鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその202~竹鶴政孝66

2007-02-27 09:31:41 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート66、壽屋「白札」です。

先日、国産初の本格ウイスキー「白札」をサントリーが復刻していたことを知り、急ぎ入手し味わいました。ボトルデザインばかりか味わいまでも再現した、という言葉に興味深々。
敬愛する竹鶴政孝が手掛けた日本初の本格ウイスキーを一刻も早く味わいたくてたまりません。

さぁ届きました。
丁寧な何重もの包装を雑に取り去り、早速味わいました。
第一印象はというと・・・拍子抜け、です。
ピート香が効き過ぎていて売れなかった・・・という伝説の国産本格ウイスキーの第1号。「ピュアモルトブラック」のような若くてピーティといったハードなイメージをもって臨みましたが、案外スムーズ・・・予想をはるかに越える飲みやすさ美味しさ。
ストレートでちょっとだけ味見するつもりがスムーズに一杯空けてしまいました。
続いてトゥワイスアップ。ストレートでスムーズなウイスキーは当然ながらトゥワイスアップでは軽すぎ。
「白札」が発売された時代にはモルトウイスキーをブレンドするための良質のグレーンウイスキーは存在しませんでした。そのためグレーンウイスキーでブレンドした復刻版の味わいは当時のものよりずっとまろやかに美味しくできてしまっているはずです。
そういう判断を含めた上で考えました。
当時はストレートが当たり前の時代。鳥井と竹鶴は本場のスコッチに相当近づけた感触を持って「白札」を世に送り出したと思います。しかし残念ながら日本人の舌がイミテーションしか認めない時代だったため、売れなかった。
このことが鳥井信治郎と竹鶴政孝が別かれた原因になったのではないでしょうか。
つまり売れぬなら売れる企画をするまで・・というサントリーと、売れぬならもっと美味しく・・・というニッカと。
「水割り」という日本文化を作り、日本人の舌をイミテーションから徐々に本格ウイスキーへと慣らしていく役割を担ったサントリー。不器用にひたすら美味さを追い求め、永い時間をかけスコッチを凌駕するウイスキーを造り上げたニッカ。
ライバルとして違う道を歩んだ2社が育てたジャパニーズウイスキーは、余市のシングルカスクが本場で認められたのを境に、次々世界一の称号を得るに到りました。

なんてことを考えながら、飲む一杯は最高です。
ちなみに今探しているのは「サントリー角瓶」の1937年発売当時の復刻版です。
70年間国民に親しまれてきた「角サン」は、当時12年もののモルトを使ったウイスキーとして発売されました。当然竹鶴が仕込んだモルトでした。当時の雰囲気を早く味わいたいものです。
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お気に入りその201~竹鶴政孝65

2007-02-24 10:26:59 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート65、「デザイナー佐藤卓④(最終回)」です。

佐藤卓さんのトータルプレゼンにより誕生した「ニッカ・ピュアモルト」。
ニッカにとって重要な分岐点になったウイスキーの誕生秘話の最終回をご紹介します。

<エピソード4>
今回佐藤さんはピュアモルトの商品デザインについての「意味や理由」をいろいろ語ってくれましたが、それらの多くは佐藤さんにとって「今だから言える話」だったそうです。
当時はその斬新な商品デザインが世の中に通用するかどうかがまったくわからなかったので言えなかったのです。
さらに当時プレゼンの途中で広告代理店を退職していたので、もしまるで売れずに大失敗したらごはんを食べられなくなるんじゃないか、という心配もあったそうです。

しかし・・・実際にピュアモルトが世に出ると、モルトウイスキーというものがそれまで一般に出回っていなかったものだから「ニッカウヰスキーはどうしたんだ?」と大きな反響がありました。
ニッカウヰスキーは、それまで「知る人には評判がいい、地味な会社」でした。
ピュアモルトが出たことで他のウイスキーも売れるようになったそうです。
ひとつの商品が会社のイメージまでも変えるということを、佐藤さんはその時はじめて体験したそうです。そして「ひとつの商品がその会社の顔になる」ということも・・・。

当時、本場スコットランドでさえ「ごく一部のマニアにしか注目されない」といわれていた「シングルモルトウイスキー」に着目し、シングルモルトウイスキーやピュアモルトウイスキーを生かすための商品デザインでニッカ躍進の分岐点になった「ピュアモルト」の誕生秘話・・・いかがでしたか?
マニアックな内容でしたから読んだ方のほとんどにはどうでも良い話だったと思いますが、書いた本人はとても満足しました。
   (おわり)

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お気に入りその200~竹鶴政孝64

2007-02-22 09:15:25 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート64、「デザイナー佐藤卓③」です。

佐藤卓さんのトータルプレゼンにより誕生した「ニッカ・ピュアモルト」。
ニッカにとって重要な分岐点になったウイスキーの誕生秘話の続きをご紹介します。

<エピソード3>
パッケージは中身を反映するものであることから、中身のウイスキー同様あまり演出されていないもので統一しました。
① 外箱
横開きの箱にして、お客さんとボトルが正面から向きあえるようにしました。
ボトルのクビをつかんで上から引き出す姿が美しくなかったので・・・。
② 説明書き
「ピュアモルトはこんなふうに作られています」という説明書きを大判の紙で作ってボトルの横に入れておきました。この紙でボトルを包んで贈り物にするとオシャレだよ、という想いを込めて・・・。
③ ボトル
20数年前は核家族化がすすんできた頃でした。多様化する家族形態。和風、洋風、好みもいろいろ。そういう好みに囲まれた部屋になじむためにはボトルの個性はおさえたほうがいいのではないかと考えました。
「飲んだあと、また使える」というコンセプトのシンプルなボトルにして、コルク栓を付けました。
④ ラベル
それまでのウイスキーのラベルは、とても高級そうなものでした。
「このウイスキーは高価です。お金を持っている人が買えるウイスキーです。」という風に見えました。だからあえて「高級そうなデザインをしない」ことにしました。
空瓶を使いたくなったときにラベルをはがそうとしたら、実は油性ではなく水性のノリだからはがれやすくなっていた、なんていうのはうれしいはず・・・。

外箱からボトルまでパッケージひとつ取り上げても深い意味を持ちながらもあえて説明をせず、お客さんのアソビ心をくすぐる仕掛けをいっぱい詰めこんだパッケージになっていたことに今更ながら驚かされました。
若きデザイナーが腕をふるった「シンプル・イズ・ベスト」にとても感心したエピソードです。
   (つづく)

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お気に入りその199~竹鶴政孝63

2007-02-17 10:08:50 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート63、「デザイナー佐藤卓②」です。

佐藤卓さんのトータルプレゼンにより誕生した「ニッカ・ピュアモルト」。
ニッカにとって重要な分岐点になったウイスキーの誕生秘話の続きをご紹介します。

<エピソード2>
トータルプレゼンというからには「ボトルの中身に何をいれるか」から企画することが必要でした。早速、佐藤さんは余市と宮城峡の蒸溜所に眠るモルトを取材しました。
当時の企画決定までの流れは次の通りだったそうです。
・若い人向けのウイスキーにしたい。
・長く眠っていたウイスキーでは高額なので「そこそこ眠っていたもの」を使いたい。
・「そこそこ眠っていたもの」を「樽から出したそのまま」で味わってみると、おいしかった。
・若い人は、買われる工夫をされたものや味の演出をなされたものに飽きているはず。
・だから「樽から出したそのまま」というキーワードに、すごく興味を持ってもらえるのではないか。
・ネーミングも演出をせず「ピュアモルト」という工場で呼ばれているそのままを使う。

こうして、ブレンダーに「それはまだ作っていません」といわれたモルトウイスキーをそのまま商品にしてしまうといった斬新な発想が生まれたのでした。
今でこそシングルモルトは世界的にブームですが、有名なウイスキー評論家マイケル・ジャクソンが「モルトウイスキー・コンパニオン」を書いたのが1989年。佐藤さんがプレゼンした「ニッカ・ピュアモルト」が世に出てからずっと後です。いかに佐藤さんの着眼点が斬新でかつ的を射ていたかがわかります。
   (つづく)
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お気に入りその198~愛犬チョビ③

2007-02-13 15:08:18 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、愛犬チョビ③です。

愛犬チョビが天国に行きました。
昨年末腹部に大きな腫瘍が発見されましたが老齢のため治療ができなかったことから、室内に入れ静かに余生を送ってもらうことにしました。
正月のころは老齢による後ろ足の衰え以外は元気そうでした。我が家に来て初めての室内生活にもすぐ慣れ、楽しそうに家族の後ろをついて歩いていました。
1月中旬からは後ろ足の具合が思わしくなくなり、散歩が辛くなってきました。
2月上旬にはほとんど歩けなくなったので、抱きかかえて外に連れ出し、用を足してはまた連れ戻すようになりました。
亡くなる数日前には全身に痛みがきて、首から下のどこを触られてもか細い悲鳴をあげるようになったので抱けなくなり、ついに寝たきりになりました。
亡くなる前夜は寝ているだけでも頻繁にか細い悲鳴をあげるようになり、その周期がどんどん短くなりました。家族の間から「もうそれ以上がんばらなくていいよ。それ以上苦しまないで、早く楽になりなさい。」という声が出ました。
そしてその日が来ました。
朝、チョビはもう悲鳴をあげていませんでした。虚ろな目をして荒い息を繰り返していました。いつものようにポカリスエットを注射器で飲ませようとしましたがもう飲みませんでした。そして7:20、呼吸が止まりました。ちょっと辛そうな顔をしたあと静寂が訪れました。
目と口を閉じて頭を撫ぜてから、妻と娘に教えました。まだ寝ていた息子も起こしました。最近なかなか全員がそろわない家族がその日は偶然揃っていました。チョビがその日を選んだのでしょうか。

チョビ、お疲れ様。ようやく苦しみから解放されたね。
これからは天国で好きなように走り回って楽しく暮らしてください。
そしてまたいつかどんな形でもいいから君と出会いたいものです。
それまでひとまずさようなら。
いままで家族みんなに幸せをくれて本当にありがとう。
君はとても素敵な家族でした。
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お気に入りその197~竹鶴政孝パート62

2007-02-09 12:46:16 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート62、「デザイナー佐藤卓」です。

佐藤卓さんはデザインの世界では「日本のデザイナー界のヒーロー的存在」と紹介されるほど注目されている方です。
「ロッテ・キシリトールガム」「大正製薬・ゼナ」「明治おいしい牛乳」「ドコモ携帯・P702iD」等の商品デザインをはじめとして、「BS朝日」「金沢21世紀美術館」等のVIデザイン、NHK教育「にほんごであそぼ」の企画メンバー及びアートディレクションなどを手掛ける多彩な才能の持ち主です。

そんな彼ですが、このコーナーでとりあげる以上、ニッカとも当然深く関わっています。
彼は20数年前に「ニッカ・ピュアモルト」の商品デザインをしたデザイナーなのです。
ボトルデザインのシンプルさ、モルトだけでできているというシンプルさ、その味わいをブラックとレッドと言い表すシンプルさ。そして低価格。当時の若者が飛びつく要素に溢れた素晴らしいウイスキーでした。
「ピュアモルト」は「品質のニッカ」というブランド価値を数段高めることに貢献し、ファンの幅を拡げるきっかけになった、ニッカにとってとても重要な分岐点になったウイスキーです。
古い話であり、またマニアックな話でもありますが、「ピュアモルト」の開発に関するいろいろなエピソードを「今だから話せる」話を交え佐藤さんご本人が語っている記事をみかけ大変興味深く読みましたのでいくつかご紹介します。

<エピソード1>
当時まだ若かった佐藤さんは広告代理店に勤務していました。
ニッカの担当になったときに先輩に
「自分の飲みたいウイスキーが1本もない」
といったところ
「どういうウイスキーなら飲みたいのかを、ニッカさんに自主プレゼンしなさい」
ということになったそうで、これが「ピュアモルト」を商品開発から商品の形、広告などすべてを自主プレゼンするキッカケだそうです。
   (つづく)

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お気に入りその196~鬼平犯科帳43

2007-02-05 12:51:55 | 鬼平
今回のお気に入りは、鬼平犯科帳パート43、DVD鑑賞です。

久しぶりに鬼平のDVDを鑑賞できる時間がとれました。時間にして2本分。
さぁて、どれにしようかなぁ・・・。
あれもみたいしこれもみたい。DVDの山を広げしばらく悩んでからエィっと選んだのは、「討ち入り市兵衛」と「血頭の丹兵衛」。
どちらも私の中では名作中の名作です。

「討ち入り市兵衛」では蓮沼の市兵衛を演じる中村又五郎の名人芸を再び堪能しました。あの「お地蔵さまのようなお顔」で平蔵や彦十と絡むシーンはそこに居るだけでも存在感が素晴らしいです。ほかにも松戸の繁蔵を演じる下川辰平も市兵衛への忠義の立て方、真っ当な盗人としての筋の通し方などを全身で表現していて見事です。ラストで繁蔵の敵討ちをやり遂げ満足げに息を引き取る市兵衛の穏やかな表情・・・すっかり吉右衛門を食ってしまっているように見え、みるたびに感心させられます。

「血頭の丹兵衛」では小房の粂八を演じる蟹江敬三の名演技を堪能しました。粂八が峠の茶屋から飛び出し平蔵を追っかけるシーンはいつみてもジ~ンときます。蓑火の喜之助を演じる島田正吾や血頭の丹兵衛を演じる日下武史などの名優が添え物に見えるほど蟹江の演技は見事です。蟹江は脇を演じて名人ですが「血頭の丹兵衛」や「馴馬の三蔵」で主役を演じても渋く輝きます。まるでゴージャスなブラックパールのような妖しい魅力があります。彼は本当に鬼平犯科帳の宝物です。

さて次に時間がとれるときには、どれをみようかな。
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お気に入りその195~竹鶴政孝61

2007-02-01 19:23:59 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート61、「ザ・千葉ブレンド」です。

「ニッカウィスキー ザ・千葉ブレンド」を味わいました。
このウイスキーは千葉県柏市にあるブレンダー室の久光哲司室長が余市と宮城峡の原酒をブレンドした千葉県内限定発売品だそうです。
今までご当地モノとしては北海道モノにしか興味がありませんでしたが、今回は「ザ・千葉ブレンド」のラベルに書かれたストーリーに惹かれ購入しました。

   様々な柔らかな原酒をブレンドする事により
   生まれる華やかでフローラルな香りと
   軽快な味わいは、春の暖かな陽光のもと
   新たな息吹を感じる「花々」を想像させられます。

「フローラルな香り」「花々を想像させる軽快な味わい」というフレーズに興味深々。
先日飲みはじめた「シングルモルト余市500ml」がまだ残っているのでそれが空くまで我慢しようと思ったりもしたのですが、「ザ・千葉ブレンド」への興味に負け入手当日に早速味わってしまいました。

味わってみて思ったのは、これほどストレートが似合うウイスキーに以前に出会ったことがあっただろうか・・・ということ。ニッカのウイスキーをいろいろ味わっていますが、トゥワイスアップを覚えてからは、ストレートよりも美味しく感じることばかりだったように思っていましたが、「ザ・千葉ブレンド」がストレートの方を美味しく感じたことに小さな発見がありました。
当然「柔らかな原酒ばかりをブレンドした」ことが理由なのでしょう。

良い意味で「ニッカらしくない」ウイスキーです。
可能性の広がりに期待します。
希望としては、余市のシングルモルトで北海道の一気にやってくる新緑をイメージさせるウイスキーをつくって欲しいです。
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