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鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1986~たくさんのふしぎ2

2021-01-29 12:53:46 | 鬼平
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ2です。
昨年たくさん読んだたくさんのふしぎ。
今年も早々に「たくさんのふしぎ」の第二弾です。

①「海は大きな玉手箱」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
回遊する何百何千の魚。
岩を覆う色鮮やかな動物たち。
潜って内側から見た海の息をのむ美しさを写真で報告。
=====
本書の内容紹介があまりに当たり障りないため読むかどうか迷いましたが、とりあえず読んでみました。
スキューバダイビングによる海中散歩の楽しさを疑似体験できる魅力的な写真絵本でした。
駿河湾という魚介類の宝庫が舞台なだけに、その多様さに目を奪われます。
海の中には全く別の生態系が広がっていることを実感できます。
とくに魚たちの身を守るための知恵がたくさん紹介されていて興味深かったです。
ただ冒頭で子どもたちがシュノーケリングで海の中を楽しく観察する場面があり、その後スキューバダイビングでより深みに行くという構成の方が子どもたちを魅了できたのでは、と思いました。

②「あみださま大修理」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
どの町にもお寺があります。
そしてお寺には、大切に伝えられてきた仏像がおさめられています。
あるお寺のあみださまは、長い年月を経るうちに汚れたりこわれたりしてきたので、修理されることになりました。
あみださまをていねいに運び、つくられ方をよく見て、少しずつばらばらにして・・・・・・。
慎重に慎重に修理されていきます。
修理をする人は、どんな思いで、どんなふうに修理をするのでしょう。  
=====
傷んだ仏像の修理過程を丁寧に描いています。
魂を抜くお経をあげることで「仏様」を「木像」に戻してから解体作業に入ります。
それでも作業をしているときは常に仏様を感じ緊張するそうです。
修理の過程で仏像は江戸時代初期、光背と台座は江戸時代後期の制作であることが明らかになります。
お寺が江戸時代に焼失したことが伝わっていることから、仏像本体だけを運び出したのではないかと推理します。
また修理の過程で元々の色や金箔仕上げが明らかになりその通り修復したり、台座の失われた飾りを同時代の台座を参考に補充したりします。
そして何より未来の修理で解体しやすいように組み立てることの大切さも知りました。
とても興味深かったです。
油絵や掛け軸などの美術品の修復、東大寺や唐招提寺などの建築物の修復などもシリーズの中に加えてくれるといいなと思います。
ちなみについ先日イギリスのヨークを散歩する番組で、教会の修復現場が取材されていました。
石工たちが破損した部分を作り直していました。
300年前の職人のサインが見えない部分に刻まれていることがあるそうで、その職人も300年後に向けてイニシャルを入れていました。
300年後の職人に対して恥ずかしくない仕事をしようとする熱意に魅力を感じました。
修復って一品ものが相手なのでとても大変そうですが、とてもやりがいのある仕事です。

③「カステラ、カステラ!」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
ふんわり、ほっこり、しっとりとしたお菓子、カステラ。
いまでは、誰でも知っているお菓子ですが、もとはといえば、ポルトガルからいくつもの海を越えてやってきたものでした。
どんな時代に、どんな人たちがこのお菓子を日本に持ちこみ、その後、どう日本中に広まっていったのでしょう?
また、今わたしたちが目にするようなカステラになるまでに、どんな工夫がなされたのでしょう? 
=====
カステラが元々ポルトガルから伝えられたことは外来語の代表格として一番に習ったはず。
本書ではそれを思いっきり掘り下げて調べています。
長崎が気に入ったため船を降りて地元の娘と結婚したポルトガル人がカステラを作りました。
作る過程でたくさんの卵の白身をまるでお城のように高くなるまで泡立てます。
城の意味でカステロと言っていたのがカステラになったようです。
やがて日本人たちもカステラを作り始めました。
日本にはオーヴンがないため、日本人は下からも上から熱を伝えるための専用鍋を考案してそっくりなカステラを作りました。
鍋の下だけでなくふたの上にも炭を置いて熱する仕組みで、カステラ鍋と呼ばれました。
その鍋が1台だけ現存するそうです。
この当時から日本人の工夫する力って凄かったのですね。
ちなみに本書の冒頭にはコロンブスやヴァスコ・ダ・ガマが遠く外洋へと冒険に乗り出したことが紹介されていました。
ガマはアフリカ南端を越えてインドにまで到達して戻りましたが、船員は1/3になってたと書かれていました。
当時の航海がどれだけ危険だったのかをあらためて知りました。

④「ガリヴァーがやってきた小さな小さな島」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
『ガリヴァー旅行記』によると、主人公ガリヴァーは、1709年6月9日、「ナンガサク」に着いたと書いてあります。
「ナンガサク」は、いまの長崎のこと。
その一角にある人工の小さな島が出島です。
そこは、鎖国状態にあった日本で、唯一、外国の風が吹き込んでいるところでした。
ガリヴァーの見た出島はどんな島だったでしょう? 
また、そこからどうやって、外国の文化が日本じゅうに広まっていったのでしょう?
=====
スウィフトの「ガリヴァー旅行記」は有名ですが読んだことがありません。
もともとガリヴァーといえば小人の国を訪れて捕まっているシーンをどこかで見たくらいしか知りませんでした。
その後もジブリ映画「天空の城ラピュタ」の舞台になったラピュタが「ガリヴァー旅行記」に登場したらしいと聞いたことがあるだけ。
どれもこれもあやふやな話。
今回、ガリヴァーが長崎も訪れていた事を知りびっくり。
ワクワクしながら本書を読みました。
ところが本書には「ガリヴァーが長崎でどんな冒険をしたか」ではなく、長崎に伝わった西洋の科学知識がどうやって日本に広められたかが書かれていました。
ガリヴァーの冒険を知ることができなくて残念でしたが、違う意味で興味深く読みました。
ポルトガル人たちは貿易を許される代わりに、毎年江戸を訪れて貢物を献上させられていました。
最新の医学書や工業製品、異国の動物たちなどを用意して長崎から江戸へ陸路で移動しました。
日本の医師は毎夜宿を訪ねて多くの質問をぶつけ、医学知識の吸収に励んだそうです。
後に江戸訪問は4年に1度に減らされたそうですが、鎖国中でもこのように西洋の知識に触れる機会があったことを初めて知りました。
タイトルに「ガリヴァー」の名を入れない方が本意が伝わる本になったと思います。


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お気に入りその1985~サテトム

2021-01-27 12:06:36 | 鬼平
今回のお気に入りは、サテトムです。
先日大好きなテレビ番組「博士ちゃん」で調味料の博士ちゃんが再登場。
また新たな調味料を紹介してくれました。
注目したのはベトナムの調味料「サテトム」。
一言で言えば「エビのエキスが入った食べるラー油」。
試食シーンではエビ嫌いのサンド・富沢を除いた二人が高評価。
特に愛菜ちゃんの評価の高いこと!
たまご掛けご飯とお好み焼きを絶賛し、他にも合いそうなメニューを次から次と挙げ続けました。
ふと我に返り次の調味料の紹介に移りましたが、相当気に入ったようでした。
早速入手し、妻とたまご掛けご飯と冷奴で味の決まり具合を確かめました。
まずはたまご掛けご飯。
想像より辛くてエビの風味が弱いけれど確かに美味しいです。
ただこれで「味が決まった」とは思えませんでした。
わが家の定番はたまご掛けご飯に牡蠣だし醤油であり、その美味さを超えるほどではありませんでした。
この食べ方は1年ほど前の「ジャンクSPORTS」で大栄翔関が紹介し、貴景勝関がお代わりをして食べていたものです。
大栄翔関は大相撲2021年春場所で平幕優勝して一躍有名になりました。
ちなみにジャンクには北天祐関の娘さん(モデル)もゲストで出演していました。
彼女は後日貴景勝関と結婚しましたが、お二人はこの番組で出会ったのでしょうか?
という話は横に置いといて、私のたまご掛けご飯は「サテトム+牡蠣だし醤油」で味が決まりました。
エビと牡蠣という海の美味しいもの同士、相性抜群です。
「博士ちゃん」を見て「サテトム」を買ったあなた!
「サテトム+牡蠣だし醤油」もぜひ試してみてください。
美味しいですよ!
続いて冷奴。
こちらは豆腐の水分でサテトムの辛みが薄まるため、とても食べやすかったです。
多めにかけることができるため、エビの旨味とレモングラスの香りを感じてとても美味しかったです。
まさに博士ちゃんの口癖である「味が決まった」瞬間でした。
今回も調味料の博士ちゃんは良いものを紹介してくれました。
3度目の登場を楽しみにしています。

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お気に入りその1984~Fire TV Stick

2021-01-25 12:04:16 | 鬼平
今回のお気に入りは、Fire TV Stickです。
年末に息子からアマゾンプライム会員なら無料で視聴できる映画やアニメがいっぱいある、と教えてもらいました。
その後、妻はどんなコンテンツがあるかをチェックしたようで、「星の王子ニューヨークへ行く」の続編が3月に公開されるのでそれまでに視聴できるようにしてほしいという実に具体的なリクエストがありました。
わが家のテレビをアマゾンに接続するにはどうしたらいいのでしょうか?
今どきのシステムは良く判りません。
いろいろ調べるとどうやらテレビの端子に「Fire TV Stick」というのを挿し、wifiにつなぐと良いようです。
まずはそのスティックを注文しました。
念のため製品紹介をコピーしておきます。
=====
Fire TV Stick 4K - Alexa対応音声認識リモコン付属 | ストリーミングメディアプレーヤー
Amazon Fire TVシリーズ史上もっともパワフルなStick、人気のFire TV Stick(第2世代)より80%以上もパワフル
・Alexa対応音声認識リモコンは、テレビの電源・音量操作・ミュートボタンで、対応するテレビの操作が可能に
・4K Ultra HD、Dolby Vision、HDR、HDR10+、Dolby Atmos対応で鮮明な映像、臨場感のあるサウンドを楽しめます
・Prime Video、YouTube、Netflix、Hulu、Apple TV、DAZN、ABEMA、ニュースやスポーツまでお気に入りのコンテンツを大画面で
・豊富な映画やビデオ、アプリ、Alexaスキル、またSilkやFirefoxからウェブサイトにもアクセス可能
・Alexaの様々な便利機能にも対応。楽曲の再生、スポーツの結果、天気予報も調べる事ができます
・さらにプライム会員なら、Prime Videoのうち会員特典対象の作品が追加料金なしで見放題。映画、ドラマ、アニメ、お笑い・バラエティ番組など充実のコンテンツ。また、Prime Musicで100万曲以上が聴き放題
=====
意味不明な用語がいろいろ登場しますが、最低限、Prime Videoとyoutubeを観ることができれば御の字。
Prime Videoは息子のお気に入り。
youtubeは娘夫婦のお気に入り。
年末年始のテレビのつまらなさに辟易していたので、この際、どちらも体験しちゃいましょう。
注文後すぐに届き、何とか設定作業を無事完了することができました。
その後「スラムダンク」を選んで視聴しながらリモコン操作を確認しました。
これで息子や娘たちのおすすめを視聴することができます。
ただこれまでもBS、CS、WOWWOWを契約していますがなかなか観る時間がありませんでした。
さらにチャンネル権もないので観たい番組があってもなかなか観ることができませんでした。
視聴できるコンテンツが増えても観ることができないのではないか?という不安もありますが、ネットにつなぐことで自分の都合の良い時間に自分の観たいコンテンツを観ることができるのは大きな魅力。
以前「チャングム」や「フリンジ」というボリュームのあるドラマを最終回まで観ることができたのだから、できないことはありません。
時間ができるのを待つのではなく時間は作るもの、と自分に言い聞かせました。
楽しみがまたひとつ増えました。


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お気に入りその1983~考古化学

2021-01-22 12:39:19 | 鬼平
今回のお気に入りは、考古化学です。
考古化学という言葉に惹かれ「元素は語る ~ 考古化学で読む元素図鑑~」を読みました。 
内容紹介を引用します。
=====
元素という教養は一生ものの武器!
古代文化財の謎を解く!
文系こそ読んで楽しい元素図鑑
■考古学と化学を結びつける元素
■「物質史」という考え方?
■日本人が発見し命名した元素 ニホニウム
■先史時代の壁画で黒の顔料になったMn(マンガン)
■医療に役立つ人類初の人工元素Tc(テクネチウム)
■Na(ナトリウム)はミイラの防腐剤になる
■印象派の画家に愛された黄色顔料Cd(カドミウム)
■ゴッホが愛した元素はCr(クロム)
■宝石の「色」を作り出すヒミツ!?
■人類最古の合成顔料はCu(銅)から!?
■金より高価な鉄が存在した!
■古代人は野菜(K)でガラスを作る!?
本書は、単に元素の性質などを紹介するだけでなく、元素そのものの美しい写真や用例の写真を掲載するとともに、わたしの研究テーマのひとつでもある美術や考古学、あるいは環境科学といった視座からも元素を解説し、最新の研究成果も盛り込みました。
気になる元素だけ拾い読みいただくもよし、写真をご覧になって、興味を引いた元素から読んでいただくのも歓迎です。
それでは、美しくて奥が深い元素の世界をご堪能ください。(はじめにより)
●我々は元素の中で生きており、元素という教養は一生ものの武器
我々は元素の中で生きており、元素図鑑は人生のガイドブック
=====
冒頭で古代ガラスのX線分析が紹介されています。
ケイ素の融点を下げるために混ぜた物質により、古代ガラスの産地が判るのだそうです。
法隆寺に伝わるガラス製品は中東で作られたものでした。
3000年も前に世界中のあちこちでそれぞれ違う配合でガラス器が作られていたことに驚かされました。
そういう話が次から次へと飛び出すのかと期待してページをめくると、各元素の解説ページは教科書的なものばかりでがっかりしました。
それでも時々書かれている考古化学の事例は興味深かったです。
ツタンカーメンのマスクは、黒目は黒曜石、白目は炭酸マグネシウム、アイラインはラピスラズリなど。
できればそのひとつひとつをどこで産出した材料をどう加工したのかまで考古化学で解析した結果をたっぷり書いてほしかったです。
でも「加賀前田家の“群青の間”の天井に使われていたのはウルトラマリンのブルー」という程度の小ネタが時々登場するだけ・・・。
元素図鑑だから周期表の順に元素をすべて紹介しなくてはならない、という考えに凝り固まっていたことが残念。
考古化学に興味があって本書を手にした私にとって、考古化学に関りが無い元素のページは無駄なページです。
すべての元素に興味があるならわざわざ考古化学と銘打った本を選びません。
・・・と苦情を書きましたが、実際のところは最新の元素活用情報、特にレアアースの面白さと美しい写真に導かれ、最後まで読み切ることができました。
いずれ考古化学の実例をたっぷり楽しめる本を見つけて読みたいものです。

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お気に入りその1982~コーヒーメーカー

2021-01-20 12:28:30 | 鬼平
今回のお気に入りは、コーヒーメーカーです。
昨年秋、妻から「これどう?」と聞かれ即購入したのが今回ご紹介するUCCのカプセル式コーヒーメーカーです。
カプセル式のコーヒーメーカーは一昨年、親戚一同で泊った大部屋で初めて使いました。
コーヒーだけでなく紅茶や緑茶も選べ、すぐに飲めたのでみんな大満足でした。
わが家でも使い始めて数か月、とにかくズボラな私にピッタリで、ルンバに次ぐお気に入り家電として満足しています。
まず使い方が簡単。
水とコーヒーカプセルをセットしてスイッチポンで美味しいコーヒーを淹れることができます。
わずかの時間で淹れ終わるので、二人続けて淹れても待ち時間は気になりません。
1人分ずつお気に入りのカプセルを選ぶことができるのも利点です。
使用後のお手入れがまた簡単。
カプセルとカプセルカバーを取り出し、カプセルは廃棄、カバーは水洗いすれば終わり。
まさに手間いらずで本格コーヒーが楽しめます。
休みの日は3杯以上コーヒーを飲むので朝のうちにたっぷり水をセットします。
メーカーでは9種類のコーヒーを用意しており、我が家は6種類をストックしています。
その時の気分で1杯ずつ味を変えたりして楽しんでいます。
あえて短所をいえばメーカーで用意していない銘柄が味わえないこと。
でもこれまでも銘柄にそれほどこだわっていませんし、どのブレンドも割と当たり障りない味わいなので気になりません。
以上の通り、こだわりの本格派には不向きですが、私のようなズボラなコーヒー好きにはピッタリ。
あなたがコーヒー好きならどちらを選びますか?

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お気に入りその1981~丸木俊の絵本

2021-01-18 12:12:26 | 鬼平
今回のお気に入りは、丸木俊の絵本です。
丸木俊・位里の「ひろしまのピカ」は魂が震える絵本でした。
「おきなわ 島のこえ ヌチドゥタカラ(いのちこそたから)」も同様。
人が巻き起こした決して忘れてはいけない悲しい出来事を丁寧に描いていました。
今回の「みなまた海のこえ」は上記2冊を含む「記録のえほん」シリーズ全3巻の3冊目。
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
「苦海浄土」の作者と「水俣の図」の画家の協力で生まれた絵本。
不知火海に死んでいった生きものたちの声が、読む人の心を打ちます。
第32回小学館絵画賞。
=====
「苦海浄土」が教科書に取り上げられたり、公害の授業があったりで水俣のことは多少知っていました。
今回は石牟礼道子と丸木俊の合作ということで大いに期待して読みました。
ところが水俣に住むキツネを主人公にしていることと地元の方言で書かれていることで、理解しづらい箇所がたくさんあり、リズムよく読むことができませんでした。
これでは子どもたちが自力で読むことも、お母さん方が読み聞かせをすることも困難ではないかと思います。
そのため「記録のえほん」シリーズの他の2冊のように魂が震えることがなく、とても残念でした。
でも教科書からは伝わらない水俣の悲しみを知ることができたことは確かです。
産まれたばかりの赤ちゃんが亡くなり、若夫婦が亡くなり、おじいちゃんまで亡くなります。
一人残ったおばあちゃんが墓参りのときに、自分が亡くなった後のことをカラスに頼む場面はとてもせつなかったです。
そのカラスにさえ、脳をやられて空から岩を目がけて突っ込むものがいたそうです。
本書を探したときに別の絵本と出会いました。
著者そのだひさこさんと画家丸木俊さんの合作「いのちの花」です。
この本は自費出版という、たくさんの人の目に触れることのない環境で誕生しましたが、いろいろな方の要望により再版されたものです。
出版のプロが企画した本でさえ再版されずに消えることが多いのに、再版を熱望される作品となったことは素晴らしいことです。
このような本と出会うことができてとてもラッキーでした。
内容紹介を引用します。
=====
酔って暴れた武士を袋だたきにして逃げた五人。
五人を差し出さねば「むら」を焼き払うと役人は告げた。
無実の罪に「むら」は…。
今もこの「むら」で、いのちはにぎわっている。
江戸末期の史実をもとに作られ、自費出版されていた作品の再版。
『原爆の図』丸木俊“幻”の絵本。
「むら」の苛酷な歴史を、確かな筆力で描いた名作。
=====
内容紹介ではわかりづらいので、改めて内容を紹介します。
=====
人気の芝居を観ていた侍が酔っぱらい刀を振り回して大暴れ。
若い町人たち5人が侍を引きずり出して袋叩きにして逃げました。
奉行所の役人は犯人を捜しますが見つかりません。
仕方なく芝居小屋の川向にある村を訪ね、5人を差し出さねば村を焼くと脅しました。
身に覚えはありませんが、村を守るために5人の若者が名乗りを上げ、処刑されました。
彼らのおかげで今も村は命で賑わっています。
=====
この話は江戸時代の実話を元にしています。
あとがきによると「村」は福岡県の被差別で、これまで何度も差別的な被害を受けてきたそうです。
明治になっても差別は続き、子どもたちに教育を受けさせたいと自分たちで資金を出し合って学校を建設したにもかかわらず、焼かれてしまったこともあったそうです。
物語の冒頭に「人気の芝居」が登場します。
きつねが女に化けて男と結婚し子どもをもうけるが、添い遂げることは難しく、詩を残して姿を消す、というストーリーです。
あとがきによるとこのきつねは被差別の女を表しているのだそうです。
身分違いの結婚のため、素性が明らかになり夫や子に迷惑が及ぶのを防ぐため、姿を消さざるをえなかった女の悲しみ。
ここにも差別による不幸が描かれていたことを知りました。
著者は被差別の人々と関わるうちに差別をなくす活動に身を投じます。
その中で知ったこの悲劇を絵本にしようと奮闘しました。
単身丸木俊に直談判して絵を制作してもらいました。
高齢の丸木俊は老眼鏡だけでは足りず、虫眼鏡を握りしめて丹念に描いてくれました。
その後もなかなか出版までこぎつけないことを心配して声をかけてくれたこともありました。
本書が自費出版されたのは丸木俊が亡くなった翌年でした。
社会から差別がなくなれば、多くの不幸はなくなります。
子どもたちに本書を読み聞かせることで、差別される側の悲しみを知り、差別する側にならずに済むと思います。
本書を丸木俊の「記録のえほん」の幻の第4巻として後世に伝えることはできないものでしょうか。
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お気に入りその1980~たくさんのふしぎ

2021-01-15 12:18:37 | 鬼平
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎです。

昨年たくさん読んだたくさんのふしぎシリーズ。
知的好奇心をたっぷり満足させてくれました。
今年も新年早々「たくさんのふしぎ」を読みました。

①「水中さつえい大作戦」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
水鳥たちの水面下の姿を、なんとか写真にとりたい! 
身近な野鳥の水中の生活を知るためのゆかいな工夫。
=====
「生き物の生活を観察するためにいろいろ工夫する」
たくさんのふしぎシリーズには失敗談を含めてその過程と結果を書いたものが何冊もあります。
そのどれもがとても興味深かったです。
本書も期待して読みました。
著者はカモを水中から撮影することに挑戦します。
いろいろな方法を考案し、実現可能なものを実行に移します。
カモの模型を頭につけてシュノーケリングで近づく作戦や、カモの模型にカメラをつけて遠隔操作で近づく作戦は、カモに気づかれて失敗。
成功したのはあらかじめ餌場に水中カメラをセットしておく方法。
思ったより水が濁っていたことや、50mも離れた場所から遠隔でシャッターを切ることが影響し、満足いく写真は少ないけれど著者は大満足。
本書で気に入った写真はカメラの真上近くのカモを写した写真です。
水中の腹がドーンと大きく写っているのに比べ、水上の頭と首がとても小さく写っていました。
水の屈折でこういう風に見えるのですね。
逆に言うと、普段カモを見たときに、頭と首、体が大きく見えて、水中の腹や脚は小さく見えるのは屈折のせいで、実は水中部分にある腹と脚はもっとたっぷりボリュームがあるということでしょう。
そしてもう一枚、今度は驚いた写真。
水中の腹と脚、水上の頭と首がかなり離れた位置に写っている写真です。
これも水の屈折のせいでしょうが、まるで別々の個体のように思えるくらい離れて見えることがあるのですね。
水中から見上げた景色がこんなに不思議だとは思ってもいませんでしたのでとても驚きました。

②「なぞのサル アイアイ」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
アイアイって知っていますか。そう、あの歌に歌われた「南の島のおサルさん」です。
南の島とはアフリカの側にあるマダガスカルという世界で4番目に大きい島。
そこにすむアイアイは、18世紀に発見されてから、百年もの間、リスの仲間だと思われていた、リスとコウモリとサルを寄せ集めたような姿に、針金みたいに細長い中指まで持った、現地の人からは不幸をつれてくると言われている、とても奇妙なサルなんです。
=====
歌のアイアイは可愛いけれど現物は全然可愛くありません。
可愛くないどころか地元で不気味と言われるような容姿をしています。
作詞した方はアイアイという名前だけをヒントにして容姿を知らずに歌詞を書いたのでしょう。
アイアイは細長い中指で木を叩き、反響音で中の虫を見つけ、鋭い歯で穴をあけて中指で虫を取り出して食べていると思われていました。
著者は他の昆虫食動物と比較して圧倒的に大きなアイアイが昆虫食だけでは栄養が足りないと考え、観察を続けます。
すると果実の硬い種に歯で穴をあけ中指で器用に仁を取り出して食べる姿をたびたび観察することができ、昆虫が主食でないことを明らかにしました。
種の仁にはたっぷり栄養が詰まっているため、大きな身体を維持することは十分可能なのです。
本書は、疑問を持った著者が地道な観察により間違えた定説を覆すまでを描いています。
科学する心を育てる良書だと思います。

③「2本足と4本足」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
2本足で前進することこそ、人間というふしぎな動物の出発点でした。
大の動物好きの人類学者が、人間とほかの動物とのちがいを独特な目でとらえます。
絵がまたゆかいです。
=====
傑作集にも選ばれた作品ですが、私の好みではありませんでした。

④「9つの森とシファカたち マダガスカルのサルに会いにいく」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
アフリカの東のとなり、インド洋にうかぶ島国マダガスカルには、「レム-ル」とよばれる固有のサルたちがすんでいます。
その数、100種以上。
マダガスカル各地にある熱帯雨林、高地の森、乾燥した森や、石灰岩の針山など9つの森を、2足で立って跳ぶレム-ル「シファカ」を中心にサルたちを探しながらめぐります。
=====
著者と画家のお二人は「たくさんのふしぎ」シリーズでお気に入りの二人です。
著者の島泰三さんは「なぞのサル アイアイ」「まぼろしの大陸スンダランド」。
画家の菊谷詩子さんは「食べられて生きる草の話」。
その二人が組んだ本書は名人同士ががっぷり四つに組んだ力作です。
主役である9種のシファカだけでなくマダガスカルに生きるキツネザルやリスザルなどの情報が満載。
菊谷さんの絵も多彩な姿勢のサルたちを実に正確にそして生き生きと描いていました。
さすが実力者のお二人!
話は飛びますが、警察もののドラマで捜査員たちが現場100回と心で唱えながら靴をすり減らし地道な聞き込みを続けるシーンは胸が熱くなります。
名探偵の見事な推理も魅力的ですが、実際の捜査は小さな証拠の積み重ねが真実にたどり着く道だと思います。
なぜこんな話をするかというと、本書の著者の島さんがこんなことを書いていたのです。
=====
霊長類はアフリカで生まれて世界中に広がったといわれているが、自分はマダガスカルが発祥の地ではないかと密かに思っている。
それが正しいかどうかを君たちに調べて欲しい。
=====
読者である子どもたちへの魅力的なお誘いです。
何人の子どもがその気になったかな?
マダガスカルに30年以上通い続けた島さんです。ただの直感で書いたとは思えません。
きっとそう考えるに至る小さな証拠がいくつかあったのではないでしょうか?
島さんの研究を引き継いだ子どもたちが「なぞのサル アイアイ」の時にように世界の定説を覆すことを楽しみにしています。

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お気に入りその1979~ホキ美術館図録

2021-01-13 12:43:44 | 鬼平
今回のお気に入りは、ホキ美術館図録です。
2020年「第3回ホキ美術館大賞展」作品カタログとホキ美術館10周年記念図録。
コロナ禍で苦しい状況でしょうから図録購入で美術館を応援しています。
今年初めての美術作品鑑賞で、気持ちが豊かになった気がします。
まずは2020年「第3回ホキ美術館大賞展」作品カタログ。
 第3回ホキ美術館大賞入選作品
 2020年「第3回ホキ美術館大賞展」作品カタログ
 36ページ、絵画21点掲載
新人発掘を目的に開催しているそうで、入賞作21作品を鑑賞しました。
本書は全36ページ、今までの図録と一線を画する驚くほど薄い図録。
既存の図録と並べるので見失うことはないにしても薄すぎ。
あっという間に鑑賞し終えてしまいました。
お若い方からある程度の年齢の方まで、まだまだ名の通らぬ画家たちが次代を目指していることを確認できて、写実絵画ファンとして安心しました。※40歳以下が応募基準
また画家の略歴紹介で山ほど受賞されている方がいたり、受賞歴がないのに素晴らしい作品で今回入選した方がいたりと、略歴ページを読みながらあれこれ想像をめぐらせたことも楽しかったです。
個人の好みでいえば大賞や準賞よりも気に入った作品がありました。
画家のみなさんの今後のご活躍を期待します。
続いて2020年ホキ美術館10周年記念図録。
 HOKI COLLECTION 10th Anniversary
 2020年 ホキ美術館10周年記念図録
 216ページ、絵画157点掲載
ホキ美術館開館のきっかけになった森本草介氏の作品をはじめ、有名どころの皆さんの代表作がたっぷり。
改めて発表順ごとに観賞したり、画家のコメントを読んだりしつつ10周年をお祝いしました。
ちなみに本書は過去の図録のベスト版ですので、今後はこれだけを観賞することが多くなりそうです。
これから何冊か図録を購入しようと思っている方にはこれがお勧めです。
話は変わりますが、12月、つけっぱなしだったテレビで千葉県をあちこちぶらぶらする番組をやっていて、案内役が立ち寄ったのが何とホキ美術館!
保木館長が美術館の紹介をしていました。
わずか数分間でしたが、偶然目にできて実にラッキーでした。
何とか時間を作って美術館に行きたいものだと改めて思ったものです。
さらに話は変わりますが「博士ちゃん」というお気に入りのテレビ番組があります。
その中で片付けの博士ちゃんが、いつか使うかもしれないと思って捨てられないものがあると「いつかは来ません」と断言し、深く納得させられます。
あの論理で行くと「いつか行きたい」と思うだけでは行けないことになります。
2019年10月ニッカウヰスキー余市工場で念願の「マイウイスキーづくり 上級者コース」に参加しました。
父が末期がんで緩和ケアホスピタルに入院していて急な呼び出しが来てもおかしくない時期でしたが、万一の時はドタキャンする覚悟で予約しました。
結局12月まで大きな体調変化もなく安らかに過ごしてくれたおかげで参加することができました。
あのとき、父を見おくってからと考えていたらどうなっていたでしょうか?
2020年はコロナ禍のため「マイウイスキーづくり」がすべて中止となりました。
博士ちゃんが言う通り「いつか行きたい」と思うだけでは、きっとなかなか行けないように世の中はできているのでしょうね。
ホキ美術館へは「コロナ禍がおさまったら必ず行く」という強い信念をもって準備することにします。

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お気に入りその1978~焚き火の本

2021-01-11 08:34:23 | 鬼平
今回のお気に入りは、焚き火の本です。

冬に入る直前、突然妻が焚き火セットを購入。
何度か焚き火をしました。
厳寒期に入ってからは声がかかりませんが・・・。

ただ焚き火はあくまで妻がメインで私は少しの手伝いと話し相手。
なかなか思い通りに火が育たないけれど、揺らめく火を眺めながらの会話は楽しいです。
そろそろ次のステップに行きたくなり「焚き火の本」を読むことにしました。
果たして読後には、火を自在に操りながらのんびりと会話を楽しむ、素敵な大人になっているでしょうか?

出版社の内容紹介を確認しました。
=====
焚き火のハウツーと知識を徹底的に解説する「焚き火実用書の決定版」。
美しいビジュアルで、焚き火の達人・猪野正哉氏がわかりやすく解説します 。
テレビや雑誌で活躍中の焚き火マイスターによる焚き火教本。
焚き火と向き合うことは、人生と向き合うこと。
焚き火で人生を変えた著者が、キャンプブームのいまだからこそ放つ焚き火の書は、キャンプビギナーにはやさしく技術を教え、ベテランキャンパーには焚き火の意味について問いかける。
焚き火を愛するすべての人に贈る一冊。

焚き火と距離感は人間関係と似ている
簡単に言うならば、火とは家族のように接してあげればいい。
燃え始めはかまってやらないとすぐ消えてしまうので、赤ん坊の面倒を見るように、よくあやしてあげる。
<中略>
熾火になって熟してくると、過去を振り返りながら穏やかに燃えて最後を待つ。
<中略>
火に対する配慮や気配りができるようになれば、人間関係でもめることもきっと少なくなるはずだ。
(-第1章P31より抜粋-)
=====

本書は焚き火の写真と焚き火グッズのイラストがたっぷりで、文章がかなり少な目。
揺らめく炎は写真を通しても目の保養になります。
ちなみに著者は日本焚き火協会の若き会長だそう。
頼りになります。

以下、焚き火マイスターの知恵を自分のために書き留めます。

・針葉樹は着火しやすくて火持ちが悪い、広葉樹は着火しづらくて火持ちが良いという違いがある。
・木の種類により煙の香りが違うというのは、燻製に凝ったことがあるので納得。
・薪を割る時は木の目に沿って割るもので、目に垂直に割るのは大変、という説明には驚いた。
 ケーキを切るように、丸太を縦・横・斜めに割って細くしていくものだと思っていたものだから。
・節くれだって捻じれた薪は斧でもなかなか割れないので無理をしないように。
 この文章は半月前の節だらけの薪を割るのに四苦八苦していた自分に教えてあげたい。
・焚き火を見てくつろぐことが目的なら、気にせず着火剤を使うべき。

マイスターの知恵は、私の変に凝り固まった思いを柔らかくほぐしてくれました。
焚き火を軽い気持ちで楽しむことができる一助になったことは間違いありません。

なお妻は「冬こそ焚き火のシーズン」と言いますが、北海道の厳寒期に屋外で、たとえ焚き火のそばとはいえ数時間を過ごすのは想像しただけで恐ろしいので、もし声をかけられても辞退したいと思います。




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お気に入りその1977~ゼニガタアザラシ

2021-01-08 12:58:26 | 鬼平
今回のお気に入りは、ゼニガタアザラシです。
北海道に生息するゼニガタアザラシを紹介した絵本を読みました。
ヤフオクをチェックしていて、表紙のゼニガタアザラシの線画の見事な出来栄えに惹かれたのです。
「編:えりもシールクラブ、絵:田中豊美、1993年」と添え書きがあります。
田中豊美さんといえば、一流の野生動物画家です。
以前「画集 日本の野生動物」全3巻を鑑賞したことがあります。
昆虫や鳥、魚、植物などを上手に描く画家は多いですが、獣を上手に描く画家はそうそういません。
田中豊美さんは獣描きの名人。
そんな方が絵を担当した絵本ならぜひ鑑賞したいと入手しました。
現物が届いてまず驚いたのは本の寸法。
その薄くて小さなこと。
本棚に入れるとすぐに行方不明になることは確実です。
A5判32ページは絵本というより小冊子といった方がピッタリです。
外見にガッカリしながらページをめくると、田中さんが描いたゼニガタアザラシがたっぷり全ページに収録されています。
好奇心旺盛な表情、波の力を借りて岩場にあがる時の前脚に力を込めている様子など、実に見事な線画が次から次に登場します。
さすが獣描き名人。
細密かつ芸術的な線画をたっぷり鑑賞できてとても満足しました。
読んでいる間はあまり気になりませんでしたが、読み終えて片付けようとすると、どこにどう仕舞うかを悩んでしまいました。
せめて「たくさんのふしぎ」くらいのサイズがあれば、とちょっぴり残念に思いました。
ただし、写実絵画や博物画に興味がある方にはぜひ一度手に取って欲しい絵本です。


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