鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1010~竹鶴政孝パート248

2015-01-31 12:26:44 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート248、マスターブレンダーの自叙伝④です。

北海道新聞の夕刊に連載されたニッカウヰスキー第3代マスターブレンダー佐藤茂生氏の自叙伝から興味深いエピソードをご紹介します。
今回は、第8話から第11話(最終回)までです。


「私のなかの歴史~ウイスキーとともに」

○第8話 世界最高点 余市の新樽 熟成10年で

2001年「シングルカスク余市10年」がイギリスのウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」が主催した「ベスト・オブ・ザ・ベスト」という鑑定イベントで世界最高点を取りました。
この企画は世界のウイスキー市場が縮小していることに危機感を感じて開催されたものです。
ウイスキーの世界で歴史上初めて行われたイベントでした。
イギリス、アメリカ、東京で合わせて62人が審査員になり評価しました。
まさか日本のウイスキーがトップになるとは誰も予想していなかったでしょう。

1986年くらいからコストの高い新樽を導入し、エキス分が多く出る危険性から毎年サンプリングして様子を見ました。
受賞したシングルカスクも新樽熟成です。
5年目には従来のものにない、複雑でこくがあり、華やかさのあるものになりました。
甘い香りも出てきました。
あと5年おけば立派なものになると考え、そのまま熟成を続ける決意をした樽でした。
新樽は暖かい気候ではエキス分が出過ぎ、いいウイスキーはできません。
余市という厳しい自然と風土が、いいウイスキーを造り上げたのです。


○第9話 日本の躍進 品質を評価 世界に愛飲家

2003年以降、ロンドンやパリ、リスボンなどのウイスキーライブで試飲してもらい説明しました。
品質の良さを高く評価されました。
ヨーロッパでもニッカ製品が伸びており、特にフランスが好調で「フロム・ザ・バレル」は日本より売れているほどです。

現在も声がかかればウイスキーセミナーに出たりしています。
セミナーの参加者に若い女性が増えてきています。
男性以上に香りに魅力を感じています。
樽での熟成による独特の香り、本当にナチュラルな香りに魅せられているようでした。
新しい時代のニーズに触れた機会でした。


○第10話 スコッチの里 英の蒸留所に余市の風景

「シングルカスク余市10年」が世界最高点を獲得したことで、本格的なモルトウイスキー愛好家の集まり「ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ(SMWS)」がニッカに目を向けました。
SMWSは1983年につくられた団体でイギリスを中心に世界中に3万人の会員がいます。
この団体のコレクション・ボトルに選ばれることは世界でも最高級のモルトウイスキーであることの証明になります。
2002年にSMWSの116番目のコレクション・ボトルにニッカのモルトウイスキーが認定された記念のパーティーがエジンバラで開催されました。
それまでコレクションに加えられたのはスコッチがほとんどで、他にはアイリッシュがあるだけでした。
竹鶴威さんに認定書が渡され、私はあいさつで竹鶴政孝さんの思想を引き継いでどういうウイスキー造りをしているかをお話ししました。
その後、威さん夫妻とスコットランドの蒸溜所巡りをしました。
1919年(大正8年)に政孝さんが最初に研修したロングモーン・グレンリベット蒸溜所を訪れました。
政孝さんがボイラー室の外壁の前で製造主任と一緒に写真を撮った写真が今も残っています。
威さんがその場所を見つけ、現在の工場長と一緒に写真を撮りました。
時代を超えた遭遇に皆さん感動しました。
キャンベルタウンでは、政孝さんが研修したヘイゼルバーン蒸溜所はすでに閉鎖されていて事務所だけが残っていました。
キャンベルタウンの海を眺めると、砂浜や岸壁の広がりなど余市の風景に通ずる思いがしました。
妻のリタさんと、ここで学んだ政孝さんも同じ思いがあったのではと想像しました。
余市は余市川からの川風、日本海からの海風、山から吹き下ろす山風、3つの違う風を受けながら樽が熟成していく。
それが余市独特の複雑なウイスキーを造ることになるのです。


○第11話 マッサンの夢 「心豊かにする」酒造りを

1995年にスーパーニッカ発売25周年を記念して「マイウイスキーづくり」が余市蒸溜所で始まりました。
1泊2日でウイスキー造りを体験してもらう企画です。
蒸留し、樽詰めした原酒を10年後に瓶詰めして1本プレゼントします。
自費で余市まで来てくれるか疑問でしたが、ふたを開けると予想以上に好評で話題になりました。
抽選待ちで、毎回申し込んでも当たらない人もいました。
マイウイスキー贈呈式では皆さん、涙を流さんばかりに感激し、贈呈ボトルを受け取ります。

厳しい時代でもブレンダーとして熟成を経て完成するウイスキーを丁寧に我慢強く知恵を出し、造り上げてきました。これが竹鶴政孝さん以来続くニッカのブレンダーの伝統です。
政孝さんが大事にしたニッカウヰスキーの原点、「トリックはない、小手先でするな」を忘れることなく、柔軟な発想も取り入れて挑戦していく。これが大切です。

政孝さんとリタさんがモデルのドラマ「マッサン」が放送され、ウイスキーに対する関心も高まっています。
ふたりの夢「ウイスキーが心豊かにする」を持ち続けたいと思います。

<完>

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お気に入りその1009~竹鶴政孝パート247

2015-01-30 12:32:26 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート247、マスターブレンダーの自叙伝③です。

北海道新聞の夕刊に連載されたニッカウヰスキー第3代マスターブレンダー佐藤茂生氏の自叙伝から興味深いエピソードをご紹介します。
今回は第3話から第7話までです。

「私のなかの歴史~ウイスキーとともに」

○第3話 大切な役割 10年先見据えて樽を管理

ウイスキーのブレンダーはお酒の方向性を決める大切な枠割を担っています。
樽は180L、250L、500Lの3種類あり、何十万樽もあります。
古い樽、新しい樽、シェリー樽、バーボン樽もあります。
これらの味わいの違う樽を混ぜ合わせて、均一な商品を作る。
同じブランドのものは常に同じ品質のものにする。
少しの数ならいいのですが、何十万樽もあるわけですから、専門的な知識と技能がないと継続できないわけです。
ブレンダーはウイスキーの最終的中身造りの責任者です。
10年くらいをめどにし、ブレンダーは仕事をしています。
既存の原酒から今日のウイスキーを造る、明日に向けた新たな商品を造り、長い目で見た原酒造りを本社と工場が一体となり取り組むのが仕事です。
また将来に向け、原酒を残していかなくれはなりません。
8割は使っても2割は残しておく。
それがブレンダーとして上に立つ者の責任ですね。
ウイスキーは息をしています。
気候、風土の影響を受け、熟成が進行します。
それぞれの蒸溜所、樽ごとに時間とともに変化し続けます。
その変化したものを官能評価し、意図的に組み合わせて、商品を作り上げていくのがブレンダーの仕事です。
自然に任せるだけでなく、人間の知恵を加えていく。


○第4話 高級化 スーパーニッカ増産に力

1981年にブレンダーの責任者になりました。
そのころは、日本のウイスキー業界全体が伸びている時代でした。商品開発の主力は高級化の方向でした。
ニッカはとくにスーパーニッカに力を入れていました。

宮城峡蒸溜所は私の入社した1969年に稼働しました。
竹鶴政孝さんが複数の蒸溜所を造るという夢を宮城の新川川(にっかわかわ)との遭遇で実現しました。
最初からこの場所を知っていたわけではなく、息子の威さんが政孝さんの指示で、東北地方の場所選びの調査中にたまたま水の音に気付いて出会った、という信じられない因縁の場です。


○第5話 新しい発想 モルト原酒100%に懸ける

1984年に柏工場のブレンダー室長になり、初代のチーフブレンダーになりました。
このころ、新しい発想の商品を作っていこうという提案がありました。
ウイスキーの原点に戻るということで、モルト100%のピュアモルトの開発です。
ピュアモルトは、やや陰りが見えたウイスキー市場に光を与えたと思います。


○第6話 級別の廃止 家庭用市場は崩壊の危機

1989年以降、特級ウイスキー市場の減少に歯止めがかかりませんでした。
ブレンデッドウイスキーとして新しいウイスキーができないか検討しました。
そのひとつとして宮城峡蒸溜所にあるニッカ独自のカフェスチル(竹鶴政孝さんがスコットランドから導入した連続式蒸留機)を使って麦芽100%のカフェ式モルトウイスキーを開発しました。
これを「カフェモルト」と命名しました。
これを樽に詰めて熟成して商品化したのが「オールモルト」です。

1989年酒税法が改正され級別が廃止され酒税が一本化しました。
2級のハイニッカが大幅に値上がりし、家庭用ウイスキー市場の崩壊を招きました。
特級ウイスキーは値下がりしましたが、スコッチウイスキーが大幅に値下がりしたため、贈答品としてのイメージを落とし、ウイスキー全体の足を引っ張る結果となりました。
ウイスキーは何を出しても需要が減る一方できつかったですが、新たな市場としてシングルモルトの充実と年数表示品の品ぞろえが必要になると考え、原酒の選別と蓄えを進めていきました。


○第7話 重責引き継ぐ クリアブレンド 秘策的中

1997年ニッカウヰスキーの3代目マスターブレンダーになりました。
通常業務はチーフブレンダーに任せ、取材やセミナーなど外に出る機会が増えました。
1997年の酒税法改正でウイスキーが減税され、1000円以下でウイスキーが出せる状況が復活しました。
そこで登場したのが1000円の「ブラックニッカクリアブレンド」です。
家庭用に使えるのではないかと期待していた「ノンピートモルト」原酒を使いました。
「ブラックニッカクリアブレンド」はニッカの代表的ブランドになりました。


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お気に入りその1008~竹鶴政孝パート246

2015-01-29 12:19:28 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート246、マスターブレンダーの自叙伝②です。

北海道新聞の夕刊に連載されたニッカウヰスキー第3代マスターブレンダー佐藤茂生氏の自叙伝から興味深いエピソードをご紹介します。
今回は第1話と第2話です。

「私のなかの歴史~ウイスキーとともに」

○第1話 北海道へ 創業者のロマンにひかれ

佐藤氏は1946年京都生まれ、京都大学卒。
先輩からニッカウヰスキーに誘われました。
創業者・竹鶴政孝さんのことを調べるうちに、頑固でウイスキー一筋の人柄にひかれました。
品質第一で、こだわりの人。
ものづくり、特に口に入れるものをつくるのに携わりたいという思いが強かったのでニッカ入社を決断しました。
1969年入社、1か月の研修の後、余市蒸溜所に配属になりました。
洋風の城構えとアーチ状の石構えに驚かされましたが、中に入り、さらに感動しました。
日本とは思えない石造りの建物と赤いトタン屋根の見事な調和に戦慄さえ覚えました。
ウイスキーとはこういう環境で造られるのか、そしてこの工場を設計した政孝さんとはどのような人物なのか、一気に関心が高まりました。
政孝さんは、スコットランドと似た、冷涼なところで、じっくりと熟成させて造るのがウイスキーであるという信念を持っていました。
それが政孝さんのウイスキー造りのロマンですね。


○第2話 余市時代 魅力的だった政孝さん

ニッカウヰスキー北海道工場(余市蒸溜所)では研究課に勤務しました。
ウイスキーの研究開発、品質管理の仕事などをしていました。
原酒造りや商品造りにも関与しており、現場は醸造関係、蒸留関係、混和関係に分かれていました。
私は混和関係を担当し、毎日、商品の官能検査に熱中しましたが、将来ブレンダーとして長く勤めるとは想像もしていませんでした。
そのころはウイスキーが伸びていく、成長段階の時代でした。
ニッカの当時のメインはハイニッカ、ブラックニッカ。
特級のG&Gに力を入れ始めたばかりでした。
私の仕事は官能検査(利き酒)。
スコッチや国内メーカーのウイスキーなども使い、香りや味を評価する力を磨いていくわけです。
創業者の竹鶴政孝さんの伝統を守っていくと同時に時代の好みにマッチしたウイスキーを造っていくわけです。
政孝さんと実際に声を交わしたことはありません。
周りで見ているという状況でした。
当時私などは入ったばかりで、政孝さんは雲の上の存在でした。
そのころは東京で生活されていました。
新商品を作る時には余市に来て中身の最終決定をしていました。
毎年夏に来られて、従業員全員を集め、鰊御殿(にしんごてん)を移設した会館で懇親会が開かれました。
みなさん、政孝さんと会うことを大変楽しみにしていて、大いに盛り上がっていました。
声の大きい人でした。
味のある、人をひきつける、包容力のある声でした。
みんなが魅了される、それがすごかったですね。
北海道工場には2年半いました。
余市蒸溜所の風景がその気候風土も含め、日本のウイスキーの原点だと思います。
退職した今も、そう確信しています。
その後弘前工場で5年間、ブランデー、シードル、アップルワインなどの商品開発と工場で瓶詰めしたウイスキーの品質管理を担当していました。

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お気に入りその1007~マスターブレンダー自叙伝①

2015-01-28 12:43:24 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート245、マスターブレンダーの自叙伝①です。

昨年12月8日(月)から12月19日(金)まで北海道新聞の夕刊に釘づけでした。
それはニッカウヰスキー第3代マスターブレンダー佐藤茂生氏の自叙伝が連載されていたからです。

「私のなかの歴史~ウイスキーとともに」と題された自叙伝は全11話。
ドラマ「マッサン」の放送で沸き立つ北海道。
地元紙の記者は佐藤氏が札幌在住と知り取材を申し入れたのでしょう。

全11話に書かれたエピソードを地方紙の記事だけで眠らせるのは実に惜しい。
そこで紹介された興味深いエピソードを当ブログで何回かに分けて書こうと思います。
今回は時間に余裕がないのでサブタイトルだけをご紹介します。

あなたがもしニッカファンならこれだけでも心が躍るのではないでしょうか。
またドラマ「マッサン」のファンなら、次回以降にご紹介するエピソードにはマッサンに関するものが多くでてきますので、きっとお楽しみいただけるのではないでしょうか。

それでは次回から何回かに分けて書きたいと思います。

※今回の件は12月20日に予告をしてから1か月以上も経ってしまいました。
 申し訳ありませんでした。


=====

「私のなかの歴史~ウイスキーとともに」 サブタイトルリスト

第1話 北海道へ 創業者のロマンにひかれ

第2話 余市時代 魅力的だった政孝さん

第3話 大切な役割 10年先見据えて樽を管理

第4話 高級化 スーパーニッカ増産に力

第5話 新しい発想 モルト原酒100%に懸ける

第6話 級別の廃止 家庭用市場は崩壊の危機

第7話 重責引き継ぐ クリアブレンド 秘策的中

第8話 世界最高点 余市の新樽 熟成10年で

第9話 日本の躍進 品質を評価 世界に愛飲家

第10話 スコッチの里 英の蒸留所に余市の風景

第11話 マッサンの夢 「心豊かにする」酒造りを

=====

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お気に入りその1006~とあるJAZZのCD

2015-01-26 12:40:08 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、とあるjazzのCDです。

1月28日に発売される「The jazz songs for nemuro」というCDをアマゾンで予約しています。
演奏しているのはEPJOというバンド。
EPJOはイースト・ポイント・ジャズ・オーケストラの略だそうです。

バンドメンバーに友人がいるのでFB(フェイスブック)を通してCDの情報がいろいろ入ってきます。
そのひとつをご紹介します。

=====

僕の故郷でもある流氷の街~ジャズの街、日本最東端根室市の誇る素晴らしきフルバンド“EPJO”が、「根室」をキーワードにしたアルバムを制作し、2015年1月28日に発売されます。
スペシャルゲストして、日本ナンバーワンのジャズトロンボーン奏者「向井滋春」氏、神保彰をして「若き天才千里ちゃんの入魂のドラミングに新しい時代の幕開けを感じる」と言わしめた天才高校生ドラマー川口千里ちゃんを迎えています。

=====

収録曲は次の通り。

1. Blues for Pal 
2. 流氷 
3. from EAST 
4. Great Circle 
5. 霧の中のアヤメ 
6. MOCT<モスト>~架け橋 
7. Nemuro 
8. Big Dipper 
9. Nimuoro Naina Suite 
10. ニムオロ・ネイナ 
11. ここに幸あり

そしてEPJOは何とHPを公開しています
メンバー紹介を引用します。

Leader
2nd Tsax 丸山一之

1st Asax 野田 敏
3rd Asax 高沢富春
4th Tsax 中村竹彦
5th Bsax 石川尚人

1st Tp  広瀬 清
1st Tp  本間静晴 
2nd Tp  生田 淳
3rd Tp  高橋悠子
4th Tp  宮田真司
5th Tp  千葉敏明

1st Tb  本田俊治
2nd Tb  村島智久
3rd Tb  水野智之
3rd Tb  関口和美
4th Tb  池本 昇

p.    奥田友紀
G.    藤本祐治
B.    斉藤 信
Ds&Per  根塚一哉
Ds&Per  谷橋政彦
Ds&Per  井平雄司

確かに友人の名前もありました。

友人がJAZZバンドで演奏していることはかなり前から知っていましたが、実際に聴いたことはありませんでした。

今回発売されるCDを制作するため、スペシャルゲストが根室に入ってレコーディングした日は確か昨年の3月22日前後だったと思います。
なぜ知っているかといえば、3月20日に仕事で札幌に来ていた友人が、天候が悪くてレコーディングまでに帰れないかもしれないと言っていたからです。
レコーディングをとても楽しみにしていましたが、結果はどうだったでしょう?
気の毒で真相を聞いていませんが、可能性は以下の3つ。

① レコーディングに間に合った。
② レコーディングに間に合わなかった。
③ スペシャルゲストと一緒のレコーディングには間に合わなかったが、後のレコーディングに参加した。

①が望ましいですが、せめて③であってほしいと願っています。
CDの感想をFBに書くときにそっと確認しようと思います。

という訳でCDが届くのを首を長くして待っています。
日本最東端のJAZZバンドのCD、あなたも聴いてみませんか?



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お気に入りその1005~流星ワゴン

2015-01-23 12:40:57 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、流星ワゴンです。

この度ドラマ化された重松清著「流星ワゴン」を読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
死んじゃってもいいかなあ、もう…。
38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。
そして―自分と同い歳の父親に出逢った。
時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。
やり直しは、叶えられるのか―?
「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。
=====

久々の重松もの。
「とんび」のような感動作を想像していましたが随分と違いました。
思わず感動の涙が流れる、というシーンが最後まで出てきませんでした。

重松ものはあまり読んだことがなくこれで4冊目。
2002年に出版された単行本の帯に「3年ぶりの長編」と書かれていました。
当時著者は新境地として発表したのかもしれませんね。

家庭が崩壊した主人公と不幸な最期をとげた親子が、これまでの人生の岐路に立ち戻り、やり直しのヒントを得ていきます。
決して過去は変えられない。
けれども未来は変えられる。
自分の考え方次第で、自分の置かれている状況は変えられるのです。
少しずつですが・・・。
たとえそれが人の心でも。
そういう希望を与えてくれるふんわりとした読後感。
静かな感動を味わうことができる作品でした。

私自身、置かれている状況のすべてに満足している訳ではありません。
自分の考え方や行動を少し変えるだけで、少しずつ良い方向に変えられそうな希望を持つことができました。
改めて家族関係をはじめとした状況を見回しています。
これこそ本書の価値。
読書で違う人生を経験することの素晴らしさを感じた一冊でした。

こうなってはドラマも気になります。


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お気に入りその1004~虫魚の交わり

2015-01-21 12:46:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「虫魚の交わり」です。

本書が発行されたのは1986年。今からから29年も前。
AMAZONでは次のように紹介されています。
=====
仏文学者で稀代の虫好きと、若き百科全書派で魚マニアによる博物学蘊蓄ダイアローグ。
=====

虫好きとは奥本大三郎、そして魚マニアは荒俣宏。
昨年、奥本版「ファーブル昆虫記」と荒俣版「ビーグル号航海記」を読んだので、その二人がどんな対談をしたのか興味があり読みました。(どちらも少年向けシリーズ)

本書の裏表紙に二人の写真が載っています。
29年も前ですから当然ながら実に若い。
それなのに対談内容に驚かされます。
何たる博識!
余りページ数がない本ですが、博物学に興味がある人にとっては読み応えのある一冊です。
特に古今東西の古い博物誌や旅行記、図鑑について語り合っている箇所はとても面白かったです。
また現代のように狭く分野分けしていないために、博物学がいかに広い視野を持った学問だったかを再認識しました。
世のすべてが互いに関係していることを考えると、現代でも博物学的な視野は必要と思いました。
ものの考え方においても。
科学の発展においても。

最後に。
本書の題名は「水魚の交わり」ということわざをもじったものだと思います。
このことわざは、親密な付き合いを表しますが、本書でもその様子が大いに感じられました。
なかなか良い題名と感心しました。
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お気に入りその1003~天空の蜂

2015-01-19 12:50:52 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「天空の蜂」です。

東野圭吾著「天空の蜂」を読みました。
東野圭吾は「真夏の方程式」以来2冊目。
妻がいっぱい持っているのでいつでも読めると思っていてなかなか手が出ません。

技術屋が引き起こす高度な犯罪を描いており、20年前の作品ながら時代遅れになっていないのは驚きです。

内容紹介を引用します。

=====

驚愕のクライシス・サスペンス!
天空の蜂はいかなる毒針を刺そうとするのか!? 書下ろし900枚!
前代未聞! 原発を揺さぶる空からの脅迫。圧倒的迫力で描くクライシス・サスペンス

「爆発物を積載した超大型ヘリを高速増殖炉に墜落させる。
それを防ぎたければ日本中の原発を即刻使用不能にせよ」──。
「天空の蜂」と名乗る犯人が仕組んだ恐るべき犯行。
超大型ヘリはすでに原子炉上空千数百メートルでホバリングを始めていた。
だが犯人にも誤算があった。
コンピュータによって遠隔操作されるヘリ内部には、子供が閉じこめられていたのだ。
原発が、子供が、日本が危ない!!

=====

発表当時は確かに「驚愕のクライシス・サスペンス!」として受け止められたことでしょう。
ただし記述内容のほとんどが事実で構成されていることをどれくらいの読者が信じたでしょう?
今でこそ全国の原発が停止しても電力不足にならないことを誰もが知っています。
政府や電力会社がひた隠しにし続けてきた秘密です。
福島の原発事故がなければこの作品はいまだに絵空事ととらえられていたのではないでしょうか。
さらに原発の上空は飛行禁止になっているので航空機の衝突対策はなされていないという事実。
それを知った今、隣国にミサイルを持ったテロ国家がいるので不安でなりません。
これらの事実を20年前に指摘していた著者の知見に驚かされました。

これら原発の不都合な真実を見ないふりする国民に対して蜂の一刺しでショック療法を試みる犯人。
20年経っても、震災が起きても、国民も政治家も変わらないことが恐ろしいです。

震災を境に今一度、読み返した方が良い本だと思いました。

本書についてネットで調べていたら、なんと今年映画化するそう!
偶然とはいえ驚きました。
監督はお気に入りの堤幸彦。
出演は江口洋介、木本雅弘だそう。
脚本家がこの作品をどう現代風にアレンジして社会に問うのか?
とても楽しみです。



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お気に入りその1002~竹鶴政孝パート244

2015-01-17 12:16:39 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート244、グランドニッカ2級です。

先日ネットオークションでニッカウヰスキーの「グランドニッカ2級」が出品されていました。

※わざわざ「2級」と書くのには理由があります。
 「グランドニッカ特級」という別の銘柄があるので区別するためにフルネームで記載しました。

このボトルについては愛読書である「ニッカウヰスキー製品リスト」に
①1960年に発売された
②宮城郷に展示されている
③詳細は不明
と書かれていたのを思い出しました。

確かに余市のウイスキー博物館にも展示されていません。
こんな希少ボトルは何としても落札しなくてはなりません。
最近は財源不足で大人しくしていましたが、今回ばかりはと、かなり思い切った入札額でスタートしました。
ところが予想額を軽く超えて競り合いになり、冷や冷やしながらも何とか落札することがでした。

ボトルはまだ手元に届いていませんが、落札できたことで気を良くしたので関連情報の調査を行いました。
(落札できなかったら調査しなかったと思います)

それにより「グランドニッカ2級」とはどういうボトルなのかが判明したので書きたいと思います。
このボトルは1955年以降ギフト商品として販売された変形瓶シリーズのひとつです。
ギフト用のため流通数が少なく、希少ボトルとなりました。
他に「クリスタルニッカ」「シェーカー型」「ドリームニッカ」「ボウリングピン」「62型(蒸気機関車)」があります。
「クリスタルニッカ」はネットオークションで数回見かけたことがありますが、それ以外は見かけてことがない希少ボトルばかりです。

今回の調査結果の決め手になったのは竹鶴孝太郎著「父・マッサンの遺言」です。
その中に次のような記述がありました。

=====

1957年には『ニッカベアー』(特級)を発売。
熊の頭の形をしたキャップがついたもので、この年から変形瓶を用いたギフト商品が販売されるようになった。
『クリスタル』『シェーカー型』『ドリーム』『グランド』『62型』『ボウリング』。
いずれも個性あふれるデザインであった。

=====

ドラマ「マッサン」の効果で竹鶴政孝やニッカウヰスキーについて書かれた著作が次々発行されています。
そして眠っていたニッカのオールドボトルがネットオークションに次々出品されています。
ファンとしてはうれしい限りです。
創業80周年がこんなに素敵な年になるとは思ってもいませんでした。
今ごろ天国で竹鶴政孝とリタ、そして新たに加わった威の3人は地上のお祭り騒ぎを愉快に眺めていることでしょう。




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お気に入りその1001~氷平線、ブルース

2015-01-15 12:28:36 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「氷平線」「ブルース」です。

年が明けてから桜木紫乃の作品を2冊読みました。
「氷平線」と「ブルース」です。

「氷平線」は著者のメジャーデビュー作品集です。
夏でも半袖を着る機会が少ない暗く寒い道東の雰囲気を実によく表現した作品集でした。
多種多様な立場に置かれた男女を描く筋書きはこのころから見事だったのですね。
お気に入りは次の2編。

・雪虫
 酪農家に売られてきたフィリピーナの幼い嫁と主人公と愛人の三角関係が切ない。
 オール読物の新人賞を受賞作した作品だそうです。

・氷平線
 氷平線の流氷から身を沈めることで愛する者の身を守る女が切ない。
 海辺のあばら家で身を売って生活している女の設定は、他の桜木作品でも読んだ気がします。

次は「ブルース」。
正月休みに本屋さんで見かけました。
桜木作品は年末から「ホテルローヤル」「氷平線」と続いたのでしばらく読まないつもりでしたが、「新境地」「恰好いい男を描いた」「サイン本」という3つのコピーに惹かれて衝動買いしました。

8編の短編すべてに登場する男・影山。
彼は二枚目で影があり、金と権力を持ち、紳士的でセックスがうまい。
著者にとっての「恰好いい男」ってこういう男だったのですね。
何とも薄っぺらくて、とてもがっかりしました。
外見に左右されず中身で恰好いいかどうかを評価してほしかったです。
本書を選ぶときに、著者の思い描く「恰好いい男」に少しでも近づけたら、と思っていましたが失望しました。

本書は、最低辺の暮らしから成り上がっていく男をめぐる8人の女たちを描いています。
彼には両手の指が6本ありましたが、若いときに6本目を切断しています。
指を切断することによりコンプレックスから解放され、徐々にパーフェクトな男になっていきます。

「ホテルローヤル」では、同じ登場人物たちを時間を遡りながら何度も描いて人物の厚みを表現していました。
本書では8編すべてに影山が登場しますが、残念ながら彼の心の底は伝わってきませんでした。
彼は女にとって都合のいい「格好いい男」としてだけの存在だったように思います。
いったい影山は何者なのか?
もしかしたら彼は女たちの幻想の産物であり、彼をめぐる8人の女たちこそ実は本書の主人公!というあたりがオチなのかもしれません。
それぞれの境遇から性愛に溺れ、自立していく女たちを描いた作品といえます。
女性による女性のための小説であり、男性の入り込む余地のない作品でした。

最後に。
「ラブレス」でみせたラストシーンの衝撃。
とことん不幸に見えた女が実は幸せだったことを描き切ったあの力が著者に戻ることを願います。


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