鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその781~役にたたない日々

2013-07-29 12:36:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「役にたたない日々」です。

佐野洋子著「役にたたない日々」を読みました。
著者の名は「100万回生きたねこ」で知っていましたが、著作は初めて読みました。
本書は2008年発行のエッセイ集。
その後2010年に亡くなるまでのエッセイを収録した「死ぬ気まんまん」が発行されています。
どちらを読もうか迷いましたが、入門編として本書を選びました。

内容紹介を引用します。

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「68歳は閑である。バアさんが何をしようと注目する人は居ない。淋しい? 冗談ではない。この先長くないと思うと天衣無縫に生きたい、思ってはならぬ事を思いたい」友人とともに料理をし、家族を思いながら、韓流や漢詩に身をこがす。人生の名言がゴロゴロ転がっているエッセイ集。
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1ページ目の1行目から最後の1行まで、”本音”のストレートパンチを連発。
ラストまでその勢いは衰えません。
まったく凄いバアさんです。

内容紹介文にあるように人生の名言がゴロゴロ転がっているようには思えませんでしたが、人としてここまで心の内をさらけ出したエッセイを読んだのは初めて。
老い、ボケ、がん、性などに対する達観した考えや、周囲との人間関係などについて衝撃的な記述が満載でした。
親族、友人との絡みをここまで書いて良いの?
書いた本人は良いとしても、書かれた人は大変だな・・・と、ついつい心配してしまいました。

著者は「がんで死ぬことは怖くない」といっています。
年老いて呆けたり、精神に異常をきたしたり、脳梗塞などで寝たきりになるのとは違い、自分のままできっぱり死ねるし、なによりもう働かなくてもいい・・・。
うむナルホド、このストレートパンチは、確かに人生の名言!

また70近いバアさんが韓流にハマり、飽きていくまでのくだりが面白かったです。
この期間、著者は生きていることを実感できたそうですが、なんとその期間は抗がん剤治療でウツになっていた時期と重なります。
70近いバアさんのウツ患者を蘇らせる韓流の美男俳優たち・・・まったく恐るべきパワーです。
最後に、「母が韓流を知らずに呆けたことを可哀想に思う」と書かれていました。
この一文は表面的には軽そうに書いていましたが、20年も前に呆けてしまった母に、生きていることをもっと実感させてあげたかったという気持ちが書かせた言葉だったのでしょう。

ちなみに韓流の代表作「冬のソナタ」は、わが家でも「息子→妻と娘→私」と全員ハマりましたので、著者の言葉をおぼろげながらではありますが理解することができました。
そしてもうひとつ。
著者の衝撃的な本音トークを読んでいて、わが家にも著者の後継者になりうる素質を持つ者がいることを何度も実感し、ドキリとしたことを告白します。

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お気に入りその780~円周率を計算した男

2013-07-26 12:48:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「円周率を計算した男」です。

鳴海風著「円周率を計算した男」を読みました。
この本は先月TVの「BS歴史館」でやっていた「関孝和 世界水準の和算を創り出した男」を観て興味を持ち購入しました。

本書の紹介文を引用します。
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鎖国下の江戸時代、日本でも全く独自の方法で円周率の計算に躍起になった男たちがいた―算聖とうたわれた師関孝和との葛藤を経つつ、ついに円周率の公式を明らかにした天才算術家建部賢弘の苦闘の生涯…。
歴史文学賞受賞・日本数学会出版賞受賞の表題作「円周率を計算した男」、大酒飲みの奇才算術家に振り回される平野忠兵衛夫婦の大晦日の夜を描いた「初夢」ほか、「空出」「算子塚」「風狂算法」「やぶつばきの降り敷く」の六篇を収録。
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江戸時代の算術家として最も有名な関孝和。
以前読んだ「天地明察」にも重要な役で出ていました。
関は、独自の研究により当時の世界水準に達していたことをきっと知らなかったことでしょう。
鎖国日本、西洋や中国の文献がわずかに入手できるだけという状況下で、関以降も数学は和算として独自に進化を続けました。
当時、和算は庶民の間でも流行し、優秀な者は身分を問わず和算家として身を立てることができました。
本書にもある通り、小作農から口減らしのため貰われてきた子でさえそれが可能でした。
厳然たる身分制度がしかれていた江戸時代にあってなぜ?という疑問もありますが、当時、寺子屋等で読み書きソロバンを教えるシステムが行き渡り、日本の識字率が世界トップだったことを考えると、当然ともいえます。
とにかく当時から日本人は知識欲が旺盛で、勤勉で、優秀だったようです。
その下地があったからこそ、大政奉還後、一気に世界水準に追いつくことができたのです。
なんだかこの話、太平洋戦争の敗戦後、占領下に置かれながらも戦後復興を一気に進め、経済大国になった事実と重なります。
さらに東日本大震災と原発事故という惨事からも早期に立ち直ることを予感させます。

そんなことを考えている内にあっという間に読み終えました。
和算がテーマなので読みづらいかなと警戒していましたが、意外なほどにスラスラと読めます。
「天地明察」を読んだ方は、その外伝として読まれることをお勧めします。
(本当は「円周率を・・・」の方が先に世に出たのですが・・・。)


 
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お気に入りその779~映画DVD2本

2013-07-24 12:13:38 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、映画DVD2本です。

先日時間があったので映画DVDを2本観ました。
「コーチ・カーター」と「フライト」です。
ネタバレ含みで感想を書きます。

「コーチ・カーター」
サミュエル・L・ジャクソン主演の映画。
息子に面白いから観るようにと何度も勧められてようやく観ました。
この映画、日本で話題になったのでしょうか?
とても面白かったです。

AMAZONレビューを引用します。
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大学進学率が最低で、卒業後は犯罪者の道を歩むものも多いという落ちこぼれリッチモンド高校のバスケットボール・チーム“オイラーズ”に、同校のOBカーターがコーチとして赴任してきた。
彼は厳しい指導とともに学業や生活態度も重視。
はじめ反発していた生徒たちも徐々に彼の教えに従うようになり、チームはめざましい活躍を見せるようになるが……。
実話を基にしたヒューマン・スポーツ映画。スポーツのみならず、学業をおろそかにしたら試合に出さないという主人公コーチの信念が、生徒よりもむしろ大人たちから反発を食らうあたりがリアルで面白い。
生徒たちひとりひとりにも焦点が当てられ、青春ものとしてもきちんとできている。アメリカ映画ならではの水準作。
監督は『セイブ・ザ・ラストダンス』などのトーマス・カーター。
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「天使にラブソングを」に似たニオイのする映画ですが、実話を元にしているだけに、「天使に・・・」ほどハチャメチャな笑いどころを入れられないため、地味な映画になってしまいました。
そういう点では「幸せの隠れ場所」と似ているかな?
実話を元にしていると、どんな良い話でもビッグヒットしづらいのかな・・・。
「アンストッパブル」もそうでした。
「アポロ13」くらいスケールが大きいと別格ですが・・・。

この映画は流して観る映画ではなく、じっくり観るべき映画です。
教育に関わる者、子どもを持つ親、そして子どもたち。
誰もが諦めずに明るい未来に向けて努力しよう、と背中を押される、そんな映画です。
もう一度、じっくり観たいと思います。
息子よ、良い映画を紹介してくれて本当にありがとう。

「フライト」
デンゼル・ワシントン主演、ロバート・ゼメキス監督。
TVで派手にCMしていた映画です。

内容紹介を引用します。
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制御不能となった飛行機を緊急着陸させ、多くの乗客の命を救ったウィトカー機長。
だが彼の血液中からアルコールが検出され、事故の原因は彼にあるのではと疑われる。
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10人の操縦士が同じ条件でシミュレーションして10人全員が墜落、乗員乗客全員が死亡という最悪条件を数名の死亡だけで乗り切ったウィトカー機長の腕前は神業。
さすがに空軍上がりの機長です。
だがアルコール中毒が機長を務めることを認める訳にはいきません。
映画は終始、操縦以外はダメ男であるウィトカーを描き続けます。
もうウンザリというくらいのダメ男ぶり・・・、観ていて不快感がこみ上げてきました。
アカデミー賞の主演男優賞、脚本賞にノミネートされたそうですが、理解できません。
確かにラストで、亡くなった恋人に濡れ衣を着せることに葛藤し、アルコール中毒であることを白状するシーンは見事で、主演俳優も脚本も優れていると思いましたが、それまでが長すぎます。
ヒーローから犯罪者へ落とすためとはいえ、もう少し起伏のある展開にして欲しかったです。
例え刑務所に入ることになろうと事実を告白した彼の勇気。
この辺りにもっともっと焦点を当て、息子の心がどう変わっていったかを鮮明に描写すると、感動作になりえたと思います。
そんな意味で、この映画は残念ながらもう一度観たいとは思わない映画でした。



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お気に入りその778~古い鳥類図鑑2冊

2013-07-20 12:49:31 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、古い鳥類図鑑2冊です。

今回取り上げるのは、黒田長禮著「新版鳥類原色大図説」と小林桂助著「原色日本鳥類図鑑」。

黒田長禮著「鳥類原色大図説」は日本三大鳥類図鑑のひとつに数えられる名著。
昭和8年に宮内省が自費出版した非売品です。
著者の黒田長禮は日本で鳥類学の博士号を初めて取得した人物であり、日本鳥学界会頭も務めました。
収録された1000を超える原色図版は小林重三が描いています。

・・・でもそんな素晴らしい本を購入することはできません。
という訳で、著者の息子である黒田長久が監修した新版(昭和55年版)を入手しました。
原本との違いは、黒田長久がごく一部の図版を描いたことと、黒田長久から依頼された若い研究者2名が解説文を最近の研究結果に合致させたことの2点です。
そのお陰で、鳥類図版はほとんど小林重三の作品で鑑賞向きである上、解説文は図鑑としての機能を十分果たす、という一石二鳥の図鑑となっています。
今は芸術的でかつ細密な小林重三の図版をたっぷりと堪能しています。
なお監修者の黒田長久は、山科鳥類研究所名誉所長、日本野鳥の会会長という肩書きが示す通り、この伝説的名著を実用的なものに蘇らせる適任者でした。

つぎは小林桂助著「原色日本鳥類図鑑」。
昭和31年初版の古い図鑑で、今回届いたのは昭和35年発行の第3刷。
鳥類観察者の間で「コバケイ図鑑」と呼ばれて親しまれ、11万部以上も売れた有名な実用図鑑です。
本書についてネットで調べると、サラリーマンの給料が15000円のころに1900円で売られていたそうです。
給料が15倍になったと仮定すると本書の価格は28500円!
そんな高価な図鑑が11万部以上も売れたのは、鳥図版の出来の良さと持ち歩きのしやすさが原因だったようです。

鳥の図鑑は写真よりイラストの方が詳しく特徴がわかるので良いといわれます。
本書に収録された425図は宮本孝画伯が剥製を元に1年をかけて描いたそうです。
小林重三ほど生き生きとした姿には描けませんでしたが、時に誇張が過ぎるといわれた細密図版は種の同定に適しており、野外鳥類観察者必携の書になったようです。
鳥の専門家の中には、小林重三の図版より宮本孝の図版を支持する方もいるそうです。
私のような素人はそこまで深くわかりませんので、柔らかさ自然さで小林重三の図版に軍配をあげますが・・・。

ちなみに「コバケイ図鑑」は、画家が剥製標本を写生して図版を描いた最後の鳥類図鑑で、その後は写真図鑑に完全移行したそうです。

最後にオマケで、「コバケイ図鑑」の著者小林桂助に関する面白いエピソードを書きます。
国立科学博物館の名誉研究員 森岡氏が書いた著者への追悼文の一節です。
「小林さんは(中略)大雪山に登ってナキウサギを発見する(1929年)などしている。」
「小林さんは自身でもコレクションの研究を行っていたが、鳥類なら黒田長禮氏や籾山徳太郎氏、ナキウサギは岸田久吉氏というように、研究を専門家の手に委ねていた。」
ナキウサギ発見の経緯について調べましたが小林氏の名は出てきません。
でも国立科学博物館の名誉研究員が書いている以上、きっと発見は真実なのでしょう。

同じ素人出身の研究者である牧野富太郎なら関わったものはすべて自分の手柄にしたはず。
このエピソードに生涯素人研究家を貫いた著者の育ちの良さが感じられます。

今回取り上げたのは、まったく性格の違う2冊の図鑑。
どちらも一時代を築いただけあって、物語がたっぷり詰まっている貴重図鑑です。
今後は事あるごとに引き比べして解説文の違いを楽しみたいと思います。

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お気に入りその777~鳥を描き続けた男

2013-07-19 12:06:38 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「鳥を描き続けた男」です。

国松俊英著「鳥を描き続けた男~鳥類画家 小林重三」を読みました。
大正から昭和にかけて図鑑などに鳥の図版を描き続けた画家小林重三の伝記です。
裏方の仕事ですので、彼の名を知る人はほとんどいないと思います。
本書は随分前に購入しましたが、正直言ってそれほど急いで読みたいと思わなかったので、随分と後回しにしました。
ところがいざ読み始めるととても面白くて、時間を忘れて読みました。

まず本書の内容紹介を引用します。

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鳥類画家小林重三(しげかず)―大正、昭和の戦前、戦後と六十年にわたって、ひたすら鳥の絵を描き続けた男。日本の鳥の三大図鑑といわれる、黒田長礼『鳥類原色大図説』、山階芳麿『日本の鳥類と其生態』、清棲幸保『日本鳥類大図鑑』、そのどれにも鳥類画を描き、その絵はいまも鳥を愛する人々を魅きつけてやまない。忘れられた鳥類画家の生涯を掘りおこし、日本の鳥学を築いた人々の情熱を蘇らせる、興趣あふれる伝記。
==========

以前当ブログで、薮内正幸という画家の鳥のスケッチ画集をご紹介しました。
薮内の描く鳥は、ラフスケッチひとつをとっても、神業と言いたくなるほど生き生きしています。
その彼が手本にした画家が今回ご紹介する小林重三です。
「日本の鳥の三大図鑑」すべてに鳥の図版が採用された、という事実も小林重三の確かな実力を物語ります。

これまで「細密でかつ美しい博物画」の鑑賞を続けてきた私にとって、小林は行き当たるべくして行き当たった人物。
「三大図鑑」に収録された図録は「細密でかつ美しい博物画」のひとつの到達点といえるでしょう。
三大図鑑・・・いずれは鑑賞したいと思っていました。
「鳥を描き続けた男」を読んで「三大図鑑」にまつわるエピソードをたっぷり知ることができました。
それぞれの著者(黒田・山階・清棲)の素性、図鑑の内容、完成までの経緯など。

私のような単に博物画を鑑賞したいという者の「三大図鑑のどれか1冊入手したいが、どれを選べば良いかわからない」という疑問に対し、本書は十分な答えを用意していました。
求めるのは小林重三の描いた原色図版が一番多く収録されている図鑑。
その答えは「鳥類原色大図説」でした。
1092種類の鳥の原色図版が掲載されているのだそうです。
早速調べると復刻版全3巻が7千円で販売されていましたので、思い切って注文しました。
「鳥類原色大図説」の誕生秘話を知った上で鑑賞するなんてわれながら良い流れ。到着がとても楽しみです。

最後に「鳥を描き続けた男」を読んで知ったエピソードをひとつ。
本書には、先にあげた三大図鑑の著者たちだけでなく松平頼孝、蜂須賀正氏といった研究者と主人公小林の交流が描かれています。
小林に図版を依頼した彼ら5人=日本の鳥類研究をリードした人々が、揃いも揃って将軍家、大名家、公家などの流れをくむ人々だったことに驚きました。
簡単に紹介すると、

 松平頼孝 → 石岡藩藩主松平頼策の子。徳川御三家水戸徳川家の支流の末裔。
 蜂須賀正氏 → 旧徳島藩主蜂須賀家当主。秀吉の家臣蜂須賀小六の末裔。母は15代将軍慶喜の娘。
 黒田長礼 → 福岡藩藩主の孫。秀吉の軍師黒田官兵衛の末裔。
 山階芳麿 → 元皇族。昭和天皇の従兄弟。
 清棲幸保 → 信州松代藩藩主真田幸民の子。松代藩初代は真田信之(幸村の兄)。
 
「野鳥の会」の方ならきっとご存知かもしれませんが、一般には知られていないエピソードだと思います。

そういえば以前「ジョン・グールドの鳥類図鑑」を選んでいたときに、紀宮清子様が編者である「ジョン・グールド鳥類図譜総覧」という本に行き当たったことがありました。
その時は、なぜ皇族が鳥類図鑑に関わっているのか疑問に思いましたが、今回そのとき協力した山階鳥類研究所が皇族の流れを汲んでいることがわかり、ようやく結びつきました。

「日本の鳥の三大図鑑」が、資金を湯水の如く使える立場の人々が純粋な研究のために制作した、まさに贅をつくした図鑑だったことが、このエピソードからもわかります。
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お気に入りその776~竹鶴政孝パート221

2013-07-13 12:19:37 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート221、ニッカだより「うすけぼ」です。

ニッカだより「うすけぼ」11冊をネットオークションで落札しました。
昭和51年の創刊号から4号まで、それ以降は飛び飛びで16号までの計11冊。
ニッカウヰスキーと酒屋さんをつなぐ情報誌です。

ニッカファンとしてこれまでオールドボトルを中心に、ポスター、版画、関連グッズなどを蒐集してきましたが、情報誌は初めて。
漫画版の竹鶴政孝物語が連載されていたり、当時の新商品の紹介やお酒に関わる豆知識が収録されていて面白く読ませてもらいました。

驚いたのは全国の酒屋さんの娘さんを紹介しているコーナー。
花婿さん募集中の娘さんが毎回5人ほど。
着飾った姿の写真とともに本人や親御さんのコメントが掲載されています。
あの記事をきっかけに結婚した方もきっといるんでしょうね。

また芸能人の対談や小説家のエッセイも収録されていました。
その中で特に面白かったのは、星新一のエッセイ。
ショートショートではない意外性を楽しませてもらいました。

竹鶴政孝会長の追悼記事もありました。
この記事を読んでふっと思いました。
今回届いた11冊は適当な11冊ではなく前の所有者が意志を持って残した11冊だったのではないかと。

そんなことを考えながら、滅多に一般に出回らない酒屋さん向け情報誌を読みました。

もちろんこんな特別のときは、秘蔵のニッカウヰスキー余市蒸溜所限定20年物原酒をショットグラスで味わいながら過ごしました。
今年の誕生日に妻が買ってくれたボトル。香り高くまろやかな逸品です。



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お気に入りその775~フリンジ

2013-07-12 07:52:51 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、フリンジです。

米国TVドラマシリーズ「フリンジ」の最終シーズンを見終わりました。
全部で100話もあったそうですが、最後まで次の展開が読めず、緊張感と期待感を持って見ることができました。
フリンジの世界をもっともっと楽しみたかったので、終了は実に残念。

以前、制作局の社長が、毎回大掛かりなSFXを屈指して制作しているため、TVシリーズとしてはペイしないとコメントしており、実際に第4シーズンでの終了も検討されたそう。
そのため今回、第5シーズンまで制作して終了したことは良しとすべきでしょう。

フリンジは視聴者に予算を超えた贅沢を届けました。
フリンジファンはこのことをよく理解し感謝しなくてはいけません。

それにしても題名のとおり、真っ当な科学とは一線を画したドラマでした。
マッドサイエンティストたちによる犯罪、平行世界からの攻撃、未来人の侵略などなど。
彼らと対抗できるのはフリンジ・チームしかありませんでした。

オリビア・ダナム、ピーター・ビショップ、ウォルター・ビショップ、アストリッド・ファンズワースの4人による最強チームでピンチを切り抜けました。

4人それぞれの特性を生かしつつ勝ち進む姿は、ファンタスティック・フォーというよりも、特攻野郎Aチームのニオイがしました。

今のところ予定はないそうですが、できれば映画化して欲しいです。
予算が無いドラマで、あれだけのものを作ったのです。
予算がたっぷりある映画なら、どれだけのものを作るか、それが楽しみです。
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お気に入りその774~不思議な偶然

2013-07-08 07:36:22 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、不思議な偶然の話です。

最近、不思議な偶然がふたつ続いたので書きます。

前回のブログで埴沙萠著「植物記(写真記シリーズ)」を紹介したところ、後を追うようにNHKが「足元の小宇宙~生命を見つめる植物写真家~」という番組を放送しました。
ちょうど20年前に出版された「写真記」を中心にすえた番組であり、読み終わってすぐに放送された偶然に驚きました。
埴沙萠本人が撮影した動画が、名作「写真記」を肉厚なものにしており、中身の濃い番組でした。

本と放送のどちらかしか知らないという方には、もう片方をぜひ見ることをおすすめします。
両方そろってこそ埴沙萠の「写真記」とその後の20年間に伝えたかったことを受け止めることができると思います。

次は坂本直行著「スケッチ画集」です。
先日、辻永作「萬花譜」が届き、パラパラとページをめくっていました。
たくさんの花の写生画を何気なくながめている内に、北海道銘菓マルセイバターサンドで有名な「六花亭」の包み紙を思い出しました。
六花亭の名のとおり6種類の花の写生画。
あのシンプルでありながら美しい写生画は画家 坂本直行が描いたものです。
彼が花の写生画集を出していないか調べて行き当たったのが坂本直行著「スケッチ画集」です。
彼の死後、大量に出てきたスケッチ画を本にしたものです。
早速取り寄せ、パラパラとページをめくっていると、新聞を読んでいた妻がいいました。
浦臼町郷土資料館で今月いっぱい坂本龍馬の直筆の手紙が公開されているので見に行こう、と。

偶然とはいえ驚きました。
画家 坂本直行は土佐郷士坂本家の本家筋。坂本龍馬の甥の孫にあたる人物。
明治に入り坂本家は北海道に移住し、龍馬が夢見た北海道開拓を実現したのでした。

「スケッチ画集」の購入、手紙の公開、そのどちらも予定していたものではありませんでしたが、せっかくの偶然を楽しみ、見学してきました。

公開されていたのは、江戸の千葉道場から若き龍馬が乙女姉さんに金の無心をしている手紙でした。
身内への手紙ということで字が大きかったり小さかったり自由気ままに書かれているのが印象的でした。

幕末を駆け抜けた龍馬の自由な発想は、広い北海道で活躍した坂本一族に受け継がれたことと思います。
これから鑑賞する坂本直行の「スケッチ画集」にその片鱗を見つけることができるでしょうか?
楽しみにしています。

そしてもうひとつ、第3の偶然があることも期待しています。

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お気に入りその773~植物記

2013-07-04 12:09:35 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「植物記」です。

埴沙萠著「植物記(写真記シリーズ)」を読んでいます。
著者の名前は「はに しゃぼう」と読むそうです。
経歴の一行目に「シャボテン研究家に入門した」と書かれていますので、そこからとった「しゃぼう」のようです。
この名前では男女、国籍さえ不明でしたので、ネットで写真を見ると職人的なオジさんでした。

以前、今森光彦著「昆虫記(写真記シリーズ)」を読み、大人も子供も楽しめるとても良い本だったので、姉妹編の「植物記(写真記シリーズ)」も買おうかと考えましたが、著者名が意味不明だったので、詳しく調べもせずに購入を中止した経緯があったのを思い出しました。
第一印象で著者は謎の中国人?であるため、読者は素直な日本人名の著作に走る傾向があるのではないでしょうか?
もちろんこれは本書で著者の腕前を知る前のお話ですが・・・。

前置きはこれくらいにして本書の紹介文を引用します。

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身近にみられる植物でも、その生態はよく知られていない。草や木の芽ばえ、夜さく花、たねのゆくえなど、植物の生き生きとした姿を約1900枚の写真で紹介します。

自分で読むなら:小学低学年から

植物のくらしには不思議な驚きがいっぱい。1900枚の写真で見る植物の生き生きとした姿。子どもから大人まで家族で楽しむ植物の本。

====================

「昆虫記」では、トンボ、セミ、チョウなどの羽化の様子がコマ送りのたっぷりの写真で紹介されており、写真と時刻を見比べながら、その場に居合わせる感覚を楽しみました。

「植物記」でも、花がおしべを一本ずつ順番に伸ばして花粉を飛ばす様子をコマ送りして紹介していたり、たねから芽生えたばかりのたくさんの植物たちを見開き一杯に紹介していたりと、冒頭から「写真記シリーズ」の姉妹編として楽しませてもらっています。

印象的だったのは、表紙をめくって間もなくのところに載っていた写真です。
たんぽぽの綿毛が着地して無事に芽生え、綿毛をようやく持ち上げたばかりの初々しい姿が大きく載っていたのです。
身近な植物たちの生き生きした姿を伝えたいという著者の祈りが、感動がダイレクトに伝わる良い写真です。
次のページをめくると、どんな新しい発見や体験ができるのか?
「昆虫記」と同様の期待感をもって読み進むことができると判り、すでに満足感で一杯です。

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お気に入りその772~花の画集

2013-07-01 12:23:39 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「花の画集」です。

佐藤達夫著「花の画集」3巻セットを鑑賞しています。

佐藤達夫という方の名を存じ上げませんでしたが、法制官僚として日本国憲法の作成に関わり、法制局長官、人事院総裁を務めた人物だそうです。
彼の略歴に目を通して目が止まったのは、「人事院勧告の完全実施に尽力し在職中に亡くなった」という一文でした。
享年70歳。
隠居後ののどかな日々は彼には訪れませんでした。
本書はそんな彼が忙しい公務のかたわら描き続けた植物画を本人のエッセイとともに掲載しています。
さらに植物の解説文も植物研究家として自身で書いています。
余白をたっぷり使った贅沢な作りの本です。
エッセイには、天皇陛下、吉田元総理、各国要人などの他に、牧野富太郎の名が自然体で出てきます。
高級官僚であり植物研究家であることをひけらかすことなく、あくまで花との出逢いを主体にしたエッセイはとても好感が持てます。

先日、第1巻を読み終わった際、裏扉に新聞の切り抜きが入っていることに気づきました。
昭和48年に3週に渡って連載された佐藤達夫の随筆でした。
当時の新聞の活字は随分小さくて読みづらかったですが、何とか読みました。
そこには「花の画集」を出したこと、本人のお気に入りの花画集など、花譜に関わることがいろいろと書かれていました。

串田孫一から紹介された方がたくさんの植物画を持ってきたこと、太田洋愛に代表されるボタニカルアートは科学的に正確でかつ芸術的であること、小磯良平の「薬用植物画譜」は見事な出来栄えであること。
知った名前が次々と登場します。
また辻永著「萬花譜」という花譜集がお気に入りであるとも書かれていました。
辻永? 萬花譜? ノーマークの作者であり書名。
早速調べると辻氏は洋画界の重鎮とのこと。
「萬花譜」は昭和30年から32年にかけて発行された全12巻もので、各巻128枚の花譜を収録しているそうです。
同じ作者で「萬花図鑑」全8巻というものもあるそうですが、そちらは昭和5年発行で印刷が悪いそう。
ということで「萬花譜」を鑑賞するため入手することにしました。
それにしても全12巻とは・・・。(できれば1巻ものであってほしかった・・・)
お金と置き場所の両方を心配しなくてはなりません。
古書通販サイトでは、12巻揃いで13000円から42000円で販売されていました。
念のためネットオークションで調べると、第2巻抜けの11冊セットが3000円で出品されていました。
最近出費続きだったので、思わずこれに飛びつき、落札しました。

佐藤達夫を満足させた花譜集が近々届くことになりました。
「花の画集」最終巻の花譜とエッセイを楽しみながら待つことにします。




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