ギリシャ神話あれこれ:12の功業その4

 
 さて、4つ目の難業のため、エリュマントス山へ向かう途中のこと。
 
 アルカディアを通った際、ヘラクレスは、ポロエの洞窟に住まう半人半馬、ポロス(フォルス)の世話になる。
 
 ポロスは、他のケンタウロス族と出自が異なり、シレノスと、トリネコのニンフとの子。なので、他のケンタウロスのように乱暴ではなく、温厚だった。
 このときもポロスは、ヘラクレスを親切に歓待した。ポロスは生肉を食べるのだが、ヘラクレスには焼いた肉を出してもてなしたとか。
 ところが、ヘラクレスは大食漢。忙しくもてなすポロスに、酒をくれ、と言い出す。ポロスは渋ったが、ヘラクレスは構わず、ディオニュソス神から貰ったという酒甕を無理やり開けさせた。しかも、一人で全部飲んでしまった。ゲップ。

 ここはケンタウロスの住まう地。ヘラクレスは酔っ払っている。当然、一悶着あるわけで……

 この辺一帯の山地には、ケンタウロス一族が集まっている。ラピタイ族との争いの後、賢者ケイロンの住まうこの地に移ってきたのだという(ヘラクレスの伝には、テセウスとの絡みが随所にあって、しばしば時期が合わないが、神話ではよくあることなので気にしてはいけない)。
 さて、大勢のケンタウロスたちが酒の匂いを嗅ぎつけて、ポロスの洞窟へとてんでに押しかけてきた。が、酒甕はすでに空っぽ。血の気の多いケンタウロスたちは怒り出し、武装して襲撃してきた。

 To be continued...

 画像は、ベックリン「ケンタウロスの戦い」。
  アルノルト・ベックリン(Arnold Böcklin, 1827-1901, Swiss)

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