元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「レッド・オクトーバーを追え!」

2008-05-10 06:55:31 | 映画の感想(ら行)
 (原題:The Hunt For Red October)90年作品。1984年、ゴルバチョフ政権誕生前夜、艦長マルコ・ラミウス(ショーン・コネリー)が率いるソビエト最新原子力潜水艦レッド・オクトーバーがアメリカ東海岸に向かって動き出した。通常のソナーでは探知できないシステムを持つレッド・オクトーバーの目的はアメリカへの攻撃か、それとも亡命か。厳寒の北大西洋を舞台に米ソそれぞれの機動部隊が動きだし、事態は緊迫へと向かう・・・・。

 「ダイ・ハード」のジョン・マクティアナン監督による、トム・クランシーのベストセラー小説の映画化。さて、感想であるが、まず2時間15分ほとんど退屈しない。これは確か。でも、当時は脂の乗りきっていた同監督の作品としては、物足りない。 

 ラミウス艦長がどうして亡命を決意したのか、そのあたりの描写が足りない。“死んだ妻の命日だから”では説得力に欠ける。彼がレッド・オクトーバーを任された時点から映画が始まればよかったのではないか。ラミウスの亡命を助けるCIAのアナリスト(アレック・ボールドウィン)は、いちおう主人公のはずだが、存在感の希薄さが気にかかる。

 冒頭、巨大なレッド・オクトーバーの船体がうつしだされるが、海中のシーンではその大きさがちっとも描き出されていないのは不満。潜水艦の操縦室がレッド・オクトーバーとアメリカの原潜、そして追手のソ連原潜と、3つともあまり変わらないのは芸がない、と思った。ラストの船内の銃撃戦にしても、大きな船の内部を強調するような演出が残念ながらなされていない。

 そうとうに製作費を使っていることはわかる。特に海中での戦闘シーンはよくできていて、観ていて思わずひきこまれる(海中の場面は水中撮影はいっさい行なっていない。ミニチュアとスモーク、それとCGとの合成だという)。潜水艦の造船所の場面も“ほとんど本物”の迫力だ。

 しかし、観終わってみればいまひとつの印象をぬぐえない。ストーリーに意外性が少ない。キャストもショーン・コネリーだけ突出して目立っていて、脇のキャラクターがあまり目立っていない。それにしても、ラストの処理は時代性を表している。今映画化されたら別のテイストが加わるだろう。
コメント
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