今回のお気に入りは、「ある小さなスズメの記録」です。
本書は1953年に出版され、欧米を中心に空前のベストセラーになった幻の名作
だそうです。
出版され書店の平台で見かけたときは、スズメの絵とタイトルが目に止まりました。
「人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯」という副題に心引かれ
たのです。
ただ、小ぶりながらも最近にない箱入りの贅沢なつくりに二の足を踏み、その時は
購入しませんでした。
最近偶然に、訳者があの梨木香歩であることを知りました。
梨木の作品は、「家守綺譚」「村田エフェンディ滞土録」の2冊しか読んだことは
ありませんが、お気に入りの作家のひとり。
鳥つながりということで、「村田エフェンディ滞土録」を思い出しました。
主人公村田君の下宿には、イギリス人、ドイツ人、ギリシャ人、トルコ人とオウムが
暮らしていました。
第一次世界大戦により、生活を共にした友人たちが次々亡くなり、ショックから
鳴かなくなったオウムがラストで「友よ!」と叫ぶシーンが印象的な作品でした。
戦争、鳥、あの副題、そして梨木香歩とくれば期待が膨らみ、早速購入を決めました。
本書はイギリスの老婦人に拾われたスズメの12年間の生涯を描いた実話です。
スズメのクラレンスが若いときにこんなことやあんなことをやってみせたという
エピソードには驚きましたが、さらに驚くのはその晩年。
クラレンスは病や老いに対し、リハビリで治るものは治し、そうでないものは
創意工夫をしたり、生活様式を変えることで乗り越えていきます。
どんな状況でも諦めることなく生をまっとうしたその姿は、まさに見習うべき
生き様でした。
ちなみに、クラレンスのこのような生き様を多くの人々が知ることになった
最大の理由は、著者に「相手を思いやる心」があったからだと思います。
ペットとしてではなく、互いを認め合い、信頼し合う関係があったからこそ。
だからこそ、著者はスズメのクラレンスの真の姿、心の内を知ることができた
のだと思います。
最後に本書を出版した関係者へ要望をひとつ。
いつか改訂する際は、漢字にふりがなをふり、小学生でも読めるようにして欲しい
です。
文章は小学生には難しいですが、漢字さえ読めれば大半は理解できると思います。
こういう良書は子どもたちにもぜひ読んでもらいたいと思います。
本書は1953年に出版され、欧米を中心に空前のベストセラーになった幻の名作
だそうです。
出版され書店の平台で見かけたときは、スズメの絵とタイトルが目に止まりました。
「人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯」という副題に心引かれ
たのです。
ただ、小ぶりながらも最近にない箱入りの贅沢なつくりに二の足を踏み、その時は
購入しませんでした。
最近偶然に、訳者があの梨木香歩であることを知りました。
梨木の作品は、「家守綺譚」「村田エフェンディ滞土録」の2冊しか読んだことは
ありませんが、お気に入りの作家のひとり。
鳥つながりということで、「村田エフェンディ滞土録」を思い出しました。
主人公村田君の下宿には、イギリス人、ドイツ人、ギリシャ人、トルコ人とオウムが
暮らしていました。
第一次世界大戦により、生活を共にした友人たちが次々亡くなり、ショックから
鳴かなくなったオウムがラストで「友よ!」と叫ぶシーンが印象的な作品でした。
戦争、鳥、あの副題、そして梨木香歩とくれば期待が膨らみ、早速購入を決めました。
本書はイギリスの老婦人に拾われたスズメの12年間の生涯を描いた実話です。
スズメのクラレンスが若いときにこんなことやあんなことをやってみせたという
エピソードには驚きましたが、さらに驚くのはその晩年。
クラレンスは病や老いに対し、リハビリで治るものは治し、そうでないものは
創意工夫をしたり、生活様式を変えることで乗り越えていきます。
どんな状況でも諦めることなく生をまっとうしたその姿は、まさに見習うべき
生き様でした。
ちなみに、クラレンスのこのような生き様を多くの人々が知ることになった
最大の理由は、著者に「相手を思いやる心」があったからだと思います。
ペットとしてではなく、互いを認め合い、信頼し合う関係があったからこそ。
だからこそ、著者はスズメのクラレンスの真の姿、心の内を知ることができた
のだと思います。
最後に本書を出版した関係者へ要望をひとつ。
いつか改訂する際は、漢字にふりがなをふり、小学生でも読めるようにして欲しい
です。
文章は小学生には難しいですが、漢字さえ読めれば大半は理解できると思います。
こういう良書は子どもたちにもぜひ読んでもらいたいと思います。