鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1344~フェルメール

2017-03-31 12:40:24 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、フェルメールです。

星野知子著「フェルメール 夢想空想美術館」を読みました。
堅苦しい美術解説書とは大違い。
実に楽しくフェルメール作品を堪能することができました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
女優であり主婦でもある著者・星野知子が、オランダの画家フェルメールの生活風俗画に登場する女性たちと語り合う、新しい形の美術書
=====
フェルメールの絵はおしゃべりです。
ある絵はドラマのワンシーンのように動き出し、ある絵は登場する小道具がひとり言を言い出します。
美術鑑賞ではなく、絵を自由に想像して一緒に遊ぶおもしろさ。
星野知子がいざなう新しい絵画の世界。
=====

星野知子は、NHKの朝ドラ「なっちゃんの写真館」で有名になりました。
でも私は、それより北杜夫の相方として旅番組に出演していた、あの知的な姿を、真っ先に思い出します。
ドナウ川の源流への旅というのがテーマの番組でしたが、最終地点に何があったのかは今となっては覚えていません。
きっと北杜夫が敬愛するトーマス・マンの記念碑でもあったのだろうと思っていましたが、今回あらためて調べてみると違いました。
北杜夫の父・齋藤茂吉がかつてそこを訪ねたことがあることと、現在そこに茂吉の歌碑があることを知りました。
茂吉の足跡を訪ねる番組だったのですね。
40年も前の記憶なんて適当なものです。

さて本書の感想などを少々。
本書は、15作品を楽しく解説しています。
あるときは、召使と女主人の心の会話を実況生中継。
あるときは、青いターバンと真珠の耳飾りの主張合戦。
あるときは、著者自身の感動をストレートに綴る。
面白おかしく書くだけでなく、一般的にこう解釈されている、ということも書き添えています。
詳しく楽しい解説、それは作品に精通しているからこそできる技。
星野知子おそるべし!
素人ではありませんでした。

本書を読みながら、既視感を感じていました。
読み終えてから、ああ、あれだ!と思い至ったのは、NHKで放送していた「額縁をくぐって物語の中へ」です。
名画の一部をアニメ化して、作品の背景や物語を楽しく紹介する番組で、本書とよく似ていました。
そういえばフェルメールの作品も随分紹介していました。

どっちが先に出たのかを調べてみました。
あの番組は2011年から放送開始、本書が発行されたのは2012年。
もしかしたら著者は、あの番組をヒントに本書を書き上げたのかもしれません。
フェルメール作品を愛する者として、多くの人に楽しく鑑賞してもらうために。

本書のような楽しい美術解説書、他にもあるのかな?
あったら読みたいです。
ご存知の方がいらしたらお教えください!


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お気に入りその1343~鬼平犯科帳パート102

2017-03-29 12:27:04 | 鬼平
今回のお気に入りは、鬼平犯科帳パート102、鬼平犯科帳ができるまで、です。

1月に本屋さんで『ドラマ「鬼平犯科帳」ができるまで』を見かけ購入しました。
これまで「オール讀物」に掲載された「鬼平」関連の記事は、できるだけ目を通すようにしてきました。
本書はそれらを一冊にまとめただけの本だろうなと思っていたので、先日ようやく読みました。
ところが実際は、原典が「オール讀物」だけではありませんでした。
「時代劇専門チャンネルガイド」に掲載された記事も載っていました。
そして本書が、ドラマ「鬼平犯科帳」がいかにして制作されたかを知る上で、資料的価値の非常に高い一冊であることを知りました。
こんなことならもっと早く読めば良かった!

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
遂に幕を閉じたTV「鬼平犯科帳」シリーズ。
その長い歴史を振り返り、制作スタッフたちの貴重な証言を聞き取るファン必読の書。
=====
28年間に渡り放送された「鬼平犯科帳」。
その人気の秘密を番組スタッフのプロデューサーから殺陣師や録音技師、美術監督などに直接インタビュー。
今の世で正統的時代劇を放送する上での、苦労話、ここだけの話、内緒の話がテンコ盛り。
さらに「オール讀物」に掲載された「鬼平」関連の記事も収録。
鬼平ファン必読の一冊である。
=====

とにかくスタッフたちの証言、証言、証言。
ドラマ版「鬼平犯科帳」は、彼らの力が集まって出来ていたのですね。
数々の重要証言をあらためて聞いて、ナルホドと頷きました。

またスタッフから聞こえる、役者たちの陰の声には「ヘー」の連発でした。
お熊の出演回数が少なかった訳。
山田五十鈴が2度目に出演したときの設定変更。
五郎蔵キャスティングとその後。
フランキー堺が「よくぞ俺を思い出してくれた!」と張り切ったこと。
どれもファン垂涎のウラ話ばかりでした。

鬼平が終わった理由のひとつに、シリーズが開始したころは京都にロケ地がいっぱいあったが、今はほとんど無くなってしまったこともあることを知り、28年という年月の長さを実感しました。

「俳優事務」という聞き慣れないスタッフの話も重かったです。
役名無き俳優たち。
彼らの動きが真に迫っていなければ、肝心の場面の迫力は損なわれる。
彼らはエキストラではなく演技者。
時代劇の激減により彼らは生活の維持が困難。
前日に出演予定が決まるため、アルバイトのシフトが組めないためだ。

出演者でありながら最も軽く扱われがちな彼らに注目したこの文章は胸に響きました。
著者である時代劇評論家、春日太一の取材姿勢に敬意を表します。

最後は、脚本家について述べていました。
原作は、行間に意味を持たせる技に長けた連作短編集。
それを1時間のドラマにするには、脚本家の力が必要。
行間が持つ意味を、目に見え、耳に聞こえるようにする力。
短編小説を1時間ドラマに膨らませる力。
脚本家の努力により、原作にはない数々の名ゼリフが生まれました。

「忘れたのか。俺たちは二人だけでひと晩、飲み明かした仲だぜ」(一本眉)

「お前って奴は・・・どこまで義理堅い男なんだ」
「なあに、旦那とチョボチョボでございますよ」(あきれた奴)

「貴様ら外道の刀で、あの女のイロが斬れるのか!」(血闘)

これらの名ゼリフが原作にはなかったことに改めて驚きました。
「脚本家は鬼平ワールドを創り出したもう一人の作家である」
著者の言葉に大いに納得。
あらためて脚本家の努力と才能に敬意を評します。

ドラマのマイベスト5、「盗法秘伝」「血頭の丹兵衛」「兇賊」「密偵たちの宴」「血闘」を観たくなりました。






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お気に入りその1342~腸内フローラ

2017-03-27 12:43:29 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、腸内フローラです。

数年前から話題になっている「腸内フローラ」について詳しく知りたくて、どの本を読もうかを検討しました。
行き着いたのは、藤田紘一郎著「最新! 腸内細菌を味方につける30の方法 ~健康・長寿・美容のカギは腸内フローラと腸内細菌!」です。
著者のことは、妻が熱烈なファンなので知っていました。
寄生虫の研究者で、たくさんの本を出しています。
かなり前ですが、たしか1冊だけ借りて読んだ記憶があります。
肥満や花粉症の対策として、自らの体内にサナダムシを飼っている、ということが書かれていて衝撃を受けた記憶があります。
あの先生、最近はこっちの分野の研究をしていたのですね。

そして同じ著者のもう一冊も気になり、続けて読みました。
「55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由」です。
ここ数年、気になっていたものですから・・・。

2冊の内容紹介をAMAZONから引用します。

=====
NHKスペシャル『腸内フローラ』放映以来、数々のテレビ、雑誌で腸内フローラ、腸内細菌のことが取り上げられています。
腸内細菌については「3年前の常識は、ほとんど通用しなくなっています」と著者が語るほど、日進月歩で新事実が明らかになっています。
ワニブックス【PLUS】新書から『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』、『人の命は腸が9割』というベストセラーを著した著者が、腸内フローラ、腸内細菌をめぐる最新事情を紹介し、腸内細菌を味方につけて健康になるための方法を伝授します。
=====
「腸」の健康や「腸内細菌」の権威である著者が、自らの体験をふまえて実証した画期的な発毛の理論と方法。
写真で初めて実証した髪を蘇らせる新事実、「発毛の腸内革命」。
今まで、毛髪剤をいくら使っても、効果があらわれなかった理由は、ここにあった!
=====

医学博士だけあって、理論だてた説明は、説得力があります。
三段論法のあとで、ズバッと言い切られると、信じるしかありません。
その上、ハリウッドスターもやっています!だなんて言われたらコロッといきます。
うまいなぁ。
おかげですっかり信奉者になり「湯シャン」を実施中です。

「湯シャン」とは、シャンプーを使わずにお湯だけで洗髪すること。
やり方は以下の通り。
・できれば塩素を除く仕組みのシャワーを使う
・お湯で髪の毛をていねいに洗う
・頭皮をマッサージする
・所要時間は5分くらい
・油等を付けている場合は、シャンプー2、3滴で洗い落とす
・このときはシャンプーが頭皮に付かないように注意し、急いで洗い流す

これを読んで、「何と簡単。すぐに試そう」と思った方に一言。
これだけなら、本一冊になりません。
他にも食事の内容について、覚えきれないくらい書かれていました。
著者の回し者ではありませんが、ご興味がある方はお読みになるのが一番です。

私自身は「湯シャン」を数回試してみましたが、食事の内容は変えていません。
巻末にあった著者の年表を見ると、55歳の薄毛があっという間にフサフサになった訳ではないようです。
地道な努力を長く続けた結果のようです。
自分には無理、と最初からあきらめました。

さて髪の話はここまで。
肝心の「腸内フローラ」の話に入ります。

以前、牛がなぜ草を栄養にできるかについて、読んだことがあります。
それによると、牛の胃には、セルロースを分解する細菌が住んでいます。
牛はその細菌に草というエサをやって増殖させ、かれらを消化吸収することで、炭水化物やタンパク質を得ているのだそうです。
見事な共生関係です。

人間の腸内フローラも同じようなものだろうと思っていました。
ところがもっと複雑で深い話でした。
興味深かった話をいくつか書きます。
・腸内フローラは、3万種類、1000兆個の細菌が共生している環境。
・善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分類される細菌は、重さにして2~3㎏にも上るそう。
・古来より腸内で共生しており、人の生存にかかわる仕事を分担している。
 例)ビタミンの生成、消化吸収の補助、感染防止
・ゴリラは腸内細菌が少ないため、自力で消化吸収している。そのため食事から得たエネルギーの多くを消化吸収に使っている。ヒトは消化吸収を腸内細菌に頼ることでエネルギーの多くを脳に向けることができた。そのため脳が発達した。
・初期の生物はクラゲのような腔腸動物だった。器官は脳も心臓もなく腸だけで、体を動かすことで血液が循環していた。腸内細菌との共生により余力が生まれ、心臓や脳が発達していった。つまり生物の基本は腸であり、脳や心臓は派生して生じた器官といえる。
・善玉菌、悪玉菌、日和見菌という分け方は正しくない。悪玉菌といっても腸内環境が良ければ悪さをしない。
・腸内環境を整えることが健康を維持する秘訣。それには1万年前の暮らしをイメージすると良い。食事は玄米や全粒粉パンを少々と肉、魚、野菜を腹八分目。

とても書ききれん。
健康維持にご興味がある方はぜひお読みください。

(おまけ)
水道水は腸内フローラにダメージを与えるため、生で飲まない。
飲むのはシリカが多く含有した水がおすすめ。
コラーゲンの吸収を助けるので、肌の若さを保てる。
先生は九州のシリカ水をたっぷり飲んでいるとか。



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お気に入りその1341~鳥獣虫魚譜

2017-03-24 12:40:35 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、鳥獣虫魚譜です。

「鳥獣虫魚譜 ~両羽(りょうう)博物図譜の世界」を鑑賞しました。
以前から気になっていましたが、高価なため手が出ずにいました。
今回、ネットオークションで破格に安く出品されていたため落札できました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
鳥が、魚が、昆虫が、それぞれに懸命に生きている姿は美しい。
博物図の面白さはその姿の一瞬を正確にとらえて描かれた科学の眼である。
動物の博物誌カラー137点。
解説・磯野直秀。
=====

八坂書房の内容紹介も引用します。
=====
明治期に描かれた両羽地方(山形・秋田)に棲息する動物の図譜だが、全国的に分布するものが多く、見世物としての外国産も含む。
日本全土から多くの種が絶滅している現在、資料的にも貴重である。
初刊行。
=====

本書が届いてから知ったのは、題名の両羽が羽前(秋田)・羽後(山形)のことだということと、元本が酒田市で保管されているということ。
私の両親が山形県酒田市出身なので、題名の意味を知っていたら多少無理をしてでも、もっと早く入手していたでしょう。
両羽博物図譜は、生涯最後の10年をかけた大作とのこと。
本書を編纂するに当たり、元本があまりに膨大なため、その中から「動物の部」に限り、それも1000図の中から137図に厳選したそう。
いかに膨大な著作であったかがうかがえます。

作者の松森胤保(たねやす)は万能の人だったようです。
庄内藩士の家に生まれ、支藩の家老を務め、維新後も政治家を務めた後、本書を執筆したそう。
図版もすべて本人の筆によるそうですが、素人とは思えない見事な出来栄えです。
特にギンヤンマ、エゾゼミ、オウムガイ、イワナ、ヨタカ、コチョウゲンボウは、出来が良いと思います。

また記述の方も魅力的です。
冒頭、明治38年に絶滅したといわれるニホンオオカミの図版が4枚掲載されていますが、明治14年から25年にかけて描いていることと、どれも見世物を見て描いたと書かれています。
ニホンオオカミは、当時すでにほぼ絶滅していたことが判る貴重な資料だと思います。

本書の元本は、素人の筆による図版や記述のため科学的価値が低いことと、未完であることが、世に知られていない理由だそうです。
とても残念です。
ぜひ誰か研究してくれないかな。

庄内地方出身の有名人として、庄内藩出身の尊王攘夷派の志士・清河八郎や写真家・土門拳以外に、このような万能の人がいたことを知ることができたことは収穫でした。



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お気に入りその1340~自在置物

2017-03-22 12:11:00 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、自在置物です。

海洋堂の「タケヤ式自在置物 龍 鉄錆地調」で遊びました。

テレビの「なんでも鑑定団」に何回か登場した「自在置物」。
金属片を細密な細工でつなぎ合わせた、金属工芸の極致。
ああいうものは絵などと違い、実際に手に取り、動かしてみて、初めてその見事さが納得できると思います。
とても高価なことは想像できます。
ネットオークションにどんなものが出品されていて、それにはどんな値が付いているのか、などを調べてみました。
真っ先に出てきたのが、今回の「タケヤ式自在置物」。
海洋堂がアクションフィギュアを制作販売していたのですね。
本物は買えなくても、これなら実際に手に取り、動かして、鑑賞することができます。
デザイン性、製品精度なども、海洋堂なら信用できます。
すぐに入手しました。

AMAZONの商品説明を引用します。
=====
竹谷隆之が切り開くフィギュアの新地平「タケヤ式自在置物」第三弾は、日本古来より伝わる伝説の動物「龍」。
龍独自の長い身体を40以上にも及ぶ多数のパーツで構築。
そこに連結式ジョイントを組み込むことで、有機的なポーズまで再現可能。
口には開閉ギミックを採用し、威嚇や咆哮といった迫力ある表情やシーンを演出する。
また、四肢の先にある指にも関節ごとに可動し、細やかな仕草をつける事が可能となっている。

ノンスケール ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア KT-003
本体サイズ:全長約360mm
可動箇所:全67箇所 ジョイント使用数:全26個
付属品:眼球可動用ニードル、宝玉パーツ、ディスプレイベース、拡張用パーツx2
製作総指揮:竹谷隆之 山口隆/原型製作:福元徳宝
=====

カスタマーレビューには厳しいコメントが並んでいました。
・鉄錆地調というが、黒にしか見えない
・可動部分が固着していて、無理に動かそうとすると折れた
・可動部分が緩すぎて、姿勢を維持できない

これを書いた人たちは、アクションフィギュアとして完成度の高いものを望んでいます。
でも私は、本物の自在置物でさえ、希望する姿勢の維持が困難な場合もあるんじゃないかな?という考え。
だから、できないものは仕方ない、で終了。
できる範囲で楽しんでいます。
確かに、製品の精度はレビューの通りでしたが・・・。





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お気に入りその1339~鉱物図

2017-03-20 12:08:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、鉱物画です。

「美しいアンティーク鉱物画の本」という本の構成には、度肝を抜かれました。
最初の109ページ目まで、まえがきも説明もなく、ひたすら鉱物画のみが掲載されていました。
続く6ページは鉱物切手のみ。
116ページ目にようやく日本語が出てきたと思ったら、鉱物画の出典リストと鉱物名称のみが6ページ。
そして最後の最後に解説とあとがきが、わずか6ページ。
以上終了。

何と簡潔明瞭な本でしょう。
タイトルの通り、美しいアンティーク鉱物画を鑑賞するためだけに特化した本です。
著者も出版社も大胆なことをするものです。

本書は昨年6月に発行されていましたが、その存在を知りませんでした。
これまで科学と芸術の融合した博物画をたくさん鑑賞してきたのですが、生き物ばかりで鉱物には興味がありませんでした。
たまたま先日、インゼル文庫の1冊「鉱物・宝石」を鑑賞して、その面白さを知ったばかり。
鉱物の複雑かつ美しい色彩を細密に再現した博物画も「科学と芸術の融合」した魅力に溢れていました。
その美しさに気付いた時に偶然、鉱物画の魅力に憑りつかれた著者の本に出会ったのです。

書店で見かけたときに、帯のコピーが目に入りました。
表側に「本物より、可愛らしい。石版なので、暖かい。」
裏側に「19世紀~20世紀初頭に刊行された鉱物図鑑、百科事典などの挿絵から、鉱物画の秀作を厳選。」
中をパラパラめくると、インゼル文庫も掲載されていました。

どうやら私と同じ嗜好を持った方の著書らしい。
これは鉱物画の入門書として実に丁度良い本です。
当然、即、購入しました。

小ぶりで薄い本ですが、鉱物画の秀作をとにかくたっぷり鑑賞できます。
飽きずにどこからでも鑑賞し始めることができる、宝箱のような本です。
さらに出典と描かれている鉱物の名称が、しっかり掲載されています。
なかなか魅力的な世界であることを知りました。

ただし、出典をさかのぼり、別の図版まで鑑賞しようという意欲は湧きませんでした。
これまではまってきた生き物の博物画とは何かが違います。

ここで疑問がわき起こりました。
そういえば、なぜ私は、これまで生き物の博物画ばかりを鑑賞してきて、鉱物画を鑑賞してこなかったのでしょうか?
それはきっと荒俣宏氏の影響でしょう。
彼の取り上げる博物画は、世界大博物図鑑をはじめ、生き物ばかりだったのです。
私は彼の紹介する博物画の世界がすべてと勘違いしていたのです。
知の巨人・荒俣、恐るべし!
改めて荒俣氏の影響力の大きさを知りました。

おそらく本書を鑑賞した今でさえ、荒俣氏の影響下にいるからこそ、鉱物画に大きな魅力を感じないのでしょう。
まあ、今さら鉱物画にまで手を延ばさなくてもいいです。


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お気に入りその1338~小林路子②

2017-03-17 12:10:24 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、小林路子②です。

以前「きのこの絵本」という絵本の感想を書きました。
その時に書いた著者のプロフィールを引用します。
=====
著者はプロの画家だったのに、きのこ好きが高じて、きのこの絵ばかり描くようになったそう。
そんなことをしていたら食べていけないだろうということで、付いたあだ名が「仙人」。
本人も納得し、作品の隅にマル仙と入れるようになったとか。
イギリスの王立キュー植物園に、著者のきのこ絵が所蔵されている、という凄腕。
=====

絵本を買ったときに、AMAZONのカスタマーレビューで著者のエッセイが面白いことを知り、いつか読もうと思っていました。
そこで選んだのが、今回ご紹介する「なにがなんでも!きのこが好き」です。
19年前発行のかなり古い本です。
日本経済新聞社から発行されており、帯・扉のコメントを森毅・京都大学名誉教授が書いています。
きのこにはまって、変人呼ばわりされている絵描きのエッセイを、なぜ日本経済新聞社が発行し、京大名誉教授がコメントを寄せているのでしょうか?
この謎は、本書を読まねば解決しません。
ということで、興味津々読むことにしました。

感想を書く前に、AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
ともかくおかしい、きのこにはまってしまった絵描きの生活を描く。
"きのこ採り""きのこ料理""きのこ中毒のコワーイ話""きのこを飼う""きのこグッズ"など、きのこの楽しさをお教えします。
=====

また本書の帯に書かれた、京大名誉教授のコメントも引用します。
=====
きのこにはまってしまった絵描きの生活。
ともかく、おかしい
笑いながら、地球を見ることをおぼえよう。
=====

さあいよいよ、きのこ仙人のきのこワールドに突入!

ナルホド、面白い。
凄腕の画家にしてきのこ仙人ということで、どんな奇人変人かと想像していましたが、ごく普通の方でした。
一例を紹介します。
まつたけ山には、下草を刈り、胞子を散布して、見回りをする自警団がいます。
ある夜、不審な車を発見します。
こんな夜中に何をやっているんだ!と声を掛けると、若い男女があわてて顔を上げたそう。
「そちらのまつたけならどうぞ」と言ったとか言わなかったとか。
・・・というような下ネタ話をちりばめつつ、著者はきのこにまつわる面白い話を続けます。

著者は、急斜面で滑って崖から放り出され、7~8m下の地面に背中から叩きつけられた経験を語っています。
それなのに、奇跡的に怪我ひとつしなかったそう。
その晩は、頭が軽いからとか、あの地に「仙人殉職の地」の碑を建てたらどうか?と酒飲み話で盛り上がったそう。
自分ならそんな目にあったら熱が醒めちゃいますが、この仙人は気合の入りが違います。

料理を作る時間があったら絵を描いていたい、と書いている割には、きのこ料理のフルコースの紹介はお見事。
きのこの種類から調理手順、出来上がりと味わいまで、まるで目に見えるような表現力です。

お得意の毒きのこ事例集も面白かったです。
ナメクジが食べているから毒きのこではない、というのは迷信である理由を、一言で説明しています。
「代謝系も酵素も、人間とは違う生き物だからです!」
ナルホド、納得。
仙人は、ずっとナメクジが大嫌いだったが、近年は慣れてきたと書いています。
それどころか、ナメクジに生まれ変わって、毒きのこをパクパク食べるのもいいかな、ですって!
さすがきのこ仙人。
ナメクジに生まれ変わりたいなんて言う人、他にいないと思いませんか?

毒の強弱だけでなく、人体への影響も種類や個人によって違うなど、中毒話は実に深いです。
中途半端に知識のある人たちが、数多く中毒にみまわれていることを知るにつけ、これまで確実な種類だけを食べてきて正解だったと、胸をなでおろしました。
きのこによる幻覚作用の件は影響を考えて濁した表現で書いていましたが、日本にもそういうきのこがあることを知りました。

最後の章は、きのこグッズ蒐集について。
著者が蒐集を始めたのは、某大学教授の部屋で膨大な蒐集品を見たことがきっかけになったことが書かれていました。
ナルホド、本書の帯・扉のコメントを京都大学名誉教授が書いていた理由がここで判りました。

本書全体を通して、きのこの名称・食毒だけでなく、生物界における菌類の立ち位置など、硬軟取り混ぜた記述でバランスが良かったです。
また大学教授との交流があったり、著者自身がきのこ絵の第一人者であることを考え合わせると、日経新聞の読者が満足する内容だったことも判りました。

最後にすべての謎が解けて、すっきり本を閉じることができました。
趣味とは言えないくらいはまった著者のきのこエッセイ、実に面白かったです。

2月は“こけワールド”に魅力を感じ、3月は“きのこワールド”に魅力を感じました。
知らない世界の魅力を堪能することって楽しいです。
また違う世界をのぞいてみたいと思います。




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お気に入りその1337~恩田陸②

2017-03-15 12:46:10 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、恩田陸②です。

恩田陸の直木賞受賞を記念して代表作を読もう!
そう思って初めて読んだのは「ドミノ」でした。
主人公が20人以上登場し、彼らの物語がひとつに収束していくという実験小説でした。
読みやすかったけれど、これは代表作ではないはず。
そう思って調べたら、本当の代表作は「夜のピクニック」とのこと。
あれ?
これは前に娘が読んでいた本だ!

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。
学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
=====

いいオッサンが今さら青春小説なんて・・・と思いましたが読むことにしました。
内容紹介に惹かれるものがあったからです。
自分自身も、学生時代に、毎年42.195kmをひと晩かけて歩くという、「狂歩」と呼ばれる伝統行事を体験していたため、重なるものがあったのです。
あのときは男ばっかりでしたし、どんなことを話しながら歩いたかは全く覚えていません。
確か夜10時に出発して、朝7時に到着していましたから、休憩をはさんで9時間の行程でした。
前半は友人たちといろいろな話をしながら歩いていましたが、後半、とくに最後の10kmはゾンビのように何の表情もなくただ惰性で歩いていました。
そしてゴール後は、ベッドで泥のように眠りました。
足腰の関節は軋み、足の裏は打撲のようになり、1週間くらい痛みが続いたと思います。

本書を読みながら、当時を思い出し、主人公たちのタフさに舌を巻きました。
3倍の時間をかけているとはいえ、2倍の距離を歩くなんて。
それも帰宅組の女子まで。
その上、主人公たちは、高校生活最後の行事の中で区切りをつけなくてはならない事柄を十分話し合い、解決した上でゴールしています。
実に大人です。
体力だけでなく精神的にも彼らにはかないません。
あの頃に本書を読んでいたら「狂歩」の取り組み方が変わっていたかな?
なんて考えてしまいました。

たった24時間の出来事ですが、濃密な物語。
今さら青春小説なんて、と最初は思いましたが、さすがは本屋大賞。
これは名作です。
読んで本当によかった。
本書の解説の「芥川賞や直木賞を受賞した作品が優れている訳ではない、本書が好例だ」には大いに納得しました。


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お気に入り1336~向田邦子③

2017-03-13 12:01:01 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、霊長類ヒト科動物図鑑です。

向田作品3冊目。

とりあえずAMAZONの内容紹介を引用します。
=====
本作品は、著者が航空機墜落事故で急逝した年に刊行された。
「一週間に一度は飛行機のお世話になっていながら、まだ気を許してはいない。
散らかった部屋や抽斗のなかを片づけてから乗ろうかと思うのだが、いやいやあまり綺麗にすると、万一のことがあったとき、『やっぱりムシが知らせたんだね』などと言われそうで…」
飛行機に乗る恐怖を綴った「ヒコーキ」も収録。
何気ない日常の一コマを鮮やかに捉えた、向田邦子ならではの名人芸が堪能できる珠玉のエッセイ集。
=====
父も母も、皆いきいきとしていた台風の日の情景。
歳月が思い出にはめこんだ、見なかったはずの絵の記憶。
名乗った途端、電話口の声が様変わりする、女の声変わり。
なじみの店ではない店に足を運ぶ、小さな浮気―
優れた人間観察で人々の素顔を捉え、生の輝きを鮮やかに浮び上らせた、傑作揃いのエッセイ集。
=====

内容紹介にある通り、まさに「名人芸が堪能できる珠玉のエッセイ集」。
わずか6ページの中で繰り広げられる、珠玉の向田ワールドを52編も堪能することができました。
以前読んだAMAZONのカスタマーレビューで「向田邦子の文章が一番うまい。本を読むなら向田邦子だけを読むと良い」と先生から言われた、と書かれていたのを思い出します。
書き出し~展開~締め、言葉の選び方、どれをとっても超一流。

どのエッセイの感想を書こうかな、と思い、ネットで目次を探しましたが、途中までしか紹介されていませんでした。
それもそうです。
52編もあるのですから。
自分のために目次を記録しておきたいと思います。

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豆腐、寸劇、助け合い運動、傷だらけの茄子、浮気、無敵艦隊、女地図、新聞紙、布施、引き算、
少年、丁半、マリリン・モンロー、斬る、知った顔、小判イタダキ、写すひと、合唱団、警視総監賞、白い絵、
大統領、ポスト、旅枕、紐育(ニューヨーク)・雨、とげ、軽麺、男殺油地獄、お手本、西洋火事、あ,やられた、
味噌カツ、スリッパ、安全ピン、泥棒、孫の手、たっぷり派、ヒコーキ、ミンク、なかんずく、泣き虫、
良寛さま、お化け、声変り、脱いだ、いちじく、「う」、虫の季節、黒い縞馬、兎と亀、職員室、
電気どじょう、一番病
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こうして改めて題名を並べてみると、内容を思い出せるものがいくつもないことに愕然とします。
あんなに感心しながら読んだというのに・・・。
ただ記憶力は若いときから自信が無かったので、今に始まった話ではない、と自分自身に納得しました。
という訳で覚えている範囲で感想を書きます。

「警視総監賞」
刃物を手に女性を襲う常習犯をつかまえて警察に突き出した若き日の著者。
警視総監賞の話が持ち上がったが、父の一言で断ったそう。
「そんなのをもらったら嫁のもらい手がなくなる」
それ以来、賞からも?縁遠くなったが、先日直木賞をもらった、という締め。
素直に直木賞受賞の喜びを書かない著者の照れを感じて微笑ましい作品です。

「大統領」
20代のときに映画雑誌の記者をしていた著者が、大統領になったドナルド・レーガンの思い出を綴っています。
彼は二枚目だが、最後には彼女を主役に取られる役ばかりだったそう。
生涯、悪役や性格の悪い役をしなかったことでイメージが良かったのか、俳優協会の代表になり、政治の世界に入ったのでした。
後のタカ派大統領のイメージから、ジョン・ウエインのような役柄を演じていたのかと思っていましたが、随分違うことに驚きました。

「虫の季節」
年季の入った虫嫌いのため、友人の別荘には呼ばれなくなった、と嘆く著者。
子どもの頃の強烈な思い出を紹介しています。
寝ぼけて顔を洗い、タオルで顔を拭くと異物が当たりました。
目を開けるとタオルには潰れて昇天したキリギリスが!
悲鳴を聞きつけて駆けつけた父親が、著者の眉毛に引っかかった後脚を取りながら一言。
「虫の方が気の毒だ」
著者と同じく虫嫌いのはずの父親がとった、その行動とその言動は、瞬間、虫嫌いを忘れたようです。
ただ「娘のため」に集中したからこそできたことでしょう。
本編の締めの「虫編の文字で好きなのは“虹”だけだ」がお気に入りです。

その他、
おろしたてのカレンダーに誰もが抱く期待を書いた「豆腐」、
老眼鏡を直すのに老眼鏡が必要と笑いを誘う「助け合い運動」、
台風が来ると知り、妙に張り切る家族を描いた「傷だらけの茄子」、
今日は“新聞”、明日は“新聞紙”、3日目以降は“新聞ガミ”に変わる「新聞紙」、
とにかくどれをとっても傑作ばかり。
まさに、名人芸とはこれのことだ!と納得できるエッセイ集でした。

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お気に入りその1335~魂でもいいから、そばにいて

2017-03-10 12:31:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「魂でもいいから、そばにいて」です。

明日は3月11日。
近頃は、津波が街を飲み込むシーンや、原発が爆発するシーンを、テレビが取り上げています。
近親者に被災者がいなくても、あの映像を見るだけで、胸が苦しくなる方も多いのではないでしょうか?
これまで体験者へのインタビュー、再現シーン、科学で解明されたこと、今後の対策など、テレビだけでなく新聞や書籍などで接してきました。
そんな中で今回見かけた本は違うアプローチをしていました。
「魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─」
本書に納められた体験談は、遺族が重い口を開いて初めて語った話ばかり。
非科学的であることは百も承知。
誰彼かまわず話せば変人扱いされること、間違いなし。
でも誰かに聞いて欲しい、亡くなった家族との“再会”を。
決して面白半分の怪談話ではありません。
遺族の気持ちを理解しつつ、感動しながら読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
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「今まで語れなかった――。でも、どうしても伝えたい」
そして、
〈誰にも書けなかった。でも、誰かが書かねばならなかった〉
〝不思議でかけがえのない物語″が、いま明らかになる!

あの未曾有の大震災から、今年で6年――。
その被災地で、死者を身近に感じる奇譚が語られているという。
最愛の家族や愛しい人を大津波でうしない、悲哀の中で生きる人びとの日常に、突然起きた不思議な体験の数々……。
《愛する亡夫との〝再会″で、遺された妻に語られた思いは……。
津波で逝った愛娘が、母や祖母のもとに帰ってきた日に……。
死んだ兄から携帯電話にメールが届いて……。
早逝した三歳の息子が現れ、ママに微笑んで……≫
だが、〝霊体験″としか、表現できないこうした〝不思議でかけがえのない体験″によって、絶望にまみれた人びとの心は救われたのだった――。
著者は3年半以上も、そのひとつひとつを丹念に何度も何度も聞き続け、検証し、選び出し、記録してきた。
「今まで語れなかった。でも、どうしても伝えたい」という遺族たちの思いが噴き出した、初めての〝告白″を、大宅賞作家が優しい視線と柔らかな筆致で描き出す!
唯一無二の〝奇跡″と〝再生″の物語を紡ぎ出す、感動と感涙のノンフィクション。

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亡くなった家族の霊について語ることはタブー。
変な人と思われてしまうため、普段は口にすることができません。
それは霊体験が非科学的だからです。
まえがきで本書を書くことをためらう著者に医者が語った言葉が紹介されています。
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患者が亡くなる時、42%もおむかえがくる。
決して再現や証明ができないがそれは事実。
再現や証明ができないから起きていないといえるのか?
科学として証明できないものの中にも真実はある。
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こうして著者は遺族の話を取材して歩きます。
変人と言われながら。

本書はつらい体験をされた方々の個人的な体験を綴ったものですから、軽々しく感想など書けません。
かわりに心に残った文章をいくつか引用して終わります。
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人は物語を生きる動物
不思議な物語は、他者に語ることで語り手が少しずつ変化を加えつつ、やがて自ら納得できる物語として完成するはず
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彼らが不思議な体験をするのは、亡くなったあの人を忘れたくないからであり、同時にそれが、死者の願いでもあることを知っているからだ
生者が死者を記憶に刻み続けることで、死者は生き続ける
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ある家の水道工事をしているときのことでした。
建主の奥さんが僕に「誰かそばにいるよ」って言ったんです。
「男の子かなあ? 悲しそうな顔で見ている。体壊すから、そんなに無理しないでって言ってるよ」って。
正直、あの頃は過労で死んでもいいかなという気持ちで仕事をしていたので、胸をえぐられた気分でした。
すると「お兄ちゃんがね、おら、大丈夫だから、心配しなくていいからって言ってる」と言われました。
広夢は自分のことは僕とか俺ではなく「おら」でした。
それを聞いて、俺はもうぼろぼろ泣いていましたね。
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