こりゃヒドい。中田秀夫監督らしくもない超駄作。もっとも、中田監督がデビュー当初持っていた才気はすでに失われ、今は並の演出家にすぎないが、それにしてもこの体たらくは何なんだ。少しはカツドウ屋魂を見せたらどうなのかと言いたい。
ヒットした「DEATH NOTE」二部作からのスピンアウト作品で、松山ケンイチ扮する名探偵“L”が夜神月とのバトルの後に取り組んだ事件の顛末を描いているのだが、とにかくストーリーが滅茶苦茶である。今回の敵はマッドサイエンティストとその取り巻きで、地球環境を改善させるために、新種のウイルスを使って人類を“大量駆除”しようと企んでいる・・・・という、あまりにもバカバカしい設定からしてアウトだ。
何しろこいつらは生物兵器テロの後にどういう世界を作ろうとしているのかも不明。単に人間の頭数を減らせばどうにかなると思っていること自体、子供向けの特撮ドラマの悪役も務まらないほどの間抜けぶりである。しかも、親玉格の工藤夕貴と高嶋政伸は全然アタマ良さそうに見えないし、他の連中に至っては単なるデクノボーだ。
迎え撃つ“L”側は、慣れない“子守り”を強いられ、まったく有能には見えない“お笑いFBIエージェント”の南原清隆との漫才にウツツを抜かした挙げ句、脱力するような“結末”を目指してヨタヨタと進むしかない。その他、いちいち突っ込みを入れる元気も起きないほどの支離滅裂・御都合主義のオンパレード。脚本書いた奴に脳みそはあるのだろうかと疑うこと小一時間である。
低予算でアップアップしているような、みすぼらしい映像のエクステリアもノーサンキューだ。申し訳程度に活劇場面が挿入されるが、これが緊張感のカケラもない。アクションの何たるかも分かっていない、そのヴォルテージたるや、テレビの2時間サスペンスよりも落ちる。
「DEATH NOTE」編の断片らしきものが挿入されるが、これが前作のファン向けの“御為ごかしのサービス”にしかなっておらず、無駄に上映時間を伸ばす効果しかない。そもそも、どうして「DEATH NOTE」の後日談にしなければならないのか。“L”が健在だった頃の、まったく独立した話で勝負できなかったのか。いくらでも工夫する余地はあったのではないか。中途半端に前作の人気の“おこぼれ”に有り付こうとするからボロが出るのだ。
いずれにせよ、これでは「DEATH NOTE」に接した小中学生といえども、鼻も引っかけないだろう。観客をナメきった製作側の思い上がりがたまらなく不愉快な愚作である。観る価値無し。