鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1796~雑誌イラストレーション

2019-06-28 12:20:21 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、雑誌「イラストレーション」です。

書店で見かけて雑誌「イラストレーション」を初めて買いました。
特集名は「生き物を描く人」。
図鑑や絵本に生き物の絵を描いている人の特集です。
手技の美しさが光る図鑑好きにはたまらない特集です。

冒頭の長嶋祐成という方は知りませんでしたが、素晴らしい作品を描いていて気に入りました。
細部まで描き込んでいる訳ではないのにリアルに見える技法が新鮮です。
「漁譜画家」という面白い肩書に強いこだわりを感じます。
いつかは「日本四大魚譜」を超える魚譜を完成させてくれることを期待しています。

舘野鴻は超がつくほどお気に入りの画家。
何年も何年もかけて観察した昆虫を極細密に描いて絵本を制作する寡作の画家です。
昆虫画家・熊田千佳慕の弟子。
絵本の前には、自ら解剖して解剖図を描いていたそうです。
そのころからとことんこだわる画家だったのですね。
絵本「ツチハンミョウ」の制作にまつわる苦労を下書き・スケッチなどを交えて述べています。
下調べの段階でその観察の難しさから作品化をあきらめそうになったとも。
幼体がびっしりとしがみついたハチの写真などは、これまで撮影に成功した人がいないそう。
追跡調査を成功させるに至ったその秘訣は、ツチハンミョウの行動を予測し仮説を立てて調査することの繰り返しだそう。
まさに科学者ですね。
ここでおまけとして彼の次回作を知ることができてうれしかったです。
ガロアムシというこれまで名前しか知らなかった謎のムシの生態を描いたそうです。
楽しみ!
荒俣宏との対談も載っていました。
お気に入りの二人の対談が読めて夢のようでした。

最後に川島逸郎という方の作品について。
存じ上げない画家ですが、この方の作品も魅力的でした。
「標本画家」という肩書です。
標本画と細密画の違いは勉強になりました。
視覚情報の中から科学的に必要な部分だけを描いたのが標本画だそうです。
彼の正確無比な作品をたっぷり鑑賞する方法はないものか、考えています。

最近目新しい情報に飢えていた図鑑好きにとって待ちに待った情報満載の雑誌でした。
満足満足。
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お気に入りその1795~しかけ絵本

2019-06-26 12:06:22 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入り(?)は、しかけ絵本です。

久しぶりに絵が飛び出さない、地味な「しかけ絵本」を読みました。
「地球のかたちを哲学する」です。
以前にご紹介した「仕掛絵本図鑑 動物の見ている世界」と同じ著者が書きました。
「哲学する」とはなんとも難しそうですが「ボローニャ国際児童図書賞を受賞した名作」と知り、読むことにしました。
現在絶版になっており、AMAZONでは古本にかなりの高値がついていて手が出ませんでした。
たまたまブックオフで安く売っていたので、入手することができました。

他所で買ったのですが、いつも通りAMAZONの内容紹介を引用します。
=====
ほんとうに地球はまるい? …さんかく? しかく?
世界に伝わる地球の歴史と地理を探ろう。
伝説に出てくる地球のすがたや、科学者が調べて描いた地球のかたち、それらの混ざったものなど、いろいろな地球のイメージが出てきます。
ボローニャ国際児童図書賞受賞のしかけ絵本。
=====

宇宙飛行士でもない限り、まん丸い地球を見た人はいません。
でも水平線を広く見渡せる岬からなら地球の丸みを見ることができます。
例えば北海道室蘭市の地球岬。
あそこから見渡す水平線は丸味を帯びていて、地球の丸さを実感できます。
最低でも円板状の形までは想像できるはず。
ああいう景色が世界中にたくさんあるのに、なぜ三角や四角という形で信じられてきたのでしょうか。
そちらの方が不思議です。

大きなヘビや大きなカメが大地を支えていると信じている民族がいることを不思議に思いながら読んでいましたが、今考えると日本人として思い当たる節があります。
大きなヘビや大きなカメはその民族にとって神の化身でしょう。
古来より日本人が信じてきた八百万の神と同一視できます。
天災を招く荒ぶる神がそれに当たります。
神々も人間のように機嫌が良かったり悪かったりするので、天災が起こるたびに人々は祈りを捧げて怒りを鎮めた、ということでしょう。

・・・ここまで多少無理をしていろいろ書いてきましたが、正直言って本書はあまり面白くありませんでした。
ただ雑学的に「どの民族はどんな地球を想像していた」ということを紹介しているだけの絵本です。
時代と共にどのような変遷をたどり、現在に至ったかという整理がなされていません。
学習本として期待する方には決しておススメできません。
字が小さく、フリガナが少ないことも難点です。
絶版は当然の判断でしょう。
無理して購入するほどの絵本ではありません。
ボローニャ国際児童図書賞受賞という肩書にだまされてはいけない、ということを学んだ絵本でした。



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お気に入りその1794~テレビ三昧

2019-06-24 12:32:59 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、テレビ三昧です。

妻が旅行で居ないので、休日をテレビ三昧で過ごしました。
録画した番組や映画DVDなどから3つを選びました。

①アナザーストーリーズ「太陽にほえろ!」
知らなかったことだらけでした。
ショーケンが主役でスタートしたこと。
ショーケンの意向により、グループサウンズ時代の仲間に主題曲を任せたこと。
ショーケンの降板希望を受け入れるため殉職シーンが生まれたこと。
演技経験が少ない若手をチームで育てる形ができあがったこと。
ゴリさんが指導役だったこと。
学生時代に脚本を書いた男が後に「踊る大捜査線」を創り上げたこと。
どれもこれも面白かった!
何よりこの番組をNHKが制作したことが面白かった。

②永遠のニシパ
北海道命名150周年を記念して制作された、北海道の名付け親・松浦武四郎の物語。
松浦についてはいろいろ本を読んでいたので目新しいことは描かれていませんでしたが、道民でも知らなかった事実は多いはず。
アイヌが酷く虐げられていたことを知らしめた点で価値ある番組となりました。

③今夜ロマンス劇場で
「ローマの休日」や「オズの魔法使い」を思わせる場面、「ガラス越しのキス」など古い映画の名シーンをうまく盛り込んでいます。

 戦前に制作された映画の主人公が、スクリーンの中から観客が減っていくことを
 危惧していたが、いつしか映画は忘れ去られてしまった。
 時が経ち、たったひとりの若者が再び見出してくれた。
 彼女は彼に会うためスクリーンを飛び出した。

細かい部分は突っ込みどころ満載ですが、それらを無視することで、大人のファンタジー・ラブストーリーとして楽しむことができました。
まさに映画館を「夢を見せる場所」にするという制作者の狙い通り。
綾瀬はるかと坂口健太郎はお転婆お姫様と下僕の役にぴったりで、息もぴったりでした。
加藤剛の衰え方も実際の体調が思わしくなかったこともあり、真に迫っていました。
ラストの一転二転する展開は実に秀逸でした。
やはり、あらゆる困難を乗り越えてふたりにハッピーエンドが訪れることこそ、王道です。

最近は出張や夜の会議が続き、疲れが溜まっていましたが、肩がこらない面白い作品の鑑賞でスッキリすることができました。
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お気に入りその1793~トットひとり

2019-06-21 12:26:20 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、トットひとりです。

向田邦子の遅くきたファンとしては、ドラマ「トットてれび」の向田邦子が実に印象的でした。
どの辺りをドラマ化したのかを知りたくて「トットてれび」の原作である「トットチャンネル」を読んだところ、以前読んでいたことを思い出しました。
読み直してみましたが、それらしい箇所が見当たりません。
???
ネットで調べると、もう一冊「トットひとり」も原作だったことを知りました。
ということで今回は「トットひとり」です。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
女がひとりで生きていくのは大変だってわかったのは、三十八歳の時だった――。
私が好きだった人たち、私を理解してくれた人たち、そして私と同じ匂いを持った人たちへ――。
「ザ・ベストテン」の日々、テレビ草創期を共に戦った森繁久彌、毎日のように会っていた向田邦子、〈私の兄ちゃん〉の渥美清、〈母さん〉の沢村貞子、そして結婚未遂事件や、現在の心境までを熱く率直に、明朗に綴った感動のメモワール。
=====
向田邦子、森繁久彌、渥美清、沢村貞子たちとの友情、「ザ・ベストテン」、結婚未遂事件など宝石箱のような回想録。
=====

テレビ草創期から仲間だった人々についてのエッセイ。
それも死別ばかりが書かれています。
ひとり残されたトットの寂しさが伝わります。
改めて素敵な人だったと見直すことが多かったです。

森繁久彌の才能の豊かさを絶賛しています。
その中で朗読の素晴らしさに惹かれました。
妻や息子に先立たれ、改めて死について深く考えたそうで、当時話題になった絵本「葉っぱのフレディ」を朗読したことを紹介しています。
「葉っぱのフレディ」は読んだことがあり、しかもまだ本棚にあります。
朗読CDを聴きながら絵本を読みたいと思い、早速レンタルすることにしました。
黒柳さんが絶賛する名人芸を堪能したいと思います。

渥美清との仲の良さが微笑ましかったです。
渥美清は寅さんのイメージとは正反対の硬い人物だったようです。
プライベートをしっかり区別するだけでなく、現場でニコリともしなかったそうです。
寅さんシリーズのマドンナとして一番多く登場した浅丘ルリ子がそう言っていたのですから間違いないでしょう。
その渥美が、黒柳が現場に遊びに来ている間中ずっと隣で笑い合っていたとは。
かわいい妹として大切にしていたのでしょうね。
病気をおして映画撮影に臨んでいたときも、それを全く察しない黒柳に「お嬢さんはバカですね」といいつつ、始終笑顔を絶やさなかったそう。
素敵なエピソードです。

沢村貞子とはまさに親子でした。
沢村は全てを優先して尽くした夫が亡くなり、2年後に亡くなります。
まるで燃え尽き、消え去るような亡くなり方でした。
早く夫の元に行きたかったのでしょう。

夫の死後、唯一購入した双眼鏡で部屋の窓から湘南の海をながめ、散骨する場所を決めたこと。
体調が悪くても病院に行かず、自宅で息を引き取ったこと。
沢村が決めた場所まで船を進め、黒柳が二人の骨を合わせて散骨したこと。
その双眼鏡を遺産分けでもらったこと。
とても素敵なエピソードだらけでした。

他にも沢村の熱い生涯が紹介されており、とても印象的でした。
平和な暮らしを求める運動に参加し、治安維持法違反で投獄されても信念を曲げなかったこと。
新聞は社説から読むのが当然よね、と公言したためインテリ女優としていじめられたこと。
W不倫の末、今の夫と結婚したこと。
夫の儲からない映画評論雑誌を自らの稼ぎで支え続けたこと。
朝夕の食事の世話のため、きっちり定時で現場を後にしたこと。
どんな大きな仕事も家事に影響が出る場合は断ったこと。
夫の死後は料理を全くしなかったこと。

実に美しい人生を歩んだ方だったのですね。
そんな方を母さんといって接することができた黒柳は幸せです。
沢村がエッセイの名手と言われたのは、彼女の人生が反映されていたからかもしれません。
先日小樽で買ってきた「老いの楽しみ」を読むのがより一層楽しみになりました。

本書は他にも「ザ・ベストテン」や「世界ふしぎ発見」の裏側も紹介しています。
どれもとても面白く興味深いエピソードに溢れています。
これらの番組好きな方はぜひお読みいただければと思います。

最後に、本書を読んで、これまで「面白いオバサン」としか見ていなかった黒柳さんがどれほど素敵な人生を歩んできた方なのかを再認識しました。
芸能界の大物たちが彼女を尊敬しているという言葉が本音からきていることを理解しました。
彼女がご健在なうちに、もう何冊か著作を読みつつ、生の彼女からも学びたいと思います。

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お気に入りその1792~高知研修

2019-06-19 12:41:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、高知研修です。

先週、2泊3日の強行軍で仲間たちと高知県の研修旅行に行ってきました。
以下はその備忘録です。

1日目
早朝に新千歳空港を出発。
レンタカーで桂浜に直行し、坂本龍馬像と記念撮影。
その後すぐに地元の皆さんによる中味の濃い研修。
皆さんとの懇親会も濃かったです。
カツオのタタキを始めとした高知名物を次から次へと味わいました。
高知の方の「ウワサほど酒は飲みません」といいつつの3次会突入は普通なのでしょうか?

2日目
大雨の中、足摺岬と足摺海底館を見学。
四万十川の舟下りは船頭さんの語りで深く楽しむことができました。
その一部をご紹介。
川底の小石がよく見える所は随分浅く見えるが、実は3mもの深さがあること。
ホタルの時期は夜の川下りがあり、満天の星との共演を満喫できるそう。
200種にものぼる生き物の宝庫であること。
3年前に沈下橋から観光客の車が落ちたこと。
日本で2番目に暑いこと。
大雨で10m以上水位が上がることがあること。

舟のあとは、沈下橋をハラハラしながら渡り、天然ウナギと手長エビを堪能しました。
夜はホテルの方がお勧めする居酒屋で美食に酔いました。
中でもウツボの美味しさは印象的でした。

3日目
朝、四万十川を散歩しようとホテルを出るとすぐ近所に幸徳秋水の墓所がありました。
こういう時代の先を行く偉人も輩出したととを知りました。
土佐市の酔鯨酒造で試飲と買い物。
新築の広々とした造り。
ここは高級酒ばかりを扱っているそう。
(高知市の酔鯨酒造は普通酒も置いており、数人が試飲するといっぱいになるほど狭いそう。)
酔鯨の高級酒は航空会社のファーストクラスで採用されているそう。
酒とオリジナルグラスを札幌に発送してもらいました。
笑顔の素敵なお嬢さんが優しく対応してくださり、同行メンバーの目尻は下がりっぱなしでした。
高知城では昨年の松江城同様、歴史の風格をたっぷり味わうことができました。
前後を歩いていた小学校低学年ほどの男の子がとても城に詳しくて驚かされました。
「クイズ・99人の壁」に出られそうな子でした。
昼食はひろめ市場で軍鶏肉・土佐ジローを中心にいろいろ食べました。
ここでも思いましたが、高知は食の宝庫ですね。
どれも美味しかったです!
そして夕方。
飛ぶはずの飛行機が低気圧で遅れ、別の便に変更になりました。
時間ができたので、予定していなかった高知での夕食を楽しむことができました。
その後は荒れることもなく、日付が変わる前に帰宅できました。

わずか3日間でしたが、美しい景色、美味しい食べ物、輝かしい歴史を満喫することができて満足満足。
10回目の地方研修でしたが、高知はベスト3に入る素敵な場所でした。


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お気に入りその1791~原田マハ

2019-06-17 12:54:18 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、原田マハです。

待ちに待った原田マハの新刊「美しき愚か者たちのタブロー」。
他の本を読み始めたばかりでしたが、それを中断して本書を読み始めました。
それほどまでに原田マハのアート小説にハマっています。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
日本の若者に本物を見せたい。
その一心で絵画を買い漁った男がいた。
国立西洋美術館の礎“松方コレクション”の奇跡を描く感動作。
=====

戦争や紛争で美術品が理不尽な扱いを受けたエピソードをよく耳にします。
過去にはヒトラーの美術品略奪。
ピカソ「ゲルニカ」のスペイン返却までの変遷。
さらに戦争で焼失・破壊した多くの美術品。
最近ではタリバンがアフガニスタンの仏教遺跡を破壊しました。
本書はそのひとつ「松方コレクション」がテーマ。
どこかでその名前を聞いたことがありましたが、詳しいことは本書で初めて知りました。
それはまさに感動的な物語でした。
さらにそれが実話なのですから驚きです。
AMAZONの内容紹介で「松方コレクションの奇跡」と書いていましたが、この物語は神がかった奇跡などではありません。
4人の男たちの信念が成し遂げた成果なのです。

その一人目、松方幸次郎は、私財を投じて膨大な美術品を収集して日本に美術館を創ろうと考えました。
若者に本物の美術品を見せることが、西洋に肩を並べる文化力を身に付けることに通じるとの信念によるものでした。
二人目、田代雄一は苦学の末に、ヨーロッパに美術史の研究に訪れ、松方と出会います。
二人の美術品を愛する心の共鳴が、奇跡とも思えるような大事業を成し遂げる大きな力になりました。
三人目、日置釭三郎は松方に人生を捧げました。
コレクションをロダン美術館から田舎町の住宅に移して、ナチスドイツから守り通しました。
四人目、吉田茂は松方の遺志を継ぎ、フランスに没収された松方コレクションを取り返す交渉をスタートさせました。

彼ら4人の内、誰が欠けてもこの偉業は成し遂げられませんでした。
松方の信念に他の3人が引きずられたといった方が良いかもしれません。
松方の抱いた大志を成し遂げるため、彼の死後も闘い続けた男たち。
日本に本物の美術品を持ち帰り常設展示することで、日本に世界レベルの文化を根付かせる、という壮大な仕事は、人生を賭ける価値のあるものでした。
改めて松方の偉大さを知りました。

この物語にはもう一人、重要な役割の人物が登場します。
「睡蓮」で有名な印象派の巨匠モネです。
松方と田代はモネの自宅まで絵の買い付けに行きました。
この場面、マツカタとモネがわずかの間に親交を深めていく様子が丁寧に描かれています。
それだけでも十分感動ものですが、さらに帰路に名シーンがあります。
「絵は分からない」が口癖の松方がこのときだけは断言します。
「白内障の画家が己の全てを筆に込めて描いている。そういう作品こそ名画だ。」
いかにも原田マハらしい感動シーンにまんまと乗せられ、鼻の奥がツンとなりました。
そうです。
この感覚を味わいたくて他を差し置いてでも読むのです。

他にもそういう感動フレーズがあちこちに登場します。
「これは我々の弔い合戦だ」
「私は美に魅入られた愚か者です」
どれも正確な表現ではありませんが、これだけでも「ああ、あのシーンだ」ときっと分かってもらえるはず。
とても素敵な作品でした。
とても満足しました。
次回作も期待しています。

今回、国立西洋美術館の開館までの物語を初めて知りました。
松方たちの執念が宿っているであろうこの美術館の前をこれまで何度通り過ぎたことでしょう。
松方コレクションをぜひ鑑賞したくなりました。
でも世界文化遺産に登録されてしまったこともあり、空いた日に行くことはきっと無理でしょうね。
混雑を覚悟してでも行くことにしましょう。
4人の男たちが遺してくれた素敵なコレクションにはそれだけの価値があります。





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お気に入りその1790~ルパン三世のポスター

2019-06-12 12:13:01 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ルパン三世のポスターです。

ルパン三世のテレビアニメ第一シリーズを生で観た世代です。
そのため大塚康生が描いたルパンを基本として観てしまうクセがあります。
大塚氏の絵に似ても似つかない第二シリーズ以降は興ざめしてしまい、ほとんど観ていません。
逆に「カリオストロの城」などは何度観たかわかりません。

先日、大塚氏が描いた古いポスターを入手しました。
第一シリーズのゲストを含む登場人物たちが集合写真風に描かれています。
峰不二子の元の相棒・プーンや魔毛狂介、ガニマール三世など懐かしい顔がそろっています。
またルパンや次元の変装した姿がいくつも描かれていることも面白い。
もしかしたら全23話の主要登場人物全員が描かれているのかな?
面白そうなので参考資料を片手にチェックすることにしました。
顔が描かれている人物は62名。(埼玉県警3人含む)
参考資料は「100てんランド アニメコレクション ルパン三世」の part1とpart2。
各回のあらすじと主要場面が詳しく紹介されています。
登場するゲストの顔と名前が漏れなく判る点で頼りになる資料です。
一巡で62人中46名が判明しました。
残った16名も二巡目で判明することでしょう。

久しぶりに全23話に目を通しました。
星影銀子、百地三太夫など懐かしい顔が次から次へと出てきます。
実に懐かしかったです。

今回のポスターは「ルパン三世」という作品を世に知らしめたシリーズ一期生の同窓会という雰囲気です。
大塚氏もそんな気持ちで描いたのかな?

第一シリーズのDVDを久しぶりに観たくなりました。
・・・あれ? どこにしまったかな?
まだ見つかりません。
整理整頓が苦手なので本当に困ります。
先日も「ローマの休日」のデジタル・リマスター版が見つかりませんでした。
これらお気に入りのものたちは、きっと同じ場所に大切に保管されていることでしょう。

ただし、これらを探すのは後回し。
今夜は高知研修に行くための準備をしなくてはなりません。
たった2泊3日ですが、忘れ物をしないようにしたいもの。
ということでブログの次回更新は来週になります。



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お気に入りその1789~志ん朝DVD

2019-06-10 12:09:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、志ん朝DVDです。

「落語研究会 古今亭志ん朝全集 下巻」を購入しました。

AMAZONの内容紹介を一部引用します。
=====
<disc 1>「火焔太鼓」('73)、「五人廻し」('73)、「抜け雀」('72)
<disc 2>「船徳」('83)、「厩火事」('80)、「芝浜」('80)
<disc 3>「黄金餅」('84)、「三枚起請」('85)、「宋珉の滝」('86)
<disc 4>「居残り左平時」('85)、「今戸の狐」('88)
<disc 5>「お若伊之助」('88)、「つき馬」('89)、「締め込み」('89)
<disc 6>「お直し」('92)、「冨久」('94)、「もう半分」('88)
<disc 7>「文違い」('93)、「搗屋幸兵衛」('96)、「化物使い」('92)
<disc 8>「柳田格之進」('93)、「唐茄子屋政談」('95)

現代の古典落語に生涯を捧げ、「古典落語の名手」と言われた古今亭志ん朝。
多くの落語ファンが心から待ち望んだ不世出の落語家の映像集「落語研究会 古今亭志ん朝全集」は、今春の上巻発売と同時に大きな反響を呼んだ。
そして上巻発売からわずか半年、奇跡とも言うべきこの映像集の下巻が早くも発売。
上巻同様DVD8枚に全22席を収録、豪華解説本も上巻に匹敵する内容となっています。上下巻合わせ珠玉の44席、最初で最後の「古今亭志ん朝全集」をたっぷりとご堪能下さい。
=====

disc1の「火焔太鼓」「五人廻し」「抜け雀」は上巻と重複しています。
ただ演じた年齢が違います。
何と四半世紀も前のもの。
同じ噺で熟練の度合いを比較できる贅沢な企画です。

また「黄金餅」「唐茄子屋政談」は先代の十八番。
比較されるのを覚悟の上、演じたはず。
先代のはCDで聴きましたが録音状態が悪いせいか、名人芸を堪能できませんでした。
志ん朝のを楽しみにしています。
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お気に入り1788~バッパーズのニューアルバム

2019-06-08 12:10:00 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、バッパーズのニューアルバムです。

世のオジサンたちが大好きな「吾妻光良 & The Swinging Boppers」。
久しぶりにニューアルバムが出ました。
「Scheduled by the Budget」というタイトル。
これを知ったときにはAMAZONで品切れしており、あわてて別のサイトで購入しました。
(現在は買えます)
曲名一覧をご覧ください。
相変わらず曲名が振るっています。
きっとオジサンのココロを鷲掴みにする歌詞なんだろうな。
曲名だけでこれだけ期待させるアルバムって稀有な存在です。

 1.ご機嫌目盛
 2.大人はワイン2本まで
 3.Photo爺ィ
 4.Misty
 5.やっぱ見た目だろ
 6.でっすよねー
 7.Try a Little Tenderness
 8.焼肉 アンダー・ザ・ムーンライト
 9.正しいけどつまらない
 10.150~300
 11.最後まで楽しもう

AMAZONの商品の説明を引用します。
=====
祝結成40周年世界に誇るSWING&JUMP BANDが5年8ヶ月ぶりのアルバムをリリース!
平均年齢、若干61.8才!!
余命何年ww??
昭和~平成をまったりと駆け抜けて、新和号を迎える今年で結成たったの40周年!!
永遠のギターヒーロー“吾妻光良"が率いる 日本が世界に誇るエンターテナーJump & Jive BAND!!
それが、吾妻光良 & THE SWINGING BOPPERS!!(通称:バッパーズ)
昭和~平成~そして、新和号を迎える2019年に結成40周年を迎えるバッパーズ。
2013年9月21日に発売された7枚目のAlbum「Senior Bacchanals」以来、5年8か月ぶりとなる通算8枚目のNew Albumを、2019年施行される新和号の幕開けとなる5月にリリース!!
新録(全9曲)に加え、ボーナストラックとして、既に絶盤扱いとなり入手困難なバッパーズの名曲のライブ音源(2曲)を加えた全11曲を収録!!
=====

まだ何回かですがドライブで聴きました。
相変わらずオジサンの悲哀たっぷりの面白ソングが、本格バンドをバックに絶唱。

「大人はワイン2本まで」では「酒も女も2合(号)まで」という格言が飛び出します。
「やっぱ見た目だろ」ではネット購入に慣れたころにニセ・サイトに引っかかり、送金したのに商品が届かないと嘆きます。
「でっすよねー」では社会の荒波の中で苦戦するオジサンの姿を垣間見ることができます。

慣れ親しんだ「150~300」と「最後まで楽しもう」で終わってくれるところも安心感があります。

バンドメンバーの平均年齢は62歳弱ですか。
まだ20年は頑張れそうですね。
5年に1枚として4枚のアルバムがリリースできそうです。
その内何枚聴くことができるかな?
長生きはしたくないけれど、バッパーズのアルバムを最後まで聴いてからあの世に行きたいものです。


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お気に入りその1787~映画ストーリー

2019-06-05 12:36:12 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、雑誌・映画ストーリーです。

向田邦子が若い頃に映画雑誌出版社に勤めていたのは有名な話です。
その雑誌の名は映画ストーリー(雄鶏社)といいます。
ここで彼女が書いていたコラムを集めた本を昨年読みました。
ごく少人数の会社だったため、彼女は雑用を含めいろいろやったようです。
ときには読者の投稿に面白いのが無くてナリスマシ投稿の記事まで書いたことがあるそうです。

彼女が在職していた頃の映画界の空気ってどんなだったでしょうか。
まだ複数が古書の市場に残っているので、どれか読もうと思い、検討しました。
彼女の在職期間は昭和27年から昭和35年まで。
昭和31年の増刊号に「外国スター30人集 ~日本のスターが選んだベスト30」というのがありました。
日本のスター30人が外国のスターを取り上げコメントしています。
サンプルページでは、オードリー・ヘップバーンについて岸恵子がコメントしています。
どんなコメントをしているのか気になりましたがサンプルでは文章まで読めません。
価格もお手頃なので購入することにしました。

外国のスター・日本のスター合計60人の写真とサインが載っています。
パラパラと全員をチェックすると、その内の7割以上を知っていることに我ながら驚きました。
それも現役で動いている姿を思い浮かべることができるのです。
62年も前にすでにスターだった人々をこんなに知っているなんて、私も古い人間ということでしょう。

ただし、さすがにご存命の方はかなり少なくなっています。
外国のスター側はご存命の方はいらっしゃらないようです。
日本のスター側は男性11人、女性19人が登場しており、ご存命なのはすべて女性で10名でした。
60年以上前にスターだった女優さんがご存命で、しかも今も現役なのには驚きました。
浮き沈みの激しい業界で生きのびてきたのですから、それだけでも尊敬に値します。

60人の中で一番目を引いたのは八千草薫。
今も可愛らしいですが、杜氏は輝くばかりの可愛らしさです。
歴代の可愛い系の女優さんの中ではトップクラスでしょう。
もし同世代だったらファンになったことは確実です。

さて30のコメントを読み、面白かったものをいくつかご紹介します。

・岸恵子によると「戦争と平和」の発表会でメル・ファーラーとオードリー・ヘップバーンが新婚らしく仲良く代わる代わるに挨拶していたのが印象的だったそう。

・久我美子はマーロン・ブランドの熱烈なファンで、来日した際に、着物を新調して会いに行ったそう。
画面のイメージとは違い、細やかな気遣いの好青年だったとコメントしている。

・池部良はグレース・ケリーの理知的な美しさに魅力を感じていたが、彼女が結婚により引退することを惜しんでいた。その後彼女を訪れた不幸を知った時にはきっと悲しんだことだろう。

・三船敏郎は当時、和製ジャン・ギャバンと呼ばれていたようだが、格の違いを切々と述べている。

・若尾文子は庶民的スターと呼ばれていたそうで、完成された美しさを誇るエリザベス・テイラーを自身の対局として絶賛している。

・鶴田浩二はアラン・ラッドを高く評価しているが「シェーン」はこれまでの路線を変更したため、それほど評価していない。このコメントでアラン・ラッドが一発屋でなかったことを知った。

向田邦子の「映画の手帖」を読んだときには、知った映画タイトルが出てこなくて唖然としたものでしたが、今回当時の俳優陣を7割以上も知っている、という矛盾に遭遇しました。
今一度「映画の手帖」を読んでみても面白いかもしれません。





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