Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

1970年 ペレブラジルは守備的なチームだった

2006-06-09 | FIFA World Cup
1970年ワールドカップメキシコ大会を無敗で制したブラジル。神様ペレを中心に、リベリーノ、トスタン、ジャイルジーニョと攻撃陣にタレントを揃えたセレソンは攻撃的な布陣で大会を制したと思う人が多いらしい。6試合で19得点。時代が異なるとはいえ、一試合あたり3得点以上の得点力で勝ちあがったと思えるだろう。しかし、当時を振り返ったペレはこういう。“皆さんは我々が offensively に戦ったと思われているが、実は defensively に戦ったんだ。”と漏らした。“当時、大会のセレソンは2ヶ月前に監督がマリオ=ザガロに交代するという緊急事態であった。そしてペレは疲れ切っていたといわわれていた。所属先のサントスはペレ人気にあやかりワールドツアーを続け、ペレは休む暇さえなかった。しかも4年前のイングランド大会で欧州のラフなDFに大会から蹴りだされ、”もうワールドカップには出たくない“と考えたときもあったらしい。 その時に、新しく指揮を振るうようになったザガロはチームに規律と役割分担を徹底させた。そしてシステムも変更した。そのシステムは 4-4-2 とも 4-5-1 とも言われた。70年代の日本は3トップが当たり前のシステムであったのでそれ自身が斬新であったかもしれないが、ペレに言わせれば”システムという言葉を借りるのなら 我々のシステムは 8-2 だ。“6月初旬の TIMES にはこの様に述べられている。そしてペレは続ける”もしボールが相手に渡ると我々はジョルジーニョを残して全てが自陣に戻りボールを取り戻そうと努めた。大会の総得点からみて攻撃的に戦ったと思われがちだが、それはあくまでも守備的なサッカーだ。そしてそれは大会の結果(優勝と得点数)からみてモダンなサッカーと言えただろう。“ だが私はその裏には選手個人の高い能力と高地のメキシコの天候と気圧に欧州勢がまず対応せねばならないと言う事実も見過ごせない。ブラジルの個人技に対抗するには運動量が必要であった。4年後の西ドイツ大会では、2次リーグの最終戦で対戦したオランダがそのトータルフットボールの集大成と言うべき試合展開でブラジルを圧倒したが、もし試合会場がドルトムントではなく、高温の南欧や南米であればオランダの選手はその運動量を維持できただろうか? 

そして私は他に面白い数字を見つけた。下記を参照下さい。 これはブラジル、アルゼンチンのワールドカップ代表メンバーが欧州のクラブチームに所属していた選手の数の遍歴だ。

1974 Brazil 0 Argentina 5
1978 Brazil 0 Argentina 2     
1982 Brazil 2 Argentina 3   
1986 Brazil 2 Argentina 6   
1990 Brazil 12 Argentina 12    
1994 Brazil 11 Argentina 9   
1998  Brazil 16 Argentina 13 
2002 Brazil 10 Argentina 20  
2006 Brazil 21 Argentina 17  

アルゼンチンは歴史的に見ても南米の中で欧州との交流が長く、深かったことから選手達の渡欧が顕著であった。これはむしろ、アルゼンチンがワールドカップで優勝したのが1978年の地元開催まで待たねばならなかったと言う原因の一つでもあった。 しかし、サッカーがよりコマーシャリズムに侵食されるようになり、両国は特に“輸出国”として開拓され例え代表クラスでなくても多くの欧州のクラブチームは南米選手抜きでチーム編成は考えれなくなってきている。 前回の日韓大会ではブラジルよりも候補と見られていたアルゼンチンが1次リーグで敗退したのは、増え続ける所属先の試合数がいかに影響していたかがわかる数字だ。 
だが今回はどうだろう。多くの選手にとっては時差の無いドイツはむしろ“地元”に近いのではないか? ブラジル、アルゼンチンを迎える地元ドイツ、そして前評判の高いイングランド、イタリアは今大会は“地元”の南米選手に対峙せねばならない。 もし欧州勢がタイトルを手中に出来なければ、次回は南アフリカ大会、次々回はブラジがホスト国ではと見られている。ワールドカップが欧州大陸に帰ってくるのは2018年まで待たねばならなくなるかもしれない。 

アルゼンチン代表は以下の通りです

Goalkeepers: Roberto Abbondanzieri (Boca Juniors), Leonardo Franco (Atletico Madrid), Oscar Ustari (Independiente)

Defenders: Fabricio Coloccini (Deportivo Coruna), Roberto Ayala (Valencia), Gabriel Heinze (Manchester United), Juan Pablo Sorin (Villarreal), Gabriel Milito (Real Zaragoza), Nicolas Burdisso (Inter Milan), Leandro Cufre (AS Roma)

Midfielders: Lionel Scaloni (West Ham United), Esteban Cambiasso (Inter Milan), Javier Mascherano (Corinthians), Luis Gonzalez (Porto), Pablo Aimar (Valencia), Juan Roman Riquelme (Villarreal), Maximiliano Rodriguez (Atletico Madrid)

Forwards: Carlos Tevez (Corinthians), Hernan Crespo (Chelsea), Lionel Messi (Barcelona), Rodrigo Palacio (Boca Juniors), Javier Saviola (Sevilla), Julio Cruz (Inter Milan).

アジア最強はイラン

2006-06-09 | FIFA World Cup
クロアチアが国内で最後に行った調整試合の相手国はイランだった。8年前のフランス大会前にもスーケル、ボバン、アサノビッチらを擁したクロアチア代表チームはイランの首都テヘランでイラン代表相手に強化試合を行い 2-0 で勝っていた。試合後イランのエースアリ=ダエイが“前の年(11月にジョホールバルで戦った)の日本の方が手強かったよ”とコメントし、そのコメントに対して当時のブラジェビッチ、クロアチア代表監督は“イラン人の言う事は聞かないほうが良い”と言ったのを思い出す。 そのブラジェビッチ氏は後にイラン代表を率いる事になり、今のイラン代表のイヴァンコヴィッチ監督は前任のブラジェビッチに師事していた。昨年末にワールドカップの組分けが決ったときにこの2カ国がマッチメイクする事は想像していたが、まさかこんな最後の段階とは思わなかった。

         GK 1 ミルサブール

     4 コルモハマディ      5 シザイエ

    13 キャビー             20 ノスラティ

        6 ネコンナム    24 ティモリアン
      ( 23 ジョジャエイ 86 )
   8 カリミ            7 ザンディ
               ( 25 バクティアリサエ 46 )

         10 ダエイ   9 ハシュミアン
     ( 22 カゼミアン 76 ) ( 15 ボルハニ 70 )

          9 プルショ 17 クラスニッチ
    ( 18 オリッチ 56 )   ( 21 バラバン 75 )
            19クルニチャル

   8バビッチ           2 スルナ
           ( 16 イェルコレコ )
        5 トゥドゥル    10 ニコ=コバチ
    ( 14 モドリッチ 46 )    ( 6 ムラニシュ 23 )

   13 トマス    4 ロベルト=コバチ    7 シミッチ
   ( 11 トキッチ 46 )

            1 プルディゴサ

試合は立ち上がり直後はイランが攻め込み、開始1分半では早くも最初のCKを得る。しかしそのクロスにはダエイが触れない。37歳のアリ=ダエイはイヴァンコヴィッチ、イラン代表監督が絶大なる信頼を置いているのか、イランサッカー協会がそうさせているのか、この日もスタメンであったが、ダエイ絡みであわやと思わせたシーンはここだけ。後はバイエルン=ミュンヘンでレギュラーの座を手に入れようとしているアリ=カリミのドリブル突破のみが攻撃の糸口となる。マハダビキアがいないのでどうしても右からの攻撃が手薄になるのか?それでも6分にはカリミがミドルレンジからドリブルシュートを放つ。しかし以降は地力に優るクロアチアがイラン陣内で試合を進める。ここで目立つのは体格の差。体格の面ではイランこそアジアでは1,2を競うが、クロアチアの選手と混じればむしろ小さく見える。トップのダエイはアジア諸国との試合では電信柱の様に目立つが、クロアチアDFの中ではそう目立たない。本当に公式発表の通り189cmあるのかな?トマス186cm、ロベルト=コバチ180cm、シミッチ182cm だ。それとも跳躍力が落ちているのかな?しかし、ここまで見てもイランが体格で劣るのは明らかだ。他のフィールド選手にしても日本選手を体格で押さえ込むという印象があるイランの選手の方がフィジカル面で劣り、ボール回しやパスワークなどを駆使してボディコンタクトを避けているようだった。

それでも先制点はイランだ。20分にハシュミアンがドリブルで左サイドを上がり中のティモリアンに渡す、さらに右のカリミにはたくとトマスの甘いマークを容易にくぐり放ったシュートがそのままゴールネットに突き刺さる。これまでクロアチア代表は2部練習を前日まで続けており、疲れはあったのだろうがDF陣のもたつきは相変わらず。ここをつくとチャンスが生まれるか?しかし、その後も主導権を握っていたのはクロアチアだ。攻め込んではCKを得る。左からのCKを含むプレースキックはクルニチャルが、左からはスルナが蹴る。特にスルナのクロスは早くて低いのや放物線を描きながらもポイントを得る良いボールを入れる。そして29分にはクロアチアが同点に。23分にロベルト=コバチに替わって早くも投入されたムラニシュが右サイドを上がり、クラスニッチにクロスを入れ、それをクラスニッチが頭で折り返したところをクルニチャルが足で落としそのこぼれ球をプルシュが打ってそのままゴールイン。日本がクロアチア相手に見せたいダイレクトで繋いだ見事な攻撃だった。(ブラックデビルか?)

しかしクロアチア代表クラニチャール監督が心配するのはムラニシュに替わって引っ込んだボランチのニコ=コバチの状態ではないか?この同点ゴールの直後から激しい雨が降ってくる。イランは開始直後のダエイのワントップから2トップにし 4-4-2 のシステムに。攻撃時にはカリミ、ザンディが両サイドを上がるが、クロアチアの3DFは随分左右に振られる。特に真ん中のロベルトは前後の動きは早いが、左右の動きには1歩、2歩遅れる。そしてザンディのドリブルには遅れ気味だ。同じポジションの三都須はこのあたりよく学習したかな?それとも今から元京都パープルサンガの松井は呼べないやろなぁ。前半のクロアチアは42分にプルショのクロスからクラニッチがフリーで放つがゴール枠を捉えられない。

ハーフタイム中に雨が止んだ。イランはザンディに替えてバクティアリサデを入れ、クロアチアはボランチ、トゥドゥルに替わってモドリッチが左サイドバックのトマスに替わりトキッチが投入される。この交代はイランには凶とでる。バクティアリサデはあまり前に出てこず、ザンディが下がった事で攻撃時に前線が3人に減ってしまった。開始早々の47分にはクラスニッチが倒され自らはなったFKが、55分にはバビッチのCKからのムラニシュのヘッドがゴールを襲う。56分にはプルショ、クラニチャル、モドリッチ、スルナと渡り、再びクラニチャルがヒールでフリーのプルショに戻すが打てなかった。その直後はこぼれ球を今度はスルナが撃つがゴールを外れる。64分にはスルナが下がりイェルコレコが投入される。そしてイランは攻撃の起点であったハシュミアンが下がりボルハニが入る。まぁ試合結果の問われるゲームじゃないから。その後もダエイに変わってカゼミアンがクラスニッチに替わってバラバンが入り両チーム攻撃陣が入れ替わる。クロアチアの中心選手クラニチャルが下がらないのは。この日の出来が悪いまま下げたくなかったからか?それにしても動きが遅いなぁ。体重がベストでなさそうなのは確実だ。

その後もゲームはイランコートで進むが、2点目を先に入れたのはイランであった。久し振りにクロアチアコートにイランが攻め込むがトキッチがカットする。しかしトキッチが中のロベルト=コバチに渡すつもりが、コバチの頭を越えてフリーのボルハニに渡ってしまう。そしてボルハニが落ち着いてクロアチアゴールに蹴りこんでイランがまたリードする。ワールドカップ前のホームゲーム最終戦がこのていたらくではと地元サポーターから口笛が飛ぶが試合はこのまま終わらない。ロスタイムに入り、後方からイランゴール前にロングボールがはいり、これをDFミザイエとGKミルサブールがお見合いをするとその隙にオリッチがボールを奪って中に切れ込む直前にミルサブールがオリッチの足を掴んだ。文句なしのPKが宣告され、それをバビッチが決めて敗戦と言う結果は免れた。 クロアチアは最終ラインが相変わらず不安定、というよりもボランチとの守備面での受け渡しの徹底が必要だろう。攻撃の方ではスルナ、バビッチが上がるとボールがよく廻る。あとはクルニチャルのコンディションだ。このままでは大会後ディナモ=ザグレブのサポター達から何を言われるか?? 

一方のイランは好守に渡るエース、マハダビキアが欠場。それで引分けられたのでイヴァンコビッチ監督も収穫ありと思ったか?大会ではダエイを起用するのかな?このダエイ、とマハダビキアの2人が8年前のフランス大会の経験者だ。アジアから4カ国がワールドカップに出場出来るが、8年前同様イランが実力的に1番ではないか?メキシコ、ポルトガルのいずれかを破るのは容易では無いが(もう1つはアンゴラ)ポルトガルはけっこう第三勢力との分が芳しくない。前回はアメリカ、韓国に1986年大会ではモロッコに敗れ1次リーグで消えている。また1979年日本で開催されたワールドユース大会でも初戦でカナダに敗れた。イランは8年前の、バケリ、アジジを加えた時の様な破壊的な攻撃は無いが、ナビドキア、ザンディ、レザイエと言った欧州でプレーする選手が増えた。ただ最近伝統的な堅い守備がやや落ちているのが気になる。1978年に初出場を果たしたが、当時はアジア、オセアニアからの出場枠が1つしかなかった時代だ。その後イスラム革命、イランイラク戦争があり2大会連続でエントリーしなかったが1990年アジア大会で優勝すると復活の狼煙を上げ、1993年ドーハで行われたワールドカップアジア地区最終予選では本大会出場はならなかったが若き日のアリ=ダエイが大会得点王に。そして4年後は最後にオーストラリアとのプレーオフをアウェーゴール数で制し4大会ぶりの出場を決めた。今大会、何とか1次リーグを突破して欲しいものだ。出来れば日本と共に。

Goalkeepers: Ebrahim Mirzapour (Foolad Khuzestan/IRI), Vahid Talebloo (Esteghlal Tehran/IRI), Hassan Roudbarian (Pas/IRI)

Defenders: Yahya Golmohammadi (Saba Battery/IRI), Mohammad Nosrati (Pas/IRI), Rahman Rezaei (Messina/ITA), Sattar Zare (Bargh Shiraz/IRI), Hossein Kaabi (Foolad Khuzestan/IRI), Sohrab Bakhtiarizadeh (Saba Battery/IRI), Amir Hossein Sadeqi (Esteghlal Tehran/IRI)

Midfielders: Javad Nekounam (Sharjah/UAE), Anderanik Teymourian (Abomoslem Khorasan/IRI), Mehdi Mahdavikia (Hamburg/GER), Fereydoon Zandi (Kaiserslautern/GER), Ali Karimi (Bayern Munich/GER), Mehrzad Madanchi (Persepolis/IRI), Javad Kazemian (Persepolis/IRI)

Forwards: Ali Daei (Saba Battery/IRI), Vahid Hashemian (Hanover/GER), Reza Enayati (Esteghlal Tehran/IRI), Arash Borhani (Pas/IRI), Masoud Shojai (Saipa/IRI), Rasoul Khatibi (Sepahan Isfahan/IRI).