Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

痛恨 逆転負け

2006-06-14 | FIFA World Cup
大会4日目、日本代表はオーストラリア代表に痛恨の逆転負けを喫した。 日本中が失意のどん底に落ちたのではないか?

不安な立ち上がり
試合が行なわれたカイザースラウテルンのフィッツ=ヴァルター球技場。 フィッツ=ヴァルターは1954年ワールドカップスイス大会で西ドイツ代表が優勝したときの主将で4年前、私が観戦した蔚山での アメリカ 対 ドイツ 戦の試合前にその訃報がスタジアムの電光掲示板でも紹介された。 そしてここをホームにする 1FCカイザースラウテルンは昨シーズン16位に終わり2部降格とってしまった。このチームほど不思議なチームは無い。Meisterschale を勝ち取ったかと思えばその翌年に最下位に転落したり。 1FC カイザースラウテルンと言えば、70年代にスウェーデン代表の名GK、ローニー=ヘルストレームがいた。 この試合、彼にあやかり川口に好プレーを連発してもらいたいものだ、と思った。
日本のスタメンは怪我が完治しなかった加地に替わり駒野が起用された以外は予想通り。オーストラリアは話題になっていたキューウェルがスタメンに。そしてDFヴィルクシャーが起用された。キューウェルはオランダ戦、リヒテンシュタイン戦で起用されなかったが、この試合のスタメン起用にはそう驚かなかった。あぁ出れるのか。と言う程度。日本から確実に勝点を奪う為と感じたが、90分プレーするとは思わなかった。それよりケーヒルをベンチに置いた方が以外に感じた。後にこれがヒディング采配に結びつく。ヴィルクシャーはオランダ戦で退場になったDFだ。スココ、ポポヴィッチ、ラザリエスらを抑えて抜擢された。
試合開始からオーストラリアはヴィドゥーカが体格を生かして突破する。早くも6分には右サイドを破られ決定的なピンチを招くが川口がファインセーブ。ヘルストレームの加護が川口に宿ってくれたと思った。その後もヴィドーゥカの突破が続く。日本は何とかDFを集めてゴールを許さない。 しかし、先制点は日本だった。26分に中村がゴール前に入れたロブがそのままオーストラリアゴールに転がり込んだ。GKシュヴァルツァーをはじめオーストラリアの選手、そして後にはヒディング監督もキーパーチャージだと激しくアピールする。 そして後日、エジプト人 ABD EL FATAH Essam 主審は“ゴールを認めるべきではなかった”と自らの誤審を認めた。 その直後、キューウェルが得意のドリブルシュートを放つがクロスバーをかすめる。このドリブルは2001年、ウルグアイのモンテビデオで行なわれたプレーオフで、彼が見せた同じ様なドリブルシュートを髣髴させた。しかし、90分間でキューウェルらしさが見られたのはこのシーンのみ。前半はオーストラリアが何度もチャンスを掴みかけるが、日本DF陣そして中田が読みの良い好守を見せて得点を許さない。そして川口もファインセーブを連発する。それにしても ニール、クリナ、ウィルクシャーらは中村には当りがきつい。そして後ろからでも蹴ってくる。だがオーストラリアマスコミは中村の転倒を“マリーシア”の一つと見ている。 

選手交替の違い
ハーフタイム中に選手交替は無く、選手交替が一つの鍵となってきそうだった。53分、ブレッシアーノに替わってケーヒルが入り、61分にはムーアに替えて注目の長身選手ケネディが入る。ブレッシアーノが下がったことでクロスの配給者が居なくなったのでは?とも思った。ケネディの投入は、おそらく56分に坪井が怪我で茂庭に替わった事に寄与するだろう。しかし、ケーヒルが入った事で前線でボールが回るようになった。それでも中田が相変わらず読みの良い守備で貢献する。そして空中戦でも中澤が負けていないが、前半から守勢に回っていた日本DF陣のスタミナも心配だ。75分にはウィルクシャーに替えてアロイージが投入された。今考えれば正にヒディング監督の選手起用は適材適所だ。ケネディも決定的な仕事は出来ないが良いターゲットになり、そのこぼれダマに日豪両選手が群がるのでなかなか日本陣内を抜け出せない。しかし、次第にオーストラリア選手の動きがおちて来る。ヴィドゥーカも突破力が衰えてきた。キューウェルはすでに動けない。日本ベンチも後手に回らない様な選手起用をと願う。79分に柳澤に替わって小野が投入される。そして中田をやや前線に置いた。しかし、中田の守備能力が失点を防いでいたので、ここは稲本を入れて中盤の守備を厚くするか、前線に動ける選手を入れて前からのプレスをかけるかにすべきではと思った。83分、ペナルティーエリアから僅か外側でオーストラリアがFKを得る。そしてアロイージが直接狙うがまたもや川口がファインセーブ。私はこれでこの試合は貰ったと思った。

悪夢の3連続失点
しかし、悪夢はそれが始まりだった。その直後のスローイン。ケネディと交錯した川口はボールをクリアーできない。そのこぼれダマがケーヒルの正面に転がり、ケーヒルのショットはそのままゴールネットを揺るがした。日本サポーターと異なり、応援歌や手拍子の応援が聴かれなかったオージーの大サポーターから大音量の歓声が上がる。オーストラリア史上初めてのゴールが記録された。 これまで好プレーの連発だった川口の痛いミスだった。これでオーストラリア選手は生き返った。そして日本DF陣の足が止まりだす。そして恐れていたことが、89分にまたもやゴール中央からケーヒルに撃たれたシュートは右ポストに当たってそのままゴールライン上を辿って左ネットに刺さった。一気に逆転だ。ここでベンチは大黒を入れる。しかし、ここで投入なら何故逆転される前に投入しなかったか?ロスタイムは3分、中継していたNHKアナウンサー、解説の井原正巳は“これまで何度もロスタイムで日本は得点を挙げた….”と繰り返すが、次のゴールもオーストラリアのアロイージであった。 茂庭が下がりDFが2枚になってしまい、容易に追加点を許した。本当にジーコジャパン最悪の10分間だった。 しかし終わってみればシュート数がオーストラリアが20本に対し、日本は6本。ゴール枠を捉えたのはオーストラリア12に対して日本は僅かに2本。戦術の違いは有るかもしれないが、この数字をみれば 1-3 というスコアは妥当だったかもしれない。決定力以前の問題だ。

次のクロアチア戦は?
今大会初めて逆転負けを喫したのが何と我が日本代表であった。これから中五日間あるが、精神的なコンディショニングが大変だろう。 心配なのはこれでチームが崩壊してしまうこと。 クロアチアはブラジルに敗れたことで日本戦には相当な意気込みで当たってくることは必至だ。
ニュールンベルグの Franken Stadium も屋根が無いのでじりじりと日差しがきつくなり温度が上昇し最後は体力勝負にもなるか? クロアチアの初戦はブラジルとのナイターだったので、ディゲームの戦いに順応できるだろうか?
いやその前に日本代表選手達がどの様な準備をしてニュルンベルグに登場してくれるだろうか?
前大会終了後、むしろ4年後のワールドカップが楽しみにと思っていたのだが、それが思い違いでなかった事を祈るよ。

日本:川口 - 中澤、宮本、坪井(茂庭56 大黒 90) 駒野、中田、福西、中村、三都主、高原、柳沢(小野79 ) Goal 27: 中村 警告 宮本、高原、茂庭

オーストラリア:Schwarzer - Moore ( Kennedy 61 ) Neil, Chipperfield, Wilkshire ( Aloisi 75 ) Emerton, Grella, Bresciano, ( Cahill 53) Culina, Vuduka, Kewell Goal 84,89 Cahill, 90 Aloisi