鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその762~原色日本蝶類図鑑54年版その後

2013-05-30 07:59:39 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、原色日本蝶類図鑑54年版その後です。

前回書いた原色日本蝶類図鑑が届きました。
残念ながら1954年初版ではなく1970年第8刷でした。
わずか1500円だったので当然ですが・・・。
それにしても43年も前に出版された本にしては相当の美本でした。

早速この「文学の味わい深い博物学書」を読み始めました。
前回引用した「じゃこうあげは」の解説文は早くも5ページに登場しました。
あった、あった、これこれと思いながら全文を堪能しました。

まだ読み始めたばかりで10分の1も読んでいませんが、文学の香りただよう
フレーズが所々に登場します。
「じゃこうあげは」を超える解説文にはまだ巡り会っていませんが、
期待して読み進みたいと思います。

ちなみに本書は戦後の混乱期に出版された唯一の原色図鑑だそうで、
序文には次のような文章があります。

=====
いつか敗戦の焼跡には街路樹が芽ぶき、草原の街にも泪ぐむ瞳の様な灯が
光った。生活の営みであり裏付けでもあった蔬菜園は、いつか家庭団欒の
趣味の場となり、寸土を惜しんだ庭の一隅は草花に飾られて、とある日の
午後一頭のモンシロチョウさえ訪れた。
=====

戦後復興の道筋である明日への希望が見えてきた、昭和29年という時代の
空気を感じさせる文章です。

著者は最後に「1954年初夏の風にアカシアの花散る5月 横山光夫」と
記して序文をしめています。

自由に研究できる時代は目前ですよ!という著者の明るい呼びかけが
聞こえるようです。
戦時の圧迫された時代、戦後の困窮時代を経験したことで、本書のような
詩情溢れる文章を誰もが欲したのではないかと思います。

今後は、脳天気に文学の香りを楽しむばかりでなく、その裏を理解しながら
本書の解説文を味わいたいと思います。

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お気に入りその761~原色日本蝶類図鑑54年版

2013-05-28 12:29:03 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、原色日本蝶類図鑑54年版です。

当ブログで、博物図譜を鑑賞していることをしつこく書いてきましたが、
このところその派生効果で意外な分野に興味を持つようになりました。

ドイツの古い植物図鑑を読むために「フラクトゥール」という特殊な
文字書体に行き当たり判読トレーニングをしてみたり、串田孫一という
詩人・エッセイストを知り、その文章に魅了されたり、画文集という
ジャンルに興味を持ったことから日本国憲法の作成に携わった法制官僚の
大物、佐藤達夫の文章を読むことになったり・・・。

「風が吹けば桶屋が儲かる」風に思いも寄らないところに行き着くもの
です。

そして今回行き当たったのが、原色日本蝶類図鑑という本。
この本は、博物画ではなく写真の図鑑ですから、本来は興味の範囲外
なのですが、書評に興味深い一行を見掛け、読むことを決意しました。

その原因となった一行をご紹介します。
(理化学研究所の倉谷さんという方のHPからの引用です。)

「保育社原色日本蝶類図鑑54年版は、文学の味わい深い博物学書」

・・・文学の味わい深い博物学書・・・、いい響きです。
「科学と芸術が融合した博物画」に魅了されている私にとって、
読まずにいられない分野が出現してしまいました。

このHPには、さらに次のような魅力的な記述があります。

「ボロボロになり、表紙も背も分裂し、頁すらばらけてしまっているのに
買い換えようともせず、氏は焦茶に変色した厚紙製の箱ごとその古書を
使い続けている。残骸のようになっても毎日のように開いて眺め、
用が済むと元通りゴムバンドでしばって大事そうに標本箱の横に戻す
のである。」

私はまだそれほどまでに愛しい本にめぐり合っていない、何と羨ましい
ことか!

そして私に止めを刺した、この図鑑の解説文例を引用します。

「じゃこうあげは -やまじょろう-」
その名のように雄は芳香を放ち、雌の翅色は灰褐色、後翅の半月紋は
雌雄共に赤・橙の2種の系統があって、見るからに南国情緒豊かな蝶
である。長い尾状突起を振りながら、そよかぜにのって緩慢に、樹間や
路傍の花上を舞う姿は「山女郎」の名のごとく、絵のような美しさ
である。(中略)蛹は「お菊虫」と呼ばれ、後手に縛された姿にも似て
「口紅」に似た赤い斑点さえもひとしお可憐である。

うーん、これはたまりません。
確かに文学の香りがプンプンとしています。
残念ながら1976年発行の「全改訂新版」からはこのように文学的な
記述はなくなったとも書かれています。

「文学の味わい深い博物学書」
深みにハマリそうな予感がたっぷりの魅力的なフレーズ。

たまたま1954年版がアマゾンで販売されていましたので早速注文
しました。
手元に届くのが本当に待ち遠しいです。
そしてこのような素敵な物語りがある本をじっくりと味わいたいと
思います。

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お気に入りその760~フラクトゥール

2013-05-24 12:28:42 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、フラクトゥールです。

フラクトゥールって聞いたことがありますか?
私はその言葉自体、今回初めて聞きました。

フラクトゥールはドイツ文字とも呼ばれる独特の書体です。
中世ヨーロッパでは広く使われていましたが徐々に使われなく
なりました。
唯一ドイツでは第2次世界大戦頃まで使われており、その後も
看板やロゴの文字として根強く残っているそうです。

ドイツ人はフラクトゥールに誇りを持って使っているようですが、
他国民にとっては単なる判読困難な古代文字。

隣国を次々侵略したナチス・ドイツ時代には、侵略先での印刷が
困難なことから使用禁止令を出したこともあるそうです。

今回、偶然にこの独特な文字書体の存在を知り、判読のコツを
書いたHPを探し出し、少しずつ読めるようにトレーニング中です。

例を挙げると、AとU、EとGとS、fとkとlとtの区別が
困難なのです。

単語の中に判読困難な文字があるとその上に通常書体を書き添える
という作業はかなりの時間を要します。
それがひと通り終わってから、今度は翻訳ソフトに入力して翻訳
します。

ちなみに読もうとしているのは、先日購入した
「Flora von Deutschland」(ドイツの花)という1893年に出版
された図鑑です。
ページのほとんどは花の名前と簡単な解説であり、文字数は少ない
のですが、2ページにわたる前書きくらいは何とか理解したいと
思い、挑戦中です。

この判読困難な文字書体がドイツでは第2次世界大戦まで使われて
いたとは驚きです。
医学をはじめとした科学技術、文学なども秀でていたドイツに
学んだ人々はこの文字を読んでいたのですね。
当時はドイツ語修得に発音や文法だけでなく文字判読も必要だった
ことを知りませんでした。

それでも西洋人が日本語を修得する苦労に比べればどうってことが
ないことでしょうが・・・。

とりあえず、もう少し粘って文字判読くらいはスラスラできるように
なりたいものです。

最後におまけ。
今回120年も前の多色石版で刷られた図版を掲載した図鑑を初めて
手にしたことで、当時の特殊な製本方法を知ったのでここに書き添え
ます。
(多色石版の刷り方については前々回の当ブログをご参照ください)
別に刷られた図版ページは、本の該当ページの付け根にのりしろを
設けて、そこに貼り付けられていました。
120年経った今でものり付けはしっかりしており、脱落したページは
ありませんでした。
当時はカラー印刷だけでなく、製本作業にも時間と手間がずいぶんと
かかっていたことでしょう。
この手の本って、当時はきっと高価なものだったでしょうね。


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お気に入りその759~画文集2冊

2013-05-21 12:30:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、画文集2冊です。

いつものように魅力的な博物図譜はないものか?とさがしている内に行き当たった
のが「画文集 花の肖像」。
以下のような連想ゲームで行き当たりました。

博物図譜 → 植物画 → 日本の巨匠 → 太田洋愛氏 → 串田孫一氏との
共著 → 「画文集 花の肖像」 

本書を購入することに決めた理由は、第一に串田孫一氏が文章を書いていたこと。
第二に、牧野富太郎博士の弟子であり、日本の植物画の巨匠といわれた
太田洋愛氏が植物画を描いていたこと。

つい先日まで串田氏の「博物誌」を3巻続けて読んでいて、とても素敵な文章に
魅了されていましたので、この画文集に添えられた文章をぜひ読みたいと
思いました。
「博物誌」は数ページという短いエッセイでしたが、本書は原稿用紙1枚に
満たない文章を各植物画に添えています。
詩人だけあって短い文章がまた魅力たっぷり。
串田氏の著作は多いそうなので深みにはまりそうです。

さてこのまま日本の巨匠といわれる太田洋愛氏の植物画の話を後回しに
していると、ボタニカルアートを趣味にしている方に怒られそうです。
本書は文庫本にもなっていますが、折角巨匠の絵を初めて鑑賞するのですからと、
昭和54年に出版されたA5変判を選びました。
美しい植物画を大判でじっくり堪能しながら、串田氏の名文を読むとその世界が
二重にも三重にも広がります。
画文集というジャンルは初めてでしたがなかなか贅沢なものです。
私にとって残念だったのは一部の植物画が墨絵だったこと。
植物の知識が乏しいものですから、本来の色を思い描けないのを情けなく
思いながら鑑賞しました。
写真や映像のテクニックでモノクロが素晴らしい効果を生む場面があります。
それと同様に、太田氏も花の種類により、あえて墨絵という技法を選び、
その効果を狙ったのだろうと思うので、あくまで自分に見る目がないだけの
話ですが・・・。

いずれにしても本書は、「画文集」という自分にとっての新たなジャンルの
素晴らしさを理解する記念の一冊になりました。


<内容紹介>(引用)
====================
日本の植物画を代表する巨匠、太田洋愛氏(1910-1988)は、戦前、
「ハス博士」大賀一郎博士と「植物学界の鬼才」牧野富太郎博士の二人から
「植物画」の指導を受け、その後長年にわたってわが国の植物画の先駆的役割を
果し、「日本桜集」や「原色日本のラン」他、数々の植物図譜や図鑑の植物画を
担当するなど確かな足跡を残しました。
本画文集は、昭和47年、NHK「趣味の園芸」の表紙絵をボタニカルアート
(芸術作品として表現する植物画)で飾ることになり、その創刊号に
「さくらそう」を描き、その後継続して4年間に48点の表紙用作品を制作。
それらを中心に、他に太田氏が戦後折にふれ描きためた多くの植物写生図から
作品を精選し加えて第一集を出版。
解説は随筆家の串田孫一氏。
====================


なお、ボタニカルアートと串田孫一氏の組み合わせの画文集を、もう一冊
見つけたので、それも入手しました。

 「野生の花」 文:串田孫一 絵:荒谷由美子 アトリエ風信刊

本書については、古書店の但し書きに「串田孫一の献呈本で、コメント
6行あり」とありました。
ここではコメントの内容等については差し控え、実際に目にした串田氏の
文字について感想を書きたいと思います。
串田氏の文字は、今までサイン、署名として書かれた丸っぽい文字を見かけて
きましたが、コメントの文字はペン習字の教本のように達筆で驚きました。

考えてもみれば普通に書く文字とサインの文字が違うのは当たり前です。

さて画文集自体の感想ですが、こちらも串田氏の短文が光りましたが、
荒谷氏の植物画も期待以上に光りました。
細密技法を屈指して「野生の花」の美しさと強さを見事に表現していました。

「花の肖像」が「肖像」という通り「花」に焦点をあてて描いていましたが、
「野生の花」は全身像としてがっしりとした根まで丁寧に描くことで、
野生の力を表現していました。
「花の肖像」ほど画法がバラエティにとんでいないことで、安定した気持ちで
作品鑑賞をすることができました。

どちらの画文集も思い出したときに手にとって眺めては心を和ませることに
打って付けです。
花に囲まれた生活と同じイメージです。

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お気に入りその758~アンティーク図鑑購入

2013-05-18 12:26:40 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、アンティーク図鑑購入です。

博物図譜鑑賞の趣味が高じて、いずれは本物の図版を入手したくなると
思っていました。
ただ本物の図版=手彩色銅版画や手彩色石版画は1枚数千円~数万円も
するので、図譜をたっぷり鑑賞した後の老後に、選りすぐりの数枚を
購入することになるだろうと考えていました。

ところが今回、ネットオークションにアンティークな植物図鑑が低価格で
出品されているのを見かけ、つい落札してしまいました。
その植物図鑑には多色石版の図版が72枚も掲載されていました。
落札価格は12000円ですから、1枚あたり167円!
美しい石版画がこの価格で手に入るとは思っていませんでしたので、
とても嬉しいです。
まだ届いていませんが、図版鑑賞を楽しみにしています。

ところで多色石版画って何?
よく聞く手彩色石版画とどう違うのでしょう。
早速、調べてみました。

多色石版は、クロモ・リトグラフィといい、19世紀後半に確立した
カラー印刷技術です。
専門の画工と呼ばれる職人が、自らの目で原画の色の組み合わせを
判断し、緑色だけの版、黄色だけ版・・・と必要な色を載せる版を
墨やクレヨンで描いて作り、それらをすべて刷り重ねることでカラー
印刷を可能にします。
石板に凹凸がないため、大量に印刷しても版が摩滅しないことと、
手彩色が不要なことから広く普及しました。
ただし熟練の技が要求される、非常に専門的な作業で、気が遠くなる
ほどの時間と手間がかかる印刷方法です。
その独特のあじわいが魅力的なため、美術界では今でも使われています。

「熟練の職人が時間と手間をかけて作った多色石版画」って何より贅沢。
現在では、デジタル化と機械化により原画と寸分の狂いもなく再現する
ことが可能ですが、逆にアナログ的なあじわいが失われています。
120年の時を越えた職人の手業こそ、今、最も贅沢です。

早く届かないかな。


==========

書 名:「Flora von Deutschland」(ドイツの花)
著 者:Wilhelm Medicus(ドイツの植物学者)
出 版:1893年、ドイツ
ページ:229ページ、内72枚多色石版画
寸 法:H206×W145×D30

==========
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お気に入りその757~フローラ逍遥

2013-05-15 12:17:59 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「フローラ逍遥」です。

本書は1987年に出版された花にまつわるエッセイ集です。
著者である澁澤龍彦氏の最後の出版物。

本書は和洋の厳選した植物画を1ページに1枚大胆に載せており、
1種類の花につき、文章4ページに対し、植物画が3ページ
という贅沢なつくりです。
そして何より本書が、美しくデザインされた箱に入っている
ことがお宝気分を高めます。

そうかと思えば、巻末には植物画の詳しい解説があり、
私のようなただ名文と名画を鑑賞するだけでは足りず、
植物画のウンチクも堪能したい者をも満足させるつくりに
なっています。

「フローラ逍遥」には、博物画鑑賞をしている内に、博物ペン画と
エッセイが組み合わされた串田孫一著「博物誌」の存在を知り、
すっかり堪能したので、他にも博物画とエッセイが組み合わされた
ものがないか探していてめぐり合いました。

本書では、詩人・串田孫一の詩的でのんびりした文章とは趣が違い、
澁澤龍彦氏の花にまつわる博学ぶりがたっぷりと披露されています。
それをいやらしく感じないどころか、リラックスして読ませる
ことが著者の力なのでしょう。

本書に触発されて書かれたのは、荒俣宏著「花空庭園」。
私の博物画鑑賞の原点である荒俣氏の著書に、ここで再び
めぐり合うとは面白いものです。
「フローラ逍遥」の残り半分を読み終えたら、澁澤龍彦氏に
献じたかったという「花空庭園」を読もうと思います。

読前予想では、「花空庭園」は花そのものよりも博物図や博物学に
重きを置いた内容になっているのではないかと思います。
もしその通りなら、「花空庭園」という表題から、「ボタニカル
アートを背景にした花にまつわるエッセイ集」を期待し失望した
読者は多かったのではないでしょうか?

自分を含め荒俣ファンは満足する出来なのでしょうけれど・・・。


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お気に入りその756~博物誌②

2013-05-10 07:47:33 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、博物誌②です。

先日、博物誌3巻(1956、1957、Ⅲ)を読み終わりました。

本書は家族が起きてくる前の静かな朝に少しずつ読みました。

著者の串田孫一氏は哲学者、詩人でもあるそうで、とくに
詩人らしい表現が随所に出てきました。
山小屋や雪渓で出会った虫、山道や庭の植物と心通わせ、
思索をめぐらし、ゆったりとした時間が流れる・・・。

そういう短文を、1年に100編を書き、1冊ずつに
まとめたそうなので、3~4日で1ページ半の文章と1枚の
絵を仕上げる作業を3年間続けたことになります。
博物誌として、昆虫や鳥、植物、さらには微生物までを
克明に調べ上げ、短文に散りばめる苦労は並大抵のもの
ではなかったことでしょう。

また本の間に挟められていた出版社のオマケに、本書を
めぐる識者や読者の評、それに対する著者の弁が
載っており、サイドストーリーとして楽しめました。
そこには多くの読者から押し花や昆虫標本が送られ、
同定を求められているという裏話が書かれていました。

Ⅲのあとがきに、3年間書く約束をしたのでこの形で
書き続けたが、これからは違う形で書く、とありました。
定型作業の呪縛や同定作業に区切りをつけたいという
著者の気持ちはとてもよくわかりました。

これから本書は、他の博物図譜と同様、ときどき
思い立ったときに拾い読みをする、そんな付き合いに
なることでしょう。

最後にオマケ。
本書は1950年代後半に書かれましたが、旧字体の
漢字のオンパレードでした。
例えば、気圧→氣壓、画→畫、昼→晝、恋→戀。
どうです? 読めないですよね。
自分が生まれた時代ってそんな時代だったんですね。
驚きでした。
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お気に入りその755~コミック版「永遠の0」

2013-05-08 12:32:30 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「永遠の0」です。

大分前に友人がコミック版「永遠の0」全5巻を貸してくれました。
お互いに小説版を読んでいたので声をかけてくれたのです。
返すのはいつでもいいよといわれたこともあり、のんびりしていましたが、
気が付けば随分日が経ってしまいましたので、GWの最終日に一気に読み
ました。

原作のストーリー展開をかなり忘れていて、思い出し思い出ししながら
読みました。
ストーリーは簡略化されていましたが、原作の空気は十分伝わりました。
ひとまずコミック化は成功したといえそうです。
次は今年公開される映画版を楽しみにしたいと思います。
以下ネタバレ。

コミックは、原作同様、最終章で感動しました。
特に、夫の戦死後、苦労する妻を戦友たちが陰になり日なたになり
助けたことが明らかになっていくシーンは、過去の経緯を知っている
だけに主人公同様感動に震えました。

窮地を救った戦友たちのことを彼女が「亡き夫の生まれ変わり」と
断言した心情が察せられたと同時に、亡き夫が彼らを導いたに違いないと
感じました。
「生きて帰る」という約束を守れなかった夫から妻へのせめてもの償い
だったのでしょう。

来月鹿児島に研修旅行に行きます。
残念ながら「永遠の0」の舞台になった元海軍航空隊出水基地を訪問する
ことはできませんが、陸軍の特攻基地となった知覧を訪問する予定です。
昨年は呉の大和ミュージアムで人間魚雷「回天」と零戦62型を
みてきました。
家族を守るために命を捧げた若者たちがいたことを、改めて肝に銘じて
くるつもりです。
一度戦争が始まってしまうと後戻りは困難で、国民、とくに若者の命が
多く失われます。
日本は過去の反省を永遠に語り伝え、平和憲法のもと、これからも
外交交渉に「戦争」という選択肢を入れずに進むことを願っています。


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お気に入りその754~日本鳥類写生大図譜

2013-05-02 07:50:27 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「日本鳥類写生大図譜」です。

博物図譜が大好きで、気に入った図譜を探しては鑑賞して
います。
どうせ鑑賞するならできるだけ大判の博物画が良いという
ことで、ついつい大型本に手が出ます。
鑑賞後に書棚に入らないので保管に困るのですが・・・。
そんな訳でいつもどうしようか迷うのですが、最近も
大型本を続けて購入してしまいました。(もちろん古本で)

先に入手したのは「ジョン・グールド 世界の鳥」。
サイズは37cm×28cmというビッグサイズ。
世界最美といわれる鳥類博物画をたっぷり400枚堪能
しました。

そしてこの度入手したのが「原色精密 日本鳥類写生
大図譜」。
「世界の鳥」に並ぶ39cm×27cmという大型本
です。

本書は「鳥類写生図譜」という本の復刻版で1982年に
3000部の限定で発刊されました。
元本は昭和2年から昭和13年にかけて4回分冊で発刊され
たそうです。

第1集と第2集は小型鳥類、第3集と第4集は大型鳥類を
描いています。
小泉勝爾と土岡春郊の共著で、1種類につき2ページずつ、
延べ100種類200ページの鳥類博物画は圧巻です。
右ページには鳥の生き生きした様子を描き、左ページには
いろいろの姿勢や翼の模様などを描いています。

ひたすら個性を排除し、写生に努めた姿勢は見事ですし、
美しい鳥たちを描いた日本画としても十分楽しめます。
また背景の植物も正確にかつ美しく描かれています。

面白いのは小型鳥類を実物大で描いていること。
博物画全盛の頃はそれが基本だったようですが、現代の
図鑑にはほとんど見られない方式であり、オーデュボンの
「アメリカの鳥類」を連想します。

この復刻版の発刊にあたり、冒頭に4名の方が賛辞を書いて
いますが、ここではその内の2名をご紹介します。

一人目は、山階鳥類研究所理事長、山階芳麿氏です。
鳥類の科学的研究で有名な山階氏の賛辞は、本書が正確な
写生に徹しており、博物学上価値の高い図譜であることを
認めています。

二人目は、日本画の大家、東山魁夷氏です。
著者2名が東京美術学校(現東京芸術大学)日本画科の先輩
であり、恩師つながりということでの賛辞でしょうが、
本書の日本画としての出来栄えの素晴らしさを認めています。

彼らの賛辞により本書が「細密にして美しい」という博物画
の理想に達していることがわかります。

また前書きに、世界的に有名なオーデュボンやグールドの
鳥類図譜に勝るとも劣らないと賞賛され、海外からの要請で
外国語版が制作されたことも書かれています。

本書は知名度こそ低いですが、日本の博物図譜の最高傑作
であり、特にそれが日本画で描かれたことをもっと世界に
誇るべきと考えます。

少しでも多くの方が、この鳥類図譜をご覧になり、その
素晴らしさに触れることを願っています。



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