鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1370~フジコ・ヘミング

2017-05-31 17:43:17 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「フジコ・ヘミング」です。

フジコ・ヘミングのソロ・コンサートに行ってきました。
1階の最前列という特等席でした。
辻井伸行のコンサートで味をしめた妻が、頑張ってダッシュで予約してくれたおかげです。
贅沢に独り占め感を味わいながら演奏を聴くことができて最高でした。

前回同様、まわりの皆様にご迷惑をおかけしないように、のど飴をたっぷり準備して行きました。
自然現象で仕方ないとは思いますが、咳はのど飴やマスクで多少は防ぐことができるはず。
咳が出る辛さ以上に、まわりの方にご迷惑をおかけした辛さが応えるはず。
まわりの方のために、そして自分のために、予防的措置を講じていただければ、と願っています。

不思議なのは、休憩時間に咳がほとんど聞こえないこと。
咳をしてはいけない、という状況が咳を誘発するということがあるのかもしれません。
あんな状況で誰も好き好んで咳をするはずがありませんから。

という話はどうでもいいこと。
新進気鋭の辻井伸行と円熟のフジコ・ヘミングという対極の演奏を聴くことができたのは良い経験でした。
演奏曲が何曲か重なっていたため、なおさらその違いが感じられました。
ただ二人の音楽家の演奏後の満足そうな笑顔は共通していました。
ド素人がこれ以上語っても仕方がないので止めますが、美術館で絵を鑑賞するときとは違い、生身の人間の才能を肌で感じる素晴らしい体験でした。




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お気に入りその1369~ユニコーン

2017-05-29 12:25:11 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ユニコーン」です。

原田マハ著「ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言」を読みました。

AMZONの内容紹介を引用します。
=====
「それが、それだけが、私の唯一の望み──」
ある一つの望みを未来に託し、ジョルジュ・サンドは永遠の眠りにつく。
その昔、彼女は滞在していた古城で美しいタピスリーに魅入られた。
そこに描かれた貴婦人が夜ごとサンドの夢に現れ、震える声で語りかける。
「お願い、ここから出して」と──。
=====
「貴婦人と一角獣」に秘められた物語が今、幕を開ける。
『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞を受賞したアート小説の旗手・原田マハの書き下ろし。
中世ヨーロッパ美術の最高傑作「貴婦人と一角獣」の謎に迫る。
「貴婦人と一角獣」のカラー図版掲載。
ジョルジュ・サンドの短編も収載。
=====
タピスリーの貴婦人は、ジョルジュ・サンドに助けを求めた。
中世美術の最高傑作「貴婦人と一角獣」に秘められた物語が、幕を開ける。
ジョルジュ・サンドの短編も収載。
=====

著者の美術モノ。
今回は、中世美術の最高傑作「貴婦人と一角獣」を扱っています。
もの悲しげな貴婦人がユニコーンとライオンを従えたタピストリー。
誰が何の目的で描いたのか?
仮説の紹介をさらりと描いています。
そしてネズミにかじられてボロボロになったタピストリーを救うべく活動したサンドのこともさらりと描いています。
美術専門家として詳細を知るはずなのに、ストーリー重視でさらりと描くとは、とても著者らしい描き方です。

作品の中で、女流小説家ジョルジュ・サンドは、古城の女城主に身の上話をします。
いかにして小説家になったか、夫と不仲の理由、今思いを寄せている人について。
その思い人は、ショパンでした。
本書は、サンドとショパンのその後について触れていません。
読みながら思い出しました。
ピアニスト辻井伸行がコンサートで「風の家」を演奏する前に語った言葉を。
不幸な人生を送ったショパンが唯一幸せな日々を過ごしたのは、地中海に浮かぶマヨルカ島。
その家は気持ちの良い風が通る家で、風の家と呼ばれていました。
そこでショパンは、サンドと彼女の子どもと幸せな時間を過ごしたのでした。
辻井はそこを訪ねて風を感じ、「風の家」という曲をつくりました。
ショパンとサンドの幸せな時間が、演奏を聴く者にも感じられる素敵な曲でした。

本書は、サンドとタピストリーの物語を描いた短編集。
著者は、本書を長編小説として仕上げる用意があるそうです。
その時には、ぜひショパンとサンドの幸せな日々も加えて描いて欲しいと願っています。




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お気に入りその1368~ルパン

2017-05-26 12:02:07 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ルパンです。

「怪盗ルパン 謎の旅行者 ~ルブランショートセレクション」を読みました。
本書は勘違いが元で読むことになりました。
ある日、本書の広告を見かけ、絵本「りんごかもしれない」で有名なヨシタケシンスケのイラスト、という言葉だけが記憶に残りました。
要所要所にヨシタケ氏のイラストがたっぷり入った新感覚の短編集をイメージしました。
ところが届いてみると、イラストは表紙と各編の扉のみ。
実に普通っぽい本でがっかりしました。

ただルパンシリーズは読んでみるとやっぱり面白い。
血沸き肉躍る冒険活劇とは、まさにこれ!
本書に収録されている短編の内2編は、名作「八点鐘」から載録しています。
これなどは小中学生のころに読んだはずですが、ストーリーを覚えていないので、新鮮な気持ちで読むことができました。

ルパンシリーズは、はじめに短編が書かれたそうです。
雑誌掲載で人気が出て、後に長編が書かれるようになりました。

本書に収録されている作品は「八点鐘」収録作2編の他に、ルパンシリーズが世に出た時の第1巻、第2巻から1編ずつ載録しています。
フランスの読者たちから人気を博し、現在までその人気が衰えないルパンシリーズの大本の作品たちを、偶然とはいえ読むことができて良かったです。

それにしても最近は、勝手な思い込みから勘違いをすることが増えてきました。
キーボードの押し間違いや、漢字の変換間違いなども増えてきた気がします。
これはきっと年齢のせい。
気を付けなくては、と自らを戒める今日この頃です。


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お気に入りその1367~ありがとう

2017-05-24 12:24:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ありがとう」です。

「からっぽ たいくつ どようびは まだ ~子どもが家族に贈る「ありがとう」短編集~」という本をいただきました。

小学生の「いつもありがとう」作文コンクールが10年目をむかえ、歴代入賞作から10作品を選び、執筆者と家族への取材をもとに書き下ろされた短編集です。
もちろん元々の作文も作中に登場します。

読むかどうか迷いながら、まえがきに目を通すと、次のようなことが書かれていました。
=====
ありがとうの壁
それは年齢と共に高くなる
気恥ずかしさや照れくささ

「ありがとう」は人と人の絆を深める
=====

なるほどそうですね。
この本は大人こそ読むべき本なのかもしれません。
早速読み始めました。
10作品のあらすじが、AMAZONの内容紹介で紹介されているので、引用します。

=====
「ありがとう」、その一言にはこんなにも深い愛が含まれているのです――あさのあつこ

照れくさい、恥ずかしい、くすぐったい。
思っていてもなかなか言葉にできない家族への「ありがとう」。
本書は、そんな感謝の気持ちを綴った子どもたちの作文をもとに描かれた、温かくて切なくて、ちょっぴり泣ける短編集です。

病気の自分を支えてくれるお母さんへ。
ライバルであり理解者であったお姉ちゃんへ。
やさしくも厳しく見守ってくれるお父さんへ。
命を救ってくれたおばあちゃんへ。

どの作品も子どもならではの素直でみずみずしい視点と感性に溢れ、大人が見落としている何かを教えてくれるものばかり。

家族に会いたい、話をしたい、ありがとうと伝えたい。
そんな爽やかな気持ちにさせてくれる10篇のストーリー。

からっぽたいくつ どようびはまだ
家族で短歌を楽しみ、日常を五七五七七の歌にしている女の子。
お父さんのいない平日は寂しい、早く土曜日が来ればいいのに。

わが家に伝わる魔法の呪文
お父さんが教えてくれた、どんな人でもその人のいいところを見つけられる魔法の呪文。
けんかばかりしている妹、クラスのライバル、水泳の怖い先生。
次々と魔法を試す中、自分自身のいいところがわからなくなり……?

かいじゅうのはなし
花奈ちゃんが嫌な気持ちになったとき、心の中で暴れ出すかいじゅう。
どうしてそんなに暴れるの?
悲しみながらも優しく受け止めてくれるお母さんが、教えてくれたこと。

50年前の、あの日。
日本を襲った大震災の日。恐怖と不安から救ってくれた、おばあちゃん。
あれから50年の月日が流れ、孫を持った自分の胸に去来する思いとは。

土曜日のやきそば
「とっさん」はいつの間にか家族になっていた新しいお父さん。
得意のやきそばを久しぶりに食べたとき、とっさんと出会ったころの思い出と感謝がよみがえる。
言葉にはしないけどね
絶対負けたくない!
姉にライバル心を燃やす、わか。
それでもいつも一歩先を行くお姉ちゃんへの、言葉にできない本音って?

僕のヒーロー
中学最後の野球大会前夜。
どうせ頑張ったって試合になんて出られない――
くじけそうになったとき、ふと頭に浮かんできたお母さんとの思い出。

父からの贈り物
建設会社で働く父のおみやげは、決まって汗臭い作業着だった。
工学部か、教育学部か。進路に迷う今、父からの本当の贈り物に気づく。

サンゴになったおじいちゃんへ
小さなころに亡くなってしまったおじいちゃん。
女流棋士になるという夢を叶えた自分を、ずっと支えてくれたのは、おじいちゃんが教えてくれたたくさんのことだった。


まだまだ一人前とは言えないけれど、社会人として過ごす毎日は充実している。
でも、未熟児として生まれ障害のある僕は昔、母がつきっきりでないと学校にすら行けなかった。
ずっと支えてくれた母への想いが溢れ出す。
=====

最後の「声」を読んだときには思わず涙が溢れました。
僕の母は「世界一」、社会人になった主人公がストレートに表現した言葉。
この言葉の裏にある彼らの20年間のドラマを知ってしまったら、きっとあなたも涙することでしょう。
障害を持って生まれた子どもに対し、親は丈夫な体に生んであげられなかったことをわび続けます。
でも子どもはそれが親のせいでないことを十分理解しています。
逆に他の子より愛情を注いでもらっていることに感謝しています。
なんて素敵な関係。

「気恥ずかしさ」や「照れくささ」なんて吹き飛ばして、今日から「ありがとう」をたくさん言おう!
そう思わずにはいられない作品集でした。
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お気に入りその1366~純米酒を極める

2017-05-22 12:17:34 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「純米酒を極める」です。

先日、北海道新聞のエッセイ欄に本書のことが紹介されていました。
上原浩という「酒造界の生き字引」が書いた本です。
この手の本は、これまでウイスキーについて書かれたものをいろいろ読みましたが、そこそこかじったライターが書いたものと、業界関係者が書いたものがあります。
どちらもここまでズバッと斬り込んで書いたものを読んだことがありませんでした。
読み始めてすぐに、本書は一種の告発書であることが判り、真剣に読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
酒は純米、燗ならなおよし――。
本来、米と水だけでつくる日本酒は、これ以上ないほど安全で健康的な食品である。
しかし戦中戦後の緊急避難策として始まったアルコール添加が定着し、経済効率のみが優先されてきた結果、「日本酒は悪酔いする、飲むと頭痛がする」といった誤解を生じさせ、今日の危機を迎えた。
我が国固有の文化である日本酒はどうあるべきか。
60年近く、第一線の酒造技術者として酒一筋に生きてきた「酒造界の生き字引」が本当の日本酒の姿と味わい方を伝える。
=====

本書が書かれたのは15年前の2002年。
著者は2006年に亡くなっています。
その後の日本酒業界を、著者はどう思って見ているしょうか?

戦中戦後のコメ不足に緊急対策として始められた醸造用アルコール添加(アル添)。
本書が書かれたのはその全盛期。

燗をするとアルコール臭が立つので、やたらに冷で飲むことをすすめます。
そして新型酵母により上立香(うわだちこう)のやたら高いものをつくります。
果ては三倍増醸酒の存在。
醸造用アルコールを大量に添加すると辛過ぎるため、糖類を大量に転嫁しなくてはならなくなります。
こうして米と水だけからつくるよりも三倍の量の酒ができあがります。
信じられない酒があったものです。
もしかしたら昔、合成酒と呼んでいた、やたらに安くて甘い、悪酔いする酒のことでしょうか?
ただしあまりに不味いため、アル添清酒をブレンドせざるを得なくなったそうです。

著者は醸造用アルコールの添加に多少の理解は示しています。
米と水だけで酒を作ることは難しく、万一腐敗させると何年も蔵に菌が残り、倒産の恐れがあります。
だからある程度までの発酵で止めて、アル添に頼るのだそうです。
ただしその場合は、日本酒とは呼ばず、清酒と呼ぶことで区別することを提唱しています。
米と水だけで酒をつくることはとても難しく、それができる技術者はそれほど多くないと述べています。

これまでアル添した酒を普通に飲んできましたが、本書を読んで考えを改めました。
今は味わいの違いがよく分からないながらも、「男山生もと純米」「神亀 純米酒」「大七純米生もと」で勉強中です。

それにしても、現代の科学をもってしても自動化できない酒造りの技って凄いですね。
その理由を端的に言い表した言葉を最後に引用します。
=====
同じ米と水、同じ酵母を使ったとしても、つくり手が違えば酒は違ってくる。
同じ酒造家がつくっても気持ちの入れようが変われば酒は別物になってくる。
醪(もろみ)の中には何億という微生物が活動する。
その複雑な働きを完全に予想することは不可能に近い。
科学万能の現代においても、理屈で説明できないことはある。
そこで重要になってくるのがつくり手の勘だ。
(勘とは)無数の経験の積み重ねによって発揮される瞬発的なひらめきである。
=====
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お気に入りその1365~竹内まりや

2017-05-19 12:18:41 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、竹内まりやです。

先日は時間があったので、竹内まりや三昧で過ごしました。

4月にパソコンの外部スピーカーとしてJBLのPebblesを取りつけて、いろいろな音楽を試してきましたが、その日は音楽DVDを試してみようと思い、お気に入りの竹内まりやを揃えました。

 ①諸事情により入手した店頭PR用の音楽DVD
 ②NHK-BSで録画したSONGSの初回版と1周年版
 ③DENIMの付属DVD

の合計3枚です。

リフォーム前、まだ5.1chサラウンドシステムが生きていたときに①を鑑賞していました。
その時は「元気を出して」で、前方から竹内まりや、左後方から薬師丸ひろ子、右後方から山下達郎の声が聴こえ、3人に囲まれた不思議な感覚を楽しんでいたものです。

②と③は、これまでテレビの内蔵スピーカーで鑑賞しただけでした。

さてパソコン外部スピーカーの威力やいかに?

視聴の結果、音響設備の大切さを改めて思い知らされました。

①のコーラス2人は竹内まりやの両サイドでしっかり歌っていました。

②の初回版は、メドレー集や人生の扉の音響をたっぷり楽しむことができました。

②の1周年版は、野外コンサートで歌った「元気を出して」が、贅沢なコーラスを従えていたこともあり絶品でした。

そして③は、ライブ映像やプロモーション映像を強力に引き立てる音響を味わいました。

どれもこれもこれまで鑑賞してきたものとは別物です。
スピーカーの力の偉大さを改めて実感しました。

贅沢を言えば、この音響に20インチ画面では物足りません。
大画面が欲しいなぁ・・・。
おやっ、待てよ。
そういえばリフォームをしてサラウンドスピーカーを置く場所がなくなったので諦めていましたが、テレビに音響のデジタル出力端子って付いていないのかな?
もしあれば今回のように、小さな外部スピーカーを接続して、良い音&大画面が実現します。
考えたことがなかったけれど、調べてみようっと。
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お気に入りその1364~スピーカー

2017-05-17 12:11:10 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、スピーカーです。

スピーカーを買い取ります!という「ハードオ○」のチラシを目にしました。

何年も前から邪魔にされ、地下の物置に置きっぱなしになっていたスピーカー達とついにサヨナラすることにしました。
どうせ使う当てがないのなら、誰かに使ってもらった方がスピーカーも幸せというもの。
大きくて重たいサンスイのSP-688、ヤマハの名機NS-20M、同ウーハーYS-W7。
独身貴族のころに、カタログとにらめっこして購入した、こだわりのスピーカーたち。
結婚してからは何回聴いたかな・・・。
その内に捨てなくては、と思っていましたが踏ん切りがつかず、あちこちに追いやっている内に結構傷がついてしまっていました。
「ハードオ○」に持っていく前に雑巾がけをしたら、SP-688の金属部分が少し錆びていることに気付きました。
誰かに使ってもらうなら、もっときちんと保管しておけば良かったと、今さらながら後悔しました。

「ハードオ○」では外観だけでなく、実際に音を鳴らして時間をかけて検査していました。
ああ、やっぱりいい音しているな・・・。
そしていつも「ブックオ○」で慣れている二束三文とは違う価格で引取ってくれました。
当然、購入価格の足元にも及びませんが、いまだに価値あるスピーカーであることを知り、何だかうれしかったです。
きっと隅々までクリーニングされて店頭に並ぶのでしょうね。
今度はじっくり音楽鑑賞してくれる人の元で、思い存分活躍してほしいと思います。

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お気に入りその1363~麑海魚譜

2017-05-15 12:35:19 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「麑海魚譜」です。

島津出版会・編「新編麑海(げいかい)魚譜」を鑑賞しました。
本書は1979年の発行、38年も前の魚譜です。
明治初期に描かれた300種を超える魚・カニ・エビ等の彩色図版がたっぷり掲載されています。
私のように博物図版好きにはたまらない図譜です。

本書の購入動機は愛読している、天文古玩さんのブログでお得情報を目にしたことです。
本書のつくりを含め、随分と詳しく書かれていますのですが、その一部を引用させていただきます。
=====
A4判、鮮やかな朱の箱に収められた紺色の布装本
鹿児島湾に生息する魚介類についての博物図譜
原本は明治16年(1883)に出ており、編者は元静岡藩士で、当時鹿児島県に出仕していた白野夏雲(しらのかうん、1827-1899)。
絵師は木脇啓四郎(1817-1899)と二木直喜(生没未詳)の二名。
この本の書誌は、後ほど詳しく書きますが、まずはその中身。
カラー図版を、見開きに4図配しています。
各図は原図のおよそ3分の1に縮小されており、当然もっと大きな図で見たいとは思いますが、そうすると経費が膨大になってしまい、出版そのものが不可能となるでしょうから、その辺はやむを得ません。
その分、紙質は非常に良くて、オリジナルの和紙の質感を損ねないよう、クリームがかった、マットな紙を使っています。
水産物の紹介ということで、魚以外に、エビ・カニ・イカ・タコ・貝類も収載。
=====
今日ご紹介した『新編 麑海魚譜』(島津出版会、昭和54)は、原本の344図に加え、上記の彩色版刊本から25図を追補し、すべてカラー刷りで再現した上に、詳しい解説を加えた労作です。
=====
最後に大事なことを書き添えます。
この豪華本、定価も29,000円とずいぶん張りますが、尚古集成館の売店では、何と驚異の特価5,400円で販売中。
在庫がだぶついているせいかもしれませんが、これはすこぶるお値打ち。魚好き、博物好きの方に広くお勧めします。
=====

最後のお得情報に飛びつき、購入した次第です。
天文古玩さんのおかげで貴重な博物図譜を鑑賞することができました。
数年前に鹿児島の尚古集成館を訪れましたが、本書の存在に気付きませんでした。
竹製の晩酌用カップを買って満足していたなんて、我ながらマヌケです。トホホ。

最後に鑑賞した感想をいくつか書きます。
・図版を描いた絵師は二人。図版の上手下手がはっきりしているので、描き手の得意不得意ではなく絵師の上手下手ではないかと思います。
・魚の図版は上手なものが多く、見応えがあります。
・専門家が1枚1枚同定作業を行っている解説文は読みごたえがあります。
・市場に並んだ魚やカニ・エビを描いたそうですが、茹でて赤くなったカニを描いている図版まであり、不思議に思いました。
・本書は、島津出版会が贅を尽くして制作したご当地のお宝。博物画鑑賞がお好きな方にはオススメです。
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お気に入りその1362~伊藤熊太郎

2017-05-12 12:22:16 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、伊藤熊太郎です。

芸術と科学が交わった博物図版を鑑賞することが大好きです。
その鑑賞方法は、博物館などで鑑賞するのもいいですが、たくさんの図版が1冊にまとめられた出版物でくり返し鑑賞することが特にお気に入りです。
当然ながら、その図版はできるだけ大判で載っている方がいい。
先日も新たな出会いを求めてネットオークションをチェックしていました。
そこに、まさにこれ!というものが出品されていました。

「戦前 昭和6年 日本水産動植物図集 上下編揃い 魚類図鑑 幻の魚類博物画家 伊藤熊太郎 鮫 鯨 深海魚 甲骨類 大型本」
というタイトルで出品されている博物画集です。
掲載されているサンプル図版は、とにかく見事。

この伊藤熊太郎って一体何者?
これまで、多くの博物画家の名を目にしてきましたが全く知りません。
随分そろえた手元資料にも名が出てきません。
最終手段はやっぱりネット検索。
検索のトップに出てきたのは、東京海洋大学の「幻の魚類博物画家 伊藤熊太郎」という企画展の展示目録です。
そしてそこには荒俣宏氏の名が・・・。
伊藤が描いたスケッチ帳6冊、原画1261枚を荒俣氏が発見したことが、きっかけで企画展が開催されることになったそうです。
またアメリカのアルバドロス号の博物探検航海に参加した経験がある絵師であり、多数の図版がスミソニアン博物館に残されていることも紹介されていました。

出品者のコメントによると
=====
日本水産動植物図集 上下編揃いです。
昭和6年5月15日に上編 昭和7年3月15日に下編が発行されました。
図は幻の魚類博物画家 伊藤熊太郎氏です。
見開き左に解説、右に図です。
キラキラ反射するラメ?のような塗料も使用された凝った作りの図鑑です。
大きさは縦36cm×横52cmです。
=====

荒俣宏先生が肩入れしている博物画家の大判の図版と言っても、1万円を超えたところでビビりました。
並行して復刻版があることも判りました。
ただ復刻版はサイズが小さい上、下巻だけ。
せめて上下巻だったら良かったのに、と恨み言を言いつつ、何とか落札することができました。

そしてついに到着。
縦36cm×横52cmは、とにかくデカい!
これまで一番大きかった「複製 近代文学手稿100選」より一回り大きいです。
重さも半端ではありません。

いよいよ図版鑑賞です。
図版は厚手の紙に美しく印刷され、保存状態も素晴らしいです。
照りのある魚は、キラ刷りで仕上げられています。
魚以外の海生動植物も網羅しています。
オットセイ、ラッコ、クジラ、エビ、カニ、ナマコ、ウニ、ヒトデ、貝類、サンゴ、海藻など。
こりゃ見応え十分。
最近、貝類図鑑が欲しくてチェックしていたのでちょうど良かった!
と軽く言うには高価な買物でしたが、大判の図版をたっぷり鑑賞しています。

魚、甲殻類、貝類は絶品ですが、哺乳類と海藻は余り上手ではありません。
本棚に仕舞うと出すのが面倒になりそうなので、今のところは食卓の脇に立てかけて、頻繁に鑑賞しています。

最後に、本書の刊行動機を知りたくて、序文を現代風に訳してみたのでご紹介します。
=====
序文
大日本水産会は、明治15年に創立し、本年、創立50周年を迎えた。
これを記念して水産動植物図集を刊行し、頒布することにした。
本会は明治25年に日本重要魚介を類集する魚介図を刊行し、同33年及び43年増補重版を行ったが、収録する種類は300余種に過ぎなかった。
当時この文献が学会の研究資料として、また美術工芸の参考資料として社会に好影響を及ぼした事実を考え、今回刊行するものは全て原図を新たにし、600余種に増加して我が国の重要な水産動植物をほとんど網羅し、かつ和英文の解説を付し、その完成に最善の注意を払った。
本図集は、魚介写生の大家・伊藤熊太郎が描写し、生物学の権威数氏が監修した、科学的に正確な原色版であり、国内では例のない書籍と考える。
近年の水産業興隆の機運に際し、本図集の刊行により水産業界の発展に貢献することができれば、この記念事業が意義あるものとなり幸いである。
昭和6年5月
大日本水産会長 伊谷以知二郎
=====

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お気に入りその1361~竹鶴政孝パート271

2017-05-10 12:14:57 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート271、アイリークです。

ニッカファンですが、今、浮気をしています。
数年前まで晩酌ローテーションの定番だったニッカピュアモルトホワイトの代役として、アイリーク(イーラッハ)を味わっています。

両者の商品紹介をAMAZONから引用します。
=====
「ブラック」「ホワイト」「レッド」3タイプの品揃えの内の一つで、余市蒸溜所のヘビーピートタイプのモルトが主体。海草やヨードに似た強いピート香。
コクのあるやわらかな味わいが特徴です。
北海道、余市蒸溜所は、ニッカウヰスキー創業者「竹鶴政孝」が最初に選んだ地であり、海と山に囲まれた風景や気候、特に朝夕に靄(もや)が立ち込める光景は、リタ夫人が故郷を想い浮かべるほどスコットランドと共通していました。
=====
イーラッハとは“アイラ島民”を意味します。
1999年の「インターナショナルワイン&スピリッツコンペティション」で金賞を受賞したアイラモルト。
瓶詰めをしたのは「ザ・ハイランズ&アイランズスコッチカンパニー」ですが、蒸留所の名は明かされていません。
ラフロイグかラガヴーリンの若いものではないかと言われています。
スモーキーな味わいでは在りますが口当たりの良さはクール。
=====

元々アイラモルトを使っていたピュアモルトホワイトが、ある年を境に余市のペビーピートタイプのモルトに替わりました。
徐々にその強烈な個性が失われ、飲みやすくなりました。
そしてモルト不足が表面化し、ついに廃番になってしまいました。
ヘビーピートタイプのモルトは癖になり、定期的に味わいたくなることは、アイラモルト好きなら理解してくれるはず。
かつては箱買いしていたピュアモルトホワイトを、今は細々とネットオークションで落札しています。
晩酌は、在庫本数と相談しつつ、年に数本・・・。
代わりになるお手頃のこのタイプのウイスキーが、ニッカ製品には見当たらない・・・。
仕方なくラフロイグやアイラストーム、アイリークで、時々浮気しています。

今回、久しぶりにボトル残量を気にせずにアイラモルトを味わいたくなり、アイリークを箱買いしました。
未開栓ボトルがまだ5本もある、という安心感が、鬱積した心を静めてくれました。

「竹鶴12年、余市10年、ピュアモルトホワイト」に、時々竹鶴17年を入れた晩酌ローテーションが壊れて久しいです。
あの頃のように贅沢に原酒を味わう時代はもう戻ることはないでしょう。
今はフロム・ザ・バレルとブラックニッカブレンダーズスピリットを箱買いして楽しんでいます。
そこに疑似体験としてアイリークを加え、原酒黄金時代を懐かしんでいます。
ニッカファンとして少しの後ろめたさを感じながら・・・。



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