鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1088~鬼平犯科帳パート87

2015-07-31 12:21:42 | 鬼平
今回のお気に入りは鬼平犯科帳パート87、原作第12巻です。

諸事情により読み返している鬼平犯科帳。
今回はその第12巻。
収録作品は次の7作品。

「いろおとこ」「高杉道場・三羽烏」「見張りの見張り」「密偵たちの宴」「二つの顔」「白蝮」「二人女房」の七篇

「いろおとこ」
ラストで平蔵は、いろおとこの兄嫁のふくらんでいない腹を見通します。
それを見通したのは実は堅物の佐嶋だったというオチには驚きました。

「高杉道場・三羽烏」
高杉道場の三羽烏といわれながら免許皆伝を受けられなかった男。
凶賊に成り果てた男は平蔵に全く歯が立ちませんでした。
刀を持たぬ者を殺してきた男と、命懸けで任務を全うしてきた男の格の差は明らかでした。

「見張りの見張り」
舟形の宗平の旧友を助けるため、平蔵に内緒で盗賊を追う五郎蔵とおまさ。
ある日、伊三次を見かけ、これはもうダメだと観念し平蔵の元に赴く五郎蔵。
すべてを見通していたことを知り、改めて平蔵の恐ろしさを知る五郎蔵。
ここで震え上がったにもかかわらず懲りずに次の「密偵たちの宴」に向かうなんて信じられない!

「密偵たちの宴」
いよいよ名作登場!
これまでの巻では「盗法秘伝」と一、二を争う大好きな作品です。
密偵たちが宴を開きます。
話の流れでつい、本格の盗賊の粋な仕事を今どきの凶賊たちに見せつけるため、一仕事を企てます。
強欲な医者を凝らしめるという目的も達成できて、読者はスッキリ。
こうして見事にしてのけたはずでしたが、やっぱり平蔵の方が一枚上手でした!という話。
ドラマ版には原作に無い、必見のラストが用意されています。。
密偵たちにお灸をすえ、強面で五鉄を後にした平蔵が突然振り向き、舌を出す茶目っ気たっぷりの表情が大好きです。

「白蝮」
沢田小平次が勝てなかったという女剣士が盗賊として登場します。
その女がレズで辰蔵と茶屋の娘を取り合うという筋立てが面白いですね。

今回は「密偵たちの宴」に尽きます。
この作品は原作よりもドラマ版に軍配をあげます。
DVDを何回観たことか!
あぁ、また観たくなってきました。
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お気に入りその1087~古いCD

2015-07-29 12:38:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、古いCDです。

ここのところ仕事の車ではなくマイカーで移動することが多いです。
したがってカーオーディオを楽しんでいます。
ストックはCD100枚分。
先日は久しぶりに古いCDを楽しみました。

ひとつは美空ひばりの「ナット・キング・コールをしのんで ひばりジャズを歌う」。
もうひとつはちあきなおみの「大全集~黄昏のビギン~ 」。

ふたりとも天才ですね。
聴き惚れました。

特に好きな曲は、美空ひばりの方は「スターダスト」「ラブ」「慕情」。
ちあきなおみの方は「黄昏のビギン」「星影の小径」「紅とんぼ」。

相当前の曲にもかかわらずテレビCMに使いたくなるのも当然だと思います。

これほど聴かせる力を持っている歌手って今いるのかな?
なかなか思いつきません。
ただ最近、音楽CDをほとんど聴いていないので知らないだけかもしれません。
もっぱら春風亭小朝、桂歌丸の落語CDばかり聴いている男の言うことなど当てになりません。

おまけとして、全く違うことを書きます。
先日、「世界の果てまでイッテQ」を観ました。
イモトが北米最高峰マッキンレー登頂に成功したという内容でした。
出川のコメントが心に残りました。
「いいかいみんな、心をニュートラルにして観てよ。」
「マッキンレー登頂なんて凄いことなんだ。」
「イモトがやると簡単そうに見えるけどとんでもないことなんだ。」

簡単なコメントさえ噛む出川なのに、なんて素晴らしいコメントでしょう!
心をニュートラルにして観ました。
感動しました。

イモトは、軽い高山病を発症しながらも、ひたすらしゃべり続け登頂を成し遂げました。
途中、ベテラン登山家にコメントを求め「今は余裕がない」と断られるシーンがありました。
空気が薄い中での急斜面登頂。
ベテランが体力の限界に苦しむ中、しゃべり続けたイモトのタフさに改めて驚かされました。

彼女ならエベレスト登頂は成し遂げられるでしょう。
あとは環境が整うのを待つばかり。

だけど世界の頂点を極めた先には何があるのかな?
前例のない挑戦を成し遂げるスーパーウーマン、イモトは次はどこへ行くのか?
彼女の芸人としての行く末を思うと、なぜか不安を覚えます。
日本テレビさん、ちゃんと育ててあげてね!
お願いします。



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お気に入りその1086~鬼平犯科帳パート86

2015-07-27 12:09:44 | 鬼平
今回のお気に入りは鬼平犯科帳パート86、原作第11巻です。

諸事情により読み返している鬼平犯科帳。
今回はその第11巻。

男色一本饂飩/土蜘蛛の金五郎/穴/泣き味噌屋/密告/毒/雨隠れの鶴吉

「男色一本饂飩」
忠吾が男色の盗賊に誘拐されます。
口を吸われるだけで済んで読者もホッとしたのではないでしょうか?
本人にとっては一大事だったでしょうが、どこかユーモラスに感じられたのは人徳?

「土蜘蛛の金五郎」
平蔵が乞食侍に扮して盗賊一味を一網打尽にします。
悪逆非道な盗賊一味だからこそ、度を越した善行を行うというのは、鬼平のテーマのひとつ。
平蔵の髪を撫でつけながら、ようやく臭気が取れましたと語りかける久栄。
こんな大変なお役目など辞めて乞食侍になりたいもの、と返す平蔵。
愛情溢れる素敵な言葉に対する答えの何と重たいこと・・・。

「穴」
10年前に引退した盗賊の虫が騒ぎ・・・。
ユーモラスな小品です。

「泣き味噌屋」
妻を惨殺された泣き虫の勘定方同心。
誤解により同僚から一目置かれるようになったが、人はそう簡単に変わるものではない、というエンディングが面白い。

「密告」
ある女が、若い時分に平蔵から受けた恩を返すために、諭しきれなかった息子の悪行を密告し、自害する。
平蔵は、若き日に気まぐれでかけただけの情けを、女が恩に感じて命を絶ったことに戸惑う。
苦しいときは藁にもすがる、というが、つらい境遇のときに受けた恩には千金の値がある、ということか?

「毒」
カミソリでたもとを切り割き財布を掏り盗る男。
その財布に南蛮由来の猛毒が入っていたことから将軍の側近のお家取り潰しにまで発展します。
スリは罪を許され小者に取り立てられ、平蔵夫妻の墓守をして生涯を暮らした、というエピソードは泣かせます。

「雨隠れの鶴吉」
本格の盗賊である鶴吉夫婦が、凶賊に狙われた生家を救う。
本格派ならではの智恵で、力技しか持たぬ奴らを見事陥れる辺りは実に胸がすきます。
あっぱれ!

今回は味わい深い作品が多かったです。
次の巻、またその次の巻とまだまだたくさん読む作品があるということは幸せです。


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お気に入りその1085~鬼平犯科帳パート85

2015-07-24 12:14:22 | 鬼平
今回のお気に入りは鬼平犯科帳パート85、原作第10巻です。

諸事情により読み返している鬼平犯科帳。
今回はその第10巻。
収録作品は次の7作品。

「犬神の権三」「蛙の長助」「追跡」「五月雨坊主」「消えた男」「お熊と茂平」「むかしなじみ」の七篇

「追跡」
珍しくも平蔵のからんだドタバタ劇。
余計なことを書かない池波先生にしては、無駄に辰蔵を登場させています。
当時身辺で何かあったのか、またはスランプだったのか?

「五月雨坊主」
伊三次とおよねのコンビが再び登場。
猫じゃらしを使わず、落ち着いた風情のおよねに、もしや伊三次と所帯を?と思わせる雰囲気があります。
でもその後を知っているだけに悲しいです。

「むかしなじみ」
彦十の様子がおかしい・・・。
平蔵や密偵仲間たちの気配り手配りで盗賊に戻らずに済んだ彦十。
むかしなじみの窮地を救おうとした彦十だったが、その話はまったくのウソだったというオチはいかにも彦十らしい。

「消えた男」
盗賊改メの長官が長谷川平蔵に代わる前に愛想を尽かして辞めた男が登場します。
佐嶋与力と再会し、佐嶋から平蔵の素晴らしさをたっぷり聞き、密偵になります。
最期は在職中の恨みから殺害されますが、満足な最期だったのではないでしょうか?

「お熊と茂平」
引き込みの茂平が、お熊に頼みごとを残して、腸捻転で苦しみ死にます。
頼みごとは2つ。
盗賊仲間に自分が死んだことを知らせることと、娘に貯めた金を渡すこと。
相談された平蔵はお熊の協力により盗賊一味を捕縛。
娘が行方知らずになっていたので、預かった金で茂平の墓を立ててやりたいというお熊。
どこまでも真っ直ぐなお熊に平蔵も読者も感動します。

この巻は小品ばかりでした。
それでもさすがに読ませます。
さて次の巻はどうかな?






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お気に入りその1084~大統領の執事の涙

2015-07-22 12:04:59 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「大統領の執事の涙」です。

最近は歳相応にいろいろな役割が増えて毎日バタバタしている内に過ぎていきます。
おかげで月曜も火曜もブログ更新ができませんでした。

今回ご紹介するのは日曜に体休めに見た映画DVD「大統領の執事の涙」。
セシル・ゲインズというアフリカ系アメリカ人が34年間ホワイトハウスで執事をした、という映画です。
主人公のモデルになったのはユージーン・アレンという人物。

歴代の大統領は常に政治的判断を迫られてきました。
大統領も人間。
時には執事にアドバイスを求めたこともあったようです。
主人公の人生をアメリカ合衆国の人種差別撤廃の歴史と重ねています。
実話のエピソードだけでは語りきれない部分を、彼の息子を活動家に設定して行動させているあたりは脚本の妙。

ちなみに34年間に仕えた歴代大統領とのエピソードは、実話に基づいているものが多いそうです。
映画を観終わってから調べて、レーガンの晩餐会やオバマの就任演説に来賓として招かれた話が真実と知ってとても驚きました。
まさに、真実は小説より奇なり、です。

執事は空気になりなさいという師匠の教えを守りつつも、引退を決めた日に、後輩たちの待遇改善を成し遂げるシーンは格好良かったです。

役者では、ナンシー・レーガンを演じたジェーン・フォンダとアイゼンハワーを演じたロビン・ウィリアムズが見事でした。

人種差別撤廃の歴史を語る映画は日本人には馴染が薄いですが、アメリカではいまだに根強いとみえ、最近でも「リンカーン」「ヘルプ」「42」という名作が公開されています。

本作と含めた4本の中では、理解と感動という点で「42」が一番だと思います。
あなたはどれが一番だと思いますか?


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お気に入りその1083~鬼平犯科帳パート84

2015-07-17 12:38:20 | 鬼平
今回のお気に入りは鬼平犯科帳パート84、原作第9巻です。

諸事情により読み返している鬼平犯科帳。
今回はその第9巻。
収録作品は次の7作品。

雨引の文五郎/鯉肝のお里/泥亀/本門寺暮雪/浅草鳥越橋/白い粉/狐雨


「雨引の文五郎」
腕利きで遊び心があるひとり働きの盗賊。
平蔵に捕えられるときも実に潔い。
どうしても格好いい男をイメージしてしまいます。
ドラマで目黒祐樹が演じていたのも当然。
(映画「ルパン三世」のイメージか?)
しかし読み返してみると、平蔵に送った自画像が実に特徴的だったために捕まるという設定だったのですね。
驚きました。

「鯉肝のお里」
おまさと五郎蔵が夫婦に!
これまでの流れでは意外ですし、ドラマでは実現しなかった設定です。
小説版の世界だけの楽しみとして、これからの展開を期待しています。
それにしても、おまさの平蔵への想いをかなえてやることができないなら、互いに人間として尊敬し合う五郎蔵と結ばれることがおまさの幸せ、と考えた平蔵はあっぱれ。
部下の幸せを考えることは上司の責務なのだとあらためて考えさせられました。

「泥亀」
重い痔を患う不器用な元盗賊という設定がユーモラス。
ドラマ版で演じていた名古屋章はジャストフィットでした。

「本門寺暮雪」
平蔵の窮地を救い愛犬におさまった柴犬クマが初登場。
クマという名から黒い柴犬かと思ったら茶色なのですね。
犬好きなのでもう少し平蔵とからむシーンがあると良かったです。
また犬を飼いたくなりました。
この作品には「凄い奴」が登場します。
凄い奴の現在を明らかにせずに話をどんどん進め、終わらせてしまうところで、著者らしい省略の美を感じました。

「白い粉」
女房を誘拐されお頭に毒を盛ることになった料理番。
悪党が退治され夫は遠島処分。
平蔵が今回の一件について妻に問うと
長官様には申し訳ございませんが、私ゆえに起こしたこと。うれしゅうございます。
女ならばこそと平蔵納得のセリフが見事。

「狐雨」
狐憑きが登場する夏向け作品。

この巻もお気に入りの作品が多かったです。
さて次の巻はどうかな?






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お気に入りその1082~鬼平犯科帳パート83

2015-07-15 12:43:42 | 鬼平
今回のお気に入りは鬼平犯科帳パート83、原作第8巻です。

諸事情により読み返している鬼平犯科帳。
今回はその第8巻。
リズムがいい文体と素晴らしい展開に乗せられて、さらさら読んでいます。

今回収録されているのは次の6作品。
 用心棒/あきれた奴/明神の次郎吉/流星/白と黒/あきらめきれずに

「用心棒」
まるで鍾馗(しょうき)さまのようだ、とお熊ばあさんが評した堂々たる体格の高木軍兵衛。
そのいかつい容貌に似合わず実際は正直で弱虫な男。
そんな男を平蔵が助け導くユーモア話。
斬った斬られただけでない、鬼平の別の魅力に溢れた作品です。

「あきれた奴」
同心 小柳安五郎は妻子を亡くして以降、自暴自棄気味。
彼は捕えた盗賊の妻子を身投げから救い、さらに盗賊自身を野に放ち取り逃がした凶賊を捕えさせます。
身代わりに牢に身を投じた「あきれた奴」に平蔵も舌を巻きます。
命を懸けて凶賊逮捕に賭けた部下への平蔵の厚い信頼に、読者は惹かれます。
あなたは部下をそこまで信頼できるか?と問われた気がします。 

「明神の次郎吉」
底抜けに人の良い左馬之助から、親切のお返しにと心からのもてなしを受け涙ぐむ次郎吉。
最後まで彼を盗賊だと気付かず、恩人として気に掛ける左馬之助の真っ直ぐさに感動する平蔵。
「左馬のところに嫁に来る女はいないものか・・・」
読者も平蔵と同じ気持ちで吉報を待っていると思います。
この言葉はこの巻の最後「あきらめきれずに」で花開きます。

「流星」
以前、平蔵のキセルを盗み出すという芸を見せた気のいい元盗賊の友五郎。
彼を仲間に引き入れたために足がつく生駒の仙右衛門率いる盗賊団。
そして盗賊改メの身内を斬殺して平蔵を苦しめ、最期は平蔵に斬って捨てられる浪人2人。
2つの筋書きを1本にした贅沢な作品。

「白と黒」
白く肥えた女と浅黒く痩せた女、2人の女賊の捕縛顛末。
いよいよ兎忠の出番か?と思わせつつ、美味しいところは平蔵が持って行ってしまいます。
箸休め的小品です。

「あきらめきれずに」
あの左馬之助がついに嫁をもらいます!
盗賊の頭とその女の関わりが読者をハラハラさせますが、取りあえずはハッピーエンド。
おめでとう、左馬之助!
真っ直ぐ過ぎるほど純な夫に、ちょっと訳ありの苦労人の妻。
これで平蔵も一安心か?
今後登場するであろうエピソードを楽しみに待ちましょう。

この巻はお気に入りの作品がたくさんでした。
ドラマ版も見たくなってきましたが、時間がない・・・。

取りあえず次の巻を楽しみにしたいと思います。




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お気に入りその1081~ジャムボール

2015-07-13 12:13:31 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ジャムボールです。

本人はなぜか認めませんが、妻はジャム作りが趣味です。
という訳で今年の誕生日に純銅鍋ジャムボールをプレゼントしました。
(知りませんでしたが、ジャム作り用の鍋のことをジャムボールというらしいです)

ジャムを作るならこれ!とある人のブログに書いていた、お勧めのサイズを注文。
届いてびっくり。
こんなに大きいの?
ブログの主は直径36cmのジャムボールが最適と書いていたのです。
収納先が思いつきません。

内寸36cm、深さ15cmという数字だけでは大きめの鍋程度かと思いましたが、容量11Lといえばバケツ並み。
ホコリよけのビニール袋に入れて壁に吊るすしかありませんでした。

プラム、ブルーベリー、サクランボ、ユスラウメ。
出回る果物で次々ジャムを作る妻。
最初は大き過ぎると文句を言っていた妻でしたが、短時間に作ることができるため、色鮮やかで風味豊かなジャムができるそうでとても喜んでいます。

ここ数年、誕生日プレゼントでヒットがありませんでしたが、今回はクリーンヒット!
ホッとしました。

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お気に入りその1080~鬼平犯科帳パート82

2015-07-11 12:43:48 | 鬼平
今回のお気に入りは鬼平犯科帳パート82、原作第7巻です。

諸事情により読み返している鬼平犯科帳。
今回はその第7巻。
収録作品は次の7作品。

雨乞い庄右衛門/隠居金七百両/はさみ撃ち/掻掘のおけい/泥鰌の和助始末/寒月六間堀/盗賊婚礼

「雨乞い庄右衛門」
心の臓が悪い盗賊の頭をひょんなことから助けた左馬之助。
それをきっかけにして盗賊たちの捕縛に功績を残します。
褒美はいらぬ、という左馬之助に、何でもいってみよという平蔵。
平蔵の愛刀を所望され、あわてる平蔵と笑い出す久栄。
神経の張りつめたシーンが多い鬼平シリーズの中でオアシスのような作品です。

「隠居金七百両」
親分の隠居金を託された右腕の老人が隠し場所を語らずに亡くなります。
その後数か月もの間、平蔵の物思いにふける姿が目撃されます。
そしてある日、寺の床下を掘ってみよ!との号令の元、掘り出された隠居金。
その老人の気持ちになって考え続けたとはいえ、平蔵の推理に舌を巻く与力たち。
ここまでスーパーマンにしなくてもいいのに、と思いますが、みなさんはいかが?

「はさみ撃ち」
盗賊を隠居した老商人のところに盗賊が狙いを定めます。
老商人の番頭は盗賊時代から右腕だった老人。
元盗賊二人に撃退された現役の盗賊たちは、退散する間もなく平蔵たちに捕縛されます。
老商人たちの正体に気づきながらも、見逃す平蔵。
血を見ないまったりとした作品で心地いいです。

「掻掘のおけい」
五郎蔵に助けを求めた若き盗賊。
年季の入った女盗賊に遊び道具にされています。
一味を一網打尽にしたあと、五郎蔵を頼ってきた若き盗賊を目こぼしする平蔵。
その温情に涙する五郎蔵。
鬼平チームの固い結束はこういうところから生まれるといういい例です。
平蔵と密偵が絆を強めるシーンは、社会人必読のテキストではないでしょうか。

「泥鰌の和助始末」
息子のかたき討ちをたくらむ盗賊、和助。
本格のおつとめのはずが、仲間が横取りをもくろみ、和助たちは殺されます。
和助が盗み出した証文や大福帳を破り捨て川に流したことで、数年後に息子の敵である商家は倒産します。
和助はあの世でそのことを知り喜んだことでしょう。

「寒月六間堀」
笹やのお熊が登場します。
若き日の平蔵とお熊のエピソードはいつ読んでも楽しいです。
20歳そこそこの平蔵の寝床に45歳のお熊が忍び込み平蔵が逃げ出すという話は、鬼平シリーズで最高に笑えるエピソードではないでしょうか?

この巻もお気に入りの作品が多かったです。
さて次の巻はどうかな?






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お気に入りその1079~蜩ノ記

2015-07-09 12:29:56 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、蜩ノ記です。

映画DVD「蜩ノ記」を観ました。

葉室麟の原作を小泉堯史監督が映画化したものです。
先に結論を申し上げますが、映画は原作の素晴らしさを十分映像化できていないと思いましたので、星3.5。
原作は、背筋がピンと伸びるような主人公の清廉潔白な生き様を伝え、彼の死に様により息子や義理の息子たちが彼と同じ正義の道を歩むであろうという明るい未来を予感させて終わります。
わずか2時間の映画でそれを伝えることは難しいことでしょう。
しかし大岡昇平著「ながい旅」を映画「明日への遺言」に昇華させた小泉監督ならもしや?とつい期待してしまいました。
ただ「蜩ノ記」の映画化という困難な事業に挑戦した監督の意欲はあっぱれで、これからも挑戦する姿勢を貫いてほしいと願っています。
※小説「蜩ノ記」「ながい旅」、映画「明日への遺言」については以前書きましたのでここでは省略します。

配役は役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子。
確かにベストの布陣だったと思います。
ただし私が一番注目したのは家老役の串田和美。
身内をして信用できぬと言わしめる家老だが、策を弄するだけの卑怯者ではないことをラスト近くで見せます。
これは主人公をライバル視して生きてきたことがバックボーンにあります。
その複雑な人物像を串田は見事に演じていました。
朝ドラ「おひさま」で気のいいそば屋のお父さんを演じていた同一人物とは思えない演じぶりでした。
こういう手堅いバイプレイヤーを配役した担当者もお見事!




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