元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ファイナル・プロジェクト」

2008-05-08 06:31:13 | 映画の感想(は行)
 (原題:警察故事4 簡單任務 First Strike)96年作品。「ポリス・ストーリー」の4作目は、ジャッキー・チェン扮する香港国際警察の刑事がCIAの依頼を受けてウクライナへ飛ぶが、そこで世界中を震撼させるような陰謀に巻き込まれるというもの。単に事件の証人の見張りだけの“簡単任務”(原題)が例によって派手な活劇になってしまう強引さは香港映画のパターンであるが、今回はなぜか世界を股にかける規模の大きさになっており、(当時は)最後の香港製作となるという触れ込みのJ・チェンの意気込みが感じられる・・・・はずであった。

 正直なところ観ていて少しも面白くないのは、舞台を広げすぎたためかもしれない。香港からウクライナ、モスクワからオーストラリアと、007ばりの活躍を見せる主人公だが、話の核が終わり近くにならないと見えてこないし、そこまで引っ張る緻密なプロットなんて香港製アクションに求めても無駄だ。最初からメインの話をドーンと提示し、あとはアクションのこなし方に全力投球すればかなりマシになったろう。

 そして一番の欠点は、印象的なヒロインがいないこと。第一作のブリジット・リンや第三作のミシェール・キング、第二作では準主役で一作目、三作目にも出ているマギー・チャンのような主人公とタメを張るような相手役が不在になると、これほどまでに画面にすきま風が吹こうとは思ってなかった。ボケばかりでツッコミのいない漫才を見ているようだ。

 肝心のアクション場面もどうも気勢が上がらない。雪山での追いかけはスノーボードを使うという新味があるものの、本家007の敵ではない(シャツ一枚で凍った湖に飛び込むシーンにはびっくりしたが)。舞台がオーストラリアに移るとなぜか中華街の話になり、これでは香港で撮るのと変わりゃしない。お祭の途中で敵が襲ってくるシーンは盛り上がってしかるべきだが、段取りが悪くて不発。その前の格闘場面は普通のクンフー映画と同じで今さらやる必然がない。

 呆れたのが終盤の水中での大暴れシーン。動きがスローになるので、ギャグとしては有効かもしれんが、全編のハイライトだと言わんばかりに延々と長時間見せられては完全に飽きてしまう。「007/サンダーボール作戦」の海中シーンを見習ってほしい。

 監督はスタンリー・トンだが、前作「レッド・ブロンクス」といい、どうも二流の感がある。ここはジャッキー自身が演出するか、チン・シュウタンやジョン・ウーといった定評のある人材を登用するべきではなかったか。
コメント
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