鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1775~大橋正

2019-05-08 06:25:33 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、大橋正です。

大橋正さんという方のイラストが24枚まとめてネットオークションに出ていました。
額装したら映えるだろうな、と思いつつ作品を眺めていました。
テレビを見ていた妻がディスプレイをのぞき一言。
「美味しそうなナス!」
大橋氏はキッコーマンの広告を長く手掛けたグラフィックデザイナーとして有名で、多くの受賞歴があるそうです。
キャラクター「キッコちゃん」が有名!といわれても全く思い出せません。
ただ今回偶然目にしたとはいえ、魅力的なイラストであることは間違いありません。
どうせなら24枚といわず、たくさんの作品を鑑賞したいと思い、あちこちの古書店サイトで彼の図録をさがしました。
AMAZONではほとんど取り扱いがなかったことから、一般受けする存在ではなかったことが推察されます。
「日本の古書店」で検索し「大橋正の博物誌」と「ヴェジタヴルズ」という図録があることがわかりました。
今回はお手ごろな価格だったので両方とも購入しました。

①大橋正の博物誌(1979年発行)
 キッコーマンのHPで次のように紹介していました。
 =====
 優雅な精密描写による作品135点、12人の執筆者による評論とエッセイを収録。
 カラー80頁、2色16頁、モノクローム80頁。
 巻末に図録と年譜を付す。
 =====

 どなたかの文章に「海外の芸術家が部屋に大橋氏の作品を飾っていた」と書いていました。
 精密描写でありながら優雅で温かみを感じる作品を好むのは洋の東西を問わないようです。
 それにしても後半の作品がカラーでなくて残念。
 発行当時は当たり前だったのでしょうね。

②ヴェジタヴルズ(1991年発行)
 ただひたすら野菜のイラストが続きます。
 完璧にアート画集。
 見たかったのはこれ!
 時を忘れて見入ってしまいました。
 ところで野菜というシンプルなものをこれだけ魅せる力って何でしょうか?
 何とも不思議・・・。
 以前、谷川俊太郎が書いていた一文を思い出します。
 =====
 「言葉でクレーの絵をなぞることはできない。
  言葉になる前のイメージ(魂)によって秩序を与えられている」
              (「クレーの絵本」あとがきより)
 =====
 優れた芸術は、作品を通して作家の魂の響きを相手に伝えることができる、
 ということでしょう。
 これが大橋氏の作品に惹かれる理由なのかもしれません。
 大橋氏が作品制作について述べた言葉に次のようなものがありました。
 野菜をとことん観察し、デッサンし終えたら冷蔵庫に保管する。
 アクリル絵の具を薄く塗り重ねてイメージだけで作品を仕上げる。
 作品の完成後、冷蔵庫から野菜を取り出して作品と見比べ、
 作品の方が美しいことを確認して終了。
 本物より美しく仕上げることを目標にして描いている、画家のその熱意が
 作品を通して伝わるからこそ心惹かれるのではないかと思いました。


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