鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1501~向田邦子

2018-03-30 12:19:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、向田邦子です。

先日書店で「向田邦子を読む」という文春ムックを見かけ、即購入。
表紙の「原田マハと向田和子の対談」という文字が目に入ったからです。
お気に入りの原田マハが、これまたお気に入りの向田邦子のことをどう見ているのかを知るチャンス!と思いました。

この対談、読んで良かった。
あの名作「キネマの神様」は、向田邦子の文体を意識して書いたことを知りました。
憧れますよね、向田の文体。
名人芸ですもの。
対談にはさらに向田和子が原田のファンであることも明かされており、何の関係もありませんが妙にうれしかったです。

また直木賞受賞の短編3編を久しぶりに読み、名人芸に浸れたことも良かったです。
ドラマ「トットてれび」で向田を演じたミムラが、向田の大ファンであることを知りました。
ドラマ収録時に、あまりに入れ込み過ぎて向田が憑依したのではないかという状態におちいったというエピソードは興味深かったです。
彼女の迫真の演技を是非とももう一度観なくては、と思いました。

※先日ミムラが改名しました。
そのときに「ミムラ」がムーミンに登場する「ミムラ姉さん」からとった名前だったと知りました。
妻は知っていたので、多くの人が知っていたのでしょうね。

向田邦子・作、森繁久彌・語りの伝説のラジオエッセイ「森繁の重役読本」の脚本を数編ですが読むことができたことはラッキーでした。
まだまだ文章修業中だったであろう若い向田が、父をモデルにして、苦心惨憺、ストーリーをひねり出している姿が目に浮かぶようでした。

「娘の詫び状」というエッセイでは、全くムダのない名人芸を堪能しました。
「父の詫び状」の出版前日に自分がガンだったことを母に告白したことや、「父の詫び状」で家族の内情を暴露したことが大不評をかい、この手のものを二度と書かないと誓わされたことなどが書かれています。

本書には次から次に向田ファンが登場します。
わずか数年前から読み始めたので知りませんでしたが、「向田邦子」というはひとつのブランドだったのですね。
美しく聡明で自分を確立している女性。
脚本やエッセイ、小説で世に名を轟かせた上、料理やファッションでも注目される。
まさにスーパーレディ。
彼女が女性たちのカリスマとなり、ブランド化されたことは当然でしょう。
そしてその才能が突如として失われたことに男性たちがうろたえ、伝説となったことも当然でしょう。

本書を読んで向田作品を読みたくなりました。
まだ新しいファンなので、わずか3冊しか読んでいません。
こんなに素晴らしい作家の作品を、これからたくさん読むことができると思うととても幸せな気分です。
次はどれにしようかな?
とりあえず古書店に行って背表紙をながめつつ考えるとしましょう。


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お気に入りその1500~絵本・北加伊道

2018-03-28 12:04:24 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、絵本・北加伊道です。

今年は北海道命名150年。(ちなみに当ブログは今回で第1500回)
北海道庁ではいろいろなイベントを用意しているようです。
それに先立ち、絵本「北加伊道 松浦武四郎のエゾ地探検」を読みました。
作者は関屋敏隆。
京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)工芸科染織専攻卒であり、本書の原画は型染版画で描かれています。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
北の大地をくまなく歩き、自然と、そこに生きる人びとのくらしを詳細に記録し、多くの著書をのこした幕末の探検家、松浦武四郎。
「北海道の名づけ親」ともよばれる武四郎の、いのちをかけた旅の生涯を描く。
=====

松浦武四郎については子どもの頃に授業で習いましたし、数年前に「北海道人」という伝記を読みました。
先日もテレビで松浦武四郎の特集番組を見たばかり。

武四郎は、現在の三重県出身でありながら、当時、蝦夷地について日本で最も詳しい人物でした。
長崎で僧侶をしているときに国防の危機を知り、ロシアの魔の手から蝦夷地を守るべく、いろいろな肩書きで単身、蝦夷地を調査して歩きます。
調査は先住民族であるアイヌの人たちの献身的な手助け無しには成し遂げられませんでした。
彼はアイヌが松前藩に虐げられる現実を目にし、何度も幕府に訴え出ますが取り上げてもらえません。
その傾向は明治新政府になっても変わらず、ついに武四郎は政府の要職を辞任して北海道を後にします。

北海道の名の元になったのは武四郎が提唱した「北加伊道」。
その中にある「加伊」はアイヌのこと。
北海道はアイヌの住む地だということを強く主張する名。
アイヌの人々を愛した武四郎らしい命名です。

武四郎は調査旅行が終わるたびに江戸に戻り、北海道に関する本を書きました。
遠い蝦夷地の自然や暮らしなどが、上手な絵を添えて詳しく書かれているので、随分売れたそうです。
そこには、多くの和人にアイヌ文化を理解してもらうことで、アイヌの人々を悪政から守りたいという願いがこもっていたそうです。
彼の高い志に感動しました。
現代語訳された著作があれば読みたいと思い、調べています。

最後に、本書に載っていた「日本語になったアイヌ語」をご紹介します。
「コンブ」「シシャモ」「ラッコ」「トナカイ」
トナカイは北極圏の動物ですよね?
でも名前があるということは、アイヌ人の生活圏であるサハリンまたはエトロフ島、クナシリ島のどこかにいたということでしょう。
調べると生息域にサハリンがありました。
北海道のお隣の島にいたことに驚きました。
もっと驚いたのはコンブ。
「昆布」って書くにアイヌ語だったの?
これも調べたら奈良時代から「昆布」って書いていたそう。
アイヌ語って昔から日本語に馴染んでいるのですね。
考えてみたら日本語の「神」はアイヌ語で「カムイ」。
これだって発音がほぼ一緒です。


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お気に入りその1499~飛び出し絵本③

2018-03-26 12:41:39 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、飛び出す絵本③です。

飛び出す絵本の3冊目、最後の1冊は、「ポップアップ 帆船 ~立体模型でみる歴史」です。
こちらも古いためAMAZONの内容紹介がなかったので、本の裏表紙に記載された内容紹介を引用します。
=====
夢とロマンに満ちた帆船の世界を卓越したペーパー模型で再現!
帆船の構造と歴史を1隻ずつ、手でさわって楽しめる、世界で初めての立体メカニズム!
=====

帆船の歴史と構造を紹介し、一部を立体で再現しています。
30年以上前に発行された本だけど保存状態がバッチリ。
帆船のロープを模した糸もそのまま役目を果たしていました。

仕掛けの1か所でノリがはがれていたので、書籍用補修テープで補修しました。
こんな簡単な仕掛けなら直せるだろうと思っていましたが、結果的には直せませんでした。
はがれたところを元に戻しただけなのに、いろいろなところに支障が出ます。
ポップアップの仕掛けって、実はとても難しいことを知る良い機会になりました。
いつかサブダ作品の破損部分を補修しようと思っていましたが諦めます。

さて帆船の歴史と構造についての解説文はというと、前書の飛行機編とは比べ物にならないくらい面白くなかったです。
理系男子なのに・・・と、自分でも不思議でした。
前書が面白過ぎたからでしょうか?
帆船だけに特化し過ぎたからでしょうか?

いろいろ考えましたが、きっと著者の腕の差が出てしまったのではないかと思います。
面白いエピソードはあるのですが、紹介の仕方があまりに平坦すぎて、盛り上がりに欠けたことが原因だと思います。
一例を挙げます。
動物の皮で作った小さな帆船で外洋を超え、島々を旅した男の伝説が残っているそうですが、こんなことは不可能であり架空の物語であると考えられてきましたが、実証実験で成功をおさめ、真実だった可能性を示した、と紹介しています。
こんなにロマンのある記事は、もっと大きく取り上げると読者の興味を引いたと思います。
せめて地図を添えると、その男の偉大さを感じることができたのではないでしょうか?

また帆船の構造がどのように進歩していったかの説明が分かりづらい。
それぞれの代表的な船の絵を載せているのだから、具体的にどこがどう違うのかを書くと視覚的に理解できるのにと思うと残念です。

これだけ古い、しかも絶版になった本に、今さらケチをつけても仕方がありませんが・・・。

反対に良かったことは、帆船についての知識を得られたこと。
何と言ってもマンガ「ワンピース」や映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に登場する帆船のことを詳しく知ることができたことは収穫です。
マンガや映画の見方が多少なりとも変わるでしょう。

本書で得た帆船知識をいくつかご披露します。
・帆船の構造は大きく分けて、シェルとスケルトンがあります。
前者は外板で船体の強度を保ち、後者は骨組みで船体の強度を保ちます。
むぎわらの一味がゴーイング・メリー号とお別れした理由が、船の背骨である竜骨の損傷だったことを思い出しました。
・帆の種類は、四角い横帆と三角の縦帆があります。
縦帆は表裏両方で風を受けられるため、風上に向かって進むことができます。
・船体が大型化するに従い、いろいろな役割のために帆が増えていきました。
船首を持ち上げ操舵を助けるため、微風をとらえるため、波切を良くするためなどが目的です。
・18世紀に入って舵輪が登場しました。
・ゴーイング・メリー号のような船をマンガではキャラベルと紹介していましたが、実際はキャラックという種類のようです。
同じ系統の船に、コロンブスのサンタマリア号や、清教徒をアメリカに運んだメイフラワー号があります。
・海上レストランを襲ったクリーク海賊団が使っていた巨大な船はガリオン船(ガレオン船)といいます。
世界一周をしたキャプテン・クックのエンデバー号が有名です。
またキャラック船で構成されたスペインの無敵艦隊をガリオン船で構成されたイギリス艦隊が打ち破ったことも有名です。
パイレーツ・オブ・カリビアンに登場するブラックオパール号やフライング・ダッチマン号などはイギリス海軍と対等にやりあっていましたので、ガリオン船ということになります。

それほど帆船に興味はありませんでしたが、そこそこ面白かったです。



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お気に入りその1498~棟方志功展

2018-03-23 12:06:40 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、棟方志功展です。

妻と棟方志功展に行ってきました。
もっと早く行くつもりでしたが、なんだかんだ都合が悪く遅れに遅れ、ようやく行くことができました。
方志功は青森の記念館を訪れて以来、30年ぶりです。
その時に観たのは「二菩薩釈迦十大弟子」くらいしか記憶にないので、ほぼ初めてと同じ。
小品から大作までをどーんと展示していました。
「わだば、ゴッホになる」にちなんでヒマワリの油絵を何点も展示していたり、壁一面の巨大作品があったり。
「二菩薩釈迦十大弟子」の版木を触るコーナーは良い体験になりました。
宮沢賢治の作品を絵と文で表現している板画があり、声に出して読んでいる女の子たちが微笑ましかったです。
谷崎潤一郎の新聞小説のための挿絵は、裸の女性のお腹に男性の眼鏡が置かれていたりして実になまめかしかったです。
ニューヨークやボストンで描いた風景や、英文が綴られた作品まであったのは意外でした。
さすがは「世界のムナカタ」です。
ムナカタらしさ満開の構図には予想通り圧倒されました。

一番のお気に入りは、何と言っても板画や倭画で描かれた美人画。
ふくよかで温かで、そして美しい。
「門世の柵(もんせいのさく)」をはじめとした美人画が並んだコーナーは繰り返し鑑賞しました。
やっぱり実物を目にすると感動しますね。

展示室を出て特別展の売店を見て回りました。
美人画の複製のいいのがあれば買おうと思いましたが、クリアファイルと切手しかなくて残念でした。

展示室から売店に向かう通路の壁には、何と本物が展示販売されていました。
値札を見ると500万円を超える板画や倭画があります。
販売員が丁寧に説明してくれましたが、あまりに無防備な展示方法で驚きました。
万一傷つけてはいけないのでおそるおそる鑑賞しました。
ああいうところで買う人っているのでしょうか?

その後、2階のレストランで「棟方志功展スペシャルランチ」を食べました。
牛のホホ肉をホロホロに煮込んでいてとても美味しかったです。
棟方志功と牛のホホ肉の関係って何だろうと考えましたがわかりませんでした。
その辺りをメニューに添え書きしていただけると、より一層味わいが増すと思います。

久しぶりにアートな一日を満喫しました。
満足満足。

その後、志功の美人画だけを鑑賞したくて複製画や画集を探しました。
なかなか気に入ったものがありませんでしたがひとつ見つけました。
「棟方志功の宇宙」という24枚の作品を額装できるようにファイリングした名画集です。
その中に3枚の美人画が含まれているようです。
届くのがとても楽しみです。

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お気に入りその1497~飛び出す絵本②

2018-03-21 12:06:14 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、飛び出す絵本②です。

飛び出す絵本2冊目は、「ポップアップ 飛行機 ~立体模型でみる歴史」です。
かなり古い本のためAMAZONに内容紹介はありませんでした。
代わりに本の裏表紙に記載された内容紹介を引用します。
=====
時速わずか16キロのライト兄弟の飛行機から、時速3530キロのブラックバードまで。
世界の航空史を代表する名機43機を華麗なイラストと立体模型でみせる“飛び出す”世界航空史!
=====

名人サブダを遡ること20年。
今から30年も前のポップアップ技術ですから、大した仕掛けはありません。
翼がうまく開かないページがあり、技術の未熟さは明らか。
さらに文字が小さい上、フリガナをふっていないため、子どもは読みづらい。
誰を対象にして制作した絵本なのかな?
読み始めてようやくわかりました。
本書は子ども向けの飛び出す絵本ではなく、一般向けの航空史の入門書。
そのイラストにポップアップの仕掛けを加えて立体的に鑑賞できるように仕上げたものだったのです。

そうと判れば本文をじっくり読むことにしましょう。
面白いエピソード、懐かしいエピソードがいろいろ出てきました。
そのいくつかをご紹介します。

・1903年、自転車屋を営んでいたライト兄弟は、ついに原動機付き飛行機の飛行に成功しました。そのときの飛行時間はわずか12秒でした。
・それから5年。彼らは改良を重ね、飛行時間2時間30分という記録を樹立しました。
・そのわずか1年後に、フランスのルイ・ブレリオが英仏海峡の横断に成功しています。
数々の失敗の後、改良されたブレリオXIで成し遂げられたその偉業。
以前ご紹介した絵本「栄光への大飛行」で読んだことがあるので懐かしかったです。
・1914年の第一次世界大戦から航空機同士の闘いが始まりました。
最初は操縦士同士がピストルで撃ち合っていましたが、やがてライフル、機関銃とどんどん強力になっていきました。
機関銃で自分の機のプロペラを打ってしまう者もいたそうです。
この頃から敵機を5機以上撃墜した者をエースと呼び始めました。
・大戦が終わるとパイロットの多くは失業しました。
曲芸飛行で生計を立てる者が多く、リンドバーグもそのひとりでした。
リンドバーグが大西洋無着陸横断飛行に成功したのは1927年のことです。
操縦席の前に予備タンクを設置し、小さな潜望鏡で前方を見るという、まさに曲芸のような飛行でした。
・リンドバーグが成功したわずか1年後の1928年、女性パイロットのアメリア・イアハートが大西洋無着陸横断飛行を成功させています。
彼女の名前も懐かしい!
原田マハの「翼をください」に準主役として登場していました。
・思っていたより早く開発されていたことを知ったのは、次の3機。
 ハリヤー 1966年
 ボーイング747(ジャンボ) 1969年
 コンコルド 1969年

裏表紙にスペースシャトルが描かれていましたが、本文になかったのは残念でした。
仕掛けで気に入ったのは、コンコルドの首が上下するようになっていた部分。
離着陸時だけ首を下げることは解説文にも入れて欲しかったです。

冒頭で飛び出す仕掛けが未熟と書きましたが、解説文の方は航空史の入門書として十分の出来でした。
今でも字を大きくしてフリガナをふると、理系大好き小学生が飛びつく本だと思います。
予想以上に面白くて、満足しました。





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お気に入りその1496~飛び出す絵本①

2018-03-19 12:15:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、飛び出す絵本①です。

久しぶりに、飛び出す絵本(ポップアップ絵本)を購入しました。
まとめて3冊。
順に鑑賞して、ご紹介します。

1冊目は、名匠ロバート・サブダのポップアップ絵本、太古の生物シリーズの最終巻です。
前2作「太古の世界 恐竜時代」「シャーク 海の怪獣たち」には、たっぷり楽しませてもらいました。
チラノサウルスが、メガロドンが、牙をむいて飛び出すページは、子どもだけでなく大人も驚く高度な仕掛けでした。
小窓の仕掛けも丁寧で、飽きさせない構成が見事でした。

さて今回ご紹介するのは、名匠サブダの第3弾「絶滅した獣たち メガビースト」。
中身についてはAMAZONの内容紹介を引用します。
=====
エンサイクロペディア‐太古の世界第3弾!
ロバート・サブダ、マシュー・ラインハートによる‐立体・古生物百科‐3部作の完結編です。
氷河期の英雄マンモス、サーベルのような牙を持つネコ、哺乳動物を主に35体の絶滅した獣たちのポップ・アップと古生物の情報が人類出現までの進化の歴史をひも解きます。
本シリーズは、多くのサブダ、マシューファンに生物の進化と絶滅の神秘に驚きと興味を呼び起こすことでしょう。
=====

ポップアップの仕掛けは相変わらず超絶技法を屈指していました。
さらに読み物としても優れており、時間を忘れて楽しみました。

今回は翼竜から始まり、哺乳類の先祖に当たる爬虫類、鳥類、哺乳類を紹介しています。
特に巨大哺乳類のページは懐かしく読みました。
以前、福島県いわき市の博物館で巨大哺乳類(ナマケモノ)の化石を間近にしたときの感激を思い出したのです。

勉強になる記述がいっぱいありました。
・翼竜の化石が発見された当時は、その翼はペンギンのように水中を泳ぐためのヒレと考えられていた。
・サイの仲間の巨大哺乳類はアフリカゾウ3頭分の体重があったそう。
・ライオンよりはるかに巨大な肉食獣がいた。
・ヒトの祖先にも3mを超える巨体の持ち主がいた。

あー、面白かった!
これでサブダのポップアップ絵本も見納めか・・・。
もっと堪能したいよー!
「不思議の国のアリス」はそれほど趣味ではないけれど、サブダの超絶技巧がセットなら読むことにしようかな・・・。

本当は古生物百科に続き、現代の生物百科を制作して欲しいです。
昆虫、魚、鳥、動物などをシリーズ化してもらいたいものです。
折り紙に近い細かい手業を屈指した技術は日本人に向いているはず。
誰かあの高等技術を引き継いでくれないかな・・・。







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お気に入りその1495~山崎豊子

2018-03-16 12:04:27 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、山崎豊子です。

いつか山崎豊子を読もうと思っていました。
ドラマや映画になった作品が数々ありますが、第一候補は直木賞受賞作「花のれん」。
どうやらNHK朝ドラ「わろてんか」と同じく、吉本興業の創業者が主人公だそうです。
タイムリーで面白そうです。
でももっと興味を持ったのは、「花のれん」が長編第2作目、という事実。
わずか2冊書いただけで、直木賞を受賞するとは、何たる才能!
後の大活躍が透けて見える見事なデビューです。
2作目での受賞したということは、当然、1作目から注目を集めていたからこそできた芸当でしょう。
では第1作って何?
それが「暖簾(のれん)」です。
デビュー作にして、世間の注目を集め、直木賞への道を作った名作と期待します。
まずはこちらから読むことにしました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
一介の丁稚から叩きあげ、苦労の末築いた店も長子も戦争で奪われ、ふりだしに戻った吾平の跡を継いだのは次男孝平であった。
孝平は、大学出のインテリ商人と笑われながら、徹底して商業モラルを守り、戦後の動乱期から高度成長期まで、独自の才覚で乗り越え、遂には本店の再興を成し遂げる。
親子二代“のれん"に全力を傾ける不屈の気骨と大阪商人の姿を描く作者の処女作。
=====

吾平は丁稚時代に吾吉と呼ばれ、その後吾七となり、やがて番頭・吾助と呼ばれます。
そして主人から暖簾わけしていただき、吾平に戻ります。
北海道に昆布を買いつけに行ったり、百貨店と組んだりして商売を大きくしますが、太平洋戦争により長男と財産を失います。
がっくり老いた父の代わりに立ち上がったのは次男。
時代に即しながらも暖簾を大切にする商いは、取引先の信頼を呼び、息を吹き返した百貨店とともに再び商売を大きくしていきます。
親子二代にわたり商道徳を守りつつ商売を大きくした大阪商人の姿が魅力的に描かれています。
あとがきで著者は根っからの大阪人のため、東京に行くと息が詰まると書いています。
大阪に誇りを持っており、戦後、日本経済の中心の座を東京に奪われたことを苦々しく思っていることが窺えます。

それにしても主人公親子の見事な着眼点とそれを素早く実行に移す行動力には脱帽です。
なるほど、こうすれば商売を大きくすることができるのか!と思わされる手法が出てきます。
まるでビジネス小説。
あれ?
楡周平の「再生巨流」を読んだときの感覚に似ています。

著者は元新聞記者だそうで、その取材力により昆布商の歴史を克明に調べ上げたことで、物語の基礎を盤石にしたのでしょう。
さすがは後に大御所となる作家のデビュー作。
迫真の作品でした。
・・・と、まとめて終わろうと思っていたら、意外な事実を知りました。
本書に登場する2人の主人公、そのモデルになったのは著者の身内なのだそうです。
創業者は著者の祖父。
著者は暖簾を守る三代目の実妹という関係。
だとしても克明な取材により描き出された物語の価値が落ちることは決してありません。

さて「暖簾」に続き「花のれん」を読もうと考えていましたが、書店で「向田邦子を読む」というムックを見かけ、つい買ってしまいました。
「花のれん」はその内に、ということになりました。




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お気に入りその1494~ゼフィルス24②

2018-03-14 12:24:44 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ゼフィルス24②です。

「ゼフィルス24―日本産ミドリシジミ類24種―蝶の生態写真集」を鑑賞しました。

前回も書いた通り、大倉氏はインタビューで、
「本書にはゼフィルスのうるさ方さえびっくりするような知見を3か所くらい入れている。」
と語っています。

どれかな?
私のような蝶の素人に見つけることができるのかな?
写真の説明文を読んでいくつかそれらしい点がありました。

きっとこれ!というのを見つけました。
ある蝶の幼虫が葉を巻いて巣を作る時に、葉を表側から巻くのと裏側から巻くのが、木の種類により違うという記述です。
自然環境と飼育環境の両方でその現象を確認した上で、植物の葉の成長の仕方が違うからではないかという仮説も立てています。

そしてあまり自信はありませんがもうひとつ見つけました。
食樹の根元近くで葉に隠れた蛹が見つかるのは、幼虫が幹を降りて地上で蛹になるものもいるが、樹上で葉を切り離し、葉ごと地上に落ちてから蛹になるものもいる、という記述です。
これは大倉氏の独自の知見なのでしょうか?
はっきりしません。

3つ目の知見はムモンアカシジミの解説文にもしかしたらというのがありました。
(幼虫は)アブラムシを食べた後、サラダ代わりなのか(コナラの)葉を食べた。
(飼育環境で幼虫は)10倍に薄めたカルピスをティッシュに含ませるとなめる。
という記述です。
雑食の上にカルピスまでという幅広い食性は著者独自なのでしょうか?

素人にとって本書に書かれていることは、どれもこれも新鮮な知見だったので、独自な知見を見出すことは困難でした。
それに解説文になかなか集中できない事情がありました。
写真の中から対象物を探すことに疲れていたからです。
樹の幹に産み付けられているはずの卵を見つけられません。
葉や幹の上にいるはずの幼虫も見つけられません。
これかな、それともこちらかな?と迷うならまだしも、全く見当がつかない写真も多いのです。

老眼のせいでしょうか?
赤緑色弱だからでしょうか?
それだけでなく、卵や幼虫に目が慣れていないから、という理由もあると思います。

山菜採りで、お目当ての山菜が目の前にいっぱいあるのに目が慣れていないと見出すことができない、というのと同じかもしれません。
同行した人に「ここにある」「あそこにある」と教えている内に、その人もだんだん見えてくるものです。

もしかしたら本書の後半にはバッチリ見いだせるようになるかな?と期待しましたが、最後までよく見えませんでした。
できるだけ読書環境を明るくし、ハズキルーペを使用しても、見いだせない写真がありました。

そういえば大倉氏は「7年の準備期間を経た後に、撮影に入った」と書いていました。
蝶の成長時期を予測する勘だけでなく、卵や幼虫を見出す目を取り戻すことも含んだ発言だったのでしょうか。
蝶好きが7年もかかったことを、写真集1冊読むだけで解決できる訳がない、と諦めました。
やっぱり本書は素人など相手にしていなく、全国に1万人いるというゼフィルス通の方々だけを相手にして制作されたのでしょう。
修業の足りない素人はあえなく撃沈。
いやはや深い世界でした。

本書を読みながら、田淵行男の名著「安曇野の蝶」を思い出しました。
高山蝶の細密画に添えられたエッセイには、高山蝶を観察するために山の麓に住み、棲息地に日参したと書かれていました。
移り変わりの激しい山の自然を前に、そうするしかなかったのでしょう。
そして重要なのは、田淵氏と大倉氏の共通点。
異口同音に、蝶たちの棲息地が開発の名のもとに見る見る失われていることに警鐘を鳴らしています。
田淵氏の著書から35年、大倉氏の著書から32年。
現在はもう当時の比ではないくらい、ゼフィルスの聖地は失われていることでしょう。
蝶を追う趣味がない私でさえ、現在の状況に危機感を覚えます。

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お気に入りその1493~ゼフィルス24①

2018-03-12 12:23:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ゼフィルス24①です。

私にとって小西正泰著「昆虫の本棚」は、昆虫本のバイブルです。
中の書評を参考にして何冊もの昆虫本を読んだり、鑑賞したりしてきました。
ただ、これは!と思っても、高価で手が出せない本もありました。
今回の「ゼフィルス24―日本産ミドリシジミ類24種―蝶の生態写真集」はそんな一冊。

先日ネットオークションに、本書がわずか相場の半値で出品されていました。
これは絶対買いです!
後先考えず、すぐに落札しました。

本書は、プロカメラマンとして名をはせた大倉舜二がゼフィルスに魅せられて、7年の準備期間と5年の撮影期間を経て、ようやく完成させた写真集です。
気がつくとすっかり貧乏になり、税金も払えない状況に陥っていたそう。
それほど熱中して、すべてを忘れて蝶を追い続けていた、ということ。
羨ましいほどの熱中ぶりです。
プロカメラマンが商売抜きで、本気で好きなものだけを撮り続けた、というところに大いに意義があると感じます。
あまりに商売抜きで走ってしまったため、どこの出版社も尻ごみして、ようやく朝日新聞社さんが拾い上げてくれた、と感謝の言葉がつづられていました。

可憐で美しい蝶として知られるゼフィルスですが、生態写真と銘打っている通り、まさにその生態を克明に撮影しています。
より美しく撮る技術を持ちながらそれに走ることなく、周辺の風景を織り交ぜながら、あくまで生態にこだわった自然な写真ばかりが並びます。
自然環境(風景・食樹)、卵、幼虫、サナギ、成虫。
場所と時期が克明に記録されています。
わずか24種の蝶に300ページ。
とても重量があります。
除雪で傷めた左腕で持つには辛い豪華本です。

大倉氏のインタビュー記事がFUJIFILMのFotonomaというHPに載っていました。
通常の学術書には風景写真など載せない、と語っています。
それはそうでしょう。
彼があえて風景写真を載せたのは、蝶の愛好家たちに「ああ、こういうところにいるのか」と伝えたかったからだそうです。
愛好家は愛好家の心を知る、ということでしょう。
棲息地の景色や雰囲気を感じることができて、愛好家のみなさんはうれしかったことでしょうね。
感動を忘れた研究者には思いつかない発想です。

大倉氏がゼフィルスを追う姿を想像してみました。
その年の気候の移り変わりにより、蝶の成長もわずかに早まったり遅れたりします。
棲息地に到着したときには後の祭りという日もあったでしょう。
またようやく発見しても撮影に適した場所とは限りません。
時期を見逃せばまた来年。
その移動範囲は北海道から屋久島までの広範囲に及びます。
好きだからこそ何とか耐えられる過酷さ。
到底真似などできません。
大倉氏はきっとその苦労ごと楽しんだことでしょう。

今回、縁が無いと思っていた本書を手にすることになり、改めて本書にまつわるあれこれを調べました。
その中で面白かった話をいくつかご紹介します。
・大倉氏は高名な日本画家・川合玉堂の孫。
・本書発行時、キタアカシジミという25番目のゼフィルスが話題になっていたが、見た目で区別ができないことを理由に、大倉氏はあえて24種とした。
・本書にはゼフィルスのうるさ方さえびっくりするような知見を3か所くらい入れている。

さて、うるさ方がびっくりするような知見を求めて、生態写真集に飛び込むことにします。
素人に見つけられるかな?


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お気に入りその1492~蛍光鉱物5

2018-03-09 12:06:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、蛍光鉱物⑤です。

これまで琥珀、ウランガラスを観察してきましたが、ついに「これぞ蛍光鉱物!」というのを観察しました。
今回用意したのは「長波紫外線で蛍光を示す鉱物標本10種セット」に入っていた10種。
バラで購入すると送料が高くつくことと、観察したいと思っていた石がたくさん入っていたためにこれを選びました。

セットの中身は次の通り
 ①アグレル石
 ②琥珀
 ③ブラウン方解石
 ④マンガン方解石
 ⑤蛍石
 ⑥ハックマン石
 ⑦ルビー・コランダム
 ⑧アダム石
 ⑨方ソーダ石
 ⑩ウェルネル石

実際に観察してみると、期待外れ、期待以上など、面白い体験ができました。

①アグレル石
 入門書によると短波紫外線で蛍光を発する、と紹介されていたので不安でした。
 いろいろブラックライトの当て方を工夫しましたが、10種の内、唯一蛍光しませんでした。
 販売元はこの石をあぜ入れたのかな?

②琥珀
 インドネシア産と書いています。
 透明感のない石の欠片ですが確かに琥珀っぽい色をしています。
 なかなか蛍光を発しませんでしたが、ある箇所が黄色に蛍光することを見つけ、ひと安心。
 以前観察したミャンマー産琥珀は青みがかった白に蛍光していましたので随分違うものです。

③ブラウン方解石
 黄色と橙色の中間のような色に鮮やかに蛍光します。
 さらに面白い発見がありました。
 ブラックライトで照らすのを止めると数秒間かけて蛍光が消えていくのです。

④マンガン方解石
 赤色と紅色の中間のような色に鮮やかに蛍光します。
 こちらも照らすのを止めると0.5秒ほどかけて蛍光が消えていきます。

⑤蛍石
 蛍光鉱物といえばこの石。
 わずかに紫がかった青色に鮮やかに蛍光します。

⑥ハックマン石
 明るい所に置いておくと色を失い、暗い所に置いておくと復活する、という変わり種。
 乳白色の石が、オレンジ色に鮮やかに蛍光します。
 しばらく明るい所に置いていますが、どのように色を失うのか、まだよく分かりません。

⑦ルビー・コランダム
 他の石に比べ一際小さくて、特別のケースに入って届きました。
 ブラックライトにほとんど反応しません。
 ケースから出して掌の上で照らすと一転、鮮やかに赤い蛍光を発しました。
 ケースの中で蛍光しないのはなぜでしょうか?
 謎です。

⑧アダム石
 黒っぽい石に小さな長方形の結晶が3つ。
 あちこち照らしましたが、その小さな結晶が蛍光を発するだけでした。
 黄色く見えるような気がします。

⑨方ソーダ石
 これは見応えがあります。
 鮮やかなオレンジ色に蛍光します。
 まるで溶岩のような輝きです。
 熱を伴わずに内部からあれほど強い光を発するとは!
 まさに摩訶不思議!

⑩ウェルネル石
 これも見応えがあります。
 鮮やかな黄色に蛍光します。
 この石を小さな破片にしてトンネルの壁にちりばめたら、星空のように見えるでしょうね。
 まさに映画「天空の城ラピュタ」のワンシーンのように。

最後におまけ。
以前から棚に飾っていた水晶もついでに観察しました。
ブラックライトであちこち照らしても反応がありません。
あきらめかけたときに、結晶の先端がわずかに黄色に蛍光していることに気付きました。
そこだけ何か不純物が入っているのでしょうか?
明るい所で見ても判りません。

あー面白かった。
さて次は何を観察しようかな。
また入門書とネットで検討しようと思います。



コメント
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