Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

なでしこと対戦する NZ代表 Football Ferns

2008-07-30 | Aussie & Kiwi
今週初めから南半球のニュージーランドに来ている。7月末の南半球は真冬。真夏の日本からの気候の変化に覚悟はしていたものの Auckland 空港に降り立つや豪雨と突風の出迎えには閉口した。おかげで仕事が終わってもホテルに直帰。寒さの苦手な私はとても外の出る気がしない。

ここニュージーランドで今最も話題となっているスポーツの Subject は五輪ではなく Tri Nations Rugby 。先週末には Sydney で ALL BLACKS が Wallabies に 19-34 で敗れた。前のブログでも書いたが Wallabies の監督は元 Crusaders の監督でニュージーランド人の Robbie Dean。昨年ワールドカップ終了後次の ALL BLACKS の監督になるものと誰もが思っていたのがラグビー協会 NZRU は Graham Henry 監督の続投を決め、その決定を受けて同じくワールドカップでベスト8に終わった Wallabies の後任監督にRobbie Dean がいち早くノミネートされそのまま Wallabies の指揮を執る事に。 その Robbie Dean の指揮する Wallabies にさっそく ALL BLACKS はアウェーとはいえ完敗を喫したのだ。 これで Robbie Dean が監督就任後 Wallabies は5連勝。( Ireland, France に2連勝、Tri Nations で 南ア、ニュージーランドに連勝。)試合終了後スタンドで試合を見守っていた Dean 氏にサポーターの一人が Gold and Green のマフラーをかけるなど完全に地元の人々のハートを掴んだとニュージーランドの新聞は述べている。 タクシーの運転手が “ここでは半分以上が Wallabies を応援しているよ。”と言うほど Robbie Dean の渡豪を許した NZRU に地元の人達は不信感を抱いているらしい。
8月2日に Auckland でリターンマッチが行われる。この試合にALL BLACKS が敗れれば2005年以来勝ち取り続けていた Tri Nations のタイトルは奪われる事となり、Graham Henry 監督のクビも危うくなるらしい。この試合で Dean はブーイングを浴びるのだろうか…… 

北京五輪開幕まで10日を切った。開幕前の8月6日から女子のサッカーが始まる。そしてなでしこジャパンはニュージーランド代表 Football Ferns との試合に臨む。

“この試合が我が国にとって最初の出場種目。勝ち星を挙げて後に続く選手団のモチベーションを上げたい。”

こう語るのは日本代表の佐々木監督だけではない。 Ferns の John Herdman 監督も同じだ。 7月29日。雷雨の為に打ち切られた男子の日本五輪代表対アルゼンチン代表戦の前に行われた女子の日本対アルゼンチン代表戦でなでしこ達は2-0 とアルゼンチンを一蹴。24日に行われたオーストラリア女子代表 Matildas も 3-0 で降している。共に五輪出場国では無いが上位進出を考えればなでしこ達の方がずっと可能性が高いのではないか???? しかしそれでなくてももっとなでしこジャパンを報じたり女子サッカーの展望などを論じる専門誌があってもよいのではないかな?????ならば私がと言う訳ではないが、仕事の担当地域でもあるニュージーランドが初戦の相手なのでここで Football Ferns と呼ばれるチームを分析してみよう。

2007年ワールドカップに出場
オーストラリアがAFC に移ったことからオセアニア地域は New Zealand 以外に対抗できる代表チームが無く無風で昨年中国で開催された女子のワールドカップの出場権を得ることが出来た。しかし戦績は3戦全敗。 Brazil 0-5, Denmark 0-2, 中国 0-2 。勝ち点も得点もあげられずに1次リーグ敗退となった。しかしこれはある程度予想された結果らしく、むしろ16年ぶりに世界の大会に出場した事を女子サッカーの興隆のきっかけとしたいらしい。 このワールドカップメンバーに選ばれたメンバーの中から12人が北京五輪メンバーに選出されている。また同時に昨年開催された FIFA U-20 選手権のメンバーも多く含まれている。
Football Ferns のメンバーは下記の通り。

Goalkeepers: Jenny Bindon (Waitakere City), Rachel Howard (TSV Crailsheim).

正GKは何と言ってもアメリカ生まれの35歳のベテラン選手 Jenny Bindon。ワールドカップ3試合はフル出場。文字通りチームの精神的重鎮でもある。ワールドカップでは劣勢の中雨あられと降る相手のシュートを何度も防いだシーンが印象的。 なでしこ達は彼女が守るゴールをこじ開けねば勝利はない。(当り前か…….)第2GKのRachel Howard はワールドカップメンバーであったが Bindon の控え。五輪代表決定後の7月16日、中国代表との試合で残り30分だけ出場した実績があるが、もし大会期間中に Bindon が怪我等で離脱した時。彼女がその代役を務められるか…….. 

 

Defenders:
Anna Green (Three Kings United)
Abby Erceg (Western Springs)
Kristy Hill (Three Kings United)
Marlies Oostdam (Eastern Suburbs)
Ria Percival (FC Indiana)
Rebecca Smith (Sunnana SK)

Ria Percival は米国リーグ FC Indiana に所属する19歳のフルバック。2006年FIFA U-20 にフル出場し昨年のワールドカップにも3試合スタメン出場。Abby Erceg も19歳ながら代表歴25試合の実績を持ち2006年FIFA U-20に出場し、ロシア戦では2-3 と敗れはしたがゴールを決めている。そして2007年ワールドカップにフル出場。Rebecca Smith はスウェーデンリーグでプレーする27歳の“ベテラン選手”で2003年ワールドカップ予選からのメンバーで昨年のワールドカップには3試合フル出場でチームキャプテンも務めた。この3人に加えて左サイドバックのスペシャリストAnna Green か30歳のベテランでワールドカップメンバーでもあった Marlies Oostdam のいずれかで4バックを組むと思われる。Oostdam そして Smith が怪我で大会に間に合うかが危ぶまれたが二人揃って7月26日のカナダ戦 ( 1-1 の引き分け ) にフル出場を果たした。DF陣はなでしこ達よりフィジカルで勝るかもしれないがここはテクニックで翻弄をしたい。

Midfielders
Katie Hoyle (Lynn Avon United)
Emily McColl (Cocoa Expos/Coastal Carolina University)
Hayley Moorwood (Lynn Avon United)
Ali Riley (Stanford University)
Kirsty Yallop (Lynn Avon United)

守備的 MF の Ali Riley, Katie Hoyle がスタメン候補最右翼。日本戦はともかく、ノルウェー、アメリカと格上相手に押し込まれる展開が続くであろうからこの二人のプレーに期待がかかる。特に Riley はFIFA U-20, そして昨年のワールドカップにも出場した実績がある。Kirsty Yallop は2006年のFIFA U-20 メンバーながら昨年のワールドカップは怪我で選出されなかった。その悔しさを五輪にぶつけてくるだろう。 3月の五輪予選のパプアニューギニア戦 ( 2-0 ) 、そして同じく3月の韓国での Peace Queen Cup の韓国戦 ( 1-2 ) でゴールを挙げて復活をアピール。五輪メンバー選出後4試合すべてにスタメン出場を果たしている。 Hayley Moorwood はワールドカップメンバーで3試合スタメンを果たしている。23歳ながら代表歴33試合で3得点の実績。またワールドカップメンバーで3試合すべてにスタメン出場を果たした Emily McColl はPeace Queen Cup ではアルゼンチン戦 ( 1-0 ) カナダ戦 ( 0-2 ) に出場を果たしたが五輪代表発表後の5試合では7月16日の中国戦 ( 1-3 ) と26日のカナダ戦 ( 1-1 ) に途中出場をしたのみでプレー時間も合計33分間。怪我でもしているのか? 
そしてMFでは FIFA U-20 に出場しワールドカップメンバーでブラジル戦、デンマーク戦に出場した Emma Humphries が選ばれていない。 怪我でもしてるのかな?もしそうなら Football Ferns にとって大きな痛手だ。 MFは守備偏重で攻撃に少し難があるかもしれない。 

   

Forwards:
Amber Hearn (Lynn Avon United )
Emma Kete (Lynn Avon United)
Renee Leota (Western Springs FC)
Merissa Smith (Three Kings United)
Rebecca Tegg (Eastern Suburbs)

Rebecca Tegg の怪我からの復帰が心強い。昨年のワールドカップのブラジル戦は前半で退いたがそれ以来の代表復帰だ。(おそらくブラジル戦で負傷したままプレー出来なかったのではないか??) また元 Arsenal のストライカー Amber Hearn が3年ぶりに代表に復帰した。Tegg はまだ7月16日の中国戦で55分間、20日の中国戦 (0-1) で17分間そして26日のカナダ戦で18分間出場をしただけで日本戦のスタメンに出てくるかは微妙だが、Tegg が出ないとなるとFIFA U-20 に出場した Emma Kete 同じく U-20 メンバーの Renne Leota のいずれか、または二人がツートップを組むかもしれない。 

  

上記した通りこのチームには20歳未満の選手が5人含まれた平均年齢22歳の若いチームだ。チームの指揮を執るイングランド人の John Herdman 監督は就任2年を過ぎこの大会が一つの集大成となっているらしい。 3月8日にポートモレスビーでパプアニューギニアを 2-0 で降し五輪予選突破を決めると翌週には韓国で開催された Peace Queen Cup に参加。五輪予選前もオーストラリアで Matildas と3試合行い ( 0-2, 1-2, 2-4 で3連敗 ) 代表発表後も4試合を組んだ。 7月12日 Sydney オーストラリア 1-2, 7月16日青島 中国 1-3, 22日青島 中国 0-1, 7月26日シンガポール カナダ1-1 。 
勝ち星こそないが暑さ対策それから実際に試合を行い青島で中国と2試合行うなど ”ニュージーランド“にしてはずいぶんと周到な準備をしている。そして26日のカナダ戦での引き分けは非常に自信を深めたのではないか??昨年12月には中国協会の招待で中国遠征も行っている。なでしこ達の準備は大丈夫か………
ニュージーランド女子はFIFA ランク24位となっている。日本は10位、ノルウェー5位そしてアメリカ1位となっているが Football Ferns もなでしこもとにかく初戦は絶対に勝たねばならない試合。8月6日は当地ニュージーランドで完全アウェーの状態で??なでしこ達の健闘を祈りながらテレビ観戦となりそうだ。

今年11月19日から12月7日、南米のチリで女子のU-20選手権が開催され日本もニュージーランドも出場権を勝ち得ている。そして10月28日から11月16日まで第一回 FIFA U-17 Women’s World Cup がニュージーランドで開催される。日本も韓国、北朝鮮と共に出場権を得ている。この五輪をきっかけに更なる飛躍をと思っているのは世界中どこでも同じと言うことだろう。

またブラジル、ベルギーそして中国と同じ組に入った男子の五輪チーム Thai Airways Ply-Whites のメンバーは下記の通り。

Goalkeepers:
Liam Little (Caversham AFC/Otago United), Jacob Spoonley (Miramar Rangers)

Defenders:
Michael Boxall (Santa Barbara University), Ian Hogg (Western Suburbs/Hawke's Bay United), Sam Jenkins (Western Suburbs/Hawke's Bay United), Ryan Nelsen (Blackburn Rovers), Steven Old (Macarthur Rams), Jack Pelter (unattached), Aaron Scott (Melville/Waikato FC), Cole Tinkler (Miramar Rangers/Team Wellington).

Midfield:
Jeremy Brockie (Miramar Rangers/Hawke's Bay United), Simon Elliott (unattached), Craig Henderson (Dartmouth College), Cole Peverley (Stop Out FC/Hawke's Bay United), Shaun van Rooyen (Western Suburbs/Waikato FC).

Forwards:
Daniel Ellensohn (Western Suburbs/Team Wellington), Chris Killen (Celtic FC), Sam Messam (Napier City Rovers/Hawke's Bay United)

Management:
Stu Jacobs (head coach), Jonathan Gould (assistant coach/goalkeeper coach), Jim Hogg (manager), Andy Foskett (sports science), Justin Lopes (physiotherapist), Andy Smith (trainer), Jake Pearson (doctor). 

  

特筆すべきは Premiership の Blackburn Rovers の中心選手 Ryan Nelson が 所属先の Rovers が“最初の2試合までなら”と言うことでリリースを認めてOver Age として選出されたこと。どこかの五輪チームと対照的だ。ジャカルタでインドネシア代表に 1-2 で敗れるなどしているが Ryan Nelson が合流する五輪ではどういう結果を残すのだろう?8月7日の初戦は瀋陽で地元中国と。そして10日にブラジル、13日にベルギー戦と続く。

サッカーはどこにでもある。南半球のオセアニアでもサッカーを愛する人がいるのだ。

そんな人とまだ五輪のサッカーに就いて話していないなぁ………. それにしても何と言う氷雨だ。

中国も日本もかなり蒸し暑いのだろうなぁ…….. 

  

北京に向けて 日豪の戦い。

2008-07-29 | Aussie & Kiwi

これと言った見せ場が少なかった試合が動き出したのは前半33分、細貝の縦パスを Over Age の Jade North がクリアー。そのボールを正面で受けた吉田麻也がすぐ右にいた水本裕貴に渡したがパスが緩く Nikita Rukavysta にインターセプトされてしまい、Rukavysta はそのままゴール前にドリブルで持ち込む。そして右から走りこんだ Archie Thompson に渡し、フリーの Thompson が後方から懸命に戻る長友裕都がマークに入る前に放ったシュートは山本海人の守るゴールネットを揺らして Olyroos が先制ゴールを挙げた。Rukavysta のインターセプトとドリブル、 Thompson のスピードも見事だったが Rukavysta にボールを取られた時に水本、吉田そして本田拓也の3人がマークに入ってしまい、Thompsonをフリーにしてしまったのが痛かった。ここは吉田、または本田拓のどちらかが Thompson の動きを注視出来なかったか……
しかし、これで目が醒めたか日本の Olyroos ゴール前での動きが速くなる。35分にはスローインを受けた李忠誠が North, Mark Milligan の間からシュートを放つ。これはGK Tando Velaphi がパンチングでコーナーに逃げるが香川が入れたそのCKを細貝萌が Milligan, Matthew Spiranovic と競りながらもヘッドで合わせるが惜しくもポストの右に外れる。この香川のCKは見事だったが Near Side で North を引き付ける動きをした吉田の動きも良かった。そして41分、長友が左サイドで頑張りスローインを得ると、細貝、本田圭祐とつなぎ逆サイドの内田篤人に。内田は中に走りこむ李に送ると Spiranovic を背負った李はボールをスルーさせると今度は森本がマークに付いた North をかわす様に後ろ足でボールをすらすとそこには走りこんだ香川が。香川には Milligan が追いすがるがそのまま香川が撃ったシュートはGK Velaphi を破って同点ゴールが生まれた。この一連のボールの流れは本当に見事で Olyroos の守備陣は完全に振られてしまっていた。 先制されてすぐに追い付くところはこの試合の残りは期待出来ると思った。ただ前半終了間際で倒れた細貝が心配であったが…… 
  
  


後半は立ち上がりから Olyroos が少し押す展開に。長身を生かすべくゴール前にロビングを入れて来る様になった。46分には右サイドの McClenahan が入れたロビングに Sarkies が飛び込み、一旦は内田がクリアーするもののボールが再び Sarkies の前に転がりそのままシュートを撃たれるが至近距離ながら正面を突いた事もありGK山本がキャッチ。再びリードを許すピンチでもあった。 Olyroos は右サイドから McClehnahan が中にロングボールを入れて来るのが目立ったがGK山本そしてDF陣が落ち着いて対処し失点は許さなかった。逆転を狙う日本は47分、本田圭祐からのパスを受けた右サイドの内田が Nikolai Topor-Stanley をかわして中に入れたところ後半から李忠誠に替って出場した谷口博之が Spiranovich と競り合いながらシュートを放つなどの積極的な動きが目立つ。
後半に入って高温多湿の気候に日豪両選手動きの差が出てきたか日本が優勢に試合を運ぶが Olyroos も何とか踏ん張りこのまま引き分けかと思われた89分左サイドで相手陣内深い位置でボールを受けた安田が中に切れ込まずに谷口に戻す。PAのやや外から入れたクロスを Supiranovich の前で谷口が頭で合わせたシュートはオーストラリアゴールに入り試合をひっくり返した。 GK Federici はボールがポストの右を通過すると反応しなかったが、あのコースに飛ぶと例え反応してもセーブは難しかったか….. 

  

終了間際のCKに Olysoos は Spiranovich, 途中出場の Ruben Zadkovich そして Topor-Stanley の長身選手達が飛び込むがキーパーチャージを取られる。2分あったロスタイムの間もスコアーは動かず日本がメンバー発表後の初戦を白星で飾った。 後半の日本は特にサイド攻撃が顕著だった。特に左サイドでスタメン起用された長友は前半から何度も相対する McClenahan を振り切る場面が続いた。83分に内田に替って安田理大が投入されると右サイドに入る両サイドこなせることを証明した。サイド攻撃にみならず前半の同点ゴールシーンに代表される連動性も顕著に見られた。これは高温多湿に慣れない Olyroos には堪えたのではないか? また1対1でもほとんど負けていなかった。谷口、香川が得点を挙げ、他にも長友がいい動きを見せるなど最終予選6試合に出場しなかった選手が結果を残したこの試合内容に反町監督はまず一安心しただろう。欲を言えば森本か李のFW陣にゴールが欲しかったか….そして細貝の肋骨にひびが入ると言う負傷の回復が非常に心配だ。万が一バックアップメンバーからの起用となると青山直晃か上田康太か…….

だが試合結果にはまさか諸手を挙げて喜んではいまい。この日の Olyroos は7月20日に行われた中国五輪代表戦からメンバーを7人替えていた。 GK Federich は五輪最終予選では1度も招集されなかった選手で子の日本戦が初登場。おそらく第2GKとなるだろう。そして Ruben Zadkovich, Mark Milligan のレギュラー候補はスタメンを外れ、もっとも妥当な Over Age と言われている代表でレギュラーポジションを勝ち取った David Carney は所属先の Sheffield United の都合で日本戦には合流出来なかった。そして高温多湿と遠征の疲れか動きは時間を追って少なくなっていた。 だがこのアジア独特の?気候が五輪で対戦するアメリカ、ナイジェリアそしてオランダに対して日本に味方するかもしれない。

一方の Graham Arnold 監督。中国、日本との連戦で何か光明は見出せただろうか?昨年のアジアカップで失敗した気候対策は見つけられたのだろうか?この試合では Nikolai Topor-Stanley が時折見せたサイドからの突破と“サプライズ選出”となった Nikita Rukavysta のスピードが武器となりうることが確認されたが………. Serbia, Argentina そして Ivory Coast を相手に目標であるグループリーグ突破はなるのだろうか??ハイクロス、ロングボールを多用する方策はアジアでは通じるが五輪に出てくるチームが相手ではどうだろう……

日本は7月29日アルゼンチンと。オーストラリア五輪チーム Olyroos は31日にソウルで韓国五輪チームと試合を行う。 

五輪開幕までいよいよあと10日ほどとなって来た。久々にテレビガイドでも買おうかな......
 

でもやっぱりスポーツは現場でみたいなぁ…………


メダルを狙う オーストラリア五輪代表 Olyroos 達

2008-07-24 | Aussie & Kiwi
北京五輪の開幕までいよいよ2週間余りとなって来た。開会式より早く男女のサッカーは開幕する。日本の五輪メンバー18人は7月14日に発表され24日にオーストラリア五輪代表29日にはアルゼンチン五輪チームを迎えて代表発表後の連戦に臨む。
アルゼンチンに就いてはメッシやリケルメが出るとか話題になっているがオーストラリア五輪チーム Olyroos を語る、いや語れるマスコミ、専門誌はほぼ皆無だ。ならば私が??と言う訳ではないが24日神戸で日本五輪チームと対戦する Olyroos を自分なりに纏めてみた。そのオーストラリア五輪代表チームのポジション別のメンバーは下記の通り。

GK : Tando Velaphi ( Perth Glory )
   Adam Federici ( Reading : ENGLAND )

このポジションが Graham Arnold 監督が最も悩むポジション。最終予選では Central Coast Mariners の守護人 Daniel Vukovich が6試合全て自陣ゴールを守り通した。しかし今年2月の Hyundai A-League の Grand Final の終了直前の Mark=Shield 主審に手を出し退場に。試合も敗れたばかりか本人の処罰は当初オーストラリアフットボール協会F.F.A. は15カ月の出場停止処分と発表したがこれはあくまでも A-League に限られたことでAマッチを含めた国際試合に適用されるかどうかが焦点となっていた。その後チーム、本人からの“控訴”により A- League 出場停止期間はずいぶん緩和され8月29日から10月5日までの間となった。しかし五輪、A代表としての出場については6月11日 FIFA から2009年1月25日までとの判断が“確認”され Vukovich の五輪出場の可能性が断たれてしまった。これには本人はもとより F.F.A. Mariners 関係者、五輪代表スタッフはショックを隠し切れなかった。主審に手を出したのは決して許されることではないが、その判定が“明らかに”主審の誤審。地元では Vukovich に同情的な声が多かった。現在A代表こと Socceroos ではワールドカップ、 Asian Cup でもゴールを守った Mark=Schwarzer がいるが、彼の後継者として Vukovich は期待されていただけに9月から始まるワールドカップ予選にも不安感を募らせることに。
2008年に入って Olyroos は3月のアメリカ遠征から活動を始動。5月17日から26日までマレーシアで開催された国際大会で5試合を行ったが主に GK は五輪予選では第2GKだった Tando Velaphi が担って来た。
6月28、29日には“最終選考会”の一環として Darwin でチリ五輪チームと2試合を行いそこでは Justin Pasfield ( Sydney United ) Chris O’Connor ( Bray Wanderers : IRELAND ) がそれぞれ“最終試験”に臨んだが Velaphi を脅かす存在でもなく五輪メンバー入りも叶わなかった。Pasfield は2005年オランダで開催されたFIFIA U-20 メンバーにも選ばれ1-1 に終わった日本戦に出場。その時の控えGKが Velaphi だった。正に立場が逆転したのだった。Velaphi は2007-08 シーズンはチームの正GK Jaspn Petkovich が前シーズンの負傷が癒えるまで8試合ゴールを守った。第2GKには Adam Federici が選ばれたが日本戦では恐らくこれまで出場機会が無かった Federici がではないかな??それとも Velaphi がレギュラーかの最終試験か......

DF : Ruben Zadkovich ( 左サイドDerby County : ENGLAND )
   Adrian Leijer ( CB Fulham Athletic : ENGLAND )
Mark Milligan ( 右サイド or CB : EX-Sydney FC )
Matthew Spiranovic ( CB or CHF : FC Nurnberg : Germany )
Trent McClenahan ( 右サイド Hereford United : ENGLAND )
Nikolai Topor-Stanley ( 左サイド or CB Perth Glory )
Jade North ( 左サイド or CB Newcastle Jets ) : Over Age

最終予選に出場した6選手は出場時間が360分、4試合以上の選手ばかり、その上Over Age のJade North も選ばれた。妥当と言うよりの不動のDFラインだ。そして最終予選では Leijer , Milligan がそれぞれ2得点ずつ挙げている。総得点7点中DFが4得点とはどこかの代表チームの様だが特に最大のライバルと見られていたイラク戦ではアウェー,ホーム共にはイラク攻撃陣を完封し、ホームではこの二人のゴールで勝利を上げ五輪出場に大きく前進した。
オーストラリアは Socceroos, Olyroo そして A-League と4バックが主体。左サイドにZadkovich, CB にはTopor-Stanley と Jade North そして右サイドに Mark=Milligan がスタメンではないか? Mark=Milligan は昨シーズン1月の A-League 日程終了後は Agent と共に渡欧の可能性を探っていた。そして Manager, Agent の連絡ミスから??5月の合宿に現れずマレーシア遠征から外されたが合宿に遅れたのは欧州のクラブチームのテストを受けていたかららしい。
それでも Arnold 監督は Milligan は外さなかった。いや外せなかったと言った方が適切か??
このDF陣を見ると日本と随分縁のある選手が並ぶ。Trent McClenahan は2005年 FIFA U-20 の日本戦に出場しカレン=ロバートや平山と相対した。Zadkovich, Topor-Stanley そしてMilligan は昨年 Sydney FC のメンバーとして浦和 REDS との試合に出場した。特に Topor-Stanley はホームでの試合は左サイドで出場したがさいたまスタジアムでのリターンマッチでは191cm の長身を生かしてCBに入りワシントンのマークに着いた。そのTopor-Stanley は North とCBを組んで五輪ではアルゼンチン、セルビアの攻撃陣を抑えにかかる。North は本来左サイドのポジションで起用されることが多いが2月の Frand Final では CB でも起用された実績がある。Adrian Leijer をベンチに温存できるのは大きいと思うがタレントの揃ったDF陣に Over Age の Jade North を加えるのは得策でないという声も多い……….

MF : Stuart Musialik ( CMF : Sydney FC )
Kristian Sarkies ( Offensive MF : Adelaide United )
Neil Kilkenny ( CMF : Leeds United : ENGLAND )
Blagoja Celeski ( Offensive MF : Melbourne Victory )
James Troisi ( 左MF : Newcastle United : ENGLAND )
David Carney ( 左MF Sheffield United : ENGLAND ) : Over Age

A代表歴もあり最終予選では全試合に出場しホームのレバノン戦でゴールを挙げた Melbourne Victory 所属の Nicholas Ward は選ばれなかった。Over Age の David Carney が選出されたがMF陣を見渡しての感想は“超攻撃的”または“ディフェンスはどうするのだろう??” そして右サイドは誰が担うのか…… 左サイドは David Carney で決まりだ。ワールドカップ予選ではサイドバックで起用される事が多かったが中盤の左が彼のもっとも得意とするポジション。昨年のACL では Sydney FC のメンバーとして浦和 REDS とも対戦。その攻撃力は浦和DF陣を苦しめた。また Asian Cup の日本戦にも先発出場している。右サイドには Sarkies または Celeski を起用して Musialik, Kilkeny を中盤の底に置くか?それともタレント豊富なDF陣をこの位置に入れるか?
Sarkies,Kilkeny はともに2006年のワールドカップの予備メンバーでドイツまで帯同した。そして6月のワールドカップ3次予選の最終戦の中国戦に出場している。 Musialik, Sarkies そして Celeski は2005 年FIFA U-20の日本選手出場している。

FW : Mark Bridge ( Sydney FC )
Nikita Rukavysta ( Perth Glory )
Archie Thompson ( Melbourne Victory ) : Over Age

Nathan Burns, Bruce Djite の元 Adelaide United コンビ、そして David Williams ( Brondby ) らがそろって落選したことは一種の Supplies であった。この二人の落選に就いては Arnold 監督も記者会見で記者達の質問に答えているが、北京での暑さに耐えられるか疑問であった事と(おそらく国際舞台での) FW経験の不足を挙げたらしいがそれは正しいとは言い難い。まずこの二人は6月のワールドカップ予選では常にチームと帯同し中東遠征にも参加。 Djite はホームのイラク戦、アウェーのカタール戦には途中出場も果たしている。 Perth Glory 所属の Rukavysta は昨シーズンA-Leagueでは20試合出場し6ゴールを決めている新星ではあるが、Djite, Burns の方が1枚上手出はなかったか? Rukavysta は最終予選では2試合ベンチ入りを果たしたのみで出場機会はなかった。来るシーズンは Djite ( Genclerbirligi Turkey ) Bruce ( AEK Athens ) 共に渡欧するがそれが影響しているとは………この二人が Adelaide から抜けたのは9月に ACL で対戦する鹿島には”吉報”だ。
日本戦では Mark Bridge と Archie Thompson の2トップが起用されると思われる。 Mark Bridge は昨シーズンの Grand Final では決勝のミドルシュートを決めて当時所属していた Newcastle Jets を王者に導いたがそのシュートの強烈さは印象的で今でも忘れられない。 も一人のFWは Thompson だと思うが昨シーズンは所属先の Melbourne Victory では彼のボールキープを生かすべくむしろ2列目で使われていた。Thompsonは昨年の Asian Cup では何試合か出場を果たしたがワールドカップメンバーであったが出場機会は無かった。
Arnold 監督としてもこのFWのポジションがGKの次に頭を痛めたのではないか?当初は Kewell, Breschiano の召集を試みたが叶わず、2006年のワールドカップに”出場”したメンバーを起用したかったらしい。 最終予選でFWの得点は Mark Bridge と David Williams が1点ずつを挙げたのみ。それもホームの Lebanon 戦,
得点力不足は日本に限ったことでは無いという事か.....

Olyroos は7月4日のメンバー発表後は12日に Sydney で New Zealand ( 3-2 ) と 20日には中国 (0-1 ) と 長春で試合をこなし24日に日本、31日にソウルで韓国と試合を行い8月7日にセルビア(上海)10日アルゼンチン(上海)そして13日象牙海岸(天津)との試合に臨む。日本より10日早くメンバーを発表したことにより中国にまで”下見”をする事が出来た。
しかし反町監督にも同情を禁じえない。 A-League は2月に日程を終了し欧州のリーグは5月末までに各国ほぼ日程を終えているのでオーストラリアの方が召集、合宿そして遠征を組みやすかったのは間違いない。
 
前回はベスト8に終わったが(準々決勝でイラクに敗れる)今大会の目標は1次リーグ突破そして Ned Zelic, Tony Vidmar, Paul Okon そして Tony Popovic らを擁して準決勝に進出したバルセロナ五輪以来戦績を狙う。幸い?セルビアがレッドスターをはじめ地元クラブの選手供出に難色を示し混迷が始まっている。もし準決勝進出となれば Arnold 監督はAsian Cup で失墜した権威を回復するチャンスだ。 

その Olyroos と女子の Matildas が来日し日本五輪代表となでしことゲームを行うが試合会場は神戸だ…….

残念だけどテレビ観戦しかないな……. しかし反町ジャパンは大丈夫なのだろうか??  

EURO2008 6.30 余韻を残してモーツァルトの街 Salzburg に……

2008-07-20 | EURO Football

EURO2008 の Final の翌日。興奮が体内に残っていたのか朝6時に目が醒めてしまった。床に就いたのは午前1時少し前だったのに….. しかし窓の外は曇り。そしてとうとう雨が降って来た。
テレビを見ながら、スイスで買った“高い”ビスケットの残りをかじりながら、前夜 Stadium からの帰り道に買ったコーラを飲みながらメールの整理をする。ここのホテルでは ARD や RTL と言ったドイツのテレビ局が受信できる。ある局のニュース番組では前日数千人が集ったという Berlin の Fan Zone からの中継でそこで一夜明かしたと言う人達のインタビューなどが映されていた。そして試合のハイライトが流れる。面白かったのはミックスゾーンでインタビューを受けていた Schweinsteiger の脇をスペインの選手達が “ Campeones ! Campeones !! “ と叫びながら子供が電車ごっこをする様に列をなして走り回りインタビューを遮ってしまったシーンが映された時だった。その時の Shcweinsteiger の呆れた表情は面白かった。しかしそれは決して憎悪や批難の眼差しでも無かった。試合翌日にこう言うシーンをテレビを通してでも見られるのは“地元”にいる特権か?? 
しかしゆっくりもしてられない。この日は列車で Salzburg まで日帰りで行かねばならなかった。荷物をまとめてホテルを出てU-Bahn に乗り当初宿泊しようとした Westbahnhof の近くのホテルに行った。まだ部屋の準備は出来ていなかったので手続きだけを済ませて荷物を預けて徒歩5分足らずのWestbanhof に向かった。最初はここのホテルに2泊するつもりだったがさすがに決勝戦の夜は満室で取れなかった。このホテルは国際列車の発着が多く、また空港行きのバスも出ている Westbahnhof の近くにあり、また近くに安いスーパーもあり非常に便利でいつも泊まることにしていたが、前日泊まったホテルも悪くはなかった………

Westbahnhof には寿司の Take Away 店があった。何度かここを使っているがこの Take Away 店舗を見たのは初めてだ。さっそく Sushi Bento を買った。聞けばここの御主人は中国人との事。 “どこそこの国で寿司を食ったけどひどいものだった…..” と言う日本人旅行者がいるが、はっきりいって私はすべてがそうだとは思わない。 Take Away Sushi などは日本の Take Away 店よりレベルの高いところが多い。 Australia や New Zealand では海苔巻が握り鮨よりも人気があるが、そこの海苔巻は結構レベルが高い…….。

プラットホームにはドイツ人とスペイン人が何人かいた。さすが Westbahnhof ここから国境を越える列車で帰国するのだろう…..さすがにスペイン人達は誇らしげ。中には国旗を纏っている人達も。ドイツサポーター達とニアミスをしても決して紛争など起る雰囲気ではなかった。 私の待つプラットホームではドイツ語のアナウンスしか流れない。その為かスペインサポーターの一人が乗車券を見せながら英語で私に何か話しかけてきた。私が乗る列車と同じだったが、掲示板のところの “15分遅れ” と言う案内がわからなかったらしかったので自分と同じ列車であることと到着が遅れることを教えた。そして彼らの “ Espana ! Campeones !! “ と言うとよほど嬉しかったのか持っていた缶ビールを飲んでくれとばかりに一本差し出された。しかしこれから Salzburg で仕事があるからと丁寧に断った。
Salzburg まで所要時間は約3時間。しかし社内には電源を取る単相の差し込みが付いていて到着までさっき買った寿司を食べながらパソコンを使う事が出来る非常にありがたい列車だった。日本の新幹線ももっとこのあたり改善をしてくれると有難いのだけど……

Salzburg に到着したが時間が無いので今回は顧客のところを訪問してすぐに Vienna に戻るためにすぐにこの中央駅に引き返さねばならない。だから試合が行われた競技場を観に行く時間は無かった。駅前の広場に Souvenir Shop らしきテントがあったが閉じられていた。中央駅の壁にはオーストリアの選手達の写真がまだ残っていたが…….. 

  

Stadio Salzburg Wals-Siezenheim では1次リーグの Greece 戦3試合が行われた。即ち Greece はここを移動せずに1次リーグを戦えたのだ。しかし結果は3連敗。Rehhagel 監督をはじめ、4年前の決勝戦に出場した交替出場を含めた13人にうち GK Nikopolidis, FW Charisteas ら7人経験者がいたが、大会2連覇とまではいかなくてもせめてベスト8は…と願って来たであろう多くのギリシア人サポター達を喜ばせることは出来なかった。良く考えれば前回大会以降に繰り広げられたワールドカップ予選では勝ち抜く事が出来なかった。EURO2004 の快挙が偉大すぎて監督以下選手、戦術すべて変えられなかったのかもしれない……… 

   

顧客との話のなかでも前日の Final の話などが出た。そして地元の Österreich Nationalmanschaft の1次リーグ敗退については“ Konsequenz (当然の結果)”と言い放った。1978年ワールドカップアルゼンチン大会は Krankle の2発で 47年ぶりにドイツを破る快挙を成し遂げたりしたがその後は目立った戦績を残せず、ワールドカップは2大会連続予選落ち。そしていまや“日本に負けるチーム”になってしまった。それでも Korkmaz, Prodl そしてHarnik ら若手が出て来た。9月から始まるワールドカップ予選は Romania, France, Serbia, Lithuania, Faroe Islands と同組だ。France, Romania, Serbia 相手では厳しいかもしれないが全くチャンスが無いとは言えないだろう。9月6日の予選開幕戦で Vienna に France を迎える。もしこの試合で勝つような事があれば次には Lithuania, Faroe Islands が相手。開戦劈頭勝ち点を稼ぐチャンスとなる。そして Salzburg と言えば宮本の所属する Red Bull Salzburg がある。三都主は帰ってしまったが宮本の地元での評判は悪くはなかった。入団時はドイツの専門誌 Kicker にも紹介記事が掲載されていたくらいだった。またいつか観戦の機会でも……..と思いながら今回は古城を眺める時間もなく Vienna 行きの列車に飛び乗った。 

  

ホテルに入ってテレビを点けるとスペインのチャンネルで凱旋するスペイン代表の様子が映し出されていた。これはおそらく生中継の映像ではないか? 時計の針は午後8時だというのに(夏時間だからは実際は午後7時)この明るさ。スペインワールドカップを思い出した。 Aragones 監督を初め雛壇に上がった選手達は当然誇らしげだがステージ上での選手達のはしゃぎぶりはそのお国柄か…….しかし44年ぶりの栄冠を勝ち取っただ、誰も文句は言わないだろう…….. 監督をはじめ次々に選手達が壇上でスピーチをするがスペイン語はさっぱり判らないので何を言っているのか……. 観客が Campeones Campeones !! と発する度に壇上で踊り上がる選手達とは対照的にAragones 監督は非常に落ち着いていて1度スピーチをすると司会者にマイクを向けられてもほとんど何も話さなかったみたいだ。 後で知ったがEURO2008 の栄冠と共に代表監督を退き、トルコの Fenerbahce への就任が決まっていたらしい……… 

  


テレビを見ながらメールや仕事を片づけて U-Bahn に乗って昨日行かなかった知り合いの和食レストランに向かう。もう初めてここに来てからもう9年になる。御主人は韓国人のKさん。店を開く前から Vienna に渡って来て和食レストランで働き技術を身に付け自分のレストランを開いて10年以上になる。今は店舗を3軒持っている。店は閉店前で従業員の人達が店じまいに入っていたがウェイトレスはみな中国人との事。板前さんもフィリピン人が二人で。自分も毎日店に立つとの事。昔は韓国人を容易に雇えたが今は数が減り、中国人やタイ、フィリピン人の板前やキッチンハンドが増えたらしい。商売の方は?というと EURO のおかげで今年はさっぱりだとか。訪れる人は多いがみなビールを飲み、レストランの中に入ってこない。じゃぁ大会が終わってこれからでは….と訊くと、これからバカンスシーズンに入り Vienna からは人が激減するから9月ごろまで暇になる……と言っていた。 Vienna はParis の様に物価が高くないから観光には最高なんだけど……てな話を。それから K さんはサッカーも好きなのでワールドカップ予選アジア地区の話もした。 韓国は今度ばかりは非常に厳しい、日本は行けても韓国はどうか…..と珍しく弱気な事を言っていた。閉店後ビールを飲みながらこんな話をしていたら午前1時近くになってしまった。K さんにホテルまで送ってもらい“また今年中に来て下さい。”と言われて握手をして別れた。 

忘れていたが翌朝のフライトは朝の7時。4時半起きを忘れていた……

あぁ起きれるだろうか………… 

    


EURO2008 決勝戦は夢の世界…….

2008-07-16 | EURO Football

無敵艦隊…….1998年ワールドカップフランス大会からスペイン代表チームの通称として用いられてきているらしい。私が初めてこの言葉を耳にしたのは高校生の世界史の授業だった。1588年大英帝国艦隊はアルマダの海戦で当時“無敵艦隊”と呼ばれていたスペイン艦隊を撃破し制海権は大英帝国に奪われそれがスペイン衰退の予兆となった…..と受験世代の私は習ったと記憶していた。 
それではフェリペ二世により英国征服に出征したスペイン艦隊はそれまで無敵だったのだろうか?? そもそもこの無敵艦隊とはスペイン語Armada Invencibleの訳。
この名称は、この艦隊を壊滅させたイングランド人が、皮肉をこめて考案した通称で、本国スペインにおいては、「最高の祝福を受けた大いなる艦隊(Grande y Felicísima Armada)」と呼ばれていた。中立な視点からは、英語の文脈ではSpanish Armada、the Armadaなどと呼ぶとの事。それまで何度も敵を撃破した艦隊ではなく、英国征伐の為に出征し敗戦を喫した艦隊で“無敵”とは言い難い艦隊だった。従ってスペイン人または現役、歴代のスペイン代表選手達が“無敵艦隊”と呼ばれる事を好むのだろうか?? 残念ながらスペイン語は専門外で日本語をよく理解するスペイン人にまだであった事が無いのでそこら辺を訊いたことがまだない。いつか訊きたいと思っているのであるが……..

EURO2008 を制したスペイン代表。44年ぶりメジャータイトル獲得の道程は長かったと思う。生まれて初めてその喜びを実感した人達も少なくなかっただろう。1966年ワールドカップイングランド大会に出場以来2大会連続で欧州予選で敗れようやく出場を果たした1978年ワールドカップアルゼンチン大会では1次リーグ落ち。地元開催の翌スペイン大会ではユーゴスラビア戦の“ホームタウンテジョン”の疑惑の判定に助けられ2次リーグ進出がやっと。2年後の欧州選手権では決勝に進出するも将軍プラティニの直接FKをGK名手アルコナーダが後逸し準優勝に終わると以降不運な判定に泣くこともあったが欧州選手権、ワールドカップでは Semi Final にさえ進出出来なかった。

6月29日オーストリアの首都ウィーンの Ernst Happel Stadion 。本当に偶然にも幸運にも入手できたチケットを持って競技場内に入り眼前に広がる光景を私はまだ信じることが出来なかった。試合開始までまだ30分以上はあったが右側からはスペインサポーター達の大歓声が大波の様に押し寄せ。反対側のゴール裏には白一色(に見えた)ドイツサポーター達の歓声が聞こえる。それはある意味羨ましい風景でもあった。 欧州選手権は日本人の私にとっては“関係の無い”大会。それだけに勝敗に左右されず試合結果を楽しめる大会ではあるがしかし日本代表が出てこられる可能性は絶対に無いのだ。 Asian Cup がこれだけ盛り上がれば良いのだが…..欧州選手権が開催される度に私が思うことだった。

  

スペイン、ドイツの両選手がピッチに現れ大歓声の中彼らがアップを始める。スペインの Villa は見当たらなかったがドイツの Ballack はスタメン候補メンバーと共に同じメニューのアップをしている。どうやらスタメンで出てきそうだ。そしてスペインからアナウンサーが選手の名前を言うとサポーターが名字を叫ぶお馴染みのスタメン発表が始まる。ドイツ代表のスタメン発表は覚えのある声だったので本国ドイツから著名なアナウンサーを連れて来たのかもしれない。そしてそれはスペインも同じことだったのかも知れない。
そして決勝戦に先立って“セレモニー”が始まる。その見事な演出に見とれていると入場を控えた両チームの選手達がスクリーンに映し出され、いよいよキックオフの時間が近づく。またも大歓声が沸き起こり選手達が入場し、国歌演奏の後に選手達がピッチに散り、イタリア人の Robert Rosetti主審 のホイッスルでスペインのキックオフで“夢の試合”が始まった。

   

試合は立ち上がりから劣性が予想されていたドイツがサポーター達の歓声に後押しされる様にスペインゴールに迫って来る。怪我が心配された Ballack も前線に積極的に絡んでくる。今のスペインを相手にするには Ballack 抜きでは厳しいと思った。
3分には Ramos から Puyol のパスをカットした Klose がそのままスペインゴールに迫るがシュートには至らない。5分には Ballack, Lahn, Podolsky と繋がったボールが再び左サイドを上がった Lahn に渡りバウンドを利用して Ramos を交わして,8分には Ballack が左サイドを Puyol を外してそれぞれクロスを送るがシュートは引き出せなかった。立ち上がりからスペインの右サイドを突いたのは意図的だったか?9分には Lahn が左サイドを突破し入れたクロスを今度は Hitzlsperger が合わせてシュートを放つがこれは GK Casillas の正面。12分には Klose が Marchena と空中戦を競りながらCKを得るなど、スペインサポーターの陣取る私の座っていた方にドイツが攻め込む時間が続く。ドイツはDFラインを高い位置に置き、CKのチャンスには9人の選手をPA内、付近に集めて先取点を伺う。試合を面白くするためにはドイツが先制する方が面白いと思った。しかし13分過ぎからスペインが得意のワンタッチ、ツータッチで回すパスが繋がりだしボールキープ時間が徐々に長くなる。20分には Torres がMetzelder に倒されて得たFKを Xavi Hernandez が入れると再び Torres が Metzelder と競りながらもヘッドを放つがわずかにクロスバーを越える。23分には右サイドを Cesc Fabregas が突破し後方の Ramos に戻すと Ramos が Far Side に送ったクロスを Torres が Metzelder と競りながら放ったヘッドはポストを直撃。そのこぼれ球を繋いで Joan Capdevila が撃つがポストの右に外れていった。スペインサポーター席から一斉に溜息が洩れる…… 立ち上がりから自分のサイドを切り裂かれ続けた Ramos が少しは溜飲を下げたか……..
16分過ぎから Ballack が中盤以降に下がってSchweinschteiger が左サイドにも出て来る様になった。 Ballack でないとスペインMF陣には対抗出来ないか?? そしてそれでも25分のCKの Podolski が右サイドを突破して得たCKのチャンスには上がってきて豪快なボレーを放ったがそれは Ramos にブロックされた。26分には左サイドをワンツーで抜け出た Capdevila がFriedrich のタックルより早くセンタリングを入れるがここはGK Lehman がキャッチ。 29分には Ballack が Cesc に、その直後には Ramos が Podolski に激しくあたりファールを受ける。いよいよ試合がタフになったなと思った30分、この試合を左右したシーンが。スペインゴール前に送られたドイツからのパスをカットしようとした Capdevila がトラップして浮かせたボールが右手に当たったのだ。それは観客席からもはっきり見られ、隣に座っていたドイツ人が立ち上がって“ハント!ハント( Hand ) !!” と言って立ち上がる。 Capdevila の真正面にいた Schweinsteiger も主審にアピールするがPKは与えられなかった。この判定は後にドイツ人の間で物議を醸すだろう……
そしてその3分後、先制点がスペインに生まれる。 センターサークルの後方からMarcos Senna からXavi への縦パスが通り、そこから更にスルーパスが Torres に通る。一旦は Lahn が Torresの前に体を入れるが Torres が右から Lahn の前に割って入りまた Lehman の動きもよく見ながらワンタッチの見事なボールコントロールでドイツゴールに流し込んだ。 Torres は1次リーグではスウェーデン戦でゴールを挙げて以来の決勝トーナメント初ゴールだった。スクリーンにはJuan Carlos スペイン国王、Sofia 王妃の喜びの表情が映し出される。

  


均衡を破ったのはドイツで無くスペイン。ドイツはこの劣勢をどう挽回するのか、また挽回できるのか…. 周囲のスペイン人サポーター達の手拍子は鳴りやまない。その中で左サイドからPA内に切れ込んだ Iniesta が逆サイドに送り右から中にから切れ込んだ David Silva がボレーで撃つがこれはゴール枠を大きく外れる。得点後のこう言ったチャンスは往々にして決まらないものと自分は思っているので Silva が切れ込んでも”こりゃ入らんな。“と思ってみていたが周囲のスペインサポーター達は顔を覆って悔しがっている。その直後に今度はドイツ人サポーター達の顔が引きつるシーンが。 Ballack が右目上から血を流し、ピッチ外に出て行く羽目に。スクリーンのリプレイで Marcos Senna との競り合いで負傷したらしい。3分ほどしてピッチに戻ってくるが出血は止まらず、主審から再治療を指示されまたもサイドラインへ。 この劣勢の中で Ballack が下がってしまえばドイツはかなり苦しくなる。
1982年ワールドカップスペイン大会の決勝戦。下馬評はアルゼンチン、ブラジルを連破したイタリアが有利。エース、Karl Heinz Rummenigge が負傷を押してのスタメン起用だった西ドイツを当時中継していたNHKの解説岡野俊一郎氏は “ドイツ勝つ為には絶対に先制点が欲しいですね。”と試合開始直前に言ったことをここで思い出した。結局 Rossi, Tardelli, Altobeli にゴールを決められエース Rummenigge も途中でベンチに下がった西ドイツは Breitner のゴールで一矢報いたに留まった。しかし Ballack は40分過ぎになんとかピッチに戻ることが許され前半も追加点を許さずに終えられた。スペインサポーター達からは大歓声が、ドイツ人サポーターはやや安堵の表情を浮かべる。

後半に入りドイツベンチは左サイドバックの Lahn に替えて 191cm の長身DF Marcell Jansen を入れてきた。中盤を省略してロングボールを多用する作戦か?それを匂わすように立ち上がりはワントップの Klose にボールを放り込んでくる。
しかしスペインDF陣の統率は良く、こぼれ球をドイツは拾えない。スペインの自軍ゴール前でボールを回されピンチの連続だ。53分には Fabregas が真中から右の Torres に送り、戻し気味にセンタリングを入れ走りこんだ Xavi Hernandez が放ったショットは Lehman を破るがファーポストの右側に外れて行く。54分にはCKからファーサイドの Silvia が狙い澄ましてまたもファーポスト側にシュートを放つがわずかに外れる。しかしその前に Ramos がシュートコースに入っており右足でコースを変えそこねたのが得点に繋がらなかった。スペインサポーターからはオーっと歓声が洩れる。

   

55分には中盤からXavi Hernadez のスルーパスに反応した Torres が Mertesacker と競り合いながらもスライディングシュートを放つがここは Lehman の飛び出しが良くブロック。それにしてもこの試合の Xavi Hernadez は本当に冴えわたっていた。
58分にドイツはHitzlsperger を下げて 190cm のMF Kevin Kuranya を入れる。そして Ballack の位置をボランチ近くまで下げる。スペインの中盤からボールを奪い、正確なロングボールを前線と言うことだろうが、スペインの華麗なパス回しにドイツは後手を踏むばかり。それでも60分には途中出場の Jansen が左サイドで頑張りボールをキープ。入れたクロスを Schweinsteiger が戻し走りこんだ Ballack が強烈なショットを放つがポストの左に外れて行く。メルケル首相の惜しがっていた表情がアップになるが後半ドイツサポーター達がシュートシーンで沸いたのはこれが最後であった。

スペインベンチは63分に Cecs Fabregas に替えて Xavi Alagones を投入する。ずいぶん早い交代だなぁ…と思った。これも決勝戦だからか??65分に Podolski と Silva が口論し Silva が軽く頭突きをかます。 Ballack と Schweinsteiger が激しく主審に詰め寄るとスペインベンチから控えの選手達が飛び出してきて何やら叫びだす。この動きに今大会のスペインの強さを見たような気がした。 
そしてAragones 監督はその Silva を下げて Santi Cazorla を入れる。う~ん、実に冷静な選手交代だ。そしてここからスペインの猛攻が繰り広げられる。67分 FK に Ramos が飛び込みフリーでヘッドを放つが至近距離からのシュートは Lehman がブロック。その後のCKからのチャンスは Iniesta のシュートがゴール枠をとらえるが Frings の足に当たり再びCKへ。そのCKからも最後は Cazorla からボールを受けた Iniesta のシュートは Lehman の正面に。 ちょっとドイツ選手の足が止まって来た感じは否めなかった。

ドイツサポーター達はフラストレーションを募らせたか、選手たちを鼓舞する為か73分にはドイツ国歌を合唱し始めた。するとスペインサポーター達から口笛のブーイングが。1937年のゲルニカの遺恨か?それとも(後で知った)歌詞のないスペイン国歌へのあてつけととったのか?  78分に Toress が下がり Daniel Güiza が投入される。Güiza とて FW 選手で今大会は2得点を挙げている。決して守備固めという訳ではないしそういう時間帯でも無い。しかし Toress は納得の表情でベンチに下がる。サポーター達の陣取るスペインゴールになかなかボールを運べないドイツは79分に Klose を下げて 189cm の Mario Gomez を入れる。3人の交代選手は全て長身の選手。だがそこにボールは送られない。それでも残り時間、ドイツなら何とかする、かならず追い付いて同点にし延長戦に入りより長く試合が見られる。そう期待するもゴールを感じさせるのはスペインばかり。あぁこれで EURO2008 が終わるのか........ と思った時に主審の長いホイッスルが鳴り響きついに決勝戦が終わってしまった。 スペイン、ドイツ、それぞれの選手、サポーター達は対照的な表情だ。

  

  

私は自分が中立の立場でよかったと感じた。それでなければ試合は充分に堪能出来なかっただろう......... ドイツがワールドカップ、欧州選手権で 0-1 で敗れたのは 2000年の欧州選手権で England に 0-1 で敗れて以来。あのシアラーのゴールに沈んだ試合以来だった。
試合内容も結局ドイツが放った”枠内シュート”は前半9分 Hitzlsperger のシュート1本のみ。これでよく 0-1 で済んだものだったと言えるだろう。しかし30分の Capdevila のハンドにきちんとPKが与えられていれば........  

しかしそれらを割り引いてもスペインの定規で測ったような華麗なパスワークは素晴らしかった。高い技術によって裏付けられたものだろう。 全勝でタイトルを獲ったのはあのプラティニにフランス以来.....もう24年も経つのか........
だが破れたドイツも決勝トーナメントに入り1トップに戻してからは強さを見せ、人気の高かったポルトガルを一蹴したあたりはさすがだった。ピッチの上ではスペイン選手達のフィエスタが続く。ぼんやりとそれを眺めながら大会のレベルの高さを感じた。出場国がかつての2倍に増えたワールドカップでは1次リーグからこの様にいかない。だが出場国数拡大がなければ日本は連続してワールドカップには出られないジレンマも.........

   

しかし、ただひたすら、ここにいたこの幸福感をいつまでも、いつまでも浸っていたかった。

翌日からの仕事などは忘れて、ずっとこのフィエスタに “参加“し続けていたかった...............

  


北海道洞爺湖サミット閉幕  ここで決まった事は………

2008-07-10 | Weblog

7月7日、日本の多くの幼稚園そして小学校低学年それから付き合いだした若いカップル達がお願い事を短冊に書いて笹に吊した出した日に開幕したG8北海道洞爺湖サミットは本日最終日の7月9日は中国、オーストラリア、ブラジルそしてメキシコと首脳会談が行われ、議長国である福田首相の議長会見が行われ閉幕した。
各国首脳は帰国の途に着き、報道関係者は早い人で9日の夜にこの留寿都の International Media Centre から札幌に脱出し帰国をする人、東京や京都に向かう人とそれぞれの行程を行くこととなる。私はここにもう一日留まり、“支援後”の後片付けをして自宅のある関東地方に帰る予定だ。
それにしてもこのサミットにはどれだけの日本国民の税金と一般企業の協賛が投入されたのだろう………. IMC 内にあるレストランは前のブログでも書いたとおり Press 関係の ID カードがあれば誰でもいくらでもフリーで飲食が出来る。その食材は最高級とまではいかないが中国産等でなくほぼ全て日本国産が使われている。
レストランのコックさんや調理師そしてホールに従事する人達はそれを食べることが出来ない。自分もそのレストラン支援でここに来て食べられないのだが、まぁ腹の立つのは日本の報道関係。 ある和食レストランでは寿司が振る舞われたのだがウニ、トロ、イクラの前は黒山の人だかり。それらなければ“ウニを握って”“トロを持ってきて”と厚かましいことこの上ない。 遠路はるばるやって来た外国人ならともかく、開催国の日本人がただ飯を食っているのにこの態度。Pressと言ってもジーンズにTシャツそして野球帽を被ったどう見てもAssistant Director 風情の若い奴らほどウニの前から離れない。 A.D. が悪いと言っているのではない。ただ飯を食うのが悪いとも思わない。だけどタダなんだからウニやトロを心行くまで、外国人がいてもお構いなしに根こそぎ持って行くその振る舞いは見てて“お前ら報道のはしくれだろ??”と言いたくなる。 

  

時間があったので IMC 内に行ってみた。そこはまさに憧れの世界。世界中のメディアブースがあり、PCは繋げ放題、またフリーのPCもありアクセスも自由。コピーや FAX も使い放題。私が訪れたのは夕方だったので世界中の報道関係者が原稿を本国に送っていた。そして様々な言語が聞こえる………あぁ俺もこういう世界で実力を発揮したかったなぁ…….AD崩れが寿司をがっつくのを思い出すだけで腹が立つやら情けないやら… きっとワールドカップのメディアセンターはもっと凄いんだろうなぁ……….
 ここでも何人かの海外報道関係者と立ち話をする機会に恵まれた。はっきりいって彼らには日本の事がさっぱりわからないらしく、主な情報は日本に長年住む母国人からのものに頼っているらしい。そしてサミットに関する日本との温度差はかなりある様だ。たとえば環境問題、原油価格はそれほど興味がない様に見え、むしろ食糧問題には抜本的な解決策をこのサミットから見出そうとしていたみたいだ。それでも成果があったようには感じていなかった。ロシア人関係者が多かったのが非常に目立ったが、サミット二日目からはアフリカからの報道関係も増え、この日はナイジェリア、セネガルそしてザンビアの人達と話をした。特にザンビアからの人達は女性で“日本の人にザンビアを覚えてほしい….” と言っていた。1988年ソウル五輪のサッカーでザンビアは1次リーグでイタリアを4-0 で撃破した。イタリアは五輪チームとは言えメンバーにはタッコーニ、デ・アゴスティーニ、フェッラーラ、カルネヴァーレら2年後のワールドカップメンバーが含まれていた。その話をしたけど、彼女はよくわからなかった様だ。20年も前の話……

センター内の Refreshment Corner にも飲み物やカロリーメイト、サンドイッチそれからおにぎりが置いてありフリーで飲食できるがそこには“ Press 関係者以外は御遠慮下さい……” ってな注意書きが。別に手をつけてもばれそうにはなかったけどそのまま踵を返した。

 

そして北朝鮮の拉致、日本の拉致家族の現状を示すべく資料やDVDがフリーで持ち帰れるように置いてあったが、もっと目立つ所に置かないと誰もわかりそうにない陳列だった。 本当に日本政府はこの問題を世界に訴える気があるのかい??? 
私はさっそく英語、ドイツ語、ハングル語でかかれた資料をもって帰り私が知る人達にだけでも送ることに…….. 政府がやらなきゃ俺がやる……でも効果は…….ゼロじゃないぞ…….

レストランでは最終日最後の晩餐を楽しむ?海外メディアの人も多かった。最終日が一番多かったのではないかな?? 
インドネシアの人とは“お米の輸出を止めないでください。オーストラリア、ニュージーランドで寿司が食えなくなります….” というと大いに受けた。 
オーストラリアの集団との話題は尽きない。 隣国 New Zealand からWallabies の監督に就任した Robbie Deans 新監督の手腕はいかに……花が特に咲いたのは今行われている Tri Nations 。 Kewell がガラタサライに入ったぞ……サッカーはこの人たちはあまり無関心だったなぁ…… 英国人、ほとんどはロンドンから来ていた。 EURO2008 はどうした?今大会 Premiership でプレーする登録メンバーは42選手。これは Budesliga の57人に次いで2番目だ。なのにどうして England は予選落ちを….. 小柄な女性記者は大きな目を見開いて一言 “ Lavish !! “
ドイツ人の記者たちとも EURO2008の決勝戦の話題を。結果には満足はしていないが決勝進出には評価をしているみたいだった。 決勝戦では Ballack, Lehman のプレーを評価。でも2年後のワールドカップには自信がありそうだった。ドイツはワールドカップで実力を発揮する…….それにしてもここの寿司はうまいなぁ……..だって。
数人であったスイス人。でもドイツ語で話しかけても”私はジュネーブから..." みなジュネーブからさすが政府関係者?
残念ながらスペイン関係者とは会えなかった。イタリア人に言わせれば“まだフィエスタの真っ最中…..” だそうだ??

G8も一つのフィエスタなのかもしれない。みな言っていた。 IMC からG8会場の洞爺湖まで遠すぎる…….
他国で開催されるサミットはどうなのだろう?“首脳”と“ Press “ はもっと近い関係に位置できるのか?? ただ飯をいくらでも提供してくれるのか………..

そのフィエスタにつぎ込まれた税金の元を取ることはできるのだろうか??  
ニセコの露天風呂で夜空をみながらでそう思った。 

はやく週末がこないかな?? 

その前に札幌で旨いラーメンを楽しむ時間があることを祈るよ。 

 


G8のG8によるG8の為の…….洞爺湖サミット 

2008-07-08 | Weblog
a title="サミットの町、七夕開幕に繁盛願い 洞爺湖温泉 記念グッズで盛り上げ(産経新聞) - goo ニュース" href="http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/e20080707008.html" target="_blank">サミットの町、七夕開幕に繁盛願い 洞爺湖温泉 記念グッズで盛り上げ(産経新聞) - goo ニュース

昨日7月7日、日本では5回目となる先進国首脳会議(今はこういういい方するのかなぁ??)所謂G8洞爺湖サミットが開幕した。6月29日にスタジアム観戦した EURO2008 の決勝戦の余韻に浸る暇もなく翌日は Salzburg, 翌々日にはスカンジナビアのスウェーデンの首都ストックホルムに飛び、1泊してフランクフルト経由で日本に帰国。その翌日には北海道に飛ぶ羽目となった。 ひょんなことからうちの会社がサミットに支援をする事となりこのわたくしめに白羽の矢が立ったという訳だが、ほかに人がおらんかったんかいな??というのが本音。
それでも一生にそう何度もチャンスがある訳ではないので(欧州選手権の決勝戦もそうなんだけど….) サミット開幕の3日前から現地入りし準備等の支援に入っていた。
開幕前日の7月6日から各国首脳が続々と北海道入りしてきた。その様子が International Media Center 内に数ヵ所特設されているモニターに映し出されるのだがさすがにアメリカ、ブッシュ大統領が到着した様子が映し出されるとモニターの前を通りかかった人達は一斉に足を止めて画面を覗き込む。さすが合衆国大統領。
私の注目はドイツのメルケル首相。EURO2008 の準決勝戦ではプラティニUEFA 会長と何語で話したのか…
決勝戦では Ballack と何を話したのか……まぁそんなこと直接尋ねることなど出来ないけど…当り前か…..

それにしてもここ International Media Center は何でこんなに金をかけているのだろう…..取材記者章があれば飲食はほぼ完全無料。アルコールは飲み放題。そして余った食材はどんどん廃棄。 ECO も何もあったもんじゃない。記者章のない私はその恩恵にあやかれなかったが食事には不自由しなかった。ただその分一日12時間以上働きづめだけど…….
海外のメディアで目立つのはロシア人記者達の多さ。そしてけっこう日本語を理解するロシア人も目につく。そのうち半数は在留で通訳代りに登用された記者達だろうが……..少し前までは G7プラス1 のそのプラス1だったのに。1975年に第一回サミット、先進国首脳会議、当時はG7といったけど、その当時から比べると本当に隔世の思いだ。あの時は先進国で難題となっているオイルショック、エネルギー問題について話し合いましょうということだったけど議題はあまりかわらないなぁ……

そしてここでの日本人のスティタスは外国語がどれだけ話せるか…の様だ。ロシア語を始めイタリア語、フランス語そしてドイツ語は専門の通訳を雇用及び登用している海外メディアが多いが帰国子女的な特に日本人女性がめにつく。まぁ彼女達はそれを鼻にかけてはいなさそうだけど、日本人の記者、マスコミ関連は英語を話せることを自慢したいようだがそのお手並みは軒並み下手くそだ。それでいて話せる気になっているのがおめでたい。 中には IMC の中のスタッフの女性にいいところを見せようとしているのが見え見え。そして英語はヘボヘボ。私自身、もっともっと上手になりたいと思っているのになぁ…..ちょっとおちょくってやろうと思い、首尾よくイギリス人とドイツ人、スイス人と一緒になった時英語とドイツ語で話を弾ませたときのあの驚きと悔しさをにじませた顔つきを見た時は “人間の価値は本人そのもの。所属先の規模とはちゃうんやでぇぇぇ。”という私の心の叫びをきいてくれたかぃ?? 
でももっともっと語学を勉強しておかねばとも痛感したよ….これが私の向上心??

しかしこの北海道洞爺湖サミットは何をもって“成功裡に終わったとできるのだろうか……” そもそもこれだけ時間と予算と人をかける意味はどこにあるのだろう……..このサミットの重要議題は思いつくところ下記の点だと想像する。

原油高、食料費用高への取り組み
地球温暖化防止に向けての環境問題の改善
アフリカ諸国への支援
非加盟国との関係拡大

そのどれもがサミットで解決しそうな議題ではなさそうだ。
まず原油高、食料費用高だけどこれは世界中の投資家を抑えないと解決不可能な問題で彼らに“値段下げろ”と言っても大金を投入して投資しており今さら降りられるわけではない。いくら各国首脳が話し合っても無駄な事と思う。もっとも“投資分の補填をするから….” とも近ければ別だろうがその補填はだれが出すのか?ATMと言われている日本に間違いはなさそうだ。
環境問題はある意味ブッシュ大統領の発言は合っている。いくらわれわれ日本人がスイッチを消してもアイドリングを止めても中国とインドでまき散らし、垂れ流しを続けている限りは無駄だ。私はそれに加えてタイとインドネシアも加えたい。バンコック、ジャカルタの乗用車の激増、好景気からくるショッピングモールの建築そしてガンガンきいているエアコン。こりゃ気温も上がるわ…… 一度訪れた人なら誰でもそう思うだろう…..しかしもっと問題なのは今起こっている現状をそういった国々の人々は全く知らなければ関心もないことだ。でも永遠に私はこのまま無知で終わると思う……
アフリカ8カ国首脳との会合が終わったらしいが、早い話が日本からの支援をたかるのがその目的だ。しかしアフリカ大陸への支援ははっきりいって欧州のかつての宗主国の仕事だ。かれらが植民地にした大陸の支援を何故日本がせねばならない??100歩譲って支援を決めてもいいがまず時の元首達の“財源”にしかならないことを覚えておくべきだ。さらにアフリカで多発する紛争は80%以上が国連常任理事国が輸出する武器、弾薬。その後処理を日本がする必要はない。ナイジェリアの様な産油国、または地下資源を持つ国にはどんどん“投資”すべきだが、それをより効果的にするには中国への円借款等の経済援助を打ち切ってから始めるのがより効果的だ。
それにより中国政府はアフリカに金をばらまくことが不可能になる。 
非加盟国との関係拡大…….7月7日夜、中国の国家主席が来日した。潘基文国連事務総長の姿もあった。
もうお祭りやなぁ……… どの国とどう付き合うかはその国の国益次第。日本の場合は政治家たちは日本の国益よりも自分の利益拡大の為に日本国益をないがしろにしてきただけ。 そんなことサミットで話すことかぇ?????

サミットというフィエスタはあと二日間残っている。個人的にはEURO2008の話を欧州からの記者と話し込んだりして楽しんではいるが、彼らはどういう記事を本国に送るのだろう……. 彼らは一様に言う。ここは環境は良い。IMCから洞爺湖まで遠くて不便だ。サミットが終わってトウキョウやキョウトに早く行きたい……….

まぁ早く終わって俺は週末に爆睡したいよ……….

EURO 2008 6.29 Geneva から Vienna へ

2008-07-01 | EURO Football
フランス語で溢れ返っている Genève を出たのが朝5時半。スイスとオーストリアは隣国同士だが列車移動では時間がかかるので飛行機を使わざるを得ない。 Geneve 空港は1年半前に不覚にも荷物を置き引きされたところ。朝早ければジプシー達も“職場”には来ないだろうと思ってはいたがGeneva Air Port 駅を降りてチェクインカウンターまでの約10分間の“道のり”は気を抜いてまたジプシーどもの餌食とならない様に緊張し放しだった。 
チェックインカウンターでは早朝にも関わらず多くの搭乗客が列をなしている。それに多くの荷物が。6月最後の土曜日なのでこの日から長期にバカンスに入る人達も少なくない。 後ろの人がたくさん並んでいてもお構いなしにカウンター嬢とエクセスの事や座席の事、次の乗り継ぎ便の席も並びで取ってくれ……とのやり取りが続いている。まぁ子供連れだから解らなくもないけど….. やっと順番が巡って来たが私の手続きは彼らの10分の1もかからないのでカウンター嬢も愛想よく笑ってくれる。
その微笑み Priceless ……

ここの空港も中央駅同様にフランス行きの搭乗口が別になっている。それだけフランスへの往来が多いのだろう。チェックインを済ませてすぐに税関を抜けてジプシーの入ってこられない“安全地帯”に逃れる。まだ6時前なので人も少ない。その分店も開いていないけど…… 開いていたコーヒーカウンターでコーヒーを注文するが価格は SFR5.00 ( 約525 円也 ) 。PCのキーをたたいたりして時間を潰していると搭乗時間がやって来た。機内はほぼ満席、離陸後機内食サービス(と言ってもサンドイッチと飲み物だけ)を食べたりして離陸後20分もしないうちに睡魔が襲ってきて寝入ってしまい、フランクフルト空港に到着する直前に目が覚めた。

フランクフルトは欧州でも屈指の大空港。次のウィーン行きの搭乗カウンター番号がなかなかスクリーンに現れないのでどこかで座って時間を潰そうとするのだが土曜日とあって人がわんさといてどこに行っても大混雑。仕方がないので Kiosk に行くと1976年欧州選手権決勝戦の DVD が売っていたのですぐに購入した。成田を出て最初にフランクフルトにトランジットで立ち寄った時も 1980 年大会の決勝戦の DVD を見つけて購入した。これはドイツの写真紙 Bild Sports が一昨年のワールドカップ前から販売を始めているシリーズ物のDVD で2年前のワールドカップ時に来た時は1974年大会の東西ドイツ対決の貴重なDVDが販売されていたので当時大喜びでそれを購入した。ようやくウィーン行きのフライトの搭乗カウンター番号が表示されたのでそちらに行くことに。そこにはドイツ代表のレプリカを来た人達や国旗を纏った人も。みんなチケット持っているのかな….いいなぁ……と思いながら座る場所を探した。すると電源も取れるパソコン机があいていたのでそこに直行する。フランクフルト空港では欧州内行きのカウンターの待合スペースの中に新聞棚がありDie Welt や Frankfurt Allgemine の一般紙や Frankfurt Post と言った地域紙、そして Bild 等が無料で取れる様に置かれている。Frankfurt Allgemine には  “ Wir stehen hinter euch 我々は君達の後ろに立っている “  と言う大きな見出しとともにドイツ代表イレブンが肩を組んで並んでいるところを後ろから撮った写真が。また Bild 紙には Ballack の足を赤枠で囲い決勝戦はプレー出来るのか…..を報じている。
搭乗時間が来て機内に入るとキャビンアテンダント達が水色の EURO2008 のマフラーを巻いている。Austria 航空のキャビンアテンダントの制服は赤色。水色がよく映える。そのうちの一人に “ Östrreich Wünderteam !! “ と言うと Thank you !! と返してくれたが判ってくれたかなぁ……… ワールドカップの始まる前1920 年代のオーストリアは無敵を誇り Wünderteam と恐れられていたがワールドカップが始まった1930年代には下降線に入りついにはナチスドイツに併合され当時の優秀な選手達はドイツ代表としてプレーせざるを得なくなった。それでも私が初めてワールドカップに本格的に触れた1978年アルゼンチン大会は下馬評を覆し1次リーグでスペイン、スウェーデンを連破し2次リーグにはやばやと進出を決め、2次リーグではオランダ ( 1-5 ) , イタリア (0-1) と連敗スタートだったが最終戦は終了直前クランクルのゴールで 3-2 と西ドイツを降し有終の美を飾った。この時西ドイツ国民はオーストリアから大量点を奪い、オランダ対イタリア戦が引きわける事に決勝進出そして大会2連覇を狙っていた。そのオーストリアが今は日本代表に勝てない時代になっている。恐らく再来年のワールドカップでもし両国が同じ組に入れば日本はオーストリアから勝点を胸算用が出来る相手だ。オーストリアが弱くなったのか、日本が強くなったのか…..おそらく両方だろう。

ウィーン到着が近付きお決まりの機内アナウンスが入るが、EURO2008 の入場券があればオーストリア国内の普通電車料金が無料になるので電車に乗るときは忘れずに…… との説明が。2002年ワールドカップの時は日本でそんなサービスあったかな…….空港はこの日行われる決勝戦一色とまではいかないがドイツ、スペインのレプリカを着た人達が…..そして欧州各国から着たであろう報道陣達も…..あぁうらやまシィなぁ…….

  

ホテルに向かったがいつも泊まるホテルが大会期間中は満室でとれずやっと取れたホテルであったが、歴史的建物の乱立している街中ではないがレセプションで近くのU-Bahnの駅を訊くと歩いて5分ほど、しかも中心街からも遠くない事が解った。部屋も広くてエアコンもよく効きワイヤレスランの完備された値段も高くないホテルでなかなかのものであった。書類の整理やらメールの返答をして時計を見ると午後5時少し前….何も食べていないので街中で知り合いが経営している寿司のティクアウェィにでも行こうと外に出る。あそこの寿司は安い上に味も悪くないから…….それに UEFA のサイトで調べたが大きなスクリーンが10面ほどある Public Viewing の様なところもその近くにあるので寿司でも食ってぶらぶら歩けば丁度キックオフの時間になるだろう。そうしたらそこでビールでも飲みながら決勝戦をスクリーンで観戦しよう…欧州から来る多くの人がそこで決勝戦を楽しむ様に… 
そう思い U-Bahn の駅に向かった。電車に乗り込むとスペイン、ドイツ両国のサポーター達が多く乗っていたがドイツの方が多かった。そこで私はまだ時間があるので競技場の近くに行ってみよう、そこで写真を撮ったりしてまた中心街に寿司を食べに行こう……と思い彼らの後ろをくっ付いて行く事にした。 U-Bahn を乗り換えて Stadion の駅に到着、出口に向かっていると1人のご婦人が何やら持って立っていた。私の前を歩いていたドイツ人達が声をかけたがすぐにその場を立ち去ったので近づいて今度は私が声をかけた。彼女は決勝戦のチケットを持っている。1枚しかないが買ってくれないか…..という話だ。前の人達もチケットを探していたが複数求めていたの1枚しか無くしかも価格が折り合わないらしかった。売値を訊くと“定価€335” に対してそんなに吹っかけていなかったので少し値下げ交渉して購入する事となった。正直信じられなかった。この日に Vienna 入りしたのは決勝戦というよりも行程の都合で、テレビ観戦で充分と思っていた。欧州のどこかで見られれば大会の雰囲気はより濃厚に感じられるし時差に悩まされずに済むと思っていた…… 訊けば彼女はドイツから来ておりインターネットオークションでチケットを手に入れたがスペイン側なのでどうしてもドイツ側に座りたかったとの事。ドイツ側のチケットは何とか手に入れたが”余った“このチケットをどうしてもドイツ側のチケット代金の”足し“にしたかったらしい。彼女は何度も私に御礼を言い、これはここに透かしが入っていて千切れにくいから間違いなく本物だと言うが、あまり何度も言われると本物かどうかともおもってしまう。最後の Vielen Spass !! と言って握手をして別れた。

こうなると予定が大きく変わってくる。まず何か食べなければ。駅構内にスーパーがありそこで寿司は無いので(あるわけないか??)サンドイッチとジュースと買う事に。そこでは両国のサポーター達がビールを片っ端から買っている。すごい輩になるとケースごと買っていく。店員も補充に追われて大変だ。それにしてもオーストリアの物価の“安さ”に”ありがたみ“の念が絶えない。スイスだと 500ml のペットボトルコーラ1本がSFR 3.4 (約350円 ) がここのスーパーでは €0.98( 約160円 ) 。

 

ここで買った食べ物を持って競技場に向かう。競技場は駅の近くの遊園地を通り抜けて行くのだがその途中でサンドイッチ等を食べているとドイツ、スペインの両サポーター達が気勢を上げている。まだキックオフまで2時間以上もあるのだが。この日の私の服装は Glasgow Celtic のレプリカ。ここで日本代表のユニフォームは場違いすぎるし何か欧州のサッカーファンに今日本の存在をアピール出来るものと言えば中村俊輔の Celtic だと思ったからだ。途中で数人にユニフォームを“いじられた”が全て好意的なもの。中には Rangers のサポーターもいた。勿論  NAKAMURA は皆が知っていた。

結構な距離を歩いてようやく競技場にたどり着いたがここからが緊張だ。入口付近で何組かチケットの価格交渉をしているこちらの方にすべきだったかな…….でもまだ残っているんだなぁ….. まず最初はチケットにしるしが入れられて二重に使われない様にされる。そして所持品と身体検査を受けるがそんなに厳しくはなかった。そして競技場の入り口に近づく。チケットを係りの女の子に渡し改札機を通すと何と赤いランプが。背筋に冷や汗が湧きだすのが解った。“あちらの機械で通して見て下さい。”と言われてもういちど仕切り直すと……緑のランプがついて今度は額から汗が流れる。私の前に並んでいた人が改札口を抜けた瞬間に両手を上げて何か叫んだが私もそう言う気分だった。
座席はスペインサポーター達が多く陣取る地域でコーナーフラッグの後方。競技場には私の好きな陸上競技用トラックがあるが観客席の角度に工夫が施されている上に私も比較的前方なので見通しの良いピッチの迫力がよく伝わってくる素晴らしい席であった。両隣りはドイツ人。前後はスペイン人の家族と仲間達。右側からスペインサポーター達の大歓声が押し寄せて来る。ピッチの上では選手達がアップを始めだし大歓声が渦を巻く。

 

そしてスペインのスタメンが発表される。最初に選手の名前を読んで観客が苗字を叫ぶ。負傷の Villa に替って予想通り Cecs Fabreges が起用される。そしてドイツのメンバー紹介が始まるがこちらは肋骨の負傷でスタメンを外れていたFrigs が Rolfes に替わりスタメンに復帰し、懸案となっていたBallak はスタメンに。 Ballak 映し出されるとドイツサポーターから大歓声が起こる。 

試合開始30分程前に選手達が控室に戻ると衣裳をまとった老若男女達が現れた。どうやら閉会セレモニーが決勝戦の前に始まる様だ。その演出をみるとさすが欧州という気がしてならない。 

そのセレモニーが終わり選手の入場、そして国歌の斉唱が続く。途中で気がついたがドイツ国歌斉唱の時はスクリーンに歌詞がでていたけどスペインはどうなったのだろう…….. そしていよいよキックオフの時間が。スペインのサポーター達の歓声はすごい、恐らく反対側に座っていればドイツがすごいと感じた事だろうが…….

立ち上がりはドイツが Ballak, Klose を中心に攻勢にでる。ロシアを完璧に抑えたスペインのDF陣だが Ballak 相手では勝手が違うか……しかし10分を過ぎて来るとスペインがサイドチェンジやワンタッチ、ツータッチのパスを使って徐々にドイツゴールに迫る回数が増える。 Torres がボールを持てば更に大きな歓声が後押しをする。そして有名なドラムの音が。あのバスク地方出身のバレンシアでレストランを経営するスペインのサポーターならだれでも知っている人のドラムのリズムだ。徐々に劣勢になるドイツは Ballack のポジションを下げて行く。今のスペインの中盤に対抗できるのは Ballack だけか? Chelsea に移籍後は守備もゲームメークもする様になったそのプレースタイルが生きて来るか…..しかし大歓声に後押しされるスペインの攻撃陣に後手を踏む。
そしてついに32分縦パスを受けた Torres がLahm を振り切りGK Lehman の動きをかわすようなシュートが決まりスペインが先制する。赤いレプリカを着たスペインサポーター達が喜びを爆発させる。しかし相手はドイツこのままのスコアーでは終わらない、ドイツが 0-1 で敗れるところをここしばらく観た記憶がないから……

  

35分 Ballack が倒れている、スクリーンでアップになったところを見ると目尻を切って流血している。Senna Marcos と競り合った時にバッティングをしたのだ。ピッチの横で止血治療を受けている。3分程してピッチに戻るが流血が止まっていないという事でイタリア人主審に再治療を命ぜられる。この状況で Ballack が抜ければドイツは少し厳しい戦いとなるが結局絆創膏を貼りピッチに戻るとドイツサポーターから拍手が起こる。前半は結局1分あったロスタイムを終わっても 1-0 以上スコアーは動かなかった。

ハーフタイムの間に有名なドラムを叩くスペインの“応援団長”のところに記念撮影とサインを貰いに行くと既に10人程の人達がチケットにサインを貰おうと並んでいた。私も日本から来た事そして6年前のワールドカップのスペイン対韓国戦の後で一度写真を撮った事を伝えサインと写真を頼むと快く引き受けてくれた。昔は黒のソムブレロを被っていたのだが今は帽子のデザインが変わっていた。

座席に戻ろうとするとその近くに座っていた人達が“ You はどこから来たんだ?”と私の来ていたレプリカを指さす。“ Jo soy Japones, from Japan “ と答えると、” No you Espanol, you must support Spain. “ スペインを応援しろ、と言っているつもりなのか?スペインがリードしているのでみな機嫌がよさそうだった。席に帰る途中で喉が渇いてたまらなかったのでコーラでも買おうかと思ったが長蛇の列。後半もすぐに始まりそうだったので席に戻った。

後半のドイツはLahm に替えて同じ Bayern München 所属の Marcel Jansen を投入され左サイドバックのポジションに入った。スペインが先制した Torres のゴールは Lahm を振り切って放ったシュート。そのショックが残っていたのかそれとも怪我でもしたのか….. 後半ドイツの挽回を期待するもスペインの攻撃が目立つ。エンドが変わって Lehman の守るドイツゴールがスペインサポーター達の前にあるのでスペインが攻撃に転ずると皆立ちあがって大歓声を送る。それはサポーター達の歓声が彼らを吸いこんでいる様にも見える。63分負傷の Villa に替ってスタメン起用された Cecs Fabregas が大歓声に送られてベンチに下がり Xabi Alonso が入る。私はスペインが2点以上リードし終了1分前に唯一まだ出番のないベテラン34歳の第3キーパー Palop Andres が出てくる展開を希望しているのだけど….. 64分にドイツ、スペインの両選手がエキサイトするシーンがあったがこの時スペインベンチからは全員が飛び出して来て何か叫んでいる。このシーンに今大会のスペインのまとまりと好調を持続する原因を見た気がした。
66分に David Silva が下がり Cazorla Santiago が入るが Silva の表情も納得の交替と言った感じがする。これも Villa 効果か?
Ballak はポジションをもうボランチの近くまでさげている。それは 58分に Hitzlsperger に替って投入された長身選手Kevin Kuranyi にロブを送る為かそれとも怪我の具合が芳しく無いのか??
73分ドイツサポーター達はドイツ国家を歌いだすとスペインサポータター達から激しいブーイングと口笛が。1937年4月26日のゲルニカのナチス空爆の遺恨未だ消えずか…….
78分にはこの試合の殊勲者 Torres がベンチに下がり Daniel Güiza が入る。大歓声にこたえる Torres 。しかしこれで 第3キーパーのPalop の出場は無くなってしまった。 その1分後今度は Klose がベンチに下がり Mario Gomez が入る。そして Ballak が前の方のポジションに上がって来た。ドイツなら最後の最後に1点を返すかも知れない、このままドイツが無得点で終わらないかも知れない、と思い続けた。
例えスペインの方が決定機を迎え続け、Lehman のファインセーブとスペインのシュートミスに助けられた展開が続いても。しかし3分なったロスタイムを終えても最後までスペインゴールを割る事が出来ずスペインが44年振りのタイトルを勝ち取った。試合翌日の UEFA のサイトを見ると Ball Possession ではドイツが49%に対してスペインが51%、ボール占有時間がスペインが 25分50秒に対してドイツは 27分56 秒、しかしシュート数では数字は全く差が付き枠内シュートがスペイン7であったのに対してドイツはわずかに1.これでよく 1-0 で終わったなぁと思った。

  

試合終了の表彰式が始まるがまずこの試合の審判団の労が労われる。しかしドイツサポーター達からは口笛の嵐が、前半22分のスペインDFのペナルティーエリア内でのハンドを見逃した事に対する怒りのブーイングだ。
そしてドイツの選手団。プラティニ会長が Ballack に慰めの声を掛け、メルケル首相が何やら話し掛ける。二人とも東ドイツ地区出身だ…….メルケル首相、来週洞爺湖でお会いしましょう…….

  

スペイン選手達がひな壇にあがり、 Casillas 主将がプラティニ会長からアンリドローネ杯を受け取り高く掲げるとスペインサポーター達からこの日一番の歓声が送られた。 70年代以降ドイツ、チェコスロヴァキア、イタリア、フランス、オランダ、デンマークそしてギリシアの後塵を拝し続けた列強がタイトルを奪還した。このシーンを見て最も焦燥感を募らせているのは England のサポーター達だろう。
ピッチ上はQueen の We are the Championが流れ始める。1990年ワールドカップイタリア大会でドイツ代表に送られたこの曲を今度はスペイン代表選手達に送られるのを世代は違うがドイツ代表選手達がみている。 スペイン選手達のウィニングランが始まりお別れの花火が打ち上げられても選手達が控室に戻っても特にスペインサポーター達はその場を離れようとしない。いつまでもその快挙のあった場所にいたいのであろう……

自分も潮時を見つけ “2年後南アフリカで会いましょう….” 私はそう言いながら周囲の人たちと握手を交わしながら帰途に着いた。道中まだテレビ観戦を終えてパブから出て来る人たちそしてこれから飲み直す競技場から出て来た人達が多く入れ違う。私は喉が渇いてたまらなかったのでまだ開いていたケバブーの IMBISS に入りコーラを2本買って教えて貰った U-Bahn の駅に向かった。そこは宿泊ホテルの最寄りの U-Bahn の次の駅であったので早くホテルに帰れた。
もし最初から競技場に行くつもりで帰りに乗車した駅を目指していたらこの決勝戦は観戦出来なかったかも知れない、いや出来なかったと思いたい……….

時計を見ると日本はもう午前6時過ぎ、部活の朝練習に向かう息子が起きる時間だ。朝練がんばれ、パパは今から寝ます。とメールを打ってシャワーを浴びてベッドに入った。
EURO は終わったけど我々に直接関係のある Asian Cup でこれだけ大会の価値と意義がアジア中で盛り上がって、日本が優勝して大いに胸を張れる……… そんな日は来ると信じている。

80年代欧州選手権の結果を試合の翌々日の英字新聞で追い掛けていたのが決勝戦を観戦できる様になったのだから……….