ギリシャ神話あれこれ:怒れるアキレウス(続)

 
 アガメムノンは、娘を返すのには不承々々に承知する。が、自分にだけ取り分がないのは納得できない、代わりにアキレウスが貰った娘ブリセイスを差し出せ! と言い出す。
 強欲な王め、俺はお前の戦利品のために戦ってるんじゃないぞ! と短気なアキレウスはプチ切れる。ならとっとと帰れ、若造め! と傲慢なアガメムノンもプチ切れる。

 怒り心頭、アキレウスは今にも剣を抜きかける。が、アテナ神(彼女はパリスの審判で選ばれなかったため、ギリシアに味方している。戦争の守護神を敵にまわした時点で、トロイアの敗北は決定的だった)が、密かに彼を押しとどめた。
 アキレウスは、いずれこの俺がいないことを後悔するぞ! あんたには金輪際、従わんからな! と捨て台詞を吐いて、アガメムノンと決裂する。

 クリュセイスはオデュッセウスに連れられ、父のもとへと返されて、ギリシア軍を襲った疫病はようやく治まった。

 ブリセイスを取り上げられたアキレウスは、一人泣きながら、海に向かって母テティスを呼び、散々に自分の不遇を訴える。そして、どうか、ギリシア軍が劣勢となり、アガメムノンがアキレウスの不在を後悔するよう、取り計らってくれ、と頼む。
 ……我儘の甘えん坊め。

 To be continued...

 画像は、ロラン「クリュセイスを父のもとへと連れ帰るオデュッセウス」。
  クロード・ロラン(Claude Lorrain, ca.1602-1682, French)

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