鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2001~竹鶴政孝パート295

2021-03-05 12:09:01 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート295、陶器ボトルです。
本文に入る前にお話ししますが、今回のサワリを妻に話したら全く興味無し。
しかもテレビの「何でも鑑定団」で自分のコレクションを自慢しているオジサンと同類だそう。
ナルホド。
確かにコレクションにつぎ込んだ金額を妻に内緒にしている辺りはまさに同類です。
ということで本文へ。
日頃からニッカウヰスキーのオールドボトルが並んだ陳列棚をながめては楽しんでいます。
その中に「RARE OLD NIKKA WHISKY」と刻まれた古い陶器ボトル(正しくは白磁ボトル)があります。
丸みを帯びたデザインをしているためか、3年前の大地震(北海道厚真東部地震)で唯一転落防止バーを乗り越えて木床に転げ落ちました。
あわてて拾い上げ、どこも破損していないことを確かめた時は深く安堵したものです。
本棚の転倒防止ネジが全て抜けてしまったため、本棚自体の転倒こそ免れましたが、本はほとんど床に散乱してしまった、あのひどい状況を思い返すとそれはとても幸運なことでした。
このボトルと同じものは余市のウイスキー博物館に展示されており、「1945年8月、陶器瓶入りウイスキー」という説明札が付いています。
また同館に掲示されているニッカ・ヒストリーというパネルにも「1945年8月、陶器瓶入りウイスキー(一級)を発売」という記載があります。
ところがニッカファンの間でこのボトルは1955年頃に販売されていたボンチャイナという銘柄の誤りではないか、という意見があり、私もボンチャイナだと思っていました。
先日このボトルを何気なく手に取ってながめていると、ボトルの銘柄を特定するヒントに気づきました。
キャップの紙封に「NO METHYL ALCOHOL」と印刷されていたのです。
これに続く文字は残念ながら読めませんが、「メチルアルコールではない」とは穏やかではありません。
戦時中から終戦直後の数年間は、物資不足から燃料用アルコールを混ぜた酒がヤミで出回り、健康被害が多数出ました。
そのためキャップを紙封し「NO METHYL ALCOHOL」と表示することが必要だったのでしょう。
紙封の記載と当時の社会状況が一致していることから、このボトルは終戦直後の1945年発売の陶器瓶入りウイスキーと考えられます。
ただ1955年頃に販売されていた「ボンチャイナ(二級)」は「陶器瓶入りウイスキー(一級)」と同一銘柄という可能性もあることから、さらに検討してみました。
1953年にウイスキーの等級変更があり、それまでの「一級・二級・三級」は「特級・一級・二級」になりました。
「陶器瓶入りウイスキー(一級)」がその時も販売されていれば「陶器瓶入りウイスキー(特級)」になったはずで、ボンチャイナ(二級)とは等級が大きく違います。
このことから「1945年発売の陶器瓶入りウイスキー」と「1955年に販売していたボンチャイナ」は別銘柄と考えられます。
この陶器ボトルについてはもうひとつ気になることがあります。
終戦直後にガラスではなく陶器でボトルを作った経緯や背景を知りたいのです。
ヒントはボトルのバックスタンプ(裏印)。
リンゴが3つと葉が8枚描かれています。
インターネットで調べても製造メーカーが判りませんでした。

手元にもう1本、同じバックスタンプのボトルがあります。
1964年に西宮工場竣工記念で配られた陶器ボトルです。
後に、誰もがニッカをイメージすることになる「髭のおじさん」(ローリー卿)が初めて描かれたボトルです。
この陶器ボトルは戦前に作られましたが、液漏れするものがあったため、長く倉庫に眠っていました。
西宮工場竣工の際、その中から良品を選んでウイスキーが詰められました。
この陶磁器メーカーは戦前と終戦直後に陶磁器ボトルをニッカに納品していたことになります。
ニッカファンとして興味津々です。
このバックスタンプにお心当たりのある方はぜひお教えいただければありがたいです。
ニッカファンとしてニッカの社史、特に創業から1956年ニッキーで人気が出る直前までの苦しい時代に興味があります。
創業から6年、ようやく一号ウヰスキーを発売開始するも間も無く太平洋戦争が始まり、戦中戦後の混乱期を経て、1950年にようやく公定価格が廃止されたため、この年から翌年にかけて新しい銘柄を次々誕生させますが、ライバルメーカーに苦杯をなめさせられていた、そんな時代でした。
当時の銘柄・ボトル・ラベル等が混とんとしているのも苦しさ故でしょう。
ファンとして当時のことを検討してひとつでも明らかになることはうれしいものです。
これからも楽しみながら考察していきたいと思います。


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