鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその664~「銀漢の賦」と「未来の二つの顔」

2012-06-30 12:42:13 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「銀漢の賦」と「未来の二つの顔」です。

「銀漢の賦」

「蜩ノ記」は直木賞を受賞して話題になりました。
週刊ブックレビューで紹介されたのをきっかけに読みました。
10年後に切腹で果てることを命じられた主人公の美しい生き様に感銘を受けました。

葉室作品をもう一冊読みたいな、そう思い迷っていたときにブログコメントで
推薦いただき、「銀漢の賦」を読むことに決めました。
ちょうど研修旅行の移動中に読む文庫本を探していたので一石二鳥でした。

幼ないころから友情で結ばれた3人の男たちが、それぞれの運命に翻弄されながらも
信念を持って真っ直ぐに生きる姿が美しかったです。
出世を果たした者、出世に興味がなかった者、一揆の首謀者として処刑された者と、
立場が大きく違ってしまったけれど、それぞれが矜持を持って生きたからこそ互いの
信頼は揺らぐことはありませんでした。

「蜩ノ記」と同じ、見習うべき「美しい生き様」が語られています。
人の真価は決して地位や名誉で語れない!
そういう著者の想いが伝わってきました。
限りある人生、「美しい生き様」だったといわれる人生でありたいものです。


「未来の二つの顔」

「巨人たちの惑星」シリーズなどのハードSFで有名なJ・P・ホーガンの作品で
評価が高い「未来の二つの顔」を星野之宣の漫画版で読みました。
生存本能を与えられたコンピューターが自身を守るためにすばらしいスピードで
進化して行き、そのせいで多くの人命が失われます。
5千人が住むスペースコロニーで行われた壮大な実験の結果は惨憺たるものでした。
こんな実験を思いつくこと自体がナンセンス。
コンピューターの進化が最終段階に達したときに起こりうる、論理展開のスピードで
太刀打ちできない人類の敗北。
それは厳重に管理された実験室の中でだけ試されるべき神の領域の実験です。

ターミネーターやマトリックス、スタートレック(ボーグ)などで何度も使われた
機械対人類の戦い。
そのキッカケにあたる部分を30年以上も前に描いたこの作品。やっぱり名作です。
ナンセンスといいつつ、原作も読みたくなりました。

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お気に入りその663~映画DVD

2012-06-26 12:03:05 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、映画DVDです。

先日久しぶりに映画DVDを見ました。
「ちりとてちん」をたっぷり見たせいか、DVDから少し離れていました。
研修旅行で家にいなかったせいもあります。

ようやく時間に余裕ができたのでストックしておいた映画DVDの中から
選んだのは「アントキノイノチ」と「ハッピーフライト」の2本です。
今回はこの2本について書きます。

「アントキノイノチ」

さだまさしの同名小説の映画化です。
岡田将生、榮倉奈々のW主演で話題になりました。
心に深い傷を持つ若い男女が、「遺品整理業」という仕事を通して
「人の生と死」に正面から向き合い、成長していく姿を描いています。

家族とのつながりが切れ孤独死した方の遺品整理をする、悪臭やハエ、
ウジに耐えながら亡くなった方の尊厳を守るために黙々と働く仕事に
携わる方々に尊敬の念を禁じ得ません。
日々生と死について考えさせられる仕事は精神的にキツイです。
そんな仕事だからこそ「一度死んだ」彼らの心が再生したのでしょう。

残念ながら映画は原作の素晴らしさを十分表現できていません。
映画を見てまあまあの出来に消化不良の方は、ぜひ原作を読んで
完全消化することをおすすめします。
さだまさしはシンガーソングライターとして一流ですが、ストーリー
テラーとしても一流ですので、満足すること請け合いです。

「ハッピーフライト」

「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の矢口史靖の監督
作品です。
どちらの作品もバツグンに面白かったので、期待して見ました。
もうひとつの注目点は、綾瀬はるか。
彼女の天然さと豊かなバストの魅力にハマっているので、出演する
シーンが多いことを期待していました。

空港や航空機に携わるスタッフたちの群像劇という作りだったので、
綾瀬の出演シーンが少なくてちょっと残念でしたが、全体的には
満足できる作品でした。
さすがは矢口監督。
最新作「ロボジー」も見ちゃおうかな。

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お気に入りその662~研修旅行

2012-06-22 12:38:38 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、研修旅行です。

今年もまた同業の仲間たちと研修旅行に行ってきました。

今年のコースは、広島-呉-愛媛-徳島-神戸でした。

広島では、厳島神社や原爆ドームなどを見学し、お好み焼き、
瀬戸内海の海鮮料理、辛いつけ麺を堪能してきました。

呉では10分の1の戦艦大和、人間魚雷回天、零式艦上戦闘機
などを見学、海上自衛隊呉史料館てつのくじら館では
退役した潜水艦の内部を見学してきました。

愛媛では日本最古の温泉、道後温泉本館に入浴し、近所の造り
酒屋で経営している料亭の料理を味わいました。

徳島では、阿波おどり会館でショーを見学後、阿波おどり
体験をしてきました。食事は徳島ラーメンと鯛めし、うどんに
舌鼓を打ちました。

最終日の神戸では、モーリヤのステーキセットを味わいました。
残念ながら何年か振りの台風に追われ、飛行機の便を早めたため
神戸観光はできませんでした。
それでも予定していた便が欠航になり、振り替えた便に乗り遅れ、
再度振り替えた便でとりあえずは予定日に帰ってくることができた
のはラッキーでした。

自分たちで希望を出し合い組み立てた、素人コースにしては
案外とうまくいったのではないでしょうか。
大人の修学旅行、今年も及第点だったと思います。

ただし、何と言っても全員が現役。
仕事を調整してギリギリの日数を捻り出しました。
そのため毎日が大きな荷物を持っての長距離移動。
本当に疲れました。

1箇所に荷物を置いて、身体ひとつで見学できるコースだったら
楽だったのに、という声が今年もあがりましたが、1年経ったら
また今年みたいに無理して欲張ったコースを考えるのでしょうね。
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お気に入りその661~月岡芳年 幕末・明治を生きた奇才浮世絵師

2012-06-14 12:41:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「月岡芳年 幕末・明治を生きた奇才浮世絵師」です。

没後120年を記念して別冊太陽シリーズの大型本が出版されました。
書店で見かけ、ページをパラパラめくって中身を確認し、即購入を決めました。

いつかは月岡芳年のものを一冊買いたいと思っていましたが、今までこれだ!と
いうものに巡りあわずにいました。
本書は、まさにこれだー!でした。

幕末から明治に人気絵師として活躍した月岡芳年の浮世絵や肉筆画、そして
何と珍しい版下絵まで、約260点が191ページにわたり紹介されています。
折り込みページを使い、その迫力を大画面で再現していたりして、見応え十分。
これで2520円は本当に安い!
きっと芳年の画集を既に持っている人も、版下絵目当てで買うんだろうな。

これまで月岡芳年は「血まみれ」で知っていましたが、「最後の浮世絵師」
「劇画の先駆者」としての異名を知り納得しました。

特徴的なのは、何と言っても力強い線を多用した大胆な構図と、それにマッチ
した鮮やかな色使い。
その相互作用が、武者絵や歴史画に迫力を与え、「血まみれ」表現では、他の
追随を許しません。
「いい仕事してますねぇ!」を連発しながらページをめくっています。

芳年は「血まみれ」が災いしてか、まだまだ評価が低いですが、師匠である
国芳を凌駕し、北斎の域に限りなく近づいた凄腕の浮世絵師なのではないかと
思います。

ただし、美人画だけはそれほど高い評価はできません。
芳年の描く美人は色香がありますが、美しさ、可愛らしさが弱い。
やっぱり美人画は歌麿がイチバン!
だからといって凄腕の浮世絵師であることに変わりはありませんが・・・。

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お気に入りその660~あの作家に会いたい

2012-06-11 07:52:47 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、『児玉清の「あの作家に会いたい」』です。

児玉清と25人の作家の対談集です。

その作家の作品について児玉清が感想を述べ、作家になった理由や
執筆へのこだわり、今後の抱負などを聞く。そして最後にその作家の
お気に入りの小説を何冊か紹介するという構成になっています。

きっとみんな子どものころから読書好きだったんだろうな、という
ありきたりな予想を覆し、字が読めるようになる前にすでに物語
ファンだったという作家から、高校生になるまで読書をしなかった
という作家まで・・・やっぱりいろんな人がいるものです。

児玉が亡くなってから「週刊ブックレビュー」を見始め、ファンに
なった者としては、生前、こういう雰囲気で司会をされていたと
疑似体験することができた貴重な一冊。

ただ、「週刊ブックレビュー」のように紹介された本が買いたくなる
ことがなかったことは残念でした。
面白そうな本が次々紹介されているのではないかと期待してたもの
ですから・・・。
「週刊ブックレビュー」では本が主役、「あの作家に会いたい」では
作家が主役という違いが原因でしょう。
面白そうな本だから買おうと思うことがあっても、素敵な作家だから
本を買おうとは思わないですから。

ただ、北方謙三が純文学デビューを目指して10年もくすぶっていた
とか、小川洋子が想像以上に理系大好き作家だったというエピソードを
読み、ちょっと誤解して作品を読んでいました。
次はそこのところを含め、彼らの作品を読みたいと思います。
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お気に入りその659~ちりとてちん

2012-06-07 12:02:26 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ちりとてちん」です。

5年前のNHK朝の連続ドラマ「ちりとてちん」のDVDを
見おわりました。
DVD13枚、見はじめてちょうど2ヶ月かかりましたが、
評判どおり面白かったです。

今まで見た中では「ちゅらさん」が何と言っても一番ですが、
「ゲゲゲの女房」とは互角のハイレベルのドラマでした。

ドラマの内容紹介については省きますが、上方落語の世界と
いくつかの古典を知ることができたのは収穫でした。

「ちりとてちん」は、朝ドラの中で、放送時の視聴率は最低で、
DVDの売れ行きは最高だったそうですが、なぜそのような
ことが起きたか不思議でしたが、見おわってその原因が
わかったような気がしました。
その原因は、スタート時の主人公の元気の無さにあると思い
ます。
多少悩むのは良しとしても、あれだけ朝からマイナス思考を
何週も引き摺られたら、見ている方が堪まらなかったと思い
ます。
もうちょっと明るい展開をチラ見させるべきだったと思います。

話は変わりますが、先日、羽田空港で人気の空弁、焼き鯖寿司を
食べましたが、ふっと気になり、製造元を調べると、小浜、
若狭の文字が目に入りました。
ドラマ「ちりとてちん」に何度も何度も登場した「喧嘩はすな!
焼き鯖くえ!」という迷セリフ。
焼き鯖寿司は若狭だったのですね。
意外なつながりに驚くとともに、「ちりとてちん」を舌でも
味わうことができて満足しました。
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お気に入りその658~東博特別展

2012-06-05 12:38:51 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、東博特別展です。

東京国立博物館の特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」に
行ってきました。

国宝級がずらっと並ぶ、とても贅沢な特別展でした。

到着すると予想通り混んでいました。
平成館前で40分待った後 入館。
その後、作品を鑑賞する列は進まず、ついにあきらめ列の外へ。
持参のミュージアムスコープ(単眼鏡)で隙間から覗きながら
鑑賞しました。
妻も私も背が大きくないので、作品の下半分はなかなか鑑賞でき
ませんでしたが、あれだけの作品群です。仕方がありません。

平成館から出た3時ころもやっぱり40分待ちの列がありました。

作品群の中で一番印象的だったのは、やっぱりポスターになって
いる曽我蕭白の雲龍図。
一番大きく迫力満点ということもありますが、修復後初めての
展示ということで、キレイ過ぎるけど本物?と疑いたくなるほど
でした。

また快慶の弥勒菩薩立像なども800年以上前の作とは信じられ
ない、きらびやかな仏像でした。

そんな美しい作品が次から次へと並んでいました。

あと1週間、東京で展示した後、名古屋、九州、大阪をまわり
来年の6月にボストンに帰ります。

ボストン美術館では、古美術品の劣化を防ぐために、展示時間を
年間で何日間と制限しているそうです。
今回日本で1年3ヶ月間連続展示するので、ボストンに戻ってから
数年間は展示しないそうです。

また例え展示を再開しても、ボストン美術館では普段2、3点ずつ
交互に展示するので、これだけの作品群を一同に展示することは
ないそうです。

興味があるけれど、まだ鑑賞していないという方は、国内にある内に
急いでどうぞ。おすすめします。

最後に。
公式図録も素晴らしい出来です。
作品によっては現物よりよく見えるものもあります。
(照明のせいでしょうか?)
またあのボリュームで2300円はお買い得です。

今回は良い目の保養をさせていただきました。

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お気に入りその657~先生、シマリスがヘビの頭をかじっています

2012-06-02 12:28:22 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!」 です。

鳥取環境大学の小林教授の「先生、○○が○○しています!」シリーズの一冊。

ヘビを見つけるや否や遠くに逃げ、ちらちら様子をうかがうヤギのヤギコ。
水辺を遠く離れ山道を歩いていた、陸上生活に合った体格のアカハライモリ。
先生のヤギやリスの実験に付き合わされてかわいそうなアオダイショウのアオ。

・・・などなど動物たちの面白いエピソードを書いているだけではありません。
知らぬ間に人間動物行動学を学べる、動物好きにおすすめの一冊です。

一番印象的だったのは、公園に関する考察です。
先生は、世の中の一般的な公園は、アフリカのサバンナを模しているという見解を
示しています。
アフリカのサバンナは人類が誕生した地。
草原が広がり、あちこちに樹木があり、ときどき水辺がある。
人間は本能的にそういうところが落ち着くのだそうです。
ナルホド。納得です。

鳥取市から駅前公園を良くするための提案を求められ、そこにヤギをはなすと
良いと回答したそうです。
たしかにサバンナには草食動物がいますし、彼らが安心して草を食んでいると
いうことは猛獣がいないということ。人間が安心できる場所ということです。
そういうヒトの本能に訴える憩いの場作りが回答です。

人間動物行動学という訳の判らない学問が生活に役立つ瞬間を目撃した!
そんな気にさせる一文でした。

ちなみに題名にもなっているシマリスがヘビの頭をかじる理由ですが、
死んでいたり弱ったりしているヘビの頭や尻尾をかじって皮をむき、それを
わが身に塗りつけることで、ヘビのニオイを身にまとい、身を守る方法と
する習慣がリスにはあるそうです。
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