闇金融を営む若い暴力団幹部と、容姿だけが唯一無二の財産の軽佻浮薄な詐欺師を中心に、金に憑かれた人間どもの百鬼夜行を描く「暗黒小説」の旗手・新堂冬樹の代表作。
何より、一点の救いもない筋書きと破局的なラスト、そして限度を知らない暴力描写などから想像される“重苦しさ”とは無縁の、わくわくするようなピカレスク・ロマンに仕上がっていることが爽快だ。文章のテンポも快調。
この世の地獄へと真っ逆さまに落ちてゆく登場人物たちが、むなしい抵抗を試みて精一杯にあがく、その無様な振る舞いの中に陶然とさせるような詩情とエロティシズムを感じさせる、作者の人間観察力の何と非凡なことか。
絶対に映画化して欲しい作品だが、深作欣二や今村昌平もいなくなってしまった現在、この素材をモノに出来そうな監督を思い付かないのは辛いところである。
何より、一点の救いもない筋書きと破局的なラスト、そして限度を知らない暴力描写などから想像される“重苦しさ”とは無縁の、わくわくするようなピカレスク・ロマンに仕上がっていることが爽快だ。文章のテンポも快調。
この世の地獄へと真っ逆さまに落ちてゆく登場人物たちが、むなしい抵抗を試みて精一杯にあがく、その無様な振る舞いの中に陶然とさせるような詩情とエロティシズムを感じさせる、作者の人間観察力の何と非凡なことか。
絶対に映画化して欲しい作品だが、深作欣二や今村昌平もいなくなってしまった現在、この素材をモノに出来そうな監督を思い付かないのは辛いところである。