鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2076~メグマル深海水族館

2022-04-30 12:50:37 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、メグマル深海水族館です。
「ディノサン」の第2巻が届き、挟まっていたチラシに紹介されていたのが「メグマル深海水族館」。
「ディノサン」第2巻と「メグマル深海水族館」第8巻をセットで購入するとプレゼントあるとか。
「ディノサン」が面白いだけに「メグマル深海水族館」にも興味を持ち調べました。
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
マグメル深海水族館は、東京湾の水深200メートルにある世界唯一の水族館。
ここでは、深海に潜む生き物たちを身近に観察することができる。
清掃員のアルバイトとして働くことになった天城航太郎は、深海生物が大好きで、少し引っ込み思案な青年。
ある日、館長の大瀬崎湊人に出会ったことで、彼の人生に変化が訪れる――。
深い海の底で生きる深海生物たちの魅力とひとりの青年の成長を描く、心あたたまる物語が始まる。
=====
出版社からのコメント
宇宙より遠い海「深海」を舞台にした本作には、超巨大な「ダイオウイカ」や深海の掃除屋「ダイオウグソクムシ」、恐竜より古い時代から生きている古代ザメ「ラブカ」など、不思議な生態の深海生物たちが多数登場します。
そんな深海生物たちの魅力を作者の椙下聖海さんが愛情たっぷりに描かれています!
また、監修の石垣幸二氏による深海生物の解説も付いていて、読み応え抜群です。
圧倒的画力で描き込まれた「深海世界」と主人公・航太郎の成長の物語をぜひ楽しんでください。
=====
これは面白そうです。
何といっても「圧倒的画力で描き込まれた深海世界」という出版社コメントが魅力的。
深海生物についていろいろリアルに学ぶチャンスです。
「ディノサン」が恐竜をリアルに学ぶチャンスになっているのとよく似ています。
以前から科学と芸術が融合した博物画の図鑑鑑賞を趣味にしてきましたが、「ディノサン」「メグマル深海水族館」もかなり近い存在だと思います。
ということで全8巻を大人買いしちゃいました。
第1巻はダイオウイカ、ダイオウグソクムシ、ラブカと代表的な深海生物からスタートします。
冒頭は深海水族館の開館イベントでダイオウイカを呼び寄せる場面です。
エサを食べる機会が非常に少ない深海だからこそエサで呼び寄せることが可能なのだと納得しつつも、だからこそ他の生き物も呼び寄せてしまうため冒頭のようにシンプルにダイオウイカだけを呼び寄せることはできないだろうという否定的な考えも持ちつつ読みました。
またダイオウグソクムシが動かないのでつまらないという客に対してニオイを使って泳がせる場面も同様。
何年も絶食を続けるダイオウグソクムシがいるのだからニオイだけで泳ぐかな?と大いに疑問を持ちました。
とはいいつつも次々登場する深海生物の絵と紹介されるミニ情報に興味津々。
今は2巻目に入ったところ。
ゆっくり絵を楽しみながら読みたいと思います。

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お気に入りその2075~恐竜の骨格模型キット

2022-04-27 12:56:07 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、恐竜の骨格模型キットです。
AMAZONで「ティラノサウルス1/35骨格模型キット&本物の大きさ特大ポスター (科学と学習PRESENTS)」というのを
売っていました。
学研の「科学」と「学習」で育ったのでとても懐かしく思い、商品説明に目を通しました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
全長約40cmの大迫力! 最強恐竜ティラノサウルスの1/ 35サイズ骨格模型と、頭骨の一部を実物大で掲載したポスターがセットになったキットです。
北海道大学総合博物館 小林快次博士監修のガイドブックつきで、恐竜の体のつくりやティラノサウルスの生態がよくわかります。
キットの特徴
☆骨格模型は、日本を代表する恐竜造形作家の荒木一成氏が原型を製作。ティラノサウルスの骨格を細部までリアルに再現しました。自分の手で組み立てることで、最強恐竜のからだのつくりがよくわかります。
☆ティラノサウルスの頭骨の一部を実物大で掲載したA1サイズの特大ポスターつき。最大級の肉食恐竜であるティラノサウルスの大きさが実感できます。
☆ガイドブックでは、ティラノサウルスの骨格のひみつや最新の研究成果を詳しく解説。自由研究や調べ学習にも役立ちます。
キット内容
・ティラノサウルス1/ 35骨格模型
・本物の大きさ特大ポスター(A1サイズ: 59×84cm)
・ガイドブック(オールカラー24ページ)
ガイドブックのもくじ
・骨格模型の組み立て方
・骨格模型で骨の形を観察しよう
・本物の大きさ特大ポスターでティラノサウルスの大きさを感じよう
・骨からわかる! 恐竜王ティラノサウルス 5つのひみつ
・化石の発掘から復元まで
・STEAMチャレンジ きみも骨格探偵! あしの骨から生きていたときの体重がわかる!?
・ティラノサウルスの骨格に会える博物館
=====
2021年4月に発売されたそうです。
ついでにカスタマーレビューに目を通しました。
すると模型は2005年に発売されたもののリメークであることと、荒木一成さんという有名な恐竜造形作家が原型を制作したことで人気があったこと、当時は他にトリケラトプスとディプロドクスがあったことなどを知りました。
それから15年を経た現在でも古くならない造形美を高く評価していました。
これは間違いない良質の模型です。
お気に入りの恐竜研究家・小林快次博士の解説書が付属していることも魅力です。
商品数残り10数個との表示に急ぎ注文を入れました。
先日届き、早速作ろうと思ったら続きの情報があるのを知りました。
「トリケラトプス1/35骨格模型キット&本物の大きさ特大ポスター」が2022年6月に発売されるそうです。
ということは「ディプロドクス」 も来年あたり発売される可能性大ですね。
ティラノサウルスとトリケラトプスが1/35ですから、ディプロドクスも1/35ではないかと思います。
模型サイズで40㎝、25㎝に50㎝クラスが加わるのですから3体揃うと壮観でしょう。
楽しみではありますが飾る場所が無くて困りもの。
いろいろなものの配置を再検討しなくてはなりません。
まずは3つ揃ってから作ることにし、それまでは小林博士の解説を読みつつゆっくりじっくり待つことにします。

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お気に入りその2074~ディノサン

2022-04-25 12:05:19 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ディノサンです。

元々マンガをたくさん読む方ではないのですが、最近面白そうなのが次々目に入り順番に読んでいます。
「クマ撃ちの女」「瑠璃の宝石」、ネット版ジャンプで読んでいる「怪獣8号」も面白いです。
今回ご紹介するのは「ディノサン」。

AMAZONの内容紹介を引用します。
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1946年にとある島で生き残りを発見。
その後、繁殖や遺伝子操作によって、現代に再生されることとなった恐竜。
圧倒的存在として人々を魅了してきたが、ある"事故"がきっかけでブームはすっかり下火に。
そんな中、経営難の恐竜園「江の島ディノランド」に新人飼育員の須磨すずめが入社し??
=====

AMAZONのカスタマーレビューの「恐竜の絵が上手い」「恐竜好きにおススメ」という評価に惹かれて読むことにしました。

恐竜研究者の藤原さんが監修しているため、恐竜の絵は正確に描かれていると思いながら見ていました。
特に恥骨は発達しているが肋骨は発達していないため、恐竜を上から抑えつけるときは胸ではなく腰に圧力をかける方が良いことや、お座りするときの前脚後ろ脚の形など細部までこだわりが行き届いています。

まだ1巻しか出ていないので登場した恐竜の種類は少ないですが、恐竜園の見取り図によるとたくさんの恐竜が飼育されているようなのでこれからが楽しみです。

それにしても設定が秀逸です。
1946年に恐竜の生き残りが発見され、その後繁殖や遺伝子操作で恐竜園が次々誕生したとか、ある事故をきっかけにブームが下火になったとか。
その辺りの具体的は話がいつどういう形で明らかになるのかが楽しみです。
そしてどうやら主人公の父がその事故の被害者らしいのも気になるところ。

何より映画「ジュラシックパーク」並みに生きた恐竜が普通に出てきて、その生態や特徴を知ることができることがうれしいです。

と書いている内に第2巻が届きました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
1946年にとある島で生き残りを発見。
その後、繁殖や遺伝子操作によって、現代に再生されることとなった恐竜。
圧倒的存在として人々を魅了してきたが、今ではブームはすっかり下火に。
その原因となった「江の島ディノランド」で起きた“事故”の真相が海堂の口から明かされ――。
すずめはトロオドンの赤ちゃん飼育やおばあちゃんティラノサウルスのお誕生日会など、研修で大奮闘!
「もしも」を叶える恐竜飼育物語、待望の第2巻!
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内容紹介で、どこまでならネタバレにならないかを確認しつつ感想を書きます。
第2巻でついに"事故"の真相が明かされました。
ナルホドそういうことだったのですね。
確かに大きな事故でしたが、だからといって恐竜ブームが下火になるとは思えません。
恐竜たちの巨大さは動物園の動物たちとは桁が違いますから。
子どもも大人も楽しめますし、鳥の習性との近さを確認することで生物進化の過程を学ぶことができます。

第2巻まで読んで不思議に思ったことがあります。
恐竜の種名を覚えていないのです。
物語には毎回主人公の恐竜が登場し、冒頭に種名が紹介されますが、いざ物語の中に入ると愛称でしか呼ばないため種名を忘れてしまいます。
せっかく姿かたち、姿勢などにこだわり正確に描いているのですから、種名も覚えたいところです。
そのあたりを工夫してもらえるとうれしいです。
種名が頭に残っていれば監修者によるコラムへの理解がより一層進むと思います。

といいつつも3巻目以降をとても楽しみにしています。




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お気に入りその2073~メルケル

2022-04-23 12:27:18 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、メルケルです。

「ロシアのウクライナ侵攻を止められるのはあの人しかいない」
と言われているのがメルケルさん。
ドイツの前首相であり、EUの顔として長年に渡りプーチンににらみを利かせてきた女傑です。
メルケルさんのことで一番印象に残っているのは新型コロナまん延時の演説です。
いつも事実を感情を込めずに語るメルケルが感情的になった演説として世界中のニュースになりました。
国難に対する時の姿勢はメリハリが効いていて感動しました。
無表情の棒読み一辺倒の菅総理とは違い過ぎだったからなおさら覚えています。

メルケルさんの伝記をどれか読もうと思い、評価の高いものを選び注文しました。
届いてびっくり。
思っていたよりずっと分厚くて、本屋さんでは滅多に手に取らない厚さです。
最近は読まれる順番を待っている本たちが行列となっているので、頑張って読むしかありません。

ウクライナに侵攻したプーチンに対して世界の首脳たちが温い対策しか打てない中、メルケルさんがウクライナを救うヒロインとして登場する可能性が高いので、その日のための準備として読んでおこうと思います。

東ドイツでの少女時代、統一ドイツでの科学者生活、やがて政治の舞台にデビューしEUの顔になった女性ということは知っていますが、その時々で彼女がどんなことを思っていたか、今の彼女がどうやって出来上がったのか。
その過程を知り、深く理解したいと思います。
そして彼女が生きてきた中で遭遇したいろいろな障害をどうやって乗り越えてきたのか、を知りたいと思います。

読み始めて知ったことは次の通り。
・メルケルさんのお父さんは牧師で布教のため一家で西ドイツから東ドイツに移った。
・社会主義国では宗教は軽んじられる。
・メルケルさん本人と周囲の人々はメルケルさんのプライバシーを漏らさない。
 もし漏らした人はメルケルさんから遠ざけられる。
・東ドイツ移住後にベルリンの壁が設けられ、両親は悲嘆した。
・メルケルさんも収容所のような息苦しさを感じていた。
・少女時代はロシア文学の素晴らしさにハマったり、英語教師の影響で英語を学ぶ機会に恵まれた。
・メルケルさんはとても優秀だったが一家で体制側から睨まれていたので評価されなかった。
・部屋にこもって研究を続ける科学者生活には飽き飽きしており、毎日が試行錯誤で刺激に満ちた
 政治家生活の方が性に合っている。
・プーチンと習近平は難しい交渉相手だったが、彼らの国の文化や芸術は愛した。
・メルケルは警察国家で生まれ育ったことから、秘密警察出のプーチンの考え方がある程度読めたし、
 どう交渉すると良いかを心得ていた。
・メルケルはオバマ大統領から天然ガスのロシア依存度を高めないよう再三助言されたが無視した。

あらあら、ヨーロッパの雄、ドイツがロシアに天然ガスを人質にとられて強気に出られない現状はここから来たのですね。
と思いつつ、メルケルさんならウクライナ侵攻前の対処と侵攻後の交渉をどうやっただろうか、と想像しました。
経済制裁を実際に行うのではなく、別の交渉方法を提案した可能性が高いと思います。
プーチンを一番知っている人物であり、警察国家で育った人物として、資本主義と民主主義に固まった頭には浮かばない方法で交渉を行ったのではないでしょうか。
それがどんな方法かは判りませんが・・・。
プーチンもメルケルさんがいなくなった後を狙って暴挙に出たのだと思います。

本書はここまでで全体の半分くらいのところです。
今後もプーチンのウクライナ侵攻の収拾策のヒントがないかを考えながら読みたいと思います。






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お気に入りその2072~納豆とプリン

2022-04-21 12:51:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、納豆とプリンです。
あるミニコミ誌に「納豆とプリンを混ぜて食べると美味しい」と書かれていました。
まさかと思いつつも「納豆とカレーライス」の組み合わせを思い出していました。
20年以上前にテレビでカレーライスに納豆をかけて食べているのを見て、真似したところとても美味しかったのです。
納豆好きの娘はすぐに飛びつき今も欠かさずにやっています。
ああいうものを見た目でパスする妻も後日仲間入りし、今もときどきやっています。
ということで早速納豆1パックにプリン1個を入れ十分混ぜてから食べました。
クリーミーな中に豆の食感があり割と美味しかったです。
例えていうならアズキアイスの常温版?
この味わいはおかずではなく完全にデザートですね。
ただ納豆のネバネバがヌルヌルとした口当たりとして残っているのが気になりました。
個人的には味としては美味しかったけれどデザートとしては口当たりが不快なので二度と食べません。
とりあえず面白い食べ合わせを考える人がいるものと感心しつつ、他にもないかなと思いインターネットで「納豆とプリン」を検索すると先頭に出たのが「おとなの週末web」さんの「悪魔の食べ合わせ」というコーナーでした。
解説によると、どうやら人は、甘い、塩辛い、酸っぱい、苦い、旨いという5味の内、2つか3つの味を強くする食べ合わせを美味しく感じるようです。
食材の味覚アンケートをAIに学習させ、美味しいと感じるであろう食べ合わせを人工舌「味覚ロボットレオ」がはじき出し、その内一般的でない食べ合わせに納豆とプリンがあったそうです。
そのレオを使い88もの怪しげなレシピを紹介したのが鈴木隆一著「そっこーで人間をダメにするウマさ 悪魔の食べ合わせレシピ」だそう。
表紙は、ラーメンのトッピングとしてプリンが!
えー、これはちょっと嫌だな。
でも帯に載っていた「焼きそば+納豆」と「麻婆豆腐+インスタントコーヒー」は試してみたいな。
結局この本を読んでいくつか試してみることにしました。
味の好みは人それぞれですから当たりはずれはつきもの。
冷蔵庫にあるのものを組み合わせるだけで、今までより美味しく食べられるようになるなら儲けものと思い、試そうと思います。


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お気に入りその2071~甲斐信枝3

2022-04-19 12:27:06 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、甲斐信枝3です。
先日甲斐さんのエッセイ集の1冊目の感想を書きましたが、今回は2冊目です。
「あしなが蜂と暮らした夏」 (2020/10発行)

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
40年ほど前の初夏、京都市郊外。
きゃべつ畑で写生をしていた著者は、青虫狩りをするあしなが蜂に魅せられる。
はたして彼らの巣はどこにあるのか……。
あちらこちらの農家の軒下を探しまわり、ついに、比叡山の麓近くの田舎道に背を向けて建つ、一軒の納屋に行き着く。
そこは、新しい巣と、ボロボロに破れた古巣が入り混じってぶら下がる「あしなが蜂の団地」だった――。
ここから、一夏にわたるあしなが蜂の観察が始まる。
卵を生み、丁寧に精緻に巣の部屋を作り修繕し、毎日餌を探して旅をし、団子にして幼虫に運ぶ。
時には、襲ってくるすずめ蜂と決死の闘いをし、幼虫を狙う仲間のあしなが蜂を追い払う。
孤軍奮闘する女王蜂たち。
彼女らに心を寄せた著者は、とうとう、母蜂不在の3つの巣を新幹線に乗せて東京へ運び、幼虫を育てることを決意する。
渋谷駅から10分ほどのアパートで、新鮮な魚の刺身を団子にしてピンセットで与えられた幼虫は、成長し、繭を作り、働き蜂となって元気に活動を始める。
やがて夏の終わり、来年の女王蜂になる雌蜂と雄蜂が誕生。
9月のある日、秋晴れの空に旅立っていった。
彼らは空中で交尾をし、再び巣に戻ってくることはないのだ――。
5000万年という生活史を持つ小さな昆虫、その命の営みが感動的に描かれる。
=====
90歳の絵本画家がいま伝えたい、小さな昆虫の生命のドラマ。
蜂の巣を持ち帰り、幼虫を育て―
誕生から死までを見つめたひと夏の記憶。
ベストセラー絵本『雑草のくらし』著者の初エッセイ。
=====
甲斐さんはこれまでたくさんの観察記を絵本にしており、彼女が目撃した感動シーンを子どもたちにしっかり伝えています。
そのひとつである「あしながばち」は1975年6月に「かがくのとも」シリーズとして発行されました。
春、女王蜂が巣作りする場面から始まり、そこで生まれた新女王蜂が越冬するまでを描いています。
ほぼ1年観察したのですから、それは発行年の前年の1974年のことだと思います。
エッセイ集「あしなが蜂と暮らした夏」が発行されたのは2020年ですからその時点では46年前。
そんな昔のことをまるで昨日のことのように鮮やかに覚えていて、ずいぶん細かいところまで書いています。
例えば「あしなが蜂の団地」があった納屋の向かいにあった持ち主の家のこと。
ハチの観察を許してくれたお嫁さんの実父は植物分類学者だったそうです。
お婆ちゃんは鶏の世話を日課にしていたことや彼女がその辺りで何と呼ばれていたかも書いています。
本書の冒頭には数ページに渡り当時のノートが掲載されており、植物や昆虫のスケッチに日記風の走り書きがあります。
走り書きした文字は本人なら読めるのでしょうが、私は半分も読めませんでした。
今回46年前の観察記についてのエッセイを書くに当たり、当時のノートが記憶を蘇らせたのだと思います。
それにしてもエッセイ本を一冊書くほどの記憶や記録があることは驚きです。
絵本や付録に書かれていなかったことが次から次へと登場します。
彼女は片道1時間半の道のりを往復しながら毎日観察を続けました。
人の一生に等しい生涯がわずか数か月で終わることを考えるとハチの1日は人の1年に等しいのだから、1日も無駄にできないのだそうです。
集中力を切らさずに観察を続けた理由がわかりました。
毎日観察を続けると目が肥えるようで、どのハチがどの巣の主かが判るようになったそう。
・六角形の一辺の長さが巣によりまちまちで、大きい小さいが目で見て判る
・薄過ぎて所々穴が開いている雑な巣やしっかり作っている巣がある
 ハチの性格からくるようだ
・巣の色の赤味が様々なのは材料の違いのせいだろう
 ハチの唾液は黒っぽいのでいずれの巣も暗い色をしている
・一度出かけるとなかなか帰ってこないハチとすぐ帰ってくるハチがいる
女王蜂たちは巣を触ったり懐中電灯で照らしたりして観察している甲斐さんを威嚇したり攻撃したりせず、近くからじっと見るだけだったのは共通していたそうです。
キャベツ畑ではたくさんの女王蜂が低空でホバリングして大き目の青虫を探す場面を観察しています。
キャベツの葉の穴の辺りを探すもの、終齢を迎えた青虫が蛹になるため移動するのを探すものなど個性がみられたそうです。
のどかな観察風景ばかりでなく生き残るための必死さを感じる場面もありました。
子盗みです。
甲斐さんは、青虫がなかなか獲れない母蜂が近くの巣から幼虫を盗んで子どもたちに与えるのを目撃しました。
恐ろしいことですが、同種同士でもそういうことをしてまで生き抜こうとすることに驚かされました。
また途中、嵐に飛ばされ濡れてつぶれた巣を甲斐さんが拾い上げ、泥を落とし形を多少整えてから元の場所にセロテープで固定する場面が出てきました。
巣が戻るとすかさず母蜂が飛んできて世話を始めたそうです。
自分ではどうすることもできず途方に暮れていたところに救いの手が現れて良かったですね。
多くの幼虫が助かったそうで、読みながらこちらまでうれしくなりました。
甲斐さんは京都の実家から現地に通って観察を続けていましたが、東京のアパートに戻ることになり、巣を3つ持ち帰って観察を続けることになりました。
セロテープで固定したためまた落ちそうな巣や母蜂が戻らない巣などですが、移動中の新幹線の車内で母蜂が袋を破って出てしまい騒動になったのには驚きました。
アパートでは母のいないハチの子たちに刺身をすりつぶして与えました。
それでも小さな幼虫は食べられないようなので、大きな幼虫に一度与えて十分噛ませた後、取り上げて小さな幼虫に与えるという工夫をしたそうです。
興味深かったのはビニールテープで固定した巣がグラグラしてきたので、再固定しようとしたときにビニールテープがかじられていたこと。
次々生まれた働き蜂たちが巣を補修・増築する際の材料にしていたのです。
エサを獲りに行けるように窓を少し開けているので木質材料を入手できるはずなのに、自然界に無い素材を取り入れるとは何という柔軟性と感心しました。
以上の通り、本書はアシナガバチの観察記録の一部始終をエッセイという形で一冊にまとめたものです。
終盤に入るまで、いくつかの観察記が入っているものと思い込んでいました。
50年近く前に観察したことをエッセイ本一冊にまとめ上げるとは、とんでもない90歳です。
それが本書を読んだ最大の感想です。
これからも日課の観察、スケッチを元気に続けていかれることを願います。

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お気に入りその2070~北海道の縄文文化

2022-04-15 12:52:05 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「北海道の縄文文化」です。
「北海道の縄文文化 こころと暮らし 」という本が新聞で紹介されていました。
かねてから縄文文化に興味があり、読むことにしました。
内容紹介を引用します。
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◇道内各地の遺跡と出土品の数々から、縄文人の〝こころと暮らし〟を読み解く、カラー写真ふんだんのビジュアルブックが誕生!
◇時系列ではなく〈たべる・いのる・よそおう・ねがう〉などテーマ別の編集で、縄文時代を生きた人々の生活や心のあり方に焦点を当てました
◇さらに、採集と狩漁という従来の縄文時代像をベースに、伝統と変化・発展、定住と交流など新たな発見や研究成果も盛り込み、〈真の縄文文化〉の実像へと迫ります
◇平易な解説文で北海道の縄文への探求心を誘う、写真充実のビジュアルガイド。
=====
出版社からのコメント
自然や動植物と共存しながら1万年以上続いた縄文時代を、従来の時間軸ではなく、遺跡の立地や住居・施設、生業や道具の製作と使用、装飾や祭祀、道内外との交易・交流など、幅広いテーマを通して北海道独自の暮らしと文化を紹介しました。
さらに、採集と狩漁というこれまでの縄文時代像をベースにしつつ、伝統と変化・発展、定住と交流といった新たな発見や研究成果を盛り込むことで、〝真の縄文文化〟の実像へ近づくことができたと自負しています。(「あとがき」より)
=====
著者について
道内各地で発掘調査にかかわってきた、北海道埋蔵文化財センターの調査員や各市町村の学芸員・職員を中心とする、約40名の有志により構成。
調査現場で遺跡や遺物を発掘し、その後の研究で明らかとなった事実を分担執筆した。
===== 
全道各地の遺跡や施設に展示されている出土品を見て歩くことはなかなかできません。
本書は大き目で写真がたくさん掲載されていることと、学芸員の記事が充実していることがとてもうれしいです。
衣類は植物繊維を黒く染めて編みこんだシックなデザインのものを着ていたとか、小樽には本州から漆液を運び込んで漆製品を制作していた痕跡があるとか、知らない話がたくさん出てきます。
本書を読みながら、こういう風に暮らしの面を詳しく知ることの積み重ねが、当時の人々の心を読み解く助けになることを知りました。
以下、本書を読んでヘーっと思ったことを自分のために書き留めます。
・石器時代から縄文時代にかけては、氷河期を終わったばかりで、温暖期と寒冷期を繰り返しており、徐々に現在のような気候に落ち着いた。
・そのため樹木などの構成も徐々に変わった。
・住宅は地面を1mほど掘り下げて建てる竪穴式住居が一般的だが、なぜわざわざそんなに深く掘り下げたのかは解明されていない。住宅中央のかまどの熱で地面が温まったという学芸員の記述もあった。素人考えだが、凍結深度以下に掘り下げることで地熱の暖かさも得られたのではないだろうか。
・住宅跡の柱に使われた樹種は火災跡の炭化した柱からクリが主流だったことが判った。
・火災跡が4000以上も発見されているそうで、火災が多かったようにも思えるが、1万年もの長い期間であることを考えると、それくらいなら逆に少ないくらいだと思う。
・柱穴の柱は火災でもない限り、微生物が完全分解するため痕跡が残らない。これは食料などの有機物全般についていえること。
・食べていたものは地域によって大きく違い、海が近い集落では魚や海獣が多かった。
・暖かかった時代にはマダイ・ブリ・スズキ・カジキなどを食べていた。温暖化したといわれる現在でも北海道で獲れるのはブリくらいなので、その時代は今よりかなり暖かかったのだろう。
・気候変動により海進と海退があったことが貝塚からもわかる
・貝塚は単なるゴミ捨て場ではない。食べた後の骨や壊れた土器などだけでなく人骨も出てくる。
 神の国へ送る(葬る)ための儀式的な意味合いのある場所だった。
・縄文時代は土器ばかりを使っていたのではなく、木の製品も多く使っていたはずだが、分解して残っていない。
・日本は湿り気のある酸性土壌のため、骨や歯、衣類などが完全分解され、冠・腕輪・ベルトなどの
 装飾品だけが出土することが多い。
・体育座りの姿勢で葬られた人骨が出た例がある。
・北海道における縄文遺跡の独自なものとして周堤墓がある。
 直径数十mの巨大な円になるように円周に堤を設け、中に複数の人を埋葬している。
 周堤は中を掘り下げた土を積み上げたもので高さ数mに達するものもある。
 素人考えだが、凍結深度以下に掘り下げて墓地を造営することで、神の国に送った後も暖かく過ごして欲しい
 という願いからこのように大規模な土木工事をしたのではないだろうか?
 金属が無い時代は工事用の器材にどんなものを使っていたのだろうか?
・土偶の種類には、石や骨などの材料を使ったものもある。(石偶、骨偶という)
・青森県亀ヶ岡の土器は北海道だけでなく沖縄でも出土しており、当時の物流が広域だったことがわかる。
・石鏃(せきぞく、矢じりのこと)が均一サイズでずらっと並んでいる写真は圧巻で、当時の加工技術の高さが
 想像以上だったことを知った。
・道内では12000に及ぶ遺跡が発見されており、その7割が縄文時代のもの。

これまで地方の博物館や美術館に行っても、混んでいて遠くから見るだけだったり、連れの様子や食事と帰りの時間などが気になって、自分のペースで遺物を観たり解説文を読んだりできなかったことが多々あります。
その点本書には全道各地の遺跡と出土品がテーマごとに紹介されており、実際に博物館や美術館で解説文を読むよりはるかに理解が進みました。
そして何より写真の多さが理解を容易にしてくれました。
縄文時代にご興味のある方におススメの一冊です。
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お気に入りその2069~甲斐信枝2

2022-04-13 12:45:05 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、甲斐信枝2です。
先日甲斐さんの絵本3冊の感想を書きましたが、今回はエッセイの感想を書きます。
今回は2冊の内の1冊目です。
「小さな生きものたちの不思議なくらし」 (2009/9発行)
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
「子どもたちの心を自然に向けたい、自然のすばらしさを体で知ってほしい」と願って、身近な植物や昆虫たちの不思議なくらしを描きつづけてきた画家、甲斐信枝が自然の驚きと感動を絵と言葉で伝えるエッセイ集。
『ざっそう』『雑草のくらし』など、40年にわたって自然を観察し、描き続けてきた著者の、それぞれの絵本にまつわる興味深い話に、印象深い絵をそえて一冊にまとめました。
=====
甲斐信枝さんは、京都にお住まいの絵本作家です。
植物や虫たちの自然の営みをつぶさに観察し、科学絵本という形で多くの作品を描かれてきました。2016年秋、甲斐さんの創作風景を追ったNHKのドキュメンタリー『足元の小宇宙 絵本作家と見つける生命のドラマ』が放送され、大変な反響を呼びました。
=====
本書には甲斐さんが「かがくのとも」シリーズなどの付録に書いた文章やラジオに出演した時に話したことが収められています。
「かがくのとも」シリーズの甲斐作品を何冊か読んでいますが、「たくさんのふしぎ」シリーズと違い、付録が紛失しているものが多く、初めて読むことができて良かったです。
絵本制作の背景や絵本では省略したことなどを含め、作者が伝えたかったこと、感じたことなどが書かれていて興味深く読みました。
未読の作品については作品紹介として読むことができました。
ラジオ出演では「雑草のくらし」について作者が話しています。
空き地の雑草を5年間観察し続けた絵本から、植物の社会が人間社会と同じく競争社会であることが分かります。
弱肉強食社会であり工夫とアイデアに満ちた社会です。
作者が観察を通して知ったことや感じたことが実社会への示唆に富んでいたことで多くの人が知りたがり、ラジオインタビューとなったのだと思います。
本書では甲斐さんが対象を観察し絵本を制作するときの姿勢が書かれていてとても興味深かったです。
甲斐さんは子どものことを「小さな人」と書いています。
小さくても同じ人として接し、観察を通して知ったことや驚いたことなどを伝えようとする真摯な姿勢が感じられます。
それは観察対象になった動植物も同じ。
同じ生き物として共感したり感情移入したりしながらいつも対等な立場で観察しています。
特に動植物については彼らの意思を感じ取ろうとする姿勢が強く感じられます。
植物については長時間スケッチをしている間に少しずつではあるが動いていることに気づき、彼らの意志を持った動きを体験しています。
例えばつる植物が掴まりたい対象物に目がけてつるを伸ばしますがなかなか届きません。
対象物とつるが風に揺れて近づいたり遠ざかったりししながら徐々に距離が縮まり、先端が届くや否や一気に掴まる姿に意思を感じると書いています。
またタネを動物の体に付ける植物は犬の散歩をしている人が近づくとワクワクしていると感じるそうで、結局間近で観察している自分の体にタネがいっぱい付いていたというオチには笑いました。
アシナガバチの母バチがイモムシで作った肉ダンゴをいかにも大切そうに胸に抱いて子どもたちの元へ急ぐ様子にも感情移入していました。
ただそういう気持ちで観察していながらも、作品では専門家の監修を受け入れて科学的に正しいことだけを伝えています。
本書を読んで甲斐さんの作品がなぜ魅力的なのか、その理由がわかった気がします。
これを書きながら、NHKのドキュメンタリー『足元の小宇宙 絵本作家と見つける生命のドラマ』で甲斐さんが植物をスケッチしながら「ごめんね、今日は上手に描いてあげられなくて」と語りかけていた場面を思い出しました。
そうそう「こがねぐも」を制作したときのエピソードが印象的だったのに書き忘れました。
甲斐さんは先入観念が入ってはいけないと思い下調べをせずにクモを探し回りましたが見つけられず、監修の八木沼先生にアドバイスをもらいに行ったことや、刺身を食べさせたら食べたこと、刺身は逃げないので糸巻きが徐々に雑になっていったこと、だんだん少し食べたら捨てるような贅沢を覚えたこと、自然界の5倍もの回数を産卵したことなどを先生に伝えると大いに驚き、学会に発表しても良いかと聞かれたそうです。
あー面白かった。
次のエッセイに期待が高まります。

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お気に入りその2068~たくさんのふしぎ6

2022-04-11 12:35:05 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ6です。
「たくさんのふしぎ」シリーズから3冊の感想を書きます。

①地球縦断の旅
出版社の内容紹介を引用します。
=====
一年かけて地球を縦断した、壮大な旅の記録。
スタートは北極。極寒の中、ホッキョクグマに注意しながら歩いていく。
その後自転車に乗り、北米大陸をひたすら南へ進んでいく。
猛暑や強風に苦しみながら、中米・南米を通り過ぎ、さいごは白い大地、南極へ――。
地球のてっぺんからもう片方のてっぺんへ。
世界の辺境や都市を旅し続ける写真家の原点となった旅。
=====
著者・石川直樹さんの著書はこの半年でたくさんのふしぎ「アラスカで一番高い山」と単行本「ぼくの道具」の2冊を読みました。
前書では北米最高峰デナリ(マッキンリー)、後書では世界2番目に高い山K2の登山日誌で疑義体験をすることができました。
そして今回は北極点から南極点までの人力による旅を疑似体験することができました。
この旅には参加基準があり、どうやら予選または選考会のようなもので、日本から著者が選ばれたそうです。
さぞかし屈強な男たちが選ばれたのだろうと思ったら、8人のメンバーの中に女性が3人もいました。
どういう基準で選んだのでしょうか? 不思議です。
北極点をスタートしてから荷物を載せたソリ(60kgほどもある!)を曳きながひたすら歩き、家ほどもある氷山を越え、高さ10mもある巨大隕石の横を通り、世界最大の熊ホッキョクグマをテントからわずか3~4mのところで撃退して・・・。
とにかくスタートから大変なことだらけ。
その後なぜか北アメリカ大陸を西から東、東から西へと横断します。
この時は自転車を交代で漕いでの移動でした。
そして再び南下。
南米では4000m級の高地を自転車で移動したことで心肺機能が強化されました。
その後体力が強化されたメンバーは南極点に無事到着したのでした。
途中どんな出来事があったのでしょうか?
そしてこの旅にかかった日数は?
それは読んでからのお楽しみ。
冒頭で紹介した2冊同様、地球を自分の足で縦断した壮大な旅を追体験できました。
なお付録には著者の縦断直後の行動が書かれています。
当時20歳で体力が余っていたとはいえ信じられないほどの行動力に驚かされました。
ぜひこちらもお楽しみに。
 
②カモノハシのなぞ
出版社の内容紹介を引用します。
=====
200年前のある秋の日、大英博物館に届いた荷物を開けた学者はびっくり! 
そこには毛が生え、水かきがあり、そしてくちばしがあるという見たこともない動物が入っていました! 
哺乳類なのに卵を産む珍しい動物カモノハシが、当時の科学界に巻き起こした大論争を追跡します。
=====
カモノハシには鳥にしかないはずのくちばしとけづめがあります。
当時の学者たちは、東洋から届く「人魚のミイラ」などの精巧なニセモノにたびたび騙されていたため、カモノハシの剥製もそのひとつと考えたというのは面白いエピソードです。
本書で勉強になったこと。
・カモノハシとハリモグラは単孔類に分類され、オーストラリアにしかいない
・カンガルーやコアラに代表される有袋類はオーストラリア以外にも南米にオポッサムがいる
・カモノハシは穴掘りが得意で、長いトンネルを掘り、地中の巣で子育てをする
ついでにwikiで調べると、カモノハシは生息数が少ないため保護されており、日本での飼育実績はないそうです。
その割には本書の絵を担当した方は生き生きと描いていて素晴らしいと思います。

③アマゾン・アマゾン
出版社の内容紹介を引用します。
=====
アマゾンの村で、ある一家と一緒にくらし、子どもたちとも仲良くなりながら、めずらしい昆虫をもとめて撮影をつづけた旅の記録。
=====
著者が今森光彦さんと知り、読むことにしました。
1991年1月ですから今から31年前の作品。
今森さんがロン毛で驚きました。
アマゾンの町からはずれたポツンと一軒家にお世話になりながら、珍しい昆虫をさがします。
10歳から赤ちゃんまでの5人の子どもさんと若い両親の7人暮らしに居候することになり、まずは暮らしのレポートです。
キャッサバという毒のあるイモを収穫し、鬼おろしのようなもので粗くすりおろして竹で編んだ巨大な筒に入れて絞り、大きな鉄板で加熱して乾燥させたら出来上がり。
1週間分ずつまとめて大量に作るのだそうです。
今森さんはこれが美味しくて好きだったと書いています。
食いしん坊の私としては興味津々。
どんな味かもう少し詳しく書いて欲しかったです。
肝心の珍しい昆虫の写真はある程度掲載されていましたが、撮影秘話は一話だけでした。
高いところばかり舞う珍しい蝶を撮影するため、現地の方のお知恵を拝借して、バナナで作った美味しいエサを用意しておびき寄せる工夫をし、見事撮影に成功したそうです。
現地の方と仲良くなり、アドバイスをいただくことって大切ですし、それこそが成功の秘訣だと思います。

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お気に入りその2067~最上徳内

2022-04-08 12:09:34 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、最上徳内です。

以前、新聞に西條奈加の「六つの村を越えて髭をなびかせる者」が紹介されていました。
著者インタビューが中心の記事でした。
彼女の作品は読んだことがありませんが、北海道出身の直木賞作家なのですね。
その本の主人公は蝦夷地を調査した最上徳内という人物で、資料が面白過ぎて生涯を書き切れなかったため、いずれ続編を書きたいと語っていました。
作家自身がどんなところを面白く感じたのかまでは書かれていませんでしたが、興味を持ったので、読むことにしました。

ちなみに蝦夷地の探検や調査といってすぐに思い浮かぶのは松浦武四郎。
「北海道」の名付け親として有名です。
彼は同郷の冒険家・近藤重蔵に憧れ、近藤が残した資料を参考に探検を進めました。

本書の主人公・最上徳内は近藤より先に蝦夷地を探検しており、後に近藤の部下として蝦夷地探検をサポートしたそうです。
北海道の歴史を語る上で欠かせない3人の生没年は次の通り。

最上徳内(1755年~1836年)
近藤重蔵(1771年~1829年)
松浦武四郎(1818年~1888年)

世代が違いますが、この3人が少しでも絡む展開があるといいなと思いつつ読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
直木賞作家の新たな到達点!
江戸時代に九度蝦夷地に渡った実在の冒険家・最上徳内を描いた、壮大な歴史小説。
本当のアイヌの姿を、世に知らしめたい――
時は江戸中期、老中・田沼意次が実権を握り、改革を進めていた頃。
幕府ではロシアの南下に対する備えや交易の促進などを目的に、蝦夷地開発が計画されていた。
出羽国の貧しい農家に生まれながら、算学の才能に恵まれた最上徳内は、師の本多利明の計らいで蝦夷地見分隊に随行する。
そこで徳内が目にしたのは厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中で逞しく生きるアイヌの姿だった。
イタクニップ、少年フルウらとの出会いを通して、いつしか徳内の胸にはアイヌへの尊敬と友愛が生まれていく……。
松前藩との確執、幕府の思惑、自然の脅威、様々な困難にぶつかりながら、それでも北の大地へと向かった男を描いた著者渾身の長編小説!
=====

徳内は人に恵まれ、運命に愛された人物です。
それは徳内自身の人徳によるものだと思います。
東北の訛りが強いせいか口下手で、平素は人を押しのけるようなことをしませんが、人のために全力を尽くすことから、同僚や師から愛されます。
貧しい農家に生まれながらも数学の才能に恵まれており、家族や師の協力で測量術などの知識を深め、老いた師に舞い込んだ蝦夷地調査隊随行のチャンスを譲り受けます。
その譲り方も、師が仮病を使ってまでして徳内に譲るのですから実に感動的です。
師にそこまでさせるのは、まさに徳内の人徳でしょう。

蝦夷地に渡ってからもアイヌの人々との交流に徳内の人徳が遺憾なく発揮されます。
こういう人物だからこそアイヌも心を許し、蝦夷地調査に協力してくれたのでしょう。
結局どんなプロジェクトも人と人の絆が成功の鍵になるのではないかと思います。

そんな彼の前に立ちはだかるのは松前藩。
アイヌたちをこき使い莫大な利益をあげていることを幕府に知られぬよう妨害を重ねます。
上役たちこそ身の安全は保証されるでしょうが、下っ端の徳内は事故に見せかけて消されかねないと冷や冷やしながら読みました。

徳内は生涯9度も蝦夷地調査を行っているそうですが、本書は最初の2回しか書いていません。
したがって先ほど書いた近藤重蔵も松浦武四郎も登場しません。
けれども徳内は彼ら以上に有名な人物との交流があったと書かれていました。
さてそれは誰か?
それはご自身でお確かめください。

本書に描かれた2度の蝦夷地調査は、どちらも時の政治に左右され、苦心の末に書き上げた報告書が評価されなかったことは読んでいてとても残念であり悔しかったです。
著者は続編の可能性を述べています。
ぜひ9度の調査行の中で、徳内が日本の国防やアイヌの保護に大きく寄与した辺りを取り上げて気分が晴れる作品にして欲しいものです。

ちなみに作品中には北海道の地名が次から次へと登場します。
アイヌ語の地名に当て字をして今も使われている所が多いため、道民ならピンとくる地名ばかり。
逆に言うと道外の方は徳内がどの辺りにいるのかよくわからなかったのではないでしょうか。
せいぜい内浦湾とか日高山脈などのおおまかな地名をヒントにどの辺りにいるのかを想像したことと思います。
そういう面では道民にこそ読んで欲しい作品です。

これを書いていて思い出しましたが、行きつけの床屋さんが厚岸出身です。
本書ではアッケシが舞台になっている場面がとても多いので教えようと思います。
今年厚岸の蒸溜所のブレンドウイスキーがウイスキーコンテストで最優秀賞を獲ったことを知らせた時の喜びようを考えると、きっとまた喜んでくれると思います。




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