今回のお気に入りは、愛すべきハズレ本です。
最近読んだハズレ本2冊をご紹介します。
著者には申し訳ありませんが、どちらも期待外れでした。
ただ著者の熱心さは痛いほど伝わってきました。
決して手を抜いて書いているのではなく、私の期待とはベクトルが違っただけ。
そのため「愛すべきハズレ本」としてご紹介します。
①溝口優司著「アフリカで誕生した人類が日本人になるまで」
国立科学博物館の人類研究部長である著者が、形質人類学から日本人のルーツを探ります。
本書は新聞の書籍広告の見出しが目につき、購入した本です。
そこには「発行から3年で10万部に達した」というようなことが大きく書かれていました。
3年で10万部って多いんですか?
本は読む方ですが、10万部の価値ってよくわかりません。
でもきっと見出しになるくらいすごいことなんだろうと想像し、興味がわきました。
ところがところが本書で知って心に残ったのは一つだけ。
「ユーラシア」の語源が「ユーロ(欧州)」&「アジア」、つまり「ユーロ&アジア」。
ということだけでした。
以前、ミトコンドリアDNAの解析により、人類はアフリカに生まれた女性の子孫であり、そこから世界に広まったことが判った!というニュースを聞いたときは衝撃的でした。
それに比べ本書の形質人類学はいかにも地味。
地圧で変形した頭蓋骨を補正して形質特性を拾い出し、人類の歩んだ経路を探ることは、大変な作業だとは思いますが素人を驚かす派手な発見がなくDNA解析の結果を後追いで補強しただけなのは残念。
もっと新発見があることを期待していただけに残念でした。
②唐沢孝一著「カラスはどれほど賢いか都市鳥の適応戦略」
本書は、発行が1988年といささか古いですが、数あるカラス本の中でも名著といわれているので選びました。
まずはアマゾンの内容紹介を引用します。
=====
都市の発展により多くの野生鳥が姿を消したが、一方では環境に適応することによって積極的に都市に進出する鳥群が観察される。
その頂点に君臨するのがカラス集団であり、いま都市にあってはカラスとヒトの知恵比べが熾烈に進行中なのである。
本書は都市鳥研究会にあって長年、野鳥を観察研究してきた著者が、その成果を克明に報告するとともに、カラスに対する愛憎半ばする感情をさまざまな文献に探る、カラス百科である。
=====
本書で知ったこと。
・「ねぐら」を一文字で表す漢字がある。 → 「塒」
・住宅地でよく目にするスズメ・ハト・ヒヨドリなどの野鳥たちは、カラスから身を守るためにわざと人の近くで暮らしている。
・カラスは都市の生態系で人の次に君臨する準王者。
・都市カラスは食物確保が容易なので余暇(遊び)を楽しむ時間が多い。
・カラス撃退の決め手はない。
・カラスは人に嫌われるが、地球環境に悪影響を与える人類ほどは悪くない
本書は、身近な嫌われ者カラスを理解し有効な対策をたてるヒントにしようと思って読みました。
しかし四半世紀前に書かれた内容の多くは現在では周知の事実。
著者ら研究者の啓蒙の成果ともいえますが、おかげで本書を改めて読むまでもなかったと残念に思いました。
またどれほど研究が大変だったかに多くの紙面を割いており、肝心のカラスの賢さを述べる部分が少なかったことも不満でした。
とりあえず苦労して基礎研究している著者に対し敬意を表します。
最後に。
これまで自分を「地道な苦労は正しく評価すべき」という考えの人だと思っていましたが、今回の2冊で派手な成果しか評価しない人だと気づき反省しました。
最近読んだハズレ本2冊をご紹介します。
著者には申し訳ありませんが、どちらも期待外れでした。
ただ著者の熱心さは痛いほど伝わってきました。
決して手を抜いて書いているのではなく、私の期待とはベクトルが違っただけ。
そのため「愛すべきハズレ本」としてご紹介します。
①溝口優司著「アフリカで誕生した人類が日本人になるまで」
国立科学博物館の人類研究部長である著者が、形質人類学から日本人のルーツを探ります。
本書は新聞の書籍広告の見出しが目につき、購入した本です。
そこには「発行から3年で10万部に達した」というようなことが大きく書かれていました。
3年で10万部って多いんですか?
本は読む方ですが、10万部の価値ってよくわかりません。
でもきっと見出しになるくらいすごいことなんだろうと想像し、興味がわきました。
ところがところが本書で知って心に残ったのは一つだけ。
「ユーラシア」の語源が「ユーロ(欧州)」&「アジア」、つまり「ユーロ&アジア」。
ということだけでした。
以前、ミトコンドリアDNAの解析により、人類はアフリカに生まれた女性の子孫であり、そこから世界に広まったことが判った!というニュースを聞いたときは衝撃的でした。
それに比べ本書の形質人類学はいかにも地味。
地圧で変形した頭蓋骨を補正して形質特性を拾い出し、人類の歩んだ経路を探ることは、大変な作業だとは思いますが素人を驚かす派手な発見がなくDNA解析の結果を後追いで補強しただけなのは残念。
もっと新発見があることを期待していただけに残念でした。
②唐沢孝一著「カラスはどれほど賢いか都市鳥の適応戦略」
本書は、発行が1988年といささか古いですが、数あるカラス本の中でも名著といわれているので選びました。
まずはアマゾンの内容紹介を引用します。
=====
都市の発展により多くの野生鳥が姿を消したが、一方では環境に適応することによって積極的に都市に進出する鳥群が観察される。
その頂点に君臨するのがカラス集団であり、いま都市にあってはカラスとヒトの知恵比べが熾烈に進行中なのである。
本書は都市鳥研究会にあって長年、野鳥を観察研究してきた著者が、その成果を克明に報告するとともに、カラスに対する愛憎半ばする感情をさまざまな文献に探る、カラス百科である。
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本書で知ったこと。
・「ねぐら」を一文字で表す漢字がある。 → 「塒」
・住宅地でよく目にするスズメ・ハト・ヒヨドリなどの野鳥たちは、カラスから身を守るためにわざと人の近くで暮らしている。
・カラスは都市の生態系で人の次に君臨する準王者。
・都市カラスは食物確保が容易なので余暇(遊び)を楽しむ時間が多い。
・カラス撃退の決め手はない。
・カラスは人に嫌われるが、地球環境に悪影響を与える人類ほどは悪くない
本書は、身近な嫌われ者カラスを理解し有効な対策をたてるヒントにしようと思って読みました。
しかし四半世紀前に書かれた内容の多くは現在では周知の事実。
著者ら研究者の啓蒙の成果ともいえますが、おかげで本書を改めて読むまでもなかったと残念に思いました。
またどれほど研究が大変だったかに多くの紙面を割いており、肝心のカラスの賢さを述べる部分が少なかったことも不満でした。
とりあえず苦労して基礎研究している著者に対し敬意を表します。
最後に。
これまで自分を「地道な苦労は正しく評価すべき」という考えの人だと思っていましたが、今回の2冊で派手な成果しか評価しない人だと気づき反省しました。