試合は開始から地力に勝る日本が主導権を握る。開始1分56秒には内田のスルーパスを受けた大久保が杜威と競りながらシュートを放つがこれはGK楊智の正面に。8分には壁パスから抜け出した玉田が左サイドからクロスを上げるがここは中国 DF がクリアー。12分には内田が突破しクロスを入れると岡崎が落として大久保がシュートに持ち込むがゴール枠を捕えられなかった。13分には内田が左サイドを突破しアーリークロスを入れると中央で岡崎と趙鵬が競りこぼれたころを大久保がダイレクトでシュートを放つがここはクロスバーを越えた。立ち上がりから右サイドを内田、岡崎の突破が顕著で相対する孫祥そして栄昊が後手に回るシーンが目立った。序盤から闘莉王も積極的に上がっていた。そして闘莉王が上がると遠藤がきっちり最後尾をケアーしていた。
ただ中国の CB 趙鵬 184cm 杜威 189 cm と長身。クロスを入れてもすぐに跳ね返される。サイドバックでさえ左の栄昊 183cm 右サイド張琳芃 182cm と高い壁になっている。 日本もFWに一人長身がいればなぁ…平山をスタメンからテストしてほしかったなぁ…と思うのは私だけではなく周囲の人も同じだった。それでも19分にはスローインから憲剛、岡崎と渡りそのままダイレクトでクロスが入ると走り込んだ玉田がシュートを撃つがゴールを外れる。 その直後にも長友が左サイドを抉りグラウンダーのクロスを入れ、岡崎が狙うがクロスバーを越えた。28分、今度は玉田が左サイドをドリブルで上がりいれたクロスに長友がシュートを放つがポストの右に外れていった。ゴールには至らないがシュートにまで持ち込めるようになって来た。

しかし30分を過ぎたあたりから今度は中国が日本ゴール前に迫るシーンが見られる様になった。32分郜林に縦パスが入り中澤を背負いながらも振り向きざまにシュートを撃とうとするがここは中澤が撃たせない。33分には卓翔のクロスを中澤がヘッドでクリアーしたこぼれ球を拾った栄昊が強烈なミドルを放つがポストの左に外れてくれた。35分には右から左にサイドチェンジのボールが渡り前線の郜林へそして左サイドから走り込んで来た栄昊に戻しクロスを入れられるがここは楢崎がキャッチ。栄昊のオーバーラップがにわかに顕著になって来た。しかし顕著になったのは栄昊だけではなく中国の選手の動きが全体的に積極的に前に出てくるようになった。これは前の日に中国の地元紙に高洪波監督が話していた“最初の30分は様子を見させる。”と言ったコメント通り。 
中国と言えばブラジルの様な完全に格上相手以外であれば開始早々からフルスロットルで総攻撃をかけてくるという印象がある。1987年広州でのソウル五輪予選、1992年北京のダイナスティカップ。20002年ワールドカップ初戦のコスタリカ戦。そして2007年 Asian Cup のイラン戦。 だが大概はシュートミスの連発で得点に至らず、カウンターやつまらぬミスから先制ゴールを喫しそのまま自滅する試合内容。
Asian Cup のイラン戦の様に立ち上がり33分で2得点しても更に我も我もと攻撃に酔いしれ連続失点でようやく引き分けたという実績が私の頭の中に残っているのでこの日の静かな立ち上がりは意外でもあった。だが終盤の攻撃を日本は凌いで逆にまた攻勢に出る時間が続きそのままスコアレスで前半を終わった。後半に入ると中国は孫祥を下げて曲波投入し2列目右に入れて卓翔を左に回した。
曲波と言えば2001年FIFA U-20 アルゼンチン大会ではアメリカ戦と決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦でゴールを決め2002年ワールドカップには当時の Bora Milutinovic 監督に見出され予選から起用され本大会でも途中交代出場ながら3試合出場した。将来はどんな選手になるだろう?と思ったがTotteenham の入団が決まりかけたが労働ビザ問題で御破算になり、以降将来を嘱望されながら実績はいまいち。怪我などもあり2004、2007年の Asian Cup にはメンバー入りできず2006年ワールドカップ予選には1試合も招集されなかった。2008年に入りワールドカップ3次予選では5試合に出場するなどまた代表でのポジションを確保しつつある。今年の Asian Cup 予選にも出場している。

だが後半開始からは再び日本が中国陣内に攻め込む時間が続く。
開始早々には憲剛からスルーを受けた長友が送ったクロスをファーサイドの大久保がフリーでヘッドを撃つがGK正面。48分には右サイドから大久保が入れたクロスに岡崎、玉田が絡むがシュートに持ち込めない。49分に得たFKを遠藤が入れる。闘莉王が飛び込むがここもDFにクリアーされた。54分には稲本からのロングフィードを受けた内田がそのまま抜け出してドリブルシュートを放つがポストを叩く。 
あぁ惜しい、と私も点を仰ぐが逆にその直後、曲波が入れたグラウンダーのセンタリングを中澤がうまくクリアーできずあわやオウンゴールとなるところを闘莉王が必死で掻きだしてくれた。後半に入って中国は縦へのミドルパスが増えてきた。
そして62分大歓声に包まれ“地元”東京FC所属の平山相太が玉田に替って投入され1トップに入り、2列目が左から大久保、憲剛、岡崎が並ぶ。 内田、長友のサイドバックも良いので彼に良いクロスが入れば、と願う。平山対策か?その2分後中国ベンチはボランチの趙旭日を下げて冯潇霆を入れた。この二人の身長差は 2cm しかないんだけど (趙 184cm冯 186cm )  折角平山が投入されたのだが今度はなかなかボールが入らない。平山もチームの方針だから仕方がないのだけど右に左に移る。 真中でがんと張っていれば相手はそこにマークに行かねばならないのでその分他の選手にスペースが出来ると思うんだけど…. 69分辺りからようやくクロスが上がる様になるが平山にうまく当たらない。こういう戦術を代表が取らなくなって何年経つんだろう….
中国は70分過ぎから郜林が左サイド寄りに位置し姜宇、曲波が前線に顔を見せる様になって来た。 そして深い位置からでもロングボールばかりではなく中盤を経由して前線に繋ごうとする様になった。
80分この試合最大の見せ場が訪れる。左から姜宇がゴール前に上がって来た曲波めがけてボールを出す曲波がトラップを浮かしてしまい弾んだボールが右からマークに入った長友の上腕に当たりそれがハンドと取られPKを与えてしまった。ただトラップが決まればそのままフリーでシュートが決まっていた可能性も高かった。オーストラリア人のデロフスキー主審がアドヴァンテージを見ておりすぐにPKを宣告しなかったので少し誤解を招いたようだった。
残り時間とこれまでの日本の攻撃を思い出し、ここで決められればかなり痛いなぁ….と思っていながら楊昊がボールをセットするのを眺めているとGK楢崎がドンピシャのタイミングで右に飛んでそのPKを阻止した。絶体絶命のピンチをよく救ってくれた。このシーンがこの日1番観客が湧いたシーンだった。



83分中国ベンチは郜林を下げて楊旭を入れて 前線を楊旭と卓翔の2トップにする。内田からのアーリークロスを左に平山が流れてヘッドで落とすと趙鵬にあたりすこし方向が変わったが落ち際を大久保がバレーを放つが冯潇霆の膝に当たってゴールラインを割ってしまったが本当に惜しいシーンだった。そしてこれが唯一平山の高さが生かされたシーンだった。
日本ベンチは84分に憲剛と玉田を下げて金崎と佐藤を入れ、佐藤と平山の2トップにし2列目左に金崎、右に大久保を置いた。 そして時折闘莉王も上がってくる。しかし両社得点は生まれずスコアレスドローの男子開幕戦となった。 終了のホイッスルと同時に寒さが限界に達しそうだったのですぐに飛田給駅に向かった。それにしてもここはなんて観戦しにくい競技場なのだろう?東京FCのサポーターには悪いが入場料金の半額は返して貰いたくなった。 そしていつまでも日本サポーターのブーイングと中国サポーターの歓声が鳴り響いていいた。

ほんまに寒い夜やった......


日本1-3 韓国 国立5連敗 これが現実

2010-02-18 | Football Asia
約3分のロスタイムを過ぎオーストラリア人のデロフスキー主審の試合終了のホイッスルが鳴り響いた。公式発表42,951 人の観客の約9割が日本を応援していたと思うが一斉にブーイングが発せられる。私は足早に出口に向かった背後では 
 “岡田辞めろ!!” “岡田解任!!”と叫ぶ人も少なくなかった。 

待ちに待った日韓戦。競技場で観戦できるのは1988年10月26日の日韓定期戦以来何と22年ぶり。あの時はまだ昭和だったなぁ…
その試合も日本は崔淳鍋のゴールで 0-1 で敗れた。この日も鬼門の10月26日だったんだなぁ…。 
当時、観客は10,000人も入らず、半分くらいが在日を含めた韓国人応援団だった。 それでも熱心に代表を応援する人はいた。そしてアベックもちあほら。いつか日本が強くなって女の子とサッカー観戦をしまくりたいなぁ….と思いながら観戦していた。
その後日本はワールドカップ出場を果たすが残念ながら “彼女” とスポーツ観戦をしまくる夢は実現しなかった。

前述したが国立での韓国戦は連敗中だった。しかし、今回は日本もかなりチャンスがあると思った。 それは朴智星、朴主水、寄誠庸、金東進そして 薜鉉ら欧州勢がいない事。そして中国戦で 0-3 と歴史的敗北を喫したショックを絶対に引きずっている事。中国代表の高共波監督は“中国は縦のスピードに欠けていた。”と云う様に2列目から前線への飛び出しは欧州組が抜けると影をひそめると思った。

注目のスタメン。中国戦から韓国はかなりメンバーを替えて来た。 GK 李雲在は不動であるが、 DF は李正秀、郭泰輝のJリーグ勢を外し呉範錫が右サイドに左サイドに李正秀に替ってジュビロ磐田の朴主護、趙容亨と組む CB は郭泰輝に替って姜敏壽が起用された。昨シーズンまで愛するサンガにいた李正秀をなぜサイドバックで使っていたかが不思議だったが元々このポジションだったのだろうか? 
それにしても李正秀、郭泰輝といった愛するサンガに関連する選手達がベンチとは.

かつて名古屋に所属した金正友と組んだボランチは具滋哲に替って辛炯。
2列目の左にはかつて FC 東京でプレーした呉章銀に替り20歳大分トリニータの金甫、右サイドは金斗ではなく金在成。李東國と組む2トップはジュビロ磐田の李根鍋ではなく李昇烈。許丁茂監督は中国戦からメンバーを6人も替えた。

一方の日本代表は中国戦と同じメンバー。結局この大会は新戦力を試す為に全員にスタメンのチャンスを与えるのかと思ったが召集された中ではベストメンバーを使って“タイトル”を取りに行ったと思われる(それ自体は悪い事ではないと思うが。)
起用だった。

韓国のスタメンを見て、これならかなり優位に試合が進められると感じた。
開始早々闘莉王がロングボールを前線に入れこぼれ球から稲本が相手DFの裏にボールを出すがここはそのままゴールラインを割る。3分には再び稲本がボールを奪いゴール前に送る。岡崎、玉田が迫るがここはクリアーされる。
日本は立ち上がり玉田、岡崎の2トップに2列目は左に大久保、右に憲剛。だが8分頃にはこの二人のポジションが入れ替わった。 
日本は中盤でのボール回し、ボール運びが良く韓国はファールで止めるシーンが続いたが、PA内ではタイトなマークを受けシュートを撃たせて貰えなかった。
ワールドカップで欧州の屈強なDF達と誰か渡り合えるFWはいないものか…釜本の様に…

だから期待の掛かるのはCK等のセットプレー。 闘莉王、中澤らの高さは韓国DF陣にとっても玉田、岡崎らよりも脅威だったに違いない。 21分、中盤で大久保が金正友に倒されFKを得る。金正友にはイエローカードが出る。大久保はすぐに立ちあがれず一旦外に出される。そのFKを遠藤がPA内に入れるがタイミング良く飛び出した闘莉王に姜敏壽が背後から抱きついて倒すとすかさずデロフスキー主審がペナルティースポットを指す。そして姜敏壽にはイエローカードが出された。このPKを遠藤が李雲在の動きをよく見てライナーで蹴り込み先制ゴールを決めた。 

     


この先制点は韓国にはかなり堪えたはずだ。 前半中に2点目を先に奪えば、これでこの試合は完全に日本のものだ、と思った。しかし先制点直後に大久保が倒れ込んで立ちあがれない。先ほど痛めた左足がだめらしい。( 後で知ったが全治6週間とのこと。) C大阪の香川がピッチに入りベンチに退いてしまった。
27分44秒には内田に金甫が足払いをかける様なタックルを入れてイエローが出される。 この日も韓国は激しく当たってくる。その上デロフスキー主審がアドヴァンテージを見ようとファール直後すぐに笛を吹かないので全体的にリズムの乗れない時もあった。こういう笛は Rugby Union ゆずりか?
しかし32分、今度は李昇烈がPAのすぐ外の真ん中でボールを受けると左前にスルーパスを出す。そこに金甫がドリブルで正面からマークに入った内田にまさに正面衝突して倒れるとデロフスキー主審はまたもペナルティースポットを指した。金甫の強引なドリブル突破が引きだしたPKだった。でも金甫からぶつかりに行った様にも見えたけど。これを李東國が楢崎の飛んだ反対方向に蹴りゴールネットを揺らした。 韓国にとってはまさに起死回生のPKとなった。 

この同点ゴールを境に一気に韓国が攻勢に出てくる。35分には李東國に左サイドからクロスを入れられたがここは誰も触れなかった。しかしもし中に誰かいれば危ないシーンでもあった。だが日本はその後でもボランチが、特に稲本が対人の強さを見せ攻撃の起点となる。ボランチが上がれば憲剛が守備をカバーする。 37分にはその憲剛がミドルを放つがGK李雲在が左に倒れ込んでセーブ。もっと積極的にミドルを撃ってくれればとも思ったのだが….

38分辛炯からのボールを受けた李昇烈がミドルを放つとそのまま日本ゴールに吸い込まれてしまった。中澤の背中に当たってコースがやや変わったという幸運も伴ったが李昇烈がボールを受けた時はゴールが遠く前方が開けており楢崎がやや前に出て来ていた。そのすきを逃さず瞬時に右足を振りぬいた李昇烈の“見事なミドルシュート”だった。そしてあっという間の逆転劇だった。

    

しかしまだ時間は十二分に残っている。この日の両者の力関係からいえば日本はまだまだ得点のチャンスはあると思った。
ところが更なる予期せぬ禍が日本を追い詰める。39分、中盤左サイドで憲剛が倒されFKを得る。それを遠藤がセットする。当然闘莉王、中澤が上がって来る。遠藤がゴール前に放り込みむとそこに日韓の選手達がなだれ込むがうまく抜け出したはずの闘莉王が相手DFと交錯して倒れた。このプレーでホイッスルが鳴らなかったが韓国のキャプテンマークを巻く金正友が主審に何やらアピールすると、主審は闘莉王に一発レッドを提示した。後でわかったが闘莉王が交錯して倒れた姜敏壽に起き上り際に蹴りを入れたらしい。 

   


韓国ゴール前に上がった闘莉王にしつこくファールを繰り返していたのがその姜敏壽だった。すぐにピッチを去らない闘莉王に韓国サポーター達からブーイングが飛んだ。

    

23分にPKで先制した日本だが大変な状況に暗転してしまった。前半残りの約7分間はCBの位置に稲本が入りボランチを遠藤一人にして何とか韓国の攻撃を凌いだがリードされている状況で一人少ない日本に後半、挽回のチャンスは巡って来るのだろうか?と殆どの日本さポーター達は心配になった事だろう。

闘莉王を失った日本は後半入ったばかりの香川を下げてCBに岩政を入れた。これでこの試合2枚の交代枠を自らの意思以外で使ってしまった。
韓国の選手交代は…. とピッチに目を凝らすと悲鳴が湧き上がる。金正友からボールを受けた李東國がドリブルで上がり岩政と中澤の間を突破しシュートを放つと楢崎を破ってゴールポストの下側に当たった。幸運にもボールはゴールラインを割らずに済んだが、入ったばかりの岩政は肝を冷やしただろう。
ワールドカップ予選の最終戦のオーストラリア戦は中澤不在でその時、CBのバックアップ選手を早く整備しなければ…そういう意味でも前節の香港戦や前のベネズエラ戦は良い機会だと思ったんだけど。
51分、日本に“吉報”が入る。 中盤でボールを持った岡崎に金正友がスライディングタックルに入るがこれが完全な late tackle となりこの日2枚目のイエローが出されて韓国も人数が1人減った。 

      


両チーム一人ずつ少なくなったことでスペースが自然と生まれる。こうなるとボール回しに長けた日本にチャンスが多く生まれると胸算用した。しかしリードしているのは韓国。 56分には李昇烈を下げて具滋哲を入れ前線を李東國のワントップにし2列目を左から金在成を、具滋哲、辛炯を並べ中盤とDFラインの間を狭めてゴール前を固める。日本も特に右サイドの内田が何度も突破を見せて韓国ゴールに迫ろうとするがなかなかシュートが撃てない。 62分には李東國が退き金甫が1トップに入り、DF能力も備える李根鍋が投入され2列目右に入る。これは内田対策も兼ねてだろう。 
それでも内田の突破は止められなかった。 左からは憲剛がゴール前に入れて玉田に渡るがシュートが撃てない。 エリア内に持ち込んでもシュートが撃てなければ…. 2003年FIFA U-20 の韓国戦で 0-1 のビハインドから平山の投入をきっかけに逆転勝利を収めた事を思い出し 現状を打開するために試行を変えて平山を投入しないのかなぁと思った。でもこうなればカウンターが怖いなぁ.. とも考えていた 71分その不安が的中してしまった。 カウンター攻撃から金甫がドリブルで上がると手薄になった右サイドにフリーの金在成があがりボールが渡り撃たれたショットはゴール右上隅に突き刺さり追加点を挙げられた。 

残り20分で2点差。この時点で日本の今大会の優勝の可能性はほぼ潰えた。ホームゲームでの韓国戦3失点は1967年国立でのメキシコ五輪予選(しかしその時は日本も3点取って引分け)そして1994年広島でのアジア大会 ( 最後は疑惑のPK で2-3 で敗れる ) に続いて3試合目。何とか1点返してそしてあわよくば引き分け…と言う願いよりも日韓戦ホームワーストの4失点目を取られない事を切望した。
それでもピッチ上は日本がボールを試合する時間が続く。73分には内田がPA内に侵入するもDF陣に囲まれシュートが撃てない。 74分には長友がミドルを放つがポストの右に外れる。80分には憲剛からの絶妙のスルーパスがサイドからエリア内に入った内田に渡りシュートに持ち込むが韓国DF陣がスライディングでブロック。 81分には最後の交代カード、佐藤寿人が玉田に替って投入されるが、ここでFW同士を替えるのか… と思った。周囲の人達も落胆の声を隠さない。 
83分には憲剛のクロスがCKになり、逆サイドに流れたボールを稲本が拾って入れて中澤が折り返すがシュートには至らない。 日本は左サイドに遠藤が上がって来る。そして前線から 佐藤 - 岡崎, 遠藤 - 憲剛 そしてボランチを 稲本の1枚とし攻勢をかけるがゴールの予感さえ遠かった。  86分に韓国ベンチは金甫を下げて1トップに李根鍋がはいり、呉章銀は2列目左に入った。これで内田が上がってこれなくなり日本の攻撃は完全に停止しあとは試合終了のホイッスルを待つばかりであった…….

大会終了後、ついに専門誌が岡田監督解任を要求する記事が掲載されるなど一斉にバッシングが勃発する。大会を4ヶ月後に控え監督の首を挿げ替えるのもリスクがあると思う。だが今大会ではもっと色々な選手を試すと思ったんだけど…
ここしばらく代表の最前線はスピード重視偏重で上背のある選手を起用する事は稀であったが攻撃の選択肢としてそういう選手も必要ではないか?
欧州組みの不在が指摘されるが国内組だけでももう少しやれなかったか? 確かにこの時期、例年ならまだシーズンは始まっておらず選手達のコンディションは上がってこない事はスポーツをした人なら解る事だ。 昨年の今頃はワールドカップ予選の大一番、オーストラリア戦がありパフォーマンスも悪くなかったので心配ないと思っていた。
しかし大会前に組まれたのがベネズエラ戦のみでは昨年の様には行かない。それにモチベーションも異なるか?

一方の韓国は大会前に南アフリカ( 対ザンビア 2-4 ) スペイン ( 対フィンランド 2-0, 対ラトビア 1-0 ) でそれぞれ合宿、親善試合を組んでお欧州組みは不在でも日本よりかは準備を施していたという点は否めない。この日のスタメン選手全てがそれら3試合のいずれかに出場していた。
大会で優勝した中国は Asian Cup 予選に出場した選手もけっこう起用されていた。

これで国立競技場での日韓戦は1979年3月4日の日韓定期戦で 2-1 で勝利を収めて以来21年間で引分け3つ挟んで5連敗。 
地元開催の東アジア選手権で結果を出せなかった、そして宿敵韓国に敗れたこの日。収穫は前日買ったフリースアンダーパンツが威力を発揮し寒さを感じずに観戦出来た事。 これでこれから冬の現場観戦に強力な武器が備わった。でももうすぐ春か、代表に春は来るのだろうか……

     

彼女達こそ世界の4強 マスコミよもっとスポットをあてろよ

2010-02-12 | Football Asia
楽しみにしていた東アジア選手権が開幕した。前回2003年に日本で開催された時はスタジアム観戦が出来なかっただけに今回はなるべく多くの試合を…と思っていた。開幕戦が行われた2月6日は天気予報が大当たりの晴れはしたものの寒さの上に強風の北風が吹き荒れる天候。おかげで武蔵野線のダイヤが大幅に乱れて新宿経由で味の素スタジアムのある飛田給に行かざるを得なくなり、競技場入りできた時はもう後半が始まっていた…… どうもここの競技場とは相性がよくないなぁ…. 愛するサンガの試合観戦で2度来た事があるが2度とも遅刻だった…. 会社の仲間とフットサルをしに来た時は間に合ったか..( 関係無いか?

FIFA ランク6位 ( 日本) と 13位 ( 中国 ) との対決は世界的に見ても屈指の好カードのはず。男子の FIFA ランクに合わせるとドイツ ( 6位 ) 対ロシア ( 13位 ) となるのだけれど…..しかしスタンドの入りはちょっと寂しいなぁ… マスコミもワールドカップを控えた男子ばかりに関心を寄せ過ぎている。これじゃぁ真のジャーナリズムは…. 俺みたいなサラリーマンが言っても仕方ないか?

かつて世界の女子サッカー界のトップを行った中国代表。アトランタ五輪銀メダル。ワールドカップは 1999 年大会が準優勝。1995年大会が3位。ワールドカップでは常にベスト8以上。日本はまだ1次リーグを突破した事が無い。しかしメダルの期待された北京五輪では準々決勝でなでしこに 0-2 で完敗。そして日中の立場は大逆転してしまった。来年のワールドカップを目指してと云うよりもまずはアジア王者の称号を目指して今大会を再スタートの機会ととらえていると思った。しかし北京五輪に続いて商瑞華監督が指揮を執る事に。  
スタメンを見ると GK張艶茹, DF は左に高燕、右に劉華娜 CB は170cm の李丹陽と 173cm の袁帆 ボランチが龐豊月と畢妍 ワントップに 174cm のエース韓端をおき2列目は左が尤佳 真ん中に馬暁旭 右に徐媛。 時折馬暁旭が上がって来て2トップを形成していた。今回登録されたメンバーのうち北京五輪組は7人。GK張艶茹, 高燕、劉華娜、畢妍 韓端, 徐媛が北京五輪組で他の張娜、張頴 のMFはスタメンからは外れた。 ただ2007年ワールドカップ組経験者は張艶茹, 馬暁旭、畢妍そして韓端の4人。 馬暁旭は北京五輪には選ばれなかったがこの大会から代表に復帰した。

一方のなでしこは安藤、永里の Bundesliga 組は所属先の都合で今大会に出場出来なかったがエース澤穂希は健在。そして DF 熊谷紗希、MF菅澤優衣香 FW 高瀬愛実そして岩渕真奈の10代選手が4人メンバー入りを果たした。岩渕はまだ16歳。 2008年 ニュージーランドで開催されたFIFA U-17 ( 観に行きたかったなぁ….) の大会MVP。準決勝に進出した北京五輪メンバーから池田、新川らの常連が抜けたがGK福元や澤、宮間ら9人が北京五輪組。この日のスタメンはGK が海堀、DFは左サイドが鮫島、右サイドが矢野。CBに熊谷と石清水。澤と組むボランチは宮間でなくて宇津木。宮間は2列目の右に入り近賀が左に。そして Atlanta Beat 所属の山口と大野の2トップ。山口と鮫島以外は全て北京五輪組。 
専門誌によればメンバーは大きく変わったはずなんだけど…..
1月にチリで開催された Bicentenial Woman’s Cup で優勝し、まさに万全の態勢で今大会に臨んできているという感じがした。

競技場に着いたのが後半開始直後だったので既に日本が宮間のFKで1点を先制した後だった。競技場内は中国人サポーター達の“中国隊!加油”の声援が響くが、ピッチ上ではなでしこが後半開始から中国を圧倒。 中国DF陣が敷いた比較的高い最終ラインの裏にどんどんスルーパスが通った。
そしてやはりさすがと思わされたのは澤穂希だった。ボールキープ、最前列への飛び出し、そしてポジショニング。どれをとっても違いを見せていた。 

   

一方の中国は代表復帰を果たした馬暁旭のボールキープ頼み。しかし中盤が分断されてしまい中々日本ゴールに近付けない。よしんばPA付近まで上がって来てもCBの熊谷、近賀が落ち着いて対応。51分には澤が左サイドを上がる宮間にロングフィード。更に中央から走り込んだ大野にボールが渡り後ろに戻したところを宇津木がミドルを放つがGK張艶茹の正面。
中国は韓端がサイドからのドリブル突破を見せたり徐媛がミドルシュートを放ったりと挽回の兆しを少し見せるが 61分、試合を決める日本の追加点が決まった。 
宇津木が前線にロングボールを入れると李丹陽がヘッドでクリアーをするも小さく龐豊月がヘッドでGK張艶茹に戻そうとするがこれも中途半端に張のはるか前に落ちるミスパスとなりそれを長躯走り込んできた近賀が拾ってそのままドリブルシュートを放つと GK 張艶茹 を破りゴールネットを揺らした。 

北京五輪同様に日本が主導権を握り続ける展開が続くが試合内容は今回の方がもっと圧倒していた。 64分には澤が倒されてFKを得るがここはGK正面に。 その直後に大歓声に迎えられ16歳の岩渕が山口に替って投入された。 これで前線が大野と岩渕の2トップに。 そしてCBの岩清水、熊谷もどんどん上がって来るようになった。66分宮間とのパス交換で相手DFを振りきり右サイドに切れ込み最後はGK張艶茹をもかわした大野がシュートを放つが必死に戻った李丹陽がスライディングで追加点を阻んだ。 

劣勢の中国はその直後に尤佳を下げて汪怜怜をいれる。 そしてボールキープの出来る馬暁旭を中盤に下げて龐豊月と韓端の2トップに。その効果があったか70分を過ぎて中国が日本ゴール前に迫るシーンが見られる様になった。 71分には馬暁旭のスルーパスが徐媛につながり汪怜怜のシュートに持ち込む。 76分には馬暁旭のポストプレーから徐媛がシュートを放つがこれはGK海堀の正面に。 日本の左サイドを突いてくる様になった。 
しかし中国が攻勢を見せた時間はここまで。 日本の最終ラインというよりもボランチの澤、宇津木の守備がよく効いており日本は常に数的優位が保たれる。それでなくても1対1になれば日本側の方に軍配が上がる。 
72分、大野が宇津木とのパス交換で抜け出し左サイドからシュートを放つがここは GK 張艶茹 が右に倒れ込んで防ぐ。 中国は83分にCB高燕に替えて MF 孫凌, 85分には龐豊月を下げて劉州を入れて攻撃選手を増やすがゴールと言うよりもシュートになかなか持ち込めずタイムアップ。 なえでしこは危なげない試合内容で開幕戦を飾った。 

     

翌日の報道はどれも男子の中国戦の事ばかり。なでしこの事を詳しく伝えるものは皆無に等しかった。
そこで中国のスポーツ新聞が伝えた報道の一部を下記の通りにまとめてみた。

敗戦にショックだった女国足達

試合に敗れた直後の中国女子代表チームの選手達は大変落ち込んでおり夕食もそこそこにみな部屋に戻ってしまった。 ある選手は WEB SITE ニュースを見て、ある選手は男子の中国対日本戦をテレビ観戦していた。 そしてその試合が引き分けに終わると自分達の試合結果と比較し失望感がより増してきたらしい。試合翌日7日の朝食時に選手達の雰囲気を察した選手達は午前練習の後、選手達が部屋に引きこもる事を避けるためにホテル周辺への外出を促すこととした。連盟役員達もこれ以上彼女達の失望感を増長させない為に
“ ワールドカップ予選を兼ねた Asian Cup で敗れるよりもこの日本戦でやぶれた方がまだまし。”と選手達に声をかけた。
また選手達に余分なプレッシャーをかけない様にとも促すシーンがあったらしい。

試合翌日たまたま商用で選手達の宿泊している京王プラザホテルに行った。そして男女の中国代表選手達、関係者や報道陣がいたけど彼女達はそんなに落ち込んだ様子は無かったなぁ…もちろん日本と引き分けた男子の選手達の方が足取りは軽かったけど。 韓端は他の女子選手達と違い髪にウェーブをあてるなど垢ぬけていている感じだった。報道陣とのやり取りを見ていても都会的な雰囲気を出していた。( 表現古いか….) 北朝鮮の棄権によりこの試合が事実上の決勝戦ともいえた。その試合で完敗したのでやはりショックはあったのだろうなぁ…

代表復帰の馬暁旭

代表に復帰した馬暁旭はこの日の自分の出来に就いて“思った様にプレーできなかった”とインタビューで応えた。商瑞華政権の中心選手として代表に復帰した馬暁旭は2列目左と言うよりもウィングのポジションでスタメン起用されたが後半にはいると右のポジションに替った。これはこの日の出来がいまいちだった為らしい。そして慣れないポジデョンだった事も。馬は試合を振り返り今の日本代表とは埋め難いギャップが存在する事を認めていた。 

北京五輪はけがの為に最後に登録メンバーから外れてしまった馬暁旭。 再起の東アジア選手権の開幕戦は試合終盤になって能力の高さの片りんを見せた。もし彼女が五輪に出て日本戦に出場していたらどうだっただろう….

厳しいが詳細な論評。

試合全体を見てみるとボール支配率では日本が 59.7, 中国が 40.3 。シュート数は日本の12に対して中国が6.CKは日本が10.そして中国は何と0であったらしい。 
日本はあらゆるところで組織的にボールを奪ったり支配をしたりするのに対して中国は個人の能力頼り。 FK数は中国15に対して日本は13だったが 中国は相手ゴールから30m 内でFKを得られなかった。韓端、馬暁旭への対応は中盤を制圧し彼女達をなるべくゴール前のヴァイタルエリアでボールを持たさない事。また攻撃陣へのマークもタイトであった。 韓端は4度のパスミスがあったがパス成功率が 87% 。ポストプレーでも彼女の能力を発揮したが彼女の上背を生かしてチャンスに結びつけたのは1度だけであった。韓端は良いパフォーマンスを見せたが馬暁旭のポス成功率は 71.4% 徐媛に至っては13回もボールをとられ 65.6% であった。韓端 174cm, 馬暁旭 172cm そして 176cm の徐媛と言った中国攻撃陣の高さを生かした攻撃は見られなかった。彼女達へのフォローが少なかっただけでなく、彼女達自身、日本DF陣に抑えられるシーンが少なくなかった。その点がこの日の日本の勝因となったと思われる。
この2チームが対戦した時に選手個々の能力よりも戦術とその戦術にあった選手を選ぶ事が勝因に大きく影響すると思われる。 England やドイツがスペインスタイルの football を採用しスペインと戦っても結果はわかっている。商瑞華監督が日本に勝とうとするなら日本スタイルの football を起用しても意味がない。 それは日本の選手は個々に秀でた能力を持っているからではない。個々の能力なら中国の韓端、馬暁旭が秀でている。 韓は女性版 Gomez で馬は女性版の Rooney である。彼女達2人をなるべく相手ゴール前でプレーさせねばならない。 
また戦術だけでなく選手のここのレベルも違いがあった。 中国の左サイドバックの高燕は何度もミスを繰り返し、日本の澤はセカンドボールへの対応など日本の重要な役割をこなした。この試合で少し目を引いたのはCBの李丹陽であった。彼女のヘッドは攻守に武器になる。袁帆と彼女のヘッドだけが相手チームに脅威であった。 

   

5月19日に中国成都で開催される AFC Women’s Asian Cup で中国女子代表は1次リーグオーストラリア、韓国、ベトナムと同じグループである今の中国代表は更にレベルアップしないとオーストラリアや韓国と対戦するに値しないチームである。 なでしこ達のフィールド選手で170cm以上あるのは DF 熊谷( 171cm )のみ。2007年のワールドカップでも欧州の選手 ( ドイツ、イングランド ) との体格差を見せつけられるシーンが多く見られた。 たとえば欧州の選手達は1発のロングキックでサイドチェンジや前線に放り込む事が出来るがなでしこ達はどうしても….. そしてCKのチャンス時でも制空権を握られてしまっていたので相手はピンチでも容易にコーナーに逃げる事が出来た。しかし今はそれを補って余るほどの戦術と個人能力を兼ね備えている….. と信じているのだが.

2010年の女子代表チームの開幕戦となった東アジア選手権の日本戦は敗戦に終わったが2000年代に入り中国女子代表の Year Beak Match で初黒星を喫したこととなった。これまでの対戦戦績は下記の通り。

January 11, 2001: China 1-0 United States
January 23, 2002: China 2-1 Germany
January 23, 2003: China 0-0 Germany
January 30, 2004: China 2-1 Canada
January 28, 2005: China 3-1 Russia
January 18, 2006: China 1-1 France
January 26, 2007: China 2-0 England
January 16, 2008: China 2-0 Finland
January 10, 2009: China 6-0 New Zealand

商瑞穂監督の試合後のコメントから : 日本はアジア最強のチームになった。

この試合で日本女子代表は素晴らしいゲームコントロールとテンポの良さを示し中国女子代表チームは多くの問題を露呈した。この日両チームの戦いはまさにアジアのチームの特徴を出したものであった。 日本代表の動きは我々よりは早かたった。60分を過ぎた後の試合内容に就いて我々は満足をしているがチャンスを掴めず日本が勝利を収めた。 私は将来的に日中の両国がお互いに影響しあう事が両国の進歩を大いに助けるのものと信じている。 
商瑞穂監督はアジアの女子の特徴についても言及した。“攻撃とボールの動きそしてショートパスを使っての相手陣内への侵入。これらに就いて言えば最初の20分間中国代表は押しこまれて攻撃に移ってもスピードがなくサイド攻撃がほとんどなかった。日本女子はここ数年で目覚ましい発展を遂げ、中国がそのレベルに達するにはまだ時間がかかる。しかし Asian Cup は期待できそうだ。”
この日の中国は後半から2トップにした。これまで中国チームは 4-2-3-1 のワントップで試合に臨んでいた。我々は 4-4-2 ではなく 4-2-3-1 を採用することが多かったが 2 トップは効果的だ。かつての AFC of the Year 選手 馬暁旭が代表に復帰した。この日の馬の出来には商瑞穂監督は満足をした。 “馬暁旭は肉体的には回復を見せたがまだ精神的に万全になる為には少し時間が掛かる様だ、しかし万全なフィジカルコンディションにある限り彼女は能力を発揮できる。 この日の彼女の動きは問題が無かった。
最後に商瑞穂監督は“日本は最高の技術を持っており大変強い精神的なものをもっている。そして他の面でもアジアでベストだ。中国代表も素晴らしいものをもっている。  Asian Cup はよりエキサイトな試合を披露できるだろう。“ と結んだ。

日中共に監督は五輪に続いて指揮を執っている。女子サッカーの日中定期戦が実現すれば面白い。
出来れば北朝鮮とも定期戦が行えないか?でもそれは南北統一後か? いや統一されたら南も北もないか。

実際に試合は70分を過ぎたあたりに中国が2トップにしてから挽回をした様に見えた。ただ得点は生まれなかったが… 中国女子代表は10日韓国女子代表を 2-1 で降した。 これで Asian Cup に向けて少し光明が差してきたかもしれない。 

だけど日本のマスコミはなぜなでしこ達にスポットライトを当てないのだろう?世界ランク6位の種目なんて他に何がある?女子のソフトボールと、野球と、あと女子バレーボールは何位だったっけ….. これだけは言う事が出来る。 なでしここそ世界4強の射程距離内にあるという事実を。

     

遠のく南アフリカの地... A‐League 勢

2010-02-03 | 夏季五輪

アウェーのでクウェート戦の約2週間前の12月22日、 Kuwait 戦に招集された22名は下記の通りであった。

GK
Danny VUKOVIC Central Coast Mariners FC 0 (0)  Eugene GALEKOVIC Adelaide United FC 2 (0)  Tando VELAPHI Perth Glory FC 0 (0)

DF
Scott JAMIESON Adelaide United FC 1 (0)  Matthew KEMP Melbourne Victory FC 0 (0)  Shane LOWRY Aston Villa FC, England 0 (0)  Craig MOORE Brisbane Roar FC 46 (3)  Mile STERJOVSKI Perth Glory FC 41 (8)  Matthew THOMPSON Newcastle Jets FC 2 (0)  Luke WILKSHIRE FK Dinamo Moscow, Russia 38 (1)

MF
Nick CARLE Crystal Palace FC, England 10 (0) Jacob BURNS Perth Glory FC 10 (0) Jason CULINA Gold Coast United 45 (1) Mile JEDINAK Antalyaspor Kulubu, Turkey 8 (0) Matthew SPIRANOVIC FC Nurnberg, Germany 3 (0) Simon COLOSIMO Sydney FC 24 (3) Matthew MCKAY Brisbane Roar FC 3 (0) Dario VIDOSIC FC Nurnberg, Germany 3 (0)

FW
Alex BROSQUE Sydney FC 4 (0) Bruce DJITE Genclerbirligi SK, Turkey 7 (0) Tommy OAR Brisbane Roar FC 0 (0) Nikita RUKAVYTSYA FC Twente, Netherlands 1 (0) Archie THOMPSON Melbourne Victory FC 32 (21)

初招集選手が5人も選ばれている。A-League 勢は15人が選ばれたが特にGKは全て A-League の選手。代表 GK Schwarzer の控えが全く決まっていないので“2枠”あいていると言える。 私個人的には 2007-08 の Grand Final で退場になり北京五輪を棒に振ってしまった Danny Vukovic には是非代表入りを果たしてほしいところだ。これまでのワールドカップアジア地区予選では Shcwarzer 以外に Galekovic が1度ゴールを守っただけである。

またFW陣も当落線上にある Djite, Rukavtsya, Thompson は最後のチャンスになるかもしれない。そして後に ジェフ市原と契約した Mark Milligan がメンバー入りできなかったのが残念だった…..

アウェーながらこの試合は開始から Australia が Kuwait が試合に入りきる前の猛攻をかける。  Heffernan のスローインをエリア内で受けた Mile Jedinak がバックヘッドで中に入れるとそこにいた Wilkshire が左足で Kuwait ゴールに先制ゴールを叩き込む。 その2分後 Nick Carl の FK を Heffeman が Kuwait ゴールに蹴り込みあっという間に2点のリードを奪った。
Heffernan は A-League の Central Coast Mariners 所属で追加招集された選手。  21分には Thompson が決定的なショットを放つがゴールネットは揺らせなかった。 ここまで Australia は Dario Vidosic の効果的な攻撃参加も目立ち主導権を握っていた。
しかし前半24分に Ala Teeqi に替って投入された Al Enezi が素晴らしいゲームメークを見せホームの Kuwait が徐々にペースを掴み出すと35分、 Simon Colosimo のミスから Al Enezi がゴールを決めて1点を返し、 44分この試合最も素晴らしいプレーを披露した Al Mutwa が絶妙のパスを Yousef Alsulaiman に送り同点ゴールをお膳立てする。前半終了前の10分間で今度は Kuwait が連続ゴールで同点に追い付いた。

   

後半に入っても試合はホームの Kuwait ペース。 最初の15分間に Saleh Al Hendi が Al Mutwa からのパスを受け放ったショットはクロスバーを越え、 Al Enazi のシュートは GK Galekovic を破ったがわずかにポストを外れる。 Australia も60分に Sterjovski に替って投入された北京五輪メンバーのだった Rukavystya が中盤を活性させ70分には自ら角度のないところから放ったショットは GK Alkhaldi に防がれた。 80分 Al Enazi が決定的なシュートを放つがここは Galekovic がセーブ。そして Australia はアウェーで何とか勝ち点1を死守することが出来た。 

 

Kuwait 2 (Al Enazi 39 Yousuf 44) Australia 2 (Wilkshire 3, Heffernan 5) Kuwait SC, Kuwait City

Australia
82 . Eugene Galekovic (gk), 3.Craig Moore, 8. Luke Wilkshire. 11 Nick Carle (86. Matt Thompson 89), 16. Mile Sterjovski (45. Nikita Rukavytsya 60). 20. Simon Colosimo, 28. Mile Jedinak, 32. Archie Thompson (21. Bruce Djite 92), 72. Dean Heffernan, 101. Dario Vidosic, 118. Matthew Kemp

Unused Subs: 88. Danny Vukovic, 41. Matt McKay

Socceroos may call in European cavalry ( Socceroos 欧州組を招集するだろう ) Pim Verbeek 監督は3月3日 Brisbane Suncorp Stadium で行われる大切な Asian Cup 予選の最終戦、インドネシア戦に欧州組を招集する考えがあることを認めた。この日は FIFA の定める国際 A マッチデーでは無いので A-League 組とアジア各国でプレーするメンバーが中心の構成となるだろうが欧州組の合流も示唆している。  Asian Cup 予選通過の為には勝点1が必要なのだが、もしFIFA ランクで 99も低い120位のインドネシアに敗れ Muscat で行われる Oman vs Kuwai 戦の結果次第では予選落ちも考えられる。従って Tim Cahill や Harry Kewell の招集も考えねばならなくなって来た。 A-League 主体のメンバーで戦ったアウェーの Kuwait 戦では何とか 2-2 の引き分けに終わった。

“欧州組の招集を考えているがまだ決めてはいない。(クウェート迄の)30時間のフライトで私が感じたことは選手達も感じた事だ。私はとてもボールなど蹴られない。機内でのフライト時間は14時間だった。どの選手が使えて、どの選手が必要安丘を考えねばならい。”

オーストラリアは Kuwait City の試合、開始5分で 2-0 とリードした。そして前年に Camberra で 0-1 で敗れたリベンジを果たせると思った。 そして結果的には大陸間の戦いの危険にさらされた。 Socceroo がオマーン相手に連勝を飾りこの予選を好転させた後、Verbeek には勝利を逃した選手達への嘆きが残された。

“おそらく経験不足から来たものであろう。 もし開始5分で 2-0 のリードを奪ったときに陥りやすい事であった。 特にこの試合の雰囲気を見くびるべきではなかった。 1点を返されたと時はパニックになり前半が終わるまでに同点にされたのは不運だった。しかし選手達は後半はよく挽回したと思う。”

Australia はここ数年, 彼らを苦しめた中東のコンディションに対応しようと豪華なドバイでこの試合に備えて合宿を張り、試合前日に Kuwait 入りした。しかし Verbeek は試合の地に到着したときにカルチャーショックを感じたようだ。

“我々はドバイで素晴らしいトレーニングをこなした、しかしクウェートは全くの別世界であった。フィールド、側近達そして飛行場では何時間も待たされたが選手達は移動を楽しんでいたと思う。”

Verbeek は今でもドバイはワールドカップ前の合宿地として考えていることを公言している。 “それがプランだ”彼は言った。

“選手達は所属リーグでの全日程を終えそこにやって来る。そして4,5日間のトレーニングキャンプを経てメルボルンでの試合に向かう事になる。”
クウェート戦は A-League の選手達にとってワールドカップメンバー入りのアピールを懸けての真剣勝負の場であったはずだ、しかし傑出したパファーマンスは無く決定的なアピールは出来なかった。 Verbeek は誰が印象に残ったかと言う事への言及を避けた。そしてどのポジションを強化すべきかという問い掛けを避け大事な時間に2点を失ったDF陣に就いての考えを“そのエリアは心配していない”と語った。またVerbbek は2007年12月にチームを引き継いで以降、今年7月にワールドカップを終えて以降来年まで指揮を執るかどうか FFA と話し合うかに就いては“予定がない”と語った。 “私はまだ何も決めていない。 FFA もそうだと思う。だからこの件に就いて言及する必要はない。私は今の仕事もオーストラリアの生活も楽しんでいる。”  5月23日、南アフリカに旅立つ代表の Farewell Match の相手はまだ決まっておらず、ワールドカップ前に予定されているあと2試合の対戦相手に就いても“まだ決まっていない”と語った。  

    

Kuwait 対 Australia と言えば思い出すのは1977年に行われたワールドカップアルゼンチン大会のアジア、オセアニア地区最終予選。 日本は韓国の後塵を拝して最終予選に進めなかったがオーストラリアがオセアニア地区を勝ち上がり、イラン、韓国、クウェートそして香港と1つしかない出場枠を巡って熾烈なホーム&アウェーの試合を繰り返していた。この結果は当時専門誌で追掛けるしかなかった…
最終予選前に予想では本命がイランで対抗馬が前回出場したオーストラリアだったがホーム、アウェーでイラン、クウェートに連敗し最終的にはオーストラリアは4位に終わり、クウェートは韓国にアウェーで敗れホームで引き分け3位。イランが悠々1位で本大会初出場を決め中東勢に1勝3分けと健闘した韓国は2位に入った。 香港は10戦全敗だった。
当時日本が全く歯が立たなかった韓国の上にまだイランがいるのか…とワールドカップへの計り知れない距離を感じていた。

Asian Cup 予選の3試合でワールドカップメンバー入りへのアピールを充分に出来なかった A-League 勢。3月のホームでのインドネシア戦にわずかなチャンスが残されているがここで問題なのは A-League の日程だ。レギュラーシーズンの最終節が2月14日。 そして Final Series が始まるのだがインドネシア戦はその真っ最中の3月3日。そして 3月20日に行われる Grand Final が終わればシーズンオフとなってしまい、3カ月近くワールドカップまで空白が出来てしまう。 Final Series 進出ならなかった選手に就いては4カ月も空いてしまう。 Verbeek は兼ねてから“選考の対象となるのは大会近くまで所属チームでコンスタントに試合に出ている選手。”と公言していることから 勝ち上がれば勝ち上がるほど A-League 勢にとってワールドカップは遠くなってしまう。 J-League, 韓国、中国への移籍も 3月13日の Preliminary Final, 20日のGrand Final の後では難しい……
だがインドネシア、クウェートでのパフォーマンスを見ると…だが日本も他国の事は言えない。 欧州勢抜きで戦ったAsian Cup 予選のイエメン戦、バーレーン戦そして一昨日行われたベネズエラ戦…ベストメンバーを組まないとFIFAランク通りの戦いが出来にくいというのはどの国も同じなのかもしれない…

                                                          続く

            


貫禄の海外組 Asian Cup 予選 オマーン戦

2010-02-03 | 夏季五輪

ワールドカップメンバー最終メンバー 23人。その中で15人はほぼ決定していると思われている。候補選手は5月11人に30人に絞られそこから大会前に7人がふるいにかけられる。アジア地区予選14試合ではのべ44人の選手がベンチ入りを果たした。メンバーの中心になるのは GK Schwarzer, Luke Willksher, Tim Cahill ら欧州組となるが、3年前に監督就任時以来、 Verbeek 監督が望んでいた事はバックアップメンバーの充実。その為には若手の台頭、そして A-League 勢の進歩が必要だった。

2007年の Asian Cup では日本にPK戦で敗れてベスト8止まりだった Australia は2011年の Asian Cup の出場権を得る為に予選から参加せねばならなかったが Verbeek 監督はその予選を A-League そして若手中心のメンバー構成に経験を積ませようとしていた。
しかしながら1月28日のアウェーのインドネシア戦 ( 0-0 ) 3月9日ホーム Canberra でのクウェート戦 ( 0-1 ) を終えてまさかの2試合1敗1分無得点。経験を積ませるどころか本大会進出すら危ぶまれる展開となってしまった。
そこで6月6日に日本に続いてアジア地区予選突破を決めた後、10月10日 Sydney Football Stadium でオランダと の親善試合で0-0 と引き分けた後の、10月14日に Melbourne Etihad Stadiumで行われた Asian Cup 予選にはこの日が FIFA A Match Day で合った事から 6月の日本戦で代表デビューを飾った Rhys Williams こそ起用されたがKewell, Cahill , Schwarzer らを擁したベストメンバーで臨む事に。それはしばらく国際試合の“真剣勝負”から離れていたレギュラー選手達への刺激もあった。

    

試合はホームの Australia 代表のレギュラー達が貫録を見せ開始から主導権を握る。Harry Kewell, Josh Kennedy そして Tim Cahill がオマーンゴールに迫るが
GK Ali AlHabsi の堅守を崩せない。 そうするうちにオマーンがカウンター攻撃を見せる。23分には Fawzi Basheer の突破から Hassam Al Hosni がシュートに持ち込む。その弾道はポストを叩いた。 26分には カウンターから Fawzi Basheer に繋ぎ Hassam Ali Hosni にスルーパスを通すそして Hosni が放ったショットは GK Schwarzer を破るがクロスバーを越えてしまった。
オーストラリアは Kennedy の長身を生かすべくハイボールを多用しそのこぼれ球を Kewell が狙う。40分にはLuke Willkshire のクロスを Kennedy がヘッドで狙うが GK Ali AlHabsi の正面に。 ロスタイムに Kewell がミドルを放つがポストの左側に外れて行った。

         

後半に入りオーストラリアが再び主導権を握る。43分には Lucas Neil のヘッドがオマーンゴールを襲うが GK Al Hansi がナイスセーブで防ぐ。 60分過ぎには Ismail Al Ajmi のシュートはわずかに外れ、 Kennedy のヘッドはクロスバーを越え、共に1度ずつチャンスを掴んだ。
そして73分、左サイドを上がった Chipperfield のクロスはKennedy を通りこしてしまったがファーサイドにいた Cahill に渡りそのまま放ったシュートはポストの内側に当たりながらオマーンゴールに入りそれが決勝点となった。

           

どちらかと言えば4日前のオランダ戦の方が“モチベーション”があがりオマー戦の前にそのモチベーションを使い果たす事が案じられたが Asian Cup では何とか引き分けたオマーンを相手にしっかりと結果を出した。

Australia 1 (Cahill 73) Oman 0

Australia :  1. Mark Schwarzer, 2.Lucas Neill, 3.Craig Moore, 4. Tim Cahill (28. Mile Jedinak 89), 5.Jason Culina, 7. Brett Emerton, 8. Luke Wilkshire, 9. Joshua Kennedy, 10. Harry Kewell (20. David Carney 79') , 11. Scott Chipperfield, 16. Carl Valeri (101. Dario Vidosic 70')
Subs not used: : 14. Brett Holman, 75. Patrick Kisnorbo, 81. Ante Covic, 112. Rhys Williams

Oman : 26. Ali Al Habsi, 2. Mohammad Rabee’a, 5. Mohammed Albalushi, 10. Fawzi Basheer, 12. Ahmad Mubarak (8. Badr Al Maimani 85'), 14. Hassam Al Hosni, 15.Ismail Al Ajmi, (9.Hashim Saleh 83'), 17. Hassan Yousuf, 20. Amad Al Hossani, 21. Ahmed Hadid, 25.Khalifa Ayil
Subs not used : 1. Mohammed Al Hooti, 6. Hussain Ali Farah, 11. Saad Al Mulkhani, 37. Jaber Al Owaiasi, 99. Qasim Saeed Cautions: 14. Hassam Al Hosni (89')  
   

そして翌月11月15日今度はアウェーで Asian Cup 予選のオマーン戦に臨んだ Socceroos は Kennedy, Valeli に替って Bresiano そして新鋭の Rhys Williams がスタメン入りしたがほぼベストメンバー。Luke Willkshire を守備的中盤に上げ、右サイドバックには若い Rhys William を置き、 Bresciano を2列目に置き、Kewell をワントップに据えた。
しかし酷暑の Oman の首都 Muscat で行われたゲームは開始からオマーンペース。18分にはペナルティーエリア内でRhys Williams の Fawzi Basheer へのタックルが後方から入ってしまい1発退場。PKを献上したばかりか以降70分以上の時間を一人少ない状態で戦わねばならなくなった。

         

このPK を Khalifa Ayle に一度は Schwarzer に止められるもそのリバウンドを押し込まれ先制ゴールを許した。
その直後の20分には Imad Al Honsi のショットが Schwarzer を破るがクロスバーを越えるなど防戦一方でGK Schwarzer, DF Neil を中心に Oman の猛攻を耐える。オーストラリアは24分に Cahill が決定的なシュートを放つが GK Ali Al Habsi がファインセーブ。しかしこのまま前半は終わるかと思われた43分、Bresciano がDF3人に囲まれながらファーサイドでボールを受けたWillkshire が代表初ゴールを決め試合を振り出しに戻した。 

           

後半に入っても1人多い Oman が攻勢をかけ続ける。54分には Hassan Yousuf’s のシュートを GK Schwarzer がキャッチするがその前に Craig Moore の手に当たった様に見えたがノーホイッスル。 PKを取られてもおかしくないシーンであった。
先制ゴールの Imad Al Honsi は後半に入っても2本の決定的なシュートを放つ。1本はゴールライン上で Willkshire にクリアーされ、もう1本は Schwarzer のファインセーブに阻まれた。 
66分にオーストラリアベンチは Cahill, Bresiano の攻撃的選手を下げ Brett Holman, David Carney, の二人を投入し相手の攻撃に対応する。しかし70分には Ismail Al Ajmi に GK Schwarzer がつり出され、パスを受けた Hasim Saleh が無人のゴールにシュートを放つが戻った Craig Moore がクリアー。 何とか追加点を阻み続けて来た。 そして82分、中盤でボールを拾ったWillkshire が左サイドを上がった Carney 送り、Emerton が Carneyのクロスに合わせて決勝ゴールを決め厳しいアウェーで勝点3を挙げ Asian Cup 予選突破に向けて大きく前進した。

Australia 1. Mark Schwarzer, 2.Lucas Neill, 3.Craig Moore, 4. Tim Cahill (14. Brett Holman 66), 5.Jason Culina, 7. Brett Emerton, 8. Luke Wilkshire, 10. Harry Kewell (75. Patrick Kisnorbo 89), 11. Scott Chipperfield, 23. Mark Bresciano (20. David Carney 66) , 112. Rhys Williams Unused Subs: 28. Mile Jedinak, 97. Brad Jones, 101 Dario Vidosic,

3日後の11月18日、クウェートがアウェーでインドネシアで引き分けた為この時点でオーストラリアはクウェートと勝ち点7、得失点差も共に +1だったが総得点でクウェートが上回りオーストラリアは2位となった。そして年が明けた1月6日 Kuwait City でのアウェー戦に勝てば Asian Cup 出場を勝ち取れるとこであった。そしてこの試合は FIFA が決めた国際Aマッチデーに指定されていなかったので A-League 勢を中心とした若手選手達にはワールドカップメンバー入りのアピールのチャンスでもあった........                                                                    続く

                         


England との対戦を望む Socceroos ?

2010-02-01 | 夏季五輪

England が ”順当に” 1次リーグを首位で勝ち抜ければD 組の2位チームと当たることとなりもし2位で決勝トーナメント進出となればD組の1位と1回戦で当たることとなるが、D組の1位勝ち抜け最右翼はドイツだ。 
傍観する方としては England vs Germany という屈指の好カードを是非見てみたいものだが、ワールドカップタイトルを狙う出場国からすればなるべく強豪との直接対決は避けたいところだろう….

6月最終土曜日 England は驚きの声を上げるかもしれない。 地球の裏側にある彼らは既に綿密な計画を立てている。オーストラリアは恐らく今大会もっとも厳しいグループに入ってしまっただろうが、彼らは決勝トーナメント進出をあきらめたわけではない。 その計画はシンプルだ。ドイツに続いて、セルビア、ガーナに先駆けてグループ2位で勝ち抜き6月26日 Rustenburg で行われる決勝トーナメント1回戦で Poms ( 英国人の豪州での俗称 ) を困惑させることだ。 
もし England が Group C を首位で勝ち抜ければ Group D の2位チームと当たる。 “何人かの選手達は England と同じグループに入りたい、と話していた。多くの選手たちが英国系の背景を持っておりそして England でプレーしているのでそれは理解出来る。 しかし England と戦えるということからくる有利な条件は1%足らずにすぎない。何故ならその為には1次リーグを勝ち抜かねばならないからだ。その可能性は地元のファン達を、ワールドカップへの関心をよりエキサイトにさせるだろう。そして選手達は次のラウンドに進むためにベストを尽くさねばと思う。 それが最初のターゲットだ、そして決勝トーナメント1回戦で England と対戦できることがそのボーナスとなる。 それは選手達にとってファンタスティックなことだろうがまずはこの難しいグループを勝ち抜く事に集中せねばならない。" 

Verbeek のチームの多くの選手が England のクラブでプレーする、Tim Cahill, Mark Schwarzer, Brett Emerton, Vince Grella そしてチームの主将 Lucas Neill. その Socceroos は2003年 Upton Park で England を 3-1 で降している。それは Wayne Rooney の国際試合デビューマッチであった。それは当時ほとんどサッカーに関心を寄せられなかったオーストラリアでさえ大きく騒がれた。 
Neil とその仲間達はワールドカップ本大会で England を破りオーストラリアのスポーツ史上に自分達を輝かせようと狙っている。オーストラリアはアジア地区予選ではまず中国を破りそして最終予選では2位の日本に勝点5の差をつけてグループ首位で本大会出場を決めワールドカップ初戦のドイツ戦を迎える。
2006年大会で Guus Hiddink のアシスタントであった Verbeek は前任者同様比較的前向きな考えを持ち続けている。 

“ 我々はこの難しい環境下で実によくやってきたと思う。 オーストラリアの選手達はハードにプレーする。そして奢ったところがない。 自分達をビッグスターとは思っておらず、ただチームプレーに従事し御互いハードにプレーし共にプレーできる事を大変な喜びとしている。 我々を破る事が難しいチームだ。予選ではコーナーキックからの1失点しか許さなかった、 ( メルボルンでの闘莉王のヘッド )  だから我々を打ち破るのは容易でないと言う事だ。そしてそれが我々のやり方だ。” オーストラリアは1974年大会では1次リーグで西ドイツに敗れたが、統一ドイツには 2005年の FIFA Confederations Cup ではグループリーグで 3-4 で敗れたものの健闘を見せた。そして1995年以来ガーナに対しては7戦して4勝を挙げており、この Black Star チームに対して1敗しか喫していない。
Verbeek は決勝トーナメント1回戦でイタリアに敗れた前回2006年大会以上の成績を目標にしている。 Verbeek の目標を達成するという事は Socceroos が彼らのクリケットチームが夏に出来なかった England を破るという事に挑むこととなる。 
“我々のグループは非常に難しく非常に否定的にみるチームもあるが、オーストラリア人がそうであるように相手が強ければ強いほど選手達は良い準備を施す。予選でも難しいアウェーの日本戦、中国戦を彼らは楽しんできた(共に 0-0 の引き分け ) そしてそれが England 戦を見据えていることであろう。” 

 

欧州の、と言うよりも世界屈指の列強国ドイツが入った Group D はガーナ、セルビア、そしてオーストラリアが同居する厳しいグループ。 ブラジル、ポルトガル、象牙海岸そして北朝鮮が入った Group G に匹敵する ”死のグループ” と言えよう。4カ国全てに次のラウンドに進出出来る可能性が高いのでこちらのグループの方が混戦模様になると思っている。日本のマスコミの評価ではオーストラリアが最も低い様だがそれはマスコミや自称ジャーナリスト連中の無知からくるものでしかない。 組み分け抽選の前に Pot 3 に入れられたアジア、北中米そしてニュージーランドの8カ国の中でシード国が引当たくなかったのがアメリカとオーストラリアだ。

ドイツが6月13日 Durban にて初戦に相対するのがオーストラリア。指揮をとるドイツ代表の Joachim Löw 監督は2005年の Confederations Cup の際にはコーチとしてベンチ入りしておりオーストラリアの潜在能力は熟知しているらしい。 
組み分け抽選後 “ 我々はこの抽選結果に満足している。 楽しみなグループだ。“ と前置きしながらも”我々は既に2005年の FIFA Confederations Cup でオーストラリアと対戦しており、彼らの難しさはよく知っている。初戦のオーストラリア戦に勝つことが重要だ。セルビアも大変 respect している。彼らはフランスを抑えて欧州予選をグループ首位で通過した。ガーナに関して、彼らはアフリカ No.1 だと思っている。対戦する3カ国は全て同等の実力を持っている。たとえメンタル面や文化の面で事なったものを持っていても。“
チームマネージャーの Oliver Bierhoff はフランス、ポルトガルと別の組になったことに安堵を感じるもオーストラリア戦は注意せねばならない、“オーストラリア、セルビア、ガーナ、ともに easy な相手ではない。”と語った。
Radomir Anticセルビア代表監督はドイツが頭一つ抜き出ていると語った。 “簡単には行かないであろう。 ドイツが筆頭だが、オーストラリア、ガーナともに過小評価は出来ない。ドイツは Football の文化があり World Cup の歴史がある。全てのチームに各々のスタイルがあり、我々はそれに対応せねばならない。しかしチャンスはあると思う。対戦相手も我々に脅威を感じているはずだ。”

Dusan Savic ヘッドコーチは “この組み分けに満足しているしかし我々は浮つくことなく注意せねばならない。対ドイツ戦同様、オーストラリア、セルビアともにリスペクトせねばならない。そして我々も過小評価される国でもない。またセルビア側の自信の減少はガーナの監督がセルビア人の Milovan Rajevas 氏であることにも寄与するらしい。ガーナの監督が我々の同僚 Rajevas であることは少し問題だ。彼は我々を知っている。もちろん母国と戦う事は容易ではないだろうが彼はプロフェッショナルだかならず強いチームを率いてくるだろう。 Ghana Soccernet ではガーナが厳しいグループに入ったとしながらもグループ内でオーストラリアが easy な相手と述べているらしい…" 

 Aussie Supporter 達はこの組み分けに対して勿論楽観的な考えはもっていない。彼らの拠り所は上記されている 2003年2月12日、 Upton Park で England にアウェーの地で勝利した事とドイツで開催された 2005年に FIFA Confederations Cup でそのドイツを相手に健闘した事。そしてそれらの2試合がいずれも Guus Hiddink 監督が就任する以前に行われた事。 その時のメンバーは下記の通りだった。

12.February 2003 Upton Park
England 1-3 Australia ( England : Francis Jeffers, Australia : Tony Popovic, Brett Emerton, Harry Kewell )

England
GK David James, Gary Nevile, Ashley Cole, Frank Lampard, Sol Campbell, Rio Ferdinand , David Beckham, Paul Scholes, James Beattie, Michael Owen, Kieron Dyer
Substites : GK Paul Robinson, Dannu Mills, Paul Lonchesky, Owen Hargreaves, Ledley King, Wes Brown, Jermaine Jenas , Danny Murphy , Francis Jeffers, Wayne Rooney, Darius Vassell

Australia
GK Mark Schwarzer, Lucas Neil, Stan Lazaridis, Craig Moore, Tony Popovic, Brett Emerton, Paul Okon, Josip Skoko, Mark Viduka, Scott Chipperfield, Harry Kewell, Substitutes : Marco Bresiano, John Aloisi, Tony Vidmar, Vince Grella, Mile Sterjoski, Kevin Muscat

15 June 2005 Commerzbank Stadion
Germany 4-3 Australia ( 17 Kuranyi 1-0 , 21 Skoko 1-1, 23 Mertesacker 2-1, 31 Aloisi 2-2, 60 Balak 3-2, 88 Podolski 4-2, 90+2 Aloisi 4-3 )

Germany
GK : Oliver Kahn, Arne Friedrich, Robert Huth, Bastian Schweinsteiger ( 83 Fabian Ernst ) , Torsten Frings, Michael Ballack, Thomas Hitzelsperger, Per Mertesacker, Bernd Schneider ( 76 Sebastine Deisler ) , Lukas Podolski, Kevin Kuranyi ( 68 Gerald Asamoah )

Australia
GK Mark Schwarzer, Kevin Muscat, Craig Moore, Lucas Neil, Tony Popovic ( 57 Jon Mckain ) , Brett Emerton, Josip Skoko, Tim Cahill ( 74 Jason Culina ) , Scott Chipperfield ( 83 Archie Thompson ) , John Aloisi, Ljubo Milicevic

2003年の England 戦は England は後半に全選手を入れ替えたがベストメンバー。この試合は日本でも少し話題になったがそのトピックは Wayne Rooney の代表デビュー。私はオーストラリアが勝った試合と云う印象の方が強い。 3年後、 Lazaridis, Popovic , Okon, Skoko らを除くメンバーがワールドカップの日本戦に出場。 England とアウェーで勝ったメンバーが相手では日本が苦戦、敗戦したのは今更ながら納得させられる。 AFC から出場の4カ国の中でもっとも決勝トーナメント進出の可能性が高いのはオーストラリア。国民の期待も4年前とは大きく異なっている。しかしチームを率いる Tim Verbeek 監督の悩みはまだまだ尽きない様だ。                                                       続く.......