鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその656~ある小さなスズメの記録

2012-05-26 07:42:56 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ある小さなスズメの記録」です。

本書は1953年に出版され、欧米を中心に空前のベストセラーになった幻の名作
だそうです。
出版され書店の平台で見かけたときは、スズメの絵とタイトルが目に止まりました。
「人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯」という副題に心引かれ
たのです。
ただ、小ぶりながらも最近にない箱入りの贅沢なつくりに二の足を踏み、その時は
購入しませんでした。

最近偶然に、訳者があの梨木香歩であることを知りました。
梨木の作品は、「家守綺譚」「村田エフェンディ滞土録」の2冊しか読んだことは
ありませんが、お気に入りの作家のひとり。
鳥つながりということで、「村田エフェンディ滞土録」を思い出しました。
主人公村田君の下宿には、イギリス人、ドイツ人、ギリシャ人、トルコ人とオウムが
暮らしていました。
第一次世界大戦により、生活を共にした友人たちが次々亡くなり、ショックから
鳴かなくなったオウムがラストで「友よ!」と叫ぶシーンが印象的な作品でした。

戦争、鳥、あの副題、そして梨木香歩とくれば期待が膨らみ、早速購入を決めました。

本書はイギリスの老婦人に拾われたスズメの12年間の生涯を描いた実話です。
スズメのクラレンスが若いときにこんなことやあんなことをやってみせたという
エピソードには驚きましたが、さらに驚くのはその晩年。
クラレンスは病や老いに対し、リハビリで治るものは治し、そうでないものは
創意工夫をしたり、生活様式を変えることで乗り越えていきます。
どんな状況でも諦めることなく生をまっとうしたその姿は、まさに見習うべき
生き様でした。

ちなみに、クラレンスのこのような生き様を多くの人々が知ることになった
最大の理由は、著者に「相手を思いやる心」があったからだと思います。
ペットとしてではなく、互いを認め合い、信頼し合う関係があったからこそ。
だからこそ、著者はスズメのクラレンスの真の姿、心の内を知ることができた
のだと思います。

最後に本書を出版した関係者へ要望をひとつ。
いつか改訂する際は、漢字にふりがなをふり、小学生でも読めるようにして欲しい
です。
文章は小学生には難しいですが、漢字さえ読めれば大半は理解できると思います。
こういう良書は子どもたちにもぜひ読んでもらいたいと思います。


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お気入りその655~テルマエ・ロマエ

2012-05-21 12:54:18 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、映画テルマエ・ロマエです。

久しぶりに映画を観てきました。

邦画にしては割と話題になっている「テルマエ・ロマエ」です。

友人が面白かったって言っていたよ、と妻に言ったら、お気に入りの
DJが同じことを言っていた上、週間興行成績で1位を獲っていた
そうだから観に行こうと、即、決定。
片方50歳以上なら夫婦2人で2000円というのも、気軽に決めた
理由です。

濃い顔のローマ人と平たい顔族(日本人)の時を越えた交流により、
ローマの浴場が進歩し、それによりローマ帝国が安泰となるという
他愛も無いストーリー。

観客構成は、小学生のグループあり、老夫婦あり、家族連れあり。
さらに若い女性の友人同士や、中年男性一人なんていうのもいて、
驚くほど多岐にわたっていました。
また混み具合は、公開から相当日数経っているのにもかかわらず
なかなか賑わっていました。
私たちのように、口コミで行ったクチかな?

映画開始そうそう場内はおばさんの遠慮ない爆笑に誘われるように、
爆笑の輪が広がりました。
久しぶりに会場全体が爆笑に沸く楽しい映画を味わいました。
まだ観ていない方はぜひどうぞ!

帰り道に、原作の愛読者である妻に原作と同じ?と聞くと、
原作とは近いような、近くないような微妙なストーリーらしく、
結局は原作を読んで自分で判断して!とのことでした。

最低でも上戸彩の役は超端役をオリジナル化したものだそうです。

原作を読めば二度おいしい、そんな作品のようです。

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お気に入りその654~三匹のおっさん ふたたび

2012-05-18 12:09:51 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「三匹のおっさん ふたたび」です。

「三匹のおっさん ふたたび」を読み終わりました。
前回、中江有里の解説文を最大の楽しみにしていると書きましたが
掲載されていませんでした。
再度、中江有里のブログ「本がおしえてくれたこと」を読み直すと
2つのことがわかりました。
「解説を書いた」と書いてあるがどの本のとは書いていないこと。
そして解説は文庫本用に書いているということ。

明らかに当方の勘違いでした。
勝手に期待して勝手に残念がってしまいました。

それにしても単行本にはあとがきはあっても解説がないことに
今まで気づかないとは、我ながら情けないです。

最後に、読み終わった感想を書きます。
前回書いた感想とほぼ同じ。
前作で登場した脇役たちを中心としたストーリーで、最後の章などは
三匹さえ出てこない明らかなサイドストーリーということで、
それなりに楽しめましたが、満足感は前作の30%offといった
ところでしょうか・・・。
作家が力をいれてくれれば素晴らしい作品が何作か続く予感があった
だけに残念ですが、本作で終わりの雰囲気でした。
勝手に現代の水戸黄門的な期待をしていたので残念でした。

人生のベテランたちが社会の悪をどう切るか、きっと警察や教師、
国が救済できない被害者の、そして加害者の心を救う方法を
彼らなら持っているような気がしたし、それがどんな方法かを
知りたいという願いのようなものが私の中にあったのでしょう。

著者有村浩はそこまで考えて書く社会派ではないのかな?
著者の他の作品を読まずにあれこれ書くのは無理があります。
もう一冊「阪急電車」を読んでから続きを考えたいと思います。





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お気に入りその653~文庫本集め

2012-05-15 12:40:39 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、文庫本集めです。

ちょうど1ヵ月後に3泊4日の研修旅行に行く予定です。
広島から徳島まで毎日宿泊地が違います。
ということは、航空機や都市間高速バスでの移動時間が長時間に
上ることを意味します。

そこで最近、旅行中に読む文庫本集めをしています。

老眼にとっては少しでも大きい字が読みやすいということで
最近は単行本ばかり買っていたので、いざ旅行、となったときに
持っていく文庫本が無いことに気づいたものですから・・・。

今のところ集まったのは次の4冊。

 本多孝好著「MOMENT」
 伊坂幸太郎「死神の精度」
有川浩著 「阪急電車」 
 奥田英朗 「イン・ザ・プール」

これだけあれば良いかな?

有川浩以外は初めての作家ばかりです。
昨年読んだ高野和明のように「ジェノサイド」「13階段」
「幽霊人命救助隊」と立て続けに読みたくなるような
マイブーム作家に当たることを願っています。

ちなみに今は「三匹のおっさん ふたたび」を読んでいます。
相変わらずさらさら読めるのでもうすぐ読み終わるでしょう。
前作に比べ、予想を超える、いかにもおっさんたちらしい
方法で事件を解決するというシーンがありません。
パワーダウンしてホームドラマ化しているようで残念です。
まあ、それなりに楽しみながら読んでいますが・・・。

あとは中江有里の解説文を最大の楽しみに読み進もうと
思います。




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お気に入りその652~竹鶴政孝パート204

2012-05-12 12:23:58 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート204、SCOTCH GRAINです。

SCOTCH GRAINってご存知ですか?

靴の製造販売をしている会社の名前です。
私は偶然そのお店に入るまで知りませんでした。

先月、上野に行った際に、妻が以前ネットでチェックした靴屋さんに
行きました。
狙っていたパンダ柄の革靴はサイズがありませんでしたが、同じ型を
使って作った靴を使って、敷革を調整しながら、あれこれ履き比べ、
ついに決定。
無事注文にこぎつけました。

その間、私はというと店内をブラブラ。
そのとき、とある靴の横に竹鶴12年のボトルがあるのを発見。

???

店内のチラシを読んでようやく理解できました。
どうやら、靴磨きの仕上げに靴クリームとウイスキーを混ぜて使う
ようです。
その推奨ウイスキーが竹鶴12年なのだそうです。

チラシの見出しには「ドレスシューズに極上の色合いをもたらす、
スコッチグレインの提案」とあります。

店内ではTVで紹介されたときのVTRが繰り返し流れていました。

竹鶴にこんな使い方があったとは・・・。
まさか靴磨きに使われる日がくるとは、竹鶴政孝は想像だに
しなかったことでしょう。

でも本物の職人の技を大切にし、アソビ心あふれる竹鶴翁なら、
きっと面白がってくれたでしょう。

それにしてもここの社長、竹鶴の大ファンなのは判りますが、
ここまでこだわりますか?

見事なこだわりです。

ちなみにその技術で仕上げられた靴を売っていましたが、買って
きませんでした。
ズボラな私が維持していけそうにないと思ったものですから。

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お気に入りその651~三匹のおっさん

2012-05-09 12:56:17 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「三匹のおっさん」です。

有川浩著「三匹のおっさん」を読みました。

キヨ・シゲ・ヒロという3人のジジイが結成した自警団と高校1年生の
祐希と早苗の5人が織り成す痛快活劇にすっかり引き込まれました。

人生の表裏を知り尽くした3人のジジイと、高1カップルが、身近な
人々にかかわる事件をあっといわせる方法で見事に解決していきます。

祐希は高1にしては大人過ぎるようにも思いますが、彼がいるから
5人の気持ちがひとつになった最強チームが成り立つと思うので
やむをえないところです。

とにかく予想以上に面白い!

おかげで「三匹のおっさん」と一緒に買った「阪急電車」を読むよりも
先に、「三匹のおっさん ふたたび」を注文し読むことに決めました。

到着が待ち遠しいです。

なお、文庫版「三匹のおっさん」には、NHKラジオ「ラジオビタミン」
の「読みだしたら止まらない」というコーナーで児玉清が
「三匹のおっさん」を紹介した回を文章に落としたものが掲載されて
いたり、中江有里の解説があったりと、「週刊ブックレビュー」の
ファンにとってはこれだけでもお宝でした。

「三匹のおっさん ふたたび」の解説も中江有里だそうですので、
そちらの方も楽しみにしています。






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お気に入りその650~三国志④

2012-05-07 12:04:38 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、三国志④です。

ようやく三国志を読み終わりました。
横山光輝という名手の作だけあって、主要人物亡き後も
飽きさせずに蜀の滅亡までを描ききっていました。

AMAZONのカスタマーレビューにあった通り
一読の価値がある作品でした。
世に名高い三国志の世界に触れることができてとても
満足しています。

人の一生とは短いもの、どんなに優れた人物にもいずれは
死が訪れる。
英雄ならざるわが身には、その程度しか理解できません
でした。

物語を通して出てくる「自国の平和を守るためには他国の
存在を否定する」という判断は正しかったのでしょうか?
外交による共存の道はなかったのでしょうか?
私が平和ボケしているので、こんなことを考えるので
しょうか?
現代でも、今この瞬間も世界のあちこちで人々は争って
います。
人種や宗教の違い、国の利権などをはじめとした争いが
繰り広げられています。

殺しあうことが人間の本性ではないはず。
理性により争いが根絶されることを願っています。

そういえば漫画「沈黙の艦隊」では各国から独立した原潜
チームならば隠密行動による核攻撃が可能であり、その
恐怖をもって世界の紛争を強制的に終結させることでしか、
世界平和は実現しない、という論理が展開されていました。
理性による争いの根絶は不可能、核の恐怖に頼らざるを
得ないという結論・・・。

三国志の時代と現代、何も変わっていないのかもしれません。

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