歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

30年ぶりに松本清張で腐爛の促進

2011年03月04日 | 雑談
何故か、松本清張が読みたくなり、本棚で埃を被った新潮文庫の「巨人の磯」を引っ張り出して、埃を払い落としページをペラペラ捲ったのです。

何故か?と考えたら、今年の一月頃に録画して観るのを忘れていた、NHKがドラマ化した「天城越え」を先月に観ていたのが影響したのでした。

制作1978年ですから、今から32年も前です。かなり見応えがあり、「大谷直子」の「大塚ハナ」の“初々しい色気”が良かったです。サービス?オマケ?で原作者の松本清張が巡礼者役で顔を出していました。

それで、文庫の「巨人の磯」ですが、タイトルの“巨人の磯”と、“冷遇の資格”“内なる線影”“理外の理”“東経139度線”の5編の短編が収録されています。

順番に読んだのですが、5編ともすべてストーリーは忘れていました。

先ずは「巨人の磯」ですが、死体の腐爛と“膨張”を促進して、死亡時刻を後ろにずらすトリックで、アリバイ工作をする話しですが、死体膨張と「古代の巨人伝説」とを絡めた処あたりが清張らしい話しです。

殺されたのは県会議員で、犯人は議員が経営する会社の秘書、動機は女房を県会議員に寝取られた恨み、まぁ、よくある話しです。

それで、トリックですが、これは、かなり良くできています。被害者を空腹状態にして“サツマ芋”をたらふく喰わせた後、海に突き落とし溺死させ、その死骸を引き上げて、風呂の中で茹で腐爛を促進する。

読み終わり、古代の巨人伝説を、膨張した溺死体であったとする清張説は、なるほど!と、思わせます。県会議員も、秘書も、女房も、背景説明も、人物描写も、それなりに、なるほど!で、トリックもさすがで、面白く読んだのです。

でも、しかし、トリックを解明したのが死体第一発見者の“法医学者”で、警察はトリックに瞞され掛けた、かなりのトリックなのです。

こういう方法で死体の腐爛を促進する事を、地方の会社の単なる秘書が考え付くものなの?

プロの眼を欺くトリックを、犯罪の素人が゜考え付くのは、とても変だと思ったら、そもそも、推理小説は成立しない?

それは、ともかく、犯行現場が我が茨城県の大洗海岸で、とても親しめて?面白く読ませて貰いました。


それでは、また来週。


コメント
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