鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

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お気に入りその1959~新しい絵本2冊

2020-11-25 12:10:16 | 鬼平
今回のお気に入りは、新しい絵本2冊です。
最近発行された絵本を2冊ご紹介します。
①「がろあむし」
先日、お気に入りの絵本作家・舘野鴻の新作「がろあむし」をうっかり買い忘れていたことに気づき、あわてて注文しました。。
作家は寡作であり、これまでの作品「ぎふちょう」「しでむし」「つちはんみょう」はそれに見合うとても内容の濃い作品でした。
どれも決して手を抜かない取材と観察に裏打ちされた濃い内容でした。
あまりに時間と労力をかけ過ぎるため、商業ベースにのるはずもなく、作家の生活が成り立つのかをつい心配してしまうほどでした。
そんなこだわり過ぎる作家の新作を期待して読みました。
内容紹介を引用します。
=====
川と町のあいだの森。
くずれた崖の奥底で、黒いたまごから、がろあむしの赤ちゃんが生まれた。
がろあむしは、まっくらな世界をかけまわり、小さな生き物たちを食べて大きくなる。
ときに襲われてボロボロになりながらも、生きるために走りつづける。
やがて大きくなると、オスと出会い、たまごを産む。
しかしある日、がろあむしは燃えるように赤い体とともに、その一生を終える。
だれも知らない地下の暗黒世界で、ひとつのドラマが終わったとき、町は――
地下の暗黒世界に広がる宇宙と、そこに生きる小さな虫の大きな一生。
そして、おなじ地平で変わりゆく人間たちの社会を濃密に描き出した怪作。
『つちはんみょう』で小学館児童出版文化賞を受賞した著者が、取材に約10年を費やした渾身の絵本。
=====
地中の暗黒世界で人知れず誕生し、成長し、生涯を終えるガロアムシを丁寧に描いています。
オープニングとエンディングはその周囲に暮らす人々の社会を俯瞰で描いています。
主人公のガロアムシが生きた8年間で原っぱは整備されて野球場になり、畑は住宅街になっています。
同じ地球に暮らすヒトとガロアムシが互いを知らずに生きていることについて改めて考えさせられました。
生命の営みは遠い過去から遥かな未来へこうして静かに受け継がれていくのですね。
作家のこれまでの作品とは違う生命全体を描いたまさしく「怪作」でした。
残念に思ったのは暗黒世界の小さな生き物たちがたくさん描かれており、巻末に紹介されていたけれど、ほとんど本文の生き物と照合ができなかったことです。
本文の文字を極力少なくしたかったのでしょうが、巻末の紹介コーナーに本文のどのページに登場した生き物かだけでも記載して欲しかったです。
照合ができると読者の中には本書に触発されて自分でいろいろ調べる人も出てきたことでしょう。
そういう派生的効果が望めないことが残念でした。
作家の次回作に期待します。
といっても何年待てばよいのかな?

②「月のふしぎ」
この絵本のことは北海道新聞で知りました。
絵を担当した石垣渉さんが北海道出身の画家であることと、透明水彩の細密画が30ページほどあるため完成まで2~3年かかったことが紹介されていました。
ラブコールを受けて初めて絵本の絵を描いた画家は、締め切りを設けず絵の完成を待ってくれた出版社の気持ちに応えるために全力を注いだことでしょう。
その思いを感じつつ読みました。
内容紹介を引用します。
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あなたは、月を知っていますか?
知っているようで、意外と知らない「月」の不思議に迫る絵本です。
小さな子にも分かりやすい、月のふしぎ絵本の決定版! という内容で、5歳~小学生に向けた、読みやすい内容でありながら、今までの宇宙の絵本や教科書などにはない切り口も。
写実的な絵と、天体の専門家が見ても納得できる内容にこだわりました。
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出版社のご指名により透明水彩で2~3年かけて描かれた月の絵については期待が高すぎたのか、それほど魅了されることはありませんでした。
科学絵本ということでクレーターや海などを正確に描くことを心がけのでしょうが、自然が作り出した見事な丸さから美を感じることを子どもたちに伝えて欲しかったです。
ともするとデコボコに見えて残念に思ったページもあったものですから。
月の色が様々に変化することを紹介するページは見事でした。
月について学んだのは次の通り
・月が一番大きく見えるときを500円玉とすると一番小さく見えるときは10円玉
・日本では月齢ごとにたくさんの呼び名がある
・月の模様を日本では「うさぎの餅つき」といっているが、国ごとに異なっている
・南半球では月の模様は逆さまに見える
・満月の日は月の引力により大潮になる
  その日にウミガメは卵からかえって海を目指す
  その日にサンゴが産卵するのは卵をより遠くに運ぶため
付録の解説コーナーは大人が子どもに説明するときに使うことを考えてか、ふりがながありません。
自力で読みたい子もいるはずなので少々残念でした。

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