goo blog サービス終了のお知らせ 

元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「セブンソード」

2006-01-07 17:34:37 | 映画の感想(さ行)
 ひと頃“映像の魔術師”だ何だと持て囃され、ハリウッド進出も果たしたツイ・ハーク監督だが、今では見る影もない。本作のように得意のジャンルであるはずの武侠アクションを手掛けてみても、全盛時とは比べようもなく、寂寥感さえ漂う。

 清王朝建国直後の中国を舞台に“禁武令”を発した朝廷とそれに反発する武術家たち(及び平民)との闘いを描くこの映画は、話の整理が全然ついておらず、行き当たりばったりに画面を繋いでいるうちに、上映時間が153分にも延びてしまったという印象を受ける。

 最初に強調すべきはずの7人のキャラクター設定と得意技もスッポ抜け、それどころか埃っぽい映像に顔までマスキングされたかのように、登場人物の見分けも付かないのだから呆れる。


 それでもさすがにアクションだけは良く撮れている・・・・と言いたいのだが、終盤の狭い通路での立ち回りだけは“おおっ!”と思わせるものの、それ以外は暗い画面に加えて意味のない接写が目立ち、さらに無駄にカメラをブン回しているおかげで、何がどうなっているのかさっぱり分からない。これがあの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズ等でアクション描写の新しい地平を開いた監督の近作かと思うと、悲しくなってしまう。

 それにしても当作を「HERO」や「LOVERS」の同系列作品として売ろうとした配給会社のしたたかさには苦笑するが、それも大した成果を上げていないってことは、ガラガラの劇場が証明していた(^^;)。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少子化対策より景気対策

2006-01-07 08:09:29 | 時事ネタ
 産経新聞1月3日付社説より引用する。

<引用開始>
 少子高齢化・人口減による経済社会の担い手不足が顕在化する中で、「受益」を抑制・削減し、それに見合う「負担」を広く求める新しい税財政構造への大転換が不可欠なのである。
<引用終了>

 要するに、少子高齢化トレンドを見据えた国民の負担増(具体的には、消費税率のアップ)は当然だと言いたいらしい。この論調は産経に限らずどこの新聞でも似たようなものだが、これらは少子化問題の何たるかが全く分かっていない与太話だと断言できる。

 少子化の原因とは何かと聞けば、かなりの割合で「教育費(をはじめとする子供にかかる費用)の高騰化」との答えが返ってくるはずだ。小泉首相のメールマガジンにもそう書いてあるから、政治家がそれを知らないはずもない。この状態で消費税率を上げると、子供に関する出費負担の割高感が大きくなり、若い夫婦はますます子供を作らなくなる。そうやって少子化はスパイラル式に進むってわけだ(タメ息)。

<引用開始>
 もはや増税は不可避である。焦点の社会保障給付を成長率並みに抑制しても、公費負担は消費税12%分に上ると財政制度等審議会は試算している。
<引用終了>

 その「財政制度等審議会」とやらのメンバーは、橋本政権時に消費税率が3%から5%に上昇した際、せっかく上向きかけていた景気がイッキに冷え込み、税収が減って逆に財政赤字が増えたことを忘れたのだろうか。5%から12%といえば税率が2.4倍のアップであり、3%から5%に上がった時の約1.6倍を大幅に上回る。これが経済マクロにどれだけダメージを与えるか、想像したことがないのだろうか。

 平均株価の上昇や(一部の)企業の好況感をもって「これで景気は回復した」と断言することほど愚かなことはない。失業率は高止まりだし、その雇用者も3人に1人が非正規社員である。頑張っても正職員には成れず、人生設計さえ描けない。わずかな稼ぎも消費税率アップで目減りする。そんな社会情勢で、出生率が上がると考える方がおかしい。児童手当が少々増えても焼け石に水だ。

 本気で少子化を食い止めたいのなら、まずは景気を良くすることである。ここでいう「景気」とは日銀短観などの「経営者の感想」を参考にしての「景気」ではない。名目GDPが高率の上昇推移を見せ、国民の所得水準が上昇し、失業率が激減することが、本当の「景気」の回復である。「不景気」では子供は増えない。

 まあ、このまま所得の二極化が進み、上流・下流という呼び方に象徴されるような階層の固定化が極限にまで進んでしまうと、逆の意味で子供は増えるかもしれない。つまりは「貧乏人の子沢山」というケースの「復活」だ。もっとも、そうなれば日本はオシマイなんだけどね(笑)。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする