今回のお気に入りは竹鶴政孝パート223、古いショットグラスです。
先日、ネットオークションでショットグラスを落札しました。
6個セットで木箱に入っています。
蓋の内側には大きく「NIKKA WHISKY」の文字が入っています。
かなり古そうです。
箱にグラスの取扱説明書が入っていたので全文引用します。
=====
「クリスタルガラスについて」
鉛クリスタルガラスは最高級のガラスです。
銀鈴のような美音、水晶のような透明度、輝くばかりの光沢は静かな重量感とともに、比類のない特性です。
先年、現エリザベス英女王の御成婚のとき、アメリカやスエーデンの元首から鉛クリスタル製品がプレゼントされたことは御存知の通りです。
ライムクリスタルガラスはボヘミアンクリスタルガラスの名で海外で有名な高級無色ガラスで、やわらかい透明度が持味です。
普通のガラス(ソーダガラス)はだんだんと曇ってゆく欠点があるのに対して、ライムクリスタルは「曇らないガラス」と愛称されており、変質しない特性を持っております。気の利いた実用品としてもっとも良いガラスでしょう。
セミクリスタルガラスは高級色付ガラスで、豊かな光沢とあざやかな色調を持っております。
変質しないことはライムクリスタルと同様で、普通の色ガラスの遠く及ばない特性です。食卓に又室内装飾にうるおいのあるニュアンスをおもとめの場合に好適のガラスと思います。
マークは本カード別面のものを左の区分により使用しております。
角型金シール 鉛クリスタル製品
扇型金シール ライムおよびセミクリスタル製品
弊社は昭和9年創業以来、日夜クリスタルガラスに専念して参りました結果、工芸品をはじめ一般作品のかずかずは優に世界に水準をゆくものと内外の賞賛を頂いておりますことは皆様の御愛顧の賜と感謝しております。
御手入が皆様のクリスタルをいつも新品同様に保ちます。良質の石鹸を使い、やわらかな木綿でよく拭いて、乾いた場所に保管して下さい。
東京都大田区西六郷1丁目7番地
株式会社 各務クリスタル製作所
=====
ゴールドニッカや初代スーパーニッカのボトルを制作した各務クリスタル製作所の製品です。
透明のショットグラスに扇型金シールが貼ってあります。
ということは取説によるとライムクリスタル製のショットグラスということ。
中央から底に向けて7面カットしています。
カット面を光にかさずと1面1面削りムラがあったり、ガラスに気泡が入ったグラスがあったりと、手作り感がいっぱいです。
古いモノってこういうアバウトなところが好きです。
最近はストレートを控えていましたが、これで一杯というのも乙なものです。
ところでこのグラスセットはいつ制作されたのでしょう?
少々調べてみました。
①株式会社各務クリスタル製作所
各務クリスタル製作所は1934年(昭和9年)に創業され、1948年(昭和23年)に株式会社になりました。
その後、1985年(昭和60年)にカガミクリスタルになりました。
②エリザベス英女王の御成婚
1947年(昭和22年)
③東京都大田区
この住所ができたのは1947年(昭和22年)です。
④ゴールドニッカ
1955年(昭和30年)に各務クリスタル製作所がセミクリスタルボトルを制作しました。
丸いボディの下部4分の1を12面カットしています。
⑤リーフレット(グラスの取説)
オールド各務クリスタルという検索キーで調べると、リーフレットは5種類あることが分かりました。
販売時期により、戦前A、戦前B、戦後A、戦後B、戦後Cに分かれていました。
それによると今回のリーフレットは戦後A。
ただ戦後Aのリーフレットが、いつまで使われたのかは分かりませんでした。
①~⑤を検討した結果、ショットグラスセットはゴールドニッカの販促品だったのではないかと推定しました。
その理由は次の4つ。
理由① どちらも各務クリスタル製作所の製品。
理由② 丸いボディと下部の多面カットがお揃い。
理由③ 高価な販促品は高価な製品とセットだと思われる。
ゴールドニッカは当時2000円で販売されていました。
現代に物価換算すると28000円もしたことが分かりました。
当時のニッカ製品の中では飛び抜けて高価でした。
各務クリスタル製作所のショットグラスセットという高価な販促品が似合いそうです。
理由④ ゴールドニッカはストレートが美味しかった。
以前ゴールドニッカを味わったときの印象は「少し余市モルトを多くした竹鶴12年」というものでした。
だからこそ、ショットグラスをプレゼントし、ストレートで味わって欲しかったのではないかと考えました。
ゴールドニッカとショットグラスセットを結びつけた理由は以上の4つですが、反面少し気になる点もあります。
取説の「先年、現エリザベス英女王の御成婚」という言葉です。
エリザベス英女王御成婚とゴールドニッカ発売には8年ものズレがあります。
「先年」という言葉は8年も前の出来事にも使ってよいのでしょうか?
「数年前」というイメージを持っていたのですが・・・。
でも広辞苑には漠然と「以前の年」の意味とあり、特に年限をうたっていなかったので、渋々納得しました。
今回の件は、ニッカウヰスキーにもカガミクリスタルにも問い合わせしていない勝手な推定。
ニッカファンとして竹鶴政孝が元気な頃のニッカウヰスキーに思いを馳せながら推理を楽しみました。
なお、もし正解を知っている方がいらっしゃいましたら教えていただければ幸いです。
先日、ネットオークションでショットグラスを落札しました。
6個セットで木箱に入っています。
蓋の内側には大きく「NIKKA WHISKY」の文字が入っています。
かなり古そうです。
箱にグラスの取扱説明書が入っていたので全文引用します。
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「クリスタルガラスについて」
鉛クリスタルガラスは最高級のガラスです。
銀鈴のような美音、水晶のような透明度、輝くばかりの光沢は静かな重量感とともに、比類のない特性です。
先年、現エリザベス英女王の御成婚のとき、アメリカやスエーデンの元首から鉛クリスタル製品がプレゼントされたことは御存知の通りです。
ライムクリスタルガラスはボヘミアンクリスタルガラスの名で海外で有名な高級無色ガラスで、やわらかい透明度が持味です。
普通のガラス(ソーダガラス)はだんだんと曇ってゆく欠点があるのに対して、ライムクリスタルは「曇らないガラス」と愛称されており、変質しない特性を持っております。気の利いた実用品としてもっとも良いガラスでしょう。
セミクリスタルガラスは高級色付ガラスで、豊かな光沢とあざやかな色調を持っております。
変質しないことはライムクリスタルと同様で、普通の色ガラスの遠く及ばない特性です。食卓に又室内装飾にうるおいのあるニュアンスをおもとめの場合に好適のガラスと思います。
マークは本カード別面のものを左の区分により使用しております。
角型金シール 鉛クリスタル製品
扇型金シール ライムおよびセミクリスタル製品
弊社は昭和9年創業以来、日夜クリスタルガラスに専念して参りました結果、工芸品をはじめ一般作品のかずかずは優に世界に水準をゆくものと内外の賞賛を頂いておりますことは皆様の御愛顧の賜と感謝しております。
御手入が皆様のクリスタルをいつも新品同様に保ちます。良質の石鹸を使い、やわらかな木綿でよく拭いて、乾いた場所に保管して下さい。
東京都大田区西六郷1丁目7番地
株式会社 各務クリスタル製作所
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ゴールドニッカや初代スーパーニッカのボトルを制作した各務クリスタル製作所の製品です。
透明のショットグラスに扇型金シールが貼ってあります。
ということは取説によるとライムクリスタル製のショットグラスということ。
中央から底に向けて7面カットしています。
カット面を光にかさずと1面1面削りムラがあったり、ガラスに気泡が入ったグラスがあったりと、手作り感がいっぱいです。
古いモノってこういうアバウトなところが好きです。
最近はストレートを控えていましたが、これで一杯というのも乙なものです。
ところでこのグラスセットはいつ制作されたのでしょう?
少々調べてみました。
①株式会社各務クリスタル製作所
各務クリスタル製作所は1934年(昭和9年)に創業され、1948年(昭和23年)に株式会社になりました。
その後、1985年(昭和60年)にカガミクリスタルになりました。
②エリザベス英女王の御成婚
1947年(昭和22年)
③東京都大田区
この住所ができたのは1947年(昭和22年)です。
④ゴールドニッカ
1955年(昭和30年)に各務クリスタル製作所がセミクリスタルボトルを制作しました。
丸いボディの下部4分の1を12面カットしています。
⑤リーフレット(グラスの取説)
オールド各務クリスタルという検索キーで調べると、リーフレットは5種類あることが分かりました。
販売時期により、戦前A、戦前B、戦後A、戦後B、戦後Cに分かれていました。
それによると今回のリーフレットは戦後A。
ただ戦後Aのリーフレットが、いつまで使われたのかは分かりませんでした。
①~⑤を検討した結果、ショットグラスセットはゴールドニッカの販促品だったのではないかと推定しました。
その理由は次の4つ。
理由① どちらも各務クリスタル製作所の製品。
理由② 丸いボディと下部の多面カットがお揃い。
理由③ 高価な販促品は高価な製品とセットだと思われる。
ゴールドニッカは当時2000円で販売されていました。
現代に物価換算すると28000円もしたことが分かりました。
当時のニッカ製品の中では飛び抜けて高価でした。
各務クリスタル製作所のショットグラスセットという高価な販促品が似合いそうです。
理由④ ゴールドニッカはストレートが美味しかった。
以前ゴールドニッカを味わったときの印象は「少し余市モルトを多くした竹鶴12年」というものでした。
だからこそ、ショットグラスをプレゼントし、ストレートで味わって欲しかったのではないかと考えました。
ゴールドニッカとショットグラスセットを結びつけた理由は以上の4つですが、反面少し気になる点もあります。
取説の「先年、現エリザベス英女王の御成婚」という言葉です。
エリザベス英女王御成婚とゴールドニッカ発売には8年ものズレがあります。
「先年」という言葉は8年も前の出来事にも使ってよいのでしょうか?
「数年前」というイメージを持っていたのですが・・・。
でも広辞苑には漠然と「以前の年」の意味とあり、特に年限をうたっていなかったので、渋々納得しました。
今回の件は、ニッカウヰスキーにもカガミクリスタルにも問い合わせしていない勝手な推定。
ニッカファンとして竹鶴政孝が元気な頃のニッカウヰスキーに思いを馳せながら推理を楽しみました。
なお、もし正解を知っている方がいらっしゃいましたら教えていただければ幸いです。
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