鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2141~洗濯日和

2022-09-30 12:12:26 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、洗濯日和です。

北海道は12月から3月までが冬で、その前後の11月、4月も寒くて外に洗濯物を干せません。
さらに最近は梅雨のような天候が毎年みられるようになり、6月7月は外に干す日が限られます。
そして今年8月。
猛暑予報がはずれ、晴れのち曇り時々雨という日が多くて梅干しを十分干すことさえできませんでした。
わが家の洗濯担当としては外に干すことができず、うつうつとした日々を過ごしていました。
9月こそ、という思いで、からっと晴れ渡る休日を待ち望んでいました。
先週末、ついに洗濯日和が訪れました。
週間予報はずらっと晴れが続き、降水確率は0%。
休日の朝、いつもより早く洗濯機を回し始め、次々干していきました。
洗濯物を外に干すのってどうしてあんなに気持ち良いのでしょうか。
そして午後3時、取り入れてたたむとお日様の香りがします。
なぜそういう香りがするのかは知りませんが、数日後でもお日様の香りが残っているのが好きです。

洗濯機を回しながらコーヒーを片手に読書をして過ごす時間は至福のひとときです。
子どもたちが小さかった頃は毎日がにぎやかでそれどころではありませんでした。
あの頃はあの頃で幸せでしたが、夫婦二人になった今は今で幸せです。
こういう穏やかな日々が長く続くように願っています。

このところ最低気温が一桁に近づいてきて「朝だけストーブを使った」という人が増えてきました。
すぐにも冬が来てしまいそうです。
また除雪除雪の日々が来ると思うと気が重くなります。
でも先のことは先のこと。
まずは進みゆく紅葉を楽しむことにしましょう。
ちなみに明日も好天の予報、洗濯日和です。
もちろん洗濯物は外に干します。

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お気に入りその2140~不思議な虹

2022-09-28 12:51:57 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、不思議な虹です。

数週間前に見た不思議な虹についてようやく調べがついたので、忘れない内に書きます。

その日は虹の内側に接してもうひとつ虹が見えました。
さらに虹の外側に少し離れて薄い大きな虹が見えました。
これまで離れた2つの虹を見たことはありましたが、内側に接する虹を見たのは初めてでした。
これらにはそれぞれ名前があるはずと思い調べましたが、思い浮かぶ検索キーワードがなかなかヒットせず今日まで判りませんでした。

思い出しては検索する日々の末、ようやくわかったのはそれらの名称。
それぞれ過剰虹と副虹というのだそうです。
その定義についてはあちこちに書かれていましたが一番わかりやすかったweathernewsさんのHPを引用します。

「過剰虹」
虹のすぐ内側に、繰り返すように虹色が見えるものを『過剰虹』といいます。
虹は水滴(雨粒)による光の反射によってできますが、過剰虹は、降っている(いた)水滴が比較的小さく、大きさがそろっているときに現れやすい虹です。

「副虹」
普通の虹の外側に少し薄く虹が見える現象。普通の虹(主虹)とは、水滴での反射の仕方が違います。虹の色の順番はいつも決まっていて、主虹(普通の虹)は外側が赤系の色になりますが、ただ、副虹の場合は逆で、外側が青系の色になっています。
ダブルレインボーなんても呼びますね(^^)

なお過剰虹と副虹の他にも反射虹や白虹というのがあるそうです。
小さい頃から見慣れていたはずの虹ですが、案外と奥が深いようです。


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お気に入りその2139~小さな里山をつくる

2022-09-26 09:24:15 | 鬼平
今回のお気に入りは、「小さな里山をつくる」です。

里山ブームの火付け役である今森光彦さんの本を読みました。
「小さな里山をつくる チョウたちの庭」

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
75種のチョウたちが暮らす庭がどのように作られていったかを、約300点の美しい写真で楽しく紹介。
読んでいくうちに、人間、植物、生き物が、全て関わりあって生きていることが自然にわかってきます。
今森光彦、30年の集大成!
=====

著者は大好きなチョウを招くために知識を総動員して環境を整えました。
現在ではそこで生まれ育つチョウと訪れるチョウの合計は70種類を超えました。
いくら小さな里山といっても枝を払い、下草を刈ることは一人では大変な作業でしょう。
チョウのためならと楽しんで作業をしている様子が目に浮かびます。
具体的にどんな作業をしているかというと。

・それぞれのチョウに合った食草を植える(または刈らずに残す)
 (その結果、柑橘系の木が多くなった)
・花畑には蜜が豊富でたくさんの花が長く咲く種類を選んで植える
・日向や日陰、林、草むら、風の通り道など、それぞれのチョウが好む環境を作る
・木の渋柿が完熟して甘くなると花の少ない時期ということもありチョウがたくさん集まるのでそのままに
・木は大きくなることを前提にして里山を設計し、維持管理をこまめに行う

チョウが幸せに暮らす楽園の様子をたくさんの美しい写真が伝えてくれました。
また著者には写真家だけでなく切り絵作家の顔もあり、本書の要所要所に作品が登場します。
とにかく著者が里山暮らしを楽しんでいることが伝わる素敵な写真集です。
これからもお元気でチョウたちのための環境づくりを楽しんでいただきたいと願っています。


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お気に入りその2138~旅屋おかえりドラマ編

2022-09-24 12:41:23 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、旅屋おかえりドラマ編です。

今年2月夕刊を開くと「旅屋おかえり」の記事が目に留まりました。
安藤サクラ主演で全4話のドラマが制作され、4夜連続放送されるとのこと。
「旅屋おかえり」は原田マハ原作のハートウォーミング・ストーリーで、読編の「札幌小樽編」を読んだばかり。
これは絶対観なくちゃと思い放送時間を見るとその日の19時スタート。
そのときすでに20時を過ぎていたので、大切な初回を観ることができませんでした。
番組告知を兼ねて記事を出すなら前日までに載せてちょうだい!と文句のひとつも言いたくなりました。
ただNHKの良いところはチャンネルを変えて何度か再放送してくれること。
その時も数日後に再放送してくれたので全話録画することができたので良しとします。

いつでも観れると思うとついつい先延ばしにし、気が付けば半年以上経っていました。
先日「長野編」「兵庫編」の制作開始が発表されたのを知り、これはいよいよ観ておかなくちゃと思い、「秋田編」「高知編」を続けて観ました。
合わせて2時間。
安藤サクラの愛嬌ある笑顔に包まれながら心温まるドラマの世界にどっぷりはまり、満喫することができました。
割と見え見えの設定もこういうドラマなら許せます。
フーテンの寅さんが毎度美女に振られるというお決まりの設定ながら長く続いたのと同じです。
分かっていても感動するし観ちゃうんですよね。
そういえば原作者・原田マハさんのエッセイに「フーテンのマハ」というのがあります。
まだ読んでいないけれど、もしかしたら「旅屋おかえり」の元になったエピソードがあるかもしれません。

ということで「秋田編」「高知編」が面白かったので「長野編」と「兵庫編」も当然観ます!
まだ発表はないけれど「札幌小樽編」も制作してくれるとうれしいな!

ちなみに冒頭の新聞記事には、安藤さんは火野正平の「にっぽん縦断 こころ旅」が大好きで、「旅屋おかえり」を視聴者からのお便りを元に全国を訪れるシリーズ物にしたいという個人的野望を語っていました。
安藤さんって火野さんに似て、人の懐にすっと入っていける人なので、意外と実現可能だと思います。
ぜひシリーズ化して欲しいです。

それにしてもセリフの多くがアドリブだとは驚き!
素の安藤サクラ、いいですね。


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お気に入りその2137~PIHOTEK

2022-09-22 12:45:16 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「PIHOTEK」です。

新聞で紹介していた「PIHOTEK 北極を風と歩く」という絵本を取り寄せて読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
「植村直己冒険賞」受賞の極地冒険家、荻田泰永×「世界で最も美しい本コンクール」銀賞受賞の井上奈奈による絵本。
北極をたった一人で歩く“僕”の一日を描く。
頬を叩く風、北極での生き方を知る動物たち、空から降りる暗闇、そして……。
北極を歩く“僕”を追体験できる、命と死を感じる美しい絵本。

たった一人、北極を歩いている。
命を支える道具
食料を積んだソリを引きながら、進んでいく。
氷のきしむ音が遠くでひびく。
揺れ動く氷の海。
歩けども、歩けども、足元はながされていく。(本文より)

「環境問題とは数字の問題ではない。命の問題だ。自分の命はもちろん、隣にいる大切な人の命であり、会ったこともない遠い土地の誰かの命であり、時代も異なる動物の命のことだ。
-中略- 
北極を冒険することは、生きることだ。そして、死を感じることだ。その死とは、誰かの命であり、いつの日か自分の体も分解されて、空に舞い、風に吹かれて誰かの命にたどり着く。」(巻末エッセイより)
=====

タイトルの「PIHOTEK」はピヒュッティと読みます。
親しくなったイヌイットがつけてくれたイヌイットネームで"Snow Walker"という意味だそうです。
著者は現地の人々でさえやることのない単独徒歩の北極行を17度も行ったそうです。
現地の人々が著者に付けたあだ名には、尊敬の念が込められているように感じます。

著者はイヌイットの暮らしと北極行について次のように考えました。
=====
その土地で生きるということは、その土地から命を得ることだ。
自分の体を構成する物質がこの土地全体である。
常に生まれ変わり死に変わりしながら、誰かを構成していた物質が次の誰かを構成する物質となる。
=====

とても哲学的で詩的にも読めますが、言っていることは単純で私たちは自然の一部でしかないということです。
著者は北極で一人そりを曳きながらそういうことを考えていたのですね。
巻末エッセイを含めて、たった一人の北極行がどんなものかをその空気感を含めて追体験できる作品でした。

本書の絵についても北極の世界を実感できる表現で気に入りました。
銀色のクレヨンで輪郭を描き、銀色の水彩絵の具を塗り込んで仕上げています。
角度によりグレーに見えたり輝いて見えたりして、いかにも全てが真っ白な雪の世界をよく表現できています。
ホッキョクグマやライチョウ、ホッキョクウサギは黒目以外を背景と同色で描いています。
保護色なのだから実際にこういう風に見えるのでしょうね。

興味深かったのは表紙カバーを外すと北極行の地図に行程メモを記載したものが全面にプリントされていることです。
大きな地図の一部のようで、行程順と思われる10番から21番までが書き加えられています。
カナダ北部、クイーンエリザベス諸島にあるバサースト島付近の地図で書き込みの最初と最後の位置は次の通り。
 10番 N75°17.217′ W97°29.543′
 21番 N76°05.019′ W100°16.143′
ちょっと計算してみました。
南北に1.2033°、東西に0.7767°移動しており、直線で159km移動しています。
平均すると1日当たり14.5kmになります。
実際は高低差があったりう回したり、悪天候で歩けない日があったりで2倍近くになったのではないでしょうか。
何より極寒の地ということを考えると想像を超えた体力に驚かされました。

なおテント内で眠りに就く絵には、著者の横にライフル銃が描かれていました。
ホッキョクグマに襲撃されることもあることがさりげなく伝わり、星野道夫さんの事件を思い出しました。
何一つ真似したいと思わない冒険です。
本書を読むだけで充分追体験させていただきました。



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お気に入りその2136~ゴールデンカムイ

2022-09-20 12:49:27 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ゴールデンカムイです。

「ゴールデンカムイ」が完結したという噂が耳に入りました。
周りで読んでいる人がいないためAMAZONで確認したところ確かに31巻で完結していました。
手元にあるのは24巻まで。
その発行日を調べたら2020年12月でしたので、最後に読んでから2年近くも経っていたようです。
久しぶりのため話がつながるかが不安でしたが、とりあえず最終巻までの7巻をまとめ買いして一気読みしました。
心配はご無用でした。
オリジナリティ溢れるストーリーと毎度インパクトある人物がインパクトある出来事を起こすため、2年くらいでは忘れるものではなく、物語の世界にすんなり入り込めました。

読後の感想についてはまだ未読の方がいらっしゃると思いますのでネタバレを避けて書きたいと思います。

27巻でようやく「ゴールデンカムイ」というタイトルの意味が分かったときはナルホド!と大いに腑に落ちました。
アイヌはたくさんのカムイを崇めていますが、黄金のカムイはいませんでした。
本書ではアイヌが隠した黄金を狙ってたくさんの人々が争うことで多くの血が流れました。
作中の「黄金はアイヌに災いをもたらすカムイ、ゴールデンカムイではないのか?」という言葉には説得力がありました。
(ゴールデンがアイヌ語でないというツッコミどころはありますが・・・)

その後も、読者だけでなく登場人物たちをも失望させない見事な展開が続き、大いなる結末を迎えます。
アイヌが北海道を取り戻すために大量の黄金を隠したことや、そのありかを示す地図を分割して囚人たちの体に入れ墨として残したという荒唐無稽なスタートをしたにもかかわらず、こんなにきれいな終わり方をするのか!と感動さえ覚えました。
登場するいろいろな民族の文化や歴史に精通しつつ、そこに壮大なストーリーを織り込み展開させる手腕の見事さは圧巻でした。
ただ常識の範疇を大きく外れる極端な人物を数多く登場させているため読者層が青年男子に限られたのは実に残念でした。
ということで成年男子諸君! 
本書を未読ならぜひ読んで欲しい。
民族文化・歴史を学びつつ冒険心を満たすことができる素晴らしい作品でした。

なおこの作品には第七師団の軍人たちが主要人物として最初から最後まで登場します。
私は北海道で生まれ育ち還暦を過ぎましたが、この作品を読むまで第七師団という名前さえ知りませんでした。
明治時代、政府はロシアの脅威から北海道を守るため、旭川に師団本部を置いていました。
娘が旭川勤務の頃によく通っていた旭橋は戦車が通るため幅広くがっちりした作りにしたと聞いたことがあります。
第七師団はもともと北海道開拓と北方警備を兼ねた屯田兵として組織され、後に拡大発展した師団で、札幌に駐屯していましたが、旭川に鉄道が延伸するのを待ち、旭川に移ったそうです。
その後、日露戦争が勃発し、第七師団から多くの兵士が従軍しました。
そして日露戦争の終戦後がまさにゴールデンカムイの物語がスタートする時代です。
日露戦争では日本が勝ったにもかかわらず有利な戦勝特権を引き出せなかったため、外務大臣・小村寿太郎に対して国民から強い不満が向けられました。
それと同様に第七師団にも国民の厳しい目が向けられました。
命を懸けて戦ったにもかかわらず報われなかった軍人たちの中には本書のように屈折した者たちが出てもおかしくなかったことと思います。
そんな学びも得られた素晴らしい作品でした。


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お気に入りその2135~カレーの恩返し

2022-09-15 12:56:11 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、カレーの恩返しです。

今年に入ってからわが家のカレーに糸井重里監修「カレーの恩返し」を入れています。
「カレーの恩返し」はあらびきのスパイスミックスです。
カレーが出来上がった後に加えるだけで驚くほどスパイシーになります。
妻がすっかり気に入ってしまったため、わが家の定番になりました。
今はいつでも使えるように常備しています。
ただ私としてはスパイシーにする前のカレーの方が好き・・・。
そのカレーはネクターピーチが決めて。
テレビの「鉄腕DASH」で絶賛していた海軍カレーのレシピを真似したものです。
具体的にはネットで「カレー、ネクター」をキーワードに検索して知った、クックパッドの「ばあばの隠し味!コク深カレー」のレシピに沿って作っています。

<わが家の材料>
ZEPPINカレー辛口1箱
ニンジン・タマネギ・ジャガイモたっぷり
豚バラ400g
コンニャク200~300g
桃ジュース300ml
バター・みりん・お酒各大さじ2
インスタントコーヒー・カレー粉各スプーン2杯
水は指定量からジュースの量を引いた量

1.豚バラブロックを叩いてスジ切りする
2.一口大に切ってビニール袋に入れ、お酒を入れて30分寝かせる
3.その間にタマネギをキツネ色になるまでじっくり炒める
4.その後他の野菜を入れてさらに炒める
5.並行してフライパンに肉とバターを入れて炒める
6.肉を鍋に移す
7.コンニャクを一口大にちぎり、鍋に入れる
8.ジュースと水を入れてアクを取りながら煮込む
9.火を消してルーを溶かす
10.とろみがつくまで混ぜ、仕上げにみりん・インスタントコーヒー・カレー粉を入れる

このレシピでこくのある美味しいカレーが出来上がります。
コンニャクは食感が良く腸をキレイにしてくれるのでおすすめ。
さらにお好みにより納豆をトッピングするとうまみが増します。

ご興味のある方は1回目を「ばあばの隠し味!コク深カレー」で、2日目を「カレーの恩返し」を入れてお試しいただければと思います。


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お気に入りその2134~伊藤熊太郎②

2022-09-13 12:20:35 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、伊藤熊太郎②です。

「開運!なんでも鑑定団」9月6日放送の予告CMでたくさんの博物画が鑑定されることを知り、楽しみにしていました。
科学と芸術が融合した博物画が好きでこれまでもいろいろな図録を鑑賞してきました。
鑑定団では過去に「新発見の貴重な資料」と鑑定されたものがいくつも登場しました。
今回もそれを期待して食い入るように観ました。

その日最後の鑑定品として、昭和初期の博物画100枚が登場しました。
伊藤熊太郎という画家が日本水産動植物図集の原画として描いたものです。
魚、クジラ、アザラシ、ウニ、クラゲ、海藻など805種の生き物が描かれています。
その図集は大日本水産会が上巻を1931年に、下巻を1932年に発行しました。
原画は大日本水産会が戦災等で引っ越しをしたにもかかわらず大切に保管されてきました。
原画には「大切なものと思われるので100万円の保険をかけた」という30数年前のメモが添えられていました。
本人の鑑定予想額は保険料と同じ100万円。
さて鑑定やいかに?
CM後、何と2500万円の高値が付けられ会場騒然。

という風に番組は終わりました。
番組の中で「伊藤熊太郎」「日本水産動植物図集」「1931年発行」という説明がなされると、これは知っているぞ、という考えが漠然と浮かびました。
さらに「アメリカのアルバドロス号の博物探検航海に参加した経験がある絵師であり、多数の図版がスミソニアン博物館に残されている」ことや原画にキラ刷りが施してあることが紹介されると確信に変わりました。
そうです。
この図集は手元にあり、すでにたっぷり鑑賞済みなのです。
あまりに大き過ぎるため本棚に収まらず、今はダンボール箱に保管しています。
あの図集の原画だったんだ、と妙に懐かしい気持ちになりましたし、あれだけの見事な博物画だから高値鑑定は妥当と納得しました。
図集を初めて鑑賞したときに書いたブログは2017年5月12日の日付でした。
その記述内容と、TVerで観直した番組内容を照らし合わせて、間違いがないことを確認しました。
久しぶりに図集を箱から出して鑑賞することにしましょう。

ただひとつ残念だったのは今回の原画が新発見でなかったことです。
もし新発見だったら新たな図集として刊行される期待もあったので、その可能性がなくなり実に残念でした。
考えてみると、そう簡単に新発見の資料なんて出て来る訳がないですよね。


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お気に入りその2133~きのこの自然誌②

2022-09-09 12:37:10 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「きのこの自然誌」②です。

「きのこの自然誌」の後半について書きます。

・胞子の形や大きさが種によって大きく違う。
 大粒の胞子でトビムシが腹いっぱい食べていたことが観察されたものがある。
 くさい臭いを発するキノコは自らの表面を溶かして粘着性を持たせ、そこに胞子を忍ばせて
 ハエやナメクジに付着させる。
 胞子の入ったケースが雨に当たると破裂し、胞子が飛ばされ、その際に胞子から伸びた長い糸が
 草に巻き付くことで生息域を広げるキノコもある。

・胞子の蒔き方によりキノコの進化を推定できるそうで、胞子の種類とキノコの種類の相関関係に
 ついて研究をすると面白いのでは、と書いている。
 本書の新装版が発行されて25年。
 これを読んだ学生の中にはその研究を志した人もいたかもしれない。

・アラスカのリスはキノコを食べ、越冬用に貯める。
 寒帯のためドングリがなる木が少ないからだろうか。

・トリュフはローマ時代に食べられた記録がある。
 ブタが必死に掘り出して食べることから人も食べるようになったそうで、
 トリュフを見つける訓練を受けた犬は高値で取引されている。
 日本でも数か所トリュフが獲れる所があるが、美味しくない種類。
 著者はデパートで売っているのを見かけたが、余りに高価だったので買わずに帰ったそう。

・菌糸や菌根の話では目に見えない地中の姿を知ることができた。
 マツタケはマツの若い根に菌根をつくり、刺激をすることで根を伸ばさせて共に成長する。
 さらに抗生物質を出して敵対する生物たちを除外することでマツを助ける。
 こうしてマツとマツタケの良好な関係を築く。
 ただしマツタケは他の菌類との競い合いになると勝てないため、栄養がなく水分の乏しい
 厳しい環境だけで育つ。

・キノコ(子実体)の下には菌糸層という菌糸の塊があり、大きな菌糸層から大きなキノコが
 育つそう。
 大きなモミタケの下を掘ったところ、70cmも下に40cmもの厚みの菌糸層があった 
 
・著者はランとキノコ(菌類)の関係を次のように書いている。
 「ランの仲間はすべて根の細胞の中に菌を取り入れ、内生菌根をつくって共生している
 典型的な菌根植物」
 共生とは聞こえが良いが、思い切り寄生しているものまでいる。
 細い根を無くし、葉緑素を無くし、すべてを菌に頼って養ってもらっているのだ。

・植物と菌の共生関係について語ったあとにヒトの暮らしに言及している。
 ヒトはウシやブタ、ニワトリを飼い、イネやムギ、野菜をつくり、それらを食べて暮らして
 いるが、これも立派な共生関係だというもの。
 ヒトは家畜や作物以外を消化する能力を失っており、それら無しには生きていけなくなって
 いる。
 逆に家畜や作物はヒトを利用することによってかつてないほど大繁栄している。
 これこそ共生関係に他ならない。
 ナルホド!
 星新一の作品に、地球を訪れた宇宙人の報告によると地球の支配者はネコで、ヒトが
 奴隷として身の回りの世話をしている、というのがあるのを思い出した。
 これも一種の共生関係といえる。

・世界中にいろいろなキノコが生えているがどこの国も決まった種類しか食べない。
 国内においても地方により決まった種類しか食べない。
 どんなに美味しいと勧めても食べないそう。
 知らないキノコは食べないという習慣のためか?

・植樹するときは適合した菌を含んだ土壌ごと移植すると定着率が高まる。
 細根を菌糸が覆うことで、樹と菌が互いに必要なものを交換するwin winの関係が成立する。
 さらに菌が出す抗生物質でカビや雑菌から樹を守る。
 化学肥料を与えることで樹の見かけは立派になるが、地中では菌を弱らせ根を傷める。
 力の弱い雑菌や害虫により簡単に樹が枯れるのは菌と根を弱らせたからと気づくべき。
 樹を守るためには菌と根を守る地道な土づくりが大切。

あとがきの日付から本書が書かれたのがちょうど40年前であることを知りました。
現在はDNA解析の技術が進み生物の進化の過程が次々解明されていますが、当時は形態から菌類の進化過程を推理していた記述を思い出しました。

解説文には興味深いことが書かれていました。
数年前に話題になった「サピエンス全史」に本書と同じく、家畜や作物はヒトと共生関係にあり、家畜や作物はヒトを飼育・利用しているとも言える、ということが書かれているそうです。
科学者というのは洋の東西を問わず、ヒトを客観的に見る人種であることを改めて実感しました。

本書は確かに名著として復刻する価値に溢れました。
あー面白かった。


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お気に入りその2132~一日一種さんの2冊

2022-09-07 12:54:34 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、一日一種さんの2冊です。

以前読んだ一日一種さんの「今日からはじめるばーどらいふ!」がとても面白かったので他の著作も読んでみることにしました。

①「道ばたの小さな草花図鑑」

通勤通学の道端にはたくさんの草花が生えていますが、私たちはつい見逃しています。
アスファルトや縁石の隙間、電柱の付け根などに目をやると、小さいけれどかわいい花がたくさん。
それらの名を知ることで、味気なかった道端が興味深い景色に早変わりします。
というようなことが書かれた導入部にナルホドと感心させられました。

植物の絵は、太めのペンでさらさらと描き、色をのせた実にシンプルなもの。
図鑑とは一線を画する素朴な絵は、道端の植物の特徴をよく捉えており、写真よりも判別しやすいです。
1~2ページで1種類の植物を紹介しています。
近縁種をいくつか紹介するとともに見分け方も書いてあり、初心者にとっては大助かり。
時には名前の由来や特徴的な構造などを知ることもできます。

たくさん紹介されているので、見たことがあるものも次々登場します。
驚いたことにそれらはかなりの割合で外来種なのです。
著者によると、都市部は人通りが多いのでその分外来種が入ってくる機会が多いのだそう。
またまたナルホドです。

本書では100種類ほどの植物が紹介されているそうですが、一番印象的だったのはコニシキソウです。
ここ数年わが家が面する道路の縁石にはびこるようになりました。
何本もの細い茎が平たく広がります。
茎は細いのに硬く根も頑丈なので引っ張ってもなかなか抜けず、雑草退治が得意なネジリ鎌でも除去できません。
覚悟を決めて茎の束を指数本に巻いてねじるようにしてようやく引き抜いています。
本書によると花は0.6~1.0mmで、種は蟻が運んで広がる、北米からの外来種とのこと。
早速1本抜いて調べました。
葉の中央に紫の斑点があるので間違いなさそうです。
先端に花のようなものが付いていますが、小さすぎてルーペがないと花なのか種なのかが判りません。
こんなに小さくても異国の地で頑張って生きているのだと思うと、以前ほど憎くは思わなくなりました。
ただ引き抜きづらさは変わりません。
誰か退治方法を教えて!

②「ざんこく探偵の生きもの事件簿」

リスの探偵とクマの助手による自然界の残酷事件簿です。
一見残酷に見える出来事の裏にある真実を知ることができます。

・ハサミムシのメスは卵を守り、子どもたちが孵化するとわが身を食べさせるそう。
 子どもたちを飢えさせないための親心です。
・ヒキガエルのメスはたくさんのオスに抱き着かれ窒息死することがあるそう。
 繁殖行動として本末転倒です。
 北海道には国内外来種としてアズマヒキガエルがいるそうですが、見たことがありません。
 皮膚から毒を出すので、もし見かけても気軽に触れないようにしたいと思います。
・カブトムシやクワガタが中身が空っぽのバラバラ状態で見つかるのは
 コノハズクの仕業で、中身だけを上手に食べるそうです。
・モリアオガエルは池にせり出した枝先に泡の塊を作りそこに産卵するのは有名。
 孵化したオタマジャクシは雨を待って池に落ちますが、下ではイモリの群れが
 口を開けて待っていそうです。

自然界は厳しいものです。
でも一見残酷に見える出来事には裏があり、子どもたちを飢えさせないためだったり、他の生き物たちの栄養になったりすることが完結明瞭に紹介されています。

9月に入り北海道ではサケの遡上が始まりました。
知床のヒグマはサケを獲ってもお腹しか食べないそうです。
おかげで残りはキツネやワシに回り、おこぼれを昆虫や微生物が片付け、最後は植物の栄養になります。
遠いベーリング海の栄養をサケが持ち帰り、知床の生き物たちを育てているのです。
知床の豊かな自然から湧き出た栄養分は川を通して、豊かな海を育てます。
まさに地球規模の食物サイクルです。
自然にはまったく無駄がありません。





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