鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその818~竹鶴政孝パート217

2013-10-31 12:13:28 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート217、大高重治③です。

大高重治パート3です。

スライド写真18枚すべてをL版プリントしましたが、同一ボトルを複数枚撮影したものもあったので、実際は13枚でした。
それでは残りの写真について書きます。

上段左からドライジン48°、リキュールのグリーンティ、バイオレット、メロンです。
ドライジンのラベルは下端のデザインが実際に販売されたものと少し違います。

下段は左から旧ブラックニッカ、ノースランド、Gold & Goldです。
旧ブラックニッカは箱のふたが少し開いている上、飾りのメダルが欠け、リボンが退色しています。
新ブラックニッカと対比するためにサンプルではなく商品を撮影したようです。

下段中は何とノースランド!
ラベル中央に太字で「Nikka」と書いているますが、その中央に斜めに細字で「NORTHLAND」と書いています。
アップにしないと読めないくらい読みづらいです。
商品化された存在感のあるラベルとは天地の差がある地味ラベルで、このデザインが採用されなかったのは当然だと思います。

下段右はGold & Goldの札幌オリンピック記念ボトルです。
1972年開催時のボトルですから、これは明らかに「1968年のもの」ではないです。
落札資料の「1968年のもの」という記載は「その前後」と解釈するべきことは他でも気づいていました。
「新ブラックニッカ」のスライドが入っていた箱には「1965年11~12月」という記載があり、新旧のブラックニッカなどのフィルムを整理したという記載がありました。
ということで、今回のスライドフィルムは最低でも1965年から1972年までの期間のものであることがわかりました。

以上でスライド写真については終了です。

次回はガラス乾板について書きます。




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お気に入りその817~竹鶴政孝パート216

2013-10-28 12:28:11 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート216、大高重治②です。

大高重治パート2です。
前回はスライド用フィルムをプリントするところまで書きました。
今回はその続きです。

18枚すべてをL版プリントしました。
受け取りに行ったときにプリントショップの店員さんから、経年劣化しており元の色は再現できないといわれました。
45年も前のフィルムをプリントしたのですからやむをえません。

その写真とスライドのマウントを見ていていろいろ気が付いたこと、思ったことを書きます。

上段右は1965年発売の新ブラックニッカのボトルと箱です。

上段中はスライドのマウントに「函(ホイル)」という記載があります。
ホイル=箔。
新ブラックニッカの箱のデザインは、周囲を箔押し印刷する案もあったようです。

上段左はスライドのマウントに「函(トランプ)」という記載があります。
ネットオークションでニッカの販促品であろうトランプが出たことがありますが、関係があるのでしょうか?

下段右はスライドのマウントに「ニッカオールド C」という記載があります。
ニッカオールドのデザインC案という意味でしょうか?
実際に販売されたニッカオールドはもっと角ばった瓶でした。

下段中はニッカオールドの箱です。
手元にあるニッカオールドの箱とはデザインがかなり違いますが、ミニチュアボトルを紹介しているHPで紹介されている箱と同一デザインです。きっと通常サイズの箱でも採用されたデザインなのでしょう。

下段左はスーパーニッカのマーク案3種類です。
スーパーニッカ突起ボトルのラベルと見比べると、字体は上のマーク案を採用し、周囲の飾りは上と右のマーク案を合体させたようです。
このマーク案を見比べていて気付いたことがひとつあります。
参考にしたニッカウヰスキーwikiのスーパーニッカ突起ボトルは「Nikka」の字が大きいのですが、私の所有する容量違い3種類の突起ボトルはすべて「Super」の字が大きいのです。
気になって他のHPでも確認しましたが、「Nikka」の字が大きいラベルは希少のようです。
「Nikka」の字が大きいスーパーニッカ突起ボトル。これからネットオークションで注目する品がまた一品増えました。

今回はここまで。
次回は残りの写真について書きたいと思います。

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お気に入りその816~ミクロの森

2013-10-26 12:56:56 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ミクロの森」です。

D.H.ハスケル著「ミクロの森~1m2の原生林が語る生命・進化・地球」を読みました。
ノンフィクション書評サイトHONZで紹介されていてとても面白そうなので飛びつきました。

内容紹介を引用します。

=====
アメリカ・テネシー州の原生林の中。
1m2の地面を決めて、1年間通いつめた生物学者が描く、
森の生きものたちのめくるめく世界。

草花、樹木、菌類、カタツムリ、鳥、コヨーテ、風、雪、嵐、地震……
さまざまな生き物たちが織り成す小さな自然から見えてくる
遺伝、進化、生態系、地球、そして森の真実。
原生林の1m2の地面から、深遠なる自然へと誘なう。
=====

HONZではレイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」と比較して紹介していましたが、本書は「センス・オブ・・・」ほど感性に訴える内容ではなく、科学に徹した読み物だと思います。
どちらかというと寺田寅彦の「茶わんの湯」やファラデーの「ロウソクの科学」と同系。
「茶わんの湯」は物理学、「ロウソクの科学」は化学、「ミクロの森」は生物学を主題にしているくらいの違いだけで、どれも身近なものを題材にして科学を啓蒙する素晴らしい著作です。

一例として冬の小鳥についての記述をご紹介します。
彼らは羽毛を夏の1.5倍に増やしていますがそれでも冬の寒さに耐えられず、木の皮の陰に隠れた昆虫を摂取し続けないと命を維持できません。
彼らは人とは比較にならない優れた視力を屈指して次々と昆虫を見つけますが、それでも一冬に半数は命を落とすそうです。
ここでは爬虫類から哺乳類へ、恐竜から鳥類への進化の過程で生じたヒトと鳥の目の構造の違いを紹介しています。
さらには著者自身が雪の原生林で裸になり寒さに体を震わせ、なぜそうなるのかを順序立てて科学的に説明しています。

また、なぜ昆虫は植物を食べつくさないのか、という話も面白かったです。
植物は草食動物(昆虫)にとって本来は毒であるという結論に妙に納得させられました。
なるほどそうだったのか! ここでも目からウロコが落ちました。

本書は断片的な知識がつながっていく喜びに満ちた科学読み物です。
原生林の1m2を一貫して「曼荼羅=小宇宙」に例え、すべての存在が関わりを持って世界を作っていることを紹介しています。
人間の知覚する世界が生物界のごくわずかであることも紹介しています。

妙に詩的な表現が多少鼻につきますが、好きな人にはたまらない、そんな本でした。


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お気に入りその815~古い映画2本

2013-10-24 12:17:29 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、古い映画2本です。

前回の「ニュー・シネマ・パラダイス」で味を占め、古い映画を2本観ました。
「フィールド・オブ・ドリームス」と「昼下がりの情事」です。

「フィールド・オブ・ドリームス」は1989年の作品。
小説「キネマの神様」で「ニュー・シネマ・パラダイス」とともに名作と讃えられた作品です。
主人公レイが「声」に導かれトウモロコシ畑をつぶして野球場をつくるところから話は始まります。
次々登場する大リーグの往年の名選手たち。
彼らに思い入れがある人にはたまらない映画でしょう。
日本ハムファイターズの栗山監督がこの映画に触発されて北海道の栗山町に「栗の木ファーム」という球場を作ったのは有名な話です。
かくいう私はというと、ファイターズファンではありますが、大リーグに興味なし。
そんな人でも楽しめる映画だから名作といわれるのでしょう。

夢かなわず死んでいった名選手たちが集まり野球を楽しむ。
その中には球界を追放された者、違う道を歩んだ者など様々。
意識を失った娘を蘇生させるため選手が医師に戻るシーン、仲たがいしたまま亡くなった父とレイがキャッチボールするシーン、破たん寸前のレイの球場を訪れる車のヘッドライトがどこまでも続くシーンなど、胸が熱くなるシーンが満載のまさに「ドリーム」を描いた映画でした。

ちなみにこの作品でテレンスを演じていたジェームズ・アール・ジョーンズは、「星の王子ニューヨークへ行く」で王様を演じていた役者だとすぐにわかりましたが、ダースベーダの声を演じていたとは知りませんでした。

「昼下がりの情事」は1957年の作品。
「麗しのサブリナ」(1954年)と同じビリー・ワイルダー監督、オードリー・ヘップバーン主演です。
TUTAYA DISCASでレンタルしたらなぜか字幕版でした。
役者たちの細かい演技を楽しむため、いつも字幕に気を取られない吹き替え版を選んでいるので残念でした。
ただ観終わって思ったのは、この作品のようにシンプルで雰囲気を楽しむ作品なら字幕もいいなということ。
また大好きなオードリーの声をたっぷり堪能できたことも収穫でした。(池田昌子さんの声も大好きですが・・・)

私立探偵の娘アリアーヌは、プレイボ-イとして有名なアメリカ人資産家フラガナン氏に一目ぼれします。
そして居もしないボーイフレンドたちとの恋を聞かせて気をもませます。
そんな二人の別れのシーンは素敵でした。
列車で去ろうとするフラガナンに涙を流しながらも強がりを言うアリアーヌ。
ついにフラガナンはアリアーヌを列車に抱きいれます。
その後二人は結婚します。
この映画のラストでは健気に振る舞うオードリーの愛おしさにクラクラしますが、彼女の父が陰ながら演じたキューピッド役がお洒落に描かれているところも素敵でした。
この辺りはきっと映画好きにはたまらないところでしょうね。
そういえば面白いシーンがありました。
フラガナン氏がペプシコーラの経営にも関与している資産家だと紹介したところ、「スカッとさわやか」の方か?と問いかけ、「いいやもう一つの方だ」と答えるシーンです。
56年も前にすでに「スカッとさわやか」がコカコーラの代名詞だったことには驚きました。

さあ名作を観た後は、いよいよ「キネマの神様」を読むことにします。
今度はどんな作品を観たくなるかな? とっても楽しみです。

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お気に入りその814~竹鶴政孝パート215

2013-10-22 12:45:05 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート215、大高重治①です。

先日、大高重治という方の名前を初めて知りました。
ニッカ一号ウヰスキーのポスター作成をはじめとして、それ以降、ボトル形状やラベル、パッケージ等をデザインした方だそうです。
ニッカの代名詞でもある有名な「髭の王様(キング・オブ・ブレンダーズ)」の制作者でもあるそうです。
こんなにニッカに貢献した方をこれまで知らなかったとは・・・ファンとして情けない・・・。

彼を知ったきっかけはネットオークション。
大高重治のデザインネガと硝子乾板が、複数出品されていました。
日本酒、焼酎、ぶどう酒とともにニッカウヰスキーのボトルやパッケージが写っていました。
1968年のものだそうです。
小さなネガだけにハッキリ確認できませんでしたが、資料的に貴重なものだと思い入札に参加しました。
最近は金欠病で苦しいので、複数出品されている内、何とかネガと硝子乾板を1組ずつ落札しました。
2つ合わせて3000円という安値だから落札できたものの、値が吊り上ったらとても耐えられなかったことでしょう。

出品者のコメントによれば、ネガ35枚1組、硝子乾板5枚1組。
サイズはネガ1.8x3.4cm、硝子乾板は11x8cm。
「デザイン作成の際に撮った写真と思われる」とのことでしたので、もしかしたら製品化しなかったものも含まれる可能性があります。

さて、落札品が届きました。
ネガや乾板は灯りに透かすと何が写っているかがある程度わかりますが、やはりプリントしないと細部まではわかりません。
まずはプリントしてくれるところを探しはじめました。

落札品を詳しく調べると、デザインネガといっていたものは、台紙にマウントされたスライド用のフィルムでした。
だから透かすとそのまま見ることができたんだと写真のド素人の感想。
プリントショップでプリントしてもらえることがわかりました。
話が具体的になったのでニッカ製品が何枚写っているか数えると35枚中18枚ありました。

問題は乾板。
富士フィルムの3.25×4.25インチのガラスプレート(乾板)ということがわかりました。
富士フィルムのHPを読むと、業務用としてガラスプレートを製造販売していました。
これは期待が持てます。
ただしHPではこれ以上分かりません。
そこで富士フィルムのプリントショップに行って、スライドフィルムのプリントを依頼するついでに乾板のプリントについて尋ねました。
残念ながらショップでは分からないとの回答。
HPに問い合わせしました。

さてさてこの先どうなることやら・・・。
とりあえず楽しみであることは間違いなし!

続きは次回書きます。

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お気に入りその813~TVドラマ

2013-10-19 12:22:14 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、TVドラマです。

先日、話題のTVドラマが相次いで終了しました。
ご存知の「あまちゃん」と「半沢直樹」。
妻は熱心に観ていましたが、私はどちらも中途半端にしか観ていませんでした。

「あまちゃん」は出社後の放送なので、なかなか観ることができませんでしたが、1週間分のダイジェストをときどき観ていました。
先日、1時間半×2本の総集編を放送していたので録画し、ようやく全体を観ることができました。
東日本大震災からの復興という重い重いテーマを明るく前向きに描いた素晴らしいドラマでした。
宮藤官九郎の才能、恐るべし!
まさにじぇじぇじぇでした。

「半沢直樹」は妻のお付き合いで後半部はほとんど観ました。
倍返し、10倍返し、100倍返しを実現するサラリーマン半沢の姿を観ることで1週間のストレスを解消して月曜日を迎えていたサラリーマンは多かったのではないでしょうか?
ラストが本日発行の最新刊「半沢直樹」への布石に満ちていたことは見え見えでしたが、非難されるどころか続編への期待感のため、逆に歓迎されたと思います。
続編の放送開始がいつなのか、早く知りたいと思っている疲れたサラリーマンは山ほどいることでしょう。

さて最近、NHK-BSで「ちゅらさん」の再放送を観ました。
お母さんが娘と息子に「お父さんは偉い人なんだよ」と言っているシーンでした。
その言葉を信じない子供たちに対し、長男がお父さんの実の子ではないことを打ち明けます。
真実を知った子供たちの「お父さんは偉い人さ」「お父さんは格好いいさ」という言葉に、思わず感動の涙が流れました。
「ちゅらさん」はやっぱり名作です。
長丁場になることを知っているので再度見始めるのは気が引けますが、いずれは必ず観ようと改めて思った、そんな一話でした。

本は読みたいし、映画は観たい、ドラマも観たい・・・。
でも天気が良い休日は家にじっとしていたくない・・・。
時間配分が難しいです。



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お気に入りその812~竹鶴政孝パート214

2013-10-17 12:27:54 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート214、「ニッカウヰスキー製品リスト」です。

岡山のYさんから「ニッカウヰスキーデータベースwiki」というHPを紹介してもらいました。
ニッカウヰスキーのほぼすべての製品を丁寧にまとめたHPです。
製品の販売期間や容量、度数などの情報の他、ボトルに同梱されている挨拶文やボトルの裏に記載されている紹介文なども掲載しています。
ニッカのオールドボトルを蒐集している私にとっては、まさに欲しかった情報の宝庫!
紹介してくれたYさんとHPの作者に感謝感謝です。

製品の解説をひとつひとつじっくり読み、ボトル写真をながめていると、まるで余市のウイスキー博物館を訪れているよう。
しばらくは時間があると訪れてその雰囲気にひたっていました。
先日製品リストを読み終わり、心に余裕ができ、他にどんなことが書いてあるかHPを見まわしました。
そこではじめてトップページの「『ニッカウヰスキー製品リストパイロット版Ver.2012年10月6日@柏ウイスキーフォーラム』を頒布しています。」という文章が目に入りました。
頒布価格は1冊1000円(送料込み、手数料別)とのこと。
当然申し込みました。

すぐに届き読んでみると、内容はHPとほぼ一緒のようですが、PCの前でなくても読めるのが魅力。
おかげで、寝る前に読んだり、蒐集したオールドボトルをチェックするのに重宝しています。
エキストラニッカの初期型ボトル(640ml)を蒐集し忘れていたことを発見することもできました。

ちなみにこの本はパイロット版。
今HPで連載されている竹鶴政孝の伝記「やる夫がウヰスキーを造るようです」が終了してから、再度「製品リスト」に取り組むそうです。
伝記は読み始めたばかり。
伝記をゆっくり読み進めながら、「製品リスト」の完成をゆっくり待ちたいと思います。

HPを作っている方は大変でしょうが、読者としては楽しみばかりでうれしい限りです。
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お気に入りその811~ニュー・シネマ・パラダイス

2013-10-15 12:29:42 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ニュー・シネマ・パラダイス」です。

最近、オークションで万円単位の落札をしてしまった上、歯医者通いも続いていて、お小遣い財政は大ピンチ。
やむなく本の購入やオークション入札を控えています。
財政状況が改善するまでは、手元にある本やDVDの在庫をあさってしのごうと思います。
という訳でストックしていた「ニュー・シネマ・パラダイス」を観ました。

イタリアの田舎町を舞台にした、映画や映画館を愛する男の物語。
劇中に映画館で上映されていたシーンには吹き替えをせず、アップになった文字にも字幕を出さない、最低限の吹き替えだけでとてもシンプル。
その分、トトやアルフレッドの心情を追うことに専念できました。
日本版を制作したスタッフの思い切りの良さに感謝です。

この映画は映画好きが映画好きのために制作した作品だと思います。
見ていて「映画って本当にいいものですね」という水野晴郎の名ゼリフが聞こえるようでした。

この映画は元々原田マハ著「キネマの神様」で紹介されていたので観ることにしたのですが、思えば「キネマの神様」も映画好きが映画好きのために書いたような小説でした。

普段は、映画会社の宣伝に乗せられて新しい映画ばかり観ており、面白かった面白くなかったで一喜一憂していますが、「ニュー・シネマ・パラダイス」のような名作を観てしまうと、貴重な時間を使うからには評価の高い名作こそこれから観るべき映画であると反省しました。
それでもついつい新作に目が行ってしまうでしょうが・・・。
名作も観るようにしようと思います。

さてまだ観ていない方のために「ニュー・シネマ・パラダイス」についてwikipediaを引用します。

=====
中年男性が映画に魅せられた少年時代と青年時代の恋愛を回想する物語。
感傷と郷愁、映画への愛情が描かれた作品である。

本作品の日本における初公開は、1989年12月。
東京・銀座4丁目、和光裏にある200数席ほどのシネスイッチ銀座において、40週におよぶ連続上映を行った。
さほど大きくないこの劇場において、動員数約27万人、売上げ3億6900万円という驚くべき興行成績を収めた。
この記録は、単一映画館における興行成績としては、2012年現在においても未だ破られていない。
=====

東京の映画館が驚くべき興行成績を収めた、というエピソード。
これはまさしく「キネマの神様」のストーリーそのものですね。
「キネマの神様」は、このエピソードをベースに描かれたものであることを知りました。

また「ニュー・シネマ・パラダイス」のトトとアルフレッドは映画と映画館を愛する者たち。
これも「キネマの神様」の登場人物のベースになっています。

ああ、また「キネマの神様」を読みたくなりました。

ただその前に「キネマの神様」で名作として取り上げていた「フィールド・オブ・ドリームス」を観てからにしようと思います。


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お気に入りその810~春になったら莓を摘みに

2013-10-12 12:10:21 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「春になったら莓を摘みに」です。

梨木香歩の作品は「家守綺譚」「村田エフェンディ滞土録」「f植物園の巣穴」「ある小さなスズメの記録」に続いて5冊目。
代表作「西の魔女が死んだ」はまだ読んでいません。

「家守綺譚」は異界との境目があいまいでほんわかとした何とも不思議な物語で一気にファンになりました。
「f植物園の巣穴」はさらに強烈で、異界の中にどっぷり浸かっているような物語でした。
「村田エフェンディ滞土録」は「家守綺譚」に脇役で登場した村田君が主人公ということで読みましたが全く別物でした。
異界の物語ではなく、村田君がトルコ留学中に多国籍の下宿人たちとの交流を描いた、極めて現実的な物語でした。
村田君が生活を共にしたのはイギリス人、ドイツ人、ギリシャ人、トルコ人。
それぞれの国民性を背景にした個性が強烈でした。
個性の違いを乗り越えて友情をはぐくんだ友人たちは、第一次世界大戦で次々と亡くなります。
言葉を発しなかったオウムがラストで「友よ!」と叫ぶシーンが心に刺さる作品でした。

「春になったら莓を摘みに」は小説ではなく著者のエッセイですが、「村田エフェンディ滞土録」の原体験といえる多国籍な下宿人たちとの交流の体験記です。
誰でも、たとえ殺人犯まで受け入れるウェスト夫人の下宿。
どんな相手に対しても「理解はできなくても受け入れる」という姿勢を貫きます。
次々起こる騒動に愚痴を漏らすくだりを読み、夫人が聖人でないことがわかりほっとしました。
それでも懲りずに受け入れるなんて博愛主義にも程があるでしょう!とツッコミを入れたくなります。

多彩な登場人物の中で特に個性的だったのは、後に「王」になったナイジェリア人の一家。
こんな素晴らしい私たちと知り合いになれて光栄でしょう?と考えている彼らの言葉や態度は高圧的そのもの。
そんな彼らに対してさえ博愛主義を通すウェスト夫人。
こんな刺激的な下宿の住人であった著者が、人間観察力を深め、作家になったのは当然のことかもしれません。

他にも世界は広いなと思わせる面白いエピソードがたっぷり。
ナイジェリア人のひとりが、猫は人に呪いをかけるといって年寄り猫がいつも昼寝しているキッチンに入ろうとしません。
嫌がる彼をなだめてキッチンに入るやいなや毛を膨らませて牙をむき彼に襲い掛かる猫。
あわてて彼をキッチンから逃がすと、猫はプイっと外に出て行きました。
いったい今のは何だったの? 
「猫はナイジェリア人が猫の呪いにかかっていないことを憎んでいる」という彼の言葉は正しかったの?と思わせるシーン。
何とも不思議で印象的なシーンでした。

また著者が大好きな「赤毛のアン」の舞台となった島を訪れたくだりで、著者ルーシー・モンゴメリーが黒人や黄色人種を差別し続けた日記を紹介しています。それに続いて彼女と会話する機会があったら彼女は変わっていたかもしれないなどと、まるでウェスト夫人のような博愛主義的言葉がつづられていたのも印象的でした。

最近、日本政府は中国や韓国と歴史認識や国民性の違いによりトラブルが続いています。
しかし世界は広く、もっと理解の及ばない国民性の人々もいることでしょう。
ウェスト夫人には及ばなくても、著者並みに人間理解をしながら付き合っていくことができれば国際紛争はなくなるのでは?
そんな風に思わせる一冊でした。

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お気に入りその809~北の縄文文化

2013-10-10 12:17:46 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「北の縄文文化」です。

近所の道路延長工事で遺跡が出たそうで、道路工事を中断して遺跡調査が行われています。
以前から日本文化の源流である縄文文化に興味を持っていたので、この機会にちょっと調べました。
そこでわかったことは次の通り。
・北海道の市町村で縄文遺跡が出ていないのは何と2か所だけ!
 道内のほぼ全域に縄文人が暮らしていたなんて驚きです。
・北海道は明治まで稲作ができなかったので、時代の流れが東北以南と違う。
 東北以南は、縄文→弥生→古墳→奈良→平安→鎌倉→室町→戦国→江戸 ですが、
 北海道では、縄文 →続縄文→ 擦文    →アイヌ→    江戸 です。
 学校で習ったのは東北以南の歴史だったのですね。知りませんでした。

ということを知ってしまうと、北の縄文に絞った本を読みたくなり、「縄文人はどこからきたか? 北の縄文連続講座・記録集」を購入しました。
「北の縄文文化を発信する会」というところが昨年発行した薄い本です。
本書の売上はすべて「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録の支援活動に使われると書かれていて、その部分にも大いに賛同できました。

本書の内容を引用紹介します。
=====
1万年もの間、自然と共生し、戦争や収奪のない、狩猟採集の文化を維持してきた世界でも希有な縄文文化。
私たちの祖先でもある縄文人。
「その縄文人は、どこからきたのだろう?」
「旧石器文化人と縄文人の関係は?」
「南の縄文人と北の縄文人は、同じ人々?」
「縄文人とアイヌ民族はどういう関係?」
「土偶のもつ意味は何か?」
縄文文化を知ると、こんな疑問がふつふつわいてきます。
本書は、そのような疑問に、国立科学博物館・篠田謙一氏をはじめ、DNA、骨、人類学、考古学、等々の研究者が迫った、「北の縄文講座-縄文人はどこから来たか」の内容を一冊にまとめた報告集です。
「土偶と月の関係は?」―土偶の謎に迫る大島直行・伊達噴火湾文化研究所長の講義は、きっと読む方の想像力を揺さぶり、太古の縄文人の世界観へ導いてくれます。
現在、世界遺産登録が進められる縄文遺跡ですが、世界的に注目される「縄文のこころ」にぜひ本書でふれてください。
=====

立場が違う研究者たちの話はどれも面白かったですが、埴輪について、どうして口が丸い? どうして脇があまい? どうしてヘソが大きい? どうして壊れて出土する? などの素人っぽい疑問を提示して耳新しい学説を提唱している辺りが最も興味深かったです。
希望していた現代日本人に残る縄文文化の痕跡についてはあまり触れられていなかったのは少々残念でした。
それだけ縄文文化に謎が多いからでしょうが、世界文化遺産の登録活動をきっかけに研究が進む事を願っています。


最後に、まったく違う話をひとつ。
原田マハ著「カフーを待ちわびて」を読んだ勢いで、映画版を観ました。(以下、ネタバレ)
想像していたよりも素敵なラストシーンで感動と満足感を味わうことができました。
小説では「彼が彼女を探しに行く」ところで終わりますが、映画は「一か所だけ思い当たる場所がある」と言って彼が出発。
やっと到着した時にはすでに彼女は立ち去った後・・・と思わせつつ、帰路の列車の中で再会というハッピーなラストでした。
彼女がキーワードの絵馬を持ち去る、という小説にない設定を思いついた脚本家はお見事です。
どちらか単独ではなく、小説の切ないラストを知った上で、映画版を観ると感動が増すと思います。
小説と映画の両方が引き立つなんて珍しい組み合わせ。映画はまだ、という方はぜひ観てほしいです。
「アントキノイノチ」のように映画版ラストでがっかりという作品ではありませんよ。


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