鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその933~ニセモノ師たち

2014-07-30 12:38:08 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ニセモノ師たち」です。

「鑑定団」で有名な中島誠之助著「ニセモノ師たち」を読みました。
本書は2001年に発行されたものですが、もともと骨董品の世界を扱っているだけに内容に古さを感じません。
というか古い話ばかりでしたのでいつ読んでも変わりありません。

本書はいつか読もうと思って以前からストックしていましたが、ひょんなことから読み始めました。
そのきっかけになったのは、先週のTVの鑑定団でした。
7/22(火)の放送で中島先生が地方収録では普通だったのに、スタジオ収録では顔の左半分が引きつり、口の左半分が開いていませんでした。歯切れの良いトークにも影響が出ていました。
妻と私、どちらも医者ではありませんが、二人同時に気付くくらい表情が違っていました。
視聴者の中でも多くの方が気づいたはず。
どうやら軽い脳梗塞などになったようでお気の毒でした。
今週の鑑定団でも確認しましたが同様の状態でした。
リハビリ等により完全治癒されることを願っています。
まだまだ鑑定団で「いい仕事してますね」が聞けそうでほっとしました。
(これって先生のお父さんの口癖だったそうです)

さて本書の話題に戻ります。
amazonの内容紹介は次の通り。
=====
人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」でおなじみの著者が、禁を破って書いた、ニセモノの世界。
素人はなぜ騙されるか、プロを欺く巧妙な手口、ニセモノが放つ妖しい魅力など。
「品物は口を利かないが、人間は口を利く」。
当代一の目利きが骨董の真贋鑑定を通して明かす、ホンモノの見分け方と人間鑑定術。
=====

骨董品に関わるニセモノ師たちについて、歯に衣着せぬ意見をズバッと書いています。
時には同業者に対しても厳しい言葉を浴びせます。
中島先生の江戸っ子らしい姿勢は見事。

ニセモノとは、鑑定士とは、骨董商とは・・・。
骨董商は身銭を切って感性を磨いている職人。
ときにはしくじりもある。
その痛みを知らない学者先生方の鑑定書などあてにならない。
玄関に虎の敷物がある家には本物はない。
父のニセモノ作りに対する悔恨により、同じ轍は踏まいと誓った。

などなど奥深い面白話が満載です。
骨董好きでなくても鑑定団ファンの方なら楽しめること請け合いです。
先生の回復を願いながら読んでみてはいかがですか?




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お気に入りその932~バッパーズ

2014-07-28 12:32:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、バッパーズです。

最近妻にすすめられてバッパーズのアルバムを2枚聴いています。
40~50歳代のおっさんの願望やたわごとがたっぷり入っていて納得することしきり。
こんなバンドがあったのですね。
きっとライブは大盛り上がりでしょうね。

バンド名は正式には「吾妻光良 & The Swinging Boppers」というそうで、妻はFMで聴いてファンになったとか。
wikipediaによると「バッパーズ」は日本のジャンプ・ブルースバンドと紹介されています・・・?
さらにwikipediaで「ジャンプ・ブルース」を調べると、
「ブルースのサブ・ジャンルの一種。
アップテンポのブルースであり、ビッグ・バンド・ジャズに影響されている。
速めのテンポで跳ねるリズムにブラス・アンサンブルが特徴となる。」
ということらしい・・・。
何だかよく分からないが聴いているだけで楽しい曲が満載であることは間違いない!

まだ聴いたことがない方のためにアルバム名、収録曲名、amazonの内容紹介を引用します。
曲名からストレートに中身がわかる作り方が実に魅力的です。
歌詞がコミックソングのようでありながらメロディが本格的で美しいことも魅力的です。

「Squeezin' & Blowin'」(2002年)
=====
1. やっぱり肉を喰おう
2. バッチグー
3. 嫁の里帰り
4. 中華 Baby
5. おもて寒いよね “Baby,It's Cold Outside"
6. コネが無きゃ “You Need Connections"
7. 俺のカツ丼
8. ワイノニーを聴きながら
9. 道徳 HOP
10. 知らぬまに心さわぐ “You Brought A New Kind Of Love"
=====

「Senior Bacchanals」(2013年)
=====
1. おまえ誰だっけ
2. I am Wine
3. 誕生日には俺を呼べ
4. 俺たち相性いいぜ
5. 顔のシワ
6. Gumbo de Twitter
7. Big 盆 Boogie
8. 栃東の取り組み見たか
9. Dedicated to You
10. 昔だったら定年だ
11. 電話にコードがあった頃
=====

amazonの内容紹介
=====
バッパーズ、7年ぶりのオリジナル・アルバム、ついに完成!!
年相応と言うんでしょうか? みんな年とりましたな~
そんなことを踏まえて、還暦前にしか出来ない?!曲ができてしまいました。
って、感じでしょうか?
ライブアルバムから4年半、スタジオ盤としてはSeven & Bi-Decadeから実に7年ぶりのオリジナル・アルバムとなります。
ということで、通算6枚目のオリジナル、ライブ盤を含めたら7枚目のバッパーズのアルバムが出来ました。
デビュー?30周年ということになります。(バンド結成からは34年ほど経っていますが…)
その時期にしか話題にならない<季節もの>を排除し、真っ向からドス黒いプロモーションを狙ったキラー・チューン『誕生日には俺を呼べ』、モテない男のノスタルジー溢れるバラード『電話にコードがあった頃』、一部ファンの間からCD化を熱望されていた『栃東の取り組み見たか』、『Gumbo de Twitter』、ゲスト・ボーカルにLeyonaを迎えた『Dedicated to You』など全 11曲収録。
世相をボヤきつつも、いまだに酒場で飲み倒し、歌い、楽器を弾き倒す、還暦前のオヤジのたわごとをどうぞお楽しみください。
=====

気に入った曲はたくさんありますが、
「やっぱり肉を喰おう」と「嫁の里帰り」では大いに頷き
「栃東の取り組み見たか」では驚き
「顔のシワ」では爆笑

とにかく面白い!

次に聴くならスタジオ収録の「Seven & Bi-decade」ではなく、やっぱりライブ盤「Sweatin’Ballroom」がいい。
金欠病ながら注文しました。
早く届かないかな。
世のおっさん、おばさんたち!
騙されたと思って一度聴いてみませんか?
音楽の楽しさをたっぷり伝えてくれる同世代の元気バンドを知らないなんて損ですよ!


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お気に入りその931~点と線

2014-07-26 12:10:50 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「点と線」です。

松本清張著「点と線」を読みました。

先月行った石川県の景勝地「ヤセの断崖」が舞台ということで「ゼロの焦点」を買いましたが、そのときにオマケで付いてきたのがこれ。
オマケなんて随分失礼な言い方をしてしまいました。
「点と線」は松本清張を世に出した出世作。
つまり名作の誉れ高い作品です。

1958年に発行されてから現在に至るまで50年以上も読まれ続けています。
ちなみに手元の文庫本の裏を見ると1971年発行で第100刷を超えていました。
とんでもない読まれっぷりですね。

この「点と線」はドラマを観てから読みました。
松本清張ドラマスペシャル「点と線」第1部・第2部、4時間48分一挙放送!というのを録画して観ました。
時間があるときに少しずつですが・・・。
このドラマは2007年に制作されたもので、宇津井健、坂口良子など今は亡き俳優も出演していました。
端役にも有名俳優を使った贅沢なドラマでした。
主役の刑事をビートたけし、犯人を柳葉敏郎が演じ、戦争を引きずった二人の重厚なドラマは素晴らしい出来栄えでした。

さて原作の小説の方はというと・・・。
意外と薄いことに驚き、ストーリーがいたってシンプルなことにも驚きました。
ただし「時刻表トリック」という斬新さと「汚職事件」がらみという社会性を併せ持った主軸はそのまま。
とても読みやすく、そして新しいスタイルの推理小説ということで、発表当時に一大ブームを巻き起こしたのは納得です。
こんなにさらさら読めて社会性を盛り込んでいる推理小説ならもう何冊か読んでみようという気にさせられました。

重厚なドラマと、ライトな小説。
どちらも甲乙つけがたい魅力的な作品でした。
それはつまり脚本家の力が松本清張と同レベルだったということ。
日米のTVドラマを見比べ、日本は脚本家の力が劣ると常々思っていましたが決してそうではないことを知りました。
これはとてもうれしい収穫でした。



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お気に入りその930~ゴジラ1954

2014-07-24 12:53:56 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、映画ゴジラです。

先日、1954年公開の映画ゴジラの60周年記念デジタルリマスター版をBSで放送していました。
どうせ子ども向けだろうと思って観なかったのですが、妻が録画していました。
海の日の連休にさして外出する予定もなくTVもつまらなかったので観ることにしました。
すると・・・。
驚きました、これは名作です。
ゴジラはその後シリーズ化されますが、この第1作がシリーズ最高傑作だと思います。
怪獣が出てくるから子ども向け、とは石頭の発想だったと今は後悔しています。

まずは監督と脚本を手がけた本多猪四郎が素晴らしい。
ゴジラの脚本には、直前に社会問題になったビキニ環礁での核実験と第五福竜丸の被爆事件が強く影響しているそうです。
強い放射能をまき散らす核実験により、人類の太刀打ちできない事態が自然界に起きるであろうこと。
実験を繰り返すことにより、第2、第3のゴジラが誕生するであろうこと。
ラストでゴジラを倒し人類を救ったオキシジェン・デストロイヤーのような科学技術は、科学者が平和利用を願っても時の為政者によって核に次ぐ強力な兵器として悪用されることが必至であること。
映画では研究資料を焼き、開発者自らが命を絶つことで悪用を食い止めています。
などなど被爆国日本ならではの社会的に重いテーマを取り上げていました。

次いで特撮監督の円谷英二が素晴らしい。
ウルトラQ、ウルトラマンよりはるか以前に制作されているにも関わらず、TVと映画の違いからでしょうか、セットとは思えない奥行きと生活感に満ちた街並みを再現しています。
それをゴジラが踏みにじります。
崩れ落ちる建物、逃げ遅れ下敷きになる人々。
一面焼け野原になった東京市中。
野戦病院と化した病院。
まだ戦後を引きずっていた時代を感じさせる迫真のシーンが続きます。
それも迫力あるモノクロで・・・。
病院シーン以外は円谷の力。
その後円谷の名が世界に出たことは当然でしょう。

そして俳優陣。
志村喬、平田満、河内桃子らの俳優陣もそれぞれ苦悩を抱えた人物として見事に演じています。

最後に。
ウルトラQからウルトラセブンまでは子ども向け番組にもかかわらず、社会問題や哲学的な問題を多く取り上げたことが有名ですが、その原点はおそらくこの「ゴジラ」にあったのでしょう。
もしウルトラシリーズが時間と予算の制約に縛られずに映画化できたら、ゴジラのような名作がいくつも生まれたかもしれない、そんな夢のようなことを考えました。
とにかく昭和20年代、30年代の日本映画では「七人の侍」「生きる」「東京物語」などが高く評価されていますが、この「ゴジラ」も同列で評価されても良いくらいに素晴らしい映画だと思います。





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お気に入りその929~奥村土牛

2014-07-22 12:09:56 | 鬼平
今回のお気に入りは、奥村土牛です。

奥村土牛著「牛のあゆみ」を読みました。
本書は日本画家・奥村土牛(とぎゅう)の自伝です。
数か月前にNHKで土牛の特集があり、ぜひ画集を買って鑑賞しようと思って探したときに本書を知りました。
彼の雅号は「土牛、石田を耕す」という漢詩からとっているそうで、彼の作品だけでなく生き様にも興味があったので本書を読むことにしました。
本書には彼が自ら選んだ作品がカラーで12頁、モノクロで24頁載録されていることも選んだ理由です。
本書は日本経済新聞社に連載された「私の履歴書」を好評につき1974年に単行本として発行したものです。
後に出た文庫本と2種類ありますが、絵画の鑑賞も目的のひとつですので、大判の単行本を購入しました。

奥村土牛はwikipediaでは次のように紹介されています。
=====
1889年2月18日 - 1990年9月25日
現代日本画壇の最高峰に位置した代表的な日本画家の一人。
本名:義三(よしぞう)。
号である「土牛」は、出版社を営んでいた父が寒山詩の一節「土牛石田を耕す」から引用してつけられた。
=====

また本書の内容はamazonで次のように紹介されています。
=====
「土牛、石田を耕す」―寒山詩よりつけた雅号のとおり、歩一符、地道な画業精進を重ね、日本画壇最高峰に至った奥村土牛。
百歳にしてなお壮年をしのぐ流麗な描線と端厳な色彩で観る人を静謐の境地に誘い、さらに新境地に挑み続ける土牛芸術の秘奥を明かす自伝。
=====

生まれつき虚弱な彼は、医者に15歳まで生きられないと告げられます。
衝撃的な宣告のためまだ幼少だった本人も覚えていたそうですが、それを聞いた母親のショックはいかばかりであったことでしょう。
彼は母親の愛に包まれ、命を懸けて守り育てられました。
徴兵検査では丙種不合格だったそうですが、身体を丈夫にしたいと思い習った水泳により見違えるほど健康体になったそうです。
その後、彼は多くの師と友人に導かれ支えられて好きな日本画で徐々に頭角を現します。
自伝には謙虚に謙虚にひたすら画業に取り組む彼の姿が書かれています。
師である小林古径と二人、日がな一日言葉を交わすことなくひたすら絵を描き続ける日が続いたと書かれていました。
時には父が倒れたことにより一家を経済的に支えるため、作品の入選による賞金を目指したこともありました。
そしてついには日本を代表する日本画家になり、何と101歳まで好きな日本画を描き続けました。
「石ころの多い荒れ地を根気よく耕し、やがては美田に変えるように、お前もたゆまず精進しなさい。」と父が願って贈った雅号を地で行った見事な人生でした。

こうして彼の生き様を知った上であらためて彼の作品を鑑賞すると、作品が厚みを増したようで何だか贅沢な気がします。

彼の作品ではスケールの大きさでは「鳴門」が一番。観ている者を引き込む迫力たっぷりの作品です。
「聖牛」は牛たちの神聖な表情と絶妙なポーズにデッサン力の巧みさを感じます。
「醍醐」「門」「茶室」は既成概念に安住しない挑戦的な構図が堪能できます。

ちなみに本書は古書店で著者の謹呈署名本が出ていましたのでそれを選びました。
そこには85歳にして実に力のある署名がありました。
いつも思いますが、字は人なりですね。
自分もいつかそういう迫力のある字が書ける人になりたいものです。
そして見事な生き様だったといわれる人生を送りたいものです。

最後に。
昨日、本書を読み終えるとともにやはりしっかり作品を鑑賞したくなり作品集を注文しました。
余り予算がありませんができるだけ大判で鑑賞したいのでアサフグラフ別冊を選びました。
届くのが楽しみです。




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お気に入りその928~風に立つライオン②

2014-07-18 12:51:52 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「風に立つライオン」②です。

「風に立つライオン」を読み終えました。
これまでも素敵な本と出会ったときにそうだったように、寸暇を惜しんで読みました。
そして最後まで感動の波にもてあそばれました。
看板に偽りなしの「感涙長編」でした。
最近、感動の涙を流してないな、と思い当たる方にはストレス発散の妙薬としておすすめします。

ケニアの病院で奮闘した青年医師・航一郎、東日本大震災で避難所で奮闘した木場。
その二人は実在の人物をモデルにしているそうです。
人を惹きつける魅力を持ったこの二人をンドゥングというケニア人医師を登場させてリンクさせます。

少年兵として9人を殺したンドゥングの僕でも医師になれますか?という問いに対し、
9人を殺したのなら医師になって10人を救わなくてはならない。
と答えた航一郎。

震災で4人の家族を失った「あつお」の僕でも医師になれますか?という問いに対し、
4人を失ったのなら医師になって5人を救わなくてはならない。
と答えたンドゥング。

戦争や災害により傷つき心を閉ざした少年たち。
彼らの心を救うべく懸命に向き合う医師たち。
やがて心開き医師を目指す少年たち。
この美しい未来に通じるストーリーには心が洗われました。
まさにさだまさしらしい作品でした。

あとがきに、かつて発表した「風に立つライオン」という曲が独り歩きし、気が付けば多くの医師たちの背中を押していたと書かれていました。
まだ聴いたことがない「風に立つライオン」。
きっと名曲なのでしょう。
近いうちにじっくり堪能したいと思います。

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お気に入りその927~風に立つライオン

2014-07-16 12:14:25 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「風に立つライオン」です。

「風に立つライオン」は昨年発行されたさだまさしの小説です。
前にブログに書評を書いている知人が絶賛していたので、いつか読もうと思っていました。
最近「イベリコ豚を買いに」とか「ミツバチの会議」を読んでいて小説から離れていたので次はこれと決めていました。
ここのところ金欠病のため妻の蔵書を物色していて選んだというのも大きな理由ですが・・・。

amazonの内容紹介を引用します。
=====
さだまさしが遂にあの「名曲」をモチーフに書き下ろした。
80年代の長崎、ケニア、2011年の石巻をつなぐ、壮大な「希望」の物語。
感涙長篇!

1987年、熱い志と明るいエネルギーを持つ日本人医師・航一郎は、恋人を長崎に残し、ケニアの病院に向かった。
劣悪な環境で奮闘する航一郎の前に、激しい銃創を負った少年兵・ンドゥングが現れる。
心を開かないンドゥングだったが、航一郎の熱さ優しさエネルギーを受け、少しずつ変わっていく。
そして、遂に医師を志すことを決意するまでにいたる。
しかし、その後、航一郎に哀しい運命が訪れ――。
2011年3月、医師となったンドゥングは、津波に襲われた石巻を訪れる。
そこで出会った避難所明友館のリーダー・木場に航一郎の面影を見る。
木場と共に被災者に寄り添うンドゥングは、ある日、かつての自分と同じような目をした少年に出逢い……。
ケニアの日本人医師から、かつての少年兵、そして被災地の子供へ。
「心」のバトンが繋がった。
=====

さだまさしの小説は何冊目かな?
とても素晴らしいストーリーテラーであることは十分理解していました。
予備知識があまりない中で読み始めた本書ですが、最初の数ページ目から感情が揺さぶられ涙が止まりませんでした。
涙をぬぐっては読み、また涙をぬぐう・・・。
なかなか読み進みません。
これまでも感動作を読んで涙が出たことはありましたが、涙腺の調子が悪い?とさえ思ったのは初めての経験でした。
その後、同僚や先輩、恋人という関係者たちが航一郎についてのコメントを述べる、という形で物語は進みます。
途中何度か冒頭部と同じように涙腺決壊を経験しながら、今は中盤の航一郎に哀しい運命が訪れた辺りを読んでいます。

どうやら後半は東日本大震災を舞台に話が進むようですが、きっと涙腺決壊シーンは繰り返し訪れることでしょう。
私の周囲に目から鼻に涙を流す管が詰まり気味で普段から涙が溢れて困っていた人が2人いて、その管の詰まりを病院で掃除してもらったそうです。
久しぶりの涙、涙の日々は、その予防になるかどうかは分かりませんが、「涙は心の汗だ」とか「涙でストレス解消」ともいいます。
今回の体験は心身ともにきっと良い影響があると信じて後半を読み進みたいと思います。


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お気に入りその926~竹鶴政孝パート230

2014-07-14 12:30:11 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート230、アップルワイン②です。

先日、古いアップルワインのオークションに参加したことを書きました。

開札当日の夕方、オークションページをのぞいたときにはすでに10万円近くに跳ね上がっていました。
これは高値更新されるのは目前!と思いましたが、夜中の開札までとても起きていられないし、競り合う力はないし、結局のところ落札を期待せずに眠りにつきました。
翌朝パソコンを開いたら落札メールが届いていて、驚きとうれしさで一気に目が覚めました。
それと同時にあまりに高額の落札に恐れを抱きました。
何10ケ月も先のお小遣いにまで手を付けてしまい、緊迫財政期間がまたまた延長になってしまったことへの恐れです。
日本の財政とどっちが悪いかな?

さてアップルワインについては先日も書きましたが、ウイスキーを発売するまでの間、ニッカウヰスキー(株)を林檎汁とともに支えた功労者です。
企業の歩みとしては1歩目が林檎汁、2歩目がアップルワイン、そして3歩目にやっと1号ウヰスキー。
その後間もなく戦争が始まったり、3級ウイスキーを発売しなくてはならなくなったりといろいろなことがありましたが何とか乗り越えて今年めでたく80周年をむかえました。

これまで竹鶴政孝とリタを尊敬し、その人生を辿るためにオールドボトルを蒐集してきました。
大日本果汁までの歴史を蒐集品で辿ると次のようになります。

政孝をスコットランドに派遣した摂津酒造のポケットボトル。
修行先であるロングモーンの15年物のミニチュアボトル。
同じくヘーゼルバーン、再開後の8年物ボトル。
寿屋時代に出した日本の一号ウイスキー白札のポケットボトル。
同じく白札720ml(復刻版)。
リタの助力があって設立できた大日本果汁が初めて出した製品、林檎汁。
蒸溜したウイスキーの熟成を待つ間に出した製品、アップルワイン。
そして待望の一号ウヰスキーと一号ブランデー。
次いでスペシャルブレンド茶丸びんとニッカウ井スキー大丸びん。
新角、丸びんニッキー、各種ポケットボトル。

・・・と、ここまでが大日本果汁までの歴史を雄弁に語るボトルたち。
こんなに集めてどうするの?と妻にいわれますが、おれが死んだら余市のニッカさんに寄付して欲しいといっています。
たった1本でも余市のウイスキー博物館に展示されればそれで本望です。


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お気に入りその925~ミツバチの会議②

2014-07-11 12:46:55 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ミツバチの会議②です。

「ミツバチの会議」をようやく読み終わりました。
本書はミツバチが分蜂して新しい巣を見つけるまでのプロセスを分析した専門書。
ミツバチの行動を観察し、その行動の意味を考えて仮説を立て、実験で立証する、その作業が繰り返しが延々と続いているため、余程興味がなければ途中で力尽きます。
科学って実はこういう地味な作業の積み上げであることは理系なので知っているつもりでしたが、それでも8章、9章あたりは少々雑に読んでしまいました。

もともと内容紹介で「ミツバチの意思決定プロセスが人間に応用できる」という辺りに興味を持って読み始めました。
読んでいるときは早く応用編の10章が読みたくて仕方がありませんでした。
実際に10章を読んだ感想は、「えっ、これしか書いていないの?」というものでした。
これまで読みたかった章が、あまりにもさらりと読み終えてしまったことにがっかりしました。
確かに本書は昆虫行動学の専門書であり、民主的な会議の進め方のハウ・ツーものではありません。
でも、いくらなんでも・・・。
そういう恨めしい気持ちもありますが、それでも10章に書かれた民主的な会議の進め方は魅力的でした。
著者はコーネル大学で学科長として教授会を極めて民主的に運営しているそうです。
そのエキスが詰まった10章のもくじは次の通り。

第10章 分蜂群の知恵
教訓1:意思決定集団は、利害が一致し、互いに敬意を抱く個人で構成する
教訓2:リーダーが集団の考えに及ぼす影響をできるだけ小さくする
教訓3:多様な解答を探る
教訓4:集団の知識を議論を通じてまとめる
教訓5:定足数反応を使って一貫性、正確性、スピードを確保する

5つの教訓を読むだけでだいたい理解できると思います。
もう少し詳しく知りたければ、10章だけを立ち読みすれば良い。
(本屋さんには申し訳ありませんが・・・)

最後に。
BOOK asahi.comで田中優子さんが「多様な解答を探り、優れた結論へ」と題して書評を書いています。
おそらく理系ではない彼女が魅力的な書評を書いていますので、文系だから・・・と二の足を踏んでいる方はぜひ参考にしてください。

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お気に入りその924~竹鶴政孝パート229

2014-07-09 12:25:06 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート229、アップルワインです。

先日、オールドボトルを高値で落札したばかりなのに、またまた大変なボトルが出品されました。
アップルワインの極初期のボトル、しかもクッションカバー付きです。
このアップルワインは、一号ウヰスキーが世に出る2年前の昭和13年に発売されました。
ウイスキーの販売が軌道に乗るまでの期間、林檎汁(アップルジュース)とともに会社を支えました。
ニッカウヰスキーの今日があるのは林檎汁とアップルワインのおかげといっても過言ではありません。
「スコッチに負けない本物のウイスキーを造る」という政孝とリタの夢の実現を支えた功労者ともいえる貴重なボトルです。
何とか落札したいものです。

一応入札しましたが、今回は前回のようにオールドボトルファンが分散する兆しがないまさに一本勝負。
高値に吊り上ることは確実です。
今夜遅くにオークションの結果が出る予定ですが、とても起きていられないので結果のチェックは明日の朝になります。
できることなら落札したいですが、今年は高額ボトルが続いていて予算が厳しい・・・。
いい結果が出ることを祈っています。

それにしても今年は大変な年になったものです。
一号ウヰスキーに始まり、ニッカウヰスキー丸大びん、そして今回の極初期のアップルワイン・・・。
大日本果汁(株)時代のオールドボトルが次から次へと出品されます。
きっと創立80周年とNHKの朝ドラ「マッサン」の効果でしょう。
こんなことは次の90周年まで無いでしょうからファンとしては覚悟を決めてとことん付き合いたいと思います。
我が財布が緊縮財政から解放される日はどんどん遠ざかるばかりですが、ファンとして悔いはありません。

しかし「マッサン」が始まる前にすでにこの盛況ぶり。
毎日放送されるようになったらいったいどうなってしまうのでしょう?
不安と期待が交錯します。


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