歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

“礼遇の資格”凶器のバゲットは資格不足?

2011年03月08日 | 雑談
昨日は寒かったです。

朝から雪で勤めに行く方達にとっては、最悪の“月曜日”だったのでは?でも、わたしは家でゴロゴロです。それでも、運動の為に、午後からは雪かきをしたのでした。

一昨日の日曜日は従兄弟の一周忌の法要でした。月日の経つの早いもので、遠い過去の出来事のような気がします。わたしも、いつの日にか、こうして、忘れ去られ、消え去って行くのかと、思ったりしたのです。

それで、前回の松本清張の続き新潮文庫の「巨人の磯」の話しです。残り三編は、「礼遇の資格」「内なる線影」「理外の理」「東経139度線」です。

それで、「礼遇の資格」なのですが、前回、“冷遇の資格”と誤って書いたことに気付きました。内容的には、“礼遇”されず、“冷遇”された男の犯罪事件ですから、誤った変換に気が付かなかったようです。

主人公は“丈が小さく肩が落ち、顔も身体も細く、薄い眉にリスのような眼、ちんまりした鼻、締まりのない口もと、貧弱な顎”と云う身体的理由で、能力があるのに“礼遇”されること無く、冷遇されたのでした。

それにしても、酷すぎる外観です。もしかして?“締まりのない口もと”あたりは、清張先生自身の事かと?思ったりもしたのです。清張先生は“若い女性が好きだった”何て、噂を風の便りで、むかし、耳にしたような記憶が、うっすらとあるのです。

まあ、それで、冷遇と云っても、現役時代は都市銀行の“副頭取”で、退職後は国際協力銀行の“副総裁”をやったり、銀行協議会の“副会長”をやったりする方なのです。

“人は見た目が大事”なのは、それなりに“オトナの常識”ですが、それなりの能力があれば、それなりの顔つきと態度になり、それなりに見えて来る、地位が人をつくるのも事実です。

それで、その冷遇の男ですが、妻が亡くなり、57歳のときに26歳の水商売の女と再婚するのです。31歳の差です。ここから不幸が始まるのです。痴情のもつれによる殺人、良くある話しなのです。まぁ、もつれて殺されるのは、とばっちりに近いアメリカ青年のハンソン君なのですが。

「巨人の磯」では、県会議員と秘書の奥さんで、今回は、若い奥さんが結婚前の愛人と、ずっと関係を持つ、世間ではありそうな話しですが、殺人にまで行き着くことは、そうそう無いのです。

冷遇された男は、フランスパンの、あのバケットを凶器に使用するのですが、いくら日にち経って堅くなったとしても、冷遇された男が剣道2段であったとしても、バケットで気絶させるのは、どうも、いまいち、納得できませんでした。

それにしても、“古代織り-コブト”の使い方とか、最後に犯人の夫をかばう婦人の供述が、なるほど!と思わせるのです。このへんの人間描写がさすがです。

犯行動機、凶器の以外性は今ひとつでした。30年前に書かれた文庫の解説では、凶器のバケットが奇抜だと賞賛しているのです。30年前にバケットが一般的ではなかった所為もあるのかとは思います。

でも、拘るようですが、バケットは堅くても、とても軽いので、衝撃力が不足です。精々、頭にコブができるか、切れて多少出血する程度だと思います。仮死状態に至るほど致命的なダメージを与えるのは、剣道二段の腕を持ってしても無理がある、と思います。

その辺を考えて、清張先生も、バケットで頭を一撃されるアメリカ人教師を、「髪の色、眼の色を別にすれば、小柄で東洋人だと思われる」体格に設定しているのでしょう。死体の移動運搬の問題もありますが・・・・・・。


それでは、また。



コメント (1)
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