鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその909~鬼平犯科帳パート74

2014-05-30 12:31:20 | 鬼平
今回のお気に入りは鬼平犯科帳パート74、剣客商売'73です。

BSで放送していた剣客商売'73が先日終了しました。
放送が始まったことに気づいた時は第7話「雨の鈴鹿川」でした。
それ以降は録画しました。
後日時間を見つけては1話ずつ観るのを楽しみにしています。

このシリーズは剣客商売の最初のTVシリーズで、秋山小兵衛を山形勲、大治郎を加藤剛が演じています。

中村又五郎をモデルにしている小兵衛が山形勲では体格が良すぎ。
小兵衛役はその後、藤田まことと北大路欣也が演じていますが、こちらもやっぱり体格が良すぎ。
今回調べて初めて知りましたが、中村又五郎自身が小兵衛を演じたドラマが2話制作されたことがあるそうです。
放送されたのは1982-83年だそうで、大治郎役は加藤剛だったそうです。
おそらく配役が最も原作に近い作品だったと思います。
いつかぜひ観たいものです。
鬼平に出演した中村又五郎の凄味の利いた演技が思い出されます。

次は大治郎。
'73では真面目一本の代表格、加藤剛が演じており、適役だと思います。
ただ独楽を回すのが趣味という設定ですが、原作になかったようで気になりました。
大治郎役はその後、渡部篤郎、山口馬木也、斎藤工が演じています。
朴念仁ぶりでは斎藤工もなかなか良い味を出しています。

そして気になるのは三冬とおはるを誰が演じているかです。
「雨の鈴鹿川」にはどちらも出てこなかったので、第14話「三冬の女ごころ」を観て確認しました。

三冬は音無美紀子が演じていました。
若い頃は可愛らしかったのですね。
健康的な美人でお転婆娘らしいところはぴったり。
老中の娘としての風格は感じられませんが、まあまあ適役だと思いました。
後のシリーズでは大路恵美、寺島しのぶ、杏が演じていますが、個人的には大路恵美の三冬が好きでした。
何と言っても若く可愛いらしかったので・・・。
殺陣のシーンでは竹光に振り回されていて形になっていないことが残念でしたが、それでも大路恵美が良かったです。
だって次が寺島しのぶなんですよ!
落差あり過ぎです。

おはる役の梶三和子は知らない女優ですが、もっと若い娘風の女優が良いのに、と思いました。
このおはる役はその後も小林綾子や貫地谷しほりが演じますが、原作のイメージより老けています。
原作の設定では、小兵衛が67歳のときにおはる27歳、大治郎32歳、三冬27歳、小太郎4歳だそうです。
「三冬の女ごころ」は大治郎と三冬が出会ったころですからおはると三冬は22歳くらいでしょうか?
それを考えるとどのおはるも歳を取り過ぎですよね。

・・・などと文句を言っていますが、剣客商売は鬼平に次ぐお気に入り。
何だかんだいっても楽しみであることに変わりありません。
白鴎版鬼平のように2~3回繰り返し放送してくれると助かります。
見落とした人は他にもいるはずです。



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お気に入りその908~とりぱん②

2014-05-28 12:32:08 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、とりぱん②です。

予備知識がほとんど無い状態で大人買いした「とりぱん」全巻セットをノロノロ読んでいます。
今は3巻目を読み終わったところ。
本書はとりぱん(野鳥のエサ台)を中心とした日々の出来事を描いた作品ですが、確かに漫画賞を獲るだけのことはあります。
野鳥をめぐるドタバタから、美しく感動的な大自然までを見事に描いています。

岩手県の自然がいっぱいの住宅街が舞台。
私の住む北海道ほど冬は厳しくないようですが、かなり住環境は似ています。
そして何より嗜好が似ています。

植物を育て、鳥や虫を観察し、自然を眺めてのんびり暮らす・・・それが彼女の夢の暮らしであることがとても共感できます。
エコだとかロハスといったものをファッションと同格に見ることを嫌うことも一緒。
こういう同じ価値観の人が理想の暮らしとして描いた作品を読むことができてとても満足しています。

残念ながら彼女のような暮らしはできませんが、隣人や友人のような気持ちで物語を楽しんでいます。

ウワサでは東日本大震災を体験した著者の震災の記が素晴らしいとか、それを境に作品が深化したらしいと言われていますが、基本路線が変わっていなければいいなと願っています。
妙に深刻になったり、大げさな発言が出たりするようだと、らしくありません。
身近な自然に目を向けた生活、地に足が付き背伸びをしない生活が続いていることを願っています。
そして何より鳥や虫などが震災以前と同様に登場してくれることを願っています。

どうやら震災編は11巻らしい・・・。
10巻まではまったりと楽しみ、11巻からは少しドキドキしながら読むことになりそう。


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お気に入りその907~体の贈り物

2014-05-26 07:56:04 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「体の贈り物」です。

レベッカ・ブラウン著「体の贈り物」を読みました。
末期のエイズ患者をホームケアするサービスをしている主人公と患者の心の交流を描いています。
複数の患者が繰り返し登場し死を迎えていくまでを描く連作集です。

amazonの内容紹介を引用します。

=====
食べること、歩くこと、泣けること…重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。
私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。
死は逃れようもなく、目前に迫る。
失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。
熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。
=====

ごく普通の人々が徐々に死に向かっていく様を丁寧に描いています。
患者の多くは、最期まで理性を失わず、自暴自棄にもならず、静かに死を受け入れます。
これってとても勇気がいることだと思います。
自分ならこんなに理性的に死を迎えることはできないのではないかな・・・。

患者をホームケアする主人公は、プロとして冷静に対処しながらも、優しく温かく心を通わせる内に、自らの心にも傷を負います。
この仕事をする者には2年以上働く者が稀だという現実が精神的な厳しさを如実に表しています。
最終章では、主人公がボスであるマーガレットに辞めたいと申し出ます。
マーガレットは「辞めては復職しを繰り返してはどうか」という柔らかな考え方を提案します。
そこで物語は終わり。
主人公の人生はそれからも続いていく・・・と言いたげなエンディングはいいですね。
もっともあまりに現実的なテーマのため、物語とはとても思えない作品でしたが・・・。

以前「こんな夜更けにバナナかよ」を読みました。
誰もが無理といった在宅で生きることを選んだ筋ジス患者と介護ボランティアのドキュメントでした。
あの本では介護というものについて考えさせられました。
介護をする者もされる者も共に悩みがあり、傷つき、苦しんでいること。
彼らはオシッコやウンコの介助などを通して、同じ時間を共有し、裸の一人間同士として心をぶつけ合います。
あれだけ本音をぶつけ合うことができたのは患者の強い個性と彼の人間的魅力に魅かれたバランティアたちという関係だから成り立ったのです。

今回の「体の贈り物」では国の補助金を得るために介護サービスがシステム化されています。
とても「バナナ」のように臨機応変には行かないし、患者の心自体がそこまで強くありません。
「バナナ」とは一味違った介護の現実を学びました。
どちらも健常者には想像もつかない世界であり、生と死について深く考えさせられた生涯忘れない作品でした。

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お気に入りその906~大正新版画

2014-05-23 06:55:31 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、大正新版画です。

先日「よみがえる浮世絵~うるわしき大正新版画展」図録を購入しました。
2009年に江戸東京博物館で開催された特別展の図録です。

古本の市場でかなり高価で販売されており、最安値はネットオークションの送料込み4800円でした。
現状、お小遣い財政がひっ迫していますが、多少無理をして購入しました。

新版画といって思い出すのは渡邊庄三郎という名前です。
最後の版元、浮世絵の再興に挑んだ男として知られています。
また最近では「開運!なんでも鑑定団」で浮世絵の鑑定をしている渡邊章一郎の祖父といった方が通じます。

渡邊庄三郎が世に送り出した新版画のエースは伊東深水と川瀬巴水でした。
彼らは素敵な作品をたくさん残しています。
私は特に川瀬巴水がお気に入りで画集を繰り返し鑑賞してきましたが、何度観てもその美しさにはため息が出ます。
この素晴らしさが一般にはあまり知られていなくて実に残念に思っていました。
ところがある年、あの有名なスティーブ・ジョブズが川瀬巴水の新版画を大量に購入したというニュースが流れました。
すると急にマスコミが取り上げるようになり、多少知名度が上がりました。
海外から評価されないと評価できないという、日本人のいつもの悪い癖です。

渡邊庄三郎の浮世絵の再興という夢は、残念ながら彼の死と戦争により露と消えました。
しかし美しい作品は数千点も残りました。
それらを日本の誇りとして正しく評価し、後世に伝えることが必要だと思います。

新版画を江戸東京博物館だけでなくもっと多くの美術館で紹介して欲しいと願っています。

本図録には、浮世絵にあこがれて来日し、新版画を修行した外国人芸術家たちの作品が載録されていました。
また橋口五葉も前出の二人に負けない作家だったことも知りました。

ちなみにニッカウヰスキー余市蒸溜所の版画シリーズを制作した奥山儀八郎は、新版画に遅れて登場した作家でした。
あの版画シリーズは明らかに浮世絵の技法と西洋の遠近法で制作された新版画を目指したものでした。
奥山の作品は現在もニッカウヰスキーのブランデーXO白のラベルに残っています。

最期に。
つい先日「明治の細密工芸~驚異の超絶技巧!」という本を隅から隅まで堪能したばかり。
日本が誇る手業の美しさを十分伝える技術が結集されている作品群が見事でした。
NHKの「日曜美術館」でも「明治の工芸~知られざる超絶技巧」として紹介されました。
書店でぜひお手に取り鑑賞していただきたいと思います。


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お気に入りその905~刑事のまなざし

2014-05-21 12:31:18 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「刑事のまなざし」です。

椎名桔平主演のTVドラマを観て気に入ったので、原作本である薬丸岳著「刑事のまなざし」を読みました。

夏目刑事の先入観のない優しいまなざしが、犯人や関係者の心をほぐし、事件を解決に導きます。
刑事モノにしては心が和むシーンが多く、気持ちが塞がらずに読むことができました。

この作品は短編集ですが、最初の2作品を読んでいて何度も首を傾げました。
この作品は前に読んだことがある・・・そういう気がして以前読んだ本を調べました。
でも読んでいませんでした。
まさにデジャブ。
こんなに惑わされたことはありません。
それだけTVドラマが原作に忠実に制作されていたからだと思います。

夏目刑事モノは他にもあるようなのでその内に読もうと思います。
それと同時にドラマの続編制作も期待しています。

薬丸岳は以前デビュー作「天使のナイフ」を読んで、今回で2冊目。
どちらもスラスラ読めて、しかも深い。
著者の技量を感じます。
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お気に入りその904~一千兆円の身代金

2014-05-19 12:51:21 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「一千兆円の身代金」です。

本書は書評ブログを書いている知人の紹介で読みました。
「このミステリーがすごい!」大賞受賞作ということで期待して読みました。

一千兆円というおそらくはミステリー史上最高額の身代金誘拐事件を題名の通りストレートに描いています。
意外な犯人というミステリーに重要なポイントを押さえた秀作でした。
また国家財政、年金問題、TPPなど現在の社会問題がたっぷり取り上げられていて社会勉強にもなりました。
終盤で事件は無事解決されましたが、残念ながら社会問題の有効な解決策は書かれていませんでした。
ミステリー作家のデビュー作で簡単に社会問題が解決されては、政治家や官僚は立場がないから当然でしょう。
ちょっぴり期待して読んだ私がバカでした。
本書にご興味がありいつか読もうかな、と思っている方にはできるだけ早くお読みになることをおすすめします。
直近の社会問題がホットな内に読む方が臨場感があってより一層楽しめるでしょうから。

さて「このミス」で取り上げる作品は、大賞受賞作以外も面白い作品が多いです。
「ジェノサイド」「二流小説家」「生存者ゼロ」「チーム・バチスタの栄光」「マークスの山」「パラサイト・イヴ」「13階段」「第三の時効」「楽園のカンヴァス」などを読みました。
これまでで一番は何と言っても「ジェノサイド」。
あれは誰か映画化してくれないかな。
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お気に入りその903~とりぱん

2014-05-16 07:32:52 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「とりぱん」です。

とりのなん子著の「とりぱん」。
読んだこともないのに、なぜか「とりぱん」全15巻と「とりぱん大図鑑」を買いました。
今、1巻目を読んでいるところ。
有名漫画家が絶賛し漫画賞を獲った作品と聞きましたが、なるほど面白い・・・。
簡単なようで深い4コママンガ、とりぱんワールドをゆっくりじっくり楽しみたいと思います。

さて「とりぱん」との出会いはネット上のあるHP。
「とりぱん」の派生図書である「とりぱん大図鑑」が紹介されていてとても気に入りました。
紹介されていたのはヒヨドリのページでした。

図体のデカいコワオモテのヒヨドリ。
鳴き声がとても大きくしかもギョエーと決して美しいとは言い難いヒヨドリ。
かわいらしい他の野鳥たちとは一線を画するこの鳥。
大図鑑ではエサ台で案の定デカイ態度をとっている漫画の一コマを紹介しながら、その反面「平安貴族が飼っていた」という意外な一面を紹介しています。
ほう・・・これまで読んできた図鑑とはずいぶん違うな・・・。
鳥の本性を主観的にとらえてそれをズケズケと漫画に描きながら、さらに雑学も披露。
この私的な感じはもしかしたら横山光夫著「原色日本蝶類図鑑」の漫画版?
いえいえあのような文学の香りはしません。
どちらかというともっと庶民の香りがします。
共通しているのは一般的な図鑑とは大きく違う解説が楽しめるということ。
こういう解説が読みたかったのです。
ただし、ここですぐ買わず、買う理由を積み上げるのが私のクセ。

早速amazonの紹介文を読みました。
=====
モーニング連載の「とりぱん」から生まれた鳥の図鑑。
オールカラー100余点すべて描き下ろし。
さらに鳥のキャラ解説も。
“とりぱんワールド”ガイドブック。
=====

レビューもお気に入り度の高いコメントが並んでいます。
ついでに週刊モーニングのHPで紹介ページを読みました。

=====
アナタの「バードウォッチング観」は間違いなく揺らぐ……! 
北東北のベッドタウンに住む作者が、庭のエサ台に集まる野鳥たちのドタバタを中心に、自然・料理・猫・昆虫・方言から雪かきやガスタンクまで、日常のすべてを題材に綴る“身の丈ワイルドライフ”。
タイトルは、エサ台に置くのが主にパンであることから。
「ロ●ス」とか「スロー●イフ」という言葉が微妙にカチンとくる方々にもなぜか大好評!
=====

どうやら傑作に間違いなさそう・・・。
という訳で大人買いすることを決めました。
最近お小遣いを使いすぎて緊縮財政に陥っていますが、高級酒や高額な図譜を購入することを考えると、今回の買い物は安い安い。
わずか5000円ほどで1か月以上楽しく過ごすことができそうです。

ちなみにこのマンガ、モーニング連載なので妻や娘は知らないと思ったら、もう15巻くらい出ているはずだよ!なんて正確な回答が返ってきました。
さすがマンガ通のふたり。
読んでいないマンガに関しても良く知っていること。
さらに「大人買いする前に、ブックオフあたりで立ち読みしてから買った方が良いよ」と指摘されました。
確かにおっしゃる通り。ぐうの音も出ませんでした。




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お気に入りその902~しでむし、こんちゅう稼業

2014-05-14 07:11:06 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「しでむし」「こんちゅう稼業」です。

メレ山メレ子著「ときめき昆虫学」で紹介されていた昆虫本を2冊読みました。
舘野鴻の絵本「しでむし」と、秋山亜由子の漫画「こんちゅう稼業」です。
今回はその2冊について書きます。

①舘野鴻の絵本「しでむし」

前半は”あかねずみ”が主人公。
”しでむし”は出てきません。
若いお母さんねずみが子を産み、育て、その子がまた子を生み、母は老いて死んでいく。
わずか1年の寿命を精一杯生きるあかねずみ。

そして後半。
あかねずみの死体に、今回の主人公”しでむし”がやってきます。
オスとメスがここで出会い、ねずみの死体を我が子の食料とすべく活動を開始します。
死体の毛を取り、丸めながら、地中に埋めていきます。
巣ができあがり、死体が丸い肉の塊になったら産卵。
幼虫たちが孵ると面倒を見つづけます。
お母さんしでむしは、幼虫たちが巣立つのを見届けて一生を終えます。
お父さんしでむしは、子育ての途中で巣を出ていきます。
この物語は、お父さんしでむしが、若いねずみに食べられるシーンで幕を閉じます。

生き物の命が巡っていることを上手に伝えてくれる絵本です。
何より点のひとつひとつ、線の一本一本が丁寧にそして正確に描かれていることが素晴らしいです。
どれだけ時間をかけて観察し、どれだけ時間をかけて描いたのか・・・。
その妥協のない仕事ぶりは必ずや子どもたちに伝わると思います。
著者は生物画、解剖図も手掛けているそうで、まさに科学と芸術が一体になった素敵な画集といえます。

著者略歴に熊田千佳慕の弟子とあります。
以前「プチファーブル熊田千佳慕展図録」を鑑賞しました。
科学的に正確な細密画でありながら、かわいらしい虫たちの姿に魅了されたものです。
その弟子ならば納得。
あとがきに「クマチカ先生にささげる」と書いてあり、自信の作であることがうかがえます。
とても素晴らしい絵本でした。

②秋山亜由子の漫画「こんちゅう稼業」

虫、49日の魂、仙人、昔話、幽体離脱・・・不思議な話、擬人化した話が次から次へと・・・。
ときどき昆虫の生態の秘密を正確に伝えたりして。
絵も筋立ても丁寧で大変面白く読みました。
夢枕獏「陰陽師」、梨木香歩「家守綺譚」、川上弘子「神様」に通じる不思議な空気感のある短編集でした。
ただメレ山さんの推薦図書だけに、もっともっとムシムシしていると期待し過ぎたため、少々肩透かしを食らったのも事実。
先入観念なしに素直に読んだ方が良かったと反省しています。







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お気に入りその901~アルジャーノンに花束を

2014-05-12 07:03:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「アルジャーノンに花束を」です。

久しぶりにSF小説を読みたくなって本書を選びました。
以前、十分下調べした上で、ジェイムズ・P・ホーガンの「巨人たちの星」シリーズを読み、SF小説の神髄をたっぷり堪能しました。
今回も十分下調べして、2匹目のどじょうを狙いました。

「アルジャーノンに花束を」は、1959年に中編小説として発表され、1966年に長編小説に改作して発表されました。
その2度の発表のどちらでも有名な作品賞を受賞している名作です。
 ※1960年にヒューゴー賞(短編小説部門)、1966年にネビュラ賞(長編小説部門)を受賞。
その後も繰り返し映画化、ドラマ化されているそうで、間違いなく満足できる作品と確信し本書を選びました。

amazonの紹介文を引用します。

=====
32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。
そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。
大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。
この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。
やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。
=====

=====
精神薄弱の陽気な青年チャーリーが人工的に知能を高める人体実験の被験者になり、やがて彼の知能は超天才の域に達していく。
同じ実験を受けた白ネズミのアルジャーノンに彼の見たものは…。
=====

(以下ネタバレ)
本書は被験者の日記という形で物語は進みます。
精神薄弱から超天才へと短期間に変貌するチャーリイ。
本人も周囲の人々もその変化に振り回されます。
やがてチャーリイはこの画期的な治療方法を編み出した研究者たちがただの凡人に思えるまでになります。
ところがアルジャーノンに知能の衰えが見え、その後死んでしまいます。
そしてチャーリイにもその兆候が・・・。
物語の結末はご想像の通りです。

ちなみに本書のラスト2行がとくに素晴らしく、印象的でした。
それはチャーリイの残した手紙に添えられた2つの追伸であり、本書のエキスが詰まった2行でした。
ここではあえてそこまでネタバレしません。
ラスト2行を読むためだけでも本書を読む価値がある、そう断言し、本書の話を終えます。

こういう名作SF小説を読むともう1冊・・・と欲が出ます。
そしてふっと頭に浮かんだ題名がいくつかあります。
今回のようにゆっくり下調べして選びたいと思います。


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お気に入りその900~竹鶴政孝パート226

2014-05-09 07:18:17 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート226、一号ウヰスキーです。

先日、念願の「一号ウヰスキー」を落札しました。
昭和15年に発売開始されたニッカウヰスキー最古のボトル。
これまでニッカのオールドボトルをいろいろ蒐集してきましたが、その頂点に君臨するボトルです。
政孝とリタの結婚からちょうど20年目に誕生した一号ウヰスキーはふたりの夢の結晶といえます。
今年は竹鶴政孝生誕120周年、ニッカウヰスキー創業80周年。
そしてNHKの朝ドラ「マッサン」が放送される年。
そんな年に念願のボトルが出品されたことを運命と思い、一大決心で落札しました。

これを入手するためにン十万円も支払ってしまいましたが後悔していません。
えーっ!たかがウイスキーに?バカじゃないの?と思う方が大半でしょう。
ニッカウヰスキーファンでさえ、その多くが理解してくれないと思います。
当然、家族も・・・。

価値観はひとりひとり違います。
例えば鉄道ファン。
乗り鉄、撮り鉄の他にも、グッズを収集したり、書籍で研鑽するといったいろいろなパターンがあります。
私の場合は、ニッカオールドボトルに囲まれ、政孝の人生に思いを馳せながら、竹鶴を味わうことが至高の楽しみなのです。
その楽しみのために、向こう数年間小遣いから返済するであろう高額ボトルに手を出したのです。
これからは緊縮財政が続きますがそんなことは了解済みですし、それで満足です。

「開運!なんでも鑑定団」というTV番組を見ていると、よくあんなものにそんなに払ったね!というシーンが次々登場します。
自信満々の出場者が喜んだり悔しがったりする姿を毎週楽しみにして見ています。
その家族が気の毒に思うことも度々です。
私の趣味も家族にとっては同じように思われていることでしょう。
でも趣味ってそういうものだと思います。

ただTVと違うのは、オールドボトルは断じて偽物でないということ!
確信を持って安心して囲まれていられます。

さて分不相応な買い物をした言い訳はこれくらいにします。

それでは、一号ウヰスキーについてのおまけその1。
一号ボトルと50周年復刻版ボトルを並べて比較しました。
ボトルサイズはほぼ同じですが、肩に違いが2点ありました。
復刻版の方がなで肩であることと、オリジナルの肩に「Nikka」と成型されていること。
またラベルの文章がずいぶん違いました。
同じ内容で印刷することは簡単だったけれど、「founded in 1934」「50th anniversary」と入れたかったのでしょう。

おまけその2。
2008年に芝川ビルで発見されたウイスキーは、竹鶴相談役から戦中から昭和25年までの製品との回答をもらったそうです。
時期からみて一号ウヰスキーのようですが、多少首が長い、肩に「Nikka Whisky」と印刷された紙を貼ってある、ボトル本体の模様が縦縞?という相違点があります。
あのボトルは一号ウヰスキーの後期型なのでしょうか?
気になります。


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