鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1680~スラムダンク

2018-09-29 12:41:46 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、スラムダンクです。

久しぶりに名作「スラムダンク」を読みました。
全31巻、日々驚異的なスピードで成長するバスケットマン・桜木花道の姿をたっぷり堪能しました。
本人の真剣さを楽しく伝える、ゴリ・野ザル・丸ゴリ・やまおう等のネーミングもインパクトがありました。
余りに面白いため睡眠時間を削ってまで読んだこともありました。

この作品の良い所は、スパッと終わらせたことです。
「ドラゴンボール」に代表される、潔く終わらせずに引っ張るにいいだけ引っ張った作品に比べ、実に格好いいです。
全国で一番強いチームを倒し、次の試合であっさり負ける。
そして後日談を少々。
これだけを描いてあっさり終わらせる潔さ。
作者の美学ですね。
スラムダンクの連載終了は出版社にとって大きな痛手だったでしょうね。

連載が終わって20年以上経っていますが、古さを感じさせない、まさしく名作です。
元AKBの高橋みなみさんが「スラムダンクが大好き」と言っていて、テレビに向かって「そうそう」とうなづいたこともあります。
きっと今後もバスケットボール・マンガの金字塔として、世代を超えて読み継がれていくことでしょう。

今は妻が読み返しています。
居間のテーブルの上に前半の15巻ほどが置かれています。
先日泊っていった義理の息子はこれまで通して読んだことがなかったそうで、熱中して読んでいました。

小説などはジャンルの好みや文章の相性があり、夫婦でも共通のお好み作品というのはなかなかありません。
でもマンガはお好み作品が結構重なるものです。
「陰陽師」「ごくせん」「JIN-仁-」「動物のお医者さん」「笑うセールスマン」・・・
まだまだあったはず。
今度また妻が勧めるマンガを読もうかな。
最近勧められたのは「動物のお医者さん」の佐々木倫子が描いた「チャンネルはそのまま!」。
北海道のテレビ局が連続ドラマにするそうですから、タイムリーです。
きっと「動物の・・・」同様にお気軽なマンガでしょう。
疲れた頭をリラックスさせる効果を期待して読みたいと思います。

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お気に入りその1679~太田洋愛

2018-09-27 12:20:33 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、太田洋愛です。

日本のボタニカルアートの先駆者である太田洋愛の作品がたっぷり楽しめる本を入手しました。
1973年発行「原色図譜 園芸植物」です。
著者は浅川英一、植物画を描いたのは二口善雄と太田洋愛。
本書には何種類の植物が掲載されているかの記載がありません。
530ページにわたり描かれた植物画は1ページ3種類として1600種ほどのようです。
制作には3年を要したそうです。
その半分ほどを太田洋愛が描いているとすると800種ほどの植物画を鑑賞したことになります。

著者の浅川氏が前書きで「写生図の価値」について書いている文章を引用します。
=====
最近は原色図譜といえばほとんどカラー写真図譜となっているが、本書は画家の手になる写生図をもって一貫した。
カラー写真の技術が著しく向上した今日、写真図譜の価値も十分認められるが、肉眼というカメラを通して紙上に写した写生図が持つ意義と価値もまた大きい。
写生図は写真でとらえることのできないディテールや色をよく表しており、本書の特徴でもあり誇りでもある。
写生図は植物画の二口善雄、太田洋愛両氏の手をわずらわせたものであり、世界に人に日本にこの植物画家ありと誇示できる次第でもある。
二口氏の豪快なタッチで実物を浮き彫りとしながらいささかのごまかしもない迫力ある描きぶりであり、太田氏はデリケートな線で植物の美しさを如実に表現している・
=====

素人目にも太田氏と二口氏の違いは明らか、と言いたいところだが、一部区別のつかないものもありました。
特にツヤのない花、観葉植物などは不得意なのか、多少タッチが粗い二口氏の植物画と区別がつきませんでした。
すべての植物画に画家のサインが入っており、二人のタッチを比較することができたことに助けられました。

私には花を愛でる趣味はありませんが、画家が心血をそそいで描いた植物画の美しさには惹かれます。
学者が認める正確さを保持しつつ、独自のタッチに乗せて美しさを表現する。
大航海時代に未知の世界を巡り、未知の動植物の細密な写生図を描くことで、人々にその感動を伝え続けた画家たちがいたことを思い出します。
科学と美術が見事に融合した良き時代でした。
今回鑑賞した原色図譜はその最後を飾ったものかもしれません。

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お気に入りその1678~ワイエス

2018-09-25 12:53:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ワイエスです。

今年原田マハの「モダン」を読んだことで、これまで関心がなかったモダンアートに興味を持つようになりました。
その後はニューヨーク近代美術館(MoMA)展図録を鑑賞したり、「美の巨人」の影響でホッパーの図録を鑑賞したりしていました。
今回は「モダン」に登場して強く興味を持った「クリスチーナの世界」を描いた画家の図録を鑑賞しました。

本書は1995年に愛知県美術館などで開催された「アンドリュー・ワイエス展」の図録です。
副題は「アンドリュー・ワイエスの魔力、神秘、そして真実」。
20年以上前の図録ですが、折れや傷、焼けがなくとてもきれいです。
思っていたより分厚くて、すべての作品がカラーで掲載されています。
なにより驚いたのは作品ひとつひとつに画家のコメントが添えられていること。
こんな贅沢な図録は初めてです。
正にお宝、掘り出し物です!

例えば表紙にもなっている「遠雷」を描いた背景について、画家は次のようにコメントしています。
=====
妻がブッラクベリーを摘んでいる姿を描こうと思って何枚もスケッチしたが、どこの誰でも良いような構図にしかならず困っていた。
気が付くと妻は草原に寝そべり、気持ちよさそうに眠っていた。
横にはブラックベリーがいっぱい入ったかごが置いてある。
遠くの雷鳴が聞こえた。
少し離れた草の中で休んでいた犬が顔を上げ、耳を澄ませた。
妻の顔の上の帽子は、バランスを考え描き足した。
=====

一枚の絵を鑑賞しただけでは読み取れない画家の構想や制作過程が見えてきて実に興味深いです。
こんなコメントが142作品分も読めるなんて贅沢すぎです。
ただまるで新発見のように書いていますが、20年以上も前の図録のことですから、美術好きの間では周知の事実だと思います。
もし他にもこんな贅沢な図録があることをご存知の方は、ぜひお教えください。
楽しみを広げるため、よろしくお願いいたします。

他にも作品についてのコメントが印象的だったものをいくつかご紹介します。

「マカの娘」 ~ 妻ベッツィを描いている。
 「クエーカー教徒の帽子と涙のように素晴らしいリボン、そして上気した頬」というコメント。
 「涙のように」という表現にしびれます。

「ブラックベリーの小枝」 ~ 見事な細密技法ほれぼれ

「乙女」 ~ シリ15歳
「奴隷収容所」 ~ 黒人女性
「そよ風」 ~ シリ
「膝をついて」 ~ ヘルガ
 この4作品はすべて女性のヌードを描いている。
 「画家が疲れても叱咤激励するくらい熱心なモデルでないと描き続ける意欲が湧かない」
 というコメントがあり、ヘルガが長年にわたりモデルをつとめた理由を明快に述べている。

「ローデンコート」 ~ 雪道を歩くヘルガの後ろ姿
 全身に力を込めて歩く姿に、画家を叱咤激励するモデルを感じる。 

「エリクソン家」 ~ シリの父とストーブが見事な細密描写で描かれている
 本当はシリと父をモデルにする約束だったがシリが出かけてしまったそう。
 ヘルガとの違いが決定的になった作品ともいえる。

「鯨のあばら骨」 ~ 白い波頭と鯨の骨がとても印象的

本当は「家と風景」だけを描いた作品がとても多かったのですが、そういう古き良きアメリカの田舎風景に対して全く郷愁がわかなかったので何の感想もありません。
ワイエスはアメリカン・リアリズム絵画を代表する作家としてアメリカと日本で高く評価されていますが、ヨーロッパでは展覧会さえ開催されたことがないそう。
このように評価が真っ二つに分かれることこそ、モダンアートの証かもしれません。

ちなみに図録の最後のページに「おわび」と題された紙片が挟まっていました。
そこには「この度の阪神大震災の影響で兵庫県立美術館での開催は中止しました」と書かれていました。
そうですか、1995年ってあの年だったのですね。
神戸の街が燃えて6000人を超える方が亡くなった大震災。
今月6日に私も札幌で大きな地震と40時間の停電を経験しましたが、比較にならないくらい軽く済んだことは幸運でした。
本書とは、このタイミングで23年の時を超え「地震」というキーワードでつながりました。
偶然とはいえ不思議です。


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お気に入りその1677~小樽芸術村図録

2018-09-22 12:46:26 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、小樽芸術村図録です。

小樽芸術村で浮世絵展の後期展示を鑑賞したときに、似鳥美術館とグラスギャラリーの図録を購入しました。
前期展示と似鳥美術館とグラスギャラリーを鑑賞したときに購入し忘れて後悔していた図録です。
ニトリの似鳥会長が地元のために展示公開してくれている美術品の数々。
美術館でも滅多にお目にかかれない有名作家の名品がたっぷり常設展示されています。
今回あらためて図録で復習しました。

まずは「アールヌーヴォー・アールデコ・グラスギャラリー」の図録。
冒頭に似鳥会長のあいさつ。
=====
小樽が栄華を誇った20世紀前半に建造された美しい建物を会場としてその当時の美術品を展示公開している。
=====
ナルホド。
勉強なったことが一杯あったので、自分のために記録に残したいと思います。
・アールヌーヴォーとは、新しい美術の意、1900年の美術。
・アールデコとは、装飾美術の意、1925年の美術。
・1880年代から1930年代までのグラス工芸50年間の変遷。
・特に電気が家庭に普及し始めた1900年のパリ万博から、ガラスの美しさを最大限に引き出す作品が次々発表された。
・代表的な作家はガレ(ガレ工房)、ドーム兄弟、ラリック、ワルター、アージー・ルソーなど
・それぞれが活躍した時代がわかる年表つき
・ガラス技法16種類が解説されている
 カメオ彫・エナメル彩・被せガラス・アプリシオン他

個人的に気に入った作品は、ガレの日本画を模した花器とワルターのカメレオン文トレイ。

特別な作品は個別で展示していますが、それ以外は小さな部屋に林立して展示しています。
窮屈なのは会場の広さに対して作品数が多すぎるからでしょう。
360度から鑑賞できるとはいえ、この扱いは残念。
図録でも大部屋の作品群は省略されています。
どれも100年ほど前に制作された美しい作品なのにもったいないと思います。

ちなみに図録の価格は740円(税別)。
内容の割にお買い得だと思います。
グラスギャラリーを見学された際はお買い求めされることをお勧めします。
アールヌーヴォーとアールデコの基本を知るためにとても役立ちます。

次に似鳥美術館の図録をご紹介します。
こちらも926円(税別)とお買い得。
ただグラスギャラリーの図録とは違い、展示作品のほとんどを紹介していました。
冒頭でひとつ勉強になったことがあったのでご紹介します。
「美術」という言葉は、1873年のウイーン万博のときに訳語としてつくられたそうです。
このように訳語が次々生み出されたのが、開化の時代だったのですね。

この美術館は各ジャンルの開祖をもれなく蒐集しており、それぞれを解説しています。
日本画は、横山大観・下村観山。
日本洋画は、黒田清輝・梅原龍三郎・岸田劉生。
木彫は、高村光雲。
まさに超一流の布陣です。

さらにその後の日本美術を代表する作家たちの作品が続きます。
美人画は、上村松園・鏑木清方・伊藤深水。
日本画は、東山魁夷・加山又造・川合玉堂・片岡球子。
版画は、棟方志功。

おまけにルノアール・ユトリロ・ビュッフェなどもあります。

解説文は作家の生涯と作品の解説を手短に書いています。
ただし同一作家で複数の作品を展示している場合は、残念ながらひとつふたつしか解説していません。
すべての作品の解説を読みたかったです。

また図録では省略されている作品があることに気づきました。
見事な牛の木彫で実物を目にしてとても気に入ったのですが、あれが誰の作品だったかさえわからずとても残念。

ちなみに似鳥さんは岸田劉生がお気に入りなのでしょうか?
岸田の作品を図録の表紙に使っていますが、私とはどうも趣味が合わないようです。




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お気に入りその1676~豊平峡ダム

2018-09-21 06:24:34 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、豊平峡ダムです。

先日久しぶりに豊平峡ダムに行ってきました。
久しぶりといっても30年も前に行ったきりですので、ほとんど初めて行ったと言っても良いくらいです。

大地震と長期停電により心身ともに疲れたので緑が一杯のところに行きたい、と妻がいうのでここを選びました。
もしかしたら紅葉が始まっているかもという期待と、観光客が激減した今だからこそゆっくり観光できると考えたことが選んだ理由です。

札幌の方は百もご承知でしょうが、市外の方に簡単に場所や施設、景観などをご紹介したいと思います。

札幌の奥座敷・定山渓温泉を通り過ぎて間も無く青看板を左折し、坂を上った頂上にダムがあります。
駐車場で車を降りて、ハイブリッド電気バスに乗り換えてダムに到着。
まず資料館を見学しましょう。
なぜダムが作られたかとか、このあたりの自然環境や地質学的な歴史などが丁寧に紹介されています。
今回初めて知りましたが、昭和36年と37年に札幌で洪水があり、その対策としてダムが計画され、昭和42年に着工、昭和47年に完成したそうです。
昭和47年といえば札幌オリンピックが開催された年。
この年は地下鉄の運行も開始しました。
思い起こせば札幌の近代化が一気に進んだ年でした。

展示物によると豊平峡ダムは洪水防止・水源確保・発電の3つの役割を担っているそうです。
そういえば昭和47年以降、上水道・下水道の普及が急ピッチで進んだことを思い出しました。
春の雪解け水と秋の台風により一気に増水する豊平川を上手にコントロールする札幌の大切な水がめ、それが豊平峡ダムだったのです。

展示されていた膨大な昆虫標本もたっぷり堪能しました。
とても小さな蝶には定山渓の名がついていたので、ジョウザンシジミかジョウザンミドリシジミでしょう。
また信じられないくらい小さなクワガタなども展示されていてとても面白かったです。
昆虫好きの子供たちは喜ぶでしょうね。

資料館を出る前に受付の方に声をかけ、ダムカードをもらいましょう。
全国のダムで発行しているカードで訪問の記念になります。

続いて観光放水を見学しましょう。
ダムの天端を歩き、観光放水を真上から覗きました。
高いところが苦手な妻は可笑しいくらいに腰を引いて必死にのぞき込み、スマホで撮影していました。
あんなに怖くても撮影はしたいのですね。
残念ながら薄曇りだったため虹は出ていませんでした。
レストハウスの横の展望台は、地に足をつけた状態でダムと放水を見ることができるため、高いところが苦手な方にもお勧めです。

こうしてダム見学は終わりましたが、最後にダムに行く途中に立ち寄った豊平峡温泉について触れたいと思います。
随分古そうな温泉施設です。
すぐ近所に定山渓温泉があるため、わざわざ入浴しに来る人は少なそうです。
でもここには定山渓温泉にない名物があります。
インドの方が作る本格カレーを堪能できるのです。
あまりに場違いな上、ろくに看板も出ていないのですが、昼時にはたくさんの人が訪れます。

観光とグルメ。
お近くをお通りの際はぜひお立ち寄りください。
紅葉のシーズンは特にお勧めですよ。






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お気に入りその1675~デロール

2018-09-18 12:50:16 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、デロールです。

先日AMAZONで「デロールの理科室から ~美しい掛図と科学考察~」という面白そうな本を見つけました。
内容紹介は次の通りです。
=====
驚異的な博物学的コレクションをもとに剥製やアート作品を手がけ、アーティストや蒐集家より絶大な支持と評価を集めるパリの老舗デロール。
本書はデロールが手がけていた学校用掛図のコレクション集。
学者よる科学考察も必見。
【目次】
 序文/最初の動物/3 億~ 4 億年前から生息している植物たち/鱗翅目の豊饒な世界/
 絶滅の危機に瀕している霊長類/定説の15億年前にさかのぼる複雑な生命の出現/
 血管の生成過程/飛躍的な発展/鉱物は問いかける、など
=====
世界中を魅了する、美しい掛図80点。
20世紀中頃まで世界各国の学校教材として使われてきたデロールの掛図。
本書では、生物学、植物学、昆虫学、動物学、古生物学、解剖学、物理学、化学、鉱物学、地質学と、分野ごとにまとめたコレクションを、フランスをはじめ世界の第一線で活躍する科学者の最新レポートとともに紹介します。
=====

いくつかの掛図をアップで見たところ、素朴で正確そうな掛図に科学的で短い文章が添えられています。
ページ数は240もあるそうですので、掛図と文章をどちらもたっぷり楽しめそうです。
でも4000円もするので迷っています。

そもそも「デロール」って何?
AMAZONで「デロール」を検索すると別の本が出てきました。
今森光彦著「好奇心の部屋 デロール」という写真絵本。
内容紹介は次の通りでした。
=====
フランスの首都パリの、とある大通りに面したショーウィンドーを見ると、なんとそこにはライオンが! ?
その家の中に入ってみると、ほかにも動物の剥製や昆虫標本、化石や鉱物などがいっぱい!
このふしぎな場所「デロール」は200年近く前から、訪れた人の好奇心をくすぐり続けてきました。
なぜ、こんな場所が生まれたのでしょう?
なぜ、デロールは200年も人々の好奇心の対象なのでしょう?
さあ、一緒にデロール探検に出発!
=====

この内容でも「デロール」って何かはわかりません。
ただ「好奇心の部屋 デロール」はデロールを写真で案内してくれているようなので、こちらから読むことにしました。
つい先日、南方熊楠で失敗しているため、入門編から入ることにしたのです。

そして本書を読み終えた今、デロールのことが少しわかりました。
デロールは博物学的な商品を展示販売するお店なのです。
200年ほど前に開店したころは、学校に理科の実験用具などを販売していたそうです。
今では動物のはく製から昆虫や鉱物の標本までを所狭しと展示して販売しています。
まるで生きているようなライオンやシマウマなどのはく製の間を通り、1階と2階を見て歩く子どもたちの楽しそうなこと!
いえ大人だって楽しいに決まっています。
一度経営が傾いたそうですが、多くの人々が手を差しのべて救ったそうです。
こんなお店がもし近くにあったら、私も手を差し伸べます。

パリに行くことがあったら、ぜひ立ち寄りたいです。
さて冒頭に書いた「デロールの理科室から ~美しい掛図と科学考察~」はどうしましょうか?
「デロールが手がけていた学校用掛図のコレクション集」ということですので、博物学的な好奇心を満たしてくれる掛図をたっぷり楽しめそうです。
図鑑と博物画が大好物なのでヨダレが出ます。
やっぱり買おう!
そう決めました。
届くのがとても楽しみです。







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お気に入りその1674~小説・寺内貫太郎一家

2018-09-16 17:43:10 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、小説・寺内貫太郎一家です。

先ほど女優・樹木希林が亡くなったというニュースが流れ驚きました。
全身ガンを表明して5年経っても活躍し続けていたので油断していました。
代わりのいない個性的な名脇役がまたひとりいなくなってしまいました。

偶然ですが今回読み終えたのが向田邦子著「寺内貫太郎一家」。
樹木希林のお婆ちゃん役が見事だったテレビドラマのノベライズです。
あのドラマの役作りのために彼女は髪を脱色し、歯をすべて抜いたと聞きました。
恐るべき取り組み姿勢でした。
ご冥福をお祈りします。

さて「小説・寺内貫太郎一家」について。
先日、久しぶりに小説を読もうと思い、未読の棚をながめました。
北海道地震の影響で心身にまだ疲れが残っているため、あまり重たいものはやめにして軽いものを選びました。
「寺内貫太郎一家」なら分厚いですが、伝説的なドラマだったのでおおよその筋は知っており、安心して読むことができました。
本書の書かれた背景などの情報があるかもしれないと思い、解説から読みました。
解説を書いたのはこのドラマのプロデューサーだった久世光彦。
脚本の向田邦子と二人三脚でテレビ界を引っ張った久世光彦ですから面白い解説でした。
まずは「寺内貫太郎」という名前をひねり出したエピソード。
「墓地で名前を見て歩き思いついた」といって「寺内貫太郎」の名をメモらせてすぐに向田は電話を切ったそうです。
久世は「それはきっと嘘だろう」と書いています。
実際は太平洋戦争の資料から海軍大将と陸軍大将の二人から名字と名前をいただきつなぎ合わせたのだろうと推測します。
仲の良かった二人ですからそれが真実なのでしょう。
石材店を舞台にしたドラマだから、それっぽいエピソードを作ったというところでしょうか。

またゴールデンタイムのドラマなのに「墓石が出てくる」「身体障害者が出てくる」「ド素人が主演」ということで局が難色を示す中をゴリ押しで通したスタートだったというのも面白いエピソードでした。

小林亜星が主人公を演じることに大反対した最先鋒は脚本家の向田でした。
自らの家族をモデルにしたドラマの父役が小林亜星では納得いかなかったのです。
最終手段として坊主頭に腹巻、半纏の姿をさせてやっと了解を得たそうです。

さて小説自体の感想を少々。
向田の実に読みやすい文章のおかげでサラサラっと読みつつ、何度も感動して涙を流しました。
東京の下町に暮らす一家の温かな人情に触れたからです。
心が震えるシーンの多かったこと。
子どもの頃にドラマで観たシーンのままですが、大人になって人情の機微が判るようになったからでしょうか?
心洗われた素敵な小説でした。
心が疲れたらまた読みたいと思います。


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お気に入りその1673~南方熊楠

2018-09-14 12:20:57 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、南方熊楠です。

南方熊楠について知りたくていろいろ検討した結果、水木しげるの「南方熊楠の生涯 猫楠」を読みました。
もう一冊、小学生向けの伝記シリーズも検討したのですが、「猫楠」の解説文を荒俣宏が書いているということが決め手となりました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
博物学・民俗学・語学・性愛学・粘菌学・エコロジー…広範囲な才能で世界を驚愕させた南方熊楠。
そんな日本史上最もバイタリティーに富んだ大怪人の生きざまを描く。
=====

読後一番の感想は、本書を選んで失敗だったかな?、ということ。
熊楠について知りたかっただけなのに、基本的で判りやすい紹介がされていません。
やたらとドラマチックに描かれていることと、水木しげるのストーリー展開が判りづらいことが原因のようです。
どうやら本書は熊楠のことをおおかたわかっている人が読むものであり、私のようなものは小学生向け伝記シリーズで基礎を学んでから読んだ方が良かったようです。
ということで順番が逆になってしまいましたが伝記シリーズを読もうと思います。
そうでなければ「猫楠」で描かれていることのどこまでが真実でどこからがフィクションなのかが判りません。
解説で荒俣氏は熊楠のことを「理性界と幽冥界の両方に深く関わる大妖怪」と書いています。
大妖怪・熊楠のことを現代の大妖怪・水木しげるが描いたのですから凡才には理解が及ばないのは当然でしょう。
基礎を固めてから再度読みたいと思います。
AMAZONのレビューは評価が高かったんだけどな・・・。
レビューを書いた人たちは熊楠について基礎知識を持った上級者ばかりだったのかもしれません。

読書は当たりばかりではなく外れることもあります。
今回は潔く出直しとします。
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お気に入りその1672~世界が感動する日本の「当たり前」

2018-09-12 12:20:20 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、世界が感動する日本の「当たり前」です。

大地震と全道停電の対応に疲れ果て、しばらくは読書どころではありませんでした。
まだまだ入手困難な食品・物品が多いですが、それでも少しずつ平常の暮らしを取り戻しつつあります。
地震前に読み終えかけていた本を昨日からまた読み始め、本日読み終えました。
またいつも通りにブログを書くことができる幸せを感じています。

本書の著者は、サンマリノ共和国の駐日大使マンリオ・カデロ。

まずはAMAZONの内容紹介をお読みください。
=====
駐日大使の「トップ」が語る新日本論
駐日大使154人の代表、駐日外交団長となって7年となる著者は、日本人以上に日本への造詣が深い。
母国サンマリノ共和国に伊勢神宮由来の神社が創建されたこと、また『ニッポンまつり』を毎年開催できることを「光栄なこと」と喜ぶ。
20年に一度行われる伊勢神宮式年遷宮の儀にも招待されるなど、外国人でありながら日本の文化や精神性に精通している。
駐日外交団長として天皇皇后両陛下へ拝謁する機会も多く、毎年12月の天皇誕生日「茶会の儀」では大使の代表として祝賀スピーチの大役を仰せつかっている。
著者は、日本人が「当たり前」に思っている事象の中に「日本の真価」を見いだす。
そして、世界を魅了し続ける日本の文化、精神性、神道、観光資源を外交官の目で分析し、建設的な意見を提言。
そして、2020年4000万人インバウンド時代に向け、日本がもっと自信を持つよう勇気づける。
世界初の大使館や大使についての歴史、外交官の使命、駐日外交団の役割など、知られざる外交官の仕事についても明らかにする。
本書は 「日本の『当たり前』は世界では素晴らしいこと」と語る親日外交官による新日本論である。
=====

本書は親日家の代表ともいえる方が書いているので話半分にしておこうと思いつつ読みました。
それでも人間、褒められるとうれしいものです。
以前、竹田恒泰著「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」を読んだときには半信半疑だった部分を信用してもいいのかな?と考えつつ読み進めました。
TVの「そこまで言って委員会」の過激な舌鋒で相手を蹴散らすパフォーマンスから、どこまで信用して良いか判らなかったのです。

●第1章 世界が求めている神道の精神

「神道」といっても宗教として信心しているという訳ではありません。
お天道様に恥ずかしい振る舞いを嫌う、という程度の意味です。
著者は、神道の精神から生ずる日本人の行動として次のような例を挙げています。
=====
日本では財布を落としたら後ろの人が教えてくれる。
また例え後ろに人がいなくても財布の7割は交番に届く。
そんな国は他にはない!
=====
道端にゴミが落ちていない。
世界中で街がこんなにきれいなのは日本とシンガポールだけ。
ただシンガポールは高額な罰金制度をもうけることでそう仕向けている。
日本はお天道様に恥ずかしいのでゴミを道端に捨てないという精神性からくる点が大きく違う。
=====

例に挙げていませんでしたが、災害発生時の国民の冷静な対応も日本人らしいといわれています。
今回の北海道の地震でも、ガソリンを求めてスタンドの開店1時間以上前から長蛇の列でした。
スーパーやコンビニなども同じ。
列を乱さず、文句も言わずに並ぶ姿はまさに日本人。
社会的ルールを尊ぶ国民性は実に誇らしかったです。
さらに今も続く電力不足の中、道民と企業が節電に努める姿も『世界が感動する日本の「当たり前」』だと思います。

●第2章 それでもMade in Japanは尊敬される

本田宗一郎のポリシーが紹介されています。
ホンダの工場の作業服は白。
きれいな車を買ってもらうためには、汚れの目立つ白を着て細心の注意をして作業をすることが大切。
この姿勢は確かに尊敬されますね。

以前、ブリヂストンの創始者・石橋正二郎について読んだことがあります。
時は太平洋戦争の最中。
南の島で米国・ダンロップの工場を接収した日本軍は石橋にその運営を任せました。
その後、島を撤退することになり、軍から工場の破壊を指示されたが、石橋は技術者としての矜持から十分に手入れをしてから撤退したそうです。
戦後になり日本を訪れたダンロップは、石橋を業務提携の相手として指名したそうです。
この逸話も「Made in Japan」の品質の高さがどこからくるのかを教えてくれます。

日本国内で販売されている製品には英語表記が少ないという指摘はナルホドと思いました。
ミネラルウィーターだと思って間違ってワンカップを買ってしまった例や、薬局で風邪薬を見つけられなかった例からメーカーに申し入れをしたそうです。
伊藤園は著者のアドバイスに従い「おーい お茶」シリーズにgreen teaなどの表記を加えたところ売り上げが伸びたということも紹介しています。
海外からの観光客が年々増えているのですから、著者のこのアドバイスはメーカーにとってまさに天啓のようなものでしょう。

第3章の日本食の話も面白かったですが省略します。
最後の章は外交官の役割について書いてあり、本書の主題とは違うのでこれも省略。

今回、本書を読んでいる最中に被災し、あらためて本書で称えられている『世界が感動する日本の「当たり前」』を実感できました。
偶然とはいえ良い経験でした。





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お気に入りその1571~北海道胆振東部地震2

2018-09-10 05:55:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回も「お気に入り」の紹介ではなく、先日発生した北海道胆振東部地震について書きます。

土曜まで地震の後処理をしたため昨日の日曜は家でグッタリしていました。
前から予定していた町内古紙回収が予定通り来たので古紙を出した以外は家から出ませんでした。
夕方足りないものを買いにスーパーに行きました。
途中にあるガソリンスタンド2店の内1店は閉めていました。
長時間停電の影響でガソリンが届かなかったのでしょう。
またコンビニ2店はどちらも閉まっていました。
商品が入荷しないためでしょう。
ほか弁は営業していました。
通常メニューはなく数種類を作って販売していた、と前日この店を利用した人から聞いていたので同様でしょう。

スーパーの駐車場はいつも通りの混み具合でした。
店内に入ると商品の少なさは明らかで、まだまだ停電の影響から回復していないことを実感しました。
野菜・果物は半分ほどの棚が空。
牛乳・アイスの棚はすべて空。
インスタントラーメンの棚も空でした。
他の棚はのぞかず、必要なものを買ってサッサと帰っていました。

発電所の修理が長引くとの発表から計画停電の可能性があります。
地震後1週間は同程度の余震が発生する可能性があります。
まだまだ平常を取り戻していません。
でも人と家と職場に被害がなかったので何とかなるでしょう。




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