鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2063~ジャネーの法則

2022-03-30 12:15:50 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ジャネーの法則です。

先日、札幌市のHPに興味深い法則が紹介されていました。
「ジャネーの法則」というもので、
  「主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、
   年長者にはより短く感じられる」
というものです。
添え書きとして
  50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどだが
  5歳の人間にとっては5分の1に相当する。
  50歳の人にとっての10年間が、5歳の人にとっての1年間にあたり
  5歳の人にとっての1日は、50歳の人にとっての10日にあたる。
というわかりやすい例を挙げていました。
齢を重ねると若い頃より1年が早く過ぎ去るように感じるのは、こういうことだったのですね。
ちなみにジャネーの法則は、19世紀のフランスの哲学者・ポール・ジャネーが発案し、甥の心理学者・ピエール・ジャネーがその著書で紹介された法則。
主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明したもの。
数式としては「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」と表わされるそうです。

コロナ禍の3年は大人にとっても長い期間ですが、子どもたちにとってははるかに長く感じているのです。
実際、6歳の子にとって人生の半分がコロナ禍なのですから可哀そうです。
大人が感染対策を徹底することで一日も早くコロナ禍を収束させ、子どもたちを自由に遊ばせてあげたいものです。

さらに言えば、新型コロナはすでにインフルエンザレベルになっているのですから、国は高齢者などの重症化の懸念がある人たちだけに注意を呼び掛ける程度にして、ほとんどの人々は普通に暮らして良いと方針を改めても良いと思うのですが・・・。
日本の政治家にそういう大きな決断を求めるのは無理というものでしょうか?


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お気に入りその2062~たくさんのふしぎ5

2022-03-28 12:59:45 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ5です。

「たくさんのふしぎ」シリーズから3冊の感想を書きます。

①都会で暮らす小さな鷹 ツミ
出版社の内容紹介を引用します。
=====
ツミは、とても小さな鷹です。
春に南のほうから渡ってきて、子育てをし、秋になるとまた南に移動します。
ツミはもともと山奥に暮らす、めったにみられない鳥でした。
しかし1980年代から、人の多く住む都市部でも繁殖が見られるようになったのです。
著者はその子育てを15年以上観察し、スケッチをしてきました。
その豊かな表情を、じっくりご覧ください。
=====
ツミという鷹がいることを知りませんでした。
夏に南方から渡ってくるそうですから、ツバメのように北海道ではほとんど見ることがない鳥なのでしょう。
ツバメは民家に巣を作るためポピュラーですが、ツミは近年まで山奥でしか見ることができなかったためあまりポピュラーではないようです。
それにしても小さいですね。
ヒヨドリくらいの大きさで、ハヤブサより一回り小さいそうです。
それでも巣に近づくカラスを撃退したり、スズメなどを狩ったりします。
著者は横浜でツミの巣立ちを観察しました。
子どもは飛べるようになっても親からエサをもらいます。
親は頃合いを見計らってエサを届けなくなり、子どもたちは仕方なく自分でエサを探します。
最初の獲物はアブラゼミ。
眼の良いツミならではの獲物です。
そして秋には南方へ旅立ちます。
最後に著者は冬の南方で暮らすツミを観察したいと書いています。
渡り鳥の夏冬の観察記って読んだことがありません。
ぜひ続編を書いて欲しいです。

②りんごの礼拝堂
出版社の内容紹介を引用します。
=====
フランス、ノルマンディ地方の小さな村に500年前に建てられ、壊れかかっていた小さな礼拝堂を、日本人画家、田窪恭治さんが生き返らせました。
自分で資金も調達し、10年かけてよみがえらせ、田窪さんはその礼拝堂を村に返しました。
一人の日本人画家が、なぜフランスの田舎の礼拝堂をよみがえらせようとしたのか、芸術家の創作の秘密にせまります。
=====
本書は、日本人が金に物を言わせて海外の不動産や美術品を買いあさり、エコノミック・アニマルという蔑称を付けられていた頃のお話です。
ある日、わずか数十人の集落に日本人画家が訪ねてきて、ボロボロになった礼拝堂を直したいと申し出ました。
村人は警戒しましたが、繰り返し説明会を開いて納得してもらいました。
画家は近所の町に家族を住ませて、修復に取り掛かりました。
屋根瓦が壊れ床に陽光が射していた美しい光景を再現するため、色ガラス1万枚を瓦代わりに使いました。
内壁は何重にも塗り重ねた後、引っ掻いて模様を出しました。
将来、壁が汚れたときは汚れを削り落とすことで新たな模様が生まれ、下地の鉛壁が出るまでに500~600年はかかるという画期的なアイデアです。
それにしてもタクボさんは随分と行動的な画家ですね。
金刀比羅宮の宮司と同級生ということで、帰国後は金刀比羅宮の再生計画に携わったそうです。
そちらの方も気になります。

③古くて新しい椅子 イタリアの家具のしゅうりの話
出版社の内容紹介を引用します。
=====
イタリアのフィレンツェにすむ小学生のマルコは、お父さんから机と椅子をもらいました。
でもそれは古くてぼろぼろ。
マルコは机と椅子を、いろいろな職人の工房へ持っていきます。
古いものがりっぱによみがえって、また使える喜びと、手でものを形作っていく職人たちの喜びを伝えます。
=====
お父さんのおじいちゃんの頃からある古い机と椅子。
お父さんも子どもの頃に使い、物置に仕舞っていましたがかなりボロボロ。
マルコが使うに当たり、職人に修理を依頼します。
本書はその修理の過程を丁寧に描いています。
机や椅子の壊れた箇所は別の木に取り替えます。
無くなった引き出しは新たに制作します。
新しい引き出しの取っ手は、残っている取っ手を使い砂に型取りして、溶かした金属を流し込んで作ります。
机と椅子の表面を金属タワシでこすって古い塗装をはがし、仕上げはニスを塗って表面保護、ワックスで艶出し。
ぴかぴかの机と椅子にマルコは大喜び。
ものを大切に修理して、何世代にもわたって使い続けていることに感動しました。
本書を読んで、使い捨て経済に流されず古いものを修理して使うことこそ温暖化対策になるのではないかと思いました。


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お気に入りその2061~絶滅動物物語

2022-03-25 12:09:07 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、絶滅動物物語です。

本書はビックコミックの連載マンガをコミック化したものです。
絶滅動物の絵が上手い上、今泉忠明先生が監修されているので、ぜひ読みたいと思いました。
ところが今年1月に発売されたばかりだというのにどこも在庫切れ。
仕方がないので古書で購入しましたが定価より高かったです。
もう少し早く本書のことを知っていたらと思うと残念。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
人間が無慈悲に絶滅させた動物たちのお話。
ドードー、ステラーカイギュウ、ニホンオオカミ………
人間によって絶滅させられた8種の動物や鳥たち。
絶滅に至る経緯と、人間がいったい何をしたか、その所業を描きます。
生きるために食うために、我が先祖の原始人たちが全滅させたマンモスならともかく、本作の動物は、人間の金儲けや貪欲、虚栄心とエゴに因って死に絶えたものばかりです。
絶滅動物を通して、醜悪な人間の心が透けて見えてきます。
【編集担当からのおすすめ情報】
生きている姿を、もう二度と見ることのできない絶滅動物たち。
万物の霊長だか何だか知らないが、人間様なら動物や鳥を殺し尽くしていいのか!?……という担当編集者の怒りが本作を作らせました。
ベストセラー「ざんねんないきもの事典」の監修者であり、動物絶滅の専門家・今泉忠明氏を監修に迎え、内容に完璧を期しました。
=====

リョコウバトは数十億羽もいたのに、バッファローは数十万頭もいたのに、人々がハンティング競争を楽しんだ揚げ句いなくなってしまいました。
殺した数を競うだけで放置するとは命に対する冒涜だと思わなかったのでしょうか?
読みながら腹が立ちました。
オオウミガラスは「頭が白い」という意味で「ペンギン」と呼ばれていました。
最後の20羽は、世界中の博物館が競って剥製にしたため絶滅しました。
その後、南半球で似た鳥が発見されてペンギンと名付けられました。
今のペンギンは二代目だったのです。

人間のエゴにより絶滅していった生き物たちの歴史を知る度に、同じ人間として申し訳なく思うとともに、人間が先に滅びた方が地球や自然のために良いと思うようになりました。
現代は本書に書かれた時代とは違うと思いたいですが、象牙をとるためにゾウが撃たれ、農地を広げるため森を焼きアマゾンの生き物たちの生息域は大きく減少し続けています。

果たして人間はこれからどれだけの生き物を絶滅に追い込むのでしょうか?




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お気に入りその2060~竹鶴政孝パート302

2022-03-22 12:11:46 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート302、南極ウイスキーです。
先日、南極観測隊で配布されたウイスキーをネットオークションで落札しました。
南極観測隊のウイスキーは凍結防止のためアルコール度数を高めたコンク(濃縮)ウイスキーです。
現在の南極基地はワインでも凍らせずに保存できるようになり、ウイスキーを濃縮する必要がなくなりましたが、南極観測隊の名物行事としてコンクウイスキーの配布会が毎年続けられているそうです。
配布会では、空き瓶に一人500mlずつ無料配布を受けますが、有料の記念ボトルに入れてお土産として持ち帰る隊員も多いそうです。
3年前に入手したボトルは「角型瓶」で「第59次南極観測協力行動」と彫られていました。
さらに首にぶら下がっている札に「ニッカウヰスキー 鶴17年 55.3%」と書かれていました。
今回入手したボトルは「丸型瓶」で「第54次南極観測協力行動」と彫られていますが、札がぶら下がっていないため、中身についての情報がありません。
ニッカファンとしてはニッカのウイスキーが入っていて欲しいのですが、決め手がありません。
仕方なく「南極」「ウイスキー」をキーワードにネットで検索したところ、次の5つの書き込みを見つけました。

・2007年5月 鶴 およそ60%
・2009年12月 鶴17年 55.3%
・2011年12月配布 鶴17年 55.3%
・2015年 50L缶から配布 鶴17年
・2017年12月 鶴55.5%または55.4%

どれも鶴または鶴17年で、度数は55%ほど。
どうやらニッカウヰスキーの鶴または鶴17年が南極観測隊の定例行事で配られているということで間違いなさそうです。
ニッカファンとしては誇らしい限り。
今回入手した第54次南極観測協力行動は活動期間が2012~2013年のため、検索で出てきた期間の真っ只中に当たり、当然鶴または鶴17年が入っていることでしょう。
安心しました。
2本の南極ウイスキーはどちらも普通のボトルより背が高く細いため、仲良く横倒しして並べていますが、その場合、角型瓶の方が安定します。
丸型瓶から角型瓶に替えたのはそれが理由かもしれません。

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お気に入りその2059~さんてつ

2022-03-21 08:34:17 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、さんてつです。

先日東北地方を震度6強の大地震が襲いました。
津波被害こそありませんでしたが、多くの死傷者が出て、住宅・水道・電気・道路など生活に関わる多方面にも被害が出たようです。
また被害は鉄道や高速道路にも及びました。

このタイミングで読んでいたのが妻から手渡されたコミック「さんてつ」でした。
題材が題材だけに3月に読むことに意義があるように思い読み始めましたが、まさか地震被害が発生するとは思ってもいませんでした。

「さんてつ―日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録―」

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
3.11のあの日、岩手県沿岸部を走る三陸鉄道では、路線の多くを被災した。
大地震、津波の爪痕が生々しいガレキの中、それでも、さんてつマンたちは、自らの力で立ち上がろうとする……。
三陸鉄道関係者、周辺の人々への綿密な取材を元に再構成する震災ドキュメンタリー漫画。「ブラックジャック創作秘話」の異才、吉本浩二が描く真実の人間ドラマの決定版!!
=====

本書はさんてつマンたちの視点から描いた東日本大震災のレポートです。
さんてつの社長は山菜採りと釣りが趣味にため、良く知っている山道・裏道を通ってう回を重ね、線路や駅の被災状況を見て回りました。
被災地のために鉄道の復旧が急務と知るや、役所に出向いて線路の上のガレキ除去のため自衛隊の協力を要請してくれるよう懇願しました。
こうして復旧した区間にいち早く列車を走らせました。
運転再開時にはたくさんの人々が集まり、多くの笑顔と感謝の声をいただいたそうです。
当初は高速運転に不安があったため低速運転を余儀なくされており、無料での乗車という素敵な対応もしました。
ここまでの場面だけでもぐっとくる場面が多かったですが、見渡す限り壊滅的被害を受けた地域を見て苦しい思いをしたり、働く場所のないさんてつの職員を他社に出向させたりという、その後の辛い日々も描かれていました。

作者が東北に何の縁故もないのに取材したり作品を描いたりすることに抵抗があったと書いていましたが、作品を読んで作品に登場された方が泣いていた、というのが答え。
心を込めて描いたことは被災者にもそうでない人にも伝わります。
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お気に入りその2058~記念硬貨

2022-03-18 12:22:07 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、記念硬貨です。

先日造幣局から次のような書類が届きました。
=====
以前の記念硬貨のお申し込みの際は落選したが、この度繰り上げ当選となった。
購入される場合は〇月〇日までに同封の振込用紙で振り込んでいただきたい。
=====

昨年秋、500円硬貨が新しくなるというので通常硬貨セットを予約して購入したときに、ついでに記念硬貨も予約して落選したことがありました。
振込用紙の期限がすぐだったので取り急ぎ振り込みました。
その後、冷静になって考えました。
あれは本当に造幣局からの手紙だったのでしょうか?
記念硬貨は本当に届くのでしょうか?
それからしばらく届かず不安な日々を過ごしました。
後日、記念硬貨は無事に届きほっとしました。

「近代通貨制度150周年記念千円銀貨幣」素材:純銀、直径:40mm、量目:31.1g

銀貨は指輪ケースに似た専用ケースの中に入っており、さらにプラスチックケースに収められています。
おもて面中央に大きく「圓」の文字がデザインされており、とても格好良いです。
裏面は1円玉から500円玉まで6種類の通常硬貨のデザインを少しずつ散りばめた凝ったデザインです。
どれがどの硬貨のデザインなのかを意外と覚えていないため、5円玉の稲穂と10円玉の平等院鳳凰堂だけはすぐにわかりました。
今回の記念貨幣は、表と裏で近代通貨制度の記念貨幣であることを見事に表現しており、そのデザイン性の高さと東洋的な美しさに大いに感心しました。

ただ余りに感心して蒐集欲が高まると困りますので、記念硬貨について考えるのはこの辺にしておきたいと思います。
蒐集はお金と場所をとりますのでニッカウヰスキーのオールドボトルと図鑑・画集類だけで十分です。

なお今回の繰り上げ当選連絡が、金貨の方でなくて良かったです。
金貨は額面が1万円と5千円の2種類があり、販売価格はどちらも当然ながら銀貨よりはるかに高額でした。
もし金貨の方の当選連絡だったら振り込みしなかったかもしれません。
そうしたらこの美しい記念硬貨を間近に鑑賞できなかったことでしょう。
繰り上げ当選が銀貨で良かったです。




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お気に入りその2057~竹鶴政孝パート301

2022-03-16 12:05:28 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート301、マイウイスキーです。

コロナ禍になってからニッカウヰスキー余市蒸溜所のマイウイスキーつくりは開催されていないようです。
こんなに長い間、全国のウイスキーファンがウイスキーつくりを体験できないなんてとてもかわいそうです。
2019年秋に2回目のマイウイスキーつくり(上級者コース)に無理をして参加しておいて本当に良かったです。
7年後にはあの時のメンバーと再会を喜びつつ、自分たちで樽詰めしたウイスキーを味わうことができると思うと楽しみで仕方がありません。

2017年、1回目のマイウイスキーつくりの10年目贈呈式では奮発して16本入手しました。
お世話になっている友人知人や息子に配り、行きつけのバーやスナックに置いてもらい、晩酌でもアニバーサリーといって味わっている内に気が付けば残り3本となりました。

この度、仕事で大変お世話になっている方が勇退されることになりました。
お世話になったお礼に彼の好きなお酒を贈りたいと思い、彼の部下にリサーチすると答えは何と「ウイスキー」!
これまでいろいろな場面でご一緒しましたが、お酒の席でゆっくり酒談義をしたことはありませんでした。
もっと早く知っていれば、と悔やまれます・・・。

それはともかく「ウイスキー好き」と判ったからには、彼にぜひ私のとっておきをぜひ味わっていただきたいと思い、秘蔵の1本をお贈りすることにしました。

 シングルカスク余市10年(マイウイスキーつくり 2017年びん詰)

自分で樽詰めして貯蔵庫に運び入れた、とても美味しい自慢のウイスキーです。
永年に渡る重責に疲れた彼の心身を「命の水」が解きほぐしてくれることを願います。


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お気に入りその2056~すばらしい人体2

2022-03-14 12:04:16 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「すばらしい人体」の後半です。
「すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険」という本は実に興味深かったです。
前半部分については先日ご紹介しましたので、今回は後半部分。
細菌の存在が知られていなかった時代は「消毒」と言う概念がなかったことを知りました。
一般の人々だけでなく医療に関わる人びとにさえ消毒概念がなかったとは驚きました。
そのため外科手術や出産の後に細菌感染で亡くなる割合が高かったのです。
これは目に見えないもの(=細菌)が存在することを知らなかったから。
顕微鏡の登場により細菌が発見され、続いて細菌が腐敗の原因であることが発見されました。
ある医師は、消毒して細菌を殺すことで外科手術後の死亡率を下げられるのではないか?というアイデアを持ちました。
当時、足を開放骨折した患者は足を切断しなくては助からなかったのですが、損傷部分に手術を施し、術後の患部を保護する過程すべてでていねいに消毒したことで患者は歩けるまで回復させることに成功しました。
その外科医の名はリスターといいます。
私が毎朝毎晩お世話になっている口の洗浄液・リステリンは彼が使った消毒液に由来しているそうです。
このエピソードはリステリンを目にする度に思い出すことでしょう。
他に興味深かったのは化学薬品が開発されたエピソード。
顕微鏡の発明により細胞の観察が可能になった際に、細胞を化学物質で染色して観察しやすくする技術が進みました。
その後、ひとつの細胞で出来ている病原菌を化学物質で染色できるのなら、化学物質で殺すこともできるのではないか、というアイデアが浮かびました。
たくさんの化学物質を試し、病原菌を死滅させる化学物質が特定されました。
これが化学薬品誕生のエピソードです。
医学はこうして少しずつ少しずつ進歩してきたことを知りました。
医学の進歩についてさらにいくつものエピソードが紹介されています。
抗生物質の発見は死病といわれていた病気を一気に減らしましたが、耐性菌の進化によりいつか抗生物質以前の時代に逆戻りするかもしれない、というお話は怖かったです。
目新しいものとしてはC型肝炎とエイズのお話。
どちらも発見されてから治療薬ができるまでのスピードに驚かされました。
でも現在、新型コロナウイルス向けRNAワクチンの開発と全世界への普及のスピードを目の当たりにしていることの方が医学史に残る出来事でしょう。
「生肉はいくら新鮮でも安全ではない」というエピソードにも驚かされました。
牛、豚、羊、鶏の体内には人間と同じくたくさんの細菌がいます。
彼らには無害でも人間に有害な細菌もいます。
だから鮮度に関係なく肉は十分火を通して食べないと感染の可能性があるのだそうです。
また真空パックやレトルトの食品だからといって安全とは限らないというエピソード。
芽胞という状態のボツリヌス菌は通常の殺菌方法では殺せない上、嫌気性菌のため酸素がない方が活動できるそうです。
またふぐ毒、青酸カリ、サリンなどの毒素の強さを比較した表でボツリヌス菌が桁違いに強いことが示されていることにも驚きました。
コロナ禍ですっかり有名になったパルスオキシメーターのことも書かれていました。
1974年に青柳さんという方が発明した製品で、元々は米国で麻酔手術の最中に酸素濃度が低下して死亡する医療事故が多かったときに活躍した装置だそうです。
赤血球の色が酸素を運んでいる時といない時で大きく違うことを利用して、採血せずに血中酸素濃度を測定する画期的な装置として現在では世界中で使われています。
ご本人は日本でコロナ禍が広まり始めた2020年4月に亡くなっており、在宅療養者が爆発的に増加し、彼らにとって命綱となっている現状は知りません。
最後にひとつ、体の内側と外側のこと。
内臓の内側には細菌がたくさんいて、体の外側と同じ環境とみなせます。
それに対し内臓の外側=腹腔は無菌であり、これこそが体の内側といえます。
胃や大腸の内視鏡検査がごく一般的な検査室で行われるのに対して、本格的な内視鏡手術が無菌環境の手術室で行われるという大きな違いを思い出し、ナルホドと納得しました。
あー面白かった!

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お気に入りその2055~クマ撃ちの女

2022-03-11 12:42:29 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、クマ撃ちの女です。
面白いマンガがあると知りました。
本当は連載が終了したものを一気読みしたいのですが、もう7巻まで出ているそうなので、我慢できずに大人買いしちゃいました。
まずはAMAZONの内容紹介を引用します。
=====
小坂チアキ、職業・兼業猟師。
彼女が狙うのは、“日本最強生物"エゾヒグマ――! !
北海道を舞台に描かれる、命がけの狩猟劇! !
=====
北海道のヒグマはとにかく巨大なため、ハンターでさえ命がけです。
急所を外すと逆襲してきたり、手負い熊になり人を襲うようになるそうです。
狩猟を趣味にしている方が周りに何人かいますが、みんなエゾシカを獲っています。
ヒグマ猟は命がけの上、肉が美味しくないとあって、趣味の範囲を超えているのでしょう。
そんな危険なヒグマ猟を行う女性が主人公ということで興味津々。
これまで吉村昭「羆嵐」や久保俊治「羆撃ち」を読んでクマ撃ちの危険さや難しさを知っているつもりですが、マンガだときっと臨場感が凄いと思います。
近年はヒグマの出そうな場所へ山菜採りに行く回数が減りましたが、逆にヒグマの方が札幌の住宅地に出没するようになりました。
いずれにしても道民にとってヒグマは近い存在。
そんなヒグマを命がけで狙う女性猟師の活躍を期待して読み始めました。
本書は狩猟の知識も体力もないフリーライターが主人公の女性猟師に同行取材するという設定のため、狩猟現場の常識をひとつずつ知っていくことができます。
先の展開としてヒグマとの距離を徐々に縮めていき、数巻かけてクマ撃ちに至るのだろうと思っていたら、何と1巻目から壮絶な死闘が繰り広げられます。
度肝を抜かれました。
始まって早々にこれでは2巻目以降はどうなるの?
案の定、毎巻度肝を抜かれる展開が続きます。
人が襲われて食われそうになったり、法律を犯しまくる猟師が登場したり、ヒグマやエゾシカの解体をじっくり描いたり、さらに凄い衝撃シーンがあったり、とにかく気が休まる暇がありません。
この作品を続けざまに読むのは心臓に悪いです。
完結していないので途中で休めると思いながらマンガを読むのは初めてです。
取りあえず用意した7巻までを読み終えました。
作者の絵は上手という程ではないため、何を描いているか判らないカットもありましたが、この手のマンガを上手に描かれるとそのリアルさにとても読み続けられなくなることでしょう。
作者には申し訳ありませんが今くらいの絵で通してもらえると見やすくて助かります。
それにしても主人公の命知らずの行動は度が過ぎます。
というより周囲の人々が「あいつは死ぬぞ」と断言する通り無鉄砲すぎます。
例え銃を持っているとはいえ視野の悪い山の中を一人でヒグマを探し続けるのは無理です。
途中から猟犬を同行し、臭覚・聴覚・走力でヒグマに引けを取らなくしたのは良い判断です。
これで少しは危険を察知できるようになるでしょう。
とはいえ本書を読み続ける限り心臓に悪いシーンが繰り返されることは覚悟しています。


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お気に入りその2054~生き物系画集4

2022-03-09 12:08:20 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、生き物系画集4です。
川崎映さんという方のtwitterに「生き物系画集・絵の図鑑の収集」というコーナーがあり、気になった本を3冊入手しました。
今回は最後3冊目をご紹介します。
「ワイルドライフ・スケッチブック」
川崎さんの紹介文を引用します。
=====
イギリスの自然画家・キース・ブロッキーさんのスケッチ集。
スコットランドの自然が克明に描かれており、生き物たちの表情が瑞々しく伝わります。
=====
本書は発行年が1984年と古いためかAMAZONなどで内容紹介が見つからず、川崎さんのtwitterの紹介文を勝手に引用させていただきました。
本書の舞台はスコットランド。
スコッチウイスキーの蒸溜所が山ほどある土地で、ウイスキー党の私としては蒸溜所のある地名がどんどん出ないかなぁと期待しつつ読みました。
本書の中盤近くにスコッチでお馴染みのオークニー島やスベイサイドなどの地名が登場し、そこの自然環境を知ることができてうれしかったです。
それにしても鳥や動物、樹木、草花、風景などのスケッチが実に美しくて細密!
たった1年でこれだけの枚数を描き、仕上げたのですから驚きです。
著者がスケッチしている状況は、写真と実況レポートが添えられているため、よく判ります。
抱卵中の鳥にそっと近づきスケッチしたり、霞網で捕獲してスケッチし足環をつけて放鳥したときのスケッチはベストの作品です。
大量のハエに襲われながらスケッチしたり、簡易的な隠れ家(ブラインド)に潜んで接近し時々背中を襲われながらスケッチしたり、木に登ってスケッチしたり、車内から双眼鏡で何とかスケッチしたりと、苦労しながら制作した作品は、その状況でよく描いたものと感心する出来でした。
中には死体や標本をスケッチしたものもありました。
オジロワシやアザラシが登場した辺りで、スコットランドに棲む生き物は北海道と似ていると感じました。
考えてみると、日本のウイスキーの父・竹鶴政孝は日本で初めてウイスキー蒸溜所を建設するにあたり、スコットランドに気候が似た北海道を第一候補に挙げました。
(鳥井社長に反対され京都の大山崎になりましたが。)
それを考えると気候風土が似ているのは当然かもしれません。
それにしてもつくづく思ったのは、動き回る生き物を目の前にしてよくこれだけ美しく細密に描いたものだということ。
生き物のスケッチをされる方はぜひ参考にされてはいかがでしょうか?
と言ってもなにぶん古い本なので入手が難しいかもしれませんが。
これまでご紹介した「生き物系画集」3冊はどれも素晴らしかったです。

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