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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ドミノ」

2006-01-16 16:04:36 | 映画の感想(た行)

 フィルターをかけまくった荒い画面と過剰なカッティング。トニー・スコット監督らしいケレン味たっぷりの映像処理だが、これを全編やられると疲れる。しかも、見た目こそハッタリかましているが、話自体はちっとも面白くない・・・・というか、分かりづらい。しかもクライマックスは「トゥルー・ロマンス」の二次使用。

 名優ローレンス・ハーヴェイの娘で何不自由ない生活を送っていた主人公が、どうしてバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)の世界に足を踏み入れたのか、観客が知りたいのはそこなのに、本作では伝記映画としての形態は横に追いやられ、単なる低調な犯罪ドラマに終わっている。

 製作コンセプトが煮詰められていない上に、脚本が手抜き。これじゃダメだろう。

 だが、キャスティングは濃い。配役に限って言えば「シン・シティ」以上だ。ヒロインの母親がジャクリーン・ビセットだなんて、それだけでもたまらないが、ミッキー・ロークやクリストファー・ウォーケン、トム・ウェイツにミーナ・シュバリ、さらに「ビバリーヒルズ青春白書」シリーズのブライアン・オースティン・グリーンとアイアン・ジーリングが本人役で出ているばかりか、先頃急逝したドミノ・ハーヴェイ本人も顔を見せるのだからスゴい。

 で、そんな連中の真ん中で主役を張るキーラ・ナイトレイだが、いくら何でも若すぎて可愛すぎ(笑)。ただし殺伐とした作劇にあっても少しも下品になっていないのは、彼女の持つノーブルな雰囲気ゆえだろう。

 結論としては過度に多彩な出演者陣を楽しむだけの映画で、娯楽映画としては及第点に達していないということだ。
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保科昌彦「ゲスト」

2006-01-16 07:58:46 | 読書感想文
 「リング」が“呪いのビデオ”ならば、こっちは“呪いのテレビゲーム(正確にはゲームに使われる画像)”か。しかも人から人へ勝手に症状が“伝染”していくのがコワイぞ・・・・なんて書くと、愚にもつかないB級ホラー小説みたいに思われるが、実はその通り(おいおい ^^;)・・・・と片付けたくなるのをガマンして最後まで読んでみたら、これはこれでけっこう楽しめる。

 一番面白かったのが主人公がゲームのシナリオライターであることにより、この業界の“裏側”みたいものが垣間見えるところだ。大手の社員ではなく、中堅どころでゲーム製作に携わる、それもフリーのスタッフでしかない主人公の、職場での微妙な立場や上司・後輩との確執ぶり。特に職務のダブル・ブッキングを命じられるあたりは身を切られるほどシビアである。

 狭いアパートでの妻のと二人暮らしも描写としてリアル。みんな心に屈託を抱えて頑張っているのだなぁと、今さらながら当たり前のことを感じ入ってしまった。

 さて“呪いのテレビゲーム”によって凶行に走る登場人物達の内面描写はなかなかパワフルであるものの、何度も繰り返されると飽きる。その“呪い”の正体も、何やら取って付けたよう。もっとひねりを入れて欲しかった。

 とはいえ読者をラストまで引っ張るクソ力は無視出来ず、読んで損のないレベルである。
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