鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2062~エナガの一生

2021-07-30 12:03:30 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「エナガの一生」です。
エナガは日本最小クラスの小鳥です。
体重は7gほど。
スズメの1/3です。
北海道にはエナガの北方系亜種シマエナガがいます。
頭部全体が真っ白でつぶらな瞳がチャームポイント。
「雪の妖精」と呼ばれ、写真集がたくさん出ています。
帯廣神社のシマエナガみくじも大人気です。
本書は厚いけれどほぼ絵本。
本家エナガの一生を読み、とても感動しました。
内容紹介を引用します。
=====
精密・繊細な絵柄で、あるエナガの一生をたどる。
あるエナガがうまれ、はばたき、命をつなぐ。
そんな「普通の野鳥」の生態を、丹念に描きました。
エナガのことをもっと知りたいあなたへ。
【あとがきより】
―毎日のようにエナガの群れを追いかけては写真に収め、生態をつぶさに観察しているうちに、いつしか、「あるエナガの一生を物語にしたい」と思うようになりました。
鳥への愛にあふれる画家・萩岩睦美さんに描き下ろしていただくことで、魂を持った一羽のエナガがここに誕生し、たくましく育ち、恋をして子をなし、懸命に命をつないでゆく物語が完成しました。(松原)
―とにかく真剣に丁寧に愛情込めて描くことを心がけました。
リアルに、でもリアルすぎず個体のキャラクターを表現するというさじ加減に苦心しましたが、鳥好きと言いながらこれほど本格的に鳥の絵を描くのは初めてのことで、もうわくわくしっぱなし!
100ページを超える絵を描いている間中ずっと幸せな気持ちでいられました。(萩岩)
【目次構成】
誕生
巣立ち
夏の大家族群
冬の小群
初めての巣作り
2度目の春
子育てに奮闘
3度目の春
命をつなぐ
=====
5つの卵から次々ヒナがかえり、エサをモリモリ食べ始めます。
そのまますくすく育つかと思ったら、ある日小柄なヒナが冷たくなります。
そして巣を出て不慣れながらも飛び方、えさの採り方、食べ方を学ぶ中で、一羽がアオダイショウに食べられてしまいます。
やがて主人公のエナガは独り立ちし伴侶を得て巣作りや子育てに奮闘します。
・・・というようにエナガの一生を、老いや死を含めて丁寧に丁寧に描いています。
伴侶を失った後の主人公の行動や死後の出来事がとても印象的。
ネタバレ防止で詳しく書きませんのでぜひ読んでお確かめください。
エナガが小規模ながらも社会性のある鳥であることを実感します。
だからこそついつい人の一生と重ね合わせて読んでしまいます。
まさに著者あとがきにある通り「懸命に命をつないでゆく物語」。
多くの子どもたちに読んでもらいたいのですが、残念ながらフリガナをふっていないため小学2、3年生がひとりで読むには難しいです。
イラストも正確なデッサンを元にしていてとても気に入りました。
エナガの画集としても楽しめます。



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お気に入りその2061~カバーアルバム

2021-07-28 12:39:52 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、カバーアルバムです。

カバーアルバム好きでいろいろ聴いています。
先日FMで流れていて「これだ!」と思い、誰が歌っているかを調べたら上白石萌音でした。
小さくて可愛らしい若い女優さんであることは知っているけれど、名前の読み方は分かりません。
「かみしらいしもね」と読むのですね。
FMで紹介していたのは「あの歌1」と「あの歌2」というアルバムでした。
1970年代編と1980~90年代編の2作同時発売だそうです。
CDレンタルでは人気作はなかなか届きませんが、それを承知で予約を入れました。
7/10のレンタル開始ですぐに届き、ドライブのお伴にして繰り返し聴いています。

「あの歌1」の内容紹介を引用します。
=====
昭和の名曲たちに親しんで育った上白石萌音によるカヴァー・アルバム“80~90年代編”と対をなす“70年代編”。
自身のカラオケの十八番だという杏里「オリビアを聴きながら」ほか、ファンからのリクエストをもとにした楽曲を収録している。

1. 年下の男の子 (3分32秒)
2. キャンディ (3分32秒)
3. 君は薔薇より美しい (3分45秒)
4. 夢先案内人 (4分1秒)
5. 木綿のハンカチーフ (4分23秒)
6. グッド・バイ・マイ・ラブ (3分19秒)
7. ガンダーラ (4分5秒)
8. 勝手にしやがれ (3分37秒)
9. みずいろの雨 (3分24秒)
10. オリビアを聴きながら (4分34秒)
11. さらば恋人 (3分45秒)
=====

「あの歌2」の内容紹介を引用します。
=====
昭和の名曲たちに親しんで育った上白石萌音による、2作同時発売となるカヴァー・アルバムの“80~90年代編”。
andropの内澤崇仁が編曲した中山美穂の「世界中の誰よりきっと」をはじめ、ファンのリクエストをもとにした楽曲を収録している。

1. 世界中の誰よりきっと (3分38秒)
2. ダンデライオン ~遅咲きのたんぽぽ (4分24秒)
3. AXIA~かなしいことり~ (4分34秒)
4. Diamonds<ダイアモンド> (5分)
5. 制服 (3分35秒)
6. まちぶせ (4分4秒)
7. ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス (4分9秒)
8. いかれたBABY (4分31秒)
9. 青空 (4分53秒)
10. PRIDE (5分17秒)
=====

松田聖子などの昭和のアイドルをカバーした原田知世や島津亜矢も良かったけれど上白石萌音も良いですね。
原田知世や島津亜矢は自身がその歌の世代でしたが、上白石萌音は親が世代でしょう。

普段あまりやりませんがレンタルまでの待ち時間が長かったのでご本人のオフィシャルHPを覗いたところ選曲理由が紹介されていました。
こういうのを知っておくとより楽しめるので自分用にメモしておきます。

「あの歌1」
自身が大好きな大好きな「年下の男の子」
お父さんが好きな「キャンディ」
圧倒的にリクエストが多かった「木綿のハンカチーフ」
スタッフが好きな「グッド・バイ・マイ・ラブ」、
お母さんが好きな「みずいろの雨」
自身のカラオケの定番「オリビアを聴きながら」

「あの歌2」
大好きなユーミンの曲のNo.1かNo.2「ダンデライオン」
松田聖子は好きな曲があり過ぎ「制服」
大好きな曲!!「まちぶせ」
名曲中の名曲「青空」
大好きな曲「PRIDE」

ということで、ドライブのお伴として繰り返し聴いた感想を少々。

1-1「年下の男の子」
 自身が好きなだけあって原田知世に負けないくらい可愛らしく歌っており、
 出だし好調です。

1-4「夢先案内人」
 山口百恵が20歳前後の歌でしょう。上白石の方が実年齢は上のはずですが、
 幼く単調に聴こえます。
 百恵ちゃんがあの年齢ですでに大御所だったのですから仕方ないことです。

1-5「木綿のハンカチーフ」
 これはいい。太田裕美が歌い上げた物語を実にていねいに歌っています。

1-9「みずいろの雨」
 これは凄い。八神純子のパワーボイスほどではありませんが、澄んだ美しい
 歌声で聴きごたえ十分です。

2-3「AXIA~かなしいことり~」
 初めて聴きました。元々どなたの歌か知りませんが彼女にとても合っていて
 じっくり聴きました。

2-5「制服」
 松田聖子同様のかわいらしさで歌い上げています。

2-6「まちぶせ」
 懐かしく聴きましたが、イントロが独特過ぎで違和感があります。

2-10「PRIDE」
 これは期待外れ。平坦に歌いすぎで残念の一言。

最近の若い俳優さんや女優さんは歌が上手な方が多いですね。
持ち前の演技力で歌詞の世界を表現できます。
どんどんカバーアルバム制作にチャレンジして欲しいです。


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お気に入りその2060~たくさんのふしぎ23

2021-07-26 12:54:05 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ23です。

①粉がつくった世界
出版社の内容紹介を引用します。
=====
身のまわりにある製品のほとんどは、粉からつくられたり、一度粉にされてつくりかえられたりしています。
人間は粉をどんなふうに利用しているのか、その秘密をさぐります。
=====
小麦を粉にするとパンや麺をはじめ、いろいろなものに加工できます。
人々は小麦を粉にする技術を少しずつ発展させてきました。
両手で石を持ってすりつぶす方法が、石臼を回す方法になり、やがて風車や水車を動力源にして工業化しました。
近代の工業化のスタートは蒸気機関より前に「粉つくり」の技術の進歩がベースにあったことを知りました。
粉つくりの技術は食品だけにとどまらず、鉱石を細かく砕いて金属を取り出したり、塗料をつくったりと多岐にわたりました。
著者は粉体工学の専門家としてもっとたくさん伝えたいことがあったと思いますが、本書では生活の中でいかに粉が深くかかわっているかを紹介するだけにとどまっています。
最初と最後に2回同じ絵(家の中の身近な粉)を載せて読者に印象付けようとしていますが、それよりも粉の持つ不思議な性質とその応用でどんなことができるのかを少しだけ紹介した方が、子どもたちに興味を持ってもらえたのではないかと思いました。

②カレーライスがやってきた
出版社の内容紹介を引用します。
=====
カレーがどこから日本に伝わったのか調べるため、インドやイギリスに行きました。
様々なカレーを食べてみて、やっとカレーの歴史が見えてきました。
“ふしぎカレー”の作り方つき。
=====
カレーライスの味は家庭ごとに様々。
わが家ではこういう簡単な料理は私の担当。
納豆を乗せてみたり、具にこんにゃくを加えたり、チョコレートやインスタントコーヒーを加えたり・・・。
最近はネクターピーチを隠し味に使い評判を得ています。
さて本書で知ったおもしろいこと。
・日本最初のカレーには鯛とカエル、長ネギが入っていた
  タマネギやニンジン、ジャガイモは当時入手が困難だったので入っていない
・インド
  カレー粉というものはなく、都度スパイスを調合する
  地域によりカレーの種類が違う
・イギリス
  新鮮なスパイスが手に入らないのでカレー粉を作った
  元々あったシチューにカレー粉を入れて受け入れやすくした
  カレーは家庭で作らず、インド料理店で食べる
  (パン食のため家にライスがない)
  インスタントカレーにライスもセットで付いてくる
・日本
  イギリス式のカレーライスが日本に定着した
  カレー味の食品の多さは独特の文化かも

③きになる みがなる
出版社の内容紹介を引用します。
=====
芽吹きから実が大きく育つまで、1本のリンゴの木を見守りました。
こまやかな観察をふまえた文と絵。
=====
「たくさんのふしぎ」シリーズで恒例の観察記です。
これまでいろいろありましたが、ハチの行動やネコの行動を観察したものが特に印象的でした。
ただ今までで一番の観察記は残念ながら「たくさんのふしぎ」シリーズではなく他社の絵本。
甲斐信枝「雑草のくらし」です。
空地に生える雑草を5年間根気よく観察をし続けた記録。
植物の進化、生存競争、勝つための工夫など自然の凄さを感じますし、最後のオチも見事です。
まさしく観察記絵本の金字塔です。
本書は当たり障りのない観察記で少々残念でした。
前半がリンゴの花が咲いて実を収穫するまでの観察記。
後半がいろいろな植物のタネの紹介。
でもひとつ勉強になったことがあります。
自然交配した植物の種から同じ植物ができるとは限らない、ということです。
なぜならめしべに付いた花粉がどこから飛んできたものかがわからないからです。
近隣の同種の花粉を昆虫や風が運び、植物はゆっくり変化していくのでしょう。
人工交配での改良以外は同じ植物ができると思い込んでいた固定概念から目が覚めました。


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お気に入りその2059~ローマ数字の表し方

2021-07-23 14:20:12 | 鬼平
今回のお気に入りは、ローマ数字の表し方です。

古い図鑑の図版を鑑賞することが好きです。
カラー写真のない時代に、多種多様な生物の形状や色彩を伝えるために、輪郭や模様などを版画で制作して手彩色を施したり、多色刷りなどでカラー図版を作成しました。
また解説ページと図版ページを別々に印刷するため、図版ページを後半にまとめて掲載することが多かったようです。

先日入手したばかりの植物図鑑※で解説と図版を併せて鑑賞しようとして困惑しました。
※「English Botany third edition volume7」1891年発行
図版にはアラビア数字の通し番号が1枚ずつ記されているのですが、解説部と索引には記されていないのです。
解説・図版・索引に関連性が無い訳がありません。
解説と索引はページ数でつながっているのですぐに比較ができました。
ようやく気付いたのは「MeXXVII※(一例)」というような文字列が添えられていること。
※種ごとにこの文字列は少しずつ違っています。
これが数字、さらにいえば図版ナンバーを表しているのではないでしょうか?
ローマ数字でXは10、Vは5、Iは1を表すので、文字列の後半の「XXVII」は「27」を表します。
それでは前半の「Me」は何でしょうか?
ローマ数字で大きい数字をどう表すかを調べました。
L=50、C=100、D=500、M=1000と表記するのだそうです。
「M」は1000としても「e」は?
考えた末、「e」を「C」と読み替えてみました。
もし「MeXXVII」が「MCXXVII」なら「1127」という意味です。
早速No.1127の図版を開くと解説・索引と同じ名称が記載されています!
ようやく答えに到達し一安心しました。
ローマ数字の表し方を学び、これでようやく図鑑を鑑賞することができます。

もうひとつ気になることがあり調べました。
例えばNo.1019の図版に「E.B.1105」という表記があるのです。
どういう意味なのでしょうか?
これについては図版を販売するアンティークショップの記事が参考になりました。
「English Botany first edition 図版No.1105」という意味なのだそうです。
second editionはfirst editionをリンネ式の分類順に並べ替え、新旧の通しナンバーを二重表記したそうです。
そしてthird editionはsecond editionまで銅版画+手彩色を石版画+手彩色に変更したそうです。
つまり手元にあるthird editionはfirst editionをリンネ式の分類順に並べ替えて、印刷方法を石版画に変更して画質を落としたものなのだそうです。
とりあえず本書を鑑賞する上では関係ない情報であることがわかりました。

それにしても「画質を落とした」というのは残念な情報・・・。
そう書かれてしまうと、これから159枚もの図版を鑑賞するぞ!とワクワクしていた気持ちが少々醒めてしまいました。

といいつつも130年前の植物図版を時間をかけて鑑賞し始めました。
種名だけでピンとこない場合は解説文も参考にしています。
ポケトークの力を借りながら。

(おまけ)
調べた結果、残念な情報を知ってしまった、という話で思い出したエピソードがあります。
兵庫県豊岡市に辰鼓楼という時計台があり、札幌の時計台とどちらが日本最古かがこれまで判らなかったそうです。
今年、出石観光協会が辰鼓楼創建150周年事業として調べた結果、札幌の方が1か月弱古いことが判明したそうです。
わざわざ調べずにこれまで通り「日本最古」を名乗り続けた方が良かったと思うのは私だけでしょうか?






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お気に入りその2058~パラフィルム

2021-07-21 12:49:06 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、パラフィルムです。
先日古代チーズ「蘇」を作るために2時間牛乳を煮詰めました。
その間、退屈なのでクラムチャウダーを並行して作りました。
牛乳をかき混ぜては、野菜やベーコンを切るということを繰り返している内にうっかり指を切ってしまいました。
あらら結構深く切れました。
しばらく様子をみましたが血が止まりません。
ティッシュを当てて輪ゴムできつめに固定しておきましたが、夜になっても出血が止まりません。
寝ている間にティッシュが外れてシーツなどに血が付くと困るので対策を考えました。
指先用の絆創膏はありますが、傷用防水シートは平らな所にしか使えません。
どうしようか・・・。
そうだ、パラフィルムだ!
薬を塗って絆創膏を貼り、パラフィルムで軽く締め付け固定&防水。
どんな形にもフィットする上、互いに粘着するためこれだけで完結します。
何と便利なのでしょう。
パラフィルムは元々開封済のウイスキーの口を密閉するために使っていました。
2インチ×250フィートのずっしりとした1巻で一生かかっても使い切れない量です。
園芸が趣味の妻が、折れかかった枝を固定するために時々使っていたのを思い出し、もしかしたら指先に使えるかもと試してみたら大正解でした。
パラフィルムの在庫は山ほどあります。
購入して5年、まだ9割以上残っています。
1日に何度交換しても大丈夫です。
念のため傷の処置にパラフィルムを使って良いかを調べました。
「傷の保護」「パラフィルム」で検索したところ、傷の応急処置としてパラフィルムやサランラップなどを使うことがあることを知りました。
どちらも家にありますが、延びてどんな形にも密着し、互いに粘着する力を考えるとサランラップよりパラフィルムの方が使い勝手が良いと思います。
ちなみに調べる内に「ラップ療法」なるものがあることを知りました。
傷口をラップで湿らせたまま保護すると直りが早く、傷跡もきれいになるのだそうです。
知らずに似たような処置をしていました。
これまで絆創膏に薬を塗って傷口に貼り付けてからパラフィルムで覆っていましたが、絆創膏無しで直にパラフィルムというパターンもありということです。
パラフィルムを持っているみなさーん(と言ってもごくわずかしかいないと思いますが)ウイスキーの液面低下対策に使っても一生使い切れないのですから、ぜひ傷口の保護にも使いましょう!


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お気に入りその2057~たくさんのふしぎ22

2021-07-19 12:20:56 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ22です。

①砂漠の花園
出版社の内容紹介を引用します。
=====
南米・ペルーの太平洋岸は、降雨量が少ないため砂漠が広がっています。
その砂漠に何年かに1度、海に発生した濃い霧が登ってきて、砂漠を潤おすと、突然、砂漠じゅうが一面の花園に変わります。
霧によって魔法のように生まれる砂漠の花園。
黄色、ピンク、青、色とりどりの美しい花園に、皆さんをご案内します。
=====
本書は野村哲也さんの著作。
「ナミブ砂海」「ポリネシア大陸」に続き読みました。
「ナミブ砂海」でプロカメラマンとしてこだわりのベストショットを見せてくれた著者。
今回もタイミングにこだわったベストショットを見せてくれるはずと楽しみにしながら読みました。
ナスカの地上絵がある広大な砂漠。
1年間で30mmしか雨が降りません。
でも暖流と寒流がぶつかって発生した霧が砂漠を覆い、大地を潤したとき、突然のように見渡す限りの花園が出現します。
まるで魔法のようなその光景は、砂漠を知っている者にしかわからない感動があるのだと思います。
本書では砂漠の厳しさがあまり紹介されていないため、美しい花園が普通の光景に見えてしまうのは残念です。
貴重な瞬間を捉えに、わざわざ地球の裏側まで行った著者の苦労をもっとしっかり感じたかったです。
面白いなと思ったのは広大な花園に続く一本道の説明。
その植物にはイラクサと同じギ酸のトゲがあるためヒツジは食べず、その奥にある別の草を食べるため一列で移動した跡なのだそう。
本書付録のあとがきによると著者は10歳のときに親の方針で一人旅をさせられたそうで、ユースホステルで世界中を旅している若者に話を聞き感激したことが彼の人生を決めたようです。
一度きりの人生といいますが、著者のような生き方はなかなかできるものではありません。
彼のことをもう少し知りたくなりました。
「たくさんのふしぎ」シリーズに彼の作品がもう3冊あるそうなので読もうと思います。

②漁師とヒグマ
出版社の内容紹介を引用します。
=====
北海道の知床半島にある漁師の基地「番屋」。
そこでは漁師が半年間も住み込みでサケ漁をしており、そのまわりにはたくさんのヒグマがいて、やはりサケをとっています。
こうしてもう何十年も、とくに事故もなく、お互いに距離を保ちながらうまく生活しています。
もともとはヒグマを鉄砲で駆除していた漁師とヒグマとの関係が、どのようにして変わってきたのでしょう?
=====
にらみ、怒りつけることで熊を追い払う漁師の姿は何度もテレビで紹介されました。
神経過敏なはずの子連れ熊や血気盛んな若い大熊が「こらっ!」と一喝され、そそくさと遠ざかるシーンは何度見ても信じられません。
番屋を建設したころは威嚇に鉄砲を使い、時には駆除していた時代があったことは知りませんでした。
熊は自らのテリトリーを主張するときに相手を威嚇し、時には闘いますが、決して相手を殺したりしません。
漁師と熊の関係も同じ。
生ごみを外に置かない、番屋を無人にしない、人の領域に入ってきたら怒鳴りつけて追い払うなどの約束事をきっちり守り続けて熊を教育してきた成果なのだそう。
とても真似のできない見事な成果だし、両方とも幸せな成果だと思います。

③アラスカたんけん記
出版社の内容紹介を引用します。
=====
きびしい自然と動物たちの姿を、写真で紹介
オーロラの出る長い寒い冬。
1日中太陽が沈まない短い夏。
19才のころ、そんな見知らぬ北の国、アラスカに憧れ、エスキモー村に「訪ねたい」と手紙を出した作者、写真家の星野道夫さん。
そして村から返事が届き、エスキモーの住む北極の世界へ足を踏み入れました。
アラスカのきびしい自然とその中で生きる動物たちの姿を伝え、アラスカの魅力が詰まった本。
この地に移り住んだ作者の思いが込められています。
=====
写真家の星野道夫さんが憧れて移り住んだアラスカ。
彼がアラスカのどこに魅力を感じ、人生を決めたのかがよく伝わる写真絵本です。
エスキモーのお婆ちゃんが森に入りネズミが貯めたエスキモーポテトを半分ほど頂戴します。
お婆ちゃんは代わりに魚の干物を入れてあげます。
ネズミのものを取り上げたのだからこれくらいするのが当然、というエスキモーの常識に著者が感心するシーンは印象的。
子連れの母熊同士がバッティングした緊迫した場面も、著者のドキドキしながら観察する様子がよく伝わります。
熊ははぐれた子熊を自分の子として育てるくらいなので争いにならないことを知りました。
オオカミが決して人を襲わないことや、熊がテントを覗いても人の姿を見つけると一目散に逃げること。
氷河の近くではその崩壊で巨大な波ができるので、高いところにテントを張る必要があること。
アラスカの常識がたくさん詰まった一冊です。
本書が発行された10年後の1996年、星野さんはロシアでヒグマに襲われて亡くなっています。
人の中に悪人がいるように、熊にも人を襲う凶暴な熊がいるということでしょう。

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お気に入りその2056~蘇

2021-07-16 12:33:56 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、蘇です。
うっかり牛乳を買い過ぎてしまいました。
余った1Lパック2本の賞味期限日がちょうど私だけ休みの日。
何かに使わなくては・・・。
まずはクラムシャウダーを作って800ml使うことにしました。
作りながら200ml飲んで1本目は空になります。
残り1Lは何に使おうか?
1Lプリンというのも面白そうですが、妻とふたりで毎日食べるのは無理。
ようやく行きついたのが「蘇」。
1300年前に食べられていた「蘇」を作って食べてみることにしました。
日本のチーズのルーツとも言われているそうです。
チーズっぽい味なのでしょう。
牛乳を中火で1時間かき混ぜるだけで出来上がるというのが気に入りました。
早速やってみました。
煮詰める都合上、テフロン加工のフライパンが推奨されていましたが、我が家にはテフロン加工の鍋は炊飯鍋のみ。
口が狭い分時間がかかるだろうという予想通り2時間かかりました。
かき混ぜ続けている間キッチンを離れられないので、インスタントラーメンを作って昼食とし、クラムチャウダーの準備までしました。
最後の10分20分はかき混ぜる木べらが重たくなったと思ったら急激に固体化していきました。
鍋の中央にまとめて広げたラップに移して包み、キッチンのステンレス天板の上で室温まで放置。
その後冷蔵庫で冷やして完成。
サイズはタテ2cmヨコ4cm長さ10cmほど。
夕食のときに試食しました。
予想以上に甘い、チーズっぽいお菓子です。
乳製品をあまり好まない妻に押し付ける訳にはいきませんので自分で食べなくてはなりませんが、辛党のためこういうのはパス。
酒のつまみにならないかと思い、黒こしょうを付けてみましたが、お菓子の域を脱出できません。
続いて焼いてみました。
香ばしさのおかげで甘さが抑えられ、お菓子とおつまみの中間ほどになり、かなり食べやすくなりました。
これで何とかなりそうです。







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お気に入りその2055~命のビザ

2021-07-14 12:32:23 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、命のビザです。
杉原千畝が発行した命のビザにより多くのユダヤ人が命を救われた、という話は有名です。
以前、この件を調べている方から、一般に紹介されている内容は事実と違う部分があると教えていただきました。
そのことは杉原さんの息子さんが書いた本に詳しいそうで興味もありますが、今回は他の人たちが書いた本を読むことにしました。
「命のビザ、遥かなる旅路 -杉原千畝を陰で支えた日本人たち」
 北出明・著、交通新聞社新書
内容紹介を引用します。
=====
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害から逃れるため、多くのユダヤ人がポーランドに隣接するリトアニアに逃げ込んだ。  
それは逃げ道を失った彼らが日本経由の脱出ルートに最後の望みを託し、日本の通過査証を求めてのことだった。  
このとき首都カウナスの日本領事館にはこの歴史ドラマの主人公杉原千畝がいた。  
本書では、このとき発給された「杉原ビザ」を手にした多くのユダヤ人に救いの手を差しのべた、福井県敦賀や神戸の人々、  
JTBや日本郵船の職員など、知られざる日本人たちの存在をクローズアップする。  
 
●本書の主な内容   
序 章一本の電話  
第1章 知られざるJTBの貢献  
第2章 アルバムに残された写真  
第3章人道の港 敦賀  
第4章スギハラ・チルドレンを訪ねて  
第5章ユダヤ残影―1941年の神戸―   
第6章日本郵船が果たした役割  
終 章 氷川丸抒情  
=====
ビザを発給してもらっただけでユダヤの人々が救われた訳ではなく、その後も彼らの苦難は続いたのでした。
彼らをアメリカに無事に送り届けるためにJTBと日本郵船が果たした役割や、敦賀や神戸での彼らの様子などを知ることができました。
著者の取材旅行は、知人から託された7枚の写真がきっかけで始まります。
知人はウラジオストークから敦賀への海路で彼らのお世話を担当しました。
親しくなったユダヤの人々から感謝の言葉をつづった自らの写真を渡されたのです。
著者は彼らの消息を訪ね歩きます。
残念ながら一人も消息をつかめませんでしたが、おそらくはたくさんの家族に囲まれて天寿を全うしたことでしょう。
著者の取材旅行で出会った人びとの証言は実に生生しかったです。
自分以外の家族をすべてガス室送りにされたことや、壁に向かって並ばされ偶数番目の人々が銃殺され生き残ったことなど・・・。
「アンネの日記」や「シンドラーのリスト」が体験として語られることは、読んでいて辛かったです。
彼らが滞在した敦賀、神戸、横浜の人々が決して親切でなかったことも知りました。
本書で一番の救いだったのはアメリカ航路を担当した日本郵船の元コックさんの証言です。
上司から彼らの食事を任されたコックは、ぼろ雑巾のような彼らの姿をみて、はじめは軟らかく吸収のよい食事を出し、徐々に普通の食事にしていったそうです。
下船後にすっかり元気になった彼らが、自分に向けて感謝を込めて手を振ってくれたことが印象に残っている、というのは実に素敵なエピソードです。
また日本郵船の船舶は数十隻あったけれど太平洋戦争で徴用されると、つぎつぎ沈められ終戦時に残ったのはわずか1隻だったことも知りました。
そして多くの職員が殉職したそうです。
知らなかった歴史を少し知ることができました。
決して戦争をしてはいけないと改めて思いました。

もう1冊、「命のビザを繋いだ男 -小辻節三とユダヤ難民」(山田純大・著)も用意しました。
近いうちに読もうと思います。

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お気に入りその2056~たくさんのふしぎ21

2021-07-12 16:42:57 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ21です。

①ギアナ高地 謎の山 テプイ

出版社の内容紹介を引用します。
=====
地球で日本の正反対の場所にある南米ギアナ高地。
そこにはテプイとよばれる奇妙な山が100以上もあります。
標高は高いのですが、山頂が平ら、まるでテーブルのようです。
そのテプイには、オタマジャクシにならないカエルや、生態のよくわからないウデムシなど、他では観られない生物がたくさん!
そしてその山頂にぽっかり空いた穴に、写真家が探検に入ります。
=====

最新刊です。
ギアナ高地が「たくさんのふしぎ」に登場すると知り楽しみにしていました。
若い頃に読んだ「ギアナ高地 THE LOST WORLD」という写真集のような感動が伝わるものに仕上がっているでしょうか?
早速読みました。
赤道付近にもかかわらず標高1000mほどの台地は10度を下回ることもあるためバクテリアの活動がにぶい上、強い風雨のため土が生成されず、生き物には過酷な環境。
何とか適応できた生物が独自に進化して生き残っています。
昆虫や鳥が極端に少ないそうです。
地中に栄養が無いため食虫植物が多いそうです。
さてどんな珍しい生物がいるのでしょうか?
読者は期待に胸を膨らませます。
すぐに新種?のカエルが登場しますが、それは序の口でした。
たどり着くだけでも大変なテプイにはさらに直径100m、深さ100mのくぼみがあり、当然ですがほとんど調査されたことがありません。
著者はそこに降り立ち、名前のない花たちや、山と積まれたヤシの実を目にします。
なぜそこにヤシの実があるのかは本書でご確認ください。
世の中はふしぎにあふれている、という「たくさんのふしぎ」のコンセプト通り、ギアナ高地には未知の生物があふれていました。

②立山に咲くチングルマ

出版社の内容紹介を引用します。
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富山県にある立山は標高3000mを越す高い山です。
冬は大雪にマイナス20度以下の寒さと、とても厳しい生育環境に思える場所ですが、そんな場所こそチングルマにとっては絶好のすみかなのです。
大むかしの氷河期に北極からやってきて、今は高い山の上などに生きのこっている高山植物チングルマ。
20余年を立山で過ごしてきた写真家が、立山の雄大なすがたとともに、可憐な“樹木”チングルマの1年を追った1冊です。 
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数年前、立山黒部アルペンルートを観光しました。
いろいろな乗り物を乗り継ぐことでようやく通り抜けることができる、まさに秘境でした。
私の暮らす北海道にも知床や大雪山、日高山脈など雄大な自然がありますが、あれほどの奥地まで軽装で入り込むことはできません。
素晴らしい体験でした。
さて本書の主役チングルマ。
「大雪にマイナス20度以下の寒さという厳しい生育環境」という説明を読み、本州では3000m級の高山にしかない自然環境なのでしょうが、北海道ではあちこちにある環境です。
ネット検索すると案の定、大雪山周辺にもチングルマの群生地があるそうです。
とはいえ身に行ったことはありません。
本書を読んで北海道にも所縁のあるチングルマについて学びました。
・氷河期の生き残り
・草ではなく木
・身の丈わずか10cmほどの極低木
・花は同じバラ科のイチゴによく似ている
・標高の低い所から花が咲き始め、次第に標高の高い所に移動する
・花を常に太陽に向けることで温めて虫を招く
・根元にタネを持った綿毛の房がいろいろな形を見せる
・花茎と綿毛が雪原から顔を出し、氷が風に吹かれて張り付いた姿は「エビのしっぽ」と言われる

夏冬楽しめる可憐な高山植物。
立山に行く前に本書を読んでいたら探したろうな。

③ゆきがうまれる

出版社の内容紹介を引用します。
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あの美しい雪の結晶は、雲のなかでどのようにうまれるのでしょうか? 
雪は、空中の一点で水がおりなす、奇跡の出会いによってうまれます。
ながく謎につつまれていた雪の結晶誕生の瞬間の物語をおとどけします。
雪はどうして六角のかたちをしているのか、そのひみつにもせまります。
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冒頭の「雪は水が凍ったものではない!」という一文にハッとさせられました。
そうです。
雪は水蒸気が直接結晶化したものなのです。
こういう基本的なところの気づきからスタート。
続いて登場したのは、寒冷地の窓ガラスに広がる氷の花。
これも水蒸気が直接結晶化したもの。
雪の結晶とどこが似ていてどこが違うのかという説明はあまりなく主題へ。
ちょっと消化不良で残念でした。
さて本書の主題である雪が生まれる秘密とは?
空気中のチリに水蒸気が触れて微細な水滴ができ、それを中心にして水蒸気が次々結晶化したのが雪です。
気温や湿度などの状況に応じていろいろ形が変わります。
興味深かった話をふたつ。
一つ目は、あれだけ大量にあるのに、二つとして同じ形がないということ。
ほとんど同じに見えるのにと驚かされました。
二つ目はドイツと日本の研究結果。
空中のチリの数と雪の結晶の数を実測すると、チリは1/10しかなかったそうです。
残りの9/10の雪はどうやってできたのか?
どうやら雪の結晶同士が衝突して壊れた破片がそれぞれ成長して雪の結晶になるのだそうです。

本書の著者と画家は、たくさんのふしぎシリーズで既読の「こおり」と同じコンビ。
文章と絵が互いに補い合っていてとても理解しやすいです。
2冊ともおススメです。




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お気に入りその2055~写実絵画画集3冊

2021-07-09 12:11:33 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、写実絵画画集3冊です。
予約していた画集「超写実の人物画 ホキ美術館コレクション」が届きじっくり鑑賞しました。
「神業の風景画 ホキ美術館コレクション」に引き続き、惚れ惚れする見事な作品のオンパレードでした。
収録されている作品のほとんどはホキ美術館図録で鑑賞済みですが、ジャンルをまとめて名作を思い切り詰め込んだ点で今回の画集は本家の図録を越えていると思います。
本書を鑑賞しながら、ホキ美術館の常連である実力派の画家たちの画集について考えました。
二大巨頭、森本草介と野田弘志の画集は数冊ずつ鑑賞済み。
画家個人の画集では、ホキ美術館が収蔵していない作品も鑑賞できて満足感が違いました。
そういえば他の画家の画集は鑑賞したことがないな、と思いつき急に島村信之と塩谷亮の作品が気になり始めました。
2人とも森本草介系の柔らかなタッチがお気に入りです。
ホキ美術館が収蔵していない作品にも当然ながら素敵な作品があるはず。
ぜひ鑑賞したい!
ということで奮発して2人の画集を入手しました。(ただし古本で)
“奮発”といっても数年前までニッカのオールドボトルを蒐集していた頃に比べたら安いもの。
あの頃は数万円の買い物が度々あり、いつもヘソクリの残高を気にしていたものです。
ましてや今はコロナ禍でススキノにも行けず、お小遣いを晩酌用の酒と本の購入だけに使えるのですから割と楽々です!
せいぜい今の悩みは本の置き場がないこと。
小説なら読み終わればほとんどを古書店に持って行きますが、画集はそうはいきません。
しかもタテヨコ厚みのすべてが場所をとります。
そろそろ余程のお気に入り以外は手放すことを本格的に検討した方が良さそうです。
という話は横に置いて、2冊の画集の感想です。
お二人とも今のところ唯一の画集のようです。

島村信之画集(2011年発刊)
内容紹介を引用します。
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生命の力、健やかな心、究極の理想美。
写実界に清らかな風を吹き込む、待望の初画集。
カラー図版79点、単色図版33点、制作工程を掲載。
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裸体に純白の薄衣をまとっただけの美しい女性を描いた「紗」。
ロブスターの剥製を大胆に描いた「ロブスター(戦闘形態)」。
幼い女の子が懸命にバイオリンを練習する姿を描いた「レッスン」と「響き」。
結局気に入った作品はすべてホキ美術館の所蔵品でした。
これからも内容紹介にあるような「生命の力、健やかな心、究極の理想美」を描き続けて欲しいです。

塩谷亮画集(2017年発刊)
内容紹介を引用します。
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若手写実画家として第一線で活躍する塩谷亮。
艶やかな肌、滑らかな髪、憂いを帯びた瞳、柔らかな生地、瑞々しい花びら、静謐な景色……。
塩谷が描くのは、忠実な再現ではなく、描写対象が醸し出す空気感。
確かな筆力と透明感のある色彩で描かれた世界は繊細で美しい。
細密描写ゆえに年間十数枚と寡作の画家が、長い時間を経てやっとまとめることができた、待望の初作品集。
和英バイリンガル。
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正直にいって塩谷さんの人物画はキレイに描き過ぎているため人間の生生しさに欠けているようで、少々物足りない感じを受けます。
でも長く同じ日本人女性をモデルに描いている作品群はとても気に入っています。
画集の表紙を飾っているあのモデルさんです。
若かった女性が徐々に落ち着いていき、妊娠した姿、赤ちゃんを抱いた姿、そしてその後と作品から時間の流れを感じます。
ライフワークとして同じモデルさんをこれからも末永く描き続けて欲しいです。


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