(原題:Lady Chatterley )93年作品。D・H・ロレンスの有名な小説の4回目の映画化作品が昨年公開されたが、今回紹介するのはケン・ラッセル監督版。ただしテレビ用ミニ・シリーズの編集版とのことで、ラッセル得意の変態演出(?)は抑えられている。
ズバリ言って、この映画の興味はチャタレイ夫人と森番のよろめきドラマではなく、旦那のクリフォードに扮するジェームズ・ウィルビィにある。気の弱い二枚目をやらせると天下一品で、「モーリス」や「ハンドフル・オブ・ダスト」でも個性が際だっていたが、今回は最高だ。
戦争で下半身不随となって復員し、妻を悦ばせられないコンプレックスから“キミさえよければ他の男と一緒になってもかまわない”と、一見理解のあるセリフを吐くが、いざ妻が卑しい身分の男と仲良くなっているのを知ると、とたんに狼狽する。それでも必死に体面をとり繕って平静を装い“仕方ないね、僕がこんなだから”なんて言うものの、行動の端々に焦りと怒りと諦めが如実に示されてしまう。
理解があるようでいて、実は古風な道徳と階級意識にかんじがらめに縛られ、冷酷な現実になすすべもなく冷や汗を流すだけの薄っぺらな男。この自意識過剰のダメ男ぶり。実にいい。この筋金入りの優柔不断野郎を、イヤ味を感じさせず普遍的にアピールできるキャラクターとして演じられるのは、世界広しといえどもウィルビィの他にはいなかった。
さて、それ以外はどうでもいい映画である。ストーリーは誰でも知っているし、特にインパクトのある演出もない。夫人を演ずるジョエリー・リチャードソンは何やらキャリアウーマン然としていて、役柄に合っているとは思えない。貴婦人らしさとエロさならジュスト・ジャカン監督版のシルビア・クリステルの方が上である。森番メラーズに扮するショーン・ビーンも特筆すべきものがないし・・・・。ロビン・ビジェオンのカメラによる美しい映像(森の描写など)と時代考証も確かな美術・小道具はよかったけどね。
ズバリ言って、この映画の興味はチャタレイ夫人と森番のよろめきドラマではなく、旦那のクリフォードに扮するジェームズ・ウィルビィにある。気の弱い二枚目をやらせると天下一品で、「モーリス」や「ハンドフル・オブ・ダスト」でも個性が際だっていたが、今回は最高だ。
戦争で下半身不随となって復員し、妻を悦ばせられないコンプレックスから“キミさえよければ他の男と一緒になってもかまわない”と、一見理解のあるセリフを吐くが、いざ妻が卑しい身分の男と仲良くなっているのを知ると、とたんに狼狽する。それでも必死に体面をとり繕って平静を装い“仕方ないね、僕がこんなだから”なんて言うものの、行動の端々に焦りと怒りと諦めが如実に示されてしまう。
理解があるようでいて、実は古風な道徳と階級意識にかんじがらめに縛られ、冷酷な現実になすすべもなく冷や汗を流すだけの薄っぺらな男。この自意識過剰のダメ男ぶり。実にいい。この筋金入りの優柔不断野郎を、イヤ味を感じさせず普遍的にアピールできるキャラクターとして演じられるのは、世界広しといえどもウィルビィの他にはいなかった。
さて、それ以外はどうでもいい映画である。ストーリーは誰でも知っているし、特にインパクトのある演出もない。夫人を演ずるジョエリー・リチャードソンは何やらキャリアウーマン然としていて、役柄に合っているとは思えない。貴婦人らしさとエロさならジュスト・ジャカン監督版のシルビア・クリステルの方が上である。森番メラーズに扮するショーン・ビーンも特筆すべきものがないし・・・・。ロビン・ビジェオンのカメラによる美しい映像(森の描写など)と時代考証も確かな美術・小道具はよかったけどね。


