鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2178~塩谷亮の写実絵画教本

2022-12-30 12:00:17 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、塩谷亮の写実絵画教本です。

今年最後のお気に入りはこれ。
「塩谷亮の写実絵画教本」です。

世界唯一の写実絵画専門美術館・ホキ美術館にいつか行きたいと思いつつ、図録を取り寄せては鑑賞しています。
そこで写実絵画を描く画家たちの名前と作風を知りました。
12月初めには札幌芸術の森美術館で重鎮・野田弘志の回顧展を鑑賞しました。
そして年末に本書、中堅・塩谷亮による写実絵画教本を読むことができました。
写実絵画好きにはとてもうれしい月となりました。

本書ではこれまで美術館図録や塩谷亮画集で鑑賞してきた作品の制作過程を知ることができます。
カンバスの下塗り、技法ごとの制作手順など、画家を目指す方には大いに参考になることでしょう。
観るだけの人である私としては、技法の違いを本書で学び、作品をより深く鑑賞するための糧としたいと思います。
と書いてはみたものの、ド素人の目がどれだけ肥えるか楽しみです。
一度さらっと流し読みしましたが、3枚の絵を描く過程が細かく紹介されているな、と思った程度で、カマイユ、グリザイユ、アラ・プリマの違いは今も分からないまま。
本書が腰を据えてじっくりと読まなくてはならない本だということだけがわかりました。
写実絵画が好きだからこそ技法の違いや、なぜその技法を選んだのかがすぐに判るようになりたい!
ド素人に毛が生えた程度に進歩した暁には、これまでの画集が違って見えるかもしれません。
それを期待して時間をかけて読み込もうと思います。

内容紹介を引用します。
=====
◆原点にして究極の絵画技法を大公開!
体温を感じる生々しい肌、絹のように艶やかな髪、涼しげな眼差し、質感の伝わる衣裳…
その繊細かつ気品漂う人物画はどのように描かれているのか?
日本を代表する写実画家が惜しげもなく手の内を明かした本格的技法書。

目次
1 絵の生まれる場所
2 油彩画のしくみ
3 カマイユを用いた女性像
4 グリザイユで描く男性像
5 アラ・プリマで描く少女像
6 多要素で構成する人物表現
=====


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お気に入りその2177~漫画原稿再生叢書

2022-12-28 12:19:03 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、漫画原稿再生叢書です。

復刊ドットコムという出版社が2019/4/26に発行した「ゲゲゲの鬼太郎」を読みました。
42.0×29.7x2.0cm、72ページの大型本です。
生原稿を原寸のまま書籍化した「漫画原稿再生叢書」の第2弾だそう。
古本で2万円もしておりかなり高価ですが、水木しげるの復刻原稿を4~5枚購入するくらいの金額で72ページも鑑賞できるのですから、逆にお得に感じました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
まさに読む、複製原画
水木しげるの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』の人気三作品が、原稿の質感そのままに高品質印刷によって蘇る!
漫画原稿再生叢書、第二弾が刊行決定!

水木しげるの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』。
もはや説明の必要もない、日本人であれば誰もが知るこの作品の原稿を手にしてみたいと考える鬼太郎ファンは多いのではないでしょうか?
弊社が展開する新レーベル『漫画原稿再生叢書』から、人気の鬼太郎三作品が収録された好評の第二弾が刊行決定です。
今回、水木しげるの代表作である『ゲゲゲの鬼太郎(墓場の鬼太郎)』から選ぶのは以下の3作品です。

・「猫仙人〈前・後編〉」
・「ゆうれい電車」
・「コマ妖怪」

いずれも鬼太郎作品の中でも人気の高い作品となっており、且つ水木プロダクションに原稿が通しで現存する大変貴重なものになっています。
天才的とも呼べる非常に繊細なタッチで描かれた数々の原稿。
漫画家・水木しげるの軌跡が存分に味わえるものになっているこれらの作品を、水木プロ謹製の原稿サイズ原寸のまま掲載するべく、凸版印刷による高品質の印刷技術を駆使してまとめるのが、漫画原稿再生叢書版『ゲゲゲの鬼太郎』なのです。

綺麗にレストアがされた誌面とは一味も二味も違う、経年による黄ばみ、シミ、折れ、所々に見られる破れなどを丁寧にスキャン・補正し、可能な限り現物に近い質感を出せるようまとめました。
全てのページにわたり、作品執筆当時の水木しげるの魂が吹き込まれた、究極の作品集とも呼べます。

(C) 水木プロダクション
出版協力:講談社
=====

朝ドラ「ゲゲゲの女房」のシーンで目に焼き付いているのは、主人公が机に覆いかぶさるように必死の形相で作品を描く姿です。
ひたすらペンを走らせる硬い音だけが「シャッ、シャーッ」と部屋に響き続けていました。
これが奥様の目から見た水木しげるの姿。
戦争で左腕を失い、残された右腕一本で貧乏に抗い続けたその姿は感動的です。
後に少年マガジンで「ゲゲゲの鬼太郎」を連載して売れっ子漫画家の仲間入りを果たしたときは一視聴者である私もうれしかったものです。

鬼太郎に登場する妖怪たちの人間味あふれる表情や性格が好きで、子どもたちと一緒にアニメを観たり、「妖怪画談」等の本を鑑賞してきました。
その妖怪画では細部まで丁寧に描き込まれた背景にも魅力を感じ、いつも目を奪われ、いつかもっと大きな絵で細部まで鑑賞したいと思っていました。
今回、復刻原稿を探していて、本書を目にした時には価格を見てちょっと考えましたが、思い切って購入しました。

サンプルに挙げた絵の細部の描きこみをご覧ください。
手抜きが無いいい仕事をしていますね。
連載漫画の原稿ですから時間に制限があり、全てのページが丁寧に描かれた訳ではありませんが、飾って楽しめる絵が何枚かありました。
また作品として読むのも面白く、特に「ゆうれい電車」はアニメ化されたものがとても印象的だったこともあり懐かしかったです。
解説の小冊子には鬼太郎たちの言葉遣いが後に修正されたと、本書の場面を例に挙げて紹介していてとても興味深かく読みました。
本書に掲載された作品が制作されたのは1965年と1968年だそうです。
今から50年以上も前のことですから、その後の高度成長やバブル崩壊などで人々の暮らしは大きく変わりました。
言葉遣いに変化があって当然です。
当時は言葉遣いが少々荒かったことを知りました。



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お気に入りその2176~南極ワイン

2022-12-26 12:52:11 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、南極ワインです。

先日メルカリで南極ワインを購入しました。
(南極ワインというのは、南極観測隊員に配付されたワインに私が勝手につけた略称です)
以前、南極ウイスキーをヤフオクで落札したときに、おまけで南極ワインが付いてきました。
そのときのワインは第52次南極観測隊のもので白でした。
2年前にワイン好きの妻と味わい、今はボトルに刻印された「しらせ」のデザインを楽しんでいます。

今回出品されたのは南極ワインの赤。
これで赤白両方を味わうことになります。

自分への記録として、商品説明を一部抜粋します。
=====
赤☆限定ボトル☆南極地域観測船 しらせ
\4,000(税込) 送料込み
砕氷艦しらせ 第62次限定のワイン赤 1本です。
ボトルに限定の刻印が施されています。
ボトルのデザインがかっこいいので飲み終わった後も飾って楽しめます♪
2020年11月から2021年2月の観測協力行動を記念して作られた限定ボトルです。
=====

と言う訳で美味しく味わいました。
前のが第52次、今回のが第62次ですからちょうど10年違い。
10年経ってボトルのデザインが随分格好良くなりましたね。
さらにお品書きまで確認できました。
白のときは何も資料がないため、コルクの刻印からボルドーのサンルーベというところでボトリングされたワインということしか判りませんでしたので、今回は楽をしました。

オーストラリアのワインで、名前の「Tree Bear」(コアラ)というそうで、実にオーストラリアらしいです。
「やや辛め、ほどよい渋み、ミディアムボディ」というのも決してワイン好きではないけれど酒好きな私にぴったりでした。
妻はもともと赤好きなので気に入ってくれました。


このところの札幌は冬なのに終日プラス気温の日が続いており南極とは大違いですが、南極やオーストラリアの話をしながら美味しく味わいました。






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お気に入りその2175~たくさんのふしぎ

2022-12-23 12:46:34 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎです。

最新号のタイトルは「ヘリコプターのしくみ」

内容紹介を引用します。
=====
ヘリコプターといえば、機体のてっぺんでぐるぐる回る大きなつばさをイメージする人も多いかもしれません。
でもこのつばさだけを回した場合、機体はつばさと反対方向に回ろうとして、機体とつばさはバラバラになってしまいます。
そうならないための仕組み、また自由自在に飛び回るための仕組みが、ヘリコプターにはたくさんあるのです。
またヘリコプターは、両手両足を使って操縦します。
ホバリングという、その場でとどまり続ける操作は、飛行機にはマネのできないヘリコプターだけの飛び方です。
その操作は難しいとされますが、この本を読めば、なぜ難しいのかがわかるでしょう。
レオナルド・ダ・ヴィンチが、回転するつばさのスケッチを描いてから約500年の時を経て、今のヘリコプターの原型となる機体が生まれました。
その歴史も簡単に触れながら、最新のドローンについても仕組みを紹介しています。
文章は、JAXAで長年ヘリコプターの研究に従事された齊藤茂さんが、絵はドクターヘリの運航業務に携わる山本瑞樹さんが手がけました。
ヘリコプターの魅力をよく知る著者たちの一冊を、ぜひ乗り物好きのお子さんに!
=====

著者の齊藤さんは、NASAやJAXAでヘリコプターの研究をした方だそう。
当初宇宙ロケットの研究をしようと思っていたそうですが、慣性で単純に動くロケットより、空気抵抗や風により複雑に動くヘリコプターの方が面白いよと勧められ、考えを改めた経緯があるそうです。
また絵を担当した山本さんはイラストレーターではなく、ドクターヘリの運航業務に携わっている方です。
幼いころから飛行機やヘリコプターの絵を描くことが好きだったそう。
プロも顔負けの出来栄えの飛行機やヘリコプターをぜひご覧いただきたいと思います。

そんな二人による「ヘリコプターのしくみ」は読みどころ満載。
これまで「たくさんのふしぎ」を200冊以上読んできましたが、読むのに3日以上かかったのは本書が初めてでした。

興味深かったのはヘリコプターの方向転換の方法や操縦方法です。
あなたはヘリコプターが行きたい方向につばさを傾けていることを知っていましたか?
私は「機体とつばさは常に平行」だと思っていたので、とても驚きました。
確かにそれが方向転換方法として最も単純な方法ですが、あれだけ力のかかる部分にそのような構造が入っていたのですね。

そして操縦方法。
両手両足を使っての操縦はかなり難易度が高く、友人の父親が40歳代で自衛隊を退官したときに民間ヘリのパイロットとして引っ張りだこで採用条件が破格に良かったと聞いたことがあります。
また飛行機やヘリコプターの模型のリモコン操縦を趣味にしている方からヘリコプターの操縦は難しくて何度も大破させて高額の修理代がかかっているとこぼしているのを聞いたことがあるのを思い出しました。
ただどちらも40年近く前の話。
もしかしたら今はオートマチック車を運転するように簡単にホバリングできるものもあるかもしれません。

ヘリコプターの歴史の中で注目したのは全日空のマークになったダビンチの絵。
そして現在のヘリコプターの原型を完成させたのがウクライナの方だったということ。

本書最後のページに富士山山頂の気象観測所に資材を運ぶヘリコプターの写真が載っています。
レーダー関係の資材は大きいまま運ばなくてはならず、総重量がオーバーしていたため、ヘリコプターのドアなど外せるものすべてを外してやっと運んだと書かれていました。
そのプロジェクトには後に作家になった新田次郎さんが関わっていたはずで、作業の苦労についても以前読んだような気がします。

とにかく読みどころ満載。
私のような乗り物好きでもない者でも興味深く読みましたので、乗り物好きにはたまらない一冊だと思います。
お勧めします。














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お気に入りその2174~LIFE

2022-12-21 12:42:24 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、LIFEです。

「LIFE 人が知らない生き方」という本を見かけました。
著者は篠原かをり。
この名前だけで間違いなさそうで早速読むことにしました。
彼女の生き物についての知識と生き物への愛は尊敬に値します。

内容紹介を引用します。
=====
この本は、「生き物」をテーマにしたビジネス書です。
私たち人間は高い知能を持っていますが、その生き方は極めて不安定。
他の動物たちと比べ、「定まっていません」。
では、他の生き物たちは、どのような戦略で生き残ってきたのか?
人間の知らない生き方から、「より人間らしい生き残り戦略」を学ぼう! という作品です。
たとえば、
・イルカがジャンプをする3つの理由
・人間に決して迎合しないネコは、いつも何を考えているのか?
・実は「アフリカ最強」の生物、キリンの知られざる生態から学べること
・カピバラが、「草原の支配者」と呼ばれる理由とは
・ナマケモノが実践しているお釈迦さまのような生き方
・「おごれる者は久からず」を地でいく、ハダカデバネズミの下克上社会
・ウシが「偶数」で飼われている理由
……などなど、全20種類の動物たちを引き合いに、膨大な知識を漫画+密度の濃い解説で紹介していきます。
今作を手がけたのは、週刊少年サンデーで「今際の国のアリス」(全18巻)を連載した奇才漫画家・麻生羽呂氏。
高い画力と、深い洞察を武器に、非常にテンポよく、しかし深みのある世界を演出してくれます。
一方、原案としてネタ提供・また解説パートを執筆したのは、生物学の天才、篠原かをり氏。
生物学偏差値105を記録した驚異の知識量を武器に、2016年10月放送の「Qさま!!」で初出場・初優勝を果たした才女です。
生物学で、漫画で、なぜにビジネス書?
それは、読んでいただければわかります。
種としてはるかに「先輩」である動物から学ぶべきことが多々あり、あらゆる世界に共通する「普遍の道理」があるのです。
=====

篠原かをりの生き物のウンチクはやっぱり素晴らしい!
楽しく最後まで読むことができました。
中でも特に興味深かった部分を自分のために書き残します。

ペンギン
 最近ドラマにもなった「ファースト・ペンギン」
 シャチが待ち構えているかもしれない海にエサを獲りに飛び込む最初のペンギンをファースト・ペンギンといいます。
 リスクを恐れないベンチャー精神の持ち主といった意味に使われますが、真実は違います。
 ペンギンをただ可愛いと書かないのは、さすがにシノハラです。
 その実態は最前列に立たされ背中を蹴られ海に落とされる弱いペンギンのことだったのです。
 以前からペンギンの目に冷酷さを感じていましたが、非情なる自然界を生き抜いてきた目と納得しました。
ライオン
 狩りが苦手で2割ほどの成功率しかないため、いつもお腹を空かせているそう。
キリン
 おとなしそうに見えますが実はサバンナで1、2を争うほど強い。
 ひと蹴りでライオンの頭蓋骨を粉砕する力があるそうです。
 動物園で何年も世話をしている飼育員にも気を許さない気難しさもあるそう。
ハダカデバネズミ
 女王ネズミ・オスネズミ・働きネズミに分かれ、アリのように社会生活をしているところまでは知っていましたが、
 その実態に驚きました。
 女王が常に巣の中を巡回して脅して歩く恐怖政治の社会で、オスは年中交尾を強要されるためやせ細り、
 働きネズミがあまりの仕打ちに反逆して女王を襲い、入れ替わることもあるそう。
ナマケモノ
 1日8枚の葉を食べ、数週間かけて消化するという超省エネ生活をしている
 そのため想像以上に筋肉がなく、最大の捕食者であるワシに襲われたときは何も抵抗せず諦めるそう
ゴリラ
 睾丸の大きさは交尾の回数に比例するそう
 ゴリラは争いを好まないため安定した一夫多妻制で交尾の回数も最小限で済むことから睾丸が小さい
 チンパンジーは争いが多いため、交尾の回数はゴリラの100倍に達することから睾丸が大きい
 ヒトの睾丸はゴリラよりチンパンジーに近いサイズだそう
 ということは・・・

本書の巻末に続編の発行予告がありました。
見つけて読もうと思います。


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お気に入りその2173~世界の紙を巡る旅

2022-12-19 12:50:53 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、世界の紙を巡る旅です。

「世界の紙を巡る旅」という本を見かけました。
紙好きの女性が世界の紙を訪ね歩いた記録です。
面白そうなのですがAMAZONでは中古で5500円とかなり高価です。
定価が2860円ですからほぼ2倍。
AMAZONだけでなくヤフオク、メルカリなどを時間をおいてチェックして、何とか定価ほどで購入することができました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
退職届は、大好きな手漉き紙に想いを込めた。
学生時代に研究したネパール・ロクターペーパー、就職後も手漉き紙の魅力に惹かれ続け、退職。
303日15か国の世界の紙を巡る旅へ出発した。
タイ・サーペーパー、インド・コットンペーパー、メキシコ・アマテペーパー……。
世界の手漉き紙やか印刷された紙ものなどを紹介するほか、各地の人々や文化に触れながら、「なんで紙を好きになったんだろう」「これから紙はどうなるんだろう」「私はこれから何をしていくんだろう」というたくさんの問いの中で、世界を駆け巡ります。
著者、浪江由唯(なみえ・ゆい)。
大学でネパールの手漉き紙を研究した後、岡山の雑貨メーカーに就職。
2019年3月から303日かけて「世界の紙を巡る旅」をし、15か国の紙と印刷の工房を訪問。
紙1枚でできることをテーマに、〈kami/(かみひとえ)〉の屋号で紙についての情報を発信している。
この書籍には、ロクタペーパーによるカバーが巻かれていますが、カバーの紙色や柄色はご指定いただけません。
=====

カバーにネパールのロクタペーパーを使い、本文に11種類もの用紙を使っていることに紙好きのこだわりを感じます。
実際に手にした感覚としては、本文の用紙は色が違うと思ったくらいで、紙質の差はよく判りませんでした。

旅の最初、彼女はタイで紙漉きの村を訪ねます。
材料はクワ科の木で、あちこちに自生して1年で大きく育つため、入手が簡単です。
その木の皮をはぎ、煮て柔らかくして繊維を取り出します。
船と呼ばれる木枠にすだれをセットしたものを水に浸し、繊維を乗せて手で平らに広げます。
指でタテ方向に一面、ヨコ方向に一面ならして仕上げ、すだれから外して乾かしたら出来上がり。
日本の和紙のように船を自在に操って一面を均等に仕上げる手法とは大違い。
こんな雑な作業なら誰でもできそうです。
表面がデコボコしているので字を書いたり印刷するのには向かないでしょう。
熱帯らしい大らかな手漉き紙だと思います。

著者はその勢いで世界の手漉き紙を訪ね歩くのだろうと思っていたら、雑貨ショップを訪ねたりもします。
その店の紙の小物を嬉々として紹介して、将来同様の店を開く際の参考になると書いていますが、小物に興味のない私はさらっとスルー。
各国の手漉き紙が早く登場しないかなと期待に胸を膨らませつつ読み進めました。

ところが一筋縄ではいきません。
その後、この旅で最高額の航空チケットを乗り遅れて無駄にしてしまい、ホテル代や食事を節約するため、ラトビアの農家に住み込みで働くことになります。
ここで彼女は「本当の幸せ」を見つけたそうです。
これまで買いたいものを買い、食べたいものを食べることが幸せだと思っていましたが、そうではなく、のどかな田舎で畑にあるものを食べ、池の魚を釣って食べるという現地の暮らしこそ本当の幸せなのだと実感したそうです。
小学生だった彼女は「将来はハイジになる!」と書いたそうで、その価値観に近いものを感じたのでしょう。
「本当の幸せ」と思える体験ってなかなかできるものではありません。
この体験ができただけでもこの旅は彼女にとって価値のあるものだったことでしょう。

その後は各国の紙製の小物や古書を見て歩きながらその地の文化に触れる旅を続けます。
手漉き紙を見て歩く件はどうなったの?
紙製品が好きな若い女性の気ままな旅にこのまま付いていけるだろうか?と不安を感じつつ読み進めました。
当初の知りたい、読みたいという熱意が醒めていくのを感じつつ。
この流れはドイツ・デンマーク・イギリスも同じ。
後半に期待しつつ読み流しました。

インドでは古着を裁断して作るコットンペーパーが紹介されていました。
なるほど、原料が同じなのでそういう作り方もできるんだと感心しました。
さらに有名なタラブックスを訪ね、シルクスクリーンをほどこす現場を見学しています。
オール手作りの絵本の手触り、重さ、香り、色彩などを体感したくて2冊購入した私は興味津々。
もっとページ数を割いてレポートして欲しかったと残念に思いました。

その後ネパール、ベトナム、ラオス、タイ、韓国をまわり、帰国。
これらの国々はどの国にも手漉き紙があり、それなりに紹介していますが、もっとこれらに時間を割いて欲しかったという簡単な内容で残念でした。
特に韓国には韓紙という和紙の先祖と思われる紙があるとしか書かれていません。
さらに日本や韓国に手漉き紙をもたらした源流の国、中国を訪れていないことも残念。

できれば和紙のルーツを探る旅もちょっと加えてもらい、それぞれの国の作り方の違い、独自の利用の仕方なども知りたかったです。
シルクロードの旅ならぬペーパーロードの旅なんて面白そうです。

以上、文句ばっかり書きましたが、手漉き紙の柔らかな感触は私も気に入っています。
世界各地の手漉き紙の文化と技術がいつまでも伝承されていくように、著者の今後の活動に注目していきたいと思います。
ちなみに彼女のサイトは「kami/」や「kamihitoe」「かみひとえ」ではなかなか検索できないので、「ロクタ」を検索キーワードに加えると見つけやすいです。
HPを訪問して気に入った紙製品を購入するなどして、こういう志の高い活動を応援していただければと思います。



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お気に入りその2172~ミライスピーカー

2022-12-16 12:27:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ミライスピーカーです。

音量を下げても音声が聴き取りやすいと評判のミライスピーカー。
耳が遠くなった母にプレゼントしました。

父が入院中、母がせっかく見舞に来てくれても耳が遠くて会話にならないとこぼしたことがあります。
すぐに耳鼻科に連れて行って補聴器をつくりました。
その際に医師から耳の衰え7、脳の衰え3の状況なので、補聴器で完全に補正できる訳ではないと言われました。
脳が衰えると言葉の意味を理解しづらくなるのだそうです。
母の父親は晩年、補聴器を使っても耳が遠かったので、遺伝なのかもしれません。
そして私もいずれ・・・。

母は家では補聴器を使わず、テレビの音量を上げています。
最近その音量がさらに上がったようで気になりました。
本人が聴き取りやすい音量にしているので何も言うことはありませんが、ミライスピーカーを使うともっと聴き取りやすくなるだろうと考えました。
音量を上げるだけでは音声以外の音も大きくなるので、さらに音量を上げなくてはならなくなります。
音声だけをくっきり聴きやすくしてくれるなら、それに越したことはありません。
少しでも快適に過ごして欲しいと思い、ミライスピーカーをプレゼントすることにしたのです。

取り付けはいとも簡単。
コンセントとイヤホーン端子をつなぐだけ。
あっという間に環境が一辺。
ボリュームを28から20に下げてもよく聴こえるとのこと。
私の耳には20でも司会者の声がうるさく感じるくらいでした。
取り付けて本当に良かった。

ちなみに私はヤフーショッピングで買ったのですが、メーカーのサイトで買った方がいろいろ利点があることを知りましたのでお伝えします。
・返品返金保証はメーカーサイトだけ。
・中古良品を5,000円引きで販売しています。
 おそらく返品になったものではないかと思います。
 他人へのプレゼントではないので中古で良かったのにと残念に思いました。








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お気に入りその2171~詐欺?

2022-12-14 12:58:05 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回はお気に入りではなく、知人から聞いた詐欺?の話をご紹介します。

先日知人から聞いた話です。
還暦間近の男性がアルバイト先に退職を申し出ました。
彼は数年前に親が亡くなって天涯孤独の身となり、親が残した一軒家に一人で住んでいます。
彼が言うには全国の寺社仏閣で無人になったところを清掃して歩く仕事に転職するそう。
その会社から、これから社用車で全国を渡り歩く生活になるのだから、家と車を売却し置き電を解約するよう言われたそうです。
さらに「家を売ると600万円渡せる」という具体的な金額まで飛び出したそうです。
普通、雇い入れる側がそんなことまで口出しするでしょうか?
彼は携帯を持っていない上、転職先の名前は絶対に言えないと言って教えてくれませんでした。
この上、家や置き電まで無くなると、一切連絡が取れなくなります。
極論を言うと、家と車を取り上げられたあと彼の身に何が起きても誰も気づかない状況です。
「それって騙されているんじゃないの?」と何人もの人から言われたそうですが、その度に「あの人は良い人なので、騙すはずがない」と言い張り、ついに退職して去ったそうです。

私はこの話を詐欺だと思いますが、あなたはどう思いますか?
今はただ、名前も顔も知らないその人の無事を祈るだけです。

ちなみに彼の家は札幌市西区の住宅街にあり、敷地は広めだそう。
住宅の解体費用を差し引いたとしても600万円は今の相場では少な過ぎ。
この部分だけでも十分怪しいと思います。




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お気に入りその2170~松永俊之さん

2022-12-12 12:42:19 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、松永俊之さんです。

先日の北海道新聞に掲載されたエッセイは松永俊之さんの書いたものでした。
松永さんは元HBCラジオのアナウンサーで、今はフリーアナウンサー。
私はSTVラジオ派なのでほとんど聴いたことがないはずなのに、名前と声がすぐ判るのですから、かなりの売れっ子だと思います。
以前から足がお悪いらしいと知っていましたが、今回のエッセイではっきり分かりました。
30歳頃に股関節の病気で両足が不自由になり、2本の杖を付くようになったたため自暴自棄になった時期もありましたが、医師から「日本でただ一人の2本の杖をつくアナウンサーとして弱者の気持ちがわかるアナウンサーになってください」という手紙をいただいて立ち直ったそうです。
あの優しい声の裏にそんな辛い体験があったのですね。
その彼がエッセイの中で紹介していた絵本に興味を持ち、読むことにしました。

タイトルは「バスが来ましたよ」

内容紹介を引用します。
=====
進行性の目の病気から全盲になった男性・山崎浩敬さんの実話を元に絵本化。
地元の小学生に助けられながら続けた、バス通勤。
「バスが来ましたよ」
その声はやがて、次々と受け継がれ…。
小さなひとこと、小さな手。
でも、それは多くの人の心を動かした。
小さな親切の物語。
=====

松永さんが「読む度に感動して涙が流れる」と書いていたその感動を私もたっぷり味わいました。

目の見えない方が外出するのは何かと大変だろうと思いますが、これまで声をかけて手助けしたことはありませんでした。
多くの方はそうではないかと思います。
本書を読み、これからは自分にできる範囲でお手伝いしようと思わせる、そんな素敵な実話でした。

主人公の男性は目が見えないため通勤バスが来ても気づかず乗ることができないことがありました。
ある日、小学3年生の女の子が彼に声を掛けます。
「バスが来ましたよ」
その子は男性を昇降口に誘導し、座っている人に席を譲ってくれるように声掛けしてくれました。
さらにバスを降りたあと、横断歩道まで誘導してくれたのです。
何と親切な子でしょう。
それから毎日毎日5つ先のバス停まで楽しいおしゃべりもしたことでしょう。
その子が中学校に進学したのを境にその子の妹が代わりを務めることになりました。
きっと近くでお姉ちゃんがしていたことを見ていたのでしょう。
そっくり同じ親切なお手伝いの毎日が続きました。
その後も10数年間、子どもたちの親切のリレーは続いているそうです。
何という心温まるお話でしょう。

本書巻末にはこれまでお手伝いしてきた歴代の子たちと男性が再会したことが紹介され、男性の感謝の言葉に対し、子どもたちから自分たちも毎日お話ができて楽しかったと答えていました。
そういう自然体の関係はとても素敵だと思いました。
困っている人を見かけたら自分のできる範囲でちょっと手助けをするということが彼らには当たり前なのです。
そういう無理のない自然な手助け、私もしたいと思います。




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お気に入りその2169~日高晤郎さん

2022-12-10 12:52:20 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、日高晤郎さんです。

北海道では知らぬ人がいないほど有名なラジオパーソナリティー日高晤郎さんが亡くなって4年。
その余りにスッパリ言い切る語り口は、万人受けせず、彼のファンになるか、彼を嫌うか、聴取者を二分しました。
日本一長い生放送は、完璧主義者である彼のち密な準備により聞き流しのできない中身の濃さが売りでした。
時にスタッフを叱りつけ、時に観覧客とともに涙する・・・実に喜怒哀楽の激しい人でした。
私のお気に入りは「私の本棚」と時々特集された「ひとり語り」。
彼が紹介する本はジャンルが幅広く、私の好みに合う作品は少なかったけれど、スポンサーに遠慮せずに厳しく評価するため、新聞やテレビの書評よりずっと信用できました。
「ひとり語り」は舞台を観に行くほど気に入りました。
特に「松風の門」は絶品でした。
涼やかな滝の音が会場を包む中、静かに幕が上がるあのオープニングは忘れられません。

前置きが長くなりました。
大好きな日高晤郎さんを特集した番組が2週にわたり放送されることを知り、ぜひ聴こうと思いました。
予告内容は次の通り。
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声で紐解く ウイークエンドバラエティ日高晤郎ショー 第1スタジオ 観覧希望者募集
11月6日(日)・11月13日(日)の「サウンドプラントスペシャル」は、
「声で紐解く ウイークエンドバラエティ日高晤郎ショー」を放送します。

STVラジオの歴史を振り返る上で欠かすことができない人物のひとり、日高晤郎のラジオ話芸・語りを堪能する2週間!
思い出やアーカイブを辿ります。
放送当時は、日高晤郎ショーを放送していた「第1スタジオ」から吉川のりおが放送。
そこで、今回は人数限定で、第1スタジオの観覧者を募集します。
抽選で各日28名、2日間で合計56名をご招待します。

観覧ご希望の方は、下記要綱をご確認のうえ「往復ハガキ」にてご応募ください。

【観覧実施日】
 2022年11月6日(日) 18:00~21:00
 2022年11月13日(日) 18:00~21:00
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その頃、私は運悪くコロナに感染し、ゆっくり養生できぬ状況が続き、バタバタしている間にラジコの提供期間が過ぎようとしていました。
やむを得ずラジコを録音保存することにし、身辺が落ち着いてきたこの頃ようやく聴くことができました。

オープニングは「市川雷蔵伝」。
歌舞伎役者にして銀幕のスター市川雷蔵37年の生涯を彼の弟子・日高晤郎が語ります。
切れ味鋭い語り口。
練りに練った展開。
「ひとり語り」は見事な芸となり、聴取者の心を離しません。
すっかり聴き惚れました。
恩師雷蔵のちょうど2倍、74歳を生きた晤郎さんですが、それでも早すぎ。
もっともっと磨き上げた芸を見せて欲しかったです。

第1回放送のラスト近く、晤郎さんがエンディングで歌っていた「街の灯り」がカラオケで流れました。
晤郎さんの歌声が重なる錯覚を覚えたのは私だけではないでしょう。
毎週「来週は今日よりもっと面白い番組にします!」という晤郎さんのパワフルな声に「そうだ明日もがんばろう」と背中を押されたことを思い出しました。
そして亡くなった人はずっとそばにいてくれる、とも言っていました。
「今日より明日」
向上心を持って生ろよ、と言っていた晤郎さんの言葉を胸に生きていこうと改めて思いました。

その後、後編も聴きました。
「ひとり語り」がなかったのは残念でした。
その代わりに晤郎さんファンの声をたくさん聴くことができました。
熱いファンはあなたたちだけじゃないよ、と私を含め多くの聴取者が思ったことでしょう。
みんなの声はきっと天国の晤郎さんに届いたはず。
「おれのやってきたことは間違いじゃなかった」
満足げに笑う晤郎さんの顔が見えたような気がします。










コメント
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