鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2216~ダナー

2023-03-31 12:47:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ダナーです。

以前、石川直樹の「ぼくの道具」という本で「ダナーライト」という靴を知りました。
普段履きができそうな靴でありながら6000m級の登山までできる本格派なのだそう。
とりあえず200m級の低い山を散策するために履き心地を確かめるべくショップを訪れました。
残念ながら目的の「ダナーライト」はありませんでしたが、その廉価版である「ダナーフィールド」がありました。
せっかくなので履いてみました。
かかとががっちりホールドされ靴擦れしそうですが、足全体を包み込む感覚は抜群。
紐をゆるめたままでこの状態。
店員さんに聞くと履いている内にある程度は足に馴染んでいくそう。
自転車で旅行していた若い頃、革サドルを購入する際に同じようなことを言われたのを思い出しました。
そして魅力的だったのは価格が「ダナーライト」の半分以下であること。
すぐに購入を決めました。

妻から革の部分にクリームを塗ってから履いた方が良いというアドバイスをもらい、靴磨きセットを購入。
クリーナー、クリーム、ブラシ、クロスのセット。
これまで履いてきた革靴はビジネス用、プライベート用にかかわらず、こういう事前準備をしたことはありませんでした。
靴の手入れをしながら、いつも晩酌で使った後にジガーとグラスを磨いている自分の姿が重なりました。
本格的なものは面倒だけれど、だからこそ楽しいのです。

先日、ダナーフィールドを履いてピアノコンサートに行きました。
地下鉄駅とコンサートホールkitaraの間、片道10分ほどの往復。
これまで本屋とスーパーマーケットをブラブラしただけだったので気付きませんでしたが、かかとが痛くなってきました。
靴擦れ予防のために靴下を2枚重ねして行ったのですが、あとでみるとやはり皮がむけていました。
その後3日ほど絆創膏のお世話になりました。

ということで次への準備です。
バンドエイドの「靴擦れブロック」とテーピングテープを購入しました。
登山が趣味の方々も靴擦れには悩まされているそうで、いろいろ調べて、これらが一番良さそうだったのです。
アドバイスによると靴擦れで皮がむけた部分に絆創膏を貼り、その上にテーピングテープを貼ると痛みもなく、スイスイ歩けるのだそう。
すり傷がある時は絆創膏、無い時は「靴擦れブロック」を貼り、その上にテーピングテープを貼って試してみるつもり。
まずは街歩きから始めます。
ばっちり効果が出るといいな。
楽しみです。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2215~田渕豊吉

2023-03-29 12:15:36 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、田渕豊吉です。

先日、北海道新聞で田渕豊吉という昔の国会議員が紹介されていました。
全く知らない方ですが、紹介内容に興味を持ちました。

・田渕は国会で関東大震災での朝鮮人虐殺を追求し、首相は「他日答える」と棚上げした。
・張作霖爆殺事件の真相に迫る演説を行った。
・東条英機に対し戦争反対の意見を述べた。
・大政翼賛会発足後、東条にヤジを飛ばし退場となる。
・選挙で落選し、まもなく亡くなった。
・生涯、無所属を通した。

朝鮮人や国民に対し実に誠実な政治家です。
そしてたった一人でも正しいことを主張し続ける美しい生き方がとても魅力的です。
こういう方の名が今に残らないことはとても残念なことです。
ぜひ彼のことを詳しく知りたいと思い、関連書を探しました。

彼の伝記を探すと「警世の人 田渕豊吉伝」というのがあることが判りましたが、市場にほとんど出回っておらず、ようやく1冊だけ見つけ、購入することができました。
遊び頁などが切り取られたジャンク本でしたが、幸い本文は無事でした。

本書についての資料も少ないため、本の帯の内容紹介を引用します。
=====
国会開設百年 ~民主主義の灯を守り続けた哲人政治家
田淵豊吉・永井柳太郎・中野正剛は稲門三羽ガラスとよばれ、太平洋戦争が敗戦を迎える直前まで帝国議会で論陣を張った。
なかで栄達を望まなかった田淵のみは、いつしか忘れ去られようとする。
天狗太郎で知られる著者が埋づもれた資料を発掘し、郷土の先達の業績を再評価しつつ、特異な人間論を鮮やかに描き出す。
=====

「まえがき」より引用
=====
先見の明があり、常に50年先を見すえていた。
政府がたてた関東大震災の帝都復興計画をみて、なぜせまい国土の日本で地下利用を考えぬかと訴えた。
昭和の世に移り、軍国主義になびく議会の風潮に不安を感じ、警告を発し続けた。
第二次世界大戦に突入する時は、権力者の東条英機をつかまえて「この戦争が勝てん、やってはいかん!」と忠告した。
当時の新聞記者の一人は、議場で東条に盾をつく田渕に「記ちがい」「変人」と信じこんでいて、いまにして思えば、田渕こそは世界の大勢を知る政治家であり、その先見性に気づかなかったと語っている。
=====

本文より引用
=====
私のこの言は、私が死んでもなお速記録として焼けずんば、後世に伝わると思いますから、この内閣だけに言うのではない
=====

田渕は婦人参政権の実現に向けた発言もしていますが、婦人参政権運動を主導した市川房江でさえ田渕とは距離をおいたと書かれています。
国会で反対意見を言った後は採決の前に帰ってしまうなどの行動から奇人変人扱いされていたので、市川女史が距離を置いたことも仕方がないと考えられます。
ちなみに大正時代の選挙は制限選挙で、25歳以上の男子、一定額以上の納税者などしか投票できなかったため、田渕は女性だけでなく朝鮮人・台湾人の参政権、さらに男性の制限撤廃などを繰り返し訴えています。

田渕は、当時陸の孤島といわれた紀州に鉄道をひくよう働きかけて欲しいと頼まれると、それは県会議員の仕事で、国会議員の仕事ではないとつっぱねたり、賄賂を一切拒んだりと、自ら信じる正義を貫きました。
そのためいつも貧乏しており、選挙資金は兄や支援者頼みでした。

戦時体制が進み、各政党が自ら解党し大政翼賛会を作り、挙国一致を表明しても、田渕は無所属を貫き、戦争反対の主張を繰り返しました。
そのため官憲による選挙活動の妨害もあり落選してしまいます。
もっとも当選しても発言の機会はおろかヤジを飛ばす機会さえ奪われた状況でした。
その後は本家の離れに住み、男手ひとつで男児二人を育てましたが、落選の翌年、風邪をこじらせて亡くなりました。

落選後の逸話がふたつ紹介されていました。
子どもを連れて散歩の途中、空を杖で指し、今に米軍の飛行機が攻めてくると予言したそうです。
また魚売りの老婆が訪れた時に値切ったため、老婆と言い合いになったことがありました。
老婆は元国会議員なのだから値切るなと言い、田渕は貧乏しているのだから値切るのが当然と言い、近所の者が出てくる騒ぎになったそうです。

田渕は女も朝鮮人も自分もみな平等であるという立場を生涯にわたり貫いたのだと思います。
まさに50年先を見すえた生き様でした。
服装がだらしなく、演説が長すぎることなどから奇人変人として扱われ、本人も仙人を自称していました。
人は見かけが9割といわれます。
私も同時代に生きていれば田渕を奇人変人と思ったのでしょうか?
本人の演説を聴く機会が無く新聞評を読むだけではそう思っていたかもしれません。

田渕のような人物は現代にもいるでしょう。
そういう人物を見分ける目を持ちたいものです。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2214~博士ちゃん

2023-03-27 12:01:57 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、博士ちゃんです。

「サンドウィッチマンと芦田愛菜の博士ちゃん」が大好きです。
好きなものを追求している子どもたちの瞳は輝いていて、彼らの話を聴くととても勉強になりますし、何より刺激を受けます。
お城の博士ちゃん、昭和家電の博士ちゃん、信号機の博士ちゃん、世界遺産の博士ちゃん、昭和アイドルの博士ちゃんなど、書ききれないほどの博士ちゃんたちがこれまで登場しました。
いつもは1時間番組で複数の博士ちゃんが登場しますが、1時間半スペシャルを1人の博士ちゃんだけで行うこともあります。
これこそ神回といえます。
世界遺産の博士ちゃんルシャール君による軍艦島、白川郷などのレポートは、まさにそれでした。
つい先日のドリフの博士ちゃんも素晴らしかったです。
博士ちゃんは17歳の女の子。
「8時だよ!全員集合」のDVDを200回以上観ているだけでなく、法被や台本を蒐集し、日夜ドリフの歴史を研究しているそうです。
彼女の説明はジャストの世代だった私でさえ知らないことだらけ。
番組中で何度へーって言ったことでしょう。
その知識の豊富さには、ゲストで登場した加藤茶も舌を巻くほどでした。

好きなものを追求することの素晴らしさを改めて目の当たりにしました。
彼女が加藤本人に質問する場面は、観ているこちらも緊張しました。
彼女がこれまで調べても分からなかったことが次々解決していく様は私もうれしかったです。
自分で資料を探して調べていくことの大変さがあるからこそ、長年の疑問が解決した時の感動が大きいのでしょうね。

大物コメディアン志村けんがドリフの新人としてデビューしてから2年も鳴かず飛ばずだったことには驚きました。
荒井注と志村けんのどちらの時代も知っているのに。
ただ何となく見ていたということでしょう。

加藤と志村の本当の関係も興味津々でした。
いかりや長介は荒井の脱退後、荒井と同世代の人を新メンバーにしようとしたけれど、加藤が志村を推したそうです。
加藤が志村を弟のように思っていたこと、一番若かった加藤が自分の下を欲していたこと、ギャグを志村が肩代わりしてくれて加藤が楽になったことなどを知ることができました。

余りに意外だったのは、博士ちゃんがいかりやの日本語がとてに丁寧で美しいと褒めていたことです。
これには加藤もビックリ。
「ドリフの大爆笑」の冒頭の「本日のテーマ」を紹介する場面は、博士ちゃんが言うようにどれも見事なものでした。
確かに丁寧で正確な言葉遣いでした。
そういえば「鬼平犯科帳スペシャル」に登場したいかりや長介は、発音がしっかりしていることや表情が豊かなこと、相手との掛け合いの名人であることで、とても良い役者ぶりを見せていたものです。

博士ちゃんはそんなことは知らないでしょうが、目の付け所が素晴らしいと思いました。

きっと志村けんも生きていたら彼ら同様に名人級の役者になったことでしょうね。
映画「キネマの神様」のキャスティングを知ったときは、良い映画になるだろうなと直観したものです。
原田マハのファンとしての勘ですが。

最後に博士ちゃんたちの良いところをひとつ。
彼らは好きなものの何が好きなのかをどんどん調べていきます。
巷に溢れる〇〇評論家のように「△△は良いけれど××はダメだよね」というような批評は決してしません。
批判するだけなら誰でもできます。
それよりも他の人が知らない優れた点を見つけることの方が価値があります。

「博士ちゃん」を本にしてくれないかな。
子どもたちの研究意欲を促進するとともに、子育て中の親たちの参考になります。
研究者たちのお披露目の場になり、大人たちも興味津々。
ブラタモのように放送できなかった部分も付け加えると必ず売れると思います。
テレビ局と出版社の方、ご検討をお願いします。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2213~竹鶴政孝パート307

2023-03-24 12:05:34 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート307、アイラウイスキーです。

アイラウイスキー「フィンラガン オリジナルピーティー 700ml」6本が届きました。
ニッカピュアモルト(白)でアイラウイスキーの美味しさに目覚めてから、晩酌ローテーションの一角を占めていました。
製品が終売になってからは、アイラやアイランズのウイスキーで代用しています。
最近お気に入りはフィンラガン。
在庫が最後の1本になったので、余裕をもっての注文です。

購入店の商品情報は次の通りです。
=====
アイラ島のボトラーズブランド、ヴィンテージ・モルト・カンパニーのボトリング。
蒸留所名は秘密。
フィンラガンとはアイラ島にあった古城の名が由来。
淡めの色合い、ヨード香・ピート香も強め
味わいはアイラ特有のソルティーでエレガントな味わい
余韻も長め
=====

商品情報にある通り、いかにもアイラという味わいに満足していますし、何よりお手頃価格がうれしいです。
アイラの味わいは中毒性があり、数日に一度は味わいたくなるのです。

ピュアモルト(白)は、もともとアイラウイスキーを輸入していましたが、後半は余市のウイスキーだったと聞いたことがあります。
ニッカのウイスキーでアイラ風味を楽しめるならそれが一番です。
このウイスキー価格高騰の時代にフィンラガンほど安く提供することは難しいでしょうが、何とか検討していただきたいものです。
それまではアイラの独特な味わいを定期的に楽しむため、これからもニッカ以外のウイスキーを買い続けることになります。

話は変わりますが、来年(2024年)はニッカウヰスキー創業90周年です。
せっかくの周年事業ですので財布のひもをゆるくして祝いたいです。
原酒不足が続く中、どんな企画を考えているのでしょうか。
大いに期待しています。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2212~ガンダム

2023-03-22 12:34:33 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ガンダムです。

ファーストガンダム世代です。
といっても学生寮暮らしをしている頃に後輩たちが盛り上がっているのを横目で見ていただけですが。
私自身は少し遅れてファーストガンダム、劇場版三部作を観ました。
その頃のガンダムといえば安彦良和さんの柔らかい絵が印象的でした。
先日「安彦良和 アニメーション原画集 機動戦士ガンダム」というのを見かけ、それがファーストガンダムと劇場版三部作のアニメ原画集であることを知りました。
TVアニメは時間の制約もあり絵が多少荒くなるのは仕方ないこと。
本書を鑑賞することで安彦さんが表現したかった本当の絵を想像することができると思い購入しました。

内容紹介を引用します。
=====
劇場版ガンダム大ヒットの原動力となったアニメーションディレクター安彦良和自身による原画の数々を集成。
その生原画に背中を押されてアニメ界に入った庵野秀明の責任編集による30年目にふさわしい記念碑的一冊
=====

届いてびっくり。なんという厚みと重さでしょう。
復刻原画1枚分を下回る価格で入手したとは思えません。
すぐにページをめくりました。
アムロをはじめとするホワイトベースのクルーたちだけでなく、連邦軍やジオン軍の兵士たちがたくさん描かれています。
もちろん紹介するに足る原画ばかりを選んでいます。
たった1回しか登場しなくてもベテラン軍人の所作や言葉はこんなにも強く印象に残るものなのだと改めて気付かされました。
ホワイトベースやモビルスーツを操るのが素人集団であることを際立たせるために、こういう対称的な設定をあちこちに入れていたのですね。
ナルホドという演出に今さらながら舌を巻きました。
描かれている場面はどれも見覚えがあり、熱中して観ていた頃の記憶が徐々に蘇ってきました。

それにしても安彦さんの描く人物やモノはとにかく柔らかくて、自然。
冒頭で原作者・冨野氏が書いている通り、まさに天才の所業です。
限られた時間内にたくさんの原画を描き上げ、それを元にアニメーターたちが動画を制作します。
いくら上手に描かれていても原画は所詮、動画制作のための消耗品であり、後世に残るようなものではないのだそうです。
どなたかが大切に保管してくれていたおかげでこうして鑑賞することができました。
ありがたいことです。

本書で惜しいと思うのは原画を小さく縮尺しているものが多いこと。
動きを見せるために枚数を見せなくてはならないとはいえ、余白を削るとか、場面を絞るなどして1枚1枚を一回り、二回り大きく見せることができたはず。
その辺りが残念です。
結局自分としてはもっと大きなサイズで原画を鑑賞したかったです。

本書で一番気に入ったのはキシリア・ザビがシャアに殺される場面です。
キシリアをアップで描いた原画は実に秀逸です。
彼女の驚きを目に凝縮して見事に表現しています。
この1枚だけでも一見の価値があります。

いずれにしてもこれほど内容の濃いものを鑑賞できて幸せでした。
冨野さんが書いていましたが、アニメの原画は消耗品で通常は残らないそうです。
当時のスタッフが保存してくれていたそうで、特別の意志を持って大切に保存してくれたことに感謝を申し上げたいです。
その方なしにはこれらの原画を目にすることができなかったのです。

当然ながらお気に入りの仲間入りです。

ちなみに娘婿はガンダムファンで、横浜で動くガンダムを観てきており、本書を食い入るように見ていました。
彼は「ガンダムW」から見始めたそう。
ガンダムファンとして共通の話題がひとつ増えました。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りsono2211~鮫島惇一郎②

2023-03-20 12:38:00 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、鮫島惇一郎②です。
鮫島惇一郎さんの画文集「画文集 北ぐにの花暦」の感想を少々。
植物学者と自然愛好家の二つの顔が感じられる細密で美しい植物画をたっぷり110枚も鑑賞できて本当に幸せな時間を過ごすことがでした。
眼科通いを始めてからすっかり運転に自信がなくなり、せっかくドライブ用メガネを新調したのに市内の慣れた場所にしか行っていません。
朝里や厚田への山菜採りは何年行っていないでしょうか。
本書に登場する懐かしい植物たちを見ている内に、今年こそは久しぶりに行ってみようという気になりました。
高齢の著者が山に登り、自然観察を続けていることに触発されたのだと思います。
まだまだ老け込む齢ではありません。
長い距離を走るのはドキドキものですが、ゆっくり行けば何とかなるでしょう。
そんなことを考えながら1枚ずつ鑑賞しました。

エッセイも興味深く読みました。
札幌に生まれ育ち60年を過ぎた私でも知らない話がいっぱい登場します。
その中で「札幌の人口が18万人だったころ」という記述がありました。
具体的年数が書かれていませんでしたので調べました。
どうやら1935年頃、著者が10歳頃のことのようです。
その頃は函館の方が人口が多かったのですね。
勉強になりました。

前に「原色図譜エンレイソウ属植物」という本が高価で買えず、本書を購入した経緯を書きましたが、本書には何種類ものエンレイソウが登場します。
1/10以下の価格でこんなにたくさん載っているのですから、コストパフォーマンスは最高です。

さて感想を書くことにしましょう。

・エンレイソウ
 1950年頃、北海道神宮は札幌神社といったそうです。
 著者らが花見に行ったところ、小さな一枚葉がごしゃごしゃ生えているのを見かけます。
 これは何だ?
 どうやら少し大きくなると葉はハート型になる様です。
 周りにはエンレイソウが生えていることからエンレイソウの芽生えと推定しました。
 後の調査で、エンレイソウは10年余りをかけて花を咲かせることが判ったそうです。
 似たような話はアイヌネギでも聞いたことがあります。
 最初は小さな一枚葉でスタートし、年々葉を増やし、茎が太くなります。
 早春に育つ植物はこうして1年ごとに少しずつ生長するのですね。

・オオバナノエンレイソウ
 道内には遺伝学的分類として、道北群、道東群、道南・北本州群というのが分布し、
 石狩低地帯ではそれらが混在しているそう。

・コウライナンテンショウ
 別名、マムシグサ。
 頻繁に性転換するそう。
 地下茎が大きくなるとメスに転換し、種をつけるそうです。
 翌春は再びオスに戻って栄養を蓄え始めます。
 最近はLGBTの問題が大きく取り上げられますが、植物や魚の世界にはオス・メスの
 境目を行き来する生態がいくつもあります。
 あまり重たく考えずに、その人の個性なのだと考えれば良いと思います。

・ハマナス
 バラ科だけあって、花びら2500枚から1gの香料ができるそう。
 それならと八重咲を使ってみたけれど、枚数を増やさなくては同量の香料ができなかった
 とのこと。
 ひとつの花の香料成分はどちらも同じくらいだということでしょうか。
 札幌の夜景を楽しむベストポイントといわれる藻岩山のてっぺんにハマナスが植えられて
 いることは釈然としないと著者は書いています。
 条件の悪い地でも育つからといって自生地とかけ離れているからでしょう。
 札幌市内では新川河川敷の緑地帯、道路の中央分離帯にも植えられており、確かに
 あまりに不節操に使われているように思います。

・ハマエンドウ
 石狩の浜でたくさん見かけます。
 水分不足でいかにも堅そうですが、著者によると「これはいける!」とのこと。
 一度試してみようと思います。
 ただ、あるHPにはたくさん食べると下半身に影響が出るので注意と書かれていました。
 ギンナンやワラビもそうですが、そればかり何100gも食べることはしませんので
 不要な情報と思います。

・ヒシ
 他の植物についてのエッセイにも出てきたウトナイト沼がまた登場。
 もしかしてウトナイ湖のこと?と思い調べたら正解でした。
 ウトナイ湖はウトナイト沼、ウトナイトーなどとも呼ばれていたことを知りました。
 著者はここで小舟を出して調査していたところ、ヒシの大群落に乗り上げ座礁した
 ことがあるそう。
 ヒシは茨戸川や発寒川でも見られますが、小舟が座礁するほどの規模とは!
 想像ができません。

植物以外にも次にような話題が載っていました。
 山でヒグマに出会った話
 山小屋でアルバイトをしているときに助けた男がクラスメートだった話
 希少植物の盗掘に腹を立てている話
 希少な植物の開花を待たずに草刈してしまった公園管理に疑問を投げかける話
 深夜の田舎道で一時停止を無視して捕まった話

山菜採りの雰囲気を味わいつつ植物画を鑑賞できる一石二鳥の画文集でした。
お気に入りがまたひとつ増えました。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2210~洞窟にいどむ

2023-03-17 12:59:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「洞窟にいどむ」です。

福音館の科学シリーズの「洞窟にいどむ 秋吉台三億年の歴史を探る」 (1985/3/10発行)という本を読みました。
本書の存在は知りませんでしたが、絵を担当したのがお気に入りの画家・薮内正幸さんだったので注目しました。
著者の庫本正さんがどんな方で、本書がどんな内容なのかは存じ上げませんでしたが、古書店が掲載していた内容紹介が適切で、大変興味を持ちましたので購入を決めました。

その内容紹介は次の通り。
=====
秋芳洞の調査・探検にかかわり、秋吉台科学博物館名誉館長でもある庫本正さんの科学の本
秋吉台は、すり鉢状の窪地とたくさんの石灰岩の柱が広い草原のいたるところに見えている不思議な風景の台地です。
そして、その地下には、大きな洞窟が広がっています。
長年にわたり、その洞窟の調査を行っている庫本正さんのドキュメンタリータッチの科学本です。
★ おひさま堂からひとこと
探検の過程を通して洞窟やカルスト地形の形態、生成過程などを詳しく解説しています。
刊行から30年以上が経つ古い本ですが、白黒ながら写真も多数使われており、手探りでカルスト台地の成り立ちを明らかにしていく様子は、今でもドキドキ・ワクワクしながら面白く読むことができます。
=====

妻が好きで見ているテレビ番組「クレイジージャーニー」。
たまにお付き合いで見た回に吉田勝次さんという洞窟探検家が登場していました。
未知の洞窟を探検することの難しさと危険さが画面を通してヒシヒシと伝わってきたものです。
ただ彼は洞窟探検中に死んでも本望という変人探検家。
本書の著者は冒険家ではなく研究者なので安全を考慮した上で調査を進めたはず。
と思って読み始めたら、何と危険度は同じ。
まさに「クレイジージャーニー」な世界がここにも展開していました。

著者が大学を出て学芸員として就職したのは秋吉台科学博物館でした。
開館準備が整うと初代館長に連れられて鍾乳洞の調査に行きました。
まずは縄梯子のセットから。
麻のロープに木のステップ、長さは20m。
これを3組つないで60mを垂直降下するところから調査開始。
一番若い著者が最初に降りることに・・・。
縄梯子を抱くように体の反対側からステップに手足を固定して一段ずつ降りなさいというアドバイスをもらいましたが足がすくんで上手く動けません。
見かねて館長は命綱をつけてくれました。
真っ暗い洞窟内の60mの垂直降下は命綱があっても恐ろしかったそうです。
ようやく岩盤の上に降り立ち上を見ると、入った穴が星のように小さく見えました。
その直後、落石!という館長の声。
あわてて脇に除けると猛スピードで石が体をかすめたそう。
高さが高さだけに落石は兇器と化すのです。

その後も洞窟研究の学生たちを案内して最深部まで行ったときに増水に気づき、間一髪のところで水没を免れたことも。
彼らが洞窟に入った後、地上で大雨が降り出したのだそうです。
また、いくつも分岐した洞窟を一人で調査しているときに転倒しランプを破損したときも命の危険を感じたそう。
予備のランプを用意するのを忘れてしまったのです。
真っ暗な中ではいくつもの分岐を越えて出口に戻るのは不可能。
必死でランプを修理し直すことができたため、無事帰還することができました。
それ以来、一人では入らない、予備のランプを持参するという鉄則を守り続けているそう。

冒頭からこれですか。
洞窟調査の危険さがひしひしと伝わる体験談からのスタート。
素人が興味半分で手を出すと命にかかわることがよく判りました。

続いて秋吉台の成り立ちについて。
秋吉台は石灰岩でできた150平方キロメートルという広大な台地ですが、その全てが古生物の化石で出来ており、水による浸食で地上も地下も特異な地形になったと、著者は説明を受けますがどうも納得できません。
自らその成り立ちについて調査を始めました。
サンゴや三葉虫、アンモナイトなどの海生生物の化石がふんだんに出てきます。
その中にフズリナという短期間にしか生息しなかった化石が含まれていることから、ここが3億年前にできたことがわかりました。
台地に川は無く、漏斗のような地形に水がたまり、そして地中に落ちていきます。
なるほど水の力で石灰石が溶けてできた地形のようです。
地中はというと水のたまった洞窟がいくつもあります。
ひとつひとつの洞窟の水位を海抜に直して比較すると、3つのグループに分かれることがわかり、洞窟は3回に分けで出来上がったことがわかりました。

また竪穴・横穴のできる過程の違いとか、穴が作られた当時の水の流速による岩肌の違いなども紹介されています。
そして何といってもヒトのタイムスケールでは観察できない鍾乳石の成り立ちをどう解明したかが紹介されていました。
鍾乳石の断面には年輪のような模様があり、いろいろな原因が影響しているとしています。
鍾乳石の生成スピードは実にまちまちです。
沖縄で戦時中に防空壕として利用された鍾乳洞には、避難民が置いた物品の上に石筍が成長しているそうですし、2000年前の弥生時代の遺物に鍾乳石が生成している例も観察されているそうです。
秋吉台の鍾乳石は専門家の分析により100年で1mm成長しているそう。
半径10cmに成長するのに1万年かかるということです。
研究者が30年や40年観察を続けても一向に変化がわからないのも当然ですし、巨大な鍾乳石がどれだけの時間をかけて成長したかを思い、ロマンを感じる気持ちが伝わりました。

次の章は鍾乳洞の生き物たちについてです。
著者が最初にみつけた「目が退化したエビ」は残念ながら新種ではありませんでしたが、その後も生き物の観察を続けついに新種を発見します。
専門家から新種と認定され、著者の名がつけられたことに嬉々としている様が書かれています。
ちなみに鍾乳洞の生態系には植物が存在しないため、コウモリの糞に群がる微小生物が食物連鎖のスタートになるそうです。

終章に驚くべき発見が記されていました。
仮称・秋吉原人の情報です。
あるときナウマンゾウなどの化石とともに原人らしい化石が出たそうです。
日本の土壌はほとんど化石が残らないため、貝塚に遺された石器や土器などで古代人の研究をしてきました。
秋吉台が石灰岩の台地のため化石化したと考えられ、世紀の大発見と思われました。
ところが専門家の鑑定で結論が出ず、その上発見された場所が石灰石の採掘場だったため現状保存されなかったこともあり、ウヤムヤに終わったそうです。
著者の悔しさはいかばかりだったことでしょう。
今後の発見や研究により秋吉原人の存在が明らかになることを期待します。

本書は同じ福音館書店の「じゃがいもの花と実」や「島のたんじょう」と同質の科学的名著です。
ファラデーの「ロウソクの科学」、寺田寅彦の「茶わんの湯」と同様、読者は著者と一緒に論理的に考えることで自然界の秘密を紐解くことができます。
こういう名著は「じゃがいもの花と実」のように復刻して多くの子どもたちに読んでもらいたいものです。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2209~辻井伸行

2023-03-15 12:32:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、辻井伸行です。

昨日、妻に誘われ、6年ぶりに辻井伸行さんのピアノを聴いてきました。
座席は何と前から3列目。
道新プレイガイド会員の特権を活用して、早期予約したことが功を奏しました。
ごく間近で演奏する姿を観ながら演奏を聴くことができると思っていました。
ところが実際に席に着くと余りに近過ぎてピアノの腹が見える位置。
肝心の辻井さんはお顔と足元だけが見えるだけでした。
もう少し後ろで正面より左側の座席が全身を観ることができるポイントであることを学びました。

さてそのピアノコンサートの感想は・・・。
と言っても音楽に造詣のある妻と違い、超ド素人の私の感想ですから、あくまで自分のための記録として読み流していただければと思います。

会場の照明が舞台の上だけに絞られると、会場内の音が消えました。
扉が開き辻井さんが姿を見せると割れんばかりの拍手。
再び静けさが訪れ、演奏が始まりました。
ベートーベンの「テンペスト」という初めて聴く作品です。
一音ずつゆっくりと入っていく曲で、一音目でなぜだか鳥肌が立ちました。
これが音楽の力なんだなあ、と感心しつつ聴き入りました。

前半2つ目のプログラムはリスト、そして中休み。
後半はラヴェルとカプースチンでした。
その中で印象的だったのはラヴェル。
ジブリ映画の挿入曲が随所に感じられることに驚きました。
もしかしたら久石譲さんはラヴェルファンなのかも。
あとで妻に聞いたらジブリ音楽に似ている部分なんて無かったよ、との回答。
どういうことでしょうか?
空耳だったのかな・・・。

全体的な感想として、6年前は若さ溢れるパワフルな演奏が印象的でしたが、今回は高度な技巧が印象的でした。
速弾き過ぎて音が幕のように包み込む場面があったり、ジャズ調・ポップス調の雰囲気を取り入れた難しそうな曲を弾きこなしたりでとても格好良かったです。

アンコールは4曲でした。
あれだけの演奏をした後ですから、まさか4曲も弾いてくれるとは思ってもいませんでした。
クタクタになったことでしょうね。
素敵な演奏に対して感謝の拍手をすることは当然ですが、それが同時にアンコールの催促になるのは仕方ないことなのでしょうか。
途中からはもういいから休んでくださいと思いながら拍手をしていました。
最後に辻井さんが鍵盤蓋を閉じたのを見て、これでようやく休んでいただけると安心するとともに、彼のユーモアのセンスに笑顔にさせられました。

そういえば辻井さんは観客への感謝の言葉をマイクを使わず生声で伝えてくれました。
フジコ・ヘミングさんや反田さんはマイクを使っていました。
いくら音響に優れた会場とはいえ、生声で最後列の方まで聞こえるようにお話されるのには大声が必要です。
彼らしい誠実な大声に対して拍手で掛け合いができたことは幸せな時間でした。

辻井さんのピアノコンサートは終始とても気持ち良かったです。
ぜひまた行きたいと思います。

当日のプログラム
=====
 1.ベートーベン  ピアノ・ソナタ「テンペスト」
 2.リスト     巡礼の年 第2年への追加 「ヴェネツィアとナポリ」
 3.ラヴェル    ハイドンの名によるメヌエット
           亡き王女のためのパヴァーヌ
           水の戯れ
 4.カプースチン  8つの演奏会用エチュード


アンコール曲
 1.J・S・バッハ 主よ人の望みの喜びよ
 2.リスト     慰め第2番
 3.グリーグ    トロルドハウゲンの婚礼の日
 4.リスト     ラ・カンパネラ
=====


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2208~鮫島惇一郎さん

2023-03-13 12:49:30 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、鮫島惇一郎さんです。

新聞で「新・原色図譜エンレイソウ属植物」が刊行されたことを知りました。
その記事で、この本が「原色図譜エンレイソウ属植物」の増補改訂版であることや、収録されているエンレイソウの植物画が美しいことを知りました。
この手の本に目が無いので早速買おうと思いましたが、価格は何と3万円超え!
無理無理。
でも諦めきれず古い方の「原色図譜エンレイソウ属植物」を調べましたが、こちらも12,000円が最低価格・・・。
なおも諦めきれず著者・鮫島惇一郎さんの他の著作を調べました。
そこで見つけたのが、今回ご紹介する「画文集 北ぐにの花暦」です。
これならお手頃価格で、エンレイソウ以外の植物画もたっぷり鑑賞できそうです。
念のため本書についての情報を得ようとあちこち探しましたが見つからず、最後にたどり着いたのがニセコ町のHP。
有島記念館で2015年に開催した特別展・鮫島惇一郎植物画展「北ぐにの花絵本」の紹介コーナーで本書について触れていました。

特別展の紹介文を引用します。
=====
植物画(ボタニカルアート)は、植物を見分けるのに必要な図鑑に載せるために発達してきました。
したがって、対象となる植物を緻密に観察し、作者の誇張を加えることなく正確に描く必要があります。
また、実物大で描写し、背景を白とするなどの決まりもあります。
しかし、そのような制約はあるものの、そこに宿る美しさに惹かれて、近年、日本では植物画を描く愛好者が増え始めています。

鮫島惇一郎さんは、少年時代、学校の先生の影響から植物に興味を持ち、植物のスケッチをはじめます。
そして、北海道大学に進学して本格的に植物を研究するとともに、北海道に生きる植物を今に至るまで多く描いてきました。
本展では、滝川市美術自然史館に収蔵されている鮫島さんの植物画コレクション110点をご紹介します。 
鮫島さんの植物画を観たあとは外に飛び出し、豊かな自然に囲まれた有島記念館周辺に生きる「草」や「花」、「木」に触れてみてください。
もうその時はきっと、今までは名もなき植物と思っていたものにも、名前があり、季節ごとの美しさがあることをみなさんは知っているはずです。
そして、これからは、いつも何気なく歩いている道でさえも、そこに根付く植物との出会いに満ち溢れ、今までとは違った風景の見え方がして、日々の生活に楽しみがひとつ加わるのではないでしょうか。

鮫島惇一郎略歴
1926年、東京市(現・東京都)生まれ。幼い頃、札幌に移り住む。1950年、北海道大学理学部植物学科卒業。同大理学部助手などを経て、1956年、林野庁に出向し、農林省林業試験場北海道支場育種研究室に勤務。育種研究室長、造林第二研究室長を歴任し、1985年辞職。現在は「自然環境研究室」を主宰し、自然観察や自然環境保護などについて講演や執筆活動等を行う。

主な著書は『エンレイソウ』(1974年、北海道テレビ放送)、『草と樹』(1977年、北海道新聞社)、共著『北海道森と林』(1979年、同)、共著『札幌から見える山』(1981年、北海道大学図書刊行会)、共著『新版北海道の花』(1977、同)、共著『原色図譜エンレイソウ属植物』(1987年、同)など多数。このほか、長らく雑誌『北方林業』の表紙写真とそれに添えるエッセイを手がけ、それらをまとめた写真集『北方林業表紙写真集』(北方林業会)を1999年、2008年、2013年に刊行している。

当企画展で展示している作品を収めた『画文集 北ぐにの花暦』(1800円)も好評発売中です。
=====

ナルホド、著者は植物研究者であり自然愛好家なのですね。
科学者の目と愛好家の目で北海道の山野草を見つめ、美しく描いたのです。
ひとつ見つかると続けてもうふたつ本書に関する情報が検索できました。

ひとつは「北方山草会」という会のページです。
本書の植物画が北方山草会で年に1回発行している会誌の表紙を飾っているそうです。
最新の2022年版は第39号で、第1号から第30号までは坂本直行氏の植物画を表紙に使っており、第31号からはこの会の顧問である鮫島氏の「画文集 北ぐにの花暦」掲載の植物画を表紙に使っているとのこと。
どちらの植物画も山野草好きには魅力的だということですね。

最後は「大雪山から育まれる文献書誌集」というページの文献目録です。
=====
花の絵本 画文集 北ぐにの花暦鮫島 惇一郎 / 北方林業会2008 / 723- サ花の営みを五感で勝手に受け止めていると語る著者の植物画 110 点、文章と学名を添えている。イワギキョウには、黒岳石室に駆け込んできた中学生、「引率の先生が危ない」という救出劇の思い出、ヨツバシオガマは忠別岳を下って平ケ岳への登りでヒグマと遭遇した思い出を書いている。
=====

著者は「花の営みを五感で勝手に受け止めている」と語っているのですか。
何だか牧野富太郎博士の「私は植物の愛人として生まれ来た」という言葉に通じるものがありますね。
著者の植物愛の深さがドーンと伝わってきました。

さてさて予習はここまで。
早速植物画を鑑賞しつつ著者のエッセイを楽しむことにしましょう。
感想については、植物画が110点もあるので、少しずつ書きためていくつもりです。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お気に入りその2207~たくさんのふしぎ

2023-03-11 12:57:11 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎです。

「たくさんのふしぎ」シリーズの新刊タイトルが2024年3月まで出ていました。
そのうち興味があるもの7冊をピックアップして予約しました。

2023年5月号 「種から布をつくる」
        手間がかかるけれど、とても楽しい木綿作りを紹介する絵本。
2023年6月号 「光るきのこ」
        日暮れの森。小さなきのこが、ほのかな光をはなち始めます。
2023年7月号 「沈没船はタイムカプセル」
        元寇の船や海賊船、古代の船。世界中の沈没船にご案内します。
2023年8月号 「犬と川下り」
        ユーコン川を、2匹の犬とともにイカダで旅した記録。
2023年9月号 「光合成をやめた植物」
        緑色をしていない、ちょっと変わった植物たち。
2023年10月号 「色」
        石や生きものから、昔の人たちはどうやって色をつくりだしたのか。
2023年12月号 「恐竜の復元」
        だれも恐竜を見たことないのに、姿を知っているのはなぜ?

400冊以上発行してきて今もネタが尽きないことに感心します。
以上終了、というのでは短すぎるので最新刊について感想を書きます。

2023年3月号 「津津浦浦」
内容紹介を引用します。
=====
「○○津」「○○浦」と、津や浦の字がつく駅の名前が多いのはなぜ? 
疑問に思った作者が、地図の上でその駅を線でつなぐと……日本列島の形になる! 
さんずいの字が名前につく駅について、本で調べ現地の人の話を聞き、鉄道がどんなところにしかれているのか、探っています。
この山がちで平地が狭い日本に鉄道を通した、昔の人の苦労に思いをはせます。
=====

「津や浦の字が付いた駅名を線で結ぶと日本列島の形になる」というのはちょっと大袈裟です。
本州以外は形になっていないと思います。
でもさんずいが付く漢字の駅名を線で結ぶと日本列島の形が現れてきます。
このことから、できるだけ海岸に近い平らな所に線路を通したことと、人や物の輸送に便利な所に駅を作ったことが判ります。
ナルホド納得の理由があるものです。
著者はさらに川の字が付く駅名を調べ、鉄道普及前は川が物流に使われていたことを知ります。
荷を積んだ船が川を下り、河口で荷を下ろすと、代わりの荷を積んで人が曳いて川を遡上したそうです。
著者はもうひとつ興味深い調査をしています。
内陸なのに海の字が付く駅名を調べ、3000年前の海進期に内海があり、やがて潟となり現在は平地となったことを突き止めました。
駅名・地名には歴史が詰まっていることを実感しました。
気軽に改名すべきではありませんね。

なお本書には路線図や地図がたくさん出てきますが、こういうものを見慣れない私にとって、文章と照らし合わせるのは大変でした。
不慣れな人にもわかりやすい説明やマーク付けをして欲しかったです。
私が色弱で老眼のせいもあったかもしれませんが・・・。

最後におまけ。
本書を読みながら考えたことです。
北海道にはアイヌ語を元にした地名が多いので、津や浦がつく地名が少ないです。
その代わりに○○ベツとか○○ナイという地名がやたら目立ちます。
どちらもアイヌ語の「川」を表す言葉で、ベツは水かさが増すとすぐに氾濫する危険な川を意味し、ナイは氾濫しない川を意味するそうです。
ちなみにベツやナイが付く地名をいくつか挙げます。
 ベツ ⇒ 紋別、門別、然別(しかりべつ)、士別など
 ナイ ⇒ 稚内(わっかない)、岩内、神恵内(かもえない)、歌志内など
これらの地域の川について調べると本書のように興味深い歴史を知ることができることでしょう。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする