鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその996~ポター画集

2014-12-29 12:45:06 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ポター画集です。

ネットオークションにビアトリクス・ポターの画集が出品されていました。
細密に描かれたイモムシやキノコのページが紹介されていました。
ポターってもしかしてピーターラビットの作者のポター?と思ったらその通りでした。
ウサギの絵がうまい人だと思っていましたが、イモムシやキノコも上手なのですね。
あまり女性が好まない素材のはずですが・・・。
wikipediaを読むと地衣類の研究をしていたとか、キューガーデンの画工に推薦されたことがあるという経歴が紹介されていました。
なるほど!
彼女は科学的な視点を持った細密画家だったのです。

出品されていたのは「Beatrix Potter's ART」。
1989年に発行された英文の画集です。
本書のことは「海から始まる!?」というブログで次のように紹介されていました。
=====
ビアトリクス・ポターのペン画と水彩画を集めた画集。
「ピーター・ラビット」シリーズに挿入されている絵もありますが、動植物学者が描いたのではないかと思われるような精緻でリアルな動植物画、風景画なども収録されています。
オール・カラー。全192ページ。
=====

手業の美しさが好きで古い図鑑などの図版をいろいろ鑑賞してきましたが、ピーターラビットで有名なポターがその技量の持ち主だったとは知りませんでした。
これはぜひ手に取って鑑賞したい。
早速自分へのお年玉として注文することにしました。
オークションは昨日始まったばかりで年明けまで終了しない上、落札できるかどうかもわかりませんので、ネット古書店に注文することにしました。
届くのは年明け早々でしょう。とても楽しみです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその995~竹鶴政孝パート243

2014-12-26 12:33:35 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート243、竹鶴威相談役です。

竹鶴威相談役がお亡くなりになりました。
とてもショックでした。

ニッカウヰスキーのメルマガで一番楽しみにしていたのは、竹鶴威相談役の『ニッカウヰスキーと私』でした。
2011年春を最後に休載しており、復活を楽しみにしていたのですが・・・。

氏の『ニッカウヰスキーと私』は会社が何かの機会に冊子または書籍にまとめてくれると思います。
一ファンの希望を言わせていただくと、ニッカ本社のブレンダーズバーで出している「竹鶴威スペシャルブレンド」を特別ボトルにしてセット販売してはいかがでしょうか。
氏の紳士的な人柄が良く表れた味わいで、"Harmony"の名の通りバランスが良く、氏を偲ぶのに打ってつけのボトルになると思います。
 
今回は氏を偲び、2006年10月30日のトークセッションの模様をお送りします。
(当ブログの2006年10月27日、31日、11月1日に掲載した記事の再掲載です。)

=====
2006-10-27

10月30日(月曜日)に、札幌で「竹鶴政孝に学ぶ~本物の生き方、世界に通用するものづくり」というトークセッションが開催されます。
ニッカウヰスキー相談役 竹鶴威や北海道知事 高橋はるみ等をパネリストに迎え、「北海道から本物を生み出していこう」というコンセプトで、竹鶴政孝の生き方をモチーフにしたトークセッションを繰り広げる、という企画だそうで今からとても楽しみにしています。
今回は募集人数が限られており、抽選で選ばれたのは本当に幸運でした。
トークセッションの内容については来週改めてこの場でご報告しますので、ニッカファンの方は楽しみにお待ち下さい。
=====
2006-10-31

昨日トークセッション「竹鶴政孝に学ぶ~本物の生き方、世界に通用するものづくり」に行ってきました。
お目当ては何といっても、パネラーのひとりニッカウヰスキーの竹鶴威相談役です。
ニッカファンとして竹鶴相談役に間近にお目にかかれる機会に恵まれるなんてとても光栄なことで、遠足前の小学生のように朝からソワソワしていました。
当然のように開場時間より相当早く着いてしまい時計を気にしながら時間をつぶし、受付開始とともに会場前列を目指しました。
会場ではまだ打合せが行われていて、その中になんと竹鶴相談役もいました。 感 激 !
相談役はまもなく退場しましたが、それまでの数分間、失礼なこととは思いましたがジロジロ見てしまったこと、お許し下さい。
係の方に撮影OKの確認がとれたので中央席二列目に陣取り、開会を待ちました。
開会の挨拶、基調講演のあと、待ちに待った竹鶴相談役が登場するトークセッションです。
コーディネーター北海道大学の石森氏に続きパネラー3氏が登場しました。
北海道知事の高橋はるみ氏、北海道環境財団の辻井氏、そして竹鶴相談役です。
1時間ほどの短いトークセッションということもあり、一言一句聞き漏らさない体勢をとりつつ、シャッターチャンスも逃さない、という離れ業を成功するために、デジカメを撮影モードと録音モードに切り替えつつ忙しく使いながら、目と耳はほとんど竹鶴相談役に釘付けでした。
竹鶴相談役のお話は竹鶴政孝の誕生、留学、結婚、寿屋時代、余市時代と続き、最後に世界最高賞獲得で締めくくられました。
お話の中には、ホームページや関連書籍等で目にしたことがない逸話もあり、とても収穫の多い、幸せなひと時でした。
トークセッションが終わり帰宅するとぐったり疲れた自分に気が付きました。
よほど神経を集中していたのでしょう。子供のようで我ながら呆れました。
今回の収穫である逸話については次回書きたいと思います。
=====
2006-11-01

昨日に引き続き、トークセッション「竹鶴政孝に学ぶ~本物の生き方、世界に通用するものづくり」について書きます。
今回はニッカウヰスキー竹鶴威相談役のお話の中に出てきた、ホームページや関連書籍等で目にしたことがないと思われる逸話をご紹介します。
①ウイスキーは大自然が造る
竹鶴政孝がスコットランドに留学し技術習得に努めていたときに強く感じたのは「ウイスキーは大自然が造る」ということでした。楢の樽に寝かせると温度差により自然に空気が通うのですが、その空気はきれいな空気でなくてはなりません。さらに、これは伝説的かもしれませんが塩気を含んだ空気でなくてはならないのです。
またラジオでの講演で政孝親父は「ウイスキーは風が造る」ともいっています。風が造る味わいだから「風味」というのだと・・・。
②世界のウイスキーコンテストで最高点を獲る
4~5年前にロンドンのウイスキーマガジン主催で、世界のウイスキー290数種類のブラインドのテイスティングテストがあり、最高点を余市のシングルカスク10年が獲りました。スコットランドのグラスゴーの認証式に行くと、翌日の地元の新聞にでかでかと記事が出ていて驚きました。中には政孝・リタの写真を大きく載せている新聞もありました。地元では「Yoichi」という名前を知らない人がいないくらい有名になりました。それに比べ日本の新聞にはほとんど報道されませんでした。政孝親父が留学してから80数年目のことですが、このことについてもし親父にたずねるようなことがあったら、あの人のことだから「スコットランドを追い越すなんておこがましいことをするな」といったでしょうが、腹の中では「よくやった」といって褒めてくれたと思います。
③竹鶴という名字について
竹鶴家の家系図に名字の由来が書いてありましたのでご紹介します。
康永(こうえい)2年(1343年)、岸本家の境内の竹林に鶴が営巣しました。古来松林に営巣することはあっても竹林に営巣したことは聞いた事が無かったので、この珍事を機会に岸本姓を廃し竹鶴姓を名乗ることにしたそうです。

相談役の語った時間はわずか20分ほどでしたが、目の前で聴くことができて本当に幸せなひと時でした。
=====


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその994~ホテルローヤル

2014-12-24 12:54:47 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ホテルローヤルです。

ついに桜木紫乃の「ホテルローヤル」を読みました。
本書は直木賞受賞作だけあってすでにたくさんの方が読まれたと思います。
今更感想を書いても、と思いますがとりあえず書きます。

桜木作品はこれまで「起終点駅(ターミナル)」「ラブレス」「硝子の葦」を読みました。
最後に読んだ「硝子の葦」の解説に
・桜木作品の成長は、ホップ・ステップ・ジャンプに例えることができる。
・ホップは「硝子の葦」、ステップは「ラブレス」、そしてジャンプは「ホテルローヤル」。
と書いてありました。
せっかくホップ・ステップまで読んだので、ジャンプで完結させることにしたのです。
ちなみに同時に購入したのは桜木作品「氷平線」。
これは著者のメジャーデビュー作品集。
ホップ・ステップ・ジャンプの前、プロとしてスタートラインに立ったときの作品集も読みたくなったのです。

前置きはここまで。
「ホテルローヤル」の感想を書きます。
本書はこれまでの作品のどれよりもさらさら読めました。
けれども軽さはなく味わい深い短編集でした。

今回は7編の短編の並び方も面白かったのでご紹介します。

①廃墟となったラブホテルが舞台の「シャッターチャンス」
②ホテルローヤルが出てこない「本日開店」
③廃業したばかりのローヤルに業者が売れ残りの大人のおもちゃを買い取りに来る「えっち屋」
④偶然手元に残った5000円でローヤルに入る中年夫婦に悲哀を描く「バブルバス」
⑤教師と女生徒がローヤルで心中することになる起点を描いた「せんせぇ」
⑥るり子が女主人としてしっかり仕切っていたころを描いた「星を見ていた」
⑦大吉とるり子がローヤルを開業するまでを描いた「ギフト」

読み進むごとに時を遡る感覚がとても新鮮でした。
これってアイデアですね。
逆に並べるとごく普通の連作短編集になってしまうのですから。

桜木作品には幸せな人が出てきません。
ラブホテルという生身の人間が集まる舞台は物語にしやすいと思いますが、いつかは「ああよかったね
」と登場人物と幸せを共感できるラストシーンが並んだ短編集を読みたいです。
天才的ストーリーテラーの桜木ならできる!
そう信じています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその993~レオン

2014-12-22 12:56:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、レオンです。

DVDのストックから映画「レオン」を観ました。
いい映画だって聞いていたけれど、本当でした。
もう一度観たくなる素晴らしい映画でした。

殺し屋レオンと孤児になったマチルダの何ともいえないいい関係がとても気に入りました。
キーワードになる観葉植物。
レオンの分身として最後はマチルダの手で平安の地に植えられるラストは秀逸。

この作品の監督はリュック・ベンソン。
wikipediaによると大作「フィフス・エレメント」の資金稼ぎのために制作したそうです。
思いのほかヒットし、監督の代表作になったとのこと。

主演のジャン・レノはCMでドラエモンを演じていておなじみですが、映画は初めて観ました。
仕事以外は不器用な殺し屋が人間性を取り戻していく様を見事に演じていました。
もう一人の主演は12歳のナタリー・ポートマン。
後にブラック・スワンでアカデミー賞の主演女優賞を受賞するのは当然、という見事な演技でした。
またそのエキゾチックな顔立ちは12歳とは思えない色気さえ感じさせました。
物語を盛り上げたのはゲイリー・オールドマン。
フィフス・エレメントのゾーグ、ハリー・ポッターのシリウス・ブラックでもその存在感で名演していました。

監督、役者、脚本のすべてが揃った名作です。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその992~竹鶴政孝パート242

2014-12-20 12:37:19 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート242、新聞連載です。

先日、ニッカウヰスキーの第3代マスターブレンダーの佐藤茂生氏の北海道新聞の連載が始まったと書きました。
夕刊のある日は3面を読むのが楽しみでした。

いつまでも続いてほしいと願っていましたが昨日の夕刊をもって終了してしまいました。
「(おわり)」という文字が目に入ったときはショックでした。

確かに佐藤氏はドラマ「マッサン」の後の時代を担った方なので、みんなが期待しているドラマに通じるエピソードは少なかったです。
だからといって全11話は短すぎです。
せっかく聞き語りのスタイルをとっているのですから、政孝やリタ、ドラマ「マッサン」に関するエピソードを引き出して読者を楽しませることができたはず。

滅多にない機会だっただけに実に残念でした。

せめてもの救いは最終回の掲載された日の1面にドラマでエリーを演じているシャーロットさんが「今年の顔2014」という連載の初回に登場したこと。

来週から夕刊を読む楽しみがなくなってしまいました。

八つ当たりついでに北海道新聞に一言苦言を呈します。
北海道新聞の方がもしこのブログを偶然目にしたら知ってほしいことがあります。
日曜日の図書紹介コーナーは読みごたえがなくなりました。
専門書に近い偏った図書を大きく取り上げ、一般の人が気軽に読む小説・エッセイ類を脇に小さく追いやってしまったためです。
専門書のコーナーは題名と見出しだけを読み、多少興味があれば本文を数行読みます。
ときにはもっと読み進むことがありますが、購入に至ったケースはほとんどありません。
それに比べ両脇に小さくまとめられた本には面白そうな本が多いです。

いったい専門家が読むような難しい本ってどれほど売れているのでしょう?
以前「アフリカで誕生した人類が日本人になるまで」という本が3年間で10万部売れた!と広告されていたことを考えると年間3万部で異色なのでしょう。
こういう専門書に類する本に興味を持つ読者は小説・エッセイ類に比べ圧倒的に少ないのです。

また小説・エッセイ類が好きな方でも読んだことがない著者の作品には手を出しづらいもの。
そういう人の助けになる図書コーナーに戻って欲しいと願っています。

最後に道外在住のニッカファン、竹鶴政孝ファンの方へ。
佐藤茂生氏の新聞連載については要旨を後日掲載します。
ご期待ください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその991~ザイツの蝶図鑑

2014-12-19 12:37:00 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ザイツの蝶図鑑です。

先日ネットオークションに「ザイツの蝶図鑑」が出品されていました。
ザイツというのは昆虫博士の名。
それまで知りませんでしたが、どうやら「世界の蝶」を扱った図鑑で一番有名なのだそうです。
多色石版による図版は極めて美しく、その美術的価値から相当の高値が付いているようです。
「古書店で1冊数十万円の値がつくことがある」なんていう書きこみもありました。

今回出品されていたのは、ザイツ「世界大型鱗翅類図譜 第15-16巻 アフリカ区」(1913年刊)。
図版は2ページ欠けている44ページ。
これは・・・!
完品でないのできっと安いはず。
入札に参加してみようかな?

この図鑑を紹介しているHPを見ると画面を通しても細密で美しい図版だということが判ります。
ただし書きに、実物の美しさを再現できていないと書いてあります。
手仕事の素晴らしさを鑑賞したくていろいろな図鑑を蒐集してきた身がウズウズします。
もしも実物を手に取って鑑賞することができたらと思うとドキドキ。

とりあえず入札に参加しました。
最初に見たときは3000円くらい。
13000円、23000円と入札額を1万円ずつアップしましたが上には上がいます。
余裕で高値更新されるのであきらめました。
12/14の落札結果は25000円でしたが、競り合えばもっと高値になったはず。
一見惜しかったように見えますが、あれ以上競り合う余力はありませんでした。

今年はニッカウヰスキー創業80周年とNHK朝ドラ「マッサン」の相乗効果でニッカのオールドボトルが人気。
例年になく希少ボトルがオークションで飛び交い、分不相応な高額ボトルを複数本落札しました。
おかげで当分の間、万円単位の買い物が困難です。

今回のザルツは残念でしたが、そういう素晴らしい仕事の図鑑があることを知っただけでも収穫です。
この先、財布に余裕ができて再びザルツに巡り合う日が来ることを楽しみにしています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその990~竹鶴政孝パート241

2014-12-15 12:46:08 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート241、新聞連載です。

NHK朝ドラ「マッサン」が絶賛放送中です。
パッとしないお坊ちゃんのマッサンと頑張り屋のエリーが、日本初のウイスキー造りを目指して奮闘中。
一度は夢破れた2人に、商売センス抜群の鴨井社長が加わり、ウイスキー造りは一気に加速。
最近の朝ドラは有名女優を主人公にして高視聴率を続けていましたが、今回は無名の外国人女優を主人公にするという大冒険。
視聴率がとれなかったら女優どころかウイスキーそのものも何と言われたことか・・・。
幸い今のところ20%を越えており、このままいってほしいと願っています。

さて北海道新聞もマッサン人気にあやかり、連載記事をスタートしました。
12月8日(月)の夕刊で第1回の記事を目にしたときは実にうれしかったです。
その記事とはニッカファンにはおなじみの3代目マスターブレンダー佐藤茂生さんの自叙伝。
それから夕刊は3面の「私のなかの歴史」から読むことにしています。
これを読めない道外のニッカファンは悔しいだろうな。

ニッカファンはこれまで、初代マスターブレンダー竹鶴政孝の「ウイスキーと私」、2代目マスターブレンダー竹鶴威の「ニッカウヰスキーと私」を愛読してきたはず。
今回もマスターブレンダーならではのとっておきのエピソードをきっと紹介していただけることでしょう。
できるだけ長く連載してくれることを願っています。

最後に連載記事で知ったことをいくつか書きます。
・定年後は札幌に住んでいる。
・京都大学を出て先輩の誘いでニッカウヰスキーに入社した。
・文中では「政孝さん」と呼んでいるが、本人と直接会話をしたことはない。

またその内ご紹介します。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその989~ごたごた気流

2014-12-12 12:51:51 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ごたごた気流」です。

前回に引き続きサイン本です。
これまでいろいろな作家のサイン本を鑑賞し「書は人なり」を実感してきました。
池波正太郎、荒俣宏、北杜夫、米倉斉加年、他・・・。
ナルホドと思うことがとても多かったです。

そしてぜひサインを鑑賞したい作家に星新一もいました。
今回届いたのは昭和49年(1979年)発行の「ごたごた気流」初版サイン本。
この本はまだ読んでいませんでした。
扉を開くとショートショートの名手らしい、きっちりした四角い文字が並んでいます。
決して上手ではないけれど丁寧な文字。
みなさんも想像通りだったのではないでしょうか?
アイデアをきっちりショートショートに仕上げる職人技につながります。
やっぱり今回も「書は人なり」を実感しました。

という訳で、久しぶりの星新一を堪能しました。
読んで気付いたのですが「ごたごた気流」はショートショートにしては長い作品、いわゆる短編集でした。

まだ読んでいない方、読んだけれど忘れた方のためにアマゾンの紹介文を引用します。

=====
青年の部屋に美女が出現した、となりの女子大生の部屋には死んだはずの父親が。
触ることのできない幻があちこちで目撃される。
現象は広がり、モナリザやヒットラー、さまざまな動物、怪物、札束も出現。
人々の夢が幻となって現れているのだ。
みんながみんな、自分の夢をつれて歩き出した。
やがて、世界は夢であふれかえり、そして―。
平和な日常にそっと潜む、小さな乱流の種。
皮肉でユーモラスな短編12編を収録。
=====

タイトルは次の通り。
「なんでもない」「見物の人」「すなおな性格」「命の恩人」
「重なった情景」「追跡」「条件」「追究する男」
「まわれ右」「品種改良」「門のある家」「ごたごた気流」

どれも面白い作品でしたが特に気に入ったのは次の2編。
「重なった情景」と「ごたごた気流」
どちらもラストのブラックぶりが大好きです。
特に「重なった情景」のラストは、ついエッ!と声が漏れるほど驚きました。
よくもまあ、ああいうひねりを考えつくものです。
星新一の作品を読むことって、何だか頭の体操をしている気分です。

重たい本ばかり読んでいる方、たまにはいかがですか?
またあまり本を読まない方、手軽に読めますよ。
どんな方にもおすすめできます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその988~硝子の葦

2014-12-10 12:26:13 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「硝子の葦」です。

桜木紫乃著「硝子の葦」(文庫版)を読みました。
桜木作品を読むのは3冊目。
期待にたがわぬ素晴らしい作品でした。

アマゾンの内容紹介を引用します。
=====
道東・釧路で『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が事故で意識不明の重体となった。
年の離れた夫を看病する妻・節子の平穏な日常にも亀裂が入り、闇が溢れ出した――。
愛人関係にある澤木と一緒に彼女は、家出した夫の一人娘を探し始めた。
短歌仲間の家庭に潜む秘密、その娘の誘拐事件、長らく夫の愛人だった母の失踪……。
次々と謎が節子を襲う。
驚愕の結末を迎える傑作ミステリー。
=====

釧路や厚岸を中心に繰り広げられる人間ドラマ。
ラブホテルの特殊な経営実態、家庭内DV、幼児虐待などの脇を固めるエピソードが読者を飽きさせません。
そしてラストでは腕利きのストーリーテラーである著者の力量があふれ出ます。
未読の方、お勧めですよ!

ここで書き終わると短すぎるので、文庫版解説を引用しながら少し書き足します。

本書は2010年に単行本で発表され、今年文庫本化されました。
解説によると文庫本化にあたりラストを中心に改筆されているそうです。

また解説には桜木作品全体について次のように語られていました。
・桜木作品の成長は、ホップ・ステップ・ジャンプに例えることができる。
・ホップは「硝子の葦」、ステップは「ラブレス」、そしてジャンプは「ホテル・ローヤル」。
・とくに削ぎ落としの技を収得した「硝子の葦」は直木賞受賞に至るための重要な作品。

これで「ラブレス」と「硝子の葦」は読みました。
ホップ・ステップ・ジャンプということであれば、いよいよ次は「ホテルローヤル」ですね。
直木賞受賞ですっかり有名になった美人作家の代表作をついに読むことにします。

なお本書の舞台になる「ホテルローヤル」は直木賞受賞作と同名ですが作品としての関連性はありません。

最後に。
写真のサインの文字、とても丁寧で綺麗ですね。
ストーリー展開にたまに荒いところがあるので、もっと大胆な字を書く人かと思っていました。
もしかしたらあまりに考え過ぎて、逆に荒く受け取られる展開になっているのでしょうか?
インタビューで「とにかく書くことが好き」といっていたので、その影響かもしれません。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその987~学生版日本昆虫図鑑

2014-12-08 12:24:55 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、学生版日本昆虫図鑑です。

北隆館「学生版日本昆虫図鑑」(昭和54年新版)を鑑賞しています。
見事な細密画をたっぷり鑑賞するのが主な目的です。
まだ届いて数日なので解説文も図版もパラパラ流し見しただけですが、さすがに中身は濃いですね。

本書を鑑賞することにしたのは理由があります。

愛読書「昆虫の本棚」に日本を代表する昆虫図鑑として北隆館「日本昆虫図鑑」が紹介されていました。
特に昭和25年発行の改訂版を、内田清之助、江崎悌三、石井悌など当時のベストメンバーによる名著と絶賛しています。
北隆館から復刻版が発行されていますので、その説明文を引用します。

=====
復刻版 日本昆蟲圖鑑
内田清之助、江崎悌三、石井 悌、素木得一 他著
A5判 2006頁 定価:本体20,000円+税
ISBN978-4-8326-0836-8 C0645 \20000E
戦後の日本昆虫研究の先がけとなった昭和25年初版の昆虫図鑑の復刻版。
総掲載種数4967種は研究費や物資の少なかった当時としては画期的な多さであり、海外の研究者をも唸らせた名著。
活版印刷の特徴を生かすため、点画で描かれた昆虫図の精度は写真以上とも言われる。
=====

手業の光る博物画を鑑賞するのが大好きで、これまで美しい彩色図譜ばかりを蒐集してきました。
先月、牧野富太郎博士の最盛期の植物図を集めた「日本植物図説集」(牧野植物学全集)を鑑賞してから、彩色されてい図版こそ細密な線画を純粋に鑑賞できることに気付きました。

今回「活版印刷の特徴を生かすため、点画で描かれた昆虫図の精度は写真以上とも言われる」という説明を読み、これも鑑賞したいと思ったのです。
しかし図鑑は古本になってもなかなか値が落ちません。
「日本昆虫図鑑」も高値で当分買えそうにありません。

代案として「学生版日本昆虫図鑑」を購入することにしました。
こちらの説明文は次の通りです。

=====
「日本昆虫図鑑」の縮刷・普及版として企画・発行されたもので、蝶・甲虫・トンボなどを一般に親しみやすい種を多くし、解説も中・高校生以上を対象として簡単平易なものとしている。
収載種数は約2,600種と多く、携帯に便利な本書は高校生・大学生の野外実習、活動用のテキストとして最適であるばかりでなく、一般昆虫研究者、愛好家のよきガイドブックとしてもすぐれている。
=====

これなら古本で送料込みで700円!
すぐに注文しました。

細密画は縮刷版ながら「ハズキルーペ」の力を借りれば十分鑑賞に堪える刷り上がりです。
満足できる素晴らしい図版が満載されており、宝の山に巡り合った気分です。
ただし残念な点もいくつかあります。
ひとつは入手した昭和54年新版は、蝶・甲虫・トンボなどを充実させる際、細密画ではなく写真を使っていること。
写真より細密画の方が個体の特徴を雄弁に再現できていることは見比べると明らか。実に残念です。
もうひとつは縮刷・普及版ということで、点や線が密集している図は黒ベタにつぶれていること。
これは元版を買えない悲しさ。我慢するしかありません。

最後に。
美しく見事な細密画に興味のある方には、10倍ほどかかりますが元版を購入されることをおすすめします。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする