ようやく着席をしたがカテゴリー1なのに2階席の上の方だ。確かに全体が見やすいが現場観戦の迫力には少し欠ける。しかしNさんは“全体が見易くていい席ですよ。ありがとうございます。”と喜んでくれた。スタジアム内ではやはりチェコのユニフォーム赤色が目立つ。ガーナサポーター達も数こそ少ないが国旗をうちふり、アフリカ独特のリズミカルな調べを奏でて雰囲気を盛り上げる。 やがて両国の選手達が入場口前で整列している所がスクリーンに映し出されスタジアムが一気に盛り上がる。そして選手が入場する。ワールドカップフランス大会から使われているあの音楽に乗って。両国の国歌が演奏される。昨日テレビでみたアルゼンチン対セルビア=モンテネグロ戦では国歌演奏の時に口笛が吹き鳴らされたが、ここはその様な非紳士的な行為は無く、相手国の国歌を respect するべくそれぞれの国歌終了時には拍手が沸く。
そしていよいよキックオフ。チェコは長身のヤン=コラーが怪我の為にロクベンツがワットプに、いつもは2列目の左サイドに位置するネドベドが真中に。2列目は…とポジションの確認をする間に何とガーナが先制ゴールを挙げてしまった。左からのクロスにアサモア=ギャンが反応しそのままゴールネットを揺らした。ガーナゴール裏に陣取るガーナサポーター達は文字通り踊りあがって大喜び。開始わずか1分12秒だ。これは今大会最速のゴールとスクリーンに紹介される。この展開はチェコサポーターのみならずガーナサポーターも予想だにしなかっただろう。しかし“でもこれで試合は面白くなりますよ”とNさんが言う通り、チェコが追う展開の方が見ごたえがありそうだ。だがその後も主導権を握るのはガーナであった。MF のアッピー、ムンターリの2人がボールを持つとチェコの選手はボールが奪えない。そしてブンデスリーガのマインツに所属するオットー=アッドもボールキープが良い。またワンボランチのチェルシー所属のマイケル=エッシェンも縦の動きが良く攻守に渡り貢献する。29分にはアッピアーが決定機を外すがゴールに迫るのはガーナばかりだ。チェコは34分に、ようやく波状攻撃を見せるがゴールを割れない。この日は2列目に左からプラシール、ネドベド、ロシツキー、ポボルスキの4人を並べ、プラシール、ポドルスキーが攻撃時には両サイドを上りチャンスを伺う。しかしガーナはパス回しも良く37分には自陣ゴール前から見事なパスワークでシュードで持ち込む。その直後、今度はロシツキーがドリブルで持ち込んでシュートを放つが、チェコのチャンスはロシツキー、ネドベドのドリブル以外はチャンスが掴めない。“ガーナDFの戻りが早いのでチェコはパスが出せないんですよ”とNさんがコメントする。その後ガーナはアッピアーが素晴らしいシュートを放つが僅かにポストの外側だ。
こうして前半はガーナの見せ場が多いうちに終わった。 良く考えれば今大会のガーナ代表は4人の選手を除いて全てが欧州でプレーをする。GKアジェイを初め3選手がイスラエルで、MFドラミニがセルビアのレッドスターでプレーをし、他にもドイツ、フランス、イタリア、トルコ、イングランドでプレーする選手ばかりなので、個人能力は高い。そしてセルビア人デュイコビッチ監督が戦術を浸透させたのだろう。一方チェコのブリュックナー監督。目の前で見せるガーナの戦術こそ、かつてチェコが誇ったものと述壊しているのではないか? 後半はトップのロクベンツのボールが入らないのでバロシュを入れて2トップにするのかと思ったが、ボランチのガラセックをポラックに替えただけ。ガーナはオットー=アッドに替わってボアテンが入った。後半開始30秒、ネドベドのヘッドがゴールネットを揺らす。周囲のチェコサポーターが一斉に立ち上がるがオフサイド。しかし、チェコサポーターが湧いたのはこのシーンと56分、初めて見せた見事なパスワークから最後はプラシールが放ったショットをガーナGKアジェイにファインセーブされた時だけ。後半はハーフタイム中にどんな指示を受けたのかガーナの見事な戦術とパスワーク、ポジショニングが目立つ45分だった。65分にはアモアがウィファルジに引き倒されてガーナがPKを得る。しかし、先制ゴールのギャンが蹴ったPKはポストを直撃して追加点はならない。チェコサポーターは大喜びと言うよりも安堵の歓声を上げる。しかし、ガーナがその後も支配を続ける。チェコのロングパスにも先に追い付いたり、高さで優ったりと身体能力の高さを見せる。56分にはポボルスキーに替えてスタイナーを、68分にはシオンコがプラシールに替わって投入されるが、展開は変わらない。バロシュは怪我でもしているのかな?そしてワンタッチでパスを華麗に回す。72分、74分とペナルティーエリア内で3本のパスが通され、チェコも後手、後手にまわる。80分にFWのアモアに替わりPSVアイントホーフェン所属のエリック=アッドが投入され、中盤を厚くした直後の81分、左からのギャンからのセンタリングをステファン=アッピアーがチェコゴールに蹴りこんで、決定的な2点目を。もうゴール裏に陣取るガーナサポーターはお祭り騒ぎだ。ブリュックナー監督もなす術なしと両手を広げるポーズがスクリーンに映し出される。さらに勢いに乗ってガーナ選手がチェコゴールに何度もせまる。チェルシー所属のGKチェホのセーブが無ければ何点獲られていただろう?85分にはこの日の Man of the Match のギャンが大歓声に送られてピッチを後にする。スタンドにはガーナサポーター達のリズムが更に大きく流れてくる。そしてタイムアップ。ガーナは歴史的なワールドカップ初勝利を納め、チェコのアフリカ代表との初対戦は黒星となった。良く考えれば両国の選手自身はみなワールドカップは初登場。ガーナ選手がチェコを圧倒するのも不思議ではなかった。
スタジアムの周囲はガーナ人のフィエスタが続く。“チェコが負ければ帰りのトラムが心配だ”とNさんと言っていたのだが、チェコのサポーター達も非常に紳士的。しゅくしゅくと今日の試合を振り合えっていた人達が多かった。
ここでNさんは友人達と合流しデュッセルドルフに向かいます、と明日の日本戦でも再会と我が代表の健闘を祈り別れを告げた。私はYさんとTさんとで中央駅の近くのイタリアレストランでビールとパスタを突きながら、アメリカ対イタリアをテレビ観戦することにした。 中央駅付近にはレストランはあるが、テレビのあるレストランは少なく、ようやく見つけたこのレストランもテレビは大型ではなかった。おそらく21型ではないかな? 試合は既にイタリアがジラルディーニョのゴールでリードしていた。しかし入店直後、アメリカ、デンプシーのクロスがザッカルドに当りオウンゴールでイタリアは同点にされた。 そのキックオフ直後にアメリカ選手が流血しているのが映し出される。客は何事かと画面を。デ・ロッシが競り合いで肘をマックブリッジの顔にいれたのだ。これでデ・ロッシは1発退場。 するとリッピ監督は早くも35分にトッティを下げてガッツゥーゾを投入する。すると今度はアメリカDFマストレニがピルロへのスライディングが足を派手に払ったと、1発退場。この判定にはアリーナ、アメリカ監督が怒りを隠さない。そして後半開始早々アメリカ選手が足早にピッチを後にするシーンが映し出され、続いて再びアリーナ監督が何やらわめいているシーンが。DFポープが2枚目のイエローをもらい退場となった。ポープはシドニー五輪の準々決勝での日米決戦にも出場した選手だ。 “10対9かぁ。どんな試合になるんやろ?”とYさんが。“これだけスペースがあれば何でも出来るんとちゃいますか?”と答えるとTさんもなるほどと。リッピ監督は54分にはデル・ピエーロをザッカルドに替えて61分にはルカ=トニを下げてイヤンキタを入れる。この試合もインザーギの登場はなかった。52分2月の日本戦で活躍した コンラッドがコンベイに替わって投入される。登録はDFだがその攻撃力は日本戦で証明済だ。62分にはPSVアイントホーフェン所属のビーズリーがデンプシーに替わって入る。まだまだ守りに入る時間じゃないというシグナルだ。1990年イタリア大会でアメリカはイタリアに 1-0 で敗れている。しかし今回は堂々と渡り合っている。特にフィジカルの強さを前面に出し、キックアンドラッシュを使ったと思えば、トップ下のドノバンがネスタ、カンナバーロらと渡り合う。またGKケイシー=カーシーもしっかりとゴールを守る。初戦のチェコ戦を 0-3 と落として後が無いアメリカのこの戦いに感動を覚える。そしてそのままタイムアップ。オフサイドの数がイタリア11に対してアメリカはわずかに1。これでGroup E 全てに未だ決勝トーナメント進出の可能性が残った。明日の日本もこの様に戦って欲しいと願う。我々も他の客同様にレストランを出てそれぞれの帰途についた。明日18日はボンから約4時間半かけてニュルンベルグへの長旅だ。ホテルに戻り電車の時間を調べ床に就いた……
そしていよいよキックオフ。チェコは長身のヤン=コラーが怪我の為にロクベンツがワットプに、いつもは2列目の左サイドに位置するネドベドが真中に。2列目は…とポジションの確認をする間に何とガーナが先制ゴールを挙げてしまった。左からのクロスにアサモア=ギャンが反応しそのままゴールネットを揺らした。ガーナゴール裏に陣取るガーナサポーター達は文字通り踊りあがって大喜び。開始わずか1分12秒だ。これは今大会最速のゴールとスクリーンに紹介される。この展開はチェコサポーターのみならずガーナサポーターも予想だにしなかっただろう。しかし“でもこれで試合は面白くなりますよ”とNさんが言う通り、チェコが追う展開の方が見ごたえがありそうだ。だがその後も主導権を握るのはガーナであった。MF のアッピー、ムンターリの2人がボールを持つとチェコの選手はボールが奪えない。そしてブンデスリーガのマインツに所属するオットー=アッドもボールキープが良い。またワンボランチのチェルシー所属のマイケル=エッシェンも縦の動きが良く攻守に渡り貢献する。29分にはアッピアーが決定機を外すがゴールに迫るのはガーナばかりだ。チェコは34分に、ようやく波状攻撃を見せるがゴールを割れない。この日は2列目に左からプラシール、ネドベド、ロシツキー、ポボルスキの4人を並べ、プラシール、ポドルスキーが攻撃時には両サイドを上りチャンスを伺う。しかしガーナはパス回しも良く37分には自陣ゴール前から見事なパスワークでシュードで持ち込む。その直後、今度はロシツキーがドリブルで持ち込んでシュートを放つが、チェコのチャンスはロシツキー、ネドベドのドリブル以外はチャンスが掴めない。“ガーナDFの戻りが早いのでチェコはパスが出せないんですよ”とNさんがコメントする。その後ガーナはアッピアーが素晴らしいシュートを放つが僅かにポストの外側だ。
こうして前半はガーナの見せ場が多いうちに終わった。 良く考えれば今大会のガーナ代表は4人の選手を除いて全てが欧州でプレーをする。GKアジェイを初め3選手がイスラエルで、MFドラミニがセルビアのレッドスターでプレーをし、他にもドイツ、フランス、イタリア、トルコ、イングランドでプレーする選手ばかりなので、個人能力は高い。そしてセルビア人デュイコビッチ監督が戦術を浸透させたのだろう。一方チェコのブリュックナー監督。目の前で見せるガーナの戦術こそ、かつてチェコが誇ったものと述壊しているのではないか? 後半はトップのロクベンツのボールが入らないのでバロシュを入れて2トップにするのかと思ったが、ボランチのガラセックをポラックに替えただけ。ガーナはオットー=アッドに替わってボアテンが入った。後半開始30秒、ネドベドのヘッドがゴールネットを揺らす。周囲のチェコサポーターが一斉に立ち上がるがオフサイド。しかし、チェコサポーターが湧いたのはこのシーンと56分、初めて見せた見事なパスワークから最後はプラシールが放ったショットをガーナGKアジェイにファインセーブされた時だけ。後半はハーフタイム中にどんな指示を受けたのかガーナの見事な戦術とパスワーク、ポジショニングが目立つ45分だった。65分にはアモアがウィファルジに引き倒されてガーナがPKを得る。しかし、先制ゴールのギャンが蹴ったPKはポストを直撃して追加点はならない。チェコサポーターは大喜びと言うよりも安堵の歓声を上げる。しかし、ガーナがその後も支配を続ける。チェコのロングパスにも先に追い付いたり、高さで優ったりと身体能力の高さを見せる。56分にはポボルスキーに替えてスタイナーを、68分にはシオンコがプラシールに替わって投入されるが、展開は変わらない。バロシュは怪我でもしているのかな?そしてワンタッチでパスを華麗に回す。72分、74分とペナルティーエリア内で3本のパスが通され、チェコも後手、後手にまわる。80分にFWのアモアに替わりPSVアイントホーフェン所属のエリック=アッドが投入され、中盤を厚くした直後の81分、左からのギャンからのセンタリングをステファン=アッピアーがチェコゴールに蹴りこんで、決定的な2点目を。もうゴール裏に陣取るガーナサポーターはお祭り騒ぎだ。ブリュックナー監督もなす術なしと両手を広げるポーズがスクリーンに映し出される。さらに勢いに乗ってガーナ選手がチェコゴールに何度もせまる。チェルシー所属のGKチェホのセーブが無ければ何点獲られていただろう?85分にはこの日の Man of the Match のギャンが大歓声に送られてピッチを後にする。スタンドにはガーナサポーター達のリズムが更に大きく流れてくる。そしてタイムアップ。ガーナは歴史的なワールドカップ初勝利を納め、チェコのアフリカ代表との初対戦は黒星となった。良く考えれば両国の選手自身はみなワールドカップは初登場。ガーナ選手がチェコを圧倒するのも不思議ではなかった。
スタジアムの周囲はガーナ人のフィエスタが続く。“チェコが負ければ帰りのトラムが心配だ”とNさんと言っていたのだが、チェコのサポーター達も非常に紳士的。しゅくしゅくと今日の試合を振り合えっていた人達が多かった。
ここでNさんは友人達と合流しデュッセルドルフに向かいます、と明日の日本戦でも再会と我が代表の健闘を祈り別れを告げた。私はYさんとTさんとで中央駅の近くのイタリアレストランでビールとパスタを突きながら、アメリカ対イタリアをテレビ観戦することにした。 中央駅付近にはレストランはあるが、テレビのあるレストランは少なく、ようやく見つけたこのレストランもテレビは大型ではなかった。おそらく21型ではないかな? 試合は既にイタリアがジラルディーニョのゴールでリードしていた。しかし入店直後、アメリカ、デンプシーのクロスがザッカルドに当りオウンゴールでイタリアは同点にされた。 そのキックオフ直後にアメリカ選手が流血しているのが映し出される。客は何事かと画面を。デ・ロッシが競り合いで肘をマックブリッジの顔にいれたのだ。これでデ・ロッシは1発退場。 するとリッピ監督は早くも35分にトッティを下げてガッツゥーゾを投入する。すると今度はアメリカDFマストレニがピルロへのスライディングが足を派手に払ったと、1発退場。この判定にはアリーナ、アメリカ監督が怒りを隠さない。そして後半開始早々アメリカ選手が足早にピッチを後にするシーンが映し出され、続いて再びアリーナ監督が何やらわめいているシーンが。DFポープが2枚目のイエローをもらい退場となった。ポープはシドニー五輪の準々決勝での日米決戦にも出場した選手だ。 “10対9かぁ。どんな試合になるんやろ?”とYさんが。“これだけスペースがあれば何でも出来るんとちゃいますか?”と答えるとTさんもなるほどと。リッピ監督は54分にはデル・ピエーロをザッカルドに替えて61分にはルカ=トニを下げてイヤンキタを入れる。この試合もインザーギの登場はなかった。52分2月の日本戦で活躍した コンラッドがコンベイに替わって投入される。登録はDFだがその攻撃力は日本戦で証明済だ。62分にはPSVアイントホーフェン所属のビーズリーがデンプシーに替わって入る。まだまだ守りに入る時間じゃないというシグナルだ。1990年イタリア大会でアメリカはイタリアに 1-0 で敗れている。しかし今回は堂々と渡り合っている。特にフィジカルの強さを前面に出し、キックアンドラッシュを使ったと思えば、トップ下のドノバンがネスタ、カンナバーロらと渡り合う。またGKケイシー=カーシーもしっかりとゴールを守る。初戦のチェコ戦を 0-3 と落として後が無いアメリカのこの戦いに感動を覚える。そしてそのままタイムアップ。オフサイドの数がイタリア11に対してアメリカはわずかに1。これでGroup E 全てに未だ決勝トーナメント進出の可能性が残った。明日の日本もこの様に戦って欲しいと願う。我々も他の客同様にレストランを出てそれぞれの帰途についた。明日18日はボンから約4時間半かけてニュルンベルグへの長旅だ。ホテルに戻り電車の時間を調べ床に就いた……