ギリシャ神話あれこれ:パリスの一騎打ち(続々)

 
 一騎打ちがメネラオスの勝利に終わったことは明白だった。ギリシアの総大将アガメムノンは、約束どおりトロイアはヘレネと財宝をギリシアに返還し、これで終戦にしようじゃないか、と主張。トロイア・ギリシア両勢ともが、これに賛成する。

 が、それじゃあ、戦況をギリシア軍に不利にするという、テティスとの約束を果たせなくなる、困ったゼウス神。胸中の思惑も素知らぬふうに、聞こえよがしに言ってそそのかす。
 アフロディテはトロイア勝利のために頑張っているなあ。それに比べてメネラオスのほうは気の毒に、味方する女神どもが当てにならないのだから。と。

 アテナとヘラの両神(彼女らはパリスの審判で選ばれなかったため、ギリシアに味方している)は憤慨して、まあオホホ、どういたしまして、私どもだってこのままじゃ引き下がりませんことよ、とかなんとか言い返した。
 しめしめ、上手くいったわい。にんまりとするゼウス神。

 アテナ神はトロイアに和平の誓いを破らせるべく、トロイア陣中へと紛れ込む。姿を変え、弓の名手パンダロスを巧みにそそのかして、メネラオスめがけて遠矢を射させる。
 矢は的を過たずメネラオスを射当てたが、アテナが逸らしたおかげで傷は浅かった。が、血を流す弟メネラオスを見て、アガメムノンは激怒。おのれ、よくも誓いを反故にしおったな!
 
 かくして戦闘は再開する。両軍は再び衝突し、あっという間に、大地が血に染まる激戦と化す。
 ……神さまたち、あんまり人間に手出ししないでよ。

 To be continued...

 画像は、ダヴィッド「パリスとヘレネ」。
  ジャック=ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David, 1748-1825, French)

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