鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその897~花鳥画鑑賞

2014-04-30 12:50:50 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、花鳥画鑑賞です。

科学と芸術が一体となった博物図版を鑑賞することが大のお気に入り。
これまでいろいろ鑑賞してきました。
時には「芸術性の高い博物図版」の隣人である「花鳥画」も楽しみました。
それが、喜多川歌麿の狂歌絵本「画本虫撰」であり、歌川広重の「魚づくし」でした。
花鳥画なのに虫や魚?と思われる方もいるでしょうが、花鳥画には花や鳥だけでなく虫や魚も含まれるのです。

さて今回は花鳥画の膨大なコレクションの展覧会図録をご紹介します。
それは「甦える美・花と鳥と」ロックフェラー浮世絵コレクション展図録です。
同展は1990年に大阪市立美術館で開催され、浮世絵の花鳥画コレクションが400点も展示されました。
このコレクションは、アメリカ東海岸のプロビデンス市にあるロードアイランド・スクール・オブ・デザイン美術館から貸し出されたものです。
展覧会名からも判るように、元々はロックフェラー2世夫人の蒐集品です。
さすがに世界のロックフェラー、よくもこれだけ膨大な作品を蒐集したものです。

喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重をはじめとする絵師たちの美しい花鳥画が一堂に会し、会場は壮観だったことでしょう。
残念ながら図録でしか鑑賞できませんが、図録の内容がとにかく濃いです。
これまで別々の図書で鑑賞していたものや、初めて目にするもの。
ページをめくってもめくっても次々登場します。
図録の前半にはカラーで190点、後半にはモノクロで210点、合計400点の作品が載録されています。
同じ版木を使った花鳥画の初刷りをカラーページに、後刷りをモノクロページに載録しているケースもいくつかありましたが、やっぱりすべてをカラーで鑑賞したかったです。

また本書は解説ページが予想外に面白かったです。
杉浦日向子と渡辺文雄の対談や生物学者による種の同定、バード・カービングなど、多岐に渡る話題が提供されています。
特に花鳥画に登場する生物のほとんどが科学的には正しく描かれていない、ということに驚きました。
正確なスケッチよりも様式化した美を追求したということのようです。

今回久しぶりに花鳥画を鑑賞して思い出したことがあります。
以前は美しい手仕事を追って浮世絵図録ばかりでなく復刻作品やお手頃の本物を入手して鑑賞していました。
けれどもこのところはそれから遠ざかり、代りに美しい博物図譜ばかりを追っていました。
本書を契機に再び浮世絵や狂歌本などにも目が行きそうな予感がします。
今回取り上げた図録はそんな力を秘めた魅力的な図録でした。


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お気に入りその896~枝廣淳子さんのメルマガ

2014-04-28 07:17:18 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、枝廣淳子さんのメルマガです。

環境ジャーナリストの枝廣淳子さんのメルマガを数年前から読んでいます。
先日の記事が心に響きましたのでご紹介します。

枝廣さんは、東京電力柏崎刈羽原発のある新潟県柏崎市で、市民が立場や考え方の違いを超えて、エネルギーや産業や雇用、暮らしなどを話し合うシンポジウムや出前講座に深く関わっているそうです。

柏崎のこの事業について、昨年末に出された池上彰さんの著書『池上彰が読む小泉元首相の「原発ゼロ」宣言』のあとがきに次の様に書かれていたことをメルマガで紹介しています。

~ここから引用~

(前略)委員の顔ぶれを見ると、商工会議所や商工会など原発推進派もいれば、反対運動をしてきた人たちも入っています。
意見の異なる人たちですが、地元を愛する気持ちは同じ。立場を超えて、議論を続けています。環境ジャーナリストの枝廣淳子さんがコーディネーター役を務めて、勉強会も開いています。
この11月、私も招かれて、委員の人たちと会いました。
賛成派と反対派は、それまで犬猿の仲だったのですが、たびたび会を重ね、ときには一緒に酒を酌み交わすことで、お互いの間に信頼が生まれてきています。
「君の意見に賛成はしないが、君がそう考える気持ちはわかる」
賛成派も反対派も、異口同音に、こう語っていました。
小泉発言をきっかけに、未来の日本をどう構想するか、議論の輪が広がることを期待します。
2013年12月 ジャーナリスト 池上彰

~引用ここまで~

「君の意見に賛成はしないが、君がそう考える気持ちはわかる」
この言葉、素敵ですね。
世の中、いろいろな場所でいろいろなことが議論されていますが、相手を言い負まかすテクニックばかりが重視されているように思います。
柏崎のように立場を超えた信頼関係の上にこそ建設的な議論が生まれるはず。
多少回り道をしてでも、そういう大人の議論をしたいものです。



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お気に入りその895~キャプテン・フィリップス

2014-04-26 07:04:01 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「キャプテン・フィリップス」です。

前回に引き続き映画の話題です。
トム・ハンクス主演「キャプテン・フィリップス」(2013年公開)をDVDで観ました。
2009年に発生した「マースク・アラバマ号」乗っ取り事件でソマリア海賊の人質となったリチャード・フィリップス船長を描いた伝記映画です。

映画の冒頭シーン。
ソマリアの海岸で海賊が貨物船襲撃の同行者を募っています。
たくさんの男たちが名乗り出て、海賊が有能そうな男を数人をピックアップします。
体格の良い男や威勢の良い男を選んだようですが、驚くのは誰もがかなり英語を話せること。
英語が話せるか否かを基準にして選んだ訳ではないのに・・・。
改めて英語が世界標準言語であることを思い知らされました。
そして我が身の英語力では海賊にさえなれないことを実感しました。

この映画は予告では乗組員を救うために船長が人質になった英雄譚として紹介されていました。
けれども映画を観ると、海賊たちに金を渡し救命ボートで去るように説得したが、操舵方法を説明している内に人質として連れ去られたことになっています。
さらに取材された元乗組員から真実とはかなり違うと指摘されており、とても英雄譚として語られるほどのものではなかったようです。

という訳で、伝記映画というよりはフィクションとして楽しみました。
船長と海賊のやりとりは真に迫っており、海賊の襲撃、人質誘拐などの被害者と加害者の心模様をうかがい知ることができました。
こういういつ命を失ってもおかしくない災厄が、我が身に降りかからないことを祈るのみです。

この映画は事件が起き、解決されたというシンプルな映画。
トム・ハンクス主演「ターミナル」のように災厄に直面した主人公が人間力の輝きを見せる、というような素敵な展開はありません。
また奇跡の生還を果たしたアーネスト・シャクルトンのような語り継がれる活躍もありません。
そんな得るところの少ない映画でしたが、池波正太郎が書いたように、金をかけた映画には他にも見どころがあります。
最後にこの映画で学んだことをいくつか書きます。

貨物船の海賊対策の装備は放水のみ。身を守るにはあまりに心細い状況であること。
ソマリアの海は外国船による乱獲により魚が獲れなくなり、漁師は失業状態であること。
アメリカ海軍はソマリア沖を警戒していること。
逮捕された海賊はアメリカの法で裁かれ、アメリカの刑務所に服役すること。
人は死の恐怖に長時間さらされて極限状態におちいるとショック状態になり、冷静な判断ができなくなること。
その場合、解放後でさえ「呼吸をしてください」という呼びかけが繰り返し必要になること。

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お気に入りその894~陽だまりの彼女

2014-04-24 07:41:23 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「陽だまりの彼女」です。

楽しみにしていた映画「陽だまりの彼女」がレンタル開始になり早速観ました。
原作がお気に入りなだけにぶち壊しになっていないか心配でしたが良い作品に仕上がっていました。
切ないラブストーリーに知らず知らずの内に涙が頬を伝っていました。
これもお気に入りの映画の仲間入り。
近いうちにもう1回観るぞ! そう思える素敵な映画でした。
そんな風に思える映画に出会ったのは4年ぶり。「今度は愛妻家」以来です。

「陽だまりの彼女」は原作を読んだときに、きっと映画化するだろうなと思いました。
そして主役の渡来真緒役は上野樹里しかいないとも思いました。
実際に映画を観て、やっぱり上野樹里ははまり役でした。
彼女のための原作!といっても良いくらいだったと思います。
意外だったのは風采の上がらない奥田浩介役を松本潤が演じたこと。
女性ファンを観客動員するための策でしょうが、それでも彼はいけてない青年の役を丁寧に演じていて好感が持てました。
そして今回中学生時代の真緒を演じた葵わかな。
彼女がとてもよかったですね。
上野樹里と同じ空気を持っていてぴったりでした。
いくらなんでも上野が中学生時代を演じるのは無理。
この映画の成功の半分は葵がいたからだと思います。
映画「20世紀少年」の成功はその半分が子役たちのおかげだったのと同じです。
(誰もそんなことは言っていないかもしてませんが私は勝手にそう思っています)

話は変わりますが、映画のラストシーンはきっと原作と違うだろうな、と漠然と思っていましたが案の定でした。

原作では「絶望からの救い」にしてはかすかな希望に過ぎるラストシーンに少々不満を感じました。
「陽だまり」のほのぼの感がラストでスパッと切れ、いつかまた来世で必ず!といわれてもねぇ・・・と思ったものです。
その点、映画では原作のラストシーンをもうひとひねりしており、観る者により具体的な希望を感じさせてくれました。
スパッと切れたはずのラストが不思議な出会いにより一転、新しい物語が始まる予感で幕を閉じます。

あなたは原作と映画、どちらのラストシーンがお好みですか?
どちらもそれぞれアリですが、私はやっぱりハッピーエンドがお気に入りです。

「カフーを待ちわびて」のときもラストシーンは原作と映画で違っていました。
あのときも今回の映画と同じで「かすか過ぎる希望」と「具体的な希望」の違いでした。
そして今回と同様、映画のハッピーエンドのラストシーンがお気に入りです。

いい歳のおっさんがラブストーリーで感動して語るのは気持ち悪いかもしれませんが、正直な感想を書きました。
お許しください。

最後に。
まだご覧になっていない方は、とりあえず公式サイトのコピーを引用しますので検討材料にしてください。
=====
“松本潤&上野樹里 出演、“女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1”待望の映画化!
10年ぶりに再会した彼女の”不思議な秘密”を知ったとき、恋は奇跡のハッピーエンドへ!
驚きと嬉しさに涙があふれる、永遠のファンタジック・ラブストーリー!
2013年10月12日(土)全国公開
=====

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お気に入りその893~図鑑の博物誌

2014-04-22 12:07:18 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「図鑑の博物誌」です。

随分前に集英社文庫の「増補版 図鑑の博物誌」(1994年発行)を読みました。
そこには18~19世紀の美しい動植物図鑑がたっぷり紹介されていました。
まだ今のような写真技術や印刷技術がなかった時代に、細密版画を多色刷や手彩色などで仕上げた博物図版があったのです。
そしてこれまでその美術的価値を論じる者がいなかったと書かれていました。
その後、そのような美しい博物図版をできるだけ大画面で鑑賞すべく、図録や図鑑を蒐集してきました。

先日、「英国鳥類図譜」という図鑑を入手し、関連記事を調べている時に、「図鑑の博物誌」に記載があることを知りました。
久しぶりに「図鑑の博物誌」のページをめくりました。
ところがいくら探しても該当する記載が見つかりません。
おかしい、これはもしや・・・。
タイトルに「増補版」とありますが、実はそれと同時に「改訂」もしているのではないか?という疑念が湧きました。
偶然にも最近、横山光夫著「原色日本蝶類図鑑」が元本と増補改訂版で解説文が大きく違うことを経験したばかりだったのです。
早速「図鑑の博物誌」の元本を入手することにしました。
元本はリブロポートの「図鑑の博物誌」(1987年発行)です。
届いてすぐにページをめくり、内容が大きく違うことを知りました。
図版も”もくじ”も違います。
文庫版は元本を大きく増補&改訂していたのです。

まずは必要だった「英国鳥類図譜」に関して論じている部分を拾い読みし、その後は再度頭から読み通しました。
これだけ改訂されていると別の本のようでした。
荒俣氏の博物学に関する著書はほぼ読み尽くしたと思っていたので、まるで新刊を手にした気分で楽しみながら読みました。
特に荒俣氏の後期の著書では同じ著者や画家による図鑑を繰り返し紹介していますが、元本は荒俣氏の初期の著書のため後期には紹介していない図鑑をたくさん紹介しています。
はじめは「英国鳥類図譜」の資料として購入しただけでしたが、偶然とはいえ、良い本に巡り合ったと満足しています。
元本は博物図版の美術的評価を論じた著者の原点ともいえる著書であり、文庫版をお気に入りの方にはこちらも読まれることをおすすめします。


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お気に入りその892~ときめき昆虫学

2014-04-19 07:29:35 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ときめき昆虫学」です。

メレ山メレ子著「ときめき昆虫学」。
???
著者の名前 怪し過ぎ!
どこかの書評で面白いと紹介されていました。
まだ出版されたばかりでカスタマーレビューは1件しか書き込まれていないので、迷うところ。
勘を信じてAMAZONに注文しました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
この胸の高鳴りはなんだ!?
あなたの中に眠る「虫スイッチ」を押す一冊、ついに誕生!

かわいい、かっこいい、そしていとおしい。
そんな虫たちの魅力を、現代の虫愛づる姫君・メレ山メレ子が綴ります。

いわゆる“虫屋"でも研究者でもない一介のOL・メレ山メレ子が、わたしたちの身近なところにいる20の虫について、日本、はたまた世界へ飛び出し体当たりで総力取材。
等身大の言葉でもって語られる虫たちの、なんといとしきことよ……!
Web文芸誌・マトグロッソの連載「ときめき昆虫学」を単行本化。
=====

現在、AMAZONの昆虫学ジャンルで第1位を独走中。きっと面白いに違いない。

先日届き早速読み始めました。
一言でいうと、虫好きのOLが虫屋に同行した体験記ですね。
言葉の使い方や比喩の仕方がとても面白いです。
虫たちの声を勝手に代弁するところが絶妙で、串田孫一の「博物誌」を髣髴とさせます。
今は半分くらい読んだところ。
もくじを辿りながらいくつか感想を書きたいと思います。

①チョウ
②ハチ
③アリ
 何とかっていう種類の女王アリの生態に驚く。
 別の種のハタラキアリを襲ってそのニオイを身にまとい、巣に潜入。
 そこの女王アリの首根っこにかみついて徐々に弱らせ、十分ニオイが移ったら殺して、巣を乗っ取るのだそう。
 ただし巣への潜入に失敗して殺された女王アリも見かけるそう。
 また別の種の女王アリは、巣に潜入後ハタラキアリたちをそそのかして、そこの女王アリを殺させ、巣を乗っ取るそう。
 社会性昆虫の代表格であるアリの世界って、身につまされる話が多いね。
④クモ
 クモ相撲を復活させ町の一大行事にしたエピソードが面白い。
⑤ホタル
 虫嫌いが唯一愛する虫だそう。
 ホタルの復活による地域おこしっていい話だと思ってたが、自然への悪影響の可能性が高いことを知った。
⑥タマムシ
⑦ダンゴムシ
 から煎りしてポップコーンのようにはじけたら食べるのはパス。
 いろいろな昆虫体験ができる保育園で園児の一番人気はこれだそう。ナルホド。
⑧トンボ
 シオカラトンボの♂型♀の話。
 シオカラトンボは♂♀の外見が全く違い、それを二体型というそう。
 ♀はムギワラトンボともいわれる当たり障りのない外見です。
 時々♂と同じ外見の♀がいるそうで、それが♂型♀。
 一見♂同士が交尾しているように見えるので、もし見かけたらボーイズラブを想像して凍りつくと思います。

今は「⑨ガ」を読み始めたところ。
残り半分、メレ山メレ子の「ときめき昆虫学」をたっぷり堪能したいと思います。
なお残りの虫たちは次の通りです。

⑨ガ
⑩セミ
⑪カイコ
⑫ゲンゴロウ
⑬クマムシ
⑭バッタ
⑮コガネムシ
⑯カタツムリ
⑰コオロギ
⑱ダニ
⑲オサムシ
⑳ゴキブリ

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お気に入りその891~竹鶴政孝パート225

2014-04-18 07:51:51 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート225、一号ウヰスキーです。

ついに憧れの「一号ウヰスキー」がネットオークションに出品されました。
昭和15年に発売が開始されたニッカ最古のボトルです。
前回出品されたのは2011年7月。
あのときはスタート金額が50万円!ということで入札参加さえできずにあきらめました。
その日のブログには次のようなことを書きました。
=====
ニッカウヰスキーの歴史に燦然と輝くボトルだけに高値がつくことは当然でしょう。
理想としては未開封でラベルがしっかりしたものが欲しいですが、現実問題として自分のサイフと相談すると、中身が無くても、フタが無く

ても、ラベルに多少欠落があっても・・・と譲歩を繰り返し、妥協するしかないと思っています。
=====
あのときはいったいいくらで落札されたのでしょう?

さて今回は箱付き、梱包材付きという前回を上回る完品のボトル。
前回以上の高値がつくことは必至と思われます。

竹鶴政孝とニッカウヰスキーをこよなく愛するオールドボトルコレクターとしては、いつかは挑まなくてはならない重大な場面です。
さあどうする? 自分に問いかけます。
今回のスタート金額は1万円ですが、当然50万円を超えるでしょう。
でもNHKの朝ドラ「マッサン」が始まり、話題が広まってからだともう一段値が吊り上るはず。
だったら「今でしょ!」。
いざとなったら以前、家庭用の陶芸窯を買った時のように向こう3年間銀行返済する覚悟を決めて入札に臨みました。

オークション終了30分前、ついに戦いの火ぶたが切って落とされました。
あっという間に値が吊り上っていきます。そしてついに100万円の大台に乗りました。
結局110万円弱で落札されました。
あの勢いを見ると競り合う相手がいればまだまだ高額になったと思います。
途中で脱落しましたが、3年返済を5年返済に延ばしても勝てなかったと思います。
さすがはニッカウヰスキーオールドボトルの頂点に立つボトル。
改めてファン垂涎のボトルであることを実感しました。

そしてきっといつかは手にしよう・・・そう心に誓いました。
もちろん完品が望ましいですが、我が身の経済状態を考えると空瓶、フタなし、ラベル一部欠損でもやむなしといったところ。
それでさえもきっと高値がつくことでしょうが・・・。
いずれにしてもこのあこがれのボトルをあきらめる訳にはいきません。
次の出品を心待ちにしています。

コメント (6)
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お気に入りその890~大野麦風

2014-04-16 07:24:23 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、大野麦風です。

以前「大野麦風と大日本魚類画集」展図録を取り寄せたときの話を書きます。
本書は姫路市立美術館が2010年に開催した展覧会の図録。

大野麦風の「大日本魚類画集」は、大野麦風が描いた原画の美しさと伝統的な木版画の高度な技術が合体したことで、見事に美しく仕上げられた魚類画集で、昭和12年に限定500部が発行されました。
荒俣宏氏の「世界大博物図鑑」で半数ほど紹介していて、いっぺんにファンになりました。
できることならそのすべて(全72点)をまとめて鑑賞したいと思い、画集を探しました。
ところが現在の出版物では「大日本魚類画集」のすべてを載録したものを見つけられませんでした。
また古本では1枚数万円または1揃い数十万年という高価な画集しか見つけられませんでした。
当然本物なんて入手は無理。
どこかで「大日本魚類画集」の全てを載録した安価な画集を出してくれないものかと思っていました。

ところが偶然、最近、東京で大野麦風展が開催されたことを伝えるHPを見かけました。
そこには展覧会図録を販売したと書いてあります。
そうです、その手があったのです!
その展覧会はすでに終了していましたが、その図録をどこかの古本屋さんで販売していないかな?
と思い「日本の古本屋さん」というHPで探すと1店だけHITしました。
早速注文をすると翌日、店頭販売で売却済みという知らせが届きました。
とても残念でしたが、諦めきれません。

そこでまた無い知恵を絞りました。
今度は美術館の図録販売のルートを探すため、「大野麦風」「美術館」というキーワードで検索しました。
するといくつかの美術館で、かつて大野麦風展を開催したことがわかりました。
そしてそれらの美術館で図録を制作販売し、まだ在庫があって通信販売しているかを調べました。
すると姫路市立美術館に該当する図録があることを発見しました!

そういう訳でやっと手にした大野麦風の「大日本魚類画集」展図録。
以前、神戸市立美術館から「小磯良平が描いた薬用植物画」を入手したときも手こずったことを思い出しました。

こうした苦労が愛着を生み、他の図録以上に端から端まで大切に鑑賞しました。
全72点の作品の他、原画、摺り見本、そして関連作品や解説文までを堪能しました。
摺り見本には大野麦風の細かい指示がたくさん書き込まれています。
「大日本魚類画集」の大成功により依頼が寄せられ制作した魚類画33点も見事でした。

解説文から面白かったエピソードをいくつかご紹介します。

「大日本魚類画集」の題字は谷崎潤一郎と徳富蘇峰という有名人が書いています。
これは大野麦風と谷崎潤一郎が同じ居酒屋の飲み友達だったからだそうです。

「大日本魚類画集」は「本邦最初の魚類生態画」「原色木版二百度摺り」というコピーで500部限定発売という発行当時から好事家の興味をくすぐる仕掛けが満載でした。

大野は生来魚が大好きだったこともあり、細密な魚類生態画を制作するため、昭和12年当時とても珍しかった潜水艦で深度40~50mまで潜り魚の生態を観察・スケッチしたそうです。

最後に。
髪の毛1本1本を描ききる浮世絵の版画技術により日本の木版画は信じられない細密さと美しさを表現します。
花の版画では、加賀正太郎の「蘭花譜」がこれまでで一番細密で美しかったと思います。
魚の版画では、今回の大野麦風の「大日本魚類画集」が一番だと思います。
博物図版について最も目が肥えていると思われる荒俣宏氏も日本で一番の魚譜であると太鼓判を押しています。
まだ見たことがないという方はネット上ででも一度ご覧になることをおすすめします。



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お気に入りその889~英国鳥類図譜

2014-04-14 07:34:40 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「英国鳥類図譜」です。

先日ネットオークションで「英国鳥類図譜」が出品されました。
全6巻がバラで売りで出ていたので、この機会に何としても1冊だけ入手したいと思いました。
万が一にも1冊も落札できないということがないように、念のため複数冊で入札参加しました。
入札し、高値更新され、また入札する、ということを繰り返している内に、うっかり2冊落札してしましました。
1冊数万円もする高価な本を2冊も買うことになるとは思ってもいなかったので、落札が決まったときには頭を抱えました。
思いきり予算オーバーです。
オークションの難しさを改めて実感しました。
今後しばらくの間は欲しい本やウイスキーがあっても控えなくてはなりません。シクシク・・・。

そんな愚痴を並べていても仕方がありません。
こうなったら関連資料をとことん調べて、今回の図譜をたっぷり楽しもうと思います。

本書の原題は「A history of British birds」。
日本では「英国の鳥の歴史」「英国鳥類図譜」「英国鳥類史」「英国鳥類誌」などというタイトルで紹介されています。
1851年から1857年にかけて全6巻がロンドンで刊行されました。
300葉に及ぶ細密な原色図版を収め、イギリスで最初の普及版鳥類図譜として爆発的な人気を呼びました。

著者は、F.O.モリス(Francis Orpen Morris、1810年~1893年)。
イギリスの牧師、博物学者、英国王立鳥保護協会の初期設立メンバー。

図版画家は、B.フォーセット(Benjamin Fawcett、1808年~1893年)。
版画技法は、Wood Engraving / 木口(こぐち)木版画、Hand Coloured / 手彩色。
別の資料では「多色木版画手彩色補助」と紹介されています。
フォーセットによる多色木版画に、彩色画家であるフォーセット夫人が手彩色して仕上げたということでしょう。

今回無理をしてでも何とか入手したいと思ったのには理由があります。
私が博物図譜の鑑賞にハマる原因になった荒俣宏氏が著書の中で本書を褒めている上、図版を載録しているのです。
荒俣氏のコレクションと同じ図譜を入手するチャンスなんて滅多にある訳がありません。
彼が所有するオーデュボン、メーリアン、グールド、ルヴァイアン、ブロッホなど有名どころの図譜は金額の桁が違うので、宝くじにでも当たらなければ購入できません。
それを考えると今回はギリギリ手が届く貴重な機会。
そんな訳で何としても入手したいと考えたのです。

さて荒俣宏氏は本書をその著書の中で次のように紹介しています。

「世界大博物図鑑」
=====
図版1葉を載録。図書解説は次の通り。
=====
19世紀後半のベストセラー。
初版以来多数の版を重ねたのは、手彩色木版図357葉(後年には400葉まで増加)の美しさによる。
今日でもモリスの鳥類誌はビューイングのそれと並び英国民に愛されている。
=====

「図鑑の博物誌」(リブロボート)
=====
図版1葉を載録。図書解説と本文は次の通り。
=====
(F.O.モリスが)多色木版制作家ベンジャミン・フォーセットと組んで刊行した「英国鳥類図譜」(1851-1857)は300葉に及ぶ図版を収めた最初の普及版鳥類図鑑として爆発的な人気を呼んだ。
手がこんでいないがサラリとした各図版は木版の素朴さと色刷りの魅力を兼ね備え、かなり満足のできる作品となっている。
=====
油性ではなく水性---ときには水彩絵具を使って木口木版の彩色印刷を完成させたのは、ベンジャミン・フォーセットという人物だ。
かれはF.O.モリスの名著「英国鳥類図譜」に収められた美しい図版の制作者として知られており、その味わいは、日本の浮世絵の刷りあがりによく似ている。
かれはみずから手がけた印刷物を”クロモズィログラフ” Chromoxylograph(多色木版)と名づけた。
=====

最後に。
今回入手した2冊について。
1895年にロンドンで刊行された増補改訂第4版で、図版が394葉に増えています。
第4巻は、ライチョウ・ウズラ・ノガン・チドリ・ツル・サギ・コウノトリ・フラメンゴ・シギなどの図版が68葉掲載されています。
第5巻は、シギ・ツル・カモ・ハクチョウ・アイサなどの図版が68葉掲載されています。

木口木版という細密技法と手彩色の微妙な加減を1枚1枚堪能しています。
ときにはメガネを外して顔を寄せ、細部を観察。
気になる図版については英和辞典を片手に解説文を拾い読み。
今回は敬愛する荒俣氏が「かなり満足できる作品」と評した図版の美を共感できたことが最大の収穫でした。
それだけでも無理をして入手した価値があります。

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お気に入りその888~原色日本蝶類図鑑④

2014-04-11 07:28:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「原色日本蝶類図鑑」です。

久しぶりに横山光夫著「原色日本蝶類図鑑」について書きます。
この図鑑について書くのは4回目です。
他の図鑑にはない詩情溢れる解説文がお気に入りで、ときどき本棚から取り出しては拾い読みしています。

解説文には著者の思い出や思い入れがたくさんつづられています。
それは素人の私が読んでも蝶の同定には役に立たないだろうな、と思う記述です。
当然、関係者からは賛否両論があったことでしょう。
その後、別の著者による全改訂新版に変わりました。
でもこんな著者の思い入れたっぷりの図鑑がたまにはあっても良いはず。
そう思う容認派は私だけでしょうか?

横山版の図鑑の容認派ってどれくらいいるのでしょう?
インターネットで「横山光夫」「原色日本蝶類図鑑」という2つのキーワードで検索すると、容認派は結構いるようです。

いまだにボロボロになった横山版を大切に読んでいるロマン派。
横山版と全改訂新版の2冊があれば今でも同定できると豪語する人。
子どもの頃の入門書は本書だったという郷愁派。

みんな「思い入れたっぷりに書かれた本書」が大好きだった、その心が伝わってきます。
横山版を読んで蝶を追うロマンにはまり、専門家になった人もいるでしょうね。
ファーブル昆虫記を読んで専門家になった人がいるように・・・。

図鑑には正確さと分かりやすさが必要ですが、その字数を削ってでも著者の感動を伝えることも必要だと思います。
それが研究の夢とロマンを如実に伝え、次代の専門家を生み育てる道だと思います。

さて前置きが長くなりました。
久しぶりに本書について書くことにしたのには理由があります。

先日、あるブログに本書の解説文が引用されており、相変わらず詩情あふれる記述が素晴らしいなぁと感心していました。
他の解説文も読みたくなり本棚から出してきて手始めに該当項目を読むと、ブログの文章と微妙に違います。
そういえば手元の本は若林守男氏による増補改訂。
どうやらブログの解説文は元本からの引用であり、手元の解説文は一部が削られたり、言い回しが簡略化されているようです。
元本と増補改訂の違いを改めて実感しました。
以前読んだ時に後半1/3に詩情あふれる解説文がほとんど無く、飛ばし飛ばし読んだことを思い出しました。
そのため後半だけを「増補」したと勝手に思い込んでいました。
実際は「増補」だけでなく「改訂」もしたので、前半部の詩情あふれる解説文にも手が加えられていたのです。

これまで横山光夫が書いたと思ってありがたく読んでいた解説文のほとんどが、実は若林守男の改訂が加えられたのかもしれない・・・。
そう思うと横山ファンとしては結構ショックでした。
それと同時にオリジナルの解説文を何としても読みたい!という強い衝動に駆られ、すぐさま「1954年初版」を入手しました。
これこそオリジナル。
こうして横山氏の詩情あふれる解説文を堪能しました。

ここで心に残った解説文をひとつだけご紹介します。
チョウセンシロチョウの解説文です。
横山氏の息子さんが満州の戦場から最期に送ってくれた手紙でこの蝶について触れていたため、特別な思い入れがあるという記述が解説文に織り込まれていたのです。
本書には詩情だけでなくそんな悲しい思い出まで込められていたことを知りました。
著者が自身の分身として本書を書き上げたことを強く感じ、だからこそ読者は強く惹かれるのだと思いました。

これからも時々大切に読みたいと思います。

さて今回このようなことがあった関係で、本書にどのような種類があるかを改めて調べました。
そうすると、増補や改訂などで少なくとも4種類あることが判りました。
それは次の通りです。

①元版
 江崎悌三 校閲、横山光夫 著
 1954年発行、初版
 A5判、本文125ページ+原色図版63ページ+和名索引6ページ

②増補版
 江崎悌三 校閲、横山光夫 著
 1961年発行、増補版
 B6判、本文153ページ+原色図版71ページ

③増補改訂版
 横山光夫 著、若林守男 増補改訂
 1965年発行、増補改訂版
 A5判、本文178ページ+原色図版74ページ

④全改訂新版
 白水隆 監修、川副昭人・若林守男 共著
 1976年発行、全改訂新版
 A5判、本文422ページ+原色図版72ページ

私が先に読んだのは③増補改訂版でした。
増補改訂版の冒頭で若林氏は、横山氏が1957年に亡くなったためやむなく出版社の依頼を受けたことや、奄美諸島が返還されて蝶の種類が増えたことで増補したこと、同定に混乱を招くおそれがある解説文を改訂したことを書いています。

また④全改訂新版の冒頭では川副氏が、沖縄や小笠原が返還されて蝶の種類が格段に増えたため全改訂したと書いています。

最後に。
今回本書の種類を調べるのに頼りにしたのは、南陽堂書店さんのHP。
北海道大学に隣接する古書店・南陽堂書店さんは2階が昆虫の専門コーナーで、昆虫好きにとっては宝の山です。
HPで昆虫関連古書の文献リストを公開しており、今回参考にさせていただきました。
同じ市内に住んでいるのに「日本の古本屋さん」という通販サイトを通して書籍を購入してばかりです。
駐車場がないのがその理由ですが、今年は自転車で行って、あふれんばかりの昆虫本の中で時間を過ごしたいと思います。

コメント
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