今回のお気に入りは、死者の告白です。
奥野修司・著「死者の告白 30人に憑依された女性の記録」。
妻はこの手の本が好きで何冊も読んでいますが、私の方は久しぶり。
たしか「山怪 山人が語る不思議な話」以来のはず、と思いマイ・ブログを検索しました。
2015年に「山怪」、2020年に「マンガ遠野物語」を読んでいたことが判りました。
ブログって本当に便利ですね。
ちなみに「死者の告白」のことはノンフィクション書評サイトHONZで紹介されていて知りました。
たしか「山怪 山人が語る不思議な話」以来のはず、と思いマイ・ブログを検索しました。
2015年に「山怪」、2020年に「マンガ遠野物語」を読んでいたことが判りました。
ブログって本当に便利ですね。
ちなみに「死者の告白」のことはノンフィクション書評サイトHONZで紹介されていて知りました。
内容紹介を引用します。
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宮城県の古刹・通大寺では、人間に「憑依」した死者を成仏させる「除霊」の儀式が、今もひっそりと行われている。
震災後、30人を超える霊に憑かれた20代女性と、その魂を死者が行くべき場所に送った金田諦應住職。
彼女の憑依体験から除霊の儀式まで、一部始終を、大宅賞作家・奥野修司(『ナツコ』『魂でもいいから、そばにいて』)が描く!
<本文より>
人が死ぬとき、合理的に解釈できない不思議なことがしばしば起こる。
がんなどで死に逝く場合もそうだが、2万2000人余という人が亡くなった東日本大震災のような過酷な状況下では尚更だろう。
しかし、いきなり霊的ともいえる予想外のことが起こると、それを体験した人は誰にも相談できずにひどく苦しむ。
金田住職のところへ、高村英さんが混乱状態で電話してきたのは2012年の蒸し暑い6月の夜だったが、
彼女もやはり誰にも相談できずに苦しんでいた。
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宮城県の古刹・通大寺では、人間に「憑依」した死者を成仏させる「除霊」の儀式が、今もひっそりと行われている。
震災後、30人を超える霊に憑かれた20代女性と、その魂を死者が行くべき場所に送った金田諦應住職。
彼女の憑依体験から除霊の儀式まで、一部始終を、大宅賞作家・奥野修司(『ナツコ』『魂でもいいから、そばにいて』)が描く!
<本文より>
人が死ぬとき、合理的に解釈できない不思議なことがしばしば起こる。
がんなどで死に逝く場合もそうだが、2万2000人余という人が亡くなった東日本大震災のような過酷な状況下では尚更だろう。
しかし、いきなり霊的ともいえる予想外のことが起こると、それを体験した人は誰にも相談できずにひどく苦しむ。
金田住職のところへ、高村英さんが混乱状態で電話してきたのは2012年の蒸し暑い6月の夜だったが、
彼女もやはり誰にも相談できずに苦しんでいた。
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幼い頃から霊感体質だった高村さんは素人ながら自身への霊の憑依をコントロールしたり、簡単な除霊をすることができました。
ところが東日本大震災で状況は一変。
仙台の街中に霊があふれ、自身にもたくさんの霊が集まり、コントロール不能に陥りました。
そして不思議な縁で金田住職に助けを求めることになります。
この時まで金田住職は除霊をしたことがなかったため、かつて先代が行っていた姿を思い出しつつようやくのことで除霊に成功します。
ところが翌日、再び高村さんからSOSが。
別の霊に憑依されたのです。
こうして高村さんと金田住職の闘いの日々が続きます。
ところが東日本大震災で状況は一変。
仙台の街中に霊があふれ、自身にもたくさんの霊が集まり、コントロール不能に陥りました。
そして不思議な縁で金田住職に助けを求めることになります。
この時まで金田住職は除霊をしたことがなかったため、かつて先代が行っていた姿を思い出しつつようやくのことで除霊に成功します。
ところが翌日、再び高村さんからSOSが。
別の霊に憑依されたのです。
こうして高村さんと金田住職の闘いの日々が続きます。
というお話です。
面白いのは著者自身が霊の存在を信じていないこと。
疑いを持ちつつ取材を行い、理解できない場面はできないと繰り返ししっかり書いています。
同じ霊の除霊場面を高村さんの証言を元に書いた後に、金田住職の証言を元に書いて、信用できるか否かの判断を読者にゆだねています。
それぞれの主感たっぷりの証言には、口裏を合わせた証言にありがちな類似表現がほとんどないことから、証言の重なる部分に真実が見えるように感じられました。
また高村さんが憑依をレイプのようだと表現していることについて著者は理解できず京都大学の先生に相談しに行きます。
先生から催眠療法を例にとり、自我が肉体の脇に追いやられ、肉体が術士の思うままに動くことがあることを説明していただき、憑依の状況への理解を深めます。
本書は除霊を頭から信用した書籍とは違い、著者が除霊の真実を求めて取材して歩いたまさにノンフィクションです。
面白いのは著者自身が霊の存在を信じていないこと。
疑いを持ちつつ取材を行い、理解できない場面はできないと繰り返ししっかり書いています。
同じ霊の除霊場面を高村さんの証言を元に書いた後に、金田住職の証言を元に書いて、信用できるか否かの判断を読者にゆだねています。
それぞれの主感たっぷりの証言には、口裏を合わせた証言にありがちな類似表現がほとんどないことから、証言の重なる部分に真実が見えるように感じられました。
また高村さんが憑依をレイプのようだと表現していることについて著者は理解できず京都大学の先生に相談しに行きます。
先生から催眠療法を例にとり、自我が肉体の脇に追いやられ、肉体が術士の思うままに動くことがあることを説明していただき、憑依の状況への理解を深めます。
本書は除霊を頭から信用した書籍とは違い、著者が除霊の真実を求めて取材して歩いたまさにノンフィクションです。
ちなみに東日本大震災で亡くなった被災者ばかりが登場するのかと思ったらそうでもなく、戦死した兵士や交通事故で亡くなった高校生などの除霊からスタートしました。
その後、震災の被災者が続々と登場します。
家族全員を津波で失い自殺した男性。
子どもを迎えに行く途中で亡くなった男性。
お母さんが迎えに来るのを待っている間に亡くなった女の子。
ようやく妊娠したことを夫に知らせに行く途中に亡くなった女性など・・・。
どの人も高村さんの体を乗っ取り、亡くなる時の苦しみを体験させ、現世に残した強い思いを訴えます。
住職は霊の訴えを聞き出し、現実を知らせ、説得することで光へと導きます(=成仏させます)。
霊との接し方は高村さんも住職も生きている人を相手にしているのと何も変わりません。
その後、震災の被災者が続々と登場します。
家族全員を津波で失い自殺した男性。
子どもを迎えに行く途中で亡くなった男性。
お母さんが迎えに来るのを待っている間に亡くなった女の子。
ようやく妊娠したことを夫に知らせに行く途中に亡くなった女性など・・・。
どの人も高村さんの体を乗っ取り、亡くなる時の苦しみを体験させ、現世に残した強い思いを訴えます。
住職は霊の訴えを聞き出し、現実を知らせ、説得することで光へと導きます(=成仏させます)。
霊との接し方は高村さんも住職も生きている人を相手にしているのと何も変わりません。
本書を読みながら自分の死について考えました。
もし思いを残して死に、成仏できなかったときは、高村さんのような方の体を借りて、住職のような方に諫められて光へと誘導していただきたいです。
ただできれば誰の手もわずらわせずに成仏するような穏やかな死を迎えたいものです。
それには事故死や災害死ではなく、がんなどで心と身辺を整理しつつ病死するのがいいと思います。
もし思いを残して死に、成仏できなかったときは、高村さんのような方の体を借りて、住職のような方に諫められて光へと誘導していただきたいです。
ただできれば誰の手もわずらわせずに成仏するような穏やかな死を迎えたいものです。
それには事故死や災害死ではなく、がんなどで心と身辺を整理しつつ病死するのがいいと思います。