ギリシャ神話あれこれ:パリスの一騎打ち(続)

 
 パリスの放った槍はメネラオスの大楯で防がれるが、一方、メネラオスの放った槍はパリスの楯を貫き、パリスの脇腹を掠める。メネラオスはパリスの兜めがけて剣を振るうが、剣は粉々に砕けてしまう。するとメネラオスは、パリスの兜を引っつかみ、自陣へと引きずってゆく。
 ……やっぱり、コキュの恨みは凄まじい。

 勝敗は決した。が、このときアフロディテ神(彼女はパリスの審判で選ばれたため、また、息子アイネイアスがトロイア王家の傍系でもあるため、トロイアに味方している)が、パリスの兜の紐を引きちぎり、パリスをイリオス城内へと連れ去ってしまう。
 空っぽの兜に気づいたメネラオスは、槍を手にパリスを追うが、見失う。彼はなおもパリスの姿を求め、獣のように執念深く両軍のあいだを探しまわったが、兵士たちのなかにパリスを探し出すことはとうとうできずじまいだった。

 一方アフロディテは老女に化け、旦那さまがお待ちです、とヘレネを迎えに行く。が、ヘレネは女神の正体を見破り、なぜこんなことをしたのです! と呆れて責め立てる。
 すると女神は立腹し、不埒な女め! なんならお前を見捨てて、惨めな死にざまで死なせてやろうか! と脅す。

 こうしてパリスのもとへと連れられたヘレネは、今度はパリスを責め立てる。あなたなんて、前夫にやられて死んでしまえばよかったのに! と。
 するとパリスは口説き始める。そんなに意地悪く責めないでおくれよ、今度はきっと君の前夫を倒すからさ、でも今は楽しもうよ。
 で、パリスはヘレネをベッドへと誘い、結局二人は共寝する。
 ……なんて調子のいい男。

 To be continued...

 画像は、フュースリ「メネラオスとの戦いの後、パリスを運び去るアフロディテ」。
  ヨハン・ハインリヒ・フュースリ(John Henry Fuseli, 1741-1825, Swiss)

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