今回のお気に入りは、「かたづの!」です。
中島京子著「かたづの!」を読みました。
著者の作品は初めてです。
著者の直木賞受賞作「小さいおうち」は映画でも話題になりました。
本書に興味を持った理由は、AMAZONの内容紹介を引用した後で書きます。
=====
慶長五年(1600年)、角を一本しか持たない羚羊(かもしか)が、八戸南部氏20代当主である直政の妻・袮々と出会う。
羚羊は彼女に惹かれ、両者は友情を育む。
やがて羚羊は寿命で息を引き取ったものの意識は残り、祢々を手助けする一本の角――南部の秘宝・片角となる。
平穏な生活を襲った、城主である夫と幼い嫡男の不審死。
その影には、叔父である 南部藩主・利直の謀略が絡んでいた――。
東北の地で女性ながら領主となった彼女は、数々の困難にどう立ち向かったのか。
けっして「戦」をせずに家臣と領民を守り抜いた、江戸時代唯一の女大名の一代記 。
著者初の歴史小説にして新たな代表作。
=====
へー、女の大名がいたんだ!というのが第一の驚き。
数々の謀略に対し非戦を貫いたというのが第二の驚き。
さらに題名の「かたづの!」が角が1本のカモシカのことだというのが第三の驚き。
早速読むことにしました。
主人公の袮々は南部藩主の叔父に夫や息子を謀殺され、娘までも死に追いやられます。
さらに先祖伝来の豊かな地・八戸を取り上げられ、人心が荒れた遠野に追いやられます。
何度も家臣たちの堪忍袋の緒は切れそうになります。
女主人・袮々は、
「出来うる限り戦をしてはならない」
という兵法を座右の銘にしています。
それこそが家臣や領民を守る最も有効な策だと信じています。
男たちのように名誉のために死を選ぶことを良しとしません。
男たちの名誉の死のかげには、女子ども、領民の大きな犠牲が必ず付きまとうことを繰り返し訴え、家臣たちの蜂起を思いとどまらせます。
例え身内を殺されようが、先祖伝来の領地を奪われようが、その時々の最も有効な策で家臣や領民を守り通します。
トップが真に守るべきものは何か、を教えられました。
歴史上でもっと広く知られるべき人物がここにもいたことを知りました。
本書は実話を元にした歴史小説ながら、ファンタジーの要素も十分です。
・角だけになったカモシカが人に憑依しお告げをする。
・カッパの首領が袮々に恋し、遠野に移り住む。
・死した重臣の霊が吹雪に迷う袮々たち一行を誘導する。
・蝦夷の将の霊が恨み言をいいに現れる。
歴史小説としてだけでも十分魅力的なのに、秘宝・片角(かたづの)に代表される不思議話が良いスパイスになって味わい深い作品に仕上がっています。
著者は3.11の大震災後に東北の人々を勇気づけたいと願っている中、「八戸に女大名がいた」という新聞記事を目にしたことから調べ上げ書き上げた壮大な物語。
著者の志の高さが物語全体を明るく照らしているように感じました。
中島京子著「かたづの!」を読みました。
著者の作品は初めてです。
著者の直木賞受賞作「小さいおうち」は映画でも話題になりました。
本書に興味を持った理由は、AMAZONの内容紹介を引用した後で書きます。
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慶長五年(1600年)、角を一本しか持たない羚羊(かもしか)が、八戸南部氏20代当主である直政の妻・袮々と出会う。
羚羊は彼女に惹かれ、両者は友情を育む。
やがて羚羊は寿命で息を引き取ったものの意識は残り、祢々を手助けする一本の角――南部の秘宝・片角となる。
平穏な生活を襲った、城主である夫と幼い嫡男の不審死。
その影には、叔父である 南部藩主・利直の謀略が絡んでいた――。
東北の地で女性ながら領主となった彼女は、数々の困難にどう立ち向かったのか。
けっして「戦」をせずに家臣と領民を守り抜いた、江戸時代唯一の女大名の一代記 。
著者初の歴史小説にして新たな代表作。
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へー、女の大名がいたんだ!というのが第一の驚き。
数々の謀略に対し非戦を貫いたというのが第二の驚き。
さらに題名の「かたづの!」が角が1本のカモシカのことだというのが第三の驚き。
早速読むことにしました。
主人公の袮々は南部藩主の叔父に夫や息子を謀殺され、娘までも死に追いやられます。
さらに先祖伝来の豊かな地・八戸を取り上げられ、人心が荒れた遠野に追いやられます。
何度も家臣たちの堪忍袋の緒は切れそうになります。
女主人・袮々は、
「出来うる限り戦をしてはならない」
という兵法を座右の銘にしています。
それこそが家臣や領民を守る最も有効な策だと信じています。
男たちのように名誉のために死を選ぶことを良しとしません。
男たちの名誉の死のかげには、女子ども、領民の大きな犠牲が必ず付きまとうことを繰り返し訴え、家臣たちの蜂起を思いとどまらせます。
例え身内を殺されようが、先祖伝来の領地を奪われようが、その時々の最も有効な策で家臣や領民を守り通します。
トップが真に守るべきものは何か、を教えられました。
歴史上でもっと広く知られるべき人物がここにもいたことを知りました。
本書は実話を元にした歴史小説ながら、ファンタジーの要素も十分です。
・角だけになったカモシカが人に憑依しお告げをする。
・カッパの首領が袮々に恋し、遠野に移り住む。
・死した重臣の霊が吹雪に迷う袮々たち一行を誘導する。
・蝦夷の将の霊が恨み言をいいに現れる。
歴史小説としてだけでも十分魅力的なのに、秘宝・片角(かたづの)に代表される不思議話が良いスパイスになって味わい深い作品に仕上がっています。
著者は3.11の大震災後に東北の人々を勇気づけたいと願っている中、「八戸に女大名がいた」という新聞記事を目にしたことから調べ上げ書き上げた壮大な物語。
著者の志の高さが物語全体を明るく照らしているように感じました。